JPH0878748A - 薄膜圧電体素子およびそれを用いたインクジェット記録ヘッド - Google Patents

薄膜圧電体素子およびそれを用いたインクジェット記録ヘッド

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JPH0878748A
JPH0878748A JP16975095A JP16975095A JPH0878748A JP H0878748 A JPH0878748 A JP H0878748A JP 16975095 A JP16975095 A JP 16975095A JP 16975095 A JP16975095 A JP 16975095A JP H0878748 A JPH0878748 A JP H0878748A
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Katsuto Shimada
田 勝 人 島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な特性の薄膜圧電体素子およびその製造
法の提供。 【解決手段】 多結晶体よりなる圧電体膜と、該圧電体
膜を挟む二つの電極とを含んでなる、薄膜圧電体素子で
あって、前記圧電体膜の多結晶体の結晶粒径が0.4μ
m以上であり、かつ前記圧電体膜の膜厚以下であるもの
である。また、その製造法は、電極上に圧電体の前駆体
膜を形成する工程と、前駆体膜が形成された前記電極
を、酸素を含む雰囲気中で500〜700℃の温度で加
熱し、前記前駆体膜を結晶化して多結晶体よりなる圧電
体膜とする第1加熱工程と、そして圧電体膜が形成され
た前記電極を、酸素を含む雰囲気中で750〜1200
℃の温度で加熱し、前記圧電体膜の表面から観察される
多結晶体の結晶粒径を0.4μm以上とする第2加熱工
程とを含んでなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の背景】発明の分野 本発明は、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換
し、またはその逆を行う薄膜型の圧電体素子に関し、さ
らに詳しくはアクチュエータ、圧力センサ、温度セン
サ、インクジェット記録用ヘッドなどに用いられる薄膜
型の圧電体素子に関する。
【0002】背景技術 薄膜圧電体膜の組成は、一般に、チタン酸ジルコン酸鉛
(PZT)を主成分とする二成分系またはPZTに第三
成分を加えた三成分系とされている。
【0003】しかしながら、薄膜圧電体膜においてその
結晶粒径に着目し、その粒径を本願発明のような範囲に
制御した例を本発明者等は知らない。
【0004】例えば、Applied Physics Letters, 1991,
Vol.58, No. 11, 1161-1163には二成分系PZTを用い
た強誘電体が開示されている。しかしながら、この報告
はこの強誘電体の特性を詳細に開示はしているが、圧電
体としての特性の評価は行っていない。
【0005】また、特開平6−40035号公報は圧電
体を開示してはいるが、その圧電体膜の結晶粒径につい
ての記述はない。
【0006】さらに、Journal of The American Cerami
c Society, 1973, Vol.56, No.2, 91-96 もまた圧電体
膜を開示している。しかし、この圧電体膜の走査型電子
顕微鏡で観察される結晶粒径は、1.7〜7μm程度と
されている。
【0007】
【発明の概要】本発明者等は、今般、薄膜圧電体膜の結
晶粒径がその特性に大きく関連するとの知見を得た。さ
らに、その結晶粒径を実現する好適な製造法を確立し
た。
【0008】従って、本発明は良好な特性の薄膜圧電体
素子およびその製造法の提供をその目的としている。
【0009】そして、本発明による薄膜圧電体素子は多
結晶体よりなる圧電体膜と、該圧電体膜を挟む二つの電
極とを含んでなる、薄膜圧電体素子であって、前記圧電
体膜の多結晶体の結晶粒径が0.4μm以上であり、か
つ前記圧電体膜の膜厚以下であるもの、である。
【0010】さらに本発明による薄膜圧電体素子の製造
法は、電極上に圧電体の前駆体膜を形成する工程と、前
駆体膜が形成された前記電極を、酸素を含む雰囲気中で
500〜700℃の温度で加熱し、前記前駆体膜を結晶
化して多結晶体よりなる圧電体膜とする第1加熱工程
と、そして圧電体膜が形成された前記電極を、酸素を含
む雰囲気中で750〜1200℃の温度で加熱し、前記
圧電体膜の表面から観察される多結晶体の結晶粒子を
0.4μm以上とする第2加熱工程とを含んでなるも
の、である。
【0011】
【発明の具体的説明】薄膜圧電体素子 本発明による薄膜圧電体素子は、多結晶体よりなる圧電
体膜と、この圧電体膜を挟む二つの電極とから基本的に
なるものである。そして、圧電体膜の多結晶体の結晶粒
径が0.4μm以上であり、かつこの結晶粒径が圧電体
膜の膜厚以下とされてなるものである。
【0012】ここで、圧電体膜の結晶粒径は圧電体膜内
部において観察される結晶粒径であってもよいが、結晶
粒径は圧電体膜の表面から観察するのが簡便である。本
発明の好ましい態様によれば、圧電体膜の結晶粒子同士
は強く結合していることから、圧電体膜の断面に結晶の
輪郭が適切に現れないことがあるからである。
【0013】多結晶体の結晶粒径が0.4μm以上であ
り、かつこの結晶粒径が圧電体膜の膜厚以下とされるこ
とで、良好な特性の圧電体素子が得られる。圧電体素子
の変位量は次の式で表現できるとされている。 変位量=a×d31×V=a×ε33×g31×V (ここで、aは比例定数、d31は圧電定数、ε33は
比誘電率、g31は電圧出力係数、そしてVは印加電圧
を表す) 上記式において、結晶粒径が0.4μm以上であること
で圧電定数d31が大きくなることが確認された。その
理由としては、結晶粒径が上記値を超えることで、比誘
電率ε33が大きくなるものと考えられる。本発明の好
ましい態様によれば、本発明による薄膜圧電体素子は8
0pC/N以上の圧電定数d31を示し、より好ましく
は150pC/N以上を示す。
【0014】さらに、圧電体膜の結晶粒子同士が強く結
合し、緻密化することで比誘電率ε33または電圧出力
係数g31を大きくすることができる。結果として変位
量を得ることができるので有利である。
【0015】本発明の好ましい態様によれば、本発明に
よる薄膜圧電体素子における圧電体の膜厚は1μm〜5
μm程度である。
【0016】本発明による薄膜圧電体素子は、いわゆる
二成分系とよばれるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を
主成分とするのが好ましい。好ましい具体例としては、
下記の式で表わされる組成を有するものが挙げられる。
【0017】Pb(ZrX Ti1-X )O3 +YPbO (ここで、0.40≦X≦0.6、0≦Y≦0.3であ
る)
【0018】また、本発明による薄膜圧電体素子は、い
わゆる三成分系とよばれる、上記PZTに第三成分(例
えば、マグネシウムニオブ酸鉛)が更に加えられたもの
であってもよい。三成分系の好ましい具体例としては、
下記の式で表わされるものが挙げられる。
【0019】PbTia Zrb (Ag h c 3 +e
PbO+(fMgO)n (ここで、Aは、Mg、Co、Zn、Cd、Mn、およ
びNiからなる群から選択される2価の金属またはS
b、Y、Fe、Sc、Yb、Lu、In、およびCrか
らなる群から選択される3価の金属を表し、Bは、N
b、Ta、およびSbからなる群から選択される5価の
金属またはWおよびTeからなる群から選択される6価
の金属を表し、また a+b+c=1、 0.35≦a≦0.55、 0.25≦b≦0.55、 0.1≦c≦0.4、 0≦e≦0.3、 0≦f≦0.15c、 g=h=1/2、そしてn=0であるが、但し、Aが3
価の金属を表し、かつBが6価の金属を表すことはな
く、またAが2価の金属を表し、かつBが5価の金属を
表す場合、gは1/3を表し、hは2/3を表し、また
AがMgを表し、BがNbを表す場合に限り、nは1を
表す。)
【0020】三成分系のより好ましい具体例としては、
AがMgを表し、BがNbを表し、gが1/3を表し、
そしてhが2/3を表すものが挙げられる。
【0021】上記の組成において、PbOが上記範囲に
あることが、結晶粒径を大きくし、圧電体膜を緻密化す
る観点から好ましい。さらに、AがMgを表し、BがN
bを表すとき、MgOが上記範囲にあることで、熱処理
中のPbOの蒸発を防ぎ、またSi基板との反応を抑制
する。さらに、MgOの存在は圧電特性を向上させるペ
ロブスカイト相を安定化する。
【0022】さらに、これら二成分系および三成分系の
いずれにあっても、その圧電特性改善するために、微量
のBa、Sr、La、Nd、Nb、Ta、Sb、Bi、
W、Mo、Ca、などが添加されてもよい。とりわけ、
三成分系にあっては0.10モル%以下のSr、Baの
添加が圧電特性の改善にとり好ましい。また、三成分系
にあっては0.10モル%以下のMn、Niの添加がそ
の焼結性を改善するので好ましい。
【0023】具体的な薄膜圧電体素子の構造を図面を用
いて説明する。図1において、薄膜圧電体素子はシリコ
ン(Si)基板101と、Si熱酸化膜102と、下電
極(例えば、Ptからなる)103と、圧電体膜104
と、上電極105(例えば、Auからなる)とから構成
される。また、本発明の好ましい態様によれば、圧電体
膜104と、下電極103および上電極105との間
に、例えばTiからなる密着層106が設けられてよ
い。圧電体膜の膜厚は、好ましくは0.5〜25μm程
度であり、より好ましくは1〜5μm程度である。さら
に他の膜または層の厚さは適宜決定されてよいが、例え
ばSi基板は10〜1000μm程度、Si熱酸化膜は
0.05〜3μm程度、上電極および下電極は0.05
〜2μm程度が好ましい。
【0024】薄膜圧電体素子の製造 本発明による薄膜圧電体素子は、結晶粒径が0.4μm
以上とされた以外は、慣用されている種々の薄膜作製手
法を利用して製造されてよい。
【0025】好ましい薄膜作製の手法としてはスパッタ
リングが挙げられる。すなわち、特定成分のPZT焼結
体をスパッタリングのターゲットとして用い、電極膜上
にスパッタリングによりアモルファス状の圧電体膜前駆
体膜を形成する。
【0026】次のこのアモルファス状の前駆体を加熱し
結晶化し、焼結させる。この加熱は酸素雰囲気中(例え
ば、酸素中、または酸素とアルゴンなどの不活性ガスと
の混合ガス中)において、2段階に分けて行われるのが
好ましい。すなわち、第1の加熱工程においては、アモ
ルファス状の前駆体を結晶化させる。そして、第2の加
熱工程おいては、生じた結晶粒を成長させ、さらに結晶
粒同士の焼結を促進させる。具体的には、第1加熱工程
は酸素雰囲気中で前駆体膜を好ましくは500〜700
℃の温度で加熱する。加熱によって前駆体膜を結晶化さ
せる。この第1加熱工程は、前駆体膜が均質に結晶化し
た時点で終了されてよい。続いて、第2加熱工程は、結
晶化した膜を750〜1200℃で加熱する。この加熱
は結晶粒径が少なくとも0.4μm以上となるまで実施
される。より好ましくは結晶粒子同士が緻密に結合する
まで実施される。
【0027】第1加熱工程と第2加熱工程とは、連続し
て行われてもよく、また第1加熱工程の後、膜を室温ま
で冷却した後、第2加熱工程が行われてもよい。
【0028】上記第1および第2の加熱工程は、その結
晶化および結晶粒を成長させ得る限り種々の加熱炉を利
用することができるが、昇温速度の大きな加熱炉を利用
するのが好ましい。例えば、ランプアニール炉の利用が
好ましい。好ましい昇温速度としては、第1および第2
の加熱工程いずれにおいても、50℃/秒以上であり、
より好ましくは100℃/秒以上である。
【0029】以上のように形成された電極上の圧電体膜
の上にさらに電極を設け、薄膜圧電体素子とする。
【0030】薄膜圧電体素子を用いたインクジェット記
録ヘッド 本発明による薄膜圧電体素子は、その良好な特性を利用
して、種々の用途に用いられてよい。
【0031】例えば、インクジェット記録ヘッドの振動
子として利用することができる。本発明による薄膜圧電
体素子を利用することで、大きな圧力でインクを吐出さ
せることができ、また高い周波数によって駆動が行える
との利点がある。
【0032】本発明による薄膜圧電体素子を利用した記
録ヘッドの好ましい具体例は図2に示されるとおりであ
る。図2(a)は記録ヘッドの上面図であり、図2
(b)は図2(a)のA−A’の断面図である。この記
録ヘッドは、キャビティー203が形成された単結晶S
i基板201からなるチップと、インク流路204およ
びインクだめ205とが形成されたガラス基板202と
が接合されて構成されている。単結晶Si基板201に
は、Si熱酸化膜206と、下電極207と、圧電体膜
208と、上電極209とが形成されてなる。
【0033】インクはインクだめ205に保持され、イ
ンク流路204を通じてキャビティー203に供給され
る。ここで、圧電体膜208に下電極207と上電極2
09とを通じて電圧が印加されると、キャビティー20
3を変形させ、インクに圧力を加える。この圧力によっ
てインクがノズル210より吐出され、インクジェット
記録が行える。さらに、他の好ましいインクジェット記
録ヘッドを図3に示す。この態様では、キャビティー2
03の部分の単結晶Si基板201が一部薄肉部301
として残されている。
【0034】
【実施例】本発明を以下の実施例によって詳細に説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0035】実施例1 厚さ400μm、直径3インチのSi基板を硫酸で洗浄
した後、1000℃で、4時間、水蒸気を含む酸素雰囲
気中で加熱して湿式酸化を行い、1μmの厚さの熱酸化
膜を形成した。次に直流マグネトロンスパッタ法によっ
て、膜厚200オングストロームのTi膜と、膜厚20
00オングストロームのPt膜とを連続して形成した。
さらに、スパッタリングターゲットとして組成の制御さ
れたPZTの焼結体を用い、RFマグネトロンスパッタ
リング法によって、Pt膜上に膜厚3μmの圧電体膜前
駆体膜を形成した。この前駆体膜はアモルファス状態で
あった。
【0036】前駆体膜を形成されたSi基板を拡散炉中
で加熱して、前駆体膜を結晶化し、焼結させて圧電体膜
とした。その際の温度条件は、第1加熱工程として酸素
雰囲気中550℃で結晶粒が発生するまで加熱し、さら
にその後第2加熱工程として酸素雰囲気中750℃で結
晶粒径を成長させ、焼結を行った。その際、第2加熱工
程の時間を調整し、結果として結晶粒径の大きさを制御
した。
【0037】圧電体膜の上にさらに、直流マグネトロン
スパッタ法によって、膜厚200オングストロームのT
i膜と、膜厚2000オングストロームのAu膜とを連
続して形成し、薄膜圧電体素子とした。
【0038】なお、得られた圧電体膜の組成は、Pb
(ZrX Ti1-X )O3 +YPbOにおいて、X=0.
52、Y=0.05であった。また、走査型電子顕微鏡
で観察した圧電体膜の表面から観察される結晶粒径は次
の第1表に記載の通りであった。圧電体膜を割って、そ
の断面についても走査型電子顕微鏡で観察したが、結晶
粒が観察されないほど緻密化していた。
【0039】得られた薄膜圧電体素子に分極処理を施し
た。すなわち、Pt膜およびAu膜間に60Vの電圧を
30分間印加した。その後、圧電定数d31を測定し
た。その値は次の第1表に示されるとおりであった。
【0040】第 1 表 試料番号 結晶粒径( μm) d31(pC/N) 1 0.02 18 2 0.33 25 3 0.45 854 0.60 95
【0041】実施例2 実施例1とほぼ同様にして、薄膜圧電体素子を製造し
た。但し、圧電体膜の組成はPb(ZrX Ti1-X )O
3 +YPbOにおいてXおよびYを次の第2表に記載の
ように変化させた。また、第1加熱工程として550℃
で結晶粒が発生するまで加熱し、さらにその後第2加熱
工程として800℃で結晶粒径を成長させ、焼結を行っ
た。その際、第2加熱工程の時間を調整し、圧電体膜の
表面から観察される結晶粒径が0.4〜1μmの範囲と
なるようにした。
【0042】得られた薄膜圧電体素子を実施例1と同様
に分極処理し、その後、圧電定数d31を測定した。そ
の値は次の第2表に示される通りであった。
【0043】
【表1】
【0044】表中、試料番号2および11は、第2加熱
工程中に圧電体膜の剥離が生じてしまった。
【0045】実施例3 実施例1とほぼ同様にして、薄膜圧電体素子を製造し
た。但し、圧電体膜の組成はPbTia Zrb (Mg
1/3 Nb2/3 c 3 +ePbO+fMgOにおいて
a、b、c、e、およびfを次の第3表に記載のように
変化させた。また、第1加熱工程として600℃で結晶
粒が発生するまで加熱し、さらにその後第2加熱工程と
して900℃で結晶粒径を成長させ、焼結を行った。そ
の際、第2加熱工程の時間を調整し、圧電体膜の表面か
ら観察される結晶粒径が0.4〜3μmの範囲となるよ
うにした。
【0046】得られた薄膜圧電体素子を実施例1と同様
に分極処理し、その後、圧電定数d31を測定した。そ
の値は次の第3表に示される通りであった。
【0047】
【表2】
【0048】表中、試料番号15および28は、第2加
熱工程中に圧電体膜の剥離が生じてしまった。
【0049】実施例4 加熱工程条件を変えた以外は、実施例1とほぼ同様にし
て、第4表に記載の薄膜圧電体素子を製造した。但し、
圧電体膜の組成はPb(ZrX Ti1-X )O3+YPb
OにおいてX=0.45、Y=0.10とした。
【0050】第1加熱工程は表中のT1(℃)、そして
第2加熱工程は表中のT2(℃)で行った。但し、試料
番号2については、800℃の第1加熱工程のみとし
た。第1加熱工程と第2加熱工程との間に室温までSi
基板を冷却するか(表中、非連続)、または冷却せず続
けて昇温して加熱を実施した(表中、連続)。
【0051】得られた薄膜圧電体素子の表面から観察さ
れる結晶粒径は第4表に示される通りであった。
【0052】また、得られた薄膜圧電体素子を実施例1
と同様に分極処理し、その後、圧電定数d31を測定し
た。その値は次の第4表に示される通りであった。
【0053】
【表3】
【0054】表中、試料番号2は加熱工程中に圧電体膜
の剥離が生じ、また試料番号4は第2加熱工程後、圧電
体膜にクラックが発生した。
【0055】実施例5 加熱工程条件を変えた以外は、実施例1とほぼ同様にし
て、第5表に記載の薄膜圧電体素子を製造した。但し、
圧電体膜の組成はPbTia Zrb (Mg1/3
2/3 c 3 +ePbO+fMgOにおいてa=0.
45、b=0.45、c=0.1、e=0.1、および
f=0.01とした。
【0056】第1加熱工程は表中のT1(℃)、そして
第2加熱工程は表中のT2(℃)で行った。但し、試料
番号2については、800℃の第1加熱工程のみとし
た。第1加熱工程と第2加熱工程との間に室温までSi
基板を冷却するか(表中、非連続)、または冷却せず続
けて昇温して加熱を実施した(表中、連続)。試料番号
1〜8は拡散炉を使用して加熱した。また、試料番号9
および10は大きな昇温速度を設定できるランプアニー
ル炉を用いた。試料番号9の加熱は、第1加熱工程とし
て酸素雰囲気中で室温から550℃まで100℃/秒の
昇温速度で昇温し、550℃で10秒間保持した。室温
まで冷却し、その表面の結晶粒径を観察したところ、
0.3μmであった。第2加熱工程として、試料を酸素
雰囲気中で850℃で1時間加熱した。また、試料番号
10の加熱は、第1加熱工程として酸素雰囲気中で室温
から550℃まで100℃/秒の昇温速度で昇温し、5
50℃で10秒間保持した。その後続けて870℃まで
100℃/秒で加熱し、870℃で10秒間保持し、そ
の後200℃まで自然冷却した後、大気中に取り出し
た。室温まで冷却し、その表面の結晶粒径を観察したと
ころ、0.3μmであった。第2加熱工程として、試料
を酸素雰囲気中で850℃で1時間加熱した。
【0057】得られた薄膜圧電体素子の表面から観察さ
れる結晶粒径は第5表に示される通りであった。
【0058】また、得られた薄膜圧電体素子を実施例1
と同様に分極処理し、その後、圧電定数d31を測定し
た。その値は次の第5表に示される通りであった。
【0059】
【表4】
【0060】表中、試料番号2は加熱工程中に圧電体膜
の剥離が生じ、また試料番号4は第2加熱工程後、圧電
体膜にクラックが発生した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による薄膜圧電体素子の構造を表す図で
ある。
【図2】本発明による薄膜圧電体素子を用いたインクジ
ェット記録ヘッドの好ましい構造を表す図である。
【図3】本発明による薄膜圧電体素子を用いたインクジ
ェット記録ヘッドの別の好ましい構造を表す図である。
【符号の説明】
101 Si基板 102 Si熱酸化膜 103 下電極 104 圧電体膜 105 上電極 106 密着層 201 単結晶Si基板 202 ガラス基板 203 キャビティー 204 インク流路 205 インクだめ 206 Si熱酸化膜 207 下電極 208 圧電体膜 209 上電極 210 インク吐出ノズル 301 Si基板薄肉部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C01G 25/00 C04B 35/49 C23C 14/08 K 8939−4K 14/58 A 8939−4K H01L 41/22 C04B 35/49 B H01L 41/22 Z

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多結晶体よりなる圧電体膜と、該圧電体膜
    を挟む二つの電極とを含んでなる、薄膜圧電体素子であ
    って、前記圧電体膜の多結晶体の結晶粒径が0.4μm
    以上であり、かつ前記圧電体膜の膜厚以下である、薄膜
    圧電体素子。
  2. 【請求項2】前記圧電体膜の膜厚が1μm〜5μmであ
    る、請求項1記載の薄膜圧電体素子。
  3. 【請求項3】前記圧電体膜がジルコン酸チタン酸鉛を主
    成分としてなるものである、請求項1記載の薄膜圧電体
    素子。
  4. 【請求項4】前記圧電体膜が下記の式で表わされる組成
    を有する、請求項3記載の薄膜圧電体素子。 Pb(ZrX Ti1-X )O3 +YPbO (ここで、0.40≦X≦0.6、0≦Y≦0.3であ
    る)
  5. 【請求項5】前記圧電体膜が第三成分をさらに含有して
    なるものである、請求項3記載の薄膜圧電体素子。
  6. 【請求項6】前記第三成分がマグネシウムニオブ酸鉛で
    ある、請求項5記載の薄膜圧電体素子。
  7. 【請求項7】前記圧電体膜が下記の式で表わされる組成
    を有する、請求項5記載の薄膜圧電体素子。 PbTia Zrb (Ag h c 3 +ePbO+(f
    MgO)n (ここで、 Aは、Mg、Co、Zn、Cd、Mn、およびNiから
    なる群から選択される2価の金属またはSb、Y、F
    e、Sc、Yb、Lu、In、およびCrからなる群か
    ら選択される3価の金属を表し、 Bは、Nb、Ta、およびSbからなる群から選択され
    る5価の金属またはWおよびTeからなる群から選択さ
    れる6価の金属を表し、また a+b+c=1、 0.35≦a≦0.55、 0.25≦b≦0.55、 0.1≦c≦0.4、 0≦e≦0.3、 0≦f≦0.15c、 g=h=1/2、そしてn=0であるが、 但し、Aが3価の金属を表し、かつBが6価の金属を表
    すことはなく、 またAが2価の金属を表し、かつBが5価の金属を表す
    場合、gは1/3を表し、hは2/3を表し、 またAがMgを表し、BがNbを表す場合に限り、nは
    1を表す。)
  8. 【請求項8】AがMgを表し、BがNbを表し、gが1
    /3を表し、そしてhが2/3を表す、請求項7記載の
    薄膜圧電体素子。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれか一項に記載の薄膜
    圧電体素子の製造法であって、 電極上に圧電体の前駆体膜を形成する工程と、 前駆体膜が形成された前記電極を、酸素を含む雰囲気中
    で500〜700℃の温度で加熱し、前記前駆体膜を結
    晶化して多結晶体よりなる圧電体膜とする第1加熱工程
    と、そして圧電体膜が形成された前記電極を、酸素を含
    む雰囲気中で750〜1200℃の温度で加熱し、前記
    圧電体膜の表面から観察される多結晶体の結晶粒径を
    0.4μm以上とする第2加熱工程とを含んでなる、方
    法。
  10. 【請求項10】第1加熱工程の後、前記電極を冷却する
    ことなく続けて第2加熱工程を実施する、請求項9記載
    の方法。
  11. 【請求項11】請求項1〜8のいずれか一項に記載の薄
    膜圧電体素子を振動子として用いてなる、インクジェッ
    ト記録ヘッド。
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