JPH0892704A - 高靭性13Cr5Ni系ステンレス鋼及び用途 - Google Patents

高靭性13Cr5Ni系ステンレス鋼及び用途

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JPH0892704A
JPH0892704A JP16850995A JP16850995A JPH0892704A JP H0892704 A JPH0892704 A JP H0892704A JP 16850995 A JP16850995 A JP 16850995A JP 16850995 A JP16850995 A JP 16850995A JP H0892704 A JPH0892704 A JP H0892704A
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runner
stainless steel
toughness
weight
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JP16850995A
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Inventor
Masao Kawakami
正夫 川上
Fumio Sakamoto
史緒 坂本
Tsugio Fushimi
次男 伏見
Tsugio Yoshikawa
次雄 吉川
Kenichi Usami
賢一 宇佐美
Hiroshi Takayasu
博 高安
Tsutomu Konuma
勉 小沼
Makoto Karita
誠 苅田
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】C0.008〜0.03%,Si1.0%以下,
Mn2.0%以下,Cr10〜14%,Ni4〜7%,
Mo0.2〜2.0%を含有し、(Cr/Ni)比が2.0
〜3.0又は(C/Mo)0.015〜0.1,1000C
+Cr+35Moの値が30〜60であるステンレス鋼
と、その表面に形成したC0.1〜0.3%,Si1%以
下,Mn2%以下,Cr16〜23%,Ni1〜8%,
Co2〜9%,Mo0.5〜5%,N0.05〜0.20
%,V0.5%以下,Ti0.5% 以下,Nb0.5%以
下,W0.5%以下の少なくとも1種を含むオーステナ
イト鋼よりなる溶接肉盛層よりなり、400m以上の高
落差揚水発電プラント用ランナとして好適である。 【効果】本発明の13Cr5ni系ステンレス鋼は高強
度で高靭性を有し、耐壊食性に優れた流体機器が得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な13Cr5Niス
テンレス鋼及びこの材料を用いた発電専用,揚水発電用
水車等に組み込まれる水車ランナ,案内羽根、及びポン
プ用インペラなどの流体機器並びに部材のキャビテーシ
ョンエロージョンを受ける部分に予め耐壊食性及び耐溶
接割れ性を有する溶接材料で補修肉盛した含Ni−13
Crマルテンサイト系ステンレス鋼製流体機器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】特公昭42−16870 号に示すように、13
Cr5Ni鋼はマルテンサイト組織の中に約30%のオ
ーステナイトを残留させた鋼であるため、マルテンサイ
ト鋼としての高強度にオーステナイト鋼の高靭性を兼ね
備えた鋼である。Niを含まない13Cr鋼よりは、大
幅に溶接性が優れているが、焼きなましを施工しない溶
接のままでは、熱影響部が硬化し、母材よりも延性及び
靭性が低下するのは避けられなかった。
【0003】また流体機器では、流量を増加して効率を
上げるため、機器本体の断面積が制約され、より高強度
かつ高靭性の材料が要求されてきた。靭性の優れたステ
ンレス鋼として、特開昭60−63357 号公報,特開昭60−
174859号などが知られている。
【0004】河川水や海水等の流体中で高速回転及び高
速流水に曝される水車機器にはその局部的領域に振動,
騒音及び効率の低下を起こす原因となるキャビテーショ
ンを発生する。さらに、その部材表面はキャビテーショ
ン・エロージョンによる損傷(壊食)を受ける。そこ
で、特に大型機器となる水車ランナ材には、従来材に比
べ、耐壊食性及び強度特性が優れている含Ni−13C
r鋳鋼の使用が主流となっている。しかしながら、大型
化あるいは高速化等運転条件によって壊食による損傷を
受け、その補修技術が要望されている。
【0005】一般に、これらの損傷を抑制する耐壊食性
溶接材料としては、JIS:Z3251やAWS:A5.13
に規格化されているCr,Ni,Mo等を含むステラ
イトと呼ばれるCo基合金が知られている。しかしなが
ら、この溶接材料はCoを多量に含むため高価であり、
かつ、その肉盛層はC含有量(0.90〜3.00%)が
高く高硬度(ビッカース硬さ;400〜550)を有す
るため、特に肉盛領域が広くなると溶接割れ感受性が高
くなるとともに、肉盛層表面の加工性に難が生ずる。そ
こで、溶接割れ感受性を考慮し、母材表面に中間層とし
てオーステナイト系溶接材料による肉盛層を設けた場合
でも、高温(550〜650℃)の予熱及び後熱処理が
施されている。
【0006】従って、実機での狭い個所の補修溶接作業
においては作業者の安全性が阻害される問題も多く、作
業性ならびに経済的にも課題が残る。
【0007】そこで、上記の理由等により、現在の水車
部材等の補修溶接には耐壊食性はCo基合金系溶接材料
に比べ非常に劣るものの、予熱温度を低く抑え、かつ耐
溶接割れ性の優れた比較的安価なJIS:Z3251や
AWS:A5.4 に規格化されているD(E)−30
8,D(E)−309やD(E)−309Mo等のオー
ステナイト系溶接材料が多く使用されている。
【0008】肉盛溶接材料として、特公昭42−24813 号
公報,特開昭58−37162 号公報及び特公昭62−54863 号
公報が知られている。
【0009】しかしながら、最近の大型化,高速化等の
流体機器の過酷な使用条件下における現用の補修用溶接
材料ではキャビテーション及び土砂による損傷に対し
て、十分な特性を発揮し得ない課題が多くなり、さら
に、海水等腐食環境下での使用も要望され、耐食性も加
味した耐壊食性・摩耗性材料の適用化が要求されてい
る。以上記述したように、水車等流体機械構成部材のキ
ャビテーション及び土砂による損傷を抑制する補修等表
面処理溶接肉盛材料としては、耐壊食性,耐食性並びに
溶接施工性が優れている特性を兼備するものが望まし
い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述のいずれの公知例
においても高強度を示すものの高落差水力発電機の高応
力素材としては十分に高い靭性と高い耐溶接割れ性を有
するまでには至っていない。
【0011】本発明の目的は、高強度高靭性を有する1
3Cr5Ni系マルテンサイトステンレス鋼及びそれを
用いた流体機器並びに超高落差ポンプ水車発電プラント
を提供するにある。
【0012】更に、本発明の目的は、加工硬化性を向上
させるとともに、さらに耐食性,組織の安定化や微細化
等を図った耐壊食性,耐摩耗性並びに耐溶接割れ性の優
れたオーステナイト系溶接材料で肉盛層を形成させた流
体機器並びに超高落差ポンプ水車発電プラントを提供す
ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、重量で、C
0.008〜0.03%,Si0.05〜0.6%,Mn
0.1〜2.0%,Cr10.0〜14.0%,Ni4.0
〜7.0% 及びMo0.2〜2.0% を含有し、(Cr
/Ni)比が2.0〜3.0又は(C/Mo)比が0.0
15〜0.1又はMo量が次式(1)〜(2)によって求め
られる値の範囲内、又は(3)式によって求められる値が
1.1以下、好ましくは0.70以下、又は(4)式によっ
て求められる値が28〜104、好ましくは30〜60
であることを特徴とする13Cr5Ni系ステンレス鋼
にある。
【0014】(1):0.54−4×C(重量%) (2):0.32−4×C(重量%) (3):20×C(重量%)+Si(重量%) (4):1000×C(重量%)+Cr(重量%)+30
×Mo(重量%) 更に、本発明では室温での耐力が500N/mm2 以上又
は引張強さが650N/mm2以上,好ましくは750N
/mm2以上,伸び率16%以上,好ましくは25%以
上,絞り率45%以上,好ましくは60%以上;0℃で
の2mmUノッチ衝撃値が100J以上,好ましくは14
0J以上及び破壊靭性が6000N/mm3/2以上である
全焼戻マルテンサイト組織を有することを特徴とするス
テンレス鋳鋼にある。
【0015】本発明におけるステンレス鋼は鋳鋼,鍛
造,圧延材のいずれでもよく、特に、鋳鋼品に好適であ
る。これらの鋳鋼品は、水車用ランナ,ガイドベーン等
に有効で、特に500m以上,好ましくは600m以上
の超高落差を有する揚水ポンプ水車発電プラントに有効
である。
【0016】本発明は、重量で、C0.008〜0.03
%,Si0.05〜0.6%,Mn0.1〜2.0%,Cr
10.0〜14.0%,Ni4.0〜7.0% 及びMo0.
2〜2.0% を含有するステンレス鋼の溶湯を大気中溶
解後、該溶湯を真空取鍋精錬炉に注湯し、該精錬炉にて
所望時間減圧にて保持し前記溶湯の沸騰現象が鎮静化し
た後、炉底部より予めセットされた鋳型内に注湯するこ
とを特徴とする13Cr5Ni系ステンレス鋼部材の製
造方法にある。特に、水車用ランナの如き超大型鋳鋼品
においては少なくとも4個所の鋳込口より注湯するのが
好ましく、鋳型の下側より溶湯が供給され順次鋳型の上
部に満たされるようにする。鋳込口は製品の下部と真中
辺の中間点で注湯できるようにする。
【0017】本発明は、高落差の導水管を通って運ばれ
る流水によって回転するランナを有する水車と前記ラン
ナの回転によって回る回転電機とを備えたポンプ水車発
電プラントにおいて、前記落差が400m以上、好まし
くは500m以上及び前記ランナの直径が5m以上であ
ることを特徴とする超高落差ポンプ水車発電プラントに
ある。
【0018】本発明は、耐力が600N/mm2以上又は
引張強さが650N/mm2以上,伸び率20%以上,絞
り率が50%以上,0℃2mmUノッチ衝撃値が100J
以上及び破壊靭性が6000N/mm3/2 以上である全焼
戻マルテンサイト組織を有するステンレス鋼にある。特
に、引張強さが750N/mm2 以上,2mmUノッチ衝撃
値が150J以上とするものが好ましい。
【0019】前記落差が400〜600mに対しては、
前記ランナが室温での耐力が500N/mm2以上又は引張強
さが650N/mm2以上,伸び率16%以上,好ましく
は20%以上及び絞り率45%以上;0℃での2mmUノ
ッチ衝撃値100J以上,破壊靭性5800N/mm3/2
以上である13Cr5Ni系ステンレス鋼が好ましい。
【0020】更に、前記落差が600mを越え800m
以下に対しては、前記ランナが室温での耐力が530N
/mm2以上,引張強さが700N/mm2以上,伸び率20
%以上及び絞り率50%以上;0℃での2mmUノッチ衝
撃値100J以上及び破壊靭性6600N/mm3/2 以上
である13Cr5Ni系ステンレス鋼を用いることが好
ましい。
【0021】また、前記落差が800mを越えるものに
対しては、前記ランナが室温での耐力が560N/mm2
以上又は引張強さが750N/mm2以上,伸び率20%
以上及び絞り率50%以上;0℃での2mmUノッチ衝撃
値100J以上,好ましくは170J以上及び破壊靭性
6000,好ましくは7400N/mm3/2 以上である1
3Cr5Ni系ステンレス鋼が好ましい。
【0022】本発明における発電プラントはランナをポ
ンプとして用いる揚水発電にもなる。
【0023】更に、本発明は、河川水や海水中の流体中
で高速回転又は高速流の液体中でキャビテーションによ
る壊食を受ける流体機器において、該機器は重量でC:
0.01〜0.06%,Ni:6.0%以下及びCr:10〜
14%を含む13Crマルテンサイト系ステンレス鋼か
らなり、該機器部材の表面部分に、重量でC:0.10〜
0.30%,Si:1%以下,Mn:2%以下,Cr:
16.00〜23.00%,Ni:1.00〜8.00%,
Co:2.00〜9.00%で、かつNi+Coを6.0
0〜12.00%を含有し、前記Ni量を〔10−40
×C(重量%)〕より求められる値以上とするオーステ
ナイト鋼の溶接肉盛層を形成させるものである。
【0024】また、耐食性も要求される場合には、前記
の溶接肉盛層に、さらにMo:0.50〜5.00% ,N:
0.05〜0.20%の少なくとも1種、特にMoを含む
のがよい。
【0025】さらに、溶接金属の延性向上や組織微細化
を図るために、前記の溶接肉盛層が、V:0.50%以
下,Ti:0.50%以下,Nb:0.50%以下,W:
0.50%以下の少なくとも1種を含み、その合計量が0.
10〜0.50%を含むのがよい。
【0026】一方、本発明の溶接肉盛層の形成は、棒
状,粉体を用いて形成することができる。
【0027】本発明は、液体中で高速回転又は高速流の
液体中でキャビテーションによる壊食を受ける流体機器
において、該機器は重量で、C0.008〜0.03%,
Si1.0% 以下,Mn2.0%以下 ,Cr10.0〜
14.0%,Ni4.0〜7.0%及びMo0.2〜2.0
%を含有する高靭性13Cr5Ni系ステンレス鋼から
なり、該機器部材の表面部分に、重量で、C:0.10
〜0.30%,Si:1%以下,Mn:2%以下,C
r:16.00〜23.00%,Ni:1.00〜8.00
%,Co:2.00〜9.00%で、かつNi+Coを
6.00〜12.00%を含有するオーステナイト鋼の溶
接肉盛層を形成させたことを特徴とする流体機器にあ
る。
【0028】本発明は、高落差の導水管を通って運ばれ
る流水によって回転するランナを有する水車と前記ラン
ナの回転によって回る回転電機とを備えたポンプ水車発
電プラントにおいて、前記落差が400m以上及び前記
ランナの直径が5m以上であり、前記ランナは、重量
で、C0.008〜0.03%,Si1.0%以下 ,Mn
2.0%以下,Cr10.0〜14.0%,Ni4.0〜
7.0%及びMo0.2〜2.0% を含有するステンレス
鋳鋼よりなり、前記ランナの壊食を受ける部材の表面部
分に、重量で、C:0.10〜0.30%,Si:1%以
下,Mn:2%以下,Cr:16.00〜23.00%,
Ni:1.00〜8.00%,Co:2.00〜9.00%
で、かつNi+Coを6.00〜12.00%を含有する
オーステナイト鋼の溶接肉盛層が形成されていることを
特徴とする超高落差ポンプ水車発電プラントにある。
【0029】
【作用】
(1)本発明における母材の組成に対する限定理由は次の
通りである。
【0030】炭素を0.03% 以下に低くすることによ
りクロムの消耗がなく、耐食性を低下しない。また粒界
が清浄となるため、延性,衝撃特性,破壊靭性,疲労強
度が向上する。
【0031】高合金鋼で炭素を低減するためには、真空
取鍋精錬が必要である。真空取鍋精錬により、容易に炭
素を0.03% 以下に低くできる。鋳型またはインゴッ
トへ鋳込むまで溶湯に接する取鍋のライニングなどは低
炭素材料を使用する必要がある。酸化精錬後の合金添加
も低炭素材料でなければならない。できるだけ大気にさ
らさないようにするため、鋳鋼品の製造においては、溶
湯を取鍋精錬炉より鋳込み用取鍋に移し替えず、取鍋精
錬炉より鋳型に直接鋳込む方がよい。このためには鋳込
に必要な取鍋の数だけ、精錬前から溶湯を分割し、個別
に取鍋精錬し、そのまま鋳込むことが必要である。
【0032】Cは、熱処理時の焼入れ性を高めるととも
に、マルテンサイト化による強じん性を高めるのに必要
な元素で、合金中に0.008〜0.03%含まれる。0.
008%未満では上記効果が乏しく、0.03% を越える
と靭性が低下し、補修等の溶接性が改善されない。特
に、0.010〜0.020%が好ましい。
【0033】Siは、溶接時のブローホール欠陥の低減
のために添加されるもので、1.0%を越えて添加する
とδフェライトの生成原因となり、靭性を害する。0.
05%未満では溶接時十分な脱酸が行われないためブロ
ーホール欠陥が低減されない。特に、0.25〜0.60
%が好ましい。
【0034】Mnは、本発明において特に重要であり、
Siとともに脱酸剤として作用するのみならず、Sと結
合してMnSとなり溶鋼中に含まれるSの安定化を図る
ことができ、よってSの偏析を防止する。さらに、後述
するNiと同様に熱処理後のマルテンサイトの強度とじ
ん性を向上させるものであり、0.1% 未満では上記効
果が乏しく、2%を越えると残留オーステナイト量の増
加を招き、強度を低下させる。特に0.25% 以上、よ
り0.5〜0.8%が好ましい。
【0035】Niは、オーステナイトをマルテンサイト
中に安定して存在させるのに必要なものである。また焼
入性を向上させ、熱処理後の強度および靭性を高めるの
に必要であるとともに、溶接性をも高める。添加量が
4.0% 未満では上記効果が乏しく、7%を越えると高
温割れが発生しやすくなり、しかも残留オーステナイト
の増加により強度が低下してしまう。特に、4.8〜5.
8%が好ましい。
【0036】Crは、耐食性を向上させるとともにマル
テンサイト基地を得るために必要な成分であり、10〜
14%添加される。10%未満では耐食性が劣り、14
%を越えると基地中に多量のδフェライトが生成し、靭
性が低下する。特に、11%以上、より12〜14%が
好ましい。
【0037】Moは、耐食性およびマルテンサイトの強
度を向上させ、熱処理時の脆化を防止するのに有効な成
分である。海水などの腐食環境では2%以下含有され
る。厚肉鋳鋼品の脆化防止のためには2.0%以下含有
される。添加量が0.2%以下では上記効果が若干低下
するので、0.2%以上とすべきであり、また2.0%を
越えると靭性の低下を招く恐れがあるので、2.0% 以
下とする。特に0.35〜0.6% が好ましいが、より
0.4〜0.5%が好ましい。
【0038】Mg,Ca,Ceの強力な脱酸剤を加える
ことが好ましい。これらはいずれも同様の作用を有する
もので、強力な脱酸剤としての効果を有するとともに脱
酸剤としても作用する。特に脱酸剤としての効果を期待
するもので、これらの成分のうち1種類を単独で添加す
ることもできるし、2種類以上を複合して添加すること
もできる。この場合の合計添加計は0.005〜0.03
%が好ましい。Pは0.025%以下,Sは0.015%
以下が好ましい。
【0039】更に、本発明材はNb,V,W,Ti,H
f,Zrの強力な炭化物形成元素を1種又は2種以上を
合計で0.2% 以下含有させることができる。下限は0.
02%とするのが好ましい。
【0040】本発明の13Cr5Ni系ステンレス鋼は
鍛鋼,鋳鋼,圧延材のいずれでも使用することができる
が、特に鋳鋼において効果が発揮されるものである。
【0041】本発明における特定の合金組成として、
(4)式によって求められる強化指数を28〜104,好
ましくは30〜60とすることが好ましく、特に28〜
60,好ましくは35〜50とするのが好ましい。より
40〜45とするのが好ましい。
【0042】(4)式:1000×C(重量%)+Cr
(重量%)+30×Mo(重量%) このような値とすることにより、低Cとしたときの強度
と靭性とがともに高いものが得られる。
【0043】更に本発明は(Cr/Ni)比が2.0〜
3.0又は(C/Mo)の含有量(重量)の比を0.01
5〜0.1とするのが好ましい。このような含有量とす
ることにより高強度で靭性の高いものが得られる。特
に、0.025〜0.045とするのが好ましい。
【0044】また、本発明はMo量が(1)式と(2)式と
によって求められる値の範囲内の含有量(重量%)とす
ることにより高強度で高靭性が得られる。
【0045】(1)式:0.55−4×C(重量%) (2)式:0.32−4×C(重量%) また、本発明は(3)式によって求められる値と1.1以
下,好ましくは0.70以下,より好ましくは0.25〜
1.1、特に0.45〜1.0,より0.3〜0.6とする
ことにより高強度高靭性の13Cr5Ni系ステンレス
鋼が得られる。
【0046】 (3)式:20×C(重量%)+Si(重量%) 本発明は、400m以上の超高落差の揚水発電用ポンプ
ランナに特に有効であるが、ペルトン水車,立軸又は横
軸フランシス水車,斜流ポンプ水車,カプラン水車にも
適用可能である。これらのランナ,ガイドベーン等にお
いて有効である。これらのランナとして特に直径で5m
以上において有用である。
【0047】本発明におけるステンレス鋼を用いた流体
機器用部材のキャビテーション・エロージョンを受ける
部分の表面にその母材よりも耐壊食性の高い材料からな
る肉盛溶接層を形成することができ、それによって機器
の寿命を向上させることができる。その肉盛溶接層とし
て前述の組成の鋼を用いることができ、最も好ましいも
のである。
【0048】(2)次に、本発明で用いる溶接肉盛層を構
成する成分の限定理由について述べる。
【0049】Cはオーステナイトの生成元素であるが、
材料の強度及び硬さを増し耐壊食性の向上に有効な元素
である。しかし、その量が0.10% 以下の場合は、溶
接性は向上するものの、本発明組成範囲では、オーステ
ナイト相中にマルテンサイト相が生成し、耐壊食性改善
に有効な誘起マルテンサイト相の生成による硬化領域が
局部的となり効果が少ない。一方、0.30% を越える
と、Ni,Co,Cr量とのバランスもあるが、耐壊食
性は向上するものの延性が著しく低下し、溶接高温割れ
の発生が著しくなる。このため、耐壊食性並びに溶接性
を考慮すると、好ましくは0.10〜0.30%、特に
0.15〜0.26%が望ましい。
【0050】Siはフェライト生成元素であるが、通常
合金の溶解及び溶接時の脱酸のため1%以下で添加され
る。過度の添加は材料の靱性を低下するため、本発明で
のSi量は通常のオーステナイト系合金に含まれる1%
以下に限定する。特に、0.2〜0.6%が好ましい。
【0051】Mnは通常、オーステナイト系鋼材の脱酸
・脱硫のために2%以下が添加され、過剰に添加すると
湯流れ性を悪くし、溶接作業性を低下する。従って、本
発明によるMn量は2%以下に限定する。特に、0.3
〜1.5%が好ましい。
【0052】NiとCoは本発明の耐壊食性の優れた溶
接材料を提供する重要なポイントとなる元素である。N
iはオーステナイト生成元素であり、Crと共存するこ
とによりマトリックスをオーステナイト相にして強度,
延性並びに靱性を向上させる。本発明の特徴は、キャビ
テーション破壊時の衝撃圧により、過度に不安定なオー
ステナイト組織を加工誘起マルテンサイトに変化させ、
特に耐壊食性を向上させることにある。従って、Niの
添加量はC及びCoの添加量と密接な関連を有するもの
の、耐壊食性にとって重要な意味を有する。そのために
は、Ni量を低く押さえることが望ましいが、オーステ
ナイト組織を保持するためにはCoの添加量を増加させ
る必要があり、その総和(Ni+Co)は重量で6〜1
2%とするのが良い。最適には8〜11%が良い。
【0053】すなわち、Niの添加は1〜8%までが良
く、残りはCoで代用することにより耐壊食性が向上す
る。しかし、NiとCoの複合比率において、Ni量が
多い場合は耐壊食性を考慮するとC量を0.15以下で
は良好な特性が得られない。Coは比較的弱いオーステ
ナイト生成元素であり、その生成能力はNiの1/3で
ある。このため、NiとCoの複合比率において、Ni
量が少ない場合は必然的にCoとC量を増加させる必要
がある。このCoとC量の増加が耐壊食性向上に有効に
作用する。しかしながら、C量は溶接割れの観点から、
0.30% 以下とすべきである。そのためのCo量は2
%以上必要であり、9%以上添加しても耐壊食性を向上
する効果が小さい。特に、Niは2.0〜6.0%,Co
は5〜8.0% が良い。
【0054】Crはフェライト生成元素であるが、河川
水及び海水中における耐食性向上に有効であるととも
に、Niと共存し少量のフェライトを含むオーステナイ
ト組織を形成する。16%以下ではオーステナイト相中
にマルテンサイトを生成するとともに、23%以上では
フェライト量が増加し、延性,耐壊食性及び溶接性を劣
化させる。好ましくは17〜21%であるが、流体が海
水等の腐食性が強い場合は耐食性を考慮し19〜22%
とすることが望ましい。
【0055】Moは耐食性を改善するほか、肉盛層の生
地を強化し耐壊食性の改善に効果がある。本発明での主
のMo添加は、特に腐食性の高い海水等を流水として使
用する機器部材の耐壊食性を付与する場合の補修材料に
含ませることにある。しかし、0.5% 以下では効果が
少なく、5%以上添加するとδフェライトを多量に生成
し溶接性に影響を及ぼす。そのため、本発明では耐食性
を考慮し、0.50〜5.00% に限定した。好ましく
は2.0〜3.0%が望ましい。
【0056】Nはオーステナイト相を安定にするととも
に、強度や耐エロージョン性を向上するのに有効な元素
である。しかし、本発明における添加は主に、CrやM
oの合計量が21〜25%以上となり、溶接性に影響す
るフェライトの生成を抑制するためである。過剰に添加
すると窒化物を形成し、靱性や耐食性に影響を及ぼすた
め0.05〜0.20%の範囲に限定した。
【0057】V,Ti,Nb,Wはともに炭化物形成元
素であるが、0.8% 以下の添加は延性を向上させる。
従って、本発明では肉盛材の耐壊食性や溶接性に影響を
及ぼさない程度の少量添加により、肉盛材の延性向上を
図るためである。
【0058】しかし、各元素とも、顕著な効果を示すの
は0.2%〜0.5%の範囲で、1.0%以上では延性及び
溶接性に影響を及ぼす。そこで、本発明では、各元素の
単独添加量を0.50% 以下と限定した。しかし、元素
の単独添加でも十分その機能を発揮するが、各元素とも
ほぼ同じ作用を有するため、複合添加も考慮し、V+T
i+Nb+Wの合計量も0.20〜0.50%の範囲に限
定した。
【0059】残部はFe及び同伴する不純物からなり、
不純物としてP,S,As及びSbなどがあるが、これ
らの元素は延性,靱性を害する働きをするとともに溶接
性を低下するため極力少ない方が望ましい。
【0060】さらに、本発明では、肉盛層の延性を高め
るためにCa,Mg,希土類元素,Y等の酸化剤を加え
ることができる。それらの1種又は2種の含有量は0.
5%以下とすることが好ましい。
【0061】本発明においては、CとNi量とは密接な
関係があり、Ni量をC量に添って加える必要があり、
Niを〔10−40×C(重量%)〕の式によって求め
られる値以上に含有させるものであり特に、{70×C
(重量%)+Ni(重量%)}の式によって求められる値
を15〜25とするのが好ましい。Co量が2〜4%で
は20〜25とするのが好ましい。また、Ni量の上限
を前述の式によって求められる値に4を加えた値にする
のが好ましい。
【0062】更に、NiはCrと密接な関係があり、次
の式によって求められる値以上とし、上限としてこの値
に3.5 を加えたものとするのが好ましい。
【0063】Cr=20.5−0.55Ni(重量%) また、CはCrとも密接な関係があり、次式によって求
めらる値以上とし、上限をこの値に0.11 を加えた値
とするのが好ましい。
【0064】 C=0.0282Cr(重量%)−0.364 次に、肉盛層厚さを3〜20mmの範囲とするのが好まし
い。
【0065】母材との希釈率は溶接棒による被覆アーク
溶接法やロッドによるTIG溶接法が約30〜35%、
粉体を用いるプラズマアーク溶接法が約5〜7%であ
る。従って、粉体を用いるプラズマアーク溶接法の場合
は1層盛3mmの肉盛層でもその肉盛材の特性が得られ
る。しかし、被覆アークやTIG溶接法の場合は母材と
の希釈率が高いため、1層盛3mmの肉盛層ではその特性
を十分満足せず、それ以上の肉盛厚さが必要となる。
【0066】しかしながら、肉盛層が20mm以上となる
と6層盛を超える重ね盛となり、母材や肉盛層への加熱
・冷却の熱履歴を繰り返すことになり、肉盛部の強度特
性等に悪影響を及ぼす因子となる。このようなことよ
り、損傷部の深さにもよるが、肉盛層は1〜6層盛とな
る3〜20mmに限定した。好ましくは、粉体プラズマア
ーク溶接法は表面仕上加工による切削量を含め3〜8mm
(1〜3層盛)、被覆アークやTIG溶接法は6〜15
mm(2〜5層盛)である。
【0067】本発明における流体機器用部材として、C
0.01〜0.06%,Si1%以下,Mn2%以下,N
i6%以下,Cr10〜14%,Mo0.05〜0.5%
を含有する13Cr5Ni鋳鋼又は鍛鋼からなるものが
好ましい。Ni量は4〜6%が好ましい。熱処理は焼な
らし焼戻し材のフェライト10%以下を含むマルテンサ
イト組織が好ましい。
【0068】
【実施例】
実施例1 表1は従来の13Cr5Ni鋼と本発明の低炭素である
供試材の化学成分(重量%)を示すものである。従来の
13Cr5Ni鋼及び本発明の低炭素材の供試材とも真
空取鍋精錬を実施し、その溶湯を直接鋳型に鋳湯したも
のである。得られた鋳物を熱処理として、980℃×1
8hの焼ならし、600℃×18hの焼戻しを行った。
破壊靭性は試験片に初期亀裂を入れ、荷重と亀裂進展長
さより求めた。溶接性は拘束割れが発生しやすいリーハ
イ型拘束試験片を用いて溶接し、断面の割れ長さを測定
した。水中疲労強度は水道水中での回転曲げ疲労試験よ
り求めた。
【0069】
【表1】
【0070】従来材と本発明の低炭素材の金属組織を観
察した結果、従来材では粒界に黒い線状のクロム炭化物
の析出が認められたが、本発明の低炭素材では認められ
ず、焼戻マルテンサイト組成であった。
【0071】図1は溶接のままの硬さ分布を示す線図で
ある。従来材ではHB(ブリネル硬さ)で最高375,300
以上の熱影響部の範囲が6.3mm と硬化している。また
母材との境界近くの溶着金属においても、溶接材料と母
材の炭素の稀釈のため硬化している。一方本発明の低炭
素材では最高硬さが333と低く、HB300以上の範
囲も2.2mm と狭いので、溶接継手性能への影響は少な
い。
【0072】図2は拘束割れ試験の結果を示す線図であ
る。従来材では予熱温度が10℃での溶接で断面の11
%の長さの割れが発生しているが、本発明の低炭素材で
は0℃での溶接でも割れは発生しなかった。
【0073】図3は水中疲労試験の結果を示す線図であ
る。従来材に比較して、本発明の低炭素材は約30N/
mm2高い疲労限を示す。本発明材は108回のくり返し応
力に対する疲労強度が291N/mm2 と高い値である。
【0074】図4及び図5は炭素量と機械的性質との関
係を示す線図である。実験室で大気溶解したものであ
り、真空取鍋精錬した材料よりは延性及び靭性の絶対値
が低い。図4に示すように引張強さは炭素量が0.03
% 以下でその含有量が低くなるに従って低下するが、
耐力には大きな変化はない。硬さは炭素量の減少ととも
に低下する。図5に示すように伸び及び吸収エネルギー
は炭素量が0.03% 以下より向上する。絞りは大きな
変化はない。従って炭素量を0.03% 以下にすること
により、耐力を損なわずに、靭性を向上することができ
る。また靭性とある程度の引張強さが必要な場合は炭素
量の下限を0.01% とするとよい。
【0075】表2は真空取鍋精錬を実施した従来材と本
発明材の各種特性を示すものである。本実施例によれば
以下の特性が得られる。
【0076】(1)衝撃特性は約40%、破壊靭性は約6
0%増加するため、信頼性を損なわず、機器を薄肉化
し、効率向上を可能とした。万一応力集中部に割れが発
生した場合でも、破壊靭性値が良好なため、割れの進展
は止まり、修理不可能な状態までの脆性破壊は避けられ
る。
【0077】(2)流体機器では長年の使用により、キャ
ビテーションが発生し、溶接補修が必要となるが、溶接
性を改善できたため、機器の寿命を半永久的とした。
【0078】(3)ステンレス鋼ではクロム炭化物が析出
しやすく、耐食性を低下させるが、炭素を0.03% 以
下に低くすることにより炭化物の生成,粒界への析出が
防止できる。
【0079】本発明鋼は、(Cr/Ni)比が2.7
1,(C/Mo)比が0.03,(20C+Si)にて求
められる値が0,51,(1000C+Cr+35Mo)
にて求められる値が41.86 である。
【0080】
【表2】
【0081】図6は前述の合金組成を有するものを真空
取鍋精錬法によって製造したポンプ水車用のランナの断
面図である。本ランナはベーン1,クラウン2及びシュ
ラウドリング3によって構成される。直径は約5.5m
,総重量約50tである。鋳造,砂落し後、前述した
熱処理を行った。焼ならし後衝風冷却し、焼戻を行い、
焼戻しマルテンサイト組織とした。磁粉,浸透及び超音
波探傷によって検査し、その結果欠陥があった場合は除
去し、共金の被覆アーク溶接棒等によって溶接補修を行
う。本発明における溶接補修は低C材であるため予熱な
しで行うことができた。溶接補修後、焼なましを行っ
た。と同様の熱処理を施し、全焼戻マルテンサイト組織
とした。焼ならしは強制空冷によって行った。鋳込みは
シュラウドリング部4ケ所に堰,湯道を設け行った。
【0082】本実施例におけるランナのベーン1の入口
幅はランナ直径に対し0.11 であり、この幅はランナ
直径に対し0.095〜0.12とするのが好ましい。更
に、ベーン1の出口幅は入口幅の2.1 倍で、1.85
〜2.3倍とするのが好ましい。尚ベーン1の出口幅は
直線の長さで表わしたものである。
【0083】ベーン1の長さはランナ1の直径に対して
ベーンの上部で0.37倍で、0.3〜0.4倍とするのが
好ましく、ベーンの下部で0.21倍で1.8〜2.3倍
とするのが好ましい。
【0084】本実施例における真空取鍋精錬は以下の手
順によって行った。
【0085】図7は本実施例で用いた真空取鍋精錬装置
の断面図である。
【0086】取鍋21は、底部に不活性ガスの吹込み口
20及びスライデングノズルである溶湯注出口33a,
33bを有している。不活性ガス吹込み口は取鍋の側壁
に設けてもよいが、溶湯の撹拌効果を高めるにはやはり
取鍋の底部に設けた方がよい。
【0087】25は不活性ガスを供給する配管である。
【0088】取鍋蓋22は取鍋21の側面でシール機構
(図示なし)によって気密が保たれるとともに、真空排
気手段に接続される配管23が取りつけられている。さ
らに黒鉛製非消耗電極24を通す孔が設けられている。
【0089】取鍋内に大気が混入するのを防ぐために、
黒鉛製電極の上部に金属からなる補助電極6を接続す
る。補助電極の材料としては銅が用いられる。補助電極
は数百度の温度に加熱されるのに水冷構造にする。符号
27は、補助電極を冷却する水の給水管を示し、35は
排水管である。8は溶湯、9はスラグである。
【0090】取鍋蓋上に突出した黒鉛製非消耗電極の周
囲を覆うシール機構は、補助電極26と取鍋蓋22との
間に設けられる。シール機構は、補助電極に固定された
上部筒30と取鍋蓋に固定された下部筒31を有する。
上部筒30は非消耗電極の昇降に伴って移動するように
構成されている。黒鉛電極は多孔質であるので、全体を
金属で覆うことにより全く大気にはさらされず、装置全
体を高い気密性に保つことができる。
【0091】上部筒30は下部筒31の外筒に接して摺
動する部分には、そこから大気が混入したりしないよう
にするためにパッキンを設けてある。
【0092】先ず、大気溶解によって目標成分に近い溶
湯を溶解し、本実施例に示す取鍋にて精錬を行った。
【0093】精錬用取鍋に移したときの溶湯の温度は約
1750℃である。溶湯中に過剰酸素を含ませるため
に、ランスパイプを用いて約2Nm3/t の酸素ガスを
吹き込んだ。次に真空排気を開始し、溶湯の沸騰を約1
5〜20分続ける。この間真空度は1mmHgに達する。
溶湯が鎮静化した後も真空排気を続け、1mmHg以下に
10分間保持した。この時点で溶湯の炭素量は0.00
5%、酸素量は154ppm、窒素量は103ppm まで低
下した。この後、フラックスとしてCaO,CaF,還
元剤としてAl,FeSiを添加した。この後、アーク
加熱により温度調整、及び合金添加により化学成分の調
整を行った。
【0094】精錬終了後の溶湯の成分組成は表1に示す
通りである。
【0095】以上の手順で精錬を行った溶湯を取鍋に入
れたままランナ鋳型の上部にクレーンで吊ってセット
し、溶湯注出口33a,33bより同時に鋳型内に注湯
した。本実施例では真空取鍋精錬装置を2台用いて各々
2個所の溶湯注出口よりシュラウドリング3の上部と下
部外周に互いに直径延長線上より鋳型に注湯した。鋳型
は砂型である。
【0096】図8は本実施例で製造したランナ12を用
いた400〜1000m級高落差ポンプ水車発電機の全
体図である。ランナ12は主軸8によって吊られてお
り、上部軸受4及び主軸受9によって支えられている。
ランナ12の回転によって発電機5が回転され、発電さ
れる。発電機は回転子6及び固定子7によって構成され
る。ランナ12への水はスパイラルケーシングにより導
入され、高落差により高流速で流れる水はランナ12に
入り、回転させる。夜間の電力を使って水をくみ上げる
場合は、発電機5はポンプの動力として使用される。ラ
ンナ12から出た水は排水ダクト18を通して貯水池に
送られる。
【0097】図9は図8における水車ランナ部分の詳細
部分断面図である。図に示すようにランナ12に効率的
に水を送るにはガイドベーン13が設けられる。ガイド
ベーン13は本願実施例ではランナ材に用いた材料と同
じものが用いることができ、前述と同様に取鍋精錬によ
ってシャフト19と一体に製造される。熱処理はランナ
と同じ熱処理が施され、全焼戻マルテンサイト組織とす
る。ガイドベーン13はガイドベーンレバー14,ガイ
ドベーンリンク18及びガイドリング16を通して駆動
される。ケーシング11は鋼板を用いて溶接によって体
に組立てられる。ブッシュ15には無給油軸受材を用い
ることができる。ガイドベーンレバー14は鋳鋼が用い
られる。
【0098】実施例2 表3はNo.10 の5Ni−13Cr鋳鋼母材に肉盛溶接
した本発明で用いる被覆アーク溶着金属と、比較材の化
学組成(重量%)と磁歪振動式試験装置で得られた壊食
量及びビッカース硬さを示す。No.1〜No.7は本発明で
用いる肉盛材で、溶接棒は4φで被覆剤はライム・チタ
ニア型である。溶着金属の成分のうち、C,Si,M
n,Ni及びCrの一部は溶接棒芯棒から添加し、他は
被覆剤より添加した。No.8〜No.10は比較材で、No.
8とNo.9が棒径4φの市販溶接材料D−308とD−
309Mo、No.10 が現用の水車ランナ材として用い
られている5Ni−13Cr鋳鋼である。なお、肉盛溶
接は予熱及び層間温度を150℃、溶接電流140〜1
50A,電圧23V,溶着速度約1kg/hで3層盛(肉
盛層;約10mm)した。なお、壊食試験及び硬さ試験は
肉盛表面層を2mm切削した面で行った。
【0099】
【表3】
【0100】表3より、本発明で用いる肉盛材は、従来
より補修溶接材料として用いられている比較材(No.8
とNo.9)に比べ、硬さが高く、かつ、壊食量も少なく
なっている。すなわち、耐壊食性は比較材(No.8とNo.
9)の約7〜10倍と向上している。また、表1より、
本発明における耐壊食性強化を図るための代表鋼種(5
Ni−13Cr鋳鋼;比較材No.10)と比べても、約
6〜10倍の耐壊食性を有している。
【0101】表4は本発明鋼の組成に関する各種式によ
って求められる数値を示すものである。
【0102】
【表4】
【0103】なお、本発明で用いる肉盛材及び比較材と
も、試験前後の肉盛表面層には溶接割れ等の異常は認め
られなかった。なお、この傾向はTIG溶接棒及び粉体
による肉盛層も同じ傾向を示した。
【0104】表5に、壊食試験前後の表面硬さにより求
めた加工硬化指数(試験後の硬さ/試験前の硬さ)を示
す。本発明で用いる肉盛材は比較材に比べ、大きな加工
硬化指数を有している。
【0105】
【表5】
【0106】図10は、本発明による溶接肉盛層が適用
される流体機器、特に、フランシス水車の断面図を示
す。水車の主要部は動翼であるランナから構成され、ラ
ンナ本体はクラウン2,シュラウドリング3との間に複
数のベーン1が形成され、ベーン1に流水を導くランナ
コーン104を有している。ベーン1の外側にはガイド
ベーン13とステーベーン106とが設けられ、ランナ
にはランナライナ107及びガイドベーン13にはシー
トライナ108が付設されている。
【0107】図11は図10に示したベーン1の流水部
への施工断面を示す。このベーン1は溶解・鋳造によっ
て得られた表3に示すNo.10 のマルテンサイトステン
レス鋼の5Ni−13Cr鋳鋼9によって構成されてい
る。この羽根表面の流水面で損傷を受ける部分に、オー
ステナイト組織を持ち、特に、重量で、C:0.10〜
0.30% ,Si:1%以下,Mn:2%以下,Cr:
16.00〜23.00%,Ni:1.00〜8.00%,
Co:2.00〜9.00%,Mo:0.50〜5.00%
及びN:0.05〜0.20%を含み、残部がFe及び
同伴する不純物からなる溶接肉盛層10を被覆アーク溶
接により形成させるものであるが、特にNo.4 の組成に
ついて前述と同様の厚さで、流水の反作用面側に肉盛溶
接層を形成させた。
【0108】なお、本発明の組成を有する肉盛層は被覆
アーク溶接棒による方法のほか、TIG溶接法並びに粉
体溶接法等の表面処理技術で形成されても、同じような
優れた特性が得られているため、いろいろな表面処理に
よる形成が可能である。なお、図11は母材表面へ直接
肉盛層を形成させた場合を示したが、条件により母材と
肉盛層の間に中間層を設けても良い。
【0109】実施例3 図12は本発明による合金粉体を用いてベーン1の出口
側反作用面に肉盛層を形成させた施工位置と断面の概要
図及び図13に図12のA−A断面図を示す。このベー
ン1の母材109は、実施例1による溶解・鋳造によっ
て得られる残留オーステナイト相を含む表1に示す低C
材のマルテンサイト系ステンレス鋼の5Ni−13Cr
鋳鋼によって構成されている。この羽根の流水面である
出口側反作用面に図13に示した領域(約600mm×6
50mmの面積)に、表3のNo.3に示した合金組成鋼を
アトマイズ法によって粒径100〜150μmの範囲に
製作した粉体、すなわち、重量で、C:0.29%,S
i:0.31%,Mn:1.25%,Ni:2.25%,C
r:22.44%,Co:6.12%及びMo:0.51
%を含み、残部がFe及び同伴する不純物から成る粉体
による溶接肉盛層10をプラズマ溶接により1層(3m
m)の肉盛層を形成した。溶接後、肉盛層表面を約1mm
切削除去する平滑仕上げ加工を行った。なお、本溶接は
母材の予熱温度を常温(50℃以下)とし、溶接後は5
70〜590で後熱処理を施した。
【0110】この水車を実際に運転したところ、本発明
による肉盛層は優れた耐キャビテーション・エロージョ
ン(耐壊食性)を有し、従来材に比べ、その補修期間等
の延長が図れ、経済的にも効果的であることが知られ
た。
【0111】ここで、本発明の粉体プラズマ肉盛溶接法
による羽根への溶接肉盛層の形成工程について説明す
る。
【0112】図14は本発明による合金粉体を供し、羽
根流水面に肉盛溶接層を形成するのに用いた粉体プラズ
マ溶接装置の概要断面図を示す。この装置は粉体供給装
置より合金粉体111を挿入し、溶融させその肉盛層1
00を母材109表面に積層するものである。すなわ
ち、溶接施工開始時にプラズマガス(Ar)112を流
し、電極113と母材109との間に電流を流し、パイ
ロットアークを発生させる。次いで、シールドガス(A
r)116を流し、電極113と母材109との間に電
圧を付加してプラズマアーク114を発生させ、そのア
ーク中にキャリアガス115により粉体供給装置からの
合金粉体111供給し、そのプラズマ熱にて合金粉体1
11を母材9表面に溶融・溶着し肉盛層100を形成し
た。なお、羽根出口側反作用面への溶接条件はアーク電
流;220〜240A,アーク電圧;30〜35V,ト
ーチウィビング幅;15mm(回数15〜16サイクル/
min),Arガス送給量(l/min );,プラズマが3,
キャリアが5,シールが15とした。
【0113】本実施例においても実施例1と同様の優れ
た母材特性を有するとともに、優れた耐壊食特性が得ら
れることは明らかである。
【0114】
【発明の効果】本発明によれば、400m以上、好まし
くは500m以上の超高落差を有する揚水発電に好適
で、ランナ,ガイドベーンに高強度高靭性で、予熱なし
で溶接できる等高い品質の製品を提供できる優れた効果
が得られる。
【0115】本発明は河川水や海水等を流体に使用する
機器において、特にキャビテーションによる壊食を受け
る含Ni13Cr鋼製部材表面部分を、予めその領域
に、あるいは損傷後の領域に、重量%でC:0.10〜
0.30%,Si:1%以下,Mn:2%以下,Cr:
16.00〜23.00%,Ni:1.00〜8.00%,
Co:2.00〜9.00%で、かつNi+Co:6.0
0〜12.00%あるいはさらにMo:0.50〜5.0
0%,N:0.05〜0.20%,V:0.50% 以下,
Ti:0.50%以下,Nb:0.50%以下,W:0.
50% 以下の少なくとも1種を含み、オーステナイト
組織とする溶接棒や粉体等の溶接材料を用いる溶接法に
よって、特に肉盛層厚さ3〜20mmの範囲で形成させれ
ば、部材の損傷性が強化される。従って、部材のキャビ
テーションによる壊食損傷が軽減され、部品の寿命及び
作業効率の向上並びに部品交換周期等の延長が図れ、コ
スト低減等にも大いに効果が発揮されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】硬さと溶接位置との関係を示す線図。
【図2】溶接割れ率を予熱温度との関係を示す線図。
【図3】応力振幅と破断繰返し数との関係を示す線図。
【図4】引張強さ,耐力,硬さとC量との関係を示す線
図。
【図5】絞り,伸び,吸収エネルギーとC量との関係を
示す線図。
【図6】ポンプ水車用ランナの断面図。
【図7】真空取鍋精錬装置の断面図。
【図8】ポンプ水車発電プラントの構成図。
【図9】ポンプ水車発電におけるランナ部の断面詳細
図。
【図10】本発明による溶接肉盛層が適用されるフラン
シス水車の断面図。
【図11】羽根表面流水部への施工を説明する断面図。
【図12】本発明による溶接肉盛層が設けられた水車ラ
ンナの平面図。
【図13】図12のA−A断面図。
【図14】プラズマ溶接による肉盛層形成のための溶接
トーチ断面図。
【符号の説明】
1…ベーン、2…クラウン、3…シュラウドリング、4
…上部軸受、5…発電機、6…回転子、7…固定子、8
…主軸、9…主軸受、10…主軸封水装置、11…ケー
シング、12…ランナ、13…ガイドベーン、100…
溶接肉盛層、104…ランナコーン、106…ステーベ
ーン、107…ランナライナ、108…シートライナ、
109…母材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉川 次雄 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 宇佐美 賢一 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 高安 博 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 小沼 勉 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 苅田 誠 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量で、C0.008〜0.03%,Si
    1.0%以下,Mn2.0%以下,Cr10.0〜14.0
    %,Ni4.0〜7.0%及びMo0.2〜2.0%を含有
    し、(Cr/Ni)比が2.0〜3.0又は(C/Mo)
    比が0.015〜0.1であることを特徴とする高靭性1
    3Cr5Ni系ステンレス鋼。
  2. 【請求項2】重量で、C0.008〜0.03%,Si
    1.0%以下,Mn2.0%以下,Cr10.0〜14.0
    %,Ni4.0〜7.0%及びMo0.2〜0.5%を含有
    し、Moは(1)式によって求められる値以下及び
    (2)式によって求められる値以上であることを特徴と
    する高靭性13Cr5Ni系ステンレス鋼。 (1)0.54−4×C(重量%) (2)0.32−4×C(重量%)
  3. 【請求項3】重量で、C0.008〜0.03%,Si
    1.0%以下,Mn2.0%以下,Cr10.0〜14.0
    %,Ni4.0〜7.0%及びMo0.2〜2.0%を含有
    し、次式によって求められる値が1.1以下であること
    を特徴とする高靭性13Cr5Ni系ステンレス鋼。 〔20×C(重量%)+Si(重量%)〕
  4. 【請求項4】重量で、C0.008〜0.03%,Si
    1.0%以下,Mn2.0%以下,Cr10.0〜14.0
    %,Ni4.0〜7.0%及びMo0.2〜2.0%を含有
    し、次式によって求められる値が28〜104であるこ
    とを特徴とする高靭性13Cr5Ni系ステンレス鋼。 1000×C(重量%)+Cr(重量%)+35×Mo
    (重量%)
  5. 【請求項5】室温での耐力が600N/mm2以上又は引
    張強さが650N/mm2以上,伸び率20%以上,絞り
    率50%以上;0℃での2mmUノッチ衝撃値が100J
    以上及び破壊靭性が6000MPa/mm3/2 以上である
    全焼戻マルテンサイト組織を有することを特徴とするス
    テンレス鋳鋼。
  6. 【請求項6】請求項1に記載のステンレス鋼よりなる鋳
    鋼品,鍛造品又は圧延材のいずれかである高靭性13C
    r5Ni系ステンレス鋼。
  7. 【請求項7】請求項1に記載のステンレス鋼よりなる鋳
    物によって構成される水車用ランナ。
  8. 【請求項8】請求項7に記載の鋳物よりなり、ベーン
    と、その上部に設けられたクラウンと、前記ベーンの下
    部に設けられたシュラウドリングとを備えたことを特徴
    とするポンプ水車用ランナ。
  9. 【請求項9】重量で、C0.008〜0.03%,Si
    1.0%以下,Mn2.0%以下,Cr10.0〜14.0
    %,Ni4.0〜7.0%及びMo0.2〜2.0%を含有
    するステンレス鋼の溶湯を大気中溶解後、該溶湯を真空
    取鍋精錬炉に注湯し、該精錬炉にて所望時間減圧にて保
    持し前記溶湯の沸騰現象が鎮静化した後、炉底部より予
    めセットされた鋳型内に注湯することを特徴とする13
    Cr5Ni系ステンレス鋼部材の製造方法。
  10. 【請求項10】前記鋳型内の製品が水車用鋳鋼品であ
    り、鋳型の複数個所より前記溶湯を注湯する請求項9に
    記載の水車用鋳鋼品の製造法。
  11. 【請求項11】前記鋳鋼品は水車用ランナである請求項
    10記載の製造法。
  12. 【請求項12】高落差の導水管を通って運ばれる流水に
    よって回転するランナを有する水車と前記ランナの回転
    によって回る回転電機とを備えたポンプ水車発電プラン
    トにおいて、前記落差が400m以上及び前記ランナの
    直径が5m以上であることを特徴とする超高落差ポンプ
    水車発電プラント。
  13. 【請求項13】前記落差が400〜600mで、前記ラ
    ンナが室温での耐力500N/mm2 以上又は引張強さが
    650N/mm2 以上,伸び率16%以上及び絞り率45
    %以上;0℃での2mmUノッチ衝撃値100J以上,破
    壊靭性6000N/mm3/2 以上である請求項12に記載
    の超高落差ポンプ水車発電プラント。
  14. 【請求項14】前記落差が600mを越え800m以下
    で、前記ランナが室温での耐力530N/mm2 以上又は引
    張強さが700N/mm2 以上,伸び率16%以上及び絞
    り率50%以上;0℃での2mmUノッチ衝撃値100J
    以上及び破壊靭性6000N/mm3/2 以上である請求項
    12に記載の超高落差ポンプ水車発電プラント。
  15. 【請求項15】前記落差が800mを越え、1000m
    以下で、前記ランナの室温での耐力560N/mm2 以上
    又は引張強さが750N/mm2 以上,伸び率20%以上
    及び絞り率50%以上;0℃での2mmUノッチ衝撃値1
    00J以上及び破壊靭性6000MPa/mm3/2 以上である
    請求項12に記載の超高落差ポンプ水車発電プラント。
  16. 【請求項16】前記水車は前記ランナによって前記導水
    管を通して水を汲み上げるポンプであり、前記回転電機
    による回転によって前記ランナを回転する請求項10に
    記載の超高落差揚水発電プラント。
  17. 【請求項17】液体中で高速回転又は高速流の液体中で
    キャビテーションによる壊食を受ける流体機器におい
    て、該機器は重量でC:0.008〜0.06%,Ni:
    7.0%以下及びCr:10〜14%を含む13Crマ
    ルテンサイト系ステンレス鋼からなり、該機器部材の表
    面部分に、重量で、C:0.10〜0.30%,Si:1
    %以下,Mn:2%以下,Cr:16.00〜23.00
    %,Ni:1.00〜8.00%,Co:2.00〜9.00
    %で、かつNi+Coを6.00〜12.00%を含有
    し、前記Ni量を〔10−40×C(重量%)〕より求
    められる値以上とするオーステナイト鋼の溶接肉盛層を
    形成させたことを特徴とする流体機器。
  18. 【請求項18】前記溶接肉盛層は、Mo:0.50〜5.
    00%,N:0.05〜0.20%の少なくとも1種を含
    むことを特徴とする請求項1記載の流体機器。
  19. 【請求項19】前記溶接肉盛層は、V:0.50%以
    下,Ti:0.50%以下 ,Nb:0.50%以下,W:
    0.50%以下の少なくとも1種を含み、その合計量が
    0.10〜0.50% であることを特徴とする請求項1
    記載の流体機器。
  20. 【請求項20】前記溶接肉盛層は、粉体及び棒状の材料
    を用いる溶接法により形成されていることを特徴とする
    請求項1記載の流体機器。
  21. 【請求項21】液体中で高速回転又は高速流の液体中で
    キャビテーションによる壊食を受ける流体機器におい
    て、該機器は重量で、C0.008〜0.03%,Si
    1.0% 以下,Mn2.0% 以下,Cr10.0〜14.
    0%,Ni4.0〜7.0%及びMo0.2〜2.0%を含
    有し、(Cr/Ni)比が2.0〜3.0又は(C/M
    o)比が0.015〜0.1である高靭性13Cr5Ni
    系ステンレス鋼からなり、該機器部材の表面部分に、重
    量で、C:0.10〜0.30%,Si:1%以下,M
    n:2%以下,Cr:16.00〜23.00%,Ni:
    1.00〜8.00%,Co:2.00〜9.00%で、か
    つNi+Coを6.00〜12.00%含有するオーステ
    ナイト鋼の溶接肉盛層を形成させたことを特徴とする流
    体機器。
  22. 【請求項22】液体中で高速回転又は高速流の液体中で
    キャビテーションによる壊食を受ける流体機器におい
    て、該機器は重量で、C0.008〜0.03%,Si
    1.0% 以下,Mn2.0%以下 ,Cr10.0〜14.
    0%,Ni4.0〜7.0%及びMo0.2〜0.5%を含
    有し、Moは式:0.54−4×C(重量%)によって求
    められる値以下及び式:0.32−4×C(重量%)によ
    って求められる値以上である高靭性13Cr5Ni系ス
    テンレス鋼からなり、該機器部材の表面部分に、重量
    で、C:0.10〜0.30%,Si:1%以下,Mn:
    2%以下,Cr:16.00〜23.00% ,Ni:
    1.00〜8.00%,Co:2.00〜9.00%で、か
    つNi+Coを6.00〜12.00%を含有するオース
    テナイト鋼の溶接肉盛層を形成させたことを特徴とする
    流体機器。
  23. 【請求項23】液体中で高速回転又は高速流の液体中で
    キャビテーションによる壊食を受ける流体機器におい
    て、該機器は重量で、C0.008〜0.03%,Si
    1.0% 以下,Mn2.0%以下 ,Cr10.0〜14.
    0%,Ni4.0〜7.0%及びMo0.2〜2.0%を含
    有し、〔20×C(重量%)+Si(重量%)〕によっ
    て求められる値が1.1 以下である高靭性13Cr5N
    i系ステンレス鋼からなり、該機器部材の表面部分に、
    重量で、C:0.10〜0.30%,Si:1%以下,M
    n:2%以下,Cr:16.00〜23.00%,Ni:
    1.00〜8.00%,Co:2.00〜9.00%で、か
    つNi+Coを6.00〜12.00%を含有するオース
    テナイト鋼の溶接肉盛層を形成させたことを特徴とする
    流体機器。
  24. 【請求項24】液体中で高速回転又は高速流の液体中で
    キャビテーションによる壊食を受ける流体機器におい
    て、該機器は重量で、C0.008〜0.03%,Si
    1.0% 以下,Mn2.0%以下 ,Cr10.0〜14.
    0%,Ni4.0〜7.0%及びMo0.2〜2.0%を含
    有し、式:〔1000×C(重量%)+Cr(重量%)+3
    5×Mo(重量%)〕によって求められる値が28〜1
    04である高靭性13Cr5Ni 系ステンレス鋼からなり、該
    機器部材の表面部分に、重量で、C:0.10〜0.30
    %,Si:1%以下,Mn:2%以下,Cr:16.0
    0〜23.00%,Ni:1.00〜8.00%,Co:
    2.00〜9.00%で、かつNi+Coを6.00〜1
    2.00% を含有するオーステナイト鋼の溶接肉盛層を
    形成させたことを特徴とする流体機器。
  25. 【請求項25】高落差の導水管を通って運ばれる流水に
    よって回転するランナを有する水車と前記ランナの回転
    によって回る回転電機とを備えたポンプ水車発電プラン
    トにおいて、前記落差が400m以上及び前記ランナの
    直径が5m以上であり、前記ランナは、重量で、C0.
    008〜0.03%,Si1.0%以下,Mn2.0%以
    下,Cr10.0〜14.0%,Ni4.0〜7.0%及び
    Mo0.2〜2.0%を含有するステンレス鋳鋼よりな
    り、前記ランナの壊食を受ける部材の表面部分に、重量
    で、C:0.10〜0.30%,Si:1%以下,Mn:
    2%以下,Cr:16.00〜23.00%,Ni:1.
    00〜8.00%,Co:2.00〜9.00%で、かつ
    Ni+Coを6.00〜12.00%を含有するオーステ
    ナイト鋼の溶接肉盛層が形成されていることを特徴とす
    る超高落差ポンプ水車発電プラント。
  26. 【請求項26】前記落差が400〜600mで、前記ラ
    ンナが室温での耐力500N/mm2 以上又は引張強さが
    650N/mm2 以上,伸び率16%以上及び絞り率45
    %以上;0℃での2mmUノッチ衝撃値100J以上,破
    壊靭性6000N/mm3/2 以上である請求項25に記載
    の超高落差ポンプ水車発電プラント。
  27. 【請求項27】前記落差が600mを越え800m以下
    で、前記ランナが室温での耐力530N/mm2 以上又は引
    張強さが700N/mm2 以上,伸び率16%以上及び絞
    り率50%以上;0℃での2mmUノッチ衝撃値100J
    以上及び破壊靭性6000N/mm3/2 以上である請求項
    25に記載の超高落差ポンプ水車発電プラント。
  28. 【請求項28】前記落差が800mを越え、1000m
    以下で、前記ランナの室温での耐力560N/mm2 以上
    又は引張強さが750N/mm2 以上,伸び率20%以上
    及び絞り率50%以上;0℃での2mmUノッチ衝撃値1
    00J以上及び破壊靭性6000MPa/mm3/2 以上である
    請求項25に記載の超高落差ポンプ水車発電プラント。
  29. 【請求項29】前記水車は前記ランナによって前記導水
    管を通して水を汲み上げるポンプであり、前記回転電機
    による回転によって前記ランナを回転する請求項25に
    記載の超高落差揚水発電プラント。
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CN104928597A (zh) * 2015-06-08 2015-09-23 广西雅力耐磨材料有限公司 一种低镍铬不锈钢及其制造方法与应用

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