JPH0862207A - 潤滑油の劣化検知方法 - Google Patents

潤滑油の劣化検知方法

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JPH0862207A
JPH0862207A JP21945294A JP21945294A JPH0862207A JP H0862207 A JPH0862207 A JP H0862207A JP 21945294 A JP21945294 A JP 21945294A JP 21945294 A JP21945294 A JP 21945294A JP H0862207 A JPH0862207 A JP H0862207A
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Kunimitsu Tamura
邦光 田村
Kenichi Koizumi
健一 小泉
Ryutaro Kikutake
隆太郎 菊竹
Sotosuke Matsumoto
外左 松本
Katsumi Ikeda
克巳 池田
Takaaki Ito
貴章 伊東
Yoshiharu Ito
好晴 伊藤
Hideyori Kishi
英順 岸
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Tokyo Gas Co Ltd
Toho Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 コージェネシステム(CGS)用ガスエンジ
ンの潤滑油(ガスエンジン油)を始め、その他種々の潤
滑油において、使用中における劣化の程度又は余寿命
を、特にオンラインにおいて、正しく検知し、判定する
ことのできる潤滑油の劣化検知方法を提供する。 【構成】 0.4〜2.5μmの範囲の短波長と長波長
の2つの光を用いて潤滑油のそれぞれの波長における吸
光度又は透過光量を測定する。この測定値信号は、マイ
クロコンピュータ6に送信され、マイクロコンピュータ
にて処理可能なパルス数に変換(A/D変換)された後
マイクロコンピュータ6の演算部に入力される。マイク
ロコンピユータの演算部では、内蔵する判断アルゴリズ
ムによって、上記信号に基づいて、現在のガスエンジン
油の劣化程度を示す劣化パターンを識別する。更に、判
断アルゴリズムでは、識別された夫々の劣化パターンに
対応した校正曲線からガスエンジン油の劣化度合又は余
寿命を演算し、出力する。この出力信号は、ディスプレ
ー装置7にて表示される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジンオイル、コン
プレッサオイル、ギアオイルなど種々の潤滑油の劣化の
程度又は余寿命を検知する方法に関するものであり、特
に、コージェネシステム(CGS)用ガスエンジンに使
用されるエンジンオイル(以下「ガスエンジン油」とい
う。)の劣化度又は余寿命を検知するのに適したオイル
劣化検知方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、コージェネシステム(CGS)
用ガスエンジンの潤滑油としてガスエンジン油が用いら
れるが、通常のエンジンオイルと同様に、使用によって
劣化する。
【0003】CGSのメンテナンス及びエンジンの寿命
延長の必要性があり、ガスエンジン油の潤滑管理が重要
である。これまでは、ガスエンジン油の潤滑管理には従
来からあるJIS法、石油学会法、ASTM法等の石油
試験法が用いられてきた。具体的には、一般的な全酸
価、全塩基価、不溶解分、粘度等を測定し、ガスエンジ
ン油の劣化度が検知され、劣化の程度が判定されてい
た。
【0004】しかしながら、これらの試験法は信頼性は
高いが全て湿式分析であって、現場でのバッチ式のサン
プリングを必要とし、且つ分析も試験室で行うのが通例
であり迅速に油の現状の結果を出すことができず、又、
常時監視のオンライン検知ができないという欠点があっ
た。
【0005】このような従来の問題を解決するべく、オ
ンライン用の劣化センサが種々研究され、提案されてい
る。例えば、中赤外領域(2.5〜25μm)での赤外
分光分析の原理を応用したセンサや、可視近赤外領域
(0.4〜2.5μm)の単一波長の光を応用した光透
過型センサ等がある。しかしながら、実用に値するもの
は未だ無いのが現状である。
【0006】この理由は、赤外分光分析の原理を応用し
たセンサでは光源に大きい安定化電源を必要とし、装置
が大型化するという問題があり、又、極端に光路長を短
くする必要があり、コスト的に高額になるという装置上
の問題を有するだけでなく、測定原理上、油の劣化に伴
い増大する硝酸エステルによる6.1μmの吸収或いは
5.8μm付近の吸収を検知するために特殊な分光フィ
ルターを必要とするという問題があるためである。
【0007】他方、可視近赤外領域の光を使う方法につ
いては若干の報告があるが、本発明者らも研究を行った
結果、光透過方式により吸光度又は透過光量を測定する
ことで、例えば吸光度と油の劣化度(全酸価、不溶解
分、全塩基価或いはこれらより定義した劣化指数)との
間には、エンジン及び油種を決めることにより良好な相
関性を見出し得ることが分かった。しかしながら、この
ような制約を外すと比較的劣化の早いCGS用などの大
型ガスエンジンではバラツキがあり、そのままでは汎用
的な劣化の診断を行いにくいことが判明した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記の
問題の原因を化学分析により解析していった結果、バラ
ツキの原因は油の劣化のパターンがエンジン・運転条件
・潤滑油の種類、その他の影響で変わるため、油中の劣
化生成物が変わり、このため油の劣化の度合いが湿式分
析では同じ結果が得られたとしても、光による吸光度が
変わるためであるという推論に至った。即ち、ガスエン
ジン油のエンジンでの使用中の劣化は避けられないもの
であるが、この劣化は、劣化の進行の様式から初期型劣
化(A)、中間型劣化(B)、後期型劣化(C)と大別
した場合、使用劣化油がこのいずれかに分けられると推
論された。
【0009】そこで、この本発明者らの推論を確認する
ために、使用劣化油を可視近赤外分光分析によりスペク
トル分析を行ってみた結果、三者は明確に分かれること
が検証された。
【0010】更に、本発明者らは、この三者をスペクト
ル上から簡単に分ける方法を見出すべく多くの研究実験
を行なったところ、個々の使用油について長波長側と短
波長側の両方の吸光度を求め、その値をx−y座標に描
くと個々の油の座標から劣化のパターンが上記の3つに
分けられることを見出した。
【0011】以上から、オンラインセンサの設計上で、
長波長と短波長の2つの光源を用い、被験油の吸光度又
は透過光量を2つの波長において検出し、それらから劣
化のパターンA、B、Cを識別し、次に2波長の内の一
方の吸光度又は透過光量と夫々のパターンに対応した校
正曲線を用いて劣化度を求めることにより、使用油の正
しい劣化判定ができるとの結論に達した。
【0012】この検証を分析的に行ってみたところ、9
5%以上の確率で劣化のパターンが識別でき、且つ劣化
の度合いが判定できることが証明された。
【0013】本発明は、本発明者らの斯る新規な知見及
びそれに基づく研究実験の結果なされたものである。
【0014】従って、本発明の目的は、コージェネシス
テム(CGS)用ガスエンジンの潤滑油(ガスエンジン
油)を始め、その他種々の潤滑油において、使用中にお
ける劣化の程度又は余寿命を、特にオンラインにおい
て、正しく検知し、判定することのできる潤滑油の劣化
検知方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的は本発明に係る
ガスエンジン油の劣化検知方法によって達成される。要
約すれば、本発明は、0.4〜2.5μmの範囲の短波
長と長波長の2つの光を用いて潤滑油のそれぞれの波長
における吸光度又は透過光量を測定し、この測定値から
判断アルゴリズムにより潤滑油の劣化パターンを識別
し、次いで、特定波長の吸光度又は透過光量とメモリー
されているそれぞれの劣化パターンの校正曲線とから潤
滑油の劣化の度合いを求めることを特徴とする潤滑油の
劣化検知方法である。
【0016】本発明の他の態様によれば、短波長と長波
長の両者の吸光度又は透過光量をそれぞれx軸及びy軸
とするx−y図形から、潤滑油の短波長及び長波長の吸
光度又は透過光量の図形内の位置によって劣化パターン
を判断し、そのパターンに対応した校正曲線と短波長側
の吸光度又は透過光量とから潤滑油の劣化の度合いを求
めることを特徴とする潤滑油の劣化検知方法が提供され
る。
【0017】更に、本発明の他の態様によれば、0.4
〜2.5μmの範囲の短波長と長波長の2つの光を用い
て潤滑油のそれぞれの波長における吸光度又は透過光量
を測定し、この測定値から判断アルゴリズムにより潤滑
油の劣化パターンを識別し、次いで、特定波長の吸光度
又は透過光量とメモリーされているそれぞれの劣化パタ
ーンの校正曲線とから下記式に基づいて潤滑油の余寿命
(L)を求めることを特徴とする潤滑油の劣化検知方法
が提供される。 余寿命(L)={(Q1 −QX)/(Q1 −Q0)}×10
0(%) ここで、Q1 は交換すべき状態時の潤滑油の吸光度又は
透過光量、Q0 は新油時の潤滑油の吸光度又は透過光
量、QX はある時点での潤滑油の吸光度又は透過光量で
あり、又、校正曲線上、吸光度又は透過光量Q1 の時の
余寿命(L1 )を0%とし、吸光度又は透過光量Q0
時の余寿命(L0 )を100%とする。
【0018】又、この実施態様にて、潤滑油がガスエン
ジン油とされた場合には、ガスエンジンの運転時間及び
/又は積算発電電力、並びに時間と共に変動するガスエ
ンジン油の吸光度をデータテーブルとして記憶し、実際
に劣化検知して得られた吸光度から前記データテーブル
に基づき、余寿命を下記式にて求められる残存運転時間
(H)又は残存発電電力(P)として出力することがで
きる。 残存運転時間(H)={(Q1 −QX)/(QX −Q0)}
×HX (h) 残存発電電力(P)={(Q1 −QX)/(QX −Q0)}
×PX (kWh) ここで、Q1 は交換すべき状態時の潤滑油の吸光度又は
透過光量、Q0 は新油時の潤滑油の吸光度又は透過光
量、QX はある時点での潤滑油の吸光度又は透過光量で
あり、又、HX は劣化検知したときまでの更油後運転時
間であり、PX は劣化検知したときまでの更油後発電電
力である。
【0019】上記本発明の各実施態様にて、好ましく
は、短波長に0.45〜0.7μmの範囲内の波長を、
そして長波長に0.8μm〜1.1μmの範囲内の波長
が使用される。又、潤滑油がガスエンジン油とされた
時、この潤滑油の劣化パターンは、初期型劣化(A)、
中間型劣化(B)及び後期型劣化(C)が採用される。
【0020】
【実施例】以下、本発明を実施例について添付図面を参
照しながら詳細に説明する。
【0021】実施例1 図1に、本発明に係る潤滑油の劣化検知方法を実施する
ための2波長方式のオイル劣化センサの一実施例を示
す。本実施例では、本発明が、コージェネシステム(C
GS)用ガスエンジンに使用されるガスエンジン油の劣
化度を検知するのに実施された場合について説明する。
【0022】本実施例によると、オイル劣化センサは、
透明セル1を挟んで対向配置された発光部2と受光部3
とを備えている。透明セル1内には潤滑油、即ち、本実
施例では使用中のガスエンジン油が導入される。発光部
2で発光した所定波長の光が透明セル1内のガスエンジ
ン油に照射され、ガスエンジン油を透過した光が受光部
3で受光され、ガスエンジン油による透過光の吸光度又
は透過光量が測定される。
【0023】発光部2には、光源としてLED又はレー
ザダイオードなどが使用され、駆動部4にて駆動され所
定の波長の光を出射する。本発明によると、発光部2
は、第1及び第2光源2A、2Bを備え、それぞれ0.
4〜2.5μmの範囲の短波長と長波長の2つの光を発
光する。好ましくは、短波長に0.45〜0.7μmの
範囲内の波長を、そして長波長に0.8μm〜1.1μ
mの範囲内の波長が使用される。本実施例において、第
1の光源2Aは0.66μm(660nm)の中心波長
を有する発光ダイオードとされ、第2の光源2Bは0.
92μm(920nm)の中心波長を有する発光ダイオ
ードとされる。又、発光部2からの光を受光する受光部
3には、フォトダイオードなどが使用され、本実施例で
は、発光部2の第1及び第2光源2A、2Bに対応し
て、第1及び第2フォトダイオード3A、3Bが配置さ
れる。ガスエンジン油を透過した光はフォトダイオード
3A、3Bで受光され、光量検出部5において吸光度又
は透過光量対応した電気信号に変えられる。フォトダイ
オード3A、3Bは、短波長と長波長の両方を検知する
ものであれば同じ種類のものを2個使っても良い。この
場合、光源2A及び光源2Bからの光が1個のフォトダ
イオードに集光できる構造の光学系にすることもでき、
この場合はフォトダイオードは1個で良い。
【0024】更に、上記光量検出部5からの電気信号
は、マイクロコンピュータ6に送信され、マイクロコン
ピュータにて処理可能なパルス数に変換(A/D変換)
された後マイクロコンピュータ6の演算部に入力され
る。
【0025】マイクロコンピユータの演算部では、図2
に示すような内蔵する判断アルゴリズムによって、上記
光量検出部からの信号に基づいて、現在のガスエンジン
油の劣化程度を示す劣化パターンを識別する。更に、判
断アルゴリズムでは、識別された夫々の劣化パターンに
対応した校正曲線からガスエンジン油の劣化度合を演算
し、出力する。この出力信号は、ディスプレー装置にて
表示される。
【0026】次に、上記判断アルゴリズムについて説明
する。
【0027】図3は、使用中のガスエンジン油の劣化の
進行程度を、アルゴリズムにより、920nmと660
nmの吸光度から初期型劣化(A)、中間型劣化
(B)、後期型劣化(C)の3パターンに分割できた例
を示す。
【0028】尚、吸光度は、本実施例では光路長0.1
mmの石英セルを用いて測定した値である。
【0029】図4は、アルゴリズムにより3つの校正曲
線からオイルの劣化度(劣化指数)を出力した例を示
す。ここで、劣化指数は、ガスエンジン油の劣化を総合
的に示す指数として従来から実績のあるJIS法全酸価
及び石油学会法B法不溶解分(ペンタン)をもとに劣化
分析結果により任意に定義した指数であり、本実施例で
は、全酸価+n*不溶解分(n=7)と定義される。
【0030】従って、本実施例に従ってガスエンジン油
の劣化検知方法を実施する場合には、図2にて理解され
るように、660nmと920nmの2つの光を用いて
ガスエンジン油の吸光度(又は透過光量)を測定し、こ
の測定値から上記判断アルゴリズムによりガスエンジン
油の劣化パターンA、B、Cが識別される。
【0031】換言すれば、例えば660nmと920n
mといった短波長と長波長の2つの光を用いて測定され
た両者の吸光度又は透過光量をそれぞれx軸及びy軸と
するx−y図形(図3)から、潤滑油の短波長及び長波
長の吸光度又は透過光量の図形内の位置によって、例え
ば劣化パターンA、B、Cが判断される。
【0032】マイクロコンピュータ6には、図4に示す
660nmと各劣化パターンの校正曲線1、2、3との
関係がメモリーされており、従って、判断アルゴリズム
では、660nmの波長の吸光度(又は透過光量)とメ
モリーされているそれぞれの劣化パターンの校正曲線
1、2、3とからガスエンジン油の劣化度(劣化指数)
が求められ、ディスプレー装置7にて表示される。
【0033】図4に示す実施例では、オイル(ガスエン
ジン油)1、2、3は、それぞれ劣化パターンA、B、
Cと識別され、そして劣化パターン校正曲線1、2、3
によりそれぞれの劣化度合(劣化指数)N1 、N2 、N
3 が求められ、劣化程度が判定された場合を例示してい
る。
【0034】実施例2 更に、本発明の第2の実施例によれば、マイクロコンピ
ュータ6は、次の判断アルゴリズムを含むことができ
る。
【0035】図5は、ガスエンジン油の劣化パターンA
に対する全酸価と660nm吸光度の関係を示す。両者
は良い相関関係にある。この劣化パターンAについては
油の特性として劣化の進行にともない全酸価は大きく増
加するが不溶解分の増加は緩慢であり、全酸価が重要な
ファクターになる。他方、全塩基価については全酸価と
逆の相関関係にあり全酸価を劣化センサで出力させるこ
とにより劣化診断が可能である。
【0036】又、図6は、ガスエンジン油の劣化パター
ンBとCに対する660nm吸光度と不溶解分との関係
を示す。両者は良い相関関係にあることが分かる。これ
ら2つの劣化パターンB、Cにおいては劣化に伴う不溶
解分の増加は大きいが、全酸価の増加は緩慢である。従
って、不溶解分を劣化センサで出力させることによって
劣化診断が可能である。
【0037】従って、この実施例においては、先の実施
例と同様に、図2及び図3にて理解されるように、66
0nmと920nmの2つの光を用いてガスエンジン油
の吸光度(又は透過光量)を測定し、この測定値から上
記判断アルゴリズムによりガスエンジン油の劣化パター
ンA、B、Cが識別される。
【0038】この実施例では、マイクロコンピュータ6
には、図5及び図6に示すような、劣化パターンAに対
する全酸価と660nm吸光度の関係の校正曲線4と、
劣化パターンBとCに対する660nm吸光度と不溶解
分との関係の校正曲線5、6がメモリーされている。従
って、この実施例によると、判断アルゴリズムでは、オ
イル(ガスエンジン油)4、5、6は、上記実施例と同
様にして、それぞれ劣化パターンA、B、Cが識別され
るが、オイル4は、図5に示すように、劣化パターン校
正曲線4により劣化度が全酸価にて求められ、油の劣化
程度が判定される。一方、オイル5、6は、図6に示す
ように、劣化パターン校正曲線5、6により劣化度が不
溶解分にて求められ、油の劣化程度が判定される。
【0039】このように、判断アルゴリズムは、油の劣
化パターンを先ずA、B、Cの3通りに識別し、劣化パ
ターンB、Cについては劣化指数と不溶解分を演算によ
り出力し、劣化パターンAについては劣化指数と全酸価
を演算し、出力する機能を有することができる。
【0040】上記実施例1、2に関し、実際に上記判断
アルゴリズムを有するマイクロコンピュータを製作し、
これを用いてガスエンジン油の劣化検知方法を実施し
た。その性能を確認した結果を表1に示す。表1から分
かるように、実測の分析値から求めた劣化指数と本発明
にて得られた劣化指数とは誤差範囲内で良く一致してい
る。他方、分析による全酸価と本発明にて得られた全酸
価、及び分析値からの不溶解分と本発明にて得られた不
溶解分も良く一致している。
【0041】以上から、本発明のガスエンジン油の劣化
検知方法によれば、油種、エンジンの種類に関係なく、
ガスエンジン油の劣化が正しくし診断できることが証明
された。
【0042】
【表1】
【0043】実施例3 上記実施例1、2では、本発明の劣化検知方法が、コー
ジェネシステム(CGS)用ガスエンジンに使用される
ガスエンジン油の劣化度を検知するのに実施された場合
について説明したが、本発明によれば、潤滑油の劣化度
の代わりに余寿命(L)を求めることもできる。
【0044】つまり、先の実施例と同様に0.4〜2.
5μmの範囲の短波長と長波長の2つの光を用いて、例
えば660nmと920nmの2つの光を用いてガスエ
ンジン油の吸光度(又は透過光量)を測定し、この測定
値から上記判断アルゴリズムによりガスエンジン油の劣
化パターンA、B、Cが識別される。
【0045】次いで、特定波長の吸光度又は透過光量と
メモリーされているそれぞれの劣化パターンの校正曲線
とから下記式に基づいて潤滑油の余寿命(L)を求める
ことができる。 余寿命(L)={(Q1 −QX)/(Q1 −Q0)}×10
0(%) ここで、図7に示すように、Q1 は交換すべき状態時の
潤滑油の吸光度又は透過光量、Q0 は新油時の潤滑油の
吸光度又は透過光量、QX はある時点での潤滑油の吸光
度又は透過光量である。又、校正曲線上、吸光度又は透
過光量Q1 の時の余寿命(L1 )を0%とし、吸光度又
は透過光量Q0 の時の余寿命(L0 )を100%とす
る。
【0046】更に、潤滑油がガスエンジン油とされた場
合には、ガスエンジンの運転時間及び/又は積算発電電
力、並びに時間と共に変動するガスエンジン油の吸光度
をデータテーブルとして記憶し、実際に劣化検知して得
られた吸光度から前記データテーブルに基づき、余寿命
を下記式にて求められる残存運転時間(H)又は残存発
電電力(P)として出力することも可能である。 残存運転時間(H)={(Q1 −QX)/(QX −Q0)}
×HX (h) 残存発電電力(P)={(Q1 −QX)/(QX −Q0)}
×PX (kWh) ここで、Q1 、Q0 、QX は上述した通りであり、HX
は劣化検知したときまでの更油後運転時間であり、PX
は劣化検知したときまでの更油後発電電力である。
【0047】上記各実施例の説明では、本発明が、コー
ジェネシステム(CGS)用ガスエンジンに使用される
ガスエンジン油の劣化度又は余寿命を検知するのに実施
された場合について説明したが、本発明はこれに限定さ
れるものではなく、他の種々の潤滑油の劣化検知に適用
することができ、同様の作用効果を奏し得る。又、潤滑
油の劣化パターンはエンジン及び油種により、上記劣化
パターンA、B、Cに限定されるものではなく、任意の
パターンを採用し得る。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る潤滑
油の劣化検知方法は、0.4〜2.5μmの範囲の短波
長と長波長の2つの光を用いてそれぞれの波長における
潤滑油の吸光度又は透過光量を測定し、この測定値から
判断アルゴリズムにより潤滑油の劣化パターンを識別
し、次いで、特定波長の吸光度又は透過光量とメモリー
されているそれぞれの劣化パターンの校正曲線とから潤
滑油の劣化の度合い又は余寿命を求めるか、又は、短波
長と長波長の両者の吸光度又は透過光量をそれぞれx軸
及びy軸とするx−y図形から、検知対象の潤滑油の短
波長及び長波長の吸光度又は透過光量の図形内の位置に
よって劣化パターンを判断し、そのパターンに対応した
校正曲線と短波長側の吸光度又は透過光量とから潤滑油
の劣化の度合い又は余寿命を求める構成とされるので、
従来技術では不可能であった小型コンパクトで且つ低価
格のオンライン方式にてガスエンジン油などの種々の潤
滑油の劣化を検知し、判定することができる。又、本発
明の劣化検知方法は、信頼性が高く、コージェネシステ
ム(CGS)用ガスエンジンに使用されるガスエンジン
油などの潤滑油の連続劣化診断を可能とし、メンテナン
スの低減効果及びCGSシステムなどの信頼性向上に寄
与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る潤滑油の劣化検知方法を実施する
ための2波長方式のオイル劣化センサの一実施例を示
す。
【図2】本発明に使用することのできる判断アルゴリズ
ムの一実施例を示す。
【図3】使用中のガスエンジン油の劣化の進行程度をア
ルゴリズムにより、920nmと660nmの吸光度か
ら初期型劣化(A)、中間型劣化(B)、後期型劣化
(C)の3パターンに分割した例を示す。
【図4】アルゴリズムにより3つの校正曲線から使用中
のガスエンジン油の劣化度(劣化指数)を出力した例を
示す。
【図5】ガスエンジン油の劣化パターンAに対する全酸
価と660nm吸光度の関係を示す。
【図6】ガスエンジン油の劣化パターンBとCに対する
不溶解分と660nm吸光度の関係を示す。
【図7】潤滑油の吸光度と余寿命との関係を説明するた
めの図である。
【符号の説明】
1 透明セル 2 発光部 3 受光部 4 光源駆動部 5 光量検出部 6 マイクロコンピュータ 7 ディスプレー装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小泉 健一 埼玉県戸田市新曽南3丁目17番35号 株式 会社ジャパンエナジー内 (72)発明者 菊竹 隆太郎 神奈川県横浜市港北区篠原西町2−38 (72)発明者 松本 外左 神奈川県横浜市磯子区汐見台3−3−2 3304−434 (72)発明者 池田 克巳 千葉県船橋市西船3−3−23 (72)発明者 伊東 貴章 東京都墨田区京島1−47−10 東京ガス墨 田寮809 (72)発明者 伊藤 好晴 愛知県東海市新宝町507−2 東邦瓦斯株 式会社総合技術研究所内 (72)発明者 岸 英順 愛知県東海市新宝町507−2 東邦瓦斯株 式会社総合技術研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.4〜2.5μmの範囲の短波長と長
    波長の2つの光を用いて潤滑油のそれぞれの波長におけ
    る吸光度又は透過光量を測定し、この測定値から判断ア
    ルゴリズムにより潤滑油の劣化パターンを識別し、次い
    で、特定波長の吸光度又は透過光量とメモリーされてい
    るそれぞれの劣化パターンの校正曲線とから潤滑油の劣
    化の度合い又は余寿命を求めることを特徴とする潤滑油
    の劣化検知方法。
  2. 【請求項2】 短波長に0.45〜0.7μmの範囲内
    の波長を、そして長波長に0.8μm〜1.1μmの範
    囲内の波長を使用する請求項1の潤滑油の劣化検知方
    法。
  3. 【請求項3】 潤滑油はガスエンジン油であり、この潤
    滑油の劣化パターンは、初期型劣化(A)、中間型劣化
    (B)及び後期型劣化(C)からなる請求項1又は2の
    潤滑油の劣化検知方法。
  4. 【請求項4】 短波長と長波長の両者の吸光度又は透過
    光量をそれぞれx軸及びy軸とするx−y図形から、潤
    滑油の短波長及び長波長の吸光度又は透過光量の図形内
    の位置によって劣化パターンを判断し、そのパターンに
    対応した校正曲線と短波長側の吸光度又は透過光量とか
    ら潤滑油の劣化の度合いを求めることを特徴とする潤滑
    油の劣化検知方法。
  5. 【請求項5】 短波長に0.45〜0.7μmの範囲内
    の波長を、そして長波長に0.8μm〜1.1μmの範
    囲内の波長を使用する請求項4の潤滑油の劣化検知方
    法。
  6. 【請求項6】 潤滑油はガスエンジン油であり、この潤
    滑油の劣化パターンは、初期型劣化(A)、中間型劣化
    (B)及び後期型劣化(C)からなる請求項4又は5の
    潤滑油の劣化検知方法。
  7. 【請求項7】 0.4〜2.5μmの範囲の短波長と長
    波長の2つの光を用いて潤滑油のそれぞれの波長におけ
    る吸光度又は透過光量を測定し、この測定値から判断ア
    ルゴリズムにより潤滑油の劣化パターンを識別し、次い
    で、特定波長の吸光度又は透過光量とメモリーされてい
    るそれぞれの劣化パターンの校正曲線とから下記式に基
    づいて潤滑油の余寿命(L)を求めることを特徴とする
    潤滑油の劣化検知方法。 余寿命(L)={(Q1 −QX)/(Q1 −Q0)}×10
    0(%) ここで、Q1 は交換すべき状態時の潤滑油の吸光度又は
    透過光量、Q0 は新油時の潤滑油の吸光度又は透過光
    量、QX はある時点での潤滑油の吸光度又は透過光量で
    あり、又、校正曲線上、吸光度又は透過光量Q1 の時の
    余寿命(L1 )を0%とし、吸光度又は透過光量Q0
    時の余寿命(L0 )を100%とする。
  8. 【請求項8】 短波長に0.45〜0.7μmの範囲内
    の波長を、そして長波長に0.8μm〜1.1μmの範
    囲内の波長を使用する請求項7の潤滑油の劣化検知方
    法。
  9. 【請求項9】 潤滑油はガスエンジン油であり、この潤
    滑油の劣化パターンは、初期型劣化(A)、中間型劣化
    (B)及び後期型劣化(C)からなる請求項7又は8の
    潤滑油の劣化検知方法。
  10. 【請求項10】 潤滑油はガスエンジン油であり、ガス
    エンジンの運転時間及び/又は積算発電電力、並びに時
    間と共に変動するガスエンジン油の吸光度をデータテー
    ブルとして記憶し、実際に劣化検知して得られた吸光度
    から前記データテーブルに基づき、余寿命を下記式にて
    求められる残存運転時間(H)又は残存発電電力(P)
    として出力することを特徴とする請求項7の潤滑油の劣
    化検知方法。 残存運転時間(H)={(Q1 −QX)/(QX −Q0)}
    ×HX (h) 残存発電電力(P)={(Q1 −QX)/(QX −Q0)}
    ×PX (kWh) ここで、Q1 は交換すべき状態時の潤滑油の吸光度又は
    透過光量、Q0 は新油時の潤滑油の吸光度又は透過光
    量、QX はある時点での潤滑油の吸光度又は透過光量で
    あり、又、HX は劣化検知したときまでの更油後運転時
    間であり、PX は劣化検知したときまでの更油後発電電
    力である。
  11. 【請求項11】 短波長に0.45〜0.7μmの範囲
    内の波長を、そして長波長に0.8μm〜1.1μmの
    範囲内の波長を使用する請求項10の潤滑油の劣化検知
    方法。
  12. 【請求項12】 潤滑油の劣化パターンは、初期型劣化
    (A)、中間型劣化(B)及び後期型劣化(C)からな
    る請求項10又は11の潤滑油の劣化検知方法。
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