JPH085690A - 絶縁体中の空間電荷測定方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、絶縁体の局部的な空間電荷量を測
定するようにした空間電荷測定方法を提供せんとするも
のである。 【構成】 本発明は、試料の絶縁体Ｉをパルス発生部１
に接続された両電極２，３で挟み込むと共に、一方の電
極３の非絶縁体側には検出素子４を取り付け、前記他方
の電極２からパルス信号を前記絶縁体Ｉ中に送り込み、
これによる前記一方の電極３の振動を前記検出素子４で
検知して空間電荷量を測定する方法において、前記一方
の電極３の非絶縁体側に、前記試料の大きさに対して十
分小さい複数個の検出素子４を取り付け、絶縁体Ｉ中の
局部的な空間電荷量を測定するようにした絶縁体中の空
間電荷測定方法にある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、絶縁体試料の局部的な
空間電荷量を測定するようにした空間電荷測定方法に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、絶縁体中の空間電荷を測定するに
は、一般に図５に示した如き装置系を用い、パルス静電
応力法という方法で行っている。このパルス静電応力法
では、測定対象となる試料の絶縁体Ｉをパルス発生部１
に接続された両電極２，３で挟み込むと共に、一方の電
極３の非絶縁体側には１枚（１個）の圧電素子などの検
出素子４を取り付け、上記他方の電極２からパルス信号
を絶縁体Ｉ中に送り込み、これによる上記一方の電極３
の振動を検出素子４で受け、この検出素子４での電気信
号を増幅部５などで増幅した後、オシロシコープなどの
表示部６や記録部など捉えて、絶縁体Ｉ中の空間電荷量
を測定している。例えば、試料の絶縁体Ｉ中の一部にボ
イド（気孔）などが存在すると（空間電荷の偏在する部
分があると）、この部分におけるパルス信号の伝達状態
が、音響波などの発生によって、他の非ボイド部分とは
異なった挙動をとるため、この変化が検出素子４によっ
て捉えられるようになっている。なお、同図において、
７は検出素子４の非電極側に設けた振動吸収部である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このような検出素子４
の働きによって、絶縁体Ｉ中の空間電荷量の測定は容易
に行えるものの、上記従来方法では、電極３に取り付け
られる検出素子４が１個で、ほぼ絶縁体試料と同一大き
さであるため、絶縁体Ｉ全面の平均化された空間電荷量
しか判らないという問題があった。

【０００４】本発明は、このような従来の実情に鑑みて
なされたもので、検出素子の大きさを絶縁体試料の大き
さに対して十分小さくして、絶縁体の各部における局部
的な空間電荷量を測定することができるようにした絶縁
体中の空間電荷測定方法を提供せんとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】かゝる本発明の特徴とす
る点は、試料の絶縁体をパルス発生部に接続された両電
極で挟み込むと共に、一方の電極の非絶縁体側には空間
電荷測定用の検出素子を取り付け、前記他方の電極から
パルス信号を前記絶縁体中に送り込み、これによる前記
一方の電極の振動を前記検出素子で検知して空間電荷量
を測定する方法において、前記一方の電極の非絶縁体側
に、前記試料の大きさに対して十分小さい複数個の検出
素子を取り付け、あるいは同じく前記試料の大きさに対
して十分小さい１個ないし複数組みの検出素子を移動設
置させて、前記絶縁体中の局部的な空間電荷量を測定す
るようにした絶縁体中の空間電荷測定方法にある。

【０００６】

【作用】このように絶縁体試料の大きさに対して十分小
さい検出素子を用い、これらの複数個を電極面に取り付
けたり、あるいは１個ないし複数組みの検出素子を移動
設置させることによって、絶縁体の局部的な空間電荷量
を自在に測定することができる。

【０００７】

【実施例】図１は、本発明に係る絶縁体中の空間電荷測
定方法を実施するための装置系の一例を示したもので、
基本的には、上述した図５の装置系と同様である。した
がって、図１中同一構成部分には図５と同一符号を付し
てある。ただ、本発明の場合、絶縁体Ｉの大きさに対し
て十分小さい検出素子４を用い、これらの複数個の検出
素子４を絶縁部材８などを介して電極３の非絶縁体側に
取り付け、これらの各検出素子４からの電気信号を増幅
部５を通じてオシロシコープなどの表示部６で表示させ
たり、あるいは他の記録部などで記録させるようになっ
ている。

【０００８】上記各検出素子４の配置は、特に限定され
ないが、図２に示したように、例えば振動吸収部７など
のベース部分に各検出素子４を市松模様状に配置した検
出素子配置ユニット９として提供するとよい。このよう
な各検出素子４の配置によって、絶縁体Ｉの全面におい
て、いずれの部分にボイドなどの異常箇所があるかなど
が分かる。つまり、絶縁体Ｉの全面における局部的な空
間電荷量の測定が可能となる。

【０００９】上記のような市松模様状の検出素子配置ユ
ニット９の場合、絶縁部材８などが介在される検出素子
４のない部分（図２中の空白部分）では、絶縁体Ｉの空
間電荷量が測定はできないので、より木目の細かい完全
な測定を行うためには、上記検出素子４のない空白部分
に丁度検出素子４が配置される、別の市松模様状の検出
素子配置ユニット（補完用のユニット）を用意し、最初
の測定の完了後、この別の検出素子配置ユニットをセッ
トし直して再度測定すれば、ほぼすべての絶縁体Ｉの面
にわったて、空間電荷量を測定することが可能となる。
もちろん、上記絶縁部材８の部分の占有面積を極力小さ
くした検出素子配置ユニットで対応するさともできる。

【００１０】このように絶縁体の全面にわたる測定にあ
たっては、上記のような多数の圧電素子からなる市松模
様状などの検出素子配置ユニット９や補完用のユニット
を用いる場合の他に、例えば図３に示したように、複数
組みの検出素子４を配列した移動ユニット１０を用い
て、この移動ユニット１０を絶縁体の全面にわたって移
動させて行えばよい。もちろん、図４に示したように、
１個の検出素子を移動させて行うことも可能である。

【００１１】

【発明の効果】このように本発明に係る絶縁体中の空間
電荷測定方法によれば、測定試料の絶縁体の大きさに対
して十分小さい検出素子を用い、これらの複数個の検出
素子を電極面に取り付けたり、あるいは１個ないし複数
組みの検出素子を電極面に移動設置させることによっ
て、絶縁体の局部的な空間電荷量を自在に測定すること
ができる。

【００１２】このとき、多数の検出素子を市松模様状な
どに配置した検出素子配置ユニットを用いれば、１度の
測定で絶縁体全面の広範な範囲が測定できるため、極め
て良好な作業性が得られる。また、この検出素子配置ユ
ニットとして、絶縁部材部分の占有面積を極力小さくし
たものを用意したり、あるいは非検出素子部分を相互に
補完する少なくとも２個のユニットを用意すれば、絶縁
体のほぼ全面を完全に測定することができる。

【００１３】また、絶縁体全面の測定にあたって、１個
ないし複数組みの検出素子を移動設置する場合、低コス
トの装置系で対応することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る絶縁体中の空間電荷測定方法を実
施するための装置系の一実施例を示した概略説明図であ
る。

【図２】本発明に係る絶縁体中の空間電荷測定方法で用
いる検出素子配置ユニットの一例を示した概略説明図で
ある。

【図３】本発明に係る絶縁体中の空間電荷測定方法で用
いる検出素子の移動ユニットの一例を示した概略説明図
である。

【図４】本発明に係る絶縁体中の空間電荷測定方法を１
個の検出素子の移動によって行う場合を示した概念図で
ある。

【図５】一般的な絶縁体中の空間電荷測定方法を実施す
るための装置系の一例を示した概略説明図である。

【符号の説明】

１ パルス発生部 ２，３ 電極 ４ 検出素子 ５ 増幅部 ６ 表示部 ７ 振動吸収部 ８ 絶縁部材 ９ 検出素子配置ユニット １０ 移動ユニット Ｉ 試料（絶縁体）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 試料の絶縁体をパルス発生部に接続され
   た両電極で挟み込むと共に、一方の電極の非絶縁体側に
   は空間電荷測定用の検出素子を取り付け、前記他方の電
   極からパルス信号を前記絶縁体中に送り込み、これによ
   る前記一方の電極の振動を前記検出素子で検知して空間
   電荷量を測定する方法において、 前記一方の電極の非絶縁体側に、前記試料の大きさに対
   して十分小さい複数個の検出素子を取り付けて、前記絶
   縁体中の局部的な空間電荷量を測定するようにしたこと
   を特徴とする絶縁体中の空間電荷測定方法。
2. 【請求項２】 試料の絶縁体をパルス発生部に接続され
   た両電極で挟み込むと共に、一方の電極の非絶縁体側に
   は空間電荷測定用の検出素子を取り付け、前記他方の電
   極からパルス信号を前記絶縁体中に送り込み、これによ
   る前記一方の電極の振動を前記検出素子で検知して空間
   電荷量を測定する方法において、 前記一方の電極の非絶縁体側に、前記試料の大きさに対
   して十分小さい１個ないし複数組みの検出素子を移動設
   置させて、前記絶縁体中の局部的な空間電荷量を測定す
   るようにしたことを特徴とする絶縁体中の空間電荷測定
   方法。