JPH0860242A - 製缶性と耐圧強度に優れたdi缶用鋼板の製造方法 - Google Patents

製缶性と耐圧強度に優れたdi缶用鋼板の製造方法

Info

Publication number
JPH0860242A
JPH0860242A JP6193432A JP19343294A JPH0860242A JP H0860242 A JPH0860242 A JP H0860242A JP 6193432 A JP6193432 A JP 6193432A JP 19343294 A JP19343294 A JP 19343294A JP H0860242 A JPH0860242 A JP H0860242A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rolling
less
steel
steel sheet
neck
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP6193432A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Hibino
隆 日比野
Kazumasa Yamazaki
一正 山崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP6193432A priority Critical patent/JPH0860242A/ja
Publication of JPH0860242A publication Critical patent/JPH0860242A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Shaping Metal By Deep-Drawing, Or The Like (AREA)
  • Heat Treatment Of Steel (AREA)
  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 深絞り加工性、しごき加工性、ネック加工性
と耐圧強度に優れたDI缶用鋼板。 【構成】 重量%で、C:0.01、Si:0.05、
Mn:0.5、P:0.03、S:0.015、N:
0.01いずれも以下で、0.01≧Al≧0.1を含
有し、残部Feおよび不可避不純物からなる連続鋳造鋳
片を熱間圧延、酸洗した後、圧延率50〜85%の範囲
で第1回の冷間圧延を行い、次いで第1回の再結晶焼鈍
を行った後、圧延率70〜95%の範囲で第2回の冷間
圧延を行い、次いで第2回の再結晶焼鈍を行い、さらに
5〜35%の調質圧延を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は製缶性と耐圧強度に優れ
たDI缶用鋼板の製造方法に関するものである。ここで
製缶性とは、深絞り加工性、しごき加工性およびネック
加工性を併せて言う。なお、本発明において用いる略語
の意味は以下のとおりである。
【0002】BH熱処理:210℃×5分の熱処理(印
刷時の塗装の焼付け処理に相当) YP(10%BH):伸び率10%の追加圧延予歪後B
H熱処理を行った後のYP Hv(70%BH):伸び率70%の追加圧延予歪後B
H熱処理を行った後のHv Hv値:ビッカース硬度値(試験荷重100g)
【0003】
【従来の技術】食缶および飲料缶等の金属容器は古くか
ら胴部、天部、地部の3部品より構成されるいわゆる3
ピース缶が主体であり、他方、深絞り加工等により胴部
と地部を一体成形したものと天部との2部品により構成
されるいわゆる2ピース缶がある。かかる2ピース缶は
缶としての機能が優れていることと、製缶能率が3ピー
ス缶に比べて高いという利点があるため、近年この製缶
法が主流になりつつある。
【0004】2ピース缶の中でも特にDI缶(Drawn an
d Ironed Can)においてはその製缶技術が急速に進歩し
てきた。また、DI缶に用いる鋼板については、缶の軽
量化によるコストダウンのため、板厚の減少(ゲージダ
ウン)が図られるとともに、耐圧強度を補うため鋼板の
硬質化が行われてきた。さらに、缶蓋に使用される素材
のコストダウンのため、缶胴径に対する缶開口部(ネッ
ク部)の小径化が行われているが、さらなるネック小径
化の進行も検討されている。
【0005】以上より、DI缶のコストダウンを進展さ
せ、より優れたDI缶を製造するのに用いられるDI缶
用鋼板には製缶時の深絞り加工性、しごき加工性および
ネック加工性を全て満足する特性が要求され、かつ製缶
後の耐圧強度の確保も重要となる。これら要求特性を個
々に満足させる鋼板としては、例えば深絞り加工性に関
連するイヤリングを低減する技術として、特公昭44−
17268号公報および特開平3−36215号公報に
記載される如く、冷間圧延率を規定することにより面内
異方性改善を試みる手段や、また、しごき加工性を良好
とする技術として、特開昭53−48913号公報に記
載される如く、ホウ素を添加して箱焼鈍を行うことによ
り鋼板を軟質化する手段等がある。
【0006】しかしながら、さらなるゲージダウン等に
よるDI缶の進展に対し、前述の全ての要求特性を同時
に満たす鋼板はまだない。特に製缶性と耐圧強度につい
ては、一方で軟質化が要求され、もう一方で硬質化が要
求されるという相反する課題を解決しなければならず、
いまだ十分な特性を備えたDI缶用鋼板の製造方法は提
案されていない。この問題を解決するため、製缶性と耐
圧強度に優れたDI缶用鋼板の製造方法の提供が産業界
から強く要望されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のDI缶に要求さ
れる特性について各々説明する。深絞り加工性に関して
は、限界絞り比とイヤリング率の改善が要求される。限
界絞り比はブランク径/ポンチ径で示され、鋼板の圧延
方法に対する各方向のr値の平均値(以下R値と記す)
と密接な関係があることが知られている。イヤリング率
は深絞り加工時に開口部に発生する「耳」の度合いのこ
とであり、鋼板の圧延方向に対する各方向のr値の異方
性(Δr値)と密接な関係がある。すなわち、絞り加工
性は鋼板のr値によって決まり、深絞り加工性の良い鋼
板とはR値がより高く、Δr値がより0に近い鋼板を指
す。さらに、R値の上昇により深絞り成形後の開口部の
板厚が薄くなり、しごき加工率低減によるネック加工部
の硬さ上昇を抑制する効果もある。
【0008】しごき加工性を表す指標としては、限界し
ごき率が用いられる。限界しごき率は、DI加工におけ
るしごき加工前後での板厚の比により表され、あるしご
き率以上に加工すると缶の側壁が引きちぎられ製缶不良
となる。しごき加工性を改善するには鋼中への添加元素
および介在物を極力少なくし、しごき加工中に不均一変
形の起点となる要因を極力排除することが重要となる。
【0009】ネック加工性は最近のゲージダウンの進展
により、その加工性向上への重要性が強調されてきてい
る。また、ネック加工性確保のためにはネック加工部の
軟質化が有効であることが知られている。ネック加工は
従来、缶胴径φ211(2+11/16)吋に対して缶
蓋径φ206(2+6/16)吋となる4段の多段ダイ
ネック加工が行われてきた。しかし、さらなる小径化の
要請からφ204(2+4/16)吋、およびそれ以下
となる5段以上のネック加工が検討され始めている。こ
の場合、現行材では「しわ」が発生するという問題があ
り、この問題が解決されないため、DI缶用鋼板のゲー
ジダウンが進行せず、DI缶のコストダウンが停滞して
いる。
【0010】なお、本発明者らの詳細な検討により、上
記のような厳しい条件でのネック加工性を表す指標とし
ては、Hv(70%BH)が的確であることを見出して
いる。耐圧強度の確保に関しては、従来、鋼板のゲージ
ダウンの際に併せて硬質化にて対処してきた。しかしな
がら、最近の製缶性確保の観点からは、必要以上の硬質
化は逆に弊害として現れる。さらにゲージダウンが進行
した場合においても、現状以上の硬質化は製缶性確保の
観点から不可能であるといえる。すなわち、今後のDI
缶のコストダウンに際し、現行材を用いてゲージダウン
と硬質化を行い、製缶性と耐圧強度の両者を確保するこ
とは相反する課題であり、不可能である。
【0011】なお、本発明者らの詳細な検討により、上
記のようなゲージダウンが進行した場合の耐圧強度を表
す指標としては、YP(10%BH)が的確であること
を見出している。以上述べたように、DI缶のコストダ
ウンを進展させ、より優れたDI缶を製造するために
は、上記問題点を同時に解決するような、製缶性と耐圧
強度に優れたDI缶用鋼板の製造方法の提供が強く要望
されている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を同時に解決し、さらなるゲージダウンにも耐え得る
DI缶用鋼板の製造方法について種々検討した。その結
果、製缶性と耐圧強度に優れたDI缶用鋼板の製造方法
を初めて見出したのである。本発明の要旨とするところ
は、以下のとおりである。
【0013】(1)鋼中の化学成分が重量%にて、C:
0.01%以下、Si:0.05%以下、Mn:0.5
%以下、P:0.03%以下、S:0.015%以下、
Al:0.01%以上0.1%以下、N:0.01%以
下を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる連続
鋳造鋳片を熱間圧延、酸洗した後、圧延率50〜85%
の範囲で第1回の冷間圧延を行い、次いで第1回の再結
晶焼鈍を行った後、圧延率70〜95%の範囲で第2回
の冷間圧延を行い、次いで第2回の再結晶焼鈍を行い、
さらに5〜35%の調質圧延を行うことを特徴とする製
缶性と耐圧強度に優れたDI缶用鋼板の製造方法。
【0014】(2)鋼中の化学成分が重量%にて、C:
0.01%以下、Si:0.05%以下、Mn:0.5
%以下、P:0.03%以下、S:0.015%以下、
Al:0.01%以上0.1%以下、N:0.01%以
下を含有し、さらに炭化物形成元素として、Ti、V、
Nbを0.005%以上0.50%以下、Cr、Moを
0.05%以上1.0%以下のうち少なくとも1種を含
有し、残部Feおよび不可避不純物からなる連続鋳造鋳
片を熱間圧延、酸洗した後、圧延率50〜85%の範囲
で第1回の冷間圧延を行い、次いで第1回の再結晶焼鈍
を行った後、圧延率70〜95%の範囲で第2回の冷間
圧延を行い、次いで第2回の再結晶焼鈍を行い、さらに
5〜35%の調質圧延を行うことを特徴とする製缶性と
耐圧強度に優れたDI缶用鋼板の製造方法。
【0015】(3)前項1または2の成分からなる鋼
に、さらにBを0.0003%以上0.01%以下添加
した連続鋳造鋳片を熱間圧延、酸洗した後、圧延率50
〜85%の範囲で第1回の冷間圧延を行い、次いで第1
回の再結晶焼鈍を行った後、圧延率70〜95%の範囲
で第2回の冷間圧延を行い、次いで第2回の再結晶焼鈍
を行い、さらに5〜35%の調質圧延を行うことを特徴
とする製缶性と耐圧強度に優れたDI缶用鋼板の製造方
法。
【0016】以下に本発明を詳細に説明する。まず、製
造工程について説明する。本発明に用いる製造工程は主
に深絞り加工性と耐圧強度を改善するための手段であ
る。図1に本発明と従来法による鋼板製造工程を比較し
て示す。本発明の製造工程を要約すると、所定成分の連
続鋳造鋳片を熱間圧延、酸洗した後、第1回の冷間圧延
を行い、次いで第1回の再結晶焼鈍を行った後、第2回
の冷間圧延を行い、次いで第2回の再結晶焼鈍を行い、
さらに調質圧延にて硬さを調整する行程である。なお、
各工程での本発明の限定理由を以下に述べるが、特に冷
間圧延率の限定理由は問題解決の基本となる鋼板の集合
組織の制御に関するものであり、本発明において特に重
要であるため、以下に詳細に述べる。
【0017】従来、鋼板を形成する集合組織において、
板面に対して平行な(111)面を持つ結晶組織が多い
ほどr値が高く、鋼板の深絞り等の加工性が良いとされ
ている。(111)面の多い結晶集合組織を持つ鋼板を
製造するにあたり、本発明者らは種々の鋼板、特にしご
き加工性およびネック加工性を確保でき、r値の向上に
関して有利な極低炭素材を用い、冷間圧延から再結晶焼
鈍における結晶集合組織の変化について詳細に調査し
た。
【0018】以下に本発明における製造工程中の結晶集
合組織の変化について記述する。先ず、熱延鋼板の結晶
組織は熱間圧延後γ−α変態が起こるためランダムであ
る。第1回冷間圧延を所定の圧下率とすることにより、
その集合組織は(211)〔011〕が主方位であり、
(011)〔110〕が副方位となる。その後の第1回
の再結晶焼鈍にて冷延集合組織の回転が起こり(11
1)〔110〕が一部と(554)〔225〕主体の再
結晶集合組織となる。
【0019】なお、1回冷間圧延、1回再結晶焼鈍によ
る通常の鋼板は、この方位を持つ集合組織となってお
り、加工性に有効な(111)を十分に備えておらず、
また面内異方性も大きい。第1回の再結晶焼鈍の後、第
2回の冷間圧延により(112)〔110〕と(11
1)〔110〕の中間にピークを持つ結晶方位となり、
その後、第2回目の再結晶焼鈍を行うことにより冷延集
合組織が回転し、全方位に(111)面を持つ再結晶集
合組織が形成されるため、R値が高く、Δrが極めて小
さい冷延鋼板となるのである。
【0020】また、この集合組織は以後の調質圧延にお
いても圧下率35%を超えない限り維持され、集合組織
に伴うR値が高く、Δrが極めて小さいという特性も維
持される。上記のように最終製品として最も優れた再結
晶集合組織を確保しようとした場合、自ずと各工程での
冷間圧延率の限定範囲が定まる。以下に説明すると、各
圧下率は次工程の再結晶焼鈍時の結晶粒成長による適切
な結晶集合組織を形成させ得る歪を付与するだけの圧下
量が必要となる。圧下率においては、第1回冷間圧延時
圧下率R1が50%未満になると結晶集合組織の形成に
必要な歪が付与されず、かつ第2回の冷間圧延時圧下率
R2が必然的に過大となり鋼板の形状矯正が困難となる
ため、R1の下限を50%とする。また、第1回冷間圧
延時圧下率R1は次行程での再結晶焼鈍による有効な結
晶集合組織確保の観点から制限され、85%を上限とす
る。よって、第1回冷間圧延時圧下率R1は50%以上
85%以下とする。
【0021】また、第2回の冷間圧延時圧下率R2につ
いては、熱延後板厚から製品板厚に至る全圧下率の関係
で第1回冷間圧延時圧下率R1が大になるに従い小とな
るが、R2が70%未満になると結晶集合組織の形成に
必要な歪が付与されない。また、第2回冷間圧延時圧下
率R2は有効な結晶集合組織確保および冷間圧延機の能
力等から制限され、95%が上限となる。よって、第2
回冷間圧延時圧下率R2は70%以上95%以下とす
る。
【0022】図2に上記の優れた特性を可能とする第
1、2回の冷間圧延率の組み合わせ範囲を示す。さら
に、調質圧延は本発明を構成する上で耐圧強度確保に関
して重要な役割を果たし、その圧下率は耐圧強度確保と
深絞り性向上のための集合組織維持の観点から限定さ
れ、5%未満では耐圧強度に必要な極低炭素鋼板の硬さ
が確保されず、35%を超えると深絞り加工性に有効な
(111)面をもつ結晶集合組織が破壊される。よっ
て、調質圧延時圧下率は5%以上35%以下とする。
【0023】なお、上記第1回冷間圧延行程よりも前行
程に行われる鋳片の製造条件は、各請求項記載の成分が
得られる方法であれば如何なる方法でもよく、鋳片製造
の後行程における熱間圧延、酸洗条件は如何なるもので
あっても本発明の効果を消失するものではないため、こ
れらを特に規定しない。また、各冷間圧延後の再結晶焼
鈍に関しては、再結晶温度以上の熱履歴が確保され、十
分な組織確保が行われていれば、箱焼鈍、連続焼鈍等そ
の焼鈍方法により本発明の効果が消失することはないた
め特に規定しないが、生産性確保のためには連続焼鈍が
好ましい。
【0024】次に鋼中化学成分値の限定理由について詳
細に説明する。本発明の成分限定範囲は主にしごき加工
性とネック加工性を改善するための手段である。Cは本
発明の構成条件において重要な役割を示し、0.01%
を超えると不均一変形の起点となる炭化物が増加し、鋼
板が硬質化するため、しごき加工性を極端に悪化させ
る。また、しごき加工率を増加させた場合の硬さ上昇が
大きく、ネック加工部が硬質化し、ネック加工時にしわ
の発生する割合が高くなる。さらに、r値の向上に関し
ては極低炭材ほど有利となる。以上を考慮し、Cの上限
を0.01%とした。
【0025】Siは溶鋼の脱酸を主な目的として添加さ
れるが、多量に添加し過ぎると延性を低下させる。本発
明鋼においては、通常の冷延鋼板に含まれる量の0.0
5%以下の範囲であれば上記の目的は十分に達成され
る。Mnは熱間脆性の防止を主な目的として添加される
が、0.5%を超えると素材が硬質化し、しごき加工性
およびネック加工性を悪化させる。
【0026】Alは溶鋼の脱酸および窒素の固定を目的
に添加されるが、Al量が0.01%未満ではこの目的
が十分に達成されない。また、Al量が0.1%を超え
るとその効果が飽和するとともに、非金属介在物を増加
させて表面傷の原因となるので、Al量は0.01以上
0.10%以下とする。Pは、多量に添加すると降伏強
度(YP)および引張強度を高めることとなり、また極
低炭素鋼においては、粒界への偏析を招いて二次加工割
れの原因となるため、その含有量の上限を0.03%と
する。なお、現在の鋼の製造能力では、Pを0.001
%未満とすることはコスト上昇が大きくなり、経済性上
好ましくない。
【0027】NはCと同様加工性を悪化させるので、そ
の上限を0.01%とする。なお、現在の鋼の製造能力
では、Nを0.0005%未満とすることはコスト上昇
が大きくなり、経済性上好ましくない。Sは鋼板の耐食
性に大きく影響を及ぼす元素であり、0.015%以下
とすることによりその弊害は回避できる。なお、現在の
鋼の製造能力では、Sを0.001%未満とすることは
コスト上昇が大きくなり、経済性上好ましくない。
【0028】以上述べたところに加えて、炭化物形成元
素として、Ti、V、Nbは0.005%以上0.50
%以下、Cr、Moは0.05%以上1.0%以下を少
なくとも1種添加することによりCを固定し、BH熱処
理時の硬質化を抑制し、ネック加工部を軟質化する役割
を果たす。それぞれの元素において上記添加量の下限を
下回る量は不純物として鋼中に存在し、かつ得られる効
果がない。また、上限を超える添加は効果が飽和すると
ともに鋼が硬質化し、ネック加工性を悪化させる。
【0029】さらに、加工が厳しくなった場合のネック
加工等による二次加工割れを防止する目的で、上記鋼に
Bを0.0003%以上0.01%以下添加しても本発
明の効果は何ら阻害されるものではない。Bの添加量に
ついては上記下限を下回る量は不純物として鋼中に存在
し、かつ得られる効果がなく、また上限を超える添加は
効果が飽和し、経済的に不利となる。
【0030】本発明においては、以上述べた特定の製造
方法による絞り加工性向上と耐圧強度の確保、および特
定の成分によるしごき加工性とネック加工性の向上とに
よる個々の効果が挙げられ、さらにこれらに対して相互
作用が働く。その相互作用は、成分範囲を極低炭素とす
ることにより、本製造法によるr値の改善(特に(11
1)面を持つ集合組織の有効形成)を効果的にして深絞
り性をさらに向上させる。また、r値の向上により、絞
り加工時の開口部の板厚を薄くでき、しごき加工率を低
減してネック部の硬質化が抑制される。さらに、Δrの
改善によりイヤリングを小さくでき、円周方向での板厚
が均一となり、しごき加工率が円周方向で均一となるた
め、ネック加工時の変形が均一となり、ネック加工性が
向上する。
【0031】さらに、本発明者らは種々の鋼板を用い
て、鋼板の特性と耐圧強度並びにネック加工性の関係に
ついて詳細に検討した。その結果、薄肉化およびネック
小径化を考慮したDI缶の耐圧強度とネック加工性を表
す指標として、YP(10%BH)とHv(70%B
H)が的確な指標となることを見出した。なお、耐圧強
度の指標となるYP(10%BH)は39kg/mm2以上に
て所望の耐圧強度が確保でき、ネック加工性の指標とな
るHv(70%BH)は195以下にて所望のネック加
工性が確保できる。
【0032】また、本発明の製造方法を用いた鋼板では
YP(10%BH)とHv(70%BH)が上記所望の
値を満足できる。この理由は明確でないが、本発明の製
造方法を用いることにより、極低炭素材においても適当
量の調質圧延によりYP(10%BH)が39kg/mm2
上を満足し、また極低炭素材の集合組織の形成状況とD
I加工による硬さの増加を考慮することによりHv(7
0%BH)が195以下を満足するものと考えている。
【0033】図3は、本発明の成分を満たす種々のDI
缶用鋼板を用いて、より厳しい条件(例えば5段ネック
加工にてφ204(2+4/16)吋の缶蓋径)にてD
I缶を試作し、ネックしわ発生率(=ネック加工性)と
それらDI缶用鋼板のHv(70%BH)との関係を示
したものである。この図よりHv(70%BH)を低く
することによりネックしわ発生率を抑制することがで
き、Hv(70%BH)を195以下とすることにより
所定のネック加工性が得られることがわかる。
【0034】図4は、本発明鋼と従来DI缶用鋼板の加
工率によるHv(BH熱処理)の変化を示したものであ
る。本発明鋼は鋼中成分を極低炭素としているため、加
工率増加によるHv(BH熱処理)の増加量が従来DI
缶用鋼板に比べて小さく、70%加工+BH熱処理後の
Hv値は195以下となり、ネック加工性を確保できる
ことがわかる。これは、鋼中の炭素を極低炭素化し、鋼
中の添加成分による集合組織内での歪みや、それを起点
とした加工による転位の増加を抑制することにより、D
I加工による加工硬化を抑えることができ、このため、
従来材と同量以上のDI加工を行った際も、本発明鋼は
従来材よりもネック加工部が軟質となるものと考えられ
る。
【0035】図5は、種々のDI缶用鋼板を用いて、よ
り厳しい条件にてDI缶を試作し、耐圧強度とそれらD
I缶用鋼板のYP(10%BH)との関係を示したもの
である。この図よりYP(10%BH)を39kg/mm2
上とすることにより所定の耐圧強度が確保できることが
わかる。以上説明したように、本発明の特徴は成分範囲
と製造工程を組み合わせることによる相互作用により、
深絞り加工性、しごき加工性、ネック加工性からなる製
缶性の向上と、耐圧強度の確保を両立可能なDI缶用鋼
板を得るものである。
【0036】なお、本発明法を用いて製造した鋼板をD
I加工に用いる際に施される表面処理に関しては、その
方法、種類、片・両面、単・複層等を問わないが、例え
ば錫めっき、クロム酸めっきおよび高分子有機被膜等が
あり、DI缶用鋼板に用いる如何なる種類の表面処理で
あっても本発明の効果は発揮される。
【0037】
【実施例】
(実施例1)表1、表2(表1のつづき)に示すA1〜
G6の化学成分を添加した鋼をそれぞれ実炉にて溶製
し、加熱温度1250℃にて熱間鍛造した後、仕上温度
880〜940℃、巻取温度650〜750℃にて熱間
圧延し、板厚1.6〜10mmの熱延板とした。以下、こ
れらの熱延板を酸洗した後、種々の冷延率にて第1回の
冷間圧延を行い、各冷延板について焼鈍温度700〜8
30℃にて第1回の再結晶焼鈍を行った。その後、種々
の冷延率にて第2回の冷間圧延を行い、各冷延板につい
て焼鈍温度700〜830℃にて第2回の再結晶焼鈍を
行った。さらに、焼鈍後の硬さに応じて40%以下の調
質圧延を行い、板厚0.23mmの各種硬さの鋼板とし、
錫メッキを施すことによりDI缶用鋼板に仕上げた。
【0038】上記工程を経て作製したDI缶用鋼板につ
いて製缶性について評価した。深絞り加工性の評価とし
て圧延方向に対する各方向のr値を測定し、R値および
Δr値を求めた。また、しごき加工性評価として限界し
ごき率を測定した。さらに、これら鋼板を缶胴径φ21
1吋の缶にDI加工し、塗装後、210℃×5分間の焼
付け処理を行った。その後、缶蓋径φ204吋への5段
ネック加工を行い、ネックしわ発生状況を調査し、ネッ
ク加工性を評価した。さらに、このDI缶を用いて耐圧
強度を測定し、それぞれ評価を行った。結果を表3、表
4(表3のつづき−1)、表5(表3のつづき−2)、
表6(表3のつづき−3)に示す。
【0039】表3〜表6に示されるように、試料番号1
〜32の本発明の製造方法を用いて作製した鋼板は、製
缶性を表す深絞り加工性(R値、Δr値)、しごき加工
性(限界しごき率)およびネック加工性(Hv(70%
BH)、ネックしわ発生率)に優れ、かつ耐圧強度(Y
P(10%BH)、耐圧強度)も確保されている。しか
し、本発明の範囲外にて作製した試料番号33〜49の
比較鋼は、製缶性と耐圧強度を両立して満足できていな
いことがわかる。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】(注1)R値(r値の平均値)の測定およ
び評価法 供試材における冷間圧延方向に対し、0゜、45゜、9
0゜方向のr値を測定し、下式(1)にて求める。評価
においては、R値が1.3以上の場合を○とし、1.2
以下のものを×とした。 R=(r0°+2×r45°+r90°)/4 …(1) (注2)Δr(r値の異方性)の測定および評価法 供試材における冷間圧延方向に対し、0゜、45゜、9
0゜方向のr値を測定し、下式(2)にて求める。評価
においては、−0.1≦Δr≦0.1の範囲のものを○
とし、それを超えるものを×とした。
【0047】 Δr=(r0°−2×r45°+r90°)/2 …(2) (注3)しごき加工性の測定および評価法 限界しごき率80%以上を○(合格)、79%以下を×
(不合格)とした。 (注4)ネック加工性の評価法 Hv(70%BH)が195以下であるもの、およびネ
ック加工においてしわ発生率が5%以下のものを○(合
格)、しわ発生率が5%超のものを×(不合格)とし
た。
【0048】(注5)耐圧強度の評価法 YP(10%BH)が39kg/mm2以下のもの、および製
缶後の耐圧強度が6.4kg/mm2以上のものを○(合
格)、製缶後の耐圧強度が6.3kg/mm2以下のものを×
(不合格)とした。
【0049】
【発明の効果】本発明の製造方法を用いて製造した製缶
性(深絞り加工性、しごき加工性およびネック加工性)
と耐圧強度に優れるDI缶用鋼板は、さらなるゲージダ
ウンおよびより厳しい条件でのネック加工が行われるD
I缶に適用されることにより、極めて優れた効果が発揮
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法と従来法の鋼板製造工程の比較を示す
図である。
【図2】第1回の冷間圧延時圧下率R1と第2回冷間圧
延時圧下率R2の組み合わせによる本発明の範囲を示す
図である。
【図3】Hv(70%BH)とネックしわ発生率の関係
を示す図である。
【図4】本発明鋼と比較鋼において加工率によるHv
(BH熱処理)の変化を比較した図である。
【図5】YP(10%BH)と耐圧強度の関係を示す図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/28 // B21D 22/20 E 8315−4E

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼中の化学成分が重量%にて、 C:0.01%以下、 Si:0.05%以下、 Mn:0.5%以下、 P:0.03%以下、 S:0.015%以下、 Al:0.01%以上0.1%以下、 N:0.01%以下 を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる連続鋳
    造鋳片を熱間圧延、酸洗した後、圧延率50〜85%の
    範囲で第1回の冷間圧延を行い、次いで第1回の再結晶
    焼鈍を行った後、圧延率70〜95%の範囲で第2回の
    冷間圧延を行い、次いで第2回の再結晶焼鈍を行い、さ
    らに5〜35%の調質圧延を行うことを特徴とする製缶
    性と耐圧強度に優れたDI缶用鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 鋼中の化学成分が重量%にて、 C:0.01%以下、 Si:0.05%以下、 Mn:0.5%以下、 P:0.03%以下、 S:0.015%以下、 Al:0.01%以上0.1%以下、 N:0.01%以下 を含有し、さらに炭化物形成元素として、Ti、V、N
    bを0.005%以上0.50%以下、Cr、Moを
    0.05%以上1.0%以下のうち少なくとも1種を含
    有し、残部Feおよび不可避不純物からなる連続鋳造鋳
    片を熱間圧延、酸洗した後、圧延率50〜85%の範囲
    で第1回の冷間圧延を行い、次いで第1回の再結晶焼鈍
    を行った後、圧延率70〜95%の範囲で第2回の冷間
    圧延を行い、次いで第2回の再結晶焼鈍を行い、さらに
    5〜35%の調質圧延を行うことを特徴とする製缶性と
    耐圧強度に優れたDI缶用鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2の成分からなる鋼に、
    さらにBを0.0003%以上0.01%以下添加した
    連続鋳造鋳片を熱間圧延、酸洗した後、圧延率50〜8
    5%の範囲で第1回の冷間圧延を行い、次いで第1回の
    再結晶焼鈍を行った後、圧延率70〜95%の範囲で第
    2回の冷間圧延を行い、次いで第2回の再結晶焼鈍を行
    い、さらに5〜35%の調質圧延を行うことを特徴とす
    る製缶性と耐圧強度に優れたDI缶用鋼板の製造方法。
JP6193432A 1994-08-17 1994-08-17 製缶性と耐圧強度に優れたdi缶用鋼板の製造方法 Withdrawn JPH0860242A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6193432A JPH0860242A (ja) 1994-08-17 1994-08-17 製缶性と耐圧強度に優れたdi缶用鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6193432A JPH0860242A (ja) 1994-08-17 1994-08-17 製缶性と耐圧強度に優れたdi缶用鋼板の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0860242A true JPH0860242A (ja) 1996-03-05

Family

ID=16307889

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6193432A Withdrawn JPH0860242A (ja) 1994-08-17 1994-08-17 製缶性と耐圧強度に優れたdi缶用鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0860242A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1002884A1 (en) * 1998-04-27 2000-05-24 Nkk Corporation Cold rolled steel plate of excellent moldability, panel shape characteristics and denting resistance, molten zinc plated steel plate, and method of manufacturing these steel plates
JP2001059135A (ja) * 1996-03-15 2001-03-06 Kawasaki Steel Corp 極薄鋼板用熱延鋼板およびその製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001059135A (ja) * 1996-03-15 2001-03-06 Kawasaki Steel Corp 極薄鋼板用熱延鋼板およびその製造方法
JP4538914B2 (ja) * 1996-03-15 2010-09-08 Jfeスチール株式会社 極薄鋼板用熱延鋼板の製造方法
EP1002884A1 (en) * 1998-04-27 2000-05-24 Nkk Corporation Cold rolled steel plate of excellent moldability, panel shape characteristics and denting resistance, molten zinc plated steel plate, and method of manufacturing these steel plates
EP1002884A4 (en) * 1998-04-27 2006-04-05 Nippon Kokan Kk COLD-ROLLED STEEL PLATE HAVING EXCELLENT MOLDING AND PANEL FORMABILITY FEATURES, GOOD RESISTANCE TO CONSTRICTION, MOLDED ZINC-PLATED STEEL PLATE AND METHOD OF MANUFACTURING THE SAME

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2415893B1 (en) Steel sheet excellent in workability and method for producing the same
JP2001107186A (ja) 高強度缶用鋼板およびその製造方法
JP4284815B2 (ja) 高強度缶用鋼板およびその製造方法
JP4102284B2 (ja) {100}<011>方位の発達した形状凍結性に優れた冷延鋼板の製造方法
CN108570603A (zh) 一种喷雾罐用电镀锡钢板及其生产方法
JP3826442B2 (ja) 加工性が良好でかつ肌荒れのない製缶用鋼板の製造方 法
CN107541663A (zh) 一种饮料罐用电镀锡钢板及其生产方法
CN112501513B (zh) 一种成形性能和表面质量优良的低碳酸洗钢及生产方法
JPH0676618B2 (ja) 伸びフランジ成形性の優れたdi缶用鋼板の製造法
JP2004124123A (ja) 加工性と形状凍結性に優れた低降伏比型高強度冷延鋼板及びその製造方法
JPH055887B2 (ja)
JPH06248332A (ja) 容器用鋼板の製造方法
JPH0860242A (ja) 製缶性と耐圧強度に優れたdi缶用鋼板の製造方法
JP3718865B2 (ja) ボトム耐圧強度に優れた軽量缶の製造方法
CN111763875A (zh) 一种瓶盖用高硬度冷轧电镀锡基板及其生产方法
JP3418928B2 (ja) 冷間鍛造用フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法
JP3422852B2 (ja) 缶用鋼板の製造方法
JP3735142B2 (ja) 成形性に優れた熱延鋼板の製造方法
JPH08127816A (ja) 耐しわ性にすぐれた容器用原板の製造方法
JP2004131754A (ja) 加工性と形状凍結性に優れた冷延鋼板及びその製造方法
JP2004131771A (ja) 形状凍結性に優れた冷延鋼板の製造方法
CN109385569A (zh) 一种高硬度冷轧电镀锡钢板及其生产方法
JP3257390B2 (ja) 面内異方性の小さい2ピース缶用鋼板の製造方法
JPH08283863A (ja) 材質均一性に優れた硬質缶用鋼板の製造方法
JP3407531B2 (ja) 面内異方性の小さい2ピース缶用極薄鋼板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20011106