JPH087481Y2 - カードコネクタ装置におけるエジェクト機構ユニット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、各種電子機器に設けた
カードコネクタに外部から挿入及び抜去して使用するＩ
ＣカードあるいはＩＣメモリカード（以下、カードとい
う）のエジェクト機構ユニットに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のエジェクト機構ユニット
については、プリント配線板上に実装したカードコネク
タに対して着脱可能に取り付けるようにしたものが、例
えば実開昭６３−１８２０７８号、実開昭６４−７６６
９０号及び実開平２−４１３７８号公報などに開示され
ている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、上記従来のエ
ジェクト機構ユニットはいずれも、該ユニットに挿入さ
れるカードの静電気対策、ＥＭＩ対策（電磁妨害対策）
が施されておらず、信頼性の点で問題があった。また、
構造が複雑で組み立てに手間を要するという欠点があっ
た。

【０００４】本考案は上記事情に鑑みなされたもので、
静電気対策及びＥＭＩ対策が確実で信頼性の高いエジェ
クト機構ユニットを提供することを目的とする。

【０００５】また、組み立てが容易でかつ迅速に行なえ
るエジェクト機構ユニットを提供する。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本考案のエジェクト機構ユニットは、プリント配線
板上に表面実装された前記カードコネクタと該カードコ
ネクタに挿入した状態にある前記カードを覆う金属板製
カバーと、前記金属カバーの両側に固着され、前記カー
ドを挿入及び抜去方向に案内するフレームと、前記フレ
ームの一方に取り付けられ、前記カードの挿入及び抜去
方向に可動自在の押し釦と、前記金属カバーに前記カー
ドの挿入及び抜去方向に摺動自在に組み付けられ、かつ
前記カードの前端縁に係合する爪部を有している金属板
製の引出し板と、前記金属カバーをバーリング加工して
一体に形成した筒体に回動自在に支持され、一端が前記
押し釦に、他端が前記引出し板にそれぞれ連動連結され
ている金属板製の作動アームとを備え、前記金属カバ
ー、引出し板及び作動アームが互いに接触する一方、前
記金属カバーを前記カードコネクタに組み付け、かつ前
記プリント配線板に固定した際、前記金属カバーがアー
ス回路に接続するように構成されていることを特徴とし
ている。

【０００７】前記金属カバーは、その両側板に設けたラ
ンスを前記カードコネクタのハウジングに設けた係合段
部に係合させて、ワンタッチで組み付けられる構造にす
ることが好ましい。

【０００８】また、前記引出し板及び前記作動アームに
ディンプルを設け、該突出部が前記金属カバーに常時接
触するようにして、静電気対策を一層確実にする。

【０００９】さらに、前記金属カバーから打ち出して一
体に形成したばね片に、挿入される前記カードを接触さ
せることによって、該カードの静電気対策を確実にす
る。

【００１０】

【作用】上記した構成により、ユニット本体をなす金属
板製カバーに、前記フレーム、押し釦、引出し板及び作
動アームなどの構成部品が組み付けられたのち、前記金
属カバーをプリント配線板上に表面実装された前記カー
ドコネクタに取り付ける。前記金属カバーによって、前
記カードコネクタ及びこれに挿入した状態にある前記カ
ードが覆われる。

【００１１】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明
する。

【００１２】図１及び図２は、本考案に係るエジェクト
機構ユニットを備えたカードコネクタ装置を示してい
る。該コネクタ装置１は、プリント配線板２上に表面実
装されたカードコネクタ（図示の例では多極のピンヘッ
ダ）３と、該カードコネクタ３に挿入及び抜去されるＩ
Ｃカード又はＩＣメモリカード（以下、カードという）
４と、カードコネクタ３に組み付けてプリント配線板２
上に取り付けられるエジェクト機構ユニット５とにより
構成されている。

【００１３】エジェクト機構ユニット５は、カードコネ
クタ３及び該コネクタ３に挿入した状態にあるカード４
を全体に覆う金属カバー６と、該金属カバー６の両側に
固着され、カード４を挿入及び抜去方向に案内する一対
のフレーム７，８と、一方のフレーム８に設けた案内部
９に摺動可能に取り付けられ、カード４の挿入及び抜去
方向に可動自在になっている押し釦１０と、金属カバー
６にカード４の挿入及び抜去方向に摺動可能に取り付け
られた引出し板１１と、金属カバー６に可動可能に取り
付けられた作動アーム１２とを具備している。金属カバ
ー６、引出し板１１及び作動アーム１２はいずれも、ス
テンレス鋼板などの導電性金属板をプレス加工して製作
され、フレーム７，８と押し釦１０はナイロンなどの樹
脂材料により成形されている。

【００１４】金属カバー６は、図４及び図５に良く示さ
れているように、長方形の本体１３の前端縁に沿って前
板１４が折り曲げ形成されると共に、両側縁に沿って側
板１５，１５が折り曲げ形成されていて、側板１５に打
ち出して形成した一対のランス１６，１６をコネクタ３
のハウジング側面に設けた係合段部３ａ，３ａ（図３参
照）に係合してコネクタ３に上方から組み付けられるよ
うになっている。そして、この組み付け状態においてコ
ネクタ３の上面、両側面及び後側面が金属カバー６で覆
われ、コネクタ３が電磁シールドされる。

【００１５】一方、カバー本体１３の中央部分には引出
し板１１を取り付けるための２つの取付孔１７，１８が
カード４の挿入及び抜去方向に間隔をおいて打ち抜き形
成され、また、カバー本体１３の前端部両側にガイド孔
１９，１９が打ち抜き形成されると共に、その前部に上
方へ打ち出して押え部２０が形成されている。

【００１６】取付孔１８の後端部近傍に、作動アーム１
２を取り付けるための短い筒体２１が本体１３をバーリ
ング加工して上方に突出して形成されている。筒体２１
の前後両側に打ち抜いた孔の側縁を切り起こして短い押
え片２２，２３が形成され、また、取付孔１８の側方に
沿って打ち抜いた孔の側縁を切り起こして長い押え片２
４が形成されている。

【００１７】一方、取付孔１７の両側方に沿って打ち抜
いた長孔の後端縁から前方下方に延びる一対のばね片２
５，２５が形成されている。該ばね片２５，２５は、後
述するように挿入したカード４に接触し、該カード４が
コネクタ３に挿入接続する前に金属カバー６を介してア
ース接続させる役目はたすものである。

【００１８】カバー本体１３の両側には金属カバー６を
プリント配線板２に固定するための取付片２６，２６
と、フレーム７，８を係止保持するための係止片２７，
２７が形成されている。フレーム７，８は本体１３の両
側縁下方に沿って配置し、それぞれ係止片２７により係
止保持させた状態で孔２８に挿入した止めねじ２９で本
体１３に固着され、カード４を挿入及び抜去方向に案内
する。一方、取付片２６，２６はフレーム７，８の支持
部７ａ，８ａに係合して支持される。そして、フレーム
８の案内部９に押し釦１０がカード４の挿入及び抜去方
向に摺動自在に挿入して取り付けられる。該押し釦１０
には後述するように作動アーム１２を連動連結するため
金属製の支柱３０が固着突設されている。

【００１９】引き出し板１１は、図６に良く示されてい
るように、前後方向（カード４の挿入及び抜去方向）に
延びる胴板３１の両側に翼板３２，３２が連設し、両翼
板３２，３２の端部に胴板３１と平行して前方へ延びる
一対のアーム３３，３３を有している。胴板３１の前端
部３１ａと後端部３１ｂは下方に段差をもって形成さ
れ、かつ後端部３１ｂには後述する作動アーム１２と係
合するための係止片３４が打ち出し形成されている。ま
た、アーム３３の前端部３３ａも下方に段差をもって形
成され、その前端に下向きに屈曲して形成した係止爪３
５が設けられている。さらに、各アーム３３の後端には
下方に突出するディンプル３６が設けられている。

【００２０】上記のように形成された引出し板１１は、
図１のように、胴板３１の前端部３１ａを取付孔１７
に、そして後端部３１ｂを取付孔１８に係合する一方、
両アーム３３，３３の前端部３３ａ，３３ａをガイド孔
１９，１９に挿入して、押え部２０，２０の下側に係合
することにより、金属カバー６に対して接触状態を保ち
ながら、カード４の挿入及び抜去方向に摺動自在に組み
付けられる。このとき、ディンプル３６が金属カバー６
との接触を確実にする。

【００２１】作動アーム１２は、図７に良く示されてい
るように、細長い板片で形成したアーム本体３７の中央
部分に回動中心となる取付孔３８が設けられている。ア
ーム本体３７の一方の端部３７ａは下方に段差をもって
形成され、該端部３７ａに押し釦１０の支柱３０に嵌合
する孔３９が設けられている。また、アーム本体３７の
他端部３７ｂには引出し板１１の係止片３４に係合する
係止片４０が下方へ段差をもって形成されている。さら
に、アーム本体３７の中央部両側には金属カバー６の押
え片２２，２３に係合する受け片４１，４２が下方に段
差をつけて突設されており、また端部３７ｂには押え片
２４に係合する受け片４３が下方に段差をもって突設さ
れている。さらに、アーム本体３７の端部３７ａ側に下
方に突出するディンプル４４が設けられている。

【００２２】上記のように形成された作動アーム１２
は、図１及び図４に示すように、金属カバー６の筒体２
１に取付孔３８を篏め合わせ、孔３９を支柱３０に嵌合
すると共に、係止片４０を係止片３４に係合し、さらに
受け片４１，４２及び４３をそれぞれ押え片２２，２３
及び２４に係合した状態で、筒体２１をかしめることに
より、該筒体２１を支点に回動可能な状態で金属カバー
６に組み付けられる。このとき、押え片２２〜２４に係
合する受け片４１〜４３が作動アーム１２のがた付き及
び脱落を防止し、かつスムーズに回転できるようにして
いる。そして、ディンプル４４が金属カバー６の本体１
３に設けた２つの係止孔４５，４６に係合して、カード
４の挿入完了時と引き出し完了時（すなわち押し釦１０
の押し込み完了時）にクリック感が得られるようになっ
ている。なお、ディンプル４４と係止孔４５との係合に
よって、機器の未使用時及び運搬中に作動アーム１２が
不測に動くのを防止する固定手段の役目を果すと同時
に、静電気の発生を防止している。

【００２３】上記のように金属カバー６にフレーム７，
８、押し釦１０、引出し板１１及び作動アーム１２を組
み付けて構成されたエジェクト機構５は、前述のよう
に、プリント配線板２上に表面実装したコネクタ３を金
属カバー６で覆うようにして上方から嵌め合わせ、ラン
ス１６，１６をコネクタ３側面の係合段部３ａ，３ａに
係合してプリント配線板２上に装着される。このとき、
図１及び図２に示すようにフレーム７，８の下面に突設
したボス４７，４７がプリント配線板２に設けた位置決
め孔４８，４８に嵌合して、所定位置に正確に位置決め
される。続いて、金属カバー６の取付片２６，２６の孔
に挿通した止めねじ４９，４９でプリント配線板２に固
着する。そして、金属カバー６に一体に設けられたタブ
５１をプリント配線板２に印刷したアース回路の導体パ
ターン（図示せず）に電気的に接続し、該タブ５１を介
して金属カバー６がアース接続されるようになってい
る。

【００２４】而して、金属カバー６の本体１３の後端縁
を曲げ起こして形成した案内部５０からカード４を挿入
すると、先ずばね片２５，２５がカード４の上面に接触
し、カード４に帯電している静電気を前記アース回路に
逃がす。続いてカード４の前端が引出し板１１の係止爪
３５，３５に係合し、該係止爪３５，３５を介して引出
し板１１と一緒にカード４は前進移動し、コネクタ３に
挿入して嵌合接続する。このカード４の挿入動作に伴っ
て、引出し板１１に連動する作動アーム１２が筒体２１
を支点に図１の矢印Ａの方向に回動し、これに連動して
押し釦１０が案内部９から突出する。そして、カード４
の挿入が完了すると、作動アーム１２のディンプル４４
が係止孔４６に係合してクリック感が得られ、カード４
の挿入完了を容易に確認することができる。

【００２５】挿入したカード４を引き出すには、押し釦
１０を手指で押し込むだけでよい。押し釦１０が押し込
まれると、これに連動して作動アーム１２が筒体２１を
支点にして矢印Ｂの方向に回動し、これに連動する引出
し板１１が後退移動し、その係止爪３５，３５でカード
４をコネクタ３から引き離し、案内部５０を通じて外部
に抜き出す。

【００２６】なお、カード４を挿入及び抜去する間も引
出し板１１及び作動アーム１２は金属カバー６に常に接
触しているので、これらの構成部品間は等電位になって
おり、各部品に発生する静電気は金属カバー６を通じて
アース回路に逃がすことができる。また、挿入されたカ
ード４及びコネクタ３は金属カバー６で全体が覆われ、
電磁シールドされている。

【００２７】

【考案の効果】以上説明したように、本考案のエジェク
ト機構ユニットは静電気対策及びＥＭ１対策（電磁妨害
対策）が確実で、信頼性がきわめて高い。

【００２８】また、ユニット本体をなす金属カバー６に
エジェクト機構を構成する押し釦１０、引出し板１１及
び作動アーム１２などの各部品を組み付けたので、プリ
ント配線板２上に実装したカードコネクタ３に容易かつ
迅速に装着することができる。さらに、プリント配線板
２上の実装高さが低いという利点もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案によるエジェクト機構ユニットを備えた
カードコネクタ装置の正面図。

【図２】同右側面図である。

【図３】図１の３−３線に沿う断面図である。

【図４】図１の４−４線に沿う断面図である。

【図５】金属カバーの斜視図である。

【図６】引出し板の斜視図である。

【図７】作動アームの斜視図である。

【符号の説明】

１ カードコネクタ装置 ２ プリント配線板 ３ カードコネクタ（ピンヘッダ） ４ カード（ＩＣカード、ＩＣメモリカード） ５ エジェクト機構ユニット ６ 金属カバー ７，８ フレーム ９ 案内部 １０ 押し釦 １１ 引出し板 １２ 作動アーム

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ＩＣカードなどのカードが挿入及び抜去
   されるカードコネクタと、該カードコネクタに取り付け
   られるエジェクト機構ユニットを備えたカードコネクタ
   装置において、 前記エジェクト機構ユニットが、 プリント配線板上に表面実装された前記カードコネクタ
   と該カードコネクタに挿入した状態にある前記カードを
   覆う金属板製カバーと、 前記金属カバーの両側に固着され、前記カードを挿入及
   び抜去方向に案内するフレームと、 前記フレームの一方に取り付けられ、前記カードの挿入
   及び抜去方向に可動自在の押し釦と、 前記金属カバーに前記カードの挿入及び抜去方向に摺動
   自在に組み付けられ、かつ前記カードの前端縁に係合す
   る爪部を有している金属板製の引出し板と、 前記金属カバーをバーリング加工して一体に形成した筒
   体に回動自在に支持され、一端が前記押し釦に、他端が
   前記引出し板にそれぞれ連動連結されている金属板製の
   作動アームとを備え、 前記金属カバー、引出し板及び作動アームが互いに接触
   する一方、前記金属カバーを前記カードコネクタに組み
   付け、かつ前記プリント配線板に固定した際、前記金属
   カバーがアース回路に接続するように構成されているこ
   とを特徴とするカードコネクタ装置におけるエジェクト
   機構ユニット。
2. 【請求項２】 前記金属カバーは、その両側板に設けた
   ランスを前記カードコネクタのハウジングに設けた係合
   段部に係合させて、ワンタッチで組み付けられるように
   なっている請求項１記載のカードコネクタ装置における
   エジェクト機構ユニット。
3. 【請求項３】 前記引出し板及び前記作動アームに設け
   たディンプルが前記金属カバーと常時接触している請求
   項１又は２記載のカードコネクタ装置におけるエジェク
   ト機構ユニット。
4. 【請求項４】 前記作動アームに設けたディンプルが前
   記金属カバーに設けた係止孔に係合して、前記カードの
   挿入完了時及び抜去完了時のクリック感を生ぜしめるよ
   うになっている請求項１，２又は３記載のカードコネク
   タ装置におけるエジェクト機構ユニット。
5. 【請求項５】 前記金属カバーから打ち出して形成した
   ばね片が、挿入した前記カードに接触して、該カードが
   前記カードコネクタに接続する前に前記金属カバーを介
   してアース接続されるように構成されている請求項１，
   ２，３又は４記載のカードコネクタ装置におけるエジェ
   クト機構ユニット。