JPH08510138A - ハロゲン化有機化合物の脱ハロゲン化のための化学的・生物学的方法 - Google Patents
ハロゲン化有機化合物の脱ハロゲン化のための化学的・生物学的方法Info
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- JPH08510138A JPH08510138A JP6524711A JP52471194A JPH08510138A JP H08510138 A JPH08510138 A JP H08510138A JP 6524711 A JP6524711 A JP 6524711A JP 52471194 A JP52471194 A JP 52471194A JP H08510138 A JPH08510138 A JP H08510138A
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Abstract
(57)【要約】
本発明は、土壌および地下水中に、汚染物質として普通に発見される有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化の方法に関する。本方法は、ハロゲン化有機物の還元的脱ハロゲン化を実施するために、テトラピロール触媒と共役された菌体外電子伝達タンパク質を含む嫌気性細菌を利用する。場合により、電子伝達仲介体が、脱ハロゲン化の速度を増進するために使用されてもよい。
Description
【発明の詳細な説明】
ハロゲン化有機化合物の脱ハロゲン化のための化学的・生物学的方法
発明の分野
本発明は、土壌および地下水中に、汚染物質として普通に発見される有機ハロ
ゲン化合物の脱ハロゲン化のための方法に関する。より具体的には、その方法は
、ハロゲン化有機物の還元的脱ハロゲン化を実施するために、テトラピロール触
媒と共役された菌体外電子伝達タンパク質を含む嫌気性細菌を利用する。
背景
ハロゲン化、特に塩素化溶剤による地下水汚染は、誤った取り扱いか、不適当
な廃棄によって、これらの溶剤を土壌と接触させてきた産業用地に主として関連
する世界的問題である。最も一般的な、問題となる化合物は、テトラ−、トリ−
、もしくはジ−クロロエチレンのような塩素化エチレンである。四塩化炭素、ク
ロロホルムおよび塩化メチレンもまた、広く行きわたった汚染物質である。心配
の理由は、三重にある。第1は、ほとんどのこれらの溶剤は、水に易溶であり、
そして土壌粒子に吸着する傾向を有する。このことは、標準的汲み上げ・処理技
術によっては、容易に除去することができない溶剤の頑固な地下の広がり(plum
e)をもたらす(Biswas,N.,et al.,Water Environ.Res.64,170,10,1,(
1992);Hutter,G.M.,et al.,Water Environ.Res.64,69,(1992))。第
2は、多くの塩素化溶剤の毒物学では、これらの化合物が、発癌性であり、そし
て肝臓や腎臓のような特定の器官を損傷する可能を示唆して
いる(Price,P.S.,Memo of the U.S.Environmental Protection Agency,Of
fice of Water,Washington,D.C.(1985);Vogel,T.M.,Environ.Sci.Te
chnol.,21,722,(1987))。最後に、多くの透水層(aquifer)や地表
下の環境で見られる条件下では、塩素化エチレンおよびメタンは、微生物学的に
分解されるのは非常に遅い。これらのファクターの結果は、塩素化溶剤が、潜在
的に長期間滞留する有害な地下水汚染物質であることを示している。
近年、有機ハロゲン汚染物質をイン・サイチューで除去するための2つのアプ
ローチがある。最初のアプローチは、水から汚濁物質を物理的に除去するために
、地下水を、地表にポンプアップする標準的「汲み上げ・処理(pump an
d treat)」法である。塩素化溶剤については、十分な時間(一般には数
十年から数世紀)が与えられても、この方法は、ほとんどの汚染物質を捕捉する
であろうけれども、これは、修復技術というよりも封じ込め方法である。その他
のアプローチは、自然における生物学的なものであり、微生物を利用してハロゲ
ン化有機物を酵素的に転換する。生物学的アプローチは、特定の場所に土着の微
生物を利用してもよく、その場所での修復過程は、まず、望ましい微生物の増殖
を促進するものを、汚染された場所に添加することからなる。あるいはまた、非
土着の微生物が、増殖に必要な必須補正物(amendment)とともに汚染
された場所に導入されてもよい。水を含んだ沈降物の濾過効果に因る導入された
微生物の分散が、このアプローチへの主要な障害になると思われる。
塩素化溶剤を脱ハロゲン化する非常に限定された数の純粋な細菌株が、報告さ
れてきた。Colaruotoloら(米国特許第4,511,657号)は、特別に
順応された微生物培養物を使用して、不浄な廃水、特にハロゲン化有機化学物廃
水を処理することを特許請求している(米国特許第4,493,895号)。欧州特許第
461144号は、ロドコッカス(Rhodococcus)およびミコバクテリウム
(Mycobacterium)属の菌株を使用して、汚染された土壌からクロ
ロフェノール化合物を除去することを示しており、そして米国特許第5,009,999
号は、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)の菌
株を利用する、ポリ塩素化ビ−フェニル化合物の微生物分解法を開示している。
さらに、クレブジーラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)
菌株は、液体培地中でクロロ安息香酸を分解し、そして単一炭素源としてモノお
よびジ−クロロ安息香酸塩を使用することが示された(米国特許第4,761,376号
)。粗嫌気性細菌共同体に関する研究は、塩素化エチレンもしくは塩素化メタン
が、それぞれエチレンもしくはメタンに、完全に脱塩素化され得ることを、実験
室とイン・サイチューの両方において証明した(Freedman,D.L.,et al.,App
l.Environ.Microbiol.,55,2144,(1989))。この転換は、連続的還元段階
において、より塩素化の低い中間体のシリーズを経て起きるが、しかし、その関
与する細菌もしくは細菌類は、これらの共同体から容易には純化されなかった。
ある種の嫌気性硫酸還元細菌とメタン生成細菌は、他の細菌と比較した場合、
ハロゲン化溶剤を脱ハロゲン化する能力が増強されているように思われる。しか
しながら、この特性は、これらの2群の中でさえ稀であると思われる。デスルホ
モニル・チエジェイ(Desulfomonile tiedjeii)、唯一
の分離株は、現在までに報告された最も活性な脱塩素化嫌気性菌の1菌株である
(Mohn,W.W.,et al.,M
icrobiological Reviews,56,482,(1992))。この微生物は、テトラクロロ
エチレンを脱塩素化することが分かっていたが、クロロ−芳香族化合物に対して
は一層効果的である。デスルホバクター種(Desulfobacter sp
)、メタン生成菌およびアセトバクテリウム・ウッディイ(Acetobact erium woodii
)のようなある種のアセトン生成菌もまた、非常に低
い速度でクロロ−脂肪族化合物を脱塩素化することが知られている(Egli,C.S
.,et al.,FEMS Microbiol.Lett.,68,207 (1990))。Egliらは、これらの
細菌が、還元バッファーでの嫌気的条件下で培養される時には、各菌の懸濁液が
、四塩化炭素を分解して、生成物として、より塩素化の低いメタンと二酸化炭素
を形成することを示している。その微生物にとってのこの活性の生理的意味は、
分かっておらず、単に、その微生物に対して、ほとんどエネルギー的もしくは栄
養的結果を伴わない偶然の副反応であるかもしれない。塩素化溶剤の嫌気的脱ハ
ロゲン化の微生物学は、やっと近年になって解決されつつあり、主として現象学
的なものである。嫌気的脱ハロゲン化の生化学は、純粋培養により示された極端
に低速の脱ハロゲン化という以外は、ほとんど分かっていない(Mohn,W.W.,e
t al.,Microbiological Reviews,56,482(1992))。
上記の方法は有用であり、そして微生物が、土壌と水の両環境からハロゲン化
有機物を分解除去するのに使用できることを明らかに示している。しかしながら
、既存技術において略述されたその方法には、いくつかの欠点がある。技術上示
された例は、特定の自然界に存在するものもしくは遺伝子工学による細菌培養物
を用いるか、または微生物による生物学的処理の前に毒性汚染物質を予めラフに
化学的処理することよる環
境の浄化を述べている。汚染領域の化学的処理は、多数の土着の微生物叢を殺し
、その結果、バイオ修復(bioremediation)におけるいかなる努
力をも妨げかねないということに注意すべきである。特定の有機汚染物質の分解
のために特に選択された特定の微生物の単離もしくは改良、培養および接種は、
激しい労力と時間の消費を要する。さらに、前述のように酸素の不在下では、塩
素化炭化水素の分解は非常に遅い。コストのかかる地下水再循環の長い年月が、
汚染物質を完全に無機物化するために、従来のバイオ修復には必要とされるであ
ろう。バイオ修復は、脱塩素化に必要とされる分類上の微生物種という表現では
、非常に理解されにくい。一つの汚染された場所で成功したバイオ修復戦略が、
他の場所では通用しないであろうことは、普通に観察されることである。さらに
、ある沈降物(sediment)の微生物学が、いかなる条件下の汚染物質を
も脱塩素化するように導入できるとは限らない。例えばパークロロエチレンのよ
うな、ある種の汚染物質は、元の親化合物よりも一層強い毒性のある塩化ビニル
に、生物学的に転換されることもある。かくして、バイオ修復におけるすべての
試みは、脱塩素化する微生物が存在するか否か、そしてもし存在するならば、こ
れらの微生物の増殖を促進するのに、どんな栄養上の補足物をその沈降物に添加
することが必要であるかを決定するために、コストのかかる実験室的小世界の研
究とパイロット分野の研究を優先させねばならない。
鉄−、ニッケル−もしくはコバルト−含有のテトラピロールによる塩素化炭化
水素の非生物的嫌気的脱ハロゲン化が、数人の研究者によって報告されている。
Krone,U.E.ら(Biochemistry,28,4908(1989))は、電子供与体としてのク
エン酸チタニウム(III)もしくはジチオ
トレイトール(DTT)のいずれかとの共役において、四塩化炭素の還元的脱ハ
ロゲン化を触媒するコリノイドの使用を示している。この方法によって形成され
た分解生成物は、クロロホルム、塩化メチレン、クロロメタンおよびCH4を含
み、このことは、完全な脱塩素化が可能なことを示唆する。さらに、Krone,U.
E.ら(Biochemistry,28,10061(1989))は、また、四塩化炭素の脱塩素化を
触媒するコリンおよびコリノイドが、メタン生成細菌で発見されたニッケル−含
有ポルフィノイド、補酵素F430によって仲介され得ることを示した。Marks
T.,et al.(WO 8910772)は、選択された金属中心のポルフィリン、コリンもし
くはフタロシアニン複合体の存在で、有機ハロゲンを還元剤と反応させることに
よって、有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン化する方法を述べている。Marksらの
方法は、周期表の群2、5、6、8、9もしくは10から選ばれる金属と組み合
わせて、上記環構造を含む複合体の使用を包含する。
Gantzer,C.J.ら(Environ.Sci.Technol.,25,715(1991))は、細菌の
遷移金属補酵素ビタミンB12(コバルト含有)、補酵素F430(ニッケル含有
)およびヘマチン(鉄含有)が、ポリ塩素化エチレンおよびベンゼンの還元的脱
塩素化を触媒することを示した。Gantzerは、ビタミンB12と補酵素F430に
関して、異なる種類の過塩素化化合物の還元的脱塩素化速度が、次の順序:四塩
化炭素>テトラクロロエチレン>ヘキサクロロベンゼンをもつことを示した。ヘ
マチンに関しては、還元的脱塩素化速度の順序は、四塩化炭素>ヘキサクロロベ
ンゼン>テトラクロロエチレンであった。各種類の化合物の中で、脱塩素化の速
度は、塩素含量の減少にしたがって減少した。トリクロロエチレンの還元
的脱塩素化では、シス−1,2−ジクロロエチレンが、ビタミンB12、補酵素F
430およびヘマチンにより形成される顕著な生成物であった。ペンタクロロベ
ンゼンとペンタクロロフェノールは、ビタミンB12によって、おのおの脱塩素化
されて、3種の可能性のあるテトラクロロベンゼン異性体からの2種を生じた。
技術の開示されたテトラピロールを伴う非生物的方法は、有機溶剤の脱ハロゲ
ン化に有用であるが、強力な還元体(reductant)の存在を必要とする
ため、必要な還元体の濃度と化学的性質が、法的および経済的両面の見通しから
妨げとなるであろう地表下の応用において、それらの使用を制約する。かくして
、テトラピロール触媒作用は、今日まで、単に、エキス・サイチュー(ex s
itu)の技術と考えられてきた。
強力な還元体として潜在的に作用できるデスルフォビブリオ(Desulfo vibrio
)の代謝に必須な1つのファクターは、ペリプラズム(細胞膜の外
部)の電子伝達体タンパク質、チトクロームc3である。このタンパク質は、細
胞の外面に局在し、外部電子伝達反応に関わることができる。デスルフォビブリ
オからの電子伝達タンパク質は、非常に多様であり、少なくとも4種の異なるc
型チトクローム、すなわち、モノヘムチトクロームc553(Mr9000)、
テトラヘムチトクロームc3(Mr13000)、オクタヘムチトクロームc3(
Mr26000)および16個のヘムを含むHmcと呼ばれる高分子量チトクロ
ーム(Mr65000)を含むと思われる(Haladijian,J.,et al.,Biochem
.Biophys.Res.Com.,179,605(1991))。チトクロームc3スーパーファミ
リーの共通のパターンは、それらが、大体−120ないし
−400mVの範囲内の低い酸化還元電位をもつc型ヘムを含有するということ
である。チトクロームc3タンパク質は、細胞内で機能して、ヒドロゲナーゼと
その他の電子伝達鎖の間で電子を運搬する。今日まで、ペリプラズムのチトクロ
ームc3の還元力は、化合物の脱ハロゲン化のいかなる方法にも共役されなかっ
た。
技術的には、生物学的システムにおいて、現在可能であるよりも以上の分解速
度で、ハロゲン化有機汚染物質を、イン・サイチューで確実にそして再現性よく
脱ハロゲン化する方法に対して、1つのニーズがあることは明らかである。本発
明の目的は、ハロゲン化有機物の脱ハロゲン化をイン・サイチューで実施するた
めに、テトラピロール触媒との組み合わせにおいて硫酸還元細菌の土着の集団を
利用する方法を提供することによって、そのようなニーズに答えることである。
本方法は、種々の塩素化溶剤の脱塩素化を触媒するために、テトラピロール(ビ
タミンB12)に電子を供与する会合c3チトクロームをもった硫酸還元細菌を利
用する。本発明は、数種の方法における技術上の改良である。本方法は、ほとん
どの透水層系に土着の細菌を利用して、テトラピロール触媒作用を進めるべき強
力な還元体を提供する。その場所は、脱塩素化する生物を含む必要がなく、硫酸
還元細菌のみが必要とされる。第二に、この方法は、操作上、その場所の如何に
はよらず同様であろう、すなわち、硫酸還元菌のための栄養条件を作り出すこと
、そして一度そうなったら、その菌は、脱塩素化剤の添加を確立される。かくし
て、修復は、脱塩素化細菌の存在の有無を決定することを狙ったコストのかかる
R&D計画よりも、むしろ一つの工程に類似している。
その上、本方法は、バイオ修復の速度、およびバイオ修復の実施の全
般的信頼性と再現性において劇的な増加をもたらすであろう。本発明は、いかな
る沈降物にもある固有の微生物叢が、硫酸還元細菌を含むことのみを要求する。
多数の現場と実験室での研究が、これらの生物が、その生存を依存できるような
沈降物や土壌に一般的に存在することを明らかにした(Vogel,T.M.,Environ
.Sci.Technol.,21,No.E,pp 77-81(1987);Mohn,W.W.,et al.,Micro
biological Reviews,56,482(1992);Suflita,J.M.,et al.,J.Ind.Mic
robiol.,3,179,(1988)。硫酸還元細菌の栄養特性は、この群の細菌を生育さ
せる栄養戦略が簡単であるので、よく理解されている。土着の脱塩素化細菌は、
必要ではないが、この方法によって阻害されないであろう。
発明の概要
本発明は、適切な還元体の存在下で、チトクロームc3菌体外電子伝達タンパ
ク質を含む硫酸還元菌細胞の培養物を生育させ;その細胞を、反応混合物を形成
するために有機ハロゲン化合物とテトラピロール触媒を含む培地に接触させ;そ
して適切な嫌気的条件下で、該有機ハロゲンを脱ハロゲン化するのに十分な時間
、その反応混合物をインキュベートすることを含んでなる有機ハロゲンの脱ハロ
ゲン化方法を提供する。
この好適な実施態様は、図1に示されるモデルによって具体的に説明される。
図1は、典型的な硫酸還元細胞の電子伝達代謝を表す。硫酸還元菌は、有機物の
還元か直接水素かのいずれかにより、遍在する発酵菌の代謝の副産物として供給
できる電子を引き出すであろう。電子は、細菌のヒドロゲナーゼ(H2アーゼ)
によって受容され、ペリプラスムの電子伝達タンパク質、チトクロームc3に往
復される。有機ハロゲンの還元的脱ハロゲン化のために、電子は、リボフラビン
のような電子伝達
仲介体を通してチトクロームc3から、還元状態で脱ハロゲン化反応を遂行でき
るテトラピロール触媒(ヘマチン)に、仲介される。
さらに、本発明は、還元条件を提供する硫酸還元細菌、ならびに発酵細菌の増
殖に適する炭素源の存在下で硫酸還元細菌によって使用できる適切な還元体を供
給する発酵細菌を含んでなる細菌細胞の混合培養物を生育させ;その細菌細胞の
混合培養物を、反応混合物を形成するために有機ハロゲン化合物とテトラピロー
ル触媒を含む培地に接触させ;そして適切な嫌気的条件下で、該有機ハロゲンを
脱ハロゲン化するのに十分な時間、その反応混合物をインキュベートすることを
含んでなる有機ハロゲンの脱ハロゲン化方法を提供する。この方法において独特
なことは発酵細菌が、脱ハロゲン化反応を引き出すために必要な還元体を、その
代謝副産物として供給することである。
さらに、タイプを決定するために、土着の細菌集団の増殖に影響する栄養素の
濃度、汚染物質および条件について、そして土着の細菌の増殖を増進したり、硫
酸還元条件を作り出すのに必要な補正物の濃度についてその場所を評価し;測定
可能な量の硫化水素を生産させる硫酸還元条件を作り出すために、最初の補正物
を用いてその場所を修正し;細菌増殖のレベルを決定し、硫酸還元条件を維持す
るための追加的な補正物の必要性を調査するために、最初の修正後の修正された
場所の酸化還元電位と硫化物生産をモニターし;該硫酸還元条件を維持しながら
、テトラピロール触媒を含む第二の補正物、最初の補正物に続くモニターにおい
て得られた結果から決定された第二の補正物を用いて、その場所を修正し;そし
て最後に、有機ハロゲンの脱ハロゲン化に関して、その場所をモニターすること
を含んでなる、土壌もしくは地下水の場所から有機ハ
ロゲンをイン・サイチューで脱ハロゲン化する方法も、本発明の範囲内である。
その上、電子伝達タンパク質からテトラピロール触媒への電子の伝達を容易に
することによって、有機ハロゲンの脱ハロゲン化速度を促進するのに役立つ電子
伝達仲介体を用いて、上記方法のいずれかの反応混合物を補足することも、本発
明の範囲内である。
本方法によって脱ハロゲン化できる化学製品は、四塩化炭素、パークロロエチ
レン、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、ジクロロエチレン、
塩化ビニル、およびクロロ芳香族化合物を含むが、それに限定されない種々の塩
素化溶剤を包含する。
図面の簡単な説明
図1は、典型的な硫酸還元細胞内の還元体から、ペリプラズムチトクロームc3
を通して、フラビン電子伝達タンパク質へ、そして最後にヘマチンテトラピロ
ール触媒への電子伝達を図示したものである。
図2は、B12およびリボフラビンの存在下でCCl4を脱塩素化するために、
発酵細菌により生産される水素の硫酸還元菌による使用を示す図である。
図3aは、還元体および電子伝達仲介体の不在もしくは存在下で、テキサス州
の工業地から得られた細菌培養物によるCCl4からCCl3への脱塩素化速度の
測定値として、時間経過に伴うH2発生量をプロットしたものである。
図3bは、還元体および電子伝達仲介体の不在もしくは存在下で、テキサス州
の工業地から得られた細菌培養物によるCCl4からCCl3への脱塩素化速度の
測定値として、時間経過に伴うCCl3発生量をプロッ
トしたものである。 図4aは、還元体および電子伝達仲介体の不在もしくは存
在下で、ニューヨーク州の工業地から得られた細菌培養物によるCCl4からC
Cl3への脱塩素化速度の測定値として、時間経過に伴うH2発生量をプロットし
たものである。
図4bは、還元体および電子伝達仲介体の不在もしくは存在下で、ニューヨー
ク州の工業地から得られた細菌培養物によるCCl4からCCl3への脱塩素化速
度の測定値として、時間経過に伴うCCl3発生量をプロットしたものである。
図5aは、還元体および電子伝達仲介体の不在もしくは存在下で、ノースカロ
ライナ州の工業地から得られた細菌培養物によるCCl4からCCl3への脱塩素
化速度の測定値として、時間経過に伴うH2発生量をプロットしたものである。
図5bは、還元体および電子伝達仲介体の不在もしくは存在下で、ノースカロ
ライナ州の工業地から得られた細菌培養物によるCCl4からCCl3への脱塩素
化速度の測定値として、時間経過に伴うCCl3発生量をプロットしたものであ
る。
発明の詳細な説明
本発明は、チトクロームc3を必要とする細胞の電子伝達経路を通してテトラ
ピロール触媒への、生物学的に活性な還元体の共役を伴う有機ハロゲンの脱ハロ
ゲン化方法を提供する。正常な細胞代謝の結果として、還元体からの電子伝達は
、チトクロームc3の還元と、続いて脱ハロゲン化反応を触媒するテトラピロー
ルの還元を起こす。場合により、脱ハロゲン化の速度は、電子伝達タンパク質を
テトラピロール触媒に一層効果的に共役させるのに役立つ電子伝達仲介体の添加
によって増強されて
もよい。
本文に使用されるように、次の用語は、請求の範囲および明細書の解釈のため
に使用できる。
用語「硫酸還元細菌」もしくは「硫酸還元菌」は、絶対嫌気性であり、有機化
合物もしくは水素の酸化のために、電子受容体として硫酸塩を利用する細菌のい
かなる種もしくは菌株をも指す。硫酸還元菌は、デスルホビブリオ(Desul fovibrio
)、デスルホトマクルム(Desulfotomaculum
)、デスルホバクター(Desulfobacter)、デスルホブルブス(D esulfobulbus
)、デスルホサルシナ(Desulfosarcin a
)、およびデスルホネマ(Desulfonema)を含む細菌の数種の属に
属する。
用語「発酵細菌」は、いかなる外因性電子受容体の不在下でも、有機基質の内
部的酸化還元転位を実施できる生物を指す。一般に、発酵細菌は、絶対もしくは
通性嫌気性菌であり、しばしば、水素の生産に関与できる。
用語「硫酸還元条件」は、硫酸還元細菌が、硫酸塩の給源との組み合わせにお
いて、硫化水素を生成するいかなる栄養素もしくは増殖条件をも指す。硫酸還元
条件は、元来嫌気的であり、硫酸塩の給源の存在を必要とする。
用語「嫌気的条件」は、酸素の存在を排除するいかなる増殖もしくは栄養素条
件をも指す。
用語「テトラピロール」は、4個のピロール環構造を含み、有機ハロゲンの還
元的脱ハロゲン化を触媒できるいかなる化合物をも指す。テトラピロールは、金
属イオンと複合体を形成されてもよいし、形成されな
くてもよい。典型的なテトラピロールの例は、ヘマチンのようなポルフィリン、
ビタミンB12(シアノコバラミン)のようなコリン、フタロシアニン、ならびに
種々の細菌性因子およびF430のような補酵素を含むが、それに限定されなく
てもよい。
用語「有機ハロゲン」は、フッ素、臭素、ヨウ素もしくは塩素からなるハロゲ
ンの群の少なくとも1種を含むいかなる脂肪族もしくは芳香族化合物をも指す。
本方法によって脱ハロゲン化される典型的な有機ハロゲンは、四塩化炭素、パー
クロロエチレン、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、ジクロロ
エチレン、塩化ビニルおよびクロロ芳香族化合物を含むが、それに限定されなく
てもよい。
用語「汚染培地」もしくは「培地」は、検出可能な有機ハロゲンを含むいかな
る培地をも指す。そのような培地は、工業地からの汚染された土壌もしくは地下
水、または実験室培養の培地を含んでもよい。
用語「電子伝達仲介体」は、テトラピロールを還元する目的で細胞からテトラ
ピロールへ電子を伝達でき、そしてイソアロオキサジン環構造を含むいかなる物
質をも指す。典型的な電子伝達仲介体の例は、リボフラビン(FMN)、フラビ
ンアデニンジヌクレオチド(FAD)を含むフラビン類化合物のメンバーを含む
が、それに限定されなくてもよい。
用語「還元体」は、テトラピロールの還元を行うために、直接的(化学的)も
しくは間接的(生物学的システムを通して)のいずれかでも、電子を供与できる
いかなる物質をも指す。還元体は、無機物でも有機物でもよいと理解すべきであ
る。本発明に好適な還元体の例は、水素ガス、クエン酸チタニウム、ジチオトレ
イトール、スクロース、乳酸塩もしくはピルビン酸塩を含むが、それに限定され
なくてもよい。
用語「電子伝達タンパク質」は、菌体外に位置するか、または−100ないし
−500mVの範囲内の酸化還元電位をもち、そして電子供与物質(通常には還
元体)から電子受容物質(通常には触媒)へ電子を伝達する能力もつ微生物細胞
膜のペリプラズム空間内に位置するタンパク質を指す。電子伝達タンパク質の典
型的な例は、チトクロームc3である。
用語「チトクロームc3」は、テトラヘム、硫酸還元細菌と会合されたペリプ
ラズムタンパク質を指す。そのタンパク質は、−120ないし−400mV間の
中間点の酸化還元電位をもち、水素および硫酸還元細菌中の他の有機物からの多
くの電子伝達に関与している。
好適な細菌細胞は、好適なテトラピロール触媒もしくは電子伝達仲介体−触媒
結合体に電子を伝達できる、外部から接近し得る電子伝達タンパク質を、唯一含
有しなければならない。好適な細胞は、個々には、有機ハロゲンの酵素的脱ハロ
ゲン化できる必要はなくて、必要な酸化還元活性の構成分が存在することのみを
理解すべきである。場合により、本発明の細胞は、広範囲の環境に遍在し、そし
て有機ハロゲンで汚染された場所で見られるような悪条件下に耐えることが好ま
しい。本発明の目的のためには、硫酸還元細菌細胞が好適である。
硫酸還元細菌は、種々の生態学的背景において発見されるが、海や河口の沈降
物、ならびに塩水池の嫌気的環境をむしろ好む。これらの細菌の炭素源は、沈降
物上に淀む水のカラムにおける従属栄養微生物の活動から引き出されるか、また
は直接の有機的影響、特に汚水流失のような二次的な栄養物付加によって汚染さ
れるこれらの生育地から引き出される。(Gibson G.R.,J.Appl.Bacteriol.
,69,769(1990))。硫酸
還元菌が見いだされる生育地の多様性が、それらをして本発明に対する主要な候
補者とする。
硫酸還元菌は、酸化的か発酵的かいずれかの反応経路において電子供与体とし
て機能する種々の基質から代謝エネルギーを引き出す。硫酸還元に関する最も普
通の還元体のあるものは、水素、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩およ
び乳酸塩を含む(Gibson G.R.,J.Appl.Bacteriol.,69,769(1990))。硫
酸還元細菌の場合に、低電位の電子は、通常は、水素もしくは有機酸の酸化の間
に生じる。これらの電子への接近は、細胞外(ペリプラズム)酸化還元タンパク
質チトクロームc3を通して起きる。
水素は、単純な糖類から複雑な多糖類までの広範囲の基質で生育する最も嫌気
的な発酵細菌によって形成される非常に普遍的な発酵最終産物である。したがっ
て、水素は、通常、多様な細菌の存在によって、沈降物中に発酵的に形成される
であろう(Odom J.M.,et al.,(ed)The Sulfate-Reducing Bacteria:Contem
porary Perspectives.Publisher:Springer-Verlag,(1992))。次いで、そ
のように形成された水素は、種間水素伝達(Odom J.M.,et al.,(ed)The Sul
fate-Reducing Bacteria:Contemporary Perspectives.Publisher:Springer-V
erlag,(1992))として知られる周知の生態学的メカニズムにより、水素を消費
する硫酸還元細菌によって利用されるであろう。水素に対するそれらのヒドロゲ
ナーゼ酵素の極端に高い親和力により、硫酸還元菌は、水素ガスの特別な捕捉体
となる(Odom J.M.,et al.,(ed)The Sulfate-Reducing Bacteria:Contempo
rary Perspectives.Publisher:Springer-Verlag,(1992))。かくして、広
範な有機物の発酵から生じる電子は、水
素をへて、細菌ヒドロゲナーゼを通じて、チトクロームc3に伝達され、続いて
、電子は、硫酸還元を進めるためにそこで使用される(図1)。その細胞は、水
素の非常に低い分圧においても、チトクロームc3を還元状態に維持する。チト
クロームc3の還元状態での維持は、本発明におけるテトラピロール触媒の還元
のための電子を供給する(図1)。糖のようなより複雑な還元体を利用する過程
において、種間水素伝達および発酵細菌の役割が、以下に示される。
段階1. 発酵
糖 →→ 有機酸+水素+CO2
段階2. 発酵水素の利用による硫酸還元細菌の増殖
水素+硫酸塩 →→ 細菌集団+H2S
(または有機酸)
段階3. 発酵により形成された水素を用いる硫酸還元細菌+触媒による脱塩
素化
触媒
水素+X−Cl →→→→ Y+Cl−
(または有機酸)
また、本発明は、有機ハロゲンを還元的脱ハロゲン化できるテトラピロール触
媒を提供する。好適なテトラピロールは、金属不含のポルフィリン、ヘマチンの
ようなメタロポルフィリン、ビタミンB12(シアノコバラミン)のようなコリン
、フタロシアニン、およびF430のような種々の細菌性因子を含むがそれに限
定されず、その場合、シアノコバラミンおよびヘマチンがより好ましい。
テトラピロールは、構造における類似性を共有し、それらは、すべて
4個のピロール環を含む大環式金属キレートアミンである。ポルフィリンは、式
Iに対応する環構造を含有する:
式I
多くのポルフィリン環システムは、自然界に存在し、例えばプロトポルフィリ
ン、ヘマトポルフィリン、ウロポルフィリンおよびコプロポルフィリンを含む(
WO 8910772)。
コリンは、ポルフィリンに類似するが、二重結合と単結合の位置で異なり、そ
して環システムにおいて1個少ない炭素をもつ環システムからなる。基本的コリ
ン環構造は、式IIに図示される:
式II
フタロシアニンは、ポルフィリン環システムとは、なお一層異なり、すべて式
IIIで図示される構造を含む:
式III
ポルフィリン、コリンおよびフタロシアニン環システムにおいては、1個以上
の中心窒素原子が、1個以上の水素原子に結合されてもよいし、またはすべて4
個が、1個以上の他の配位子とそれ自体付加的に複合される中心金属原子に配位
結合されてもよい。ヘム、ヘマチンおよびヘミンは、すべて鉄を含むポルフィリ
ンの例である。クロロフィルは、マグネシウムを中心にもつポルフィリンの例で
ある。ビタミンB12(シアノコバラミン)は、コバルトを中心にもつコリンの例
である。他の既知のコバルト中心のコリンは、ジシアノコバラミン、ヒドロキシ
コバラミン、アデノシルコバラミンおよびコバロオキシムを含む(WO 8910772)
。さらに、本発明は、有機ハロゲンの還元的脱ハロゲン化のために、チトクロー
ムc3還元体からテトラピロール触媒への電子伝達を助けることができる電子伝
達仲介体を提供する。そのような伝達を助ける多くの物質が、自然界にも、そし
て技術上も知られている。フラビンタンパク質およびフラビンヌクレオチドを含
むフラビンは、そのような種類の物質の1つである。フラビンは、電子伝達に関
与するイソアロオキサジン環システムを共通に有し、そして式IVに図示される
:
式IV
自然界には、フラビンタンパク質は、ピルビン酸・脂肪酸・アミノ酸の酸化的
分解において、そしてまた電子伝達の過程において機能している。フラビンタン
パク質は、ヌクレオチドと複合されて、フラビンヌクレオチドを形成することも
ある。典型的なフラビンヌクレオチドの例は、リボフラビンとアデニン塩基の複
合体であるフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、そしてFADの還元型
を表すフラビンモノヌクレオチド(FMN)を含む。フラビンヌクレオチドは、
触媒サイクルにおいてイソアロオキサジン環の可逆的還元を受けて、FMNH2
およびFADH2で表される還元されたフラビンヌクレオチドになる。自然には
、多くのデヒドロゲナーゼとオキシダーゼ酵素は、フラビンと複合されており、
電子受容体と反応する力をイソアロオキサジン環に頼っている。いくつかのフラ
ビンタンパク質は、同時に2個の電子伝達によって、完全酸化型と完全還元型の
間を往復するけれども、その他は、それらの触媒サイクルにおいて1度に1個の
電子のみを伝達するらしく、その結果電子対を裂くことができる。本発明の目的
のために、適切な電子伝達仲介体は、フラビンタンパク質とフラビンヌクレオチ
ドを含むフラビンを包含するが、リボフラビンが、最も好適である。電子伝達仲
介体は、有機ハロゲンの脱ハロゲン化を促進するけれども、それが、電子伝達タ
ンパク質をテトラピロール触媒に結合させるために絶対的に必要なものではない
ことに注意すべきである。
本発明の好適な実施態様では、種々の塩素化溶剤の脱塩素化を実施するために
、硫酸還元細菌細胞は、電子仲介体とテトラピロール触媒の存
在下で培養される。適切な細胞は、デスルホビブリオ属の細胞を含み、そしてデ
スルホビブリオ・ギガス(Desulfovibrio gigas)ATCC
19364、デスルホビブリオ・デスルフリカンス(Desulfovibri o desulfuricans
)ATCC27774、デスルホビブリオ・デ
スルフリカンス・ノルウェー、デスルホビブリオ・デスルフリカンスG100A
およびデスルホビブリオ・サレキシゲンス(Desulfovibrio sa lexigens
)ATCC14822を含む。細胞の保存液は、炭素源として
乳酸ナトリウムと電子受容体として硫酸ナトリウムを含む標準培地において、1
09細胞/mlの濃度に達するまで30℃で培養された。細胞は、蒸留水中で濃
縮されて約1010細胞/mlの濃度にして、脱塩素化実験に使用された。保存液
からの細胞は、リボフラビン(電子伝達仲介体)とシアノコバラミン(テトラピ
ロール触媒)を含む溶液と混合され、そして四塩化炭素の添加前に、100%水
素ガスを用いて30分間ガス通気された。四塩化炭素の最終濃度は、5μMのオ
ーダーであった。反応は、時間ないし日にちの期間でモニターされた。塩素化化
合物の分析は、キャリヤーガスとしてヘリウムを用いるHewlett−Pac
kard5890ガスクロマトグラフでの標準法によるガスクロマトグラフィー
によって行われた。本発明のその他の好適な実施態様では、種々の塩素化溶剤の
脱塩素化を実施するために、硫酸還元細菌細胞は、テトラピロール触媒のみの存
在下で培養される。脱塩素化は、遅い速度で進行するけれども、本発明のこの全
く予測されなかった態様は、脱塩素化が、電子伝達仲介体の不在下でも進行でき
ることを例証する。 この実施態様を具体的に説明するために、硫酸還元菌の培
養物が増殖され、そしてテ
トラピロールヘマチンの存在下で、リボフラビンのある場合とない場合でインキ
ュベートされた。すべての反応混合液は、100%水素下で30分間上記のよう
にインキュベートされ、次いで、その反応は、CCl43uLを添加して始めら
れた。サンプルは、数時間にわたってガスクロマトグラフィー分析のために採取
され、四塩化炭素(CCl4)のクロロホルム(CHCl3)への転換を検討した
。表IVとV(実施例3)に示されたデータは、ヘマチン単独でも、脱塩素化反
応を進めるのに十分であることを示唆している。
本発明のその他の実施態様では、塩素化溶剤の脱塩素化は、細菌ヒドロゲナー
ゼ、精製チトクロームc3、電子伝達仲介体およびテトラピロール触媒を含む反
応混合液の混合インキュベーションによってイン・ビトロで行われてもよい。好
適な実施態様では、電子伝達仲介体は、リボフラビンであり、そしてテトラピロ
ールは、ヘマチンか、もしくはシアノコバラミンかのいずれかであった。イン・
ビボの実施態様によるのと同様に、反応混合液は、四塩化炭素の添加前に30分
間、100%水素によりガス通気された。脱塩素化の速度は、標準法を用いるガ
スクロマトグラフィー分析によって、四塩化炭素のクロロホルムへの転換に基づ
き決定された。インビトロの実施態様は、溶剤の脱塩素化について水素からB12
への電子の伝達を可能にする。
チトクロームc3の精製方法は、技術上既知である。Eng L.,et al.,Arch Mi
crobiol.,153,60(1992)は、唯一のクロマトグラフィー段階を伴う方法を詳
述しているが、技術は、一般には、両疎水性交互作用、ゲル濾過およびイオン交
換樹脂を用いるクロマトグラフィー段階の組み合わせを含む(Moura I.,et al.
,Eur.J.Biochem,162,547(1987)
;Ziomek,E.,et al.,Prep.Biochem.,14,75(1984))。D.ギガス由来の
チトクロームc3を電気泳動的均一性まで精製する好適な方法は、本質的には、
引用によって本明細書中に組み入れられるVan der Westen,et al.,FEBS Lett.
,86,122(1978)によって記述されたものに従う。簡単には、細胞はホモジナ
イズされ、そして細胞抽出液は、60%硫酸アンモニウムにされて、フェニルセ
ファロースでのクロマトグラフィー、続いてDE−52セルロースイオン交換に
かけられた。この方法により、いかなる脱塩素化活性をも欠き、イン・ビトロ実
験の使用に適する、550nmと280nmにおける吸光度比に基づいて高純度
の生産物を得た。
硫酸還元細菌のヒドロゲナーゼ酵素は、硫酸還元のために水素の酸化に関与す
る。細菌ヒドロゲナーゼの精製法は、技術上既知であり、一般に、イオン交換、
ゲル濾過、アフィニティーもしくは疎水性交互作用クロマトグラフィーの組み合
わせを必要とする(Doherty,G.,et al.,Biochem.Soc.Trans.,15,301(19
87);Pusheva M.A.,et al.,Prikl.Biokhim.Mikrobiol.,23,185(1987)
)。硫酸アンモニウムもしくはポリエチレングリコール(PEG)を用いる最初
の分画を伴う方法は、また既知である(Arp.D.,et al.,Biochem.Biophys.A
cta.,570,221(1979))。本発明の目的のために、引用によって本明細書中に
組み入れられるVan der westen,et al.,FEBS Lett.,86,122(1978)によっ
て記述されるように、ヒドロゲナーゼは、本質的には、トリス−EDTAバッフ
ァーを用いて、D.ギガスの全細胞を洗浄することによって部分精製された。透
析の後、そのタンパク質は、イオン交換カラム上への吸着によって部分精製され
、100mMトリスバッファー中に溶出され
た。ヒドロゲナーゼは、亜二チオン酸塩還元されたサンプルの分光測光法分析に
よってチトクロームc3を含まないことが決定された。これらのサンプルは、還
元チトクロームc3の存在の診断と見做される550nmの吸収を欠くことが分
かった。
その他の実施態様では、本発明は、共存する発酵細菌種の代謝物の形で、還元
体が、間接的に硫酸還元菌に供給される場合の塩素化溶剤の脱塩素化方法を提供
する。
絶対嫌気性菌(クロストリジア種(Clostridia sp.))と硫酸
還元菌の混合培養は、単一炭素源としてグルコースの存在での嫌気的条件下で生
育される。グルコースは、クロストリジアに対する共通の炭素源であるが、硫酸
還元菌によっては利用できない。これらの条件下で、クロストリジアは、グルコ
ースを利用し、副産物として水素を生産するのが見られる。発酵菌と硫酸還元細
菌の代謝的共存は、種間水素伝達の過程として技術上周知であり、文献に詳細に
記述されている(Odom J.M.,et al.,(ed)The Sulfate-Reducing Bacteria
:Contemporary Perspectives.Publisher:Springer-Verlag,(1992))。
混合培養が、硫化物生産の証拠を明らかにした場合には、培養物からの細胞は
、溶剤を脱塩素化する能力を試験された。混合培養からの細胞、テトラピロール
(シアノコバラミン)および電子伝達仲介体(リボフラビン)を含む反応混合液
が、調製された。この反応混合液が、CCl4の脱塩素化能について試験された
。図2に示されたデータは、四塩化炭素が添加されるまで、水素がグルコースか
ら発生し、その添加時点において、水素が取り込まれ、そしてデスルホビブリオ
−テトラピロール複合体によって四塩化炭素をクロロホルムに還元するのに使用
されること
を示している。
さらに、本発明は、有機ハロゲンで汚染された土壌と地下水をイン・サイチュ
ーで修復する方法を提供する。有機ハロゲンのような汚染物質によって汚染され
てしまった地下水を管理する慣用の技術は、4部類:(1)物理的バリヤー(す
なわち、スラリー遮断壁もしくはシート・パイル設置)または注入や汲み上げ井
戸のシステムによって作られる水圧バリヤーのいずれかを用いる汚染物質の保持
;(2)地上の処理工程までの汚染地下水の汲み上げ、続く処理水の廃棄もしく
は再利用;(3)汚染土壌の除去、続いての土壌処理もしくは廃棄;そして(4
)含水汚染物質のその場所での(in−place)安定化、に分類できる。し
ばしば、実際には、これらの変法の1つ以上の組み合わせ、例えば、汚染地下水
の汲み上げ・処理工程と組み合わせて、もっとも高度に汚染された土壌を発掘す
る方法が使用される。これらの数種の方法が、米国特許第5,057号に開示されて
いる。
一般に、慣用の汲み上げ・処理方法は、Jhaveri(米国特許第4,401,569号)に
おいて記述されたように、地上の処理施設との組み合わせにおいて、任意に、溝
、注入井戸、モニター井戸および再循環井戸の複合システムに頼る。典型的には
、種々の機能を果たす井戸が、汚染透水層中に掘られる。地下水中に栄養素を導
入するための注入井戸は、汚染された広がり(plume)の上流に掘られ、一
方、汚染物質と細菌代謝産物のレベルについて、透水層を分析するためのモニタ
ー井戸は、注入井戸の下流に置かれる。井戸の数と容積は場所に特異的であり、
修復される領域の大きさ、透水層の流速および汚染のレベルを含む種々のファク
ターに依存する。
一般に、その場所の深部の(in−depth)調査は,修復が始められる前
に解決されるべき問題を決定するのに必要である。汚染物質の濃度は、法規制と
修復に許される時間の評価と同様に重要である。このことは、この方法における
修復のコストとフィジビリティーを考慮する場合のファクターになる。修復に必
要な他の物質の存在および増強された土着の微生物集団に対するそれらの影響、
ならびに勧告されるヒトへの曝露レベル、およびそれらの存在と取り扱いに関連
する環境上の危険もまた、考慮されるべきファクターである。現地の最初の調査
には、汚染された培地の種々の物理的および化学的特性の評価が含まれねばなら
ない。培地は、増強された微生物の生育を支えられねばならないし、またそうす
ることができるように作られねばならない。土壌と水の化学の種々の様相もまた
、修復工程の実効性に影響するであろうし、そしてより好ましい条件が、土着の
微生物の増殖速度と修復されるべき汚染物質の生物学的利用能の両方を最大のも
のにするであろう。一般に、土壌もしくは地下水のpHが、pH5〜pH8の範
囲内である場合に好適である。リン酸塩は、ほとんどの微生物集団に対して必要
である。土壌もしくは地下水は、定常状態の微生物増殖に匹敵するレベルにある
リン酸塩濃度を維持するように、補足されてもよい。しかしながら、リン酸塩の
高レベルは、土壌の浸透性を減少させるような微生物の広がりを生み出すかも知
れないので、リン酸塩の添加をモニターすることが必要である。バイオ修復の多
くの標準的汲み上げ・処理法のいくつかの評論が、以下のものに記述されている
:Site Characterization for subsurface remediation.EPA Seminar Pub1icat
ion.EPA/625/4-91/026(November 1991).U.S.EPA 0ffice of Research & De
velopment Washington DC.,
The Superfund InovativeTechno1ogy Program:Technology Profiles Fifth Edi
tion.EPA/540/R-92/077(November 1992).U.S.EPA Office of Solid Wastes
and Emergency Responses.Washigton DC 20460;米国特許第4,832,122号;Mov
ing Beyond Pump-and-Treat.,Ann Hasbach(1993).Pollution Engineering.
March 15,1993 and Remediation of Contaminated Sediments,EPA Handbook,
EPA/625/6-91/028(April1991).
テトラピロールに触媒された還元的脱塩素化を通してのイン・サイチューでの
バイオ修復は、2段階工程によって実施できることが考えられる。第1段階は、
発酵性基質と少量のリン酸塩を沈降物に添加して、発酵細菌と硫酸還元細菌の集
団を発生させることを含むであろう。これは、現在行われるほとんどのバイオ修
復の努力において起きる自然的、自発的工程である。第2段階は、チトクローム
C3に直接共役するであろう沈降物に、テトラピロールと仲介体、テトラピロー
ルー仲介体複合体、またはテトラピロールを添加して、還元的脱塩素化を実施す
ることを含むであろう。
嫌気的代謝の間に生成される低電位の電子が、テトラピロール触媒を利用でき
るようにすることが期待されるであろう。地表下の環境には、発酵細菌が遍在し
ており、この触媒に対して還元性の等価物を提供するであろう。硫酸還元細菌に
おいては、水素酸化から生じる低電位電子は、細胞の代謝に中心的な重要性をも
つ。硫酸還元菌は、その細胞表面での局在と中間点電位のために、テトラピロー
ル触媒に共役するであろう菌体外の低電位(−300mV)チトクロームc3を
含む。
本発明は、化学触媒(テトラピロール)による還元的脱塩素化が、菌
体外電子伝達を通じて、生きている微生物の電子伝達鎖に共役できるという新規
な発見を教える。この発見の重要な点は、今や、脱塩素化できない嫌気性菌が、
通常の代謝過程と触媒への菌体外電子伝達を通して、還元的脱塩素化に関与でき
るということである。硫酸還元細菌の場合には、低電位電子は、通常、水素もし
くは有機酸の酸化の間に生成される。これらの電子への接近は、菌体外(ペリプ
ラズム)の酸化還元タンパク質チトクロームc3を通して起きる。強い還元体に
対する化学触媒の要求は、地下水に高濃度の還元剤を添加せずに、環境上受容で
きる方法において、このスキムに適合される。ヘマチンとB12が、天然に存在す
る化合物であることも、注目されるべきである。
さらに、本方法は、デスルホビブリオの細胞、リボフラビン、およびコバルト
含有(シアノコバラミン)か、鉄含有(ヘマチン)のいずれかのピロールが、電
子の給源としての水素、ピルビン酸もしくは乳酸を用いて、脱塩素化するであろ
うことを開示する。水素は、発酵細菌の普通に生産される副産物であり、硫酸還
元菌のためのすぐ使える基質として役立つことができる。水素に対する硫酸還元
ヒドロゲナーゼ酵素の高い親和力が、水素の非常に低い分圧においてさえも、チ
トクロームc3と脱塩素化触媒を活性な還元状態に維持することになる。その結
果、低濃度の発酵性基質(すなわち、糖、酵母エキス、等)のみが、電子伝達過
程を進めるために存在する必要がある。
次の実施例は、本発明を具体的に説明するために用いられるべきであり、いか
なる点においても、それを限定するものと解釈されてはならない。
実施例
一般的方法
微生物の培養:
炭素源として乳酸ナトリウムおよび電子受容体として硫酸ナトリウムを用いる
増殖培地を、Odom et al,Appl.Environ.Microbiol.,57,727(1991)に記載
のように硫酸還元細菌の増殖のために使用した。硫酸還元細菌デスルホビブリオ
・ギガスATCC19364、デスルホビブリオ・デスルフリカンスATCC2
7774、デスルホビブリオ・デスルフリカンス・ノルウェー、デスルホビブリ
オ・デスルフリカンスG100Aおよびデスルホビブリオ・サレキシゲンスAT
CC14822の菌株を、Dr.H.D.Peck,デパートメント・オブ・バイオケミ
ストリー、ユニバーシチー・オブ・ジョージア、アテンス、ジー・エー 30601
(Department of Biochemistry,University of Georgia,Athens,GA 30601)
から得た。ATCC名をもつ菌株は、ザ・アメリカン・タイプ・カルチャー・コ
レクション、12301パークロー・ドライブ、ロックビル、エム・ディー ユー・
エス・エー20852(the American Type Culture Collection,12301 Parklaw Dri
ve,Rockvi11e,MD USA 20852)に寄託されている。培養物を一夜増殖させ、そ
して細胞を、20,000xgで20分間遠心して集菌した。脱塩素化アッセイ
のために、細胞懸濁液を、遠心により少なくとも10倍に濃縮し、次いで、少量
の蒸留水に再懸濁した。
精製タンパク質:
ヒドロゲナーゼを、実際に、引用によって本明細書に組み入れられているVan
der Westen et al.,FEBS Lett.86,122(1978)に記載のpH9トリス−ED
TAバッファーを用いて、D.ギガスの全細胞を洗浄す
ることによって部分精製した。そのpH9トリス−EDTA細胞洗浄液を、蒸留
水の20倍希釈液に対して2回透析した。そのタンパク質を、10mMトリスp
H8で予め平衡化したWhatman DE52(4.5cmx10cm)カラ
ム上に吸着させて、部分精製した。そのカラムを、10mMトリス、100mM
トリスおよび500mMトリスにより連続して洗浄した。ヒドロゲナーゼは、1
00mMトリス画分に溶出し、亜二チオン酸塩還元されたサンプルの分光測光分
析によってチトクロームc3を含まないと決定された。
チトクロームc3を、引用によって本明細書に組み入れられているVander West
en et al.,FEBS Lett.86,122(1978)に記載のpH9トリス−EDTAを用
いて、全細胞ペースト20gからチトクロームを最初に抽出することによって、
D.ギガスから電気泳動的に均一なものに精製した。抽出されたチトクロームを
、25mMHEPESバッファーpH7中で硫酸アンモニウムにより60%飽和
に調整し、フェニルセファロース・カラム(2.5cmx10cm)上に添加し
た。そのカラムを、10%硫酸アンモニウムにおける25mMHEPESpH7
で洗浄し、チトクロームを、25mMHEPESpH7で溶出した。次いで、チ
トクロームを、直接、25mMHEPESpH7で平衡化したWhatman
DE52カラムに適用した。そのカラムを、平衡化バッファーで洗浄し、タンパ
ク質を、25mMHEPES100mMNaClを用いて溶出した。得られた生
産物の分光測光分析を、引用によって本明細書に組み入れられているMoura,I.
,et al.,Eur.J.Biochem.,176,365(1988)に記載のプロトコールに従って
行った。 ガスクロマトグラフィー分析:
四塩化炭素(Aldrich Chemical Co.)とクロロホルムの分析は、HP−5カラ
ムと炎イオン化検出器を備えたHewlett−Packard5890ガスク
ロマトグラフで行った。分析方法は、35℃から150℃までの15deg/m
in温度勾配、検出温度200℃、注入温度150℃からなった。キャリヤーガ
スは、50ml/minでのヘリウムであった。サンプルは、揮発性汚染物質を
含む100μlまでのガスヘッドスペースからなった。
水素生産の測定を、PoraPak Qカラムと熱検出器を備えたHewle
tt−Packard5888ガスクロマトグラフを用いて行った。分析方法は
、キャリヤーガスをアルゴンとした80℃から150℃までの15deg/mi
n温度勾配からなった。
実施例1
精製タンパク質とシアノコバラミンを用いるCCl4のイン・ビトロでの脱塩 素化
実施例1は、D.ギガスからの精製チトクロームc3とヒドロゲナーゼの存在
下で、電子伝達仲介体としてリボフラビンおよびテトラピロール触媒としてシア
ノコバラミンを用いて、CCl4のCH3Cl3へのイン・ビトロ脱塩素化を例証
する。ヒドロゲナーゼは、硫酸還元菌においてチトクロームc3への天然の電子
供与体であるので、精製ヒドロゲナーゼが、チトクロームを還元するのに使用さ
れた。ヒドロゲナーゼとチトクロームc3は、上記のように精製された。ヒドロ
ゲナーゼ50μl;チトクロームc3(12nmol/ml)150μl;リボ
フラビン(1mM)100μl;そしてシアノコバラミンかヘマチンのいずれか
(1mM)100μlのインキュベーション混合液を、HEPESバッ
ファーpH7.5で総容量2mlに作製した。反応混合液を、30分間、水素ガ
スで通気し、次いで、四塩化炭素3μlをその反応の開始時に添加した。ガス通
気後、その混合液を、弱い撹拌をしつつ20.3時間30℃でインキュベートし
た。ガス相のサンプルを、上記のように四塩化炭素(CCl4)とクロロホルム
(CHCl3)のガスクロマトグラフィー分析のために採取した。CCl4のCH3
Cl3への脱塩素化を示すデータは、表Iに示される。
表1に示されたデータは、リボフラビンとテトラピロール触媒の両方が、反応
混合液に存在する場合に、CCl4のCH3Cl3への脱塩素化が、非常に促進さ
れることを示している。テトラピロール触媒は、コバルト含有(シアノコバラミ
ン、B12)でも鉄含有(ヘマチン)でもよい。リボフラビン、B12もしくはヘマ
チン単独では、この実験の時間経過では低すぎて有意とは言えない生産レベルの
クロロホルムを生じた。これ
らの触媒のみの効果は、さらに次の実験において検討されるであろう。低レベル
のクロロホルムは、全ての反応混合液で検出されるけれども、ヒドロゲナーゼ+
c3よりも30〜100倍高いレベルでの脱塩素化は、リボフラビンとテトラピ
ロール触媒の両方が存在する場合に観察された。これらの結果は、リボフラビン
が、チトクロームc3とテトラピロール間の電子伝達仲介体として働く場合の先
に示した電子伝達シーケンスによってのみ説明することができる。水素ガスは、
反応のための究極の還元体である。
実施例2 D.ギガス細菌細胞と還元体としての水素を用いる四塩化炭素の脱塩素化
D.ギガス細胞数の影響
実施例2は、単一の硫酸還元種、D.ギガスの全細胞を用いるCCl4のCH
Cl3への脱塩素化を具体的に説明する。D.ギガスの培養は、上記のように行
う。細胞濃度が109細胞/mlに達した後、遠心によって集菌され、蒸留水中
に大体1010細胞/mlの濃度で再懸濁されて、保存液として使用された。4種
の反応混合液を、リボフラビン(1mM)100μl;シアノコバラミン(1m
M)100μlすべてを、HEPESバッファーpH7.5中に含む混合液に、
細胞保存液10μl、50μl、200μlもしくは1000μlのいずれかを
添加することによって調製し、最終容量2mlにした。実施例1のように、その
混合液を、30分間、水素ガスで通気し、次いで、反応を、四塩化炭素3μlを
添加して開始した。22時間後、ガス相のサンプルを採取して、上記のように四
塩化炭素(CCl4)とクロロホルム(CHCl3)をガスクロマ
トグラフィーで分析した。種々の量のD.ギガス細胞を用いるCCl4のCH3C
l3への脱塩素化を示すデータは、表IIに示される。
表IIに表された結果は、固定量のリボフラビンとシアノコバラミンの存在下
で、形成される総生産物が、細胞数に依存することを示す。
シアノコバラミン濃度の影響
脱塩素化の速度へのテトラピロール触媒の影響を測定するために、D.ギガス
細胞1000μlと1mMリボフラビン100μlを含む反応混合液を、シアノ
コバラミンの濃度を変えて調製した。4種の反応混合液を、1mMシアノコバラ
ミンを0、20μl、50μl、100μlもしくは200μlのいずれかを含
んで調製した。全反応混合液を、30分間、100%水素下で上記のようにイン
キュベートし、次いで、反応を、CCl43μlを添加して開始した。全反応を
、インキュベーション5時間後に停止し、サンプルを、上記のように四塩化炭素
(CCl4)とクロロホルム(CHCl3)のガスクロマトグラフィーでの分析の
ために採取した。脱塩素化の速度に及ぼすシアノコバラミン濃度の影響を例証す
るデータは、表IIIに示される。
表IIIに示されたデータは、リボフラビンが、細胞表面のチトクロームc3
と触媒作用を行うシアノコバラミンの間の電子伝達を仲介しているというスキム
を支持する。その上、表IIIに示されたデータは、シアノコバラミンが、ヘマ
チンのように、触媒機構の一活性部分であり得ることを説明している。
実施例3 電子伝達仲介体のある場合とない場合のD.ギガス細菌細胞を用いる四塩化炭素 の脱塩素化
実施例3は、脱塩素化が、遅い速度ではあるが、電子伝達仲介体の不在下で進
行できることを例証する。
D.ギガス細胞の培養は、上記のように行う。3種の反応混合液が、細胞液1
ml、100μMヘマチン中細胞液1ml、または100μMヘマチンと100
μMリボフラビン添加された細胞液1mlのいずれかを含んで調製された。全反
応混合液を、30分間、100%水素下で上記のようにインキュベートし、次い
で、反応を、CCl43μlを添加
して開始した。サンプルを、0、1、2、3、4および71時間目にガスクロマ
トグラフィーでの分析のために採取し、上記のように四塩化炭素(CCl4)と
クロロホルム(CHCl3)の検出に使用した。全時点における脱塩素化の速度
を示すデータは、表IVに示される。
テトラピロール触媒のみの存在下でも、電子伝達仲介体を含まない場合に、C
Cl4のCH3Cl3への有意な脱塩素化があることが、表IVのデータから証明
される。リボフラビンの添加は、脱塩素化の速度を約25倍増進すると見られる
。
電子伝達仲介体の不在下での脱塩素化速度に及ぼすテトラピロール触媒の濃度
の相対的影響を決定するために、D.ギガス細胞を上記のよう
に増殖させ、反応混合液を、0、25μMヘマチン、125μMヘマチン、25
0μMヘマチン、および100μMリボフラビン添加の250μMヘマチンのい
ずれかを含んで調製した。全反応混合液を、30分間、100%水素下で上記の
ようにインキュベートし、次いで、反応を、CCl43μlを添加して開始した
。サンプルを、0、1、2、3.4、4.4、18.9および91時間目にガス
クロマトグラフィーでの分析のために採取し、上記のように四塩化炭素(CCl4
)とクロロホルム(CHCl3)の検出に使用した。全時点における脱塩素化の
速度を示すデータは、表Vに示される。
表Vのデータで分かるように、125μM以上のヘマチン濃度は、脱塩素化速
度にほとんど影響しない。
表IVおよびVは、ヘマチンが、リボフラビン不在下で細胞に直接共
役できることを示している。このことは、細胞からヘマチンへのいくらかの電子
の流れがあり、そしてこの流れが、リボフラビンによって非常に促進されること
を示す重要な観察である。ヘマチンのみでの促進は、大体25〜125μMヘマ
チンで飽和する。表I−Vからのデータは、脱塩素化に対するテトラピロール触
媒、細胞およびリボフラビンの要求性を表している。
実施例4 電子供与体として種々の炭素源を用いるD.ギガスによるCCl4の脱塩素化
上記脱塩素化反応において、水素ガスが、イン・ビボかイン・ビトロのいずれ
かのヒドロゲナーゼ系の唯一の還元体として用いられた。水素は、発酵最終産物
として普通に形成されるし、熱力学的にE’値−400mVであるので良好な基
質である。有機酸もまた、D.ギガスの増殖に対する良好な電子供与体として役
立つ。この実施例は、シアノコバラミンに触媒される脱塩素化の進行における乳
酸ナトリウム(E’−190mV)、ピルビン酸ナトリウム(E’−700mV
)および水素(E’−400mV)の相対的能力を比較する。
D.ギガス細胞保存液を、実施例2のように調製した。3種の反応混合液を、
リボフラビン(1mM)100μl;シアノコバラミン(1mM)100μlす
べてを、HEPESバッファ−pH7.5中に含む混合液に、細胞保存液100
0μlを添加することによって調製し、最終容量2mlにした。1つの反応混合
液を、上記のように30分間、100%水素でガス通気した。第2および第3の
反応混合液を、30mM乳酸ナトリウムか30mMピルビン酸ナトリウムかいず
れかにして、10
0%アルゴン下で30分間通気した。上記のように、CCl43μlを、各反応
混合液に添加して、反応を開始した。28時間後に、反応を停止し、ガス相のサ
ンプルを採取して、上記のように四塩化炭素(CCl4)とクロロホルム(CH
Cl3)のガスクロマトグラフィーで分析した。別の炭素源を用いるCCl4のC
H3Cl3への脱塩素化を例証するデータは、表VIに示される。
表VIに示された結果は、低電位酸化(水素およびピルビン酸)が、より高い
電位の乳酸酸化よりも約4倍速い速度で脱塩素化を起こしたことを示す。この結
果は、デスルホビブリオ−テトラピロール脱塩素化系を進めるための最良の基質
は、低電位をもつものであろうことを示唆する。水素酸化は、−400mVで起
きる。水素は、ほとんどの沈降物中の微生物の食物連鎖の中間体として生じる生
態学的に重要な遍在する物質である。水素は、上記のように広い種類の細菌によ
る発酵作用の結果として、広範な有機物から生じ得る。
実施例5
C.ベイジェリンキイ(C.beijerinckii)とデスルホビブリオ −テトラピロール複合体間の種間水素伝達による脱塩素化
実施例5は、デスルホビブリオによって直接に利用されない有機物が、クロス
トリジウム(Clostridium)種のような非硫酸還元発酵細菌による主
要な最終産物としての水素を用いて発酵できることを例証する。クロストリジウ
ム菌は、ほとんどの透水層から培養できる遍在性の土壌微生物である。
D.デスルリカンスG100Aとクロストリジウム・ベイジェリンキの両菌の
培養物を、試験のために1010細胞/mlの濃度まで増殖させた。D.デスルリ
カンスG100Aを、D.ギガスについて先に略述したプロトコールに従って増
殖させた。クロストリジウム・ベイジェリンキイ(起源、ATCC#)は,硫酸
ナトリウムか乳酸ナトリウムを欠き、5mMグルコースを補足したBTZ−3培
地上で嫌気的に増殖させた。これらの増殖条件下で、微生物は、糖類を発酵して
水素、二酸化炭素および有機酸にすることが知られている(Gibson G.R.,J.A
ppl.Bacteriol.,69,769(1990))。
C.ベイジェリンキイ4.0ml;D.デスルフリカンスG100A(硫酸還
元菌)4.0ml;シアノコバラミン(1mM)400μl;リボフラビン(1
mM)800μl;およびグルコース(1M)46μlを含む反応混合液を、調
製した。反応混合液を、30分間、100%アルゴンをガス通気し、反応を、C
Cl49μlを添加して開始した。水素の発生と四塩化炭素添加と同時の再取り
込み、およびクロロホルムの出現を示す結果を、図2に示す。
図2は、四塩化炭素が添加されるまで、水素がグルコースから発生し、添加時
点において水素は取り込まれ、デスルホビブリオ−テトラピロール複合体によっ
て、四塩化炭素をクロロホルムヘ還元するために使用さ
れることを示している。
実施例6
細菌源として含水沈降物を用いる種間水素伝達による脱塩素化
実施例6は、塩素化溶媒で汚染された工業地からの沈降物サンプルから分離さ
れた自然に存在する細菌が、適当なテトラピロール触媒と電子伝達仲介体の添加
により、これらの溶媒の脱塩素化を実施するために利用できることを例証する。
ビクトリア、テキサス(Victoria,texas);キンストン、エヌ・カロライナ
(Kinston,N.Carolina);およびナイアガラ、ニューヨーク(Niagara,New Y
ork)の汚染された工業地からの沈降物サンプルを、20mM硫酸ナトリウムの
存在(硫酸還元条件)で、単一炭素源としてグルコースを用いる菌集積培養物(
enrichment)のための種菌として使用した。含水沈降物サンプルは、
すべて塩素化溶媒で汚染された地域から得られた。このような菌集積培養物が、
グルコース発酵細菌と硫酸還元細菌の両方を含むことはよく知られている。
沈降物サンプルを、5mMグルコースと20mM硫酸ナトリウムを補足された
BTZ−3培地中に植菌し、アルゴン下で1週間30℃で培養し、そして引用に
よって本明細書に組み入れられるSiegal,L.M.,Method in Enzymology,53d,
419(1979)に記載された方法によって、硫化物の生産をモニターした。硫化物
生産を例証する培養物は、盛んに増殖する硫酸還元細菌を含んでいると考えられ
るが、硫酸還元菌はグルコースを利用できないので、それ故、硫化物生産は、発
酵細菌によって作られた分解産物の硫酸還元代謝を通してのみ起きることができ
る。
硫化物生産を例証する培養物を、脱塩素化実験のための反応混合液に
使用した。反応混合液は、細胞(細胞密度は、約109細胞/mlと評価された
)1ml、100uMシアノコバラミン、100uMリボフラビン、5mMグル
コース、リン酸バッファーpH7 25mMからなった。反応を、四塩化炭素1
.5μlの添加で開始し、そしてサンプルを、0〜12時間まで一定間隔で採取
し、上記のようにクロロホルムと水素の形成について分析した。発酵細菌構成分
からの水素生産の上昇に対応する硫酸還元菌によるCCl4の脱塩素化を例証す
るデータを、図3,4および5に図示する。
図3,4,5の各々に図示されるように、汚染透水層からの細菌の自然のまま
の菌集積培養物は、グルコース発酵によって急速に水素を生産することが分かっ
た。四塩化炭素に依存する水素の取り込みは、リボフラビン−シアノコバラミン
混合物の存在によって著しく増強されることが観察された。図3に見られるよう
に、水素生産は、四塩化炭素不在でも継続するが、四塩化炭素存在下では、水素
生産は、初期の突然の発生後はフラットになり、等しい生産と消費の速度を示し
ていると思われる。四塩化炭素とリボフラビン−シアノコバラミン混合物の両方
の存在では、急速な水素の再取り込みが、四塩化炭素の存在で見られた。同様な
効果は、図4および5において具体的に説明される。全ての場合、四塩化炭素依
存の水素の取り込みは、リボフラビン−シアノコバラミン混合物の存在によって
著しく増強された。細菌の集積培養物それ自体は、時には、リボフラビン−シア
ノコバラミンの不在下で四塩化炭素を脱塩素化したが、これらの薬剤の添加は、
クロロホルムの出現速度を著しく促進した。
実施例7 異種のデスルホビブリオに共役されたテトラピロールに触媒される脱塩 素化
実施例7は、脱塩素化反応を行うべき異種の硫酸還元細菌の相対的能力ならび
に細胞膜の部分としてのチトクロームc3電子伝達タンパク質の必要性を具体的
に説明する。D.ギガス、D.デスルフリカンスG100A、D.サレキシゲン
ス、D.デスルフリカンス(ノルウェー)、ならびにチトクロームc3を欠く2
種のネガティブ対照の微生物、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli
)およびパラコッカス・デニトリフィカンス(Paracoccus denitrificans
)が,単一還元体としての水素を用いてリボフラビ
ン−シアノコバラミン電子伝達複合体に共役するそれらの能力について試験され
た。
保存液を、実施例2に記載のように、全ての細胞について調製した。全ての反
応液は、リボフラビン(1mM)100μlおよびシアノコバラミン(1mM)
100μlすべてを、HEPESバッファーpH7.5中に含む混合液に、細胞
懸濁液1mlを含み、そして、最終容量2mlにした。実施例2におけるように
、混合液を、30分間、水素でガス通気し、その反応を、四塩化炭素3μlを添
加して開始した。5時間後に、ガス相のサンプルを採取して、上記のように四塩
化炭素(CCl4)とクロロホルム(CHCl3)をガスクロマトグラフィーで分
析した。異なる細胞種の細胞を用いるCCl4のCH3Cl3への脱塩素化を例証
するデータは、表VIIに示される。結果は、相対的活性の評価を容易にするた
めに、比活性(生産物nmol/min/mg)として表される。
表VIIに示されたデータは、D.サレキシゲンスおよびD.ギガスが、D.
デスルフリカンス株のいずれよりも約12倍高い速度でCCl4のCHCl3への
脱塩素化を進めることを例証する。予側されたように、ペリプラズムのチトクロ
ームc3タンパク質を欠く細菌(E.コリおよびP.デニトリフィカンス)は、
脱塩素化活性を示さなかった。
実施例8 D.ギガス/リボフラビン/シアノコバラミン系によるパークロロエチレンの脱 塩素化
実施例5は、パークロロエチレン(PCE)をトリクロロエチレン(TCE)
に脱塩素化する本方法の能力を具体的に説明する。
D.ギガスの細胞保存液を、上記のように調製した。反応混合液は、リボフラ
ビン(1mM)100μlおよびシアノコバラミン(1mM)100μlすべて
を、HEPESバッファーpH7.5中に含む混合液に、細胞保存液1000μ
lを添加して調製し、そして、最終容量2mlにした。全ての混合液を、30分
間、水素でガス通気し、その反応を、
パークロロエチレン(PCE)3μlを添加して開始した。サンプルを、0h,
21h,44h,128h,266h,および368hに(0.5ml)採取し
て、上記のようにパークロロエチレン(PCE)とトリクロロエチレン(TCE
)をガスクロマトグラフィーで分析した。経時的にPCEのTCEへの脱塩素化
を例証するデータは、表VIIIに示される。
PCEの脱塩素化について観察された速度は、四塩化炭素について観察された
速度よりもはるかに低かった。この観察は、この系に特有ではなく、一般に、テ
トラピロール触媒作用および細胞により触媒される反応について、同様に報告さ
れている。そのデータは、また、本系が、長時間活性があることを示している。実施例9
塩素化溶媒で汚染された透水層のイン・サイチューでテトラピロール で触媒される脱塩素化
実施例9は、塩素化溶媒により汚染された透水層のイン・サイチューでのバイ
オ修復を具体的に説明する。
溶媒で汚染された透水層のイン・サイチューでのバイオ修復は、2段階で達成
されるであろう。第1は、発酵による水素生産細菌そしてまた硫酸還元細菌の増
殖を誘導するであろう透水層への特定の栄養素の添加である。第2段階は、ヘマ
チン、もしくはリボフラビンとヘマチンの添加である。
段階1.栄養素添加(第1の補正物)
場所の調査:
汚染物質のレベルと微生物細胞の増殖に影響するファクターについて汚染場所
の最初の調査が、必要であろう。現地調査から収集されたデータの結果に基づき
、土着の微生物の増殖を維持したり増強するのに必要な種々の補正物の濃度の計
算が行われる。典型的なそのような補正物は、グルコースと硫酸塩の両方を含む
であろう。
場所の調査は、透水層中の塩素化溶媒の濃度が、1mM以下が良く、そしてよ
り典型的には0.1mM以下であることを示すであろう。その場所が、パークロ
ロエチレン0.1umol/mlで汚染されている場合には、計算は、水素0.
4umol/mlか、グルコース0.2〜0.4umol/mlが、透水層内の
土着の細菌によって利用される水素発生発酵経路に依存している微生物の増殖を
維持するために必要であることを示すであろう。計算は、全ての電子が、水素に
由来すると仮定した場合、グルコース0.2〜0.4umol/mlが、透水層
内で脱塩素化を達成するために必要な最小の最終濃度であることを示すであろう
。
グルコースの代謝は、水素、有機酸および二酸化炭素の形成に至ることが理解さ
れる。
透水層が、自然の地球化学的に硫酸塩を欠く場合には、硫酸塩が、グルコース
濃度の少なくとも2倍濃度で存在するように硫酸塩の捕正が行われるであろう。
これらの条件下では、有機酸と水素は、透水層に土着の硫酸還元細菌による硫酸
還元のために、完全に利用されるであろう。その上、保存溶液グルコース−硫酸
塩補正物の濃度は、透水層中に添加され、希釈された後に、最終グルコース濃度
は、汚染物質の濃度を超えて少なくとも2倍モル過剰であり、最終硫酸塩濃度は
、モルベースで少なくとも2の因数で、グルコース濃度より過剰になるようにさ
れる。
透水層に対する補正物の導入
透水層中への最初の栄養的補正物の導入は、汚染の広がりと自然の透水層流の
上流に置かれた一連の井戸を通して、透水層中へ栄養素をポンプ挿入することに
よって行われる。次いで、透水層のサンプルが、日常的に転換をモニターするた
めに得られるように、一連のモニター用井戸が、注入井戸の下流に置かれる。処
理された透水層の水は、最後に、汚染物質の広がりの末端の方のさらに下流に置
かれた一連の抽出井戸によって、地表にもたらされる。次に、抽出された水は、
注入井戸に再循環され、新たな栄養素とともに再導入されるであろう。この工程
は、硫酸還元細菌とグルコース発酵における中間体としての水素を含む微生物集
団を生じさせるであろう。
微生物代謝のモニター
透水層系内の酸化還元電位と硫化物生産をモニターすることは、透水層中の硫
酸還元代謝の定常状態レベルの指示を与えるであろう。硫酸還
元代謝の十分高いレベルが、これらのパラメーターに基づいて見られる時には、
追加の補正物が、汚染溶媒の脱塩素化を実施させるために行われる。硫化物生産
のレベルは、前述の方法を基に決定される。
段階2.テトラピロールと電子伝達仲介体添加(第2の補正物)
硫酸還元細菌の存在が、透水層系で確立された後に、テトラピロール触媒(ヘ
マチン、シアノコバラミン)もしくはリボフラビン−ヘマチン−シアノコバラミ
ンが、透水層中に導入される。テトラピロール触媒もしくはテトラピロール−リ
ボフラビンの濃度は、少なくとも25uMの濃度が、テトラピロール触媒につい
て維持されるように、再循環水中でモニターされる。リボフラビンの濃度は、あ
まり厳密ではないが、約1〜5mM濃度で添加される。
薬剤は、栄養素と同様の方法で注入井戸において導入されるであろう。次いで
、汚染物質、テトラピロール触媒およびリボフラビンの濃度が、汚染物質の脱塩
素化が完結するまで再循環水中で連続的にモニターされる。脱塩素化は、前述の
ガスクロマトグラフィー法によって測定される。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年6月14日
【補正内容】
請求の範囲
1. (i)還元体の存在下で、チトクロームc3菌体外電子伝達タンパク
質を含む硫酸還元細菌細胞の培養物を生育させること;(ii)該細胞を、反応
混合物を形成するために有機ハロゲン化合物とテトラピロール触媒を含む培地と
接触させること;そして(iii)適切な嫌気的条件下で、該有機ハロゲンを脱
ハロゲン化するのに十分な時間、該反応混合物をインキュベートすること:を含
んでなる有機ハロゲンの脱ハロゲン化方法。
2. 該反応混合物が、さらに、イソアロオキサジン環を含む電子伝達仲介
体を含んでいて、該仲介体が、該電子伝達タンパク質から該テトラピロール触媒
への電子伝達を促進する、請求の範囲1の方法。
3. 該還元体が、乳酸、プロピオン酸、ギ酸、酪酸、酢酸およびそれらの
塩、水素、そして水素に発酵されるすべての有機物からなる群から選ばれる、請
求の範囲1の方法。
4. 該細菌細胞が、硫酸還元細菌類の少なくとも1つの菌株を含む、請求
の範囲1の方法。
5. 該菌体外電子伝達タンパク質が、チトクロームc3である、請求の範
囲1の方法。
6. 該電子伝達仲介体が、リボフラビンである、請求の範囲2の方法。
7. 該テトラピロール触媒が、金属不含のポルフィリン、メタロポルフィ
リン、フタロシアニンおよびコリンからなる群から選ばれる、請求の範囲1の方
法。
8. 該テトラピロール触媒が、シアノコバラミンおよびヘマチン
からなる群から選ばれる、請求の範囲1の方法。
9. 該有機ハロゲンが、四塩化炭素、パークロロエチレン、クロロホルム
、塩化メチレン、トリクロロエチレン、ジクロロエチレン、塩化ビニルおよびク
ロロ芳香族化合物からなる群から選ばれる、請求の範囲1の方法。
10. (i)還元条件を提供する硫酸還元細菌、および該発酵細菌の増殖の
ための炭素源の存在下で該硫酸還元細菌によって使用できる還元体を供給する発
酵細菌を含んでなる細菌細胞の混合培養物を生育させること;(ii)該細菌細
胞の混合培養物を、反応混合物を形成するために有機ハロゲン化合物とテトラピ
ロール触媒を含む培地と接触させること;そして(iii)適切な嫌気的条件下
で、該有機ハロゲンを脱ハロゲン化するのに十分な時間、該反応混合物をインキ
ュベートすること:を含んでなる有機ハロゲンの脱ハロゲン化方法。
11. 該反応混合物が、さらに、イソアロオキサジン環を含む電子伝達仲介
体を含んでいて、該仲介体が、該電子伝達タンパク質から該テトラピロール触媒
への電子伝達を促進する、請求の範囲10の方法。
12. 該テトラピロール触媒が、金属不含のポルフィリン、メタロポルフィ
リン、フタロシアニンおよびコリンからなる群から選ばれる、請求の範囲10の
方法。
13. 該有機ハロゲンが、四塩化炭素、パークロロエチレン、クロロホルム
、塩化メチレン、トリクロロエチレン、ジクロロエチレン、塩化ビニルおよびク
ロロ芳香族化合物からなる群から選ばれる、請求の範囲10の方法。
14. 該炭素源が、グルコースである、請求の範囲10の方法。
15. (i)土着の細菌の増殖を増進するであろう補正物のタイプを決定す
るため、そして硫酸還元条件を作り出すために、土着の細菌集団の増殖に影響す
る栄養素の濃度、汚染物質および条件について、該場所を評価すること;(ii
)測定可能な量の硫化水素を生産させる硫酸還元条件を作り出すために、栄養素
、塩類、リン酸塩および硫酸塩を含む最初の補正物を用いて、該場所を修正する
こと;(iii)細菌増殖のレベルを決定し、そして硫酸還元条件を維持するた
めの追加的な補正物の必要性を調査するために、段階(ii)の後に、該場所の
酸化還元電位と硫化物生産をモニターすること;(iv)該硫酸還元条件を維持
しながら、テトラピロール触媒を含む第二の補正物、段階(iii)において得
られた結果から決定された第二の補正物を用いて、該場所を修正すること;そし
て(v)有機ハロゲンの脱ハロゲン化に関して、該場所をモニターすること:を
含んでなる、土壌もしくは地下水の場所から有機ハロゲンをイン・サイチューで
脱ハロゲン化する方法。
16. 該第二の補正物が、さらに、イソアロオキサジン環を含む電子伝達仲
介体を含んでいて、該仲介体が、該電子伝達タンパク質から該テトラピロール触
媒への電子伝達を促進する、請求の範囲15の方法。
17. 該テトラピロール触媒が、金属不含のポルフィリン、メタロポルフィ
リン、フタロシアニンおよびコリンからなる群から選ばれる、請求の範囲15の
方法。
18. 該有機ハロゲンが、四塩化炭素、パークロロエチレン、クロロホルム
、塩化メチレン、トリクロロエチレン、ジクロロエチレン、塩化ビニルおよびク
ロロ芳香族化合物からなる群から選ばれる、請求の範囲15の方法。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1. (i)適切な還元体の存在下で、チトクロームc3菌体外電子伝達タ ンパク質を含む硫酸還元細菌細胞の培養物を生育させること; (ii)該細胞を、反応混合物を形成するために有機ハロゲン化合物とテトラピ ロール触媒を含む培地と接触させること;そして(iii)適切な嫌気的条件下 で、該有機ハロゲンを脱ハロゲン化するのに十分な時間、該反応混合物をインキ ュベートすること:を含んでなる有機ハロゲンの脱ハロゲン化方法。 2. 該反応混合物が、さらに、イソアロオキサジン環を含む電子伝達仲介 体を含んでいて、該仲介体が、該電子伝達タンパク質から該テトラピロール触媒 への電子伝達を促進する、請求の範囲1の方法。 3. 該還元体が、乳酸、プロピオン酸、ギ酸、酪酸、酢酸およびそれらの 塩、水素、そして水素に発酵され得るすべての有機物からなる群から選ばれる、 請求の範囲1の方法。 4. 該細菌細胞が、硫酸還元細菌類の少なくとも1つの菌株を含む、請求 の範囲1の方法。 5. 該菌体外電子伝達タンパク質が、チトクロームc3である、請求の範 囲1の方法。 6. 該電子伝達仲介体が、リボフラビンである、請求の範囲2の方法。 7. 該テトラピロール触媒が、金属不含のポルフィリン、メタロポルフィ リン、フタロシアニンおよびコリンからなる群から選ばれる、請求の範囲1の方 法。 8. 該テトラピロール触媒が、シアノコバラミンおよびヘマチン からなる群から選ばれる、請求の範囲1の方法。 9. 該有機ハロゲンが、四塩化炭素、パークロロエチレン、クロロホルム 、塩化メチレン、トリクロロエチレン、ジクロロエチレン、塩化ビニルおよびク ロロ芳香族化合物からなる群から選ばれる、請求の範囲1の方法。 10. (i)還元条件を提供する硫酸還元細菌、および該発酵細菌の増殖に 適する炭素源の存在下で該硫酸還元細菌によって使用できる適切な¨還元体を供 給する発酵細菌を含んでなる細菌細胞の混合培養物を生育させること;(ii) 該細菌細胞の混合培養物を、反応混合物を形成するために有機ハロゲン化合物と テトラピロール触媒を含む培地と接触させること;そして(iii)適切な嫌気 的条件下で、該有機ハロゲンを脱ハロゲン化するのに十分な時間、該反応混合物 をインキュベートすること:を含んでなる有機ハロゲンの脱ハロゲン化方法。 11. 該反応混合物が、さらに、イソアロオキサジン環を含む電子伝達仲介 体を含んでいて、該仲介体が、該電子伝達タンパク質から該テトラピロール触媒 への電子伝達を促進する、請求の範囲10の方法。 12. 該テトラピロール触媒が、金属不含のポルフィリン、メタロポルフィ リン、フタロシアニンおよびコリンからなる群から選ばれる、請求の範囲10の 方法。 13. 該有機ハロゲンが、四塩化炭素、パークロロエチレン、クロロホルム 、塩化メチレン、トリクロロエチレン、ジクロロエチレン、塩化ビニルおよびク ロロ芳香族化合物からなる群から選ばれる、請求の範囲10の方法。 14. 該炭素源が、グルコースである、請求の範囲10の方法。 15. (i)タイプを決定するために、土着の細菌集団の増殖に影響する栄 養素の濃度、汚染物質および条件について、そして土着の細菌の増殖を増進した り、硫酸還元条件を作り出すのに必要な補正物の濃度について、該場所を評価す ること;(ii)測定可能な量の硫化水素を生産させる硫酸還元条件を作り出す ために、栄養素、塩類、リン酸塩および硫酸塩を含む最初の補正物を用いて、該 場所を修正すること;(iii)細菌増殖のレベルを決定し、そして硫酸還元条 件を維持するための追加的な補正物の必要性を調査するために、段階(ii)の 後に、該場所の酸化還元電位と硫化物生産をモニターすること;(iv)該硫酸 還元条件を維持しながら、テトラピロール触媒を含む第二の補正物、段階(ii i)において得られた結果から決定された第二の補正物を用いて、該場所を修正 すること;そして(v)有機ハロゲンの脱ハロゲン化に関して、該場所をモニタ ーすること:を含んでなる、土壌もしくは地下水の場所から有機ハロゲンをイン ・サイチューで脱ハロゲン化する方法。 16. 該第二の補正物が、さらに、イソアロオキサジン環を含む電子伝達仲 介体を含んでいて、該仲介体が、該電子伝達タンパク質から該テトラピロール触 媒への電子伝達を促進する、請求の範囲15の方法。 17. 該テトラピロール触媒が、金属不含のポルフィリン、メタロポルフィ リン、フタロシアニンおよびコリンからなる群から選ばれる、請求の範囲15の 方法。 18. 該有機ハロゲンが、四塩化炭素、パークロロエチレン、クロロホルム 、塩化メチレン、トリクロロエチレン、ジクロロエチレン、塩化ビニルおよびク ロロ芳香族化合物からなる群から選ばれる、請求の範 囲15の方法。
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