JPH086887B2 - ガスタービン排ガス利用回収ボイラ発電プラント - Google Patents

ガスタービン排ガス利用回収ボイラ発電プラント

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JPH086887B2
JPH086887B2 JP4253487A JP25348792A JPH086887B2 JP H086887 B2 JPH086887 B2 JP H086887B2 JP 4253487 A JP4253487 A JP 4253487A JP 25348792 A JP25348792 A JP 25348792A JP H086887 B2 JPH086887 B2 JP H086887B2
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recovery boiler
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はパルプ工場におけるパル
プ製造過程で生成される黒液を燃料とする黒液回収ボイ
ラとガスタービンとを有して、建設費の低減と、信頼性
の向上と、回収電力量の増加を可能にするガスタービン
排ガス利用回収ボイラ発電プラントに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】図2は高温高圧回収ボイラと背圧タービ
ンを用いた従来の発電プラントの例である。図2におい
て、回収ボイラ51の過熱器52を出た高温高圧の蒸気
は蒸気タービン56に送られ、仕事をして低圧蒸気(約
0.3MPaG)となり、減温装置57で、この圧力の
飽和温度より若干高い温度まで減温されて工場プロセス
に送られて行く。工場内で熱を奪われて復水となるが、
この内の数十%は再びドレンタンク(図示せず)に戻
り、鉄分等を除去された後、純水装置(図示せず)から
送り出された補給水67と合流し、給水タンク58に蓄
えられる。給水タンク58内の給水は脱気器給水ポンプ
59により脱気器60に送られるが、途中低圧給水加熱
器61内で回収ボイラ51からの排ガスと熱交換し加温
される。
【0003】脱気器60からボイラ給水ポンプ62によ
って回収ボイラ51の節炭器53へ送られた給水は加温
され、蒸気ドラム54に入る。
【0004】一方、燃焼用空気は押込送風機63によっ
て低温蒸気式空気予熱器64および高温蒸気式空気予熱
器65を通じて約150℃程度まで加熱された後、回収
ボイラ51に送られ、炉壁の空気口70から火炉55内
に燃焼用空気として供給されている。
【0005】蒸気タービン56の途中段から、中圧蒸気
(1.5MPaGクラス)が抽気され、減温装置66に
よって飽和蒸気温度程度に減温された後、パルプ蒸解用
等のプロセス蒸気用および高温蒸気式空気予熱器65等
のボイラ所内蒸気に使用される。
【0006】また、タービンからの排気は低圧蒸気
(0.2〜0.3MPaGクラス)として上述のように
工場プロセスに送られる他に、脱気器60、蒸気式黒液
加熱器68、低温蒸気式空気予熱器64或いはスメルト
69の加熱等、回収ボイラ51の所内蒸気として使用さ
れる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように上記従来の
技術においても、高温高圧回収ボイラと背圧タービンを
用いた発電プラントにおいて、黒液燃焼ボイラの燃焼熱
を利用して高い熱効率のもとで発電を行うことが可能で
あったほか、回収ボイラ発生蒸気を利用した発電プラン
トの熱効率を向上させる目的でボイラ出口蒸気条件を1
0MPaG×500℃クラスとするボイラに関する研究
も行われ、例えば紙パルプ技術協会誌第40巻第6号に
記載された「回収ボイラの現状技術と将来の展望」等に
おいて幾つか公表されている。
【0008】しかし回収ボイラ水冷壁の腐食は、テスト
結果や経験からその管壁温度が330℃〜340℃以上
になると炭素鋼の場合急激に進行するとが判っている。
すなわち、10MPaGクラスの場合、水冷壁下部にお
ける蒸気飽和温度は320℃近くなり、管壁温度は当然
330℃以上となる。このため10MPaGクラスの回
収ボイラの水冷壁は炭素鋼外部のオーステナイト系鋼に
よる肉盛り、溶射等のほか内側を炭素鋼、外側をステン
レス鋼とした二重管を使用して耐食性を保持させてい
る。
【0009】ボイラ出口の蒸気温度を上げた場合、過熱
器管外壁温度が高くなり、一方ダスト中に含まれるCl
(塩素)やK(カリウム)の化合物によりダストの溶融
温度は下るため、高温ボイラの過熱器管外壁にダストが
付着し、溶融灰により過熱器管の腐食が激しくなること
が予想される。
【0010】従って、500℃クラスの回収ボイラの過
熱器管は耐食性から特殊なオーステナイト系ステンレス
鋼管を使用するとともに、過熱器管内で局所的な高温蒸
気部が生じないように設計上工夫している。
【0011】しかしながら、上記のような対策を講じて
も10MPaG,500℃クラスが現技術の最大限であ
り、この温度をあと15〜20℃程度上昇させることが
精一杯であり、通常の火力発電プラントで使用されてい
る10MPaG×540℃のレベルにすることはかなり
難しい。
【0012】この結果、製紙プラントに必要な低圧蒸気
(通常0.2MPaG〜0.3MPaGクラス)をター
ビンから抽気したり、タービン出口から送気する場合、
湿り蒸気になる場合もあり、抽気復水タービンを使用す
るとタービン最終段落における蒸気乾き度がタービンの
許容値以下となる場合もあり、石炭焚や重油焚ボイラに
よるより高温蒸気と混合することによって、このような
現象が生じないようにされている場合が多い。
【0013】また炉底部に滞留するチャーを燃焼に適切
な形状にする目的と、チャー内のNa2 SO4 等を還元
し、再び蒸解用薬品として回収する目的のために燃焼用
空気が炉壁からチャーに向かって噴射される。しかしこ
の空気は還元目的に使用されるが故に燃焼に必要な酸素
量よりも少ない状態、すなわち理論燃焼空気量よりも少
ない空気量が供給される。またこの温度は燃焼の安定を
確保するための150℃程度に加熱された状態で炉壁か
ら噴出される。
【0014】回収ボイラでは、燃焼用空気を加熱するの
に、一般の火力ボイラのようにガス式空気予熱器を使用
せず、蒸気式空気予熱器を使用し、上記の150℃程度
の温度とする。この理由はダストによるガス式空気予熱
器の目詰りを防ぐ為と燃焼温度の安定を図るためであ
る。
【0015】蒸気式空気予熱器の加熱用蒸気として、タ
ービンから抽出される中圧蒸気と、同じくタービンから
抽出される低圧蒸気またはタービン排気からの低圧蒸気
が使用される他に、低圧蒸気は黒液加熱やボイラから取
り出される薬剤、すなわちスメルトの加熱にも使用され
る。
【0016】このため回収ボイラで使用される所内蒸気
量は重油焚ボイラで使用される量よりもかなり多くな
り、タービン入口蒸気量すなわちボイラ発生蒸気量の6
〜7%を必要とする。
【0017】パルプを使用し、紙を製造する製紙工場で
は、パルプの蒸解用に中圧蒸気(1.5MPaGクラ
ス)を、また抄紙機ドライヤー用や黒液濃縮のために低
圧蒸気(0.2MPaG〜0.3MPaGクラス)を多
量に必要とし、これ等の蒸気の大部分はタービン途中段
から抽気されたり、タービンノ排気から製紙プラントの
ラインに送られている。
【0018】しかしながら、上記の高効率回収ボイラは
全て回収ボイラのみの改善による解決であったためにボ
イラの伝熱管の多くは特殊高級材料が使用されたもので
あった。
【0019】本発明はこのよな情勢に鑑みてなされたも
ので、回収ボイラとして長年信頼性第一に考えてきた範
囲の蒸気条件を選び、高級材料および高級かつ特殊な材
料を過熱器や水冷壁部に使用することなく、中圧蒸気お
よび低圧蒸気を余分に発生せしめて、現状の10MPa
G×500℃クラスの回収ボイラによる発電プラントよ
りも熱効率の高い発電プラントを構成することを目的と
している。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、前記特許
請求の範囲に記載されたガスタービン排ガス利用回収ボ
イラ発電プラントによって達成される。すなわち、「パ
ルプ製造過程で生成される黒液を燃料とする回収ボイラ
と、ガスタービンと、ガスタービン排ガスの廃熱を回収
するものである上流側に配設した過熱器と、中間部に配
設した蒸発器と、下流側に配設した給水加熱器とからな
る熱交換器と、フラッシャーと、蒸気タービン駆動発電
機とを有する発電プラントであって、ガスタービンはそ
の排ガス中に回収ボイラの黒液燃焼に必要な酸素量を保
持し得る容量からなり、回収ボイラ発生蒸気の温度は炭
素鋼材料からなる伝熱管に腐食を生じない温度以下であ
り、回収ボイラ発生蒸気を前記熱交換器の過熱器を通じ
て高温過熱蒸気とし、前記熱交換器の蒸発器から中圧蒸
気を発生させ、前記熱交換器の給水加熱器に送入する給
水量を調節して前記熱交換器から排出されるガスの温度
を黒液燃焼に適合する温度として回収ボイラの黒液燃焼
用空気として使用し、前記熱交換器の給水加熱器の通過
給水量が上記蒸発器への給水量を越える時は、当該余剰
給水をフラッシャーに導入して低圧蒸気を発生させるガ
スタービン排ガス利用回収ボイラ発電プラント」であ
る。以下本発明の作用等について実施例に基づいて説明
する。
【0021】
【実施例】テスト結果によると、炭素鋼では管壁温度が
330℃〜340℃付近以上になると急速に腐食速度が
速くなることが判っている。すなわち、管内流体温度と
管外壁との温度差を30℃と考えると、管内流体温度が
300℃以上になると腐食進行が促進されるといえる。
このことは燃焼室下部における飽和蒸気圧力を8.5M
PaG以下とすれば飽和蒸気温度は300℃以下とな
り、通常のボイラ用鋼管でも充分使用に耐えることを意
味する。
【0022】また排ガス中のダストの溶融温度はガス中
に含まれるCl(塩素)の影響が大きく、Clの濃度に
より可なり異なるが、管壁温度を500℃以下とすれば
ダストが溶融して管壁に付着する可能性は殆ど生じな
い。すなわち、過熱器管内の蒸気温度を470℃〜48
0℃以下に抑えればダスト溶融による付着は問題ないと
いえる。
【0023】上に述べたことと過熱器管内の蒸気圧力損
失等を考慮し、回収ボイラ出口の蒸気圧力、温度を8M
PaG,450℃クラス以下とすれば現在の10MPa
G×500℃クラスの回収ボイラで用いているような特
殊材料、高級材料使用の必要はない。
【0024】一方、黒液固形分(絶乾高位)1kg当た
りの理論燃焼空気量(O2 :21%)は3.8m3 N
空気比=1.15であり、給水温度135℃とした場
合、ボイラ出口蒸気圧力、温度が10.2MPaG×5
05℃で、黒液固形分1kg当たり3.6kgの蒸気を
発生し得る。
【0025】図1は本願発明の対象となる回収ボイラと
ガスタービンとを組み合わせた発電プラントの系統図で
ある。図1において、1は回収ボイラ、1−1は過熱
器、1−2は節炭器、1−3は蒸気ドラム、1−4は空
気口、1−5は火炉、2は蒸気タービン、3−1,3−
2は減温装置、4は給水タンク、5は脱気器給水ポン
プ、6は低圧給水加熱器、7は脱気器、8はボイラ給水
ポンプ、9は燃焼用空気、12は蒸気式黒液加熱器。1
3はスメルト、14はガスタービン、15は廃熱回収熱
交換器、15−1は加熱器、15−2は蒸発器、15−
3は給水加熱器、16は復水タンク、17は給水ポン
プ、18は脱気器、19は減圧弁、20はフラッシャ
ー、21は流量調節弁である。
【0026】ガスタービン14排ガス中のO2 割合をα
%(通常13〜15%)とおき、ガスタービン14排ガ
スを回収ボイラ1の黒液燃焼用空気9として使用した場
合の空気比λをフレッシュ空気を使用した場合と同じ値
のλ=1.15と想定すれば、必要なガスタービン排ガ
ス量Lgは次式で表される。
【0027】
【数1】
【0028】一方、回収ボイラ1の容量は投入される黒
液を濃度100%とした状態で、1日当たり黒液固形分
処理量として表されるので、この値をBトン/日とする
と、回収ボイラ1に必要な燃焼空気量、すなわち1時間
当たりガスタービン14排ガス量Lgは次式で書くこと
ができる。
【0029】
【数2】
【0030】“数1”で表したような排ガス量Lg[m
3 N /h]にほぼ見合うガス量を排出するガスタービン
14を選択し、このガスタービン14の排ガスによって
回収ボイラ1からの蒸気を過熱するとすれば、廃熱回収
熱交換器15の加熱器15−1における熱の授受式とし
て次の式が成り立つ。
【0031】
【数3】
【0032】蒸気のエンタルピは圧力、温度の関数であ
り、加熱器15−1入口、出口におけるガスと蒸気の温
度差Δ1(℃),Δ2(℃)を与え、回収ボイラ1出口
蒸気圧力pb (MPa)を与え、ボイラ給水温度を13
5℃とすると“段落番号0024”部において示した事
項から、“数3”を満足する回収ボイラ1出口の蒸気温
度tb (℃)、すなわち過熱器出口のガス温度Tg
2 (℃)および蒸発量Gs(kg/h)が定まることと
なる。
【0033】回収ボイラ1の出口圧力を約8MPaGク
ラスとすれば、“数3”から求まる回収ボイラ1の出口
蒸気温度は“段落番号0022”部において述べた要求
事項を満足し得る。
【0034】上記のような高圧高温の過熱蒸気を蒸気タ
ービン2に供給する。回収ボイラ1の給水は従来と同様
に給水タンク4から脱気器給水ポンプ5により回収ボイ
ラ1の排ガスと熱交換する低圧給水加熱器6を経て脱気
器7に送られ、給水ポンプ8によって回収ボイラ1の節
炭器1−2に供給される。一方、ガスタービン14排ガ
スの廃熱回収熱交換器15には純水装置や他の復水ター
ビンからの復水を貯える復水タンク16から低温給水が
給水ポンプ17によって送られる。
【0035】当給水は廃熱回収熱交換器15用の脱気器
18を経て同熱交換器給水加熱器15−3に入り、ガス
タービン14排ガスからの熱によって約200℃迄加熱
される。
【0036】給水加熱器15−3と加熱器15−1との
間に中圧(1.5MPaGクラス)の蒸気を発生させる
蒸発器15−2を設ける。蒸発器15−2によって中圧
飽和蒸気を発生させるが、ガスタービン14の排ガスの
多少の変動によっても常に所要の中圧(1.5MPaG
クラス)蒸気が得られるように、この圧力よりも若干高
い圧力(例えば2.0MPaG程度)とし、減圧弁19
で所要中圧値となるように調節する。この中圧蒸気の一
部を廃熱回収熱交換器15用脱気器18の加熱蒸気とし
て使用し、残りを中圧プロセス蒸気用に供給する。
【0037】蒸発器15−2に供給した残りの熱水は低
圧(0.2〜0.3MPaGクラス)の蒸気を発生させ
るため、フラッシャー20に送られるが、給水加熱器1
5−3のガス出口温度を回収ボイラ1の燃焼用空気入口
温度(約150℃)に調節するため、流量調節弁21を
フラッシャー20の入口に設け、上記のガス出口温度と
なるように給水量をコントロールする。
【0038】フラッシャー20の未フラッシュ熱水は熱
交換器給水加熱器15−3への給水と混合し、給水加熱
を行う。フラッシャー20から発生する低圧(0.2〜
0.3MPaGクラス)の蒸気は蒸気タービン2の排気
ラインと合流し、プロセスに送られる。
【0039】上記の説明では燃焼用空気の温度を約15
0℃に下げるとしたため、中圧蒸気蒸発器15−2への
給水量より多い給水を給水加熱器15−3に供給し、余
剰の熱水をフラッシャー20に導くとしたが、燃焼状態
により、より高温空気の供給が必要となった場合には、
抽出熱水もなくなり、フラッシャー20が不要となるこ
ともあり、更には給水加熱器15−3も不要となること
もあり得る。
【0040】次に従来のシステムと本発明に基づく具体
例を説明する。回収ボイラにおける原単位諸元は“表
1”に示す通りである。
【0041】
【表1】
【0042】“表1”に示すような諸元の回収ボイラの
発生蒸気を用いて図2に示すような従来方式システムの
抽気背圧蒸気タービンプラントを構成した場合の有効取
り出しエネルギーは“表2”のようになる。
【0043】
【表2】
【0044】次に本発明のシステムの具体例について説
明する。回収ボイラ出口蒸気圧力を7.84MPaGと
し、節炭器入口の給水温度を135℃とする。一方、ガ
スタービン14の排ガスの温度を570℃、含有O2
度を13.6%とすると、“数1”からガスタービン1
4排ガス量は黒液固形分1kg当たり5.87m3 N
kgとなる。例えば黒液固形分処理量500トン/日の
場合、要求されるガスタービン14排ガス量は122,
300m3 N /hである。
【0045】回収ボイラ1出口からガスタービン廃熱回
収熱交換器15の加熱器15−1の出口までの圧力損失
を7.5%とおき、同加熱器15−1の出口蒸気温度を
520℃とすると、前記“段落番号0030”の文中で
述べたことにより、蒸発量Gs=3.86kg/kg−
黒液固形分、回収ボイラ1の過熱器1−1の出口蒸気温
度は420℃となる。更に過熱器1−1から廃熱回収熱
交換器15の加熱器15−1までの温度降下を3℃と
し、加熱器15−1のガス出口温度と蒸気入口温度との
差、すなわちピンチポイント温度差Δ2 =20℃とすれ
ば、ガスタービン14排ガスは437℃で、中圧蒸気蒸
発器15−2に入る。
【0046】この437℃の排ガスを150℃まで下げ
ることによって、1.47MPaGの飽和蒸気が1.0
4kg/kg−パルプ発生する。すなわち、パルプ蒸解
缶用蒸気1.6kg/kg−パルプの内、この1.04
kg/kg−パルプと燃焼用空気加熱分の0.1kg/
kg−黒液固形分の中圧蒸気を蒸気タービン2から抽気
する必要がなくなり、蒸気タービン2の出力増に寄与す
るのみならず低圧プロセス蒸気の増にも寄与することと
なる。この他従来システムで使用されていた低温蒸気式
空気予熱器64の低圧蒸気0.15kg/kg−黒液固
形分も不要となり、プロセスに有効に使用し得る。本発
明のシステムの具体例の検討結果を“表3”に示す。
【0047】
【表3】
【0048】上述の具体例で示したように、従来のシス
テムで最高クラスの蒸気条件10MPaG×505℃の
場合を採用して得られる熱効率よりも高い効率の発電プ
ラントとなる他、信頼性を高めた発電プラントを構成す
るとが可能になる。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、上記実施例において詳
述したように下記に示す効果を奏する。 回収ボイラ発生蒸気を8MPaG×450℃クラス
以下とするため、高価な材料をボイラに使用する必要が
なくなり、回収ボイラの建設費を低減させ得るとともに
信頼性を向上させることが可能になる。 回収ボイラ内で吸収させるべき水と蒸気とのエンタ
ルピー差、すなわち(ボイラ出口蒸気エンタルピー)−
(ボイラ入口給水エンタルピー)が、10MPaG×5
00℃クラスの場合よりも少なくなる結果、多量の蒸気
を発生することが可能になるのみならず、蒸気タービン
入口蒸気条件が8MPaG×500℃クラス以上である
ことにより、10MPaG×500℃クラスの場合より
蒸気過熱度が大きくなり、復水タービンではタービン出
口蒸気乾き度が大きくなり、湿り損失が減少し、タービ
ン内部効率の向上と重なり回収電力が増加する。 上述のようにタービン入口の蒸気過熱度が大きくな
るため、タービン出口における中圧蒸気、低圧蒸気の過
熱度が高くなり、プロセスに使用する蒸気状態まで減温
する注水量が増加し、プロセスへの送気量が増加する。 ガスタービン排ガスを使用するため、従来の蒸気式
空気予熱器に使用する蒸気が不必要となり、その分回収
電力量が増加する。 ガスタービン排ガスを使用することにより、従来技
術におけるがごとく燃焼用空気をボイラに送入する押込
送風機は不必要になるか、あるいは若し必要になるとし
ても小容量の送風機で充分であるから、所内動力費が低
減される。 従来の高温、高圧の回収ボイラに比して、回収ボイ
ラの過熱器が少なくて済み、且つ回収ボイラの出口蒸気
の圧力を80kg/cm2 G以下に低下させることによ
り、給水ポンプの吐出圧力が低くなることから、給水ポ
ンプの動力が低減される。 高圧、高温のボイラとする必要がなくなることによ
り、溶融ダストによるトラブルの発生機会が減少し、不
測停止やダスト掃除のための停止が減少する。即ち運用
率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の対象となる回収ボイラとガスタービ
ンとを組み合わせた発電プラントの系統図である。
【図2】従来技術における高温高圧回収ボイラと背圧タ
ービンを用いた発電プラントの系統図である。
【符号の説明】
1 回収ボイラ 1−1 過熱器 1−2 節炭器 1−3 蒸気ドラム 1−4 空気口 1−5 火炉 2 蒸気タービン 3−1,3−2 減温装置 4 給水タンク 5 脱気器給水ポンプ 6 低圧給水加熱器 7 脱気器 8 ボイラ給水ポンプ 9 燃焼用空気 12 蒸気式黒液加熱器 13 スメルト 14 ガスタービン 15 廃熱回収熱交換器 15−1 加熱器 15−2 蒸発器 15−3 給水加熱器 16 復水タンク 17 給水ポンプ 18 脱気器 19 減圧弁 20 フラッシャー 21 流量調節弁 51 回収ボイラ 52 過熱器 53 節炭器 54 蒸気ドラム 55 火炉 56 蒸気タービン 57 減温装置 58 給水タンク 59 脱気器給水ポンプ 60 脱気器 61 低圧給水加熱器 62 ボイラ給水ポンプ 63 押込送風機 64 低温蒸気式空気予熱器 65 高温蒸気式空気予熱器 66 減温装置 67 補給水 68 蒸気式黒液加熱器 69 スメルト 70 空気口

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルプ製造過程で生成される黒液を燃料
    とする回収ボイラと、ガスタービンと、ガスタービン排
    ガスの廃熱を回収するものである上流側に配設した過熱
    器と、中間部に配設した蒸発器と、下流側に配設した給
    水加熱器とからなる熱交換器と、フラッシャーと、蒸気
    タービン駆動発電機とを有する発電プラントであって、 ガスタービンはその排ガス中に回収ボイラの黒液燃焼に
    必要な酸素量を保持し得る容量からなり、 回収ボイラ発生蒸気の温度は炭素鋼材料からなる伝熱管
    に腐食を生じない温度以下であり、 回収ボイラ発生蒸気を前記熱交換器の過熱器を通じて高
    温過熱蒸気とし、 前記熱交換器の蒸発器から中圧蒸気を発生させ前記熱交
    換器の給水加熱器に送入する給水量を調節して前記熱交
    換器から排出されるガスの温度を黒液燃焼に適合する温
    度として回収ボイラの黒液燃焼用空気として使用し、 前記熱交換器の給水加熱器の通過給水量が上記蒸発器へ
    の給水量を越える時は、当該余剰給水をフラッシャーに
    導入して低圧蒸気を発生させることを特徴とするガスタ
    ービン排ガス利用回収ボイラ発電プラント。
  2. 【請求項2】 熱交換器の過熱器を通じて生成された高
    温過熱蒸気を発電機用蒸気タービンに送気する請求項1
    記載のガスタービン排ガス利用回収ボイラ発電プラン
    ト。
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