【発明の詳細な説明】
スキーを製造する方法
本発明は、実質的にスチールエッジとソール部と底部帯状体とからなる下部組
立体と、実質的に上部帯状体と心材とからなる上部組立体と、スキー本体で上部
組立体部の全体を覆う被覆シートとを備えたスキー、好ましくはアルペンスキー
を製造する方法に関するものである。
こうした構造様式のスキーは益々製造されており、”外皮スキー”又は”キャ
ップスキー”と称される。外皮スキーを製造する場合造形は、通常、下型と上型
とで構成される金型のキャビティ内で行われる。
このような外皮スキーの製造方法に関しては既にさまざまな提案、例えば(ス
キーの支持構造となる)スキー素材上にRIM(反応射出成形)法でプラスチック
被覆を成形する方法が公知である。装飾はこの場合、3次元構成のスキー上面に
追加塗布されねばならない(オーストリア公告特許公報第390196号)。別
の公知の提案によれば、そのために独自に設けられる金型のなかで、場合によっ
ては繊維強化プラスチックから、フランジ状側縁付きで外皮状上部パーツが製造
され、それもしかもスキー心材と一緒にか又は単に外皮として製造され、こうし
て予め作製されたスキー上部がやはり予め作製されるスキー下部に接合される。
スキー上部がまず単に外皮として作製された場合、スキー下部に接合された後、
これによって形成される包囲された空空間が発泡充填されてスキー心材が形成さ
れる。スキーを装飾するために、好ましくは、外皮に塗布される特別の装飾層が
設けられている(欧州公開特許公報第394835号)。
更に別の公知の方法では、多層外皮材料が平らな構成で下型のキャビティ部に
載置され、平らな外皮材料の縁部分が最初はキャビティから横に張り出し、次に
外皮材料は予め作製されるスキー心材によってキャビティ内が加圧され、これに
より外皮は最終形状とされ、最後にスキー下部に接合され、例えば貼付けられる
(ドイツ特許公報第38 03 483号)。更に別の公知の提案では、プラスチックか
らなる柔軟な肉薄シートが上型のキャビティに入れられ、シートがキャビティの
壁に密着する。こうして内張りされた上型は次に、スキー支持構造を受容する下
型に載置され、残存するキャビティにフォームプラスチックが充填される。装飾
はこの操作の実行前又は実行後に被覆シートに塗布することができる(欧州公開
特許公報第498 963号)。更に、スキー下部組立体の部材(ソール部、底部帯状
体、スチールエッジ)が下型のくぼみに入れられ、更に装飾シートと補強層と密
封層とからなる被覆材料が、予め作製した湾曲形状で載置され、金型を閉じた後
に多層被覆材料が上型と下型との間の縁間隙内に入り、フォームプラスチック又
はフォーム形成成分の注入時この縁間隙から引き出されることが公知である(フ
ランス公開特許公報第2 678 543号)。
本発明による方法はやはり公知の仕方で下型と上型とで構成される金型を用い
て行われ、被覆シートの片面が強度を支える材料である少なくとも1つの補強層
に接合され、次にスキー下部組立体の部材(ソール部、底部帯状体、スチールエ
ッジ)がそのくぼみに入れられている下型に被覆シートは補強層を下向きにして
載置され、被覆シートの側縁が下型のくぼみの側縁から張り出し、更に、スキー
本体の側面及び表面輪郭に一致したキャビティを有する上型が下型に載置され、
被覆シートの張り出した縁が上型と下型との間の縁間隙のなかで、挟み付けられ
ることなく位置決めされ、最後に補強層とスキー下部組立体との間にフォームプ
ラスチックが、場合によってはフォームプラスチック形成成分の形で注入され、
上型と下型との間の縁間隙内にある被覆シートの縁帯域が少なくとも部分的に縁
間隙から引き出され、被覆シートが上型の金型内壁に当接する。
本発明の課題は、このような外皮スキー製造方法を改良して、このような方法
の公知の諸構成に比べて簡素化することである。
これは、本発明によれば、場合によっては装飾及び/又は外部保護シートを備
えたプラスチックからなる被覆シートが平らな構成で少なくとも1つの補強層と
接合されて外皮複合材料とされ、次に金型を閉じて外皮複合材料の側縁が上型と
下型との間の縁間隙のなかで、挟み付けられることなく位置決めされて間隙を充
填し、引き続きフォームプラスチックを注入するとき外皮複合材料が上型の金型
内壁に当接することによって達成される。
本発明による方法では、伸長又は延伸が生じず、場合によって被覆シートに被
着される装飾の歪みが生じることもない。更に、本発明による製造方法では予め
作製された心材が使用されるのでなく、フォームプラスチック心材が注入される
ので、更には外皮を予め成形しなければならないのではないので、多種多様な3
次元構成のスキーに適した特に簡単で合理的な製造方式が得られる。
好ましくは被覆シートに単層又は多層の補強層が接合され、補強層の幅が被覆
シートの幅よりも小さく、こうして形成される外皮複合材料の側縁が、場合によ
って保護シートを備えた被覆シートのみによって形成され、それ故に被覆シート
のみが、場合によっては保護シートと一緒に、上型と下型との間の縁間隙のなか
で、挟み付けられることなく位置決めされる。これにより、キャビティに向かっ
て間隙を密封するための好ましい条件が得られる。
プラスチックからなる被覆シートは充分な柔軟性を有していなければならず、
それ故に比較的肉薄で、例えば1.0mm未満、好ましくは約0.5mmの厚さとすべきで
あり、弾性率5000N/mm2未満、好ましくはI000N/mm2〜3000N/mm2のプラスチック
材料で構成すべきである。非強化プラスチック、好ましくは熱可塑性プラスチッ
ク、例えばABS共重合体又はポリアミドがこうしたものに含まれる。
場合によって被覆シートの外面に設けられる保護シートは、例えば、厚さ約0.
1mmの易可剥性粘着性ポリエチレンシートとすることができる。保護シートは、
スキーを仕上げた後、いまや外皮状に成形された被覆シートから引き剥がされる
。
なお平らな構成で被覆シートに接合されるべき上部帯状体として働く補強層の
ための強度を支える材料として、例えば繊維強化プラスチックが考えられ、層を
被覆シートに(例えば貼付けによって)接合するときプラスチックは既に硬化さ
れておくことができる。しかしそうする代わりに、繊維強化プラスチックからな
る層はまずプリプレグとして被覆シートに接合することができ、次に、金型を閉
じて注入されるフォームプラスチックの硬化と同時にプリプレグの硬化も行われ
る。プリプレグを使用する利点はその柔軟性にある。ちなみに、下部組立体の底
部帯状体層もプリプレグとして下型に入れることができる。しかし被覆シートに
接合される補強層及び/又は底部帯状体層は、基本的に、好ましくはアルミニウ
ム合金からなる金属層、又は金属及び/又は繊維強化プラスチックからなる二重
層又は多重層とすることができる。
補強層に接合される被覆シートは、少なくとも近似的に平らに、又は(特別の
予備成形なしに)シートの縁が下型の側部型閉面に設けられる突起で支えられる
ように、なお開口している下型に載置される。左型閉面の突起(単・複)と右型
閉面の突起(単・複)との間の間隔が被覆シートの幅よりも小さく、被覆シート
は湾曲を強いられる。これにより、金型を閉じた後、下型内に入れられたスキー
下部組立体と補強層に接合される被覆シートとの間に既に一定の空隙が生じ、こ
の空隙がフォームプラスチックの注入を容易とする。
注入されるフォームプラスチックは、例えば、ポリウレタンを基とするフォー
ムプラスチックとすることができ、硬化状態のとき好ましくは0.3〜0.7g/cm3の
密度とすることができる。好ましくは、硬化時に圧縮された縁帯域を生じる一体
硬質フォームプラスチックが使用される。これらの圧縮された縁帯域は密度が約
1g/cm3以上であり、製造用金型の加熱される金型壁の近傍にある縁帯域範囲で
密度が高い。
本発明による方法を実施するのに役立つ装置は、被覆シートを整えて印刷する
作業部と補強層を被覆シートに接合する作業部との他に実質的に2部分からなる
加熱可能な金型からなり、下型はスキー下部組立体の部材(ソール部、底部帯状
体、スチールエッジ)を受容するくぼみを有し、上型のキャビティはスキーの3
次元側面及び/又は表面輪郭に応じて形成されている。これは公知の技術の現状
に基本的に一致する。
本発明による1展開では、金型を閉じたとき型閉面のうち被覆シートの縁帯域
を受容する範囲に止めによって限定される間隙が生じるように、下型及び上型の
側部型閉面は形成されており、間隙の高さは外皮複合材料の厚さ、好ましくは被
覆シート(場合によっては保護シートと一緒に)のみの厚さにほぼ等しい。
場合によっては、下型の型閉面に設けられて間隙を形成する止め面と合わせて
、上方に突出する突起を下型の型閉面に設けておくことができ、被覆シートが下
型に載置されると、湾曲を一時的に維持するために、湾曲状態にされる被覆シー
トの縁をこれらの突起で支えることができる。
金型を閉じると半型の型閉面のうちキャビティに隣接する範囲に被覆シート又
は外皮複合材料のための間隙が生じる一方、半型の型閉面のうち外側にある縁範
囲は金型を閉じると重なって密封しなければならない、その際、下型及び/又は
上型の型閉面の外縁範囲に弾性変形可能な材料、例えば弾性プラスチック、から
なる特別の密封条片が配置されていると有利である。
本発明は、スキー用製造方法及びこの方法を実施する装置の他に、機能部材が
最小限であることを特徴としたスキー構造にも関するものである。従って本発明
は、好ましくはソール部と底部帯状体と場合によってはスチールエッジとからな
る下部組立体と、更には好ましくは上部帯状体と心材とからなる上部組立体と、
被覆シートとを有するスキーに関するものである。本発明によるスキー構造は、
−硬化フォームプラスチックが、被覆シートと補強層とからなる外皮複合材料の
側部下縁、好ましくは被覆シートの側部下縁と下部組立体の上面、好ましくはス
チールエッジの上面との間に充填されて腹部を形成し、及び/又は
−特にスキー横断面が実質的に矩形又は台形の場合、被覆シートによって形成さ
れる外皮の内部にある補強層が単にスキー上面の幅にわたって延設され、及び/
又は
−被覆シートの内面に被着される補強層の展開幅が被覆シートの展開幅よりも小
さく、スキーを仕上げると補強層の側縁が間隔を置いてスキーの下部組立体の上
にある、
それぞれ上記特徴の少なくとも1つと組合せて、
−下部組立体の上にある部材を好ましくは未延伸状態のとき外皮状に被覆し、場
合によって装飾を備えられるプラスチックからなる被覆シート、
−被覆シートの内面に接合される少なくとも1つの補強層、
−被覆シート又は補強層と下部組立体との間に注入されるフォームプラスチック
心材、
上記特徴を特徴としている。
圧縮された縁帯域を有する一体硬質フォームでフォームプラスチック心材が構
成される場合、外皮複合材料の側部下縁と下部組立体の上面の側縁範囲との間の
間隙内にあるフォームプラスチックも圧縮状態にある。このことが有利であるの
は、前記間隙に入り込むフォームプラスチック材料は外面が露出し、それ故に、
外的影響と場合によって生じるスキー側縁の研磨操作とに曝されるからである。
スキーの横断面が実質的に矩形又は台形の場合、補強層の幅は望ましくはスキ
ー上面の幅に等しいか又はそれよりも多少小さく、被覆シートの中央に補強層が
被着されると補強層はスキー上面の幅にわたってのみ延設され、側壁の範囲内に
まで突出するのではない。突出させることは、補強層を被覆シートに偏心(非対
称)に配置することと同様に可能ではあろう。
以下、図面に基づいて本発明の実施例を詳しく説明する。
図1は補強層を有する平らな構成の被覆シートを横断面図で示す。図2〜図4
はさまざまな操作段階における製造用金型と挿入されたスキー部材とを横断面図
で示す。図5は図2に相当する操作段階における実施変種を示す。図6と図7は
別の実施変種であり、スキー部材を挿入した製造用金型が図6に、またスキー完
成品が図7に横断面図で示されている。
本発明方法によれば、通常、装飾が備えられるプラスチックからなる被覆シー
ト1がまず平らな構成で片面を(少なくとも1つの)補強層2に接合される。被
覆シート1は例えばABS又はポリアミドで構成することができる。装飾を塗布す
る前、被覆シートは透明とすることができ、次に例えばスクリーン印刷法で、好
ましくはスキー完成時に内側にくる側面に印刷される。シート厚は例えば0.2〜1
.0mm、好ましくは0.5〜0.6mmとすることができる。被覆シート1は後続の成形に
一致した充分な長さと幅を有していなければならない。被覆シートは単一のプラ
スチックからなる統一的シートとすることができ、又は種類又は色の異なるプラ
スチックの範囲で構成することができ、これらの範囲は相互に物質噛合式に結合
される。しかしこうして組立てられた被覆シートも加工状態のときには一体であ
る。
被覆シート1に接合されるべき補強層2は例えば繊維強化プラスチックで構成
することができ、補強層2を被覆シート1に接合する(貼付ける)ときプラスチ
ックは既に硬化させておくことができる。しかし、プリプレグを補強層として被
覆シート1に接合することも基本的に可能である。図示事例の場合補強層2の幅
は被覆シート1の幅よりもかなり小さく、被覆シート1の中央に配置されている
。
補強層2を有する被覆シート1は次に、図2からわかるように下型3に載置さ
れ、それもしかも図示事例の場合被覆シート1の縁が下型3の側部型閉面5に設
けられる突起4で支えられ、被覆シート1が補強層2と一緒に湾曲形状を強いら
れるように載置される。
スキー下部組立体の部材、つまりソール部7(例えばポリエチレン製)、底部
帯状体8(例えば繊維強化プラスチック又は金属製)及びスチールエッジ9が下
型3のくぼみ6に挿入されている。下部組立体7、8、9の部材は下型3のくぼ
み6に挿入される前に既に互いに接合し(貼付け)ておくことができる。
図2には上型10も示されているが、しかし両方の半型3、10はまだ閉じられて
いない。上型10が側部型閉面11の範囲に凹部12を有し、これらの凹部は下型3の
突起4を受容するのに役立つ。下型3の型閉面5も上型10の型閉面11も外縁に弾
性変形可能な材料、例えば弾性プラスチック、からなる密封条片13又は14を有す
る。
図3に示されたように金型を閉じると、被覆シート1の側部縁帯域は突起4の
内部で下型3の型閉面5と上型10の型閉面11との間に形成される間隙内にくる。
間隙の高さは止めによって決定されている。被覆シート1の縁帯域が間隙を丁度
充填し、但し間隙内で動かないように挟み込まれるのではないように、間隙幅は
設計されている。補強層2を有する被覆シート1はこの状態のときキャビティ内
でまだ比較的弛緩している。
いまや被覆シート1又は補強層2と下部組立体7、8、9との間にフォームプ
ラスチック又はフォームプラスチック成分が注入される。フォームプラスチック
は例えばポリウレタンで構成することができ、この場合注入すべき成分はポリオ
ール、イソシアネート及び発泡剤とからなる。フォームプラスチックの注入によ
って被覆シート1は補強層2と一緒に上型10のキャビティの壁に押圧され、上型
10と下型3との間の縁間隙のなかにある被覆シート1の縁帯域は少なくとも部分
的に縁間隙から引き出される。これにより、被覆シート1は延伸(伸長)するこ
となく、また場合によって被覆シート1に施される装飾の歪みを生じることなく
、上型10の金型内壁に当接することができる。注入されたフォームプラスチック
がスキーの心材15を形成するが、しかしフォームプラスチックの高分子材料は、
個々の層が事前に既に貼付けられているのではない場合、それらを接合し、例え
ば部材7、8、9も接合するための”接着剤”としても役立つ。注入されたフォ
ームプラスチック成分の反応時に発生する熱と、膨張するフォームプラスチック
から加えられる圧力は、それが必要な場合、補強層が最初プリプレグ(つまりま
だ完全には硬化していないプラスチックを有するもの)として被覆シート1に接
合された場合、補強層2のプラスチックの硬化条件も提供する。
金型を開いた後、スチールエッジ9の外面からなお張り出す被覆シート1の縁
が切り取られる。
挿入されたスキー部材と一緒に下型3と上型10を図2に相当する段階で示す図
5に示された実施変種では、下型3の型閉面5は図2の突起4に相当する構成物
を有していない。それに応じて、図2において上型の型閉面11に設けられる凹部
12も省かれている。しかし図5に示された変種でも、金型を閉じたとき間隙が生
じ、そのなかで被覆シート1の縁帯域が受容され、但し締付けられることのない
ように、型閉面4、11は形成されている。図5に示す実施変種では、補強層2を
有する被覆シート1が実質的に平らな形状で下型3に挿入される。スキー下部組
立体の構造も図5では図2〜図4のものと相違している。その部材が下型3のく
ぼみに挿入された下部組立体はソール部7とスチールエッジ9と底部帯状体8と
中間層15とからなる。例えば金属製の底部帯状体8は、エッジ脚部間に設けられ
るのでなく、エッジ脚部に載置される。中間層は強度を支える材料で、又は単に
木材又は非強化プラスチックで、構成することができる。
図示された実施例では本発明により製造されるスキーは実質的に台形横断面を
有する。補強層2の幅は、図示事例の場合、スキーの上部帯状体を形成するこの
補強層が専らスキー上面範囲にあり、スキーの側壁範囲内にも突出するのではな
いように、選定された。換言するなら、図示実施例では被覆シート1のみが外皮
形状とされ、補強層2も外皮形状とされるのではない。しかし、補強層2がなお
平らな構成のとき被覆シート1と同じ幅を有し、次に金型を閉じると(図3に相
当)被覆シート1の縁帯材だけでなく補強層2の縁帯域も下型3の型閉面5と上
型10の型閉面11との間の間隙内に位置する事例も、本発明方法の実施変種として
考えられよう。この実施変種では型閉面5、11間の間隙は被覆シート1と補強層
2との複合体の厚さに応じて、図面に示された実施例の場合よりも大きくなけれ
ばならない。被覆シート1の縁帯域のみが型閉面5、11間の間隙内にくると、当
然に一層簡単で機能的に確実である。それ故に、外皮状に形成される補強層が望
ましい場合にも、被覆シートの縁帯域から補強層が取り除かれる。
補強層がスキー上面の幅にわたって延設されるとともに側壁の範囲内に全体に
又は部分的に突出するような(補強層の部分的外皮形状)実施態様のスキーも本
発明方法で製造することができる。この場合にもスキーの長手中心軸を基準に補
強層2を非対称に構成し又は配置することも可能である。
図1〜図4又は図5に従って製造されるスキーは、製造方法及びスキー製造装
置と並んでやはり本発明の対象となるスキー構造の構造特徴を有する。しかし構
造特徴の本発明による組合せに関して本発明は必ずしも本発明による製造方法に
限定されてはいない。但しこの方法と図示された本発明によるスキー構造は相互
に支援し合う関係にはある。
図6及び図7に示す実施変種において図6は挿入されたスキー部材と一緒に上
型3及び下型10をやはり図2に相当する状態で示す。金型を閉じると型閉面4、
11間に両側で各1つの間隙4が生じ、そのなかで被覆シート1の両側の縁帯域が
受容され、但し締付けられるのではないように、型閉面4、11は形成されている
。図6に示す実施変種では補強層2を有する被覆シート1が平らな形状で下型3
に挿入され、又はスキー下部組立体のうち下型3のくぼみ6に挿入される部材に
載置される。スキー下部組立体の部材はやはりソール部7と底部帯状体8とスチ
ールエッジ9とからなる。
金型6を閉じて、スキー下部組立体と、被覆シート1と補強層2とからなる外
皮複合材料との間にフォームプラスチック又はフォームプラスチック成分を注入
した後、図7に横断面図で示されたスキーが得られる。上部被覆シート1は外皮
へと成形され、内部上面に補強層2を担持している。注入されるフォームプラス
チックがスキーの心材15を形成し、フォームプラスチックはスキー下部組立体7
、8、9間に空隙16が生じた場合そこにも入り込み、被覆シート1の側部下縁と
スチールエッジ9の上面との間の側部間隙17にも入り込む。この間隙が図7では
誇張して図示されており、実際には約0.5mmの高さを有するにすぎない。間隙17
に入り込むフォームプラスチック材料がそこに腹部を形成して間隙を充愼し、こ
の腹部は外皮又は被覆シート1の下部側縁をスチールエッジ9に接合する。硬化
時に圧縮された縁帯域を形成する一体硬質フォームを使用する場合、間隙17内に
も圧縮構造、即ちそれぞれ圧縮フォームプラスチックからなる腹部、が得られる
。
図6及び図7に示された実施例では、被覆シート1によって形成される外皮が
スキー完成時にフランジ状に湾曲した下部側縁を形成するように、上型10の内壁
は配置され且つ構成されている。この措置によっても、間隙17に入り込むフォー
ムプラスチック材料と合わせて、外皮又は被覆シート1の下部側縁とスチールエ
ッジ9との間に良好な接合が保証される。
図示された実施例では、特に図示簡素化の理由からも、台形のスキー横断面と
それに合わせて形成されるキャビティが選択された。しかし本発明方法では別の
横断面形状、例えば上方に湾曲した横断面形状、更にはスキー長手方向でほぼ任
意に変化する横断面形状も可能である。
本発明による方法及び本発明による構造は特にアルペンスキーに適しているが
、しかしクロスカントリー用スキー又は別の種類のスキーに、又はスキーに類似
した運動器具(例えば”スノーボード”)にも、適用することができる。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年5月16日
【補正内容】
11.下型(3)の側部型閉面(5)と下型(3)のくぼみ(6)の底との距離が下部組立体
(7,8,9)の高さよりも大きく、好ましくはスチールエッジ(9)の高さよりも大きい
ことを特徴とする請求の範囲9又は10に記載の装置。
12.好ましくはソール部と底部帯状体と場合によってはスチールエッジとから
なる下部組立体と、更には、好ましくは上部帯状体と心材とからなる上部組立体
と、下部組立体の上にある部材を外皮状に被覆するプラスチックからなる被覆シ
ートとを備えたスキーであって、被覆シートの内面に少なくとも1つの補強層が
接合されているものにおいて、被覆シート(1)又は補強層(2)と下部組立体(7,8,9
)との間にフォームプラスチック心材(15)が注入され、硬化フォームプラスチッ
クが、被覆シート(1)と補強層(2)とからなる外皮複合材料の側部下縁、好ましく
は被覆シート(1)の側部下縁と下部組立体(7,8,9)の上面、好ましくはスチールエ
ッジ(9)の上面との間の間隙(17)を充填して腹部を形成することを特徴とするス
キー。
13.フォームプラスチック心材(15)が、圧縮された縁帯域を有する一体硬質フ
ォームからなり、外皮複合材料(1,2)の側部下縁と下部組立体(7,8,9)の上面の
側縁範囲との間の間隙(17)内にあるフォームプラスチックも圧縮されていること
を特徴とする請求の範囲12に記載のスキー。
14.好ましくはソール部と底部帯状体と場合によってはスチールエッジとから
なる下部組立体と、更には、好ましくは上部帯状体と心材とからなる上部組立体
と、下部組立体の上にある部材を外皮状に被覆するプラスチックからなる被覆シ
ートとを備えたスキーであって、被覆シートの内面に少なくとも1つの補強層が
接合されているものにおいて、被覆シート(1)又は補強層(2)と下部組立体(7,8,9
)との間に注入されるフォームプラスチック心材(15)が配置されており、フォー
ムプラスチック心材(15)の上に配置される部材が単に被覆シート(1)と被覆シー
ト(1)の内面に被着される補強層(2)とからなり、その展開幅が被覆シート(1)の
展開幅よりも小さく、スキーを仕上げると補強層(2)の側縁が間隔を置いてスキ
ー下部組立体(7,8,9)の上にあることを特徴とするスキー。
15.特にスキー横断面が実質的に矩形又は台形の場合、被覆シート(1)によっ
て形成される外皮の内部にある補強層(2)がスキ一上面の幅にわたってのみ延設
されていることを特徴とする請求の範囲14に記載のスキー。
16.外皮複合材料(1,2)の下部側縁、好ましくは外皮状に形成される被覆シー
ト(1)の下部側縁のみが、フランジ状に外方に曲げられていることを特徴とする
請求の範囲12〜15のいずれか1項に記載のスキー。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),CA,JP,KR,SI,U
S