JPH0866610A - 気体の吸引式濾過装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 液体フィルタを使用する吸引式の濾過装置の
効率を改善した濾過装置を提供すること。 【構成】 密閉容器１内にその容器の上部に空間３を残
して液体濾過剤２を収容し、濾過したい気体の導入パイ
プ４を前記容器１の外から前記濾過剤２の中に連通させ
ると共に、前記容器１の上部空間３に吸引力を作用させ
る吸引手段５又は該手段に連通した吸引パイプを接続し
た濾過装置に於て、ほぼ全面に貫通孔7aを明け、かつ、
該孔7aの上面側に整流板11を設けて前記密閉容器１内に
密に遊挿される大きさに形成した回転板７を、前記濾過
剤２内に没入させて配設し高速回転させることにより、
前記回転板７の下面側から前記孔7aを通って回転板７の
上面側へ抜ける気泡Baを、薄く，広く引き伸ばして破裂
させ、前記濾過剤２と気泡との接触面積と接触時間とを
大きくするようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、外部の気体を吸引して
適宜液体をフィルタとする液体フィルタを経由させるこ
とにより、特に、その気体が持つ熱やその気体に含まれ
た特定のガス成分、或は、その気体に含まれた細菌や微
粒子状の固体を除去するための吸引濾過装置に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来から特定のガス成分を吸着回収した
り、細菌や微粒子固体を吸着や流洗シャワ−に接触させ
ることにより溶解させるなどして除去する装置が、濾過
装置や除去装置、或は、吸引装置などと称されて知られ
ている。

【０００３】しかし、気体に含まれる特定ガス成分等を
液体フィルタにより除去する従来の濾過装置や吸着装置
は、構造が複雑であったり、濾過や吸着機構に特殊な原
理や技術を応用するため、装置自体がいわゆる化学的構
成の装置となってきわめて高価なものとなり易いなどと
いった難点がある。また、従来装置は、気体と液体の接
触面積が小さく、接触面積を大きくするにも自づから限
度があるため、所望の濾過効率をあげるには装置が大形
化し易いという問題のほか、例えば、濾過すべき高温水
蒸気がそのまま通過してしまうことがあった。

【０００４】このような点に鑑み、本発明の発明者は、
先に、きわめて簡易な原理を利用し、構造的に至ってシ
ンプルに構成できる一方、簡単な構造であっても濾過機
能は従来装置に比べ優れた性能を発揮でき、特に、上記
のような現在問題となっている様々な空気汚染の原因と
なる物質を除去するため、適宜液体をフィルタとする吸
引式の濾過装置を開発して特願平5-95072号として特許
出願している。

【０００５】先に特許出願した装置は、密閉容器内に上
部空間を残して液体濾過剤を収容すると共に濾過すべき
気体を前記濾過剤中に導入するための気体導入パイプを
前記濾過剤中に没入させて配置する一方、前記容器の上
部空間に吸引力を作用させるため気体の吸引手段を前記
容器の上部空間に連通させて配置すると共に、前記濾過
剤中に、吸引導入される気体と濾過剤との接触効率を上
げるため、気泡を分断できるようにした回転板を配置し
て、濾過装置としたものである。

【０００６】この装置は、吸引する気体に含まれる高温
水蒸気や特定のガス成分、或は、前記気体中に含まれる
粉粒体状の微粒子が、当該気体に作用する吸引力によっ
て液体濾過剤の中を通過すると共に、その通過の際に、
気泡が回転板の小孔を通って分断，細分化されることに
より、気体の持つ熱が液体濾過剤と熱交換されて除去さ
れ、また、ガス成分等は前記濾過剤の中に溶解したり、
濾過剤と中和することにより除去する機能を有するもの
であった。

【０００７】上記装置は、液体フィルタを使用した濾過
装置として所期の目的を達成できるものであったが、例
えば、熱分解ガスのような高温気体の中から特定のガス
成分を効率よく除去したり、吸引気体と濾過剤の効率の
よい熱交換をさせる上では更に改善の余地のあることが
判った。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような点
に鑑み、先に提案した液体フィルタを使用する吸引式の
濾過装置の効率を改善した濾過装置を提供することを課
題とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
を目的としてなされた本発明装置の構成は、密閉容器内
にその容器の上部に空間を残して液体濾過剤を収容し、
濾過したい気体の導入パイプを前記容器の外から前記濾
過剤の中に連通させると共に、前記容器の上部空間に吸
引力を作用させる吸引手段又は該手段に連通した吸引パ
イプを接続した濾過装置に於て、ほぼ全面に貫通孔を明
け、かつ、該孔の上面側に整流板を設けて前記密閉容器
内に密に遊挿される大きさに形成した回転板を、前記濾
過剤内に没入させて配設し高速回転させることにより、
前記回転板の下面側から前記孔を通って回転板の上面側
へ抜ける気泡を、薄く，広く引き伸ばして破裂させ、前
記濾過剤と気泡との接触面積と接触時間とを大きくする
ようにしたことを特徴とするものである。

【００１０】

【実施例】次に、本発明の実施例を図に拠り説明する。
図１は本発明装置の一例を示す正断面図、図２は回転板
の構成の一例を示す断面図である。

【００１１】図１において、１は、一例として内面に耐
酸性，耐食性を付与した円筒状の密閉容器で、ここでは
上蓋1aが容器本体1bに対し着脱自在に設けられている。
1cは液体濾過剤２を排出するためのドレンパイプ、1dは
そのコックである。

【００１２】２はこの容器１の内部に、当該容器１の上
部に空間３を残して収容した水や適宜中和剤などによる
液体濾過剤である。濾過剤２としては、上記水の外に界
面活性剤などの水溶液、油性剤の溶液、アルカリ性溶液
などによる中和剤、或は液状の滅，殺菌剤などを用いる
ことがある。

【００１３】４は上記容器１において、底板1e又は該底
板1eに近い側壁1fに貫通孔をあけて接続した気体導入パ
イプで、該パイプ４は容器１との接続部から当該容器１
の外側に立上げ、当該パイプ４の導入側は少なくともそ
の容器１の全高より高い位置に位置付けられている。

【００１４】５は上記容器１において上蓋1aに設けた適
宜方式の気体吸引手段で、該吸引手段５はその吸引口が
上蓋1ａにあけた穴1dに連通して配置され、該吸引手段
５が駆動されることにより、容器１の上部空間３に吸引
力を作用させるものである。この吸引手段５の構造の一
例としては、図１に示したものでは、モ−タとこのモ−
タの軸に取付けられたファン（モ−タとファンは図に表
われず）と、該ファンを収めて吸引口を開口したファン
ケ−シング5aと、該ケ−シングに接続されて吸引気体を
外部に排気するための排気口5bを設けた前記モ−タのハ
ウジング5cとから形成されている。上記吸引手段５の吸
引力は、気体導出パイプ６を介して上部空間３に作用さ
せている。

【００１５】７は上記容器１において濾過剤２の液中に
浸漬して設けた気液混合のための回転板で、その外径は
容器１の内径よりわずかに小さい程度に形成されている
と共に、この板７の外周にはスカ−ト部7aが形成され、
板面には多数の小孔7bが貫設されている。８はこの回転
板７を支持した支持軸、９は上蓋1aから容器１の外部に
突出した前記支持軸８にその軸を連結したモ−タであ
る。なお、図の例では前記支持軸８の下端側には撹拌翼
10が設けられているが、該撹拌翼10は別の軸，モ−タ
（いずれも図示せず）によってこの位置で回転させ、回
転板７の下面に濾過剤２の上昇対流を生じさせるもので
あれば足りる。

【００１６】上記回転板７は、濾過剤２の中に水没状態
で位置付けられ、気体導入パイプ４から当該濾過剤２中
に吸引される気体が気泡Baになり、容器1bの上部空間３
へ浮上する当該気泡Baと濾過剤２との接触面積を大きく
すると共に接触時間を長くとるため、貫通孔7bの上面側
に整流板11を斜めに設けた。このようにすると、孔7bを
下面側から通過して、回転板７の上面側へ出る気泡Ba
は、整流板11の作用で細長くかつ薄く引き伸ばされるよ
うに変形して破裂し、当該気泡Baが微細に分断されるこ
ととなり、この結果、気泡Baと濾過剤２との接触時間と
ともに接触面積も増大するので、吸引される気体がよく
濾過剤２に接触できることとなり、気泡Baと濾過剤２と
の熱交換や気泡Baに含まれているガス成分が濾過剤２の
中に溶解され易くなる。ここで、回転板７は、その周囲
にスカ−ト部7aがあるので、気体導入パイプ４から濾過
剤２内に吸引される気体は、回転板７の下面7cに気体溜
りAcとして一旦溜まり、そこ7cから各孔7bを通って回転
板７の上面側へ移動していく。

【００１７】これに加え、本発明では、回転板７の下方
に撹拌翼10が設けられているので、各気泡Baは回転板７
の孔7bを通過する前に、濾過剤２の中で前記翼10によっ
て生じる上昇対流に乗って濾過剤２の中を浮遊するか
ら、この挙動によっても、気泡Baの持つ熱の交換、或
は、含有ガス成分の濾過剤２への溶解が促進される。

【００１８】本発明において、上記のような構成の２枚
以上の回転板７、又は、２組以上の回転板７と撹拌翼10
を容器１内に設けることにより、上記の気泡Baと濾過剤
２との接触効率を更に高めることができる。また、回転
板７の回転数は200〜500rpm程度、望ましくは、300rpm
程度が好ましい。回転が余り低いと気泡Baの薄層化が少
なく、逆に回転が高過ぎると、気泡Baが薄層化する前に
孔7bから剥離してしまい、接触効率が低下する。

【００１９】上記のように、本発明装置では、回転板７
の作用、或は、回転板７と撹拌翼10の協働作用によっ
て、吸引される気体が形成する気泡Baと濾過剤２との接
触面積，接触時間を大きくして接触効率を高めたので、
本発明装置は、例えば、合成樹脂製品の熱分解処理にお
いて生じる高温水蒸気や有害ガス成分を含んだ高温気体
の熱を吸収して、その気体の取扱いを容易にすると共
に、前記ガス成分を濾過剤２の中に効率よく取込むこと
ができるので、同じ処理能力の濾過装置であれば、容器
１の容量を小さくできるので、装置を小型化しかつ高能
率化する上できわめて有効である。

【００２０】本発明装置は、上記のような機能があるの
で、１台の装置により、或は、同じ装置の２台以上を直
列又は並列に接触して、上記の気体中の熱の吸収や不用
ガス成分の除去のための装置として利用できるほか、微
粉粒状固体等を含んだ気体から前記固体等を除去する装
置としても利用することができる。ここで、前記微粒子
状固体等には、例えば、金属粉粒，粉粒状塵埃，火山灰
等の無機質固体のほか、カビ，細菌等も含むものであ
る。

【００２１】このため、上記濾過剤２には、前記熱やガ
スの吸収や溶解、或いは、中和のために、水のほかに、
中和剤，界面活性剤，殺菌剤等を、単独若しくは混入し
た形の濾過剤を用いることができる。

【００２２】

【発明の効果】本発明は以上の通りであって、液体濾過
剤の後方から吸引力を作用させて密閉容器内に吸引する
外部気体を、前記濾過剤に強制的、かつ、高効率で接触
させることにより、当該気体に含まれている高温水蒸気
の高熱を効率よく低下させ、また、各種塵埃，杉花粉等
を含む各種の微粉粒体やカビ，細菌を含む気体或は、臭
気を含む不要なガス成分を容器内に導入される気体の中
からことごとく除去することができるという、従来の液
体フィルタを用いた濾過装置にはない格段に優れた濾過
効果が得られる。また、本発明装置は至ってシンプルな
構成で、しかも、効率が高いから、従来装置に比べて大
幅に小型化でき、低コストかつ容易に作製提供すること
ができるのみならず、ランニングコストも低廉で済む。

【００２３】従って、本発明装置は、病院や病室の空気
の殺菌浄化装置として、或は、ビニ−ルハウスにおける
いわゆるハウス病予防のための空気浄化装置として有用
であるほか、大勢の人が集合する建物内や工場、或は、
街路等における塵埃や砂塵或は杉花粉等を除去する装置
としても有用である。

【００２４】また、生ゴミ等の可燃性廃棄物を熱分解処
理する際に生じる高温水蒸気や塩素ガス等の熱を吸収す
ると共に、前記塩素ガス等の不要ガスを除去するための
フィルタとしても有用である。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明装置の一例を示す正断面図。

【図２】回転板の構成の一例を示す断面図。

【符号の説明】

１ 密閉容器 ２ 濾過剤 ３ 空間 ４ 気体導入パイプ ５ 気体吸引手段 ６ 気体導出パイプ ７ 回転板 ８ 支持杆 ９ モ−タ− 10 撹拌翼 11 整流板 Ba 気泡

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 密閉容器内にその容器の上部に空間を残
   して液体濾過剤を収容し、濾過したい気体の導入パイプ
   を前記容器の外から前記濾過剤の中に連通させると共
   に、前記容器の上部空間に吸引力を作用させる吸引手段
   又は該手段に連通した吸引パイプを接続した濾過装置に
   於て、ほぼ全面に貫通孔を明け、かつ、該孔の上面側に
   整流板を設けて前記密閉容器内に密に遊挿される大きさ
   に形成した回転板を、前記濾過剤内に没入させて配設し
   高速回転させることにより、前記回転板の下面側から前
   記孔を通って回転板の上面側へ抜ける気泡を、薄く，広
   く引き伸ばして破裂させ、前記濾過剤と気泡との接触面
   積と接触時間とを大きくするようにしたことを特徴とす
   る気体の吸引式濾過装置。
2. 【請求項２】 整流板は、回転板面に傾斜させて設けた
   請求項１の気体の吸引式濾過装置。
3. 【請求項３】 回転板の下方には、濾過剤に上昇対流を
   生じさせる撹拌翼を設けた請求項１又は２の気体の吸引
   式濾過装置。
4. 【請求項４】 回転板と撹拌翼は同一軸に設けた請求項
   ３の気体の吸引式濾過装置