JPH08509361A - フリンエンドプロテアーゼを阻害する方法と薬剤 - Google Patents

フリンエンドプロテアーゼを阻害する方法と薬剤

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ネルソン、ジェイ
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、フリンエンドプロテアーゼ活性を阻害する方法と薬剤、および特に生物活性タンパク質の生体内および生体外でのフリンエンドプロテアーゼによる成熟を阻害する方法と薬剤に関する。本発明は特にフリンエンドプロテアーゼ活性を阻害できるタンパク質を提供するものである。特に、フリンエンドプロテアーゼ活性を特異的に阻害するα1−抗トリプシン変異体が提供される。フリンエンドプロテアーゼの阻害を利用し、ウイルスタンパク質の成熟を弱めるかまたは防止して、ウイルス感染を軽減する方法が提供される。フリンエンドプロテアーゼの阻害を利用し、細菌毒素のタンパク質分解処理を弱めるかまたは防止して、細菌感染を軽減する方法も提供される。生物活性を有するタンパク質とペプチドのタンパク質分解処理を阻害する方法も提供される。また本発明は、治療上有効な量のフリンエンドプロテアーゼインヒビターの医薬として許容される組成物も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 フリンエンドプロテアーゼを阻害する方法と薬剤 発明の背景 本発明は米国国立衛生試験所の政府援助DK44629号とDK37274号に基づいてなさ れたものである。米国政府は本発明に特定の権利をもっている。 1.発明の技術分野 本発明は、エンドプロテアーゼ類、詳しくはフリンエンドプロテアーゼ(furi n endoprotease)という名称の新規なエンドプロテアーゼに関する。また本発明 は、フリンエンドプロテアーゼ活性のインヒビターに関する。特に本発明は、特 異的にフリンエンドプロテアーゼ活性を阻害するα1−抗トリプシンの新規な変 異体に関する。また本発明は、上記のインヒビターを用いて、特定のウイルスタ ンパク質類および細菌毒素中の生物活性を有するタンパク質とペプチドの生物学 的タンパク質分解成熟を生体内および生体外で弱めるかまたは防止する方法も提 供する。微生物が病因である疾患を軽減しかつ治療するための、上記インヒビタ ーによる治療法および該インヒビターの医薬組成物も提供する。 2.関連技術の背景 生物活性を有する大部分のペプチド類およびタンパク 質類は最初、これらタンパク質を発現する細胞内のゴルジ体中の分泌経路を通過 中に、エンドタンパク質分解によって(endoproteolytically)切断される大き な不活性前駆タンパク質として合成される(Barr,Cell,66巻、1〜3頁、1991 年を概説として参照)。この系は、酵母中(Fullerら、Ann.Rev.Physiol.,50 巻、345〜362頁、1988年)、無脊椎動物中(Schellerら、Cell,32巻、7〜22頁 、1983年)および哺乳類の細胞中(Sossinら、Neuron,2巻、1407〜1417頁、19 89年)の生物活性を有するタンパク質とペプチドを合成するのに必要である重要 な共通の機構を備えている。ゴルジ体を通じてエキソサイトーシスで輸送されて (by exocytotic transport)生体内で産生されるタンパク質の例は、ペプチド ホルモンの前駆物質、神経ペプチド、成長因子、凝固因子、血清アルブミン、細 胞表面受容体および粘着分子である。 Morrisonら、J.Virol.,53巻、851〜857頁、1985年には、ニューカッスル病ウ イルスのFプロテインが、感染細胞内でエキソサイトーシス輸送経路を通じて処 理されることが開示されている。 PerezおよびHunter、J.Virol.、61巻、1609〜1614頁、1987年には、ラウス肉 腫ウイルス(RSV)の糖タンパク質が感染細胞内でエキソサイトーシス輸送経路 で処理されることが開示されている。 Yamadaら、Virology,165巻、268〜273頁、1988年には、おたふくかぜウイル スのFプロテインが、感染細胞 内でエキソサイトーシス輸送経路を通じて処理されることが開示されている。 Randolphら、Virology、174巻、450〜458頁、1990年には、フラビウイルスの prMプロテインが感染細胞内でエキソサイトーシス輸送経路を通じて処理され ることが開示されている。 エキソサイトーシス輸送経路を通じて処理される分子の共通の構造上の特徴は 、その分子中のタンパク質分解処理部位(proteolytic processing site)に塩 基性残基または塩基性残基の対が存在することである。実例としては次のものが ある。すなわち血清因子(第IX因子:Bentleyら、Cell、45巻、343〜348頁、1 986年;プロアルブミン:Knowlesら、Science、209巻、497〜499頁、1980年;プ ロ−フォンビルブラント因子:Bonthronら、Nature、324巻、270〜273頁、1986 年)、ウイルスのポリタンパク質(ヒト免疫不全ウイルス(HIV)gp160 :McCureら、Cell、53巻、55〜67頁、1988年;RSVエンベロープタンパク質: PerezおよびHunter、J.Virol.、61巻、1609〜1614頁、1987年;黄熱病ウイルス タンパク質:Riceら、Science、229巻、726〜733頁、1985年;はしかウイルスタ ンパク質:Richardsonら、Virology、155巻、508〜523頁、1986年;おたふくか ぜウイルスタンパク質:Waxhamら、Virology、159巻、381〜389頁、1987年;ヒ トサイトメガロウイルスタンパク質:Spaeteら、J.Virol.、64巻、2922〜2931頁 、1990年;水痘 帯状庖疹ウイルスタンパク質:Kellerら、Virology、152巻、181〜191頁、1986 年)、成長因子(プレプロトランスフォーミング成長因子β:Gentryら、Molec .Cell.Biol.、8巻、4162〜4168頁、1988年;上皮成長因子:Grayら、Nature 、303巻、722〜725頁、1983年;プロ−β−神経成長因子(NGF):Edwardsら 、Molec.Cell.Bio1.、8巻、2456〜2464頁、1988年)、受容体(インシュリン 受容体:Yoshimasaら、Science、240巻、784〜787頁、1988年)、および細菌毒 素[概説としてはStephenおよびPietrowski、Bacterial Toxins、第2版、1986 年(Amer.Soc.Microbiol.、ワシントンD.C.)を参照;炭疽毒素:Singhら、J. Biol.Chem.、264巻、11099〜11102頁、1989年]である。タンパク質分解処理部 位は、これらの分子のいくつかで同定されている。 BergerおよびShooter、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、74巻、3647〜3651頁、1 977年は、プロ−β−NGFのタンパク質分解処理部位における配列−RSKR −を開示している。 Bentleyらの1986年の前掲文献には、血液凝固因子タンパク質第IX因子のタ ンパク質分解処理部位における配列−RPKR−が開示されている。 McCureらの1988年の前掲文献には、HIVgp160のタンパク質分解処理部 位における配列−REKR−が開示されている。 Clepakら、Biochem.Biophys.Res.Comm.、157巻、7 47〜754頁、1988年は、ジフテリア毒素のタンパク質分解処理部位における配列 −RVRR−を開示している。 Veyら、Virology、188巻、408〜413頁、1992年には、インフルエンザウイルス ヘマグルチニンのタンパク質分解処理部位における配列−RX(R/K)R−が 開示されている。 Ogataら、J.Biol.Chem.、265巻、20678〜20685頁、1990年は、シュードモナ ス(Pseudomonas)属菌株の外毒素Aのタンパク質分解処理部位における配列− RSKR−を開示している。 Klimpelら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89巻、10277〜10281頁、1992年に は、炭疽の防御抗原のタンパク質分解処理部位における配列−RX(R/K)R −が開示されている。 最近、エキソサイトーシスの分泌経路を通じて処理されるタンパク質の認識配 列を特異的に認識するフリンと呼ばれるエンドプロテアーゼが単離された(Wise ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87巻、9378〜9382頁、1990年;Bresnahanら 、J.Cell Biol.、111巻、2851〜2859頁、1990年)。このエンドプロテアーゼは 、ズブチリシン類縁でカルシウム依存性のセリンプロテアーゼ(Bresnahanらの 上記文献)である。このエンドプロテアーゼをコードするmRNAの相補的DN Aコピーは単離され(Wiseらの前掲文献)、配列が決定され(van den Ouweland ら、Nucleic Acids Res.、18巻、664頁、1992年)次い で異種細胞内で発現された(Bresnahanらの前掲文献)。これらの研究は、フリ ンが、大きさが96キロダルトンと90キロダルトン(kD)の二本鎖として発現さ れ、4.5キロ塩基(kb)のmRNAとして遍在して発現され、そしてこのエン ドプロテアーゼを発現する細胞のゴルジ体中に蛍光免疫組織化学法(fluorescen ce immunohistochemistry)によって位置が決定される(Bresnahanらの前掲文献 )ことを示した。フリンはエキソサイトーシスで処理された多くのタンパク質を タンパク質分解的に切断できることが分かっている。 Bresnahanらの前掲文献はプロ−β−NGFのフリン媒介による切断を開示し ている。 Wiseらの前掲文献には、プロ−フォンビルブラント因子と補体因子C3のフリ ン媒介による切断を開示している。 Hosakaら、J.Biol.Chem.、266巻、12127〜12130頁、1991年には、レニンのフ リン媒介による切断が開示されている。 Steineke-Groberら、EMBO J.、11巻、2407〜2414頁、1992年には、インフルエ ンザウイルスのヘマグルチニンのフリン媒介による切断が開示されている。 Klimpelら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89巻、10277〜10281頁、1992年に はフリン媒介による炭疽防御抗原の切断が開示されている。 Molloyら、J.Biol.Chem.、267巻、16396〜16402頁、 1992年にはフリン媒介による炭疽防御抗原の切断が開示されている。 Klimpelら、1992年Annual Meeting,Amer.Soc.Microbiol.Abst.B-32には フリン媒介によるジフテリア毒素の切断が開示されている。 フリンは、特異的なペプチジルクロロアルキルケトン類によって阻害されるこ とがあるが(Gartenら、Virology、172巻、25〜31頁、1989年;Molloyらの前掲 文献;Hallenbergerら、Nature、360巻、358〜361頁、1992年)、これらの物質 は生体内で毒性である。細菌毒素、ウイルスの構造タンパク質および生物活性分 子を活性化するのにこのエンドプロテアーゼが重要であるならば、安全で特異的 なフリンインヒビターを開発する必要がある。 発明の要約 本発明は、天然に存在するプロテアーゼインヒビターであるα1−抗トリプシ ン(Heebら、J.Biol.Chem.,265巻、2365〜2369頁、1990年;Schapiraら、J.C lin.Invest.,80巻、582〜585頁、1987年)の新規な変異体である、フリンエン ドプロテアーゼの安全で特異的なかつ有効なインヒビター、およびそのインヒビ ター由来のペプチドを提供するものである。α1−抗トリプシンと変異体は、ゴ ルジ体を通じてエキソサイトーシス分泌経路で処理される分泌タンパク質である から、これらのタンパク質が細胞内で合成されると、生体内でフリン活性部 位へインヒビターが供給されるので、α1−抗トリプシンのこれらの新規の変異 体を使用することは有利である。 第一の実施態様において、本発明は、本来のタンパク質の355〜358位の配列( −Ala−Ile−Pro−Met−)が新規な配列−Arg−X−X−Arg −(但し各Xは本来のα1−抗トリプシンのアミノ配列の355〜358位におけるい ずれかのアミノ酸である)に変更されることを除いて、本来のα1−抗トリプシ ン分子のアミノ酸(Longら、Biochemistry,23巻、4828〜4837頁、1984年;この 文献は本願に援用するものである)を含有するアミノ酸配列を有するα1−抗ト リプシン変異タンパク質を含んでなるフリンエンドプロテアーゼインヒビターを 提供するものである。好ましい実施態様では、α1−抗トリプシン変異体は、α1 −抗トリプシンポートランド(Portland)であり、α1−抗トリプシンアミノ酸 ポートランドの配列の355〜358位におけるアミノ酸配列は−Arg−Ile−P ro−Arg−である。 第二の実施態様において、本発明は、本来のα1−抗トリプシンタンパク質の3 55〜358位の配列(−Ala−Ile−Pro−Met−)が新規な配列−Ar g−X−X−Arg(但し各Xは変異体のα1−抗トリプシンのアミノ酸配列の3 55〜358位置におけるいずれかのアミノ酸である)に変更されることを除いて、 本来のα1−抗トリプシン分子のアミノ酸を含有するアミノ酸配列を有するα1− 抗トリプシン変異タンパク質をコードする ヌクレオチド配列を有する核酸を提供するものである。好ましい実施態様では、 そのα1−抗トリプシン変異体はα1−抗トリプシンポートランドであり、そのア ミノ酸配列は−Arg−Ile−Pro−Arg−である。 第三の実施態様において、本発明は、本来のα1−抗トリプシンタンパク質の3 55〜358位の配列(−Ala−Ile−Pro−Met−)が新規な配列−Ar g−X−X−Arg−(但し各Xは変異体のα1−抗トリプシンのアミノ酸配列 の355〜358位におけるいずれかのアミノ酸である)に変更されることを除いて、 本来のα1−抗トリプシン分子のアミノ酸を含有するアミノ酸配列を有するα1− 抗トリプシン変異体タンパク質をコードするヌクレオチド配列を有する核酸を含 んでなる組換え発現構造体を提供するものである。好ましい実施態様では、α1 −抗トリプシン変異体はα1−抗トリプシンポートランドであり、そのアミノ酸 配列は−Arg−Ile−Pro−Arg−である。本発明が提供する組換え発 現構造体は、形質転換された細胞の培養物中に、本発明のα1−抗トリプシン変 異体タンパク質を発現することができる。好ましい実施態様では、この組換え発 現構造体はワクシニアウイルスベースの構造体を含有している。一層好ましい実 施態様では、組換え発現構造体は、α1−抗トリプシン変異体、好ましくはα1− 抗トリプシンポートランドをコードする核酸と共有結合された組換えワクシニア ウイルスのベクターを含有している。 また本発明は、α1−抗トリプシン変異体を発現できるα1−抗トリプシン変異 体をコードする組換え発現構造体で形質転換された細胞の培養物を提供するもの である。好ましい実施態様では、そのα1−抗トリプシン変異体はα1−抗トリプ シンポートランドである。このような細胞培養物の好ましい実施態様は、細菌の 細胞、酵母の細胞、昆虫の細胞または哺乳類の細胞の培養物である。 他の実施態様で、本発明は、本発明の教示にしたがって細胞培養物によって産 出されるα1−抗トリプシン変異体を含有する均一な組成物を提供するものであ る。好ましい実施態様では、α1−抗トリプシン変異体はα1−抗トリプシンポー トランドである。 また本発明は、細菌毒素のエンドタンパク質分解活性の活性化を阻害できるα1 −抗トリプシン変異体を含有するフリンエンドプロテアーゼインヒビターを提 供するものである。好ましい実施態様では、α1−抗トリプシン変異体はα1−抗 トリプシンポートランドである。また、治療上有効な量のα1−抗トリプシン変 異体と、医薬として許容されるキャリヤーまたは希釈剤とを含有する本発明のα1 −抗トリプシン変異体の医薬として許容される組成物も提供される。 また、本発明は、アミノ酸配列−Arg−X−X−Arg−(但し、各Xはい ずれかのアミノ酸)を含有する、長さが約4〜約100個のアミノ酸のアミノ酸配 列を有す るペプチドを提供するものである。好ましい実施態様では、上記アミノ酸配列は −Arg−Ile−Pro−Arg−である。 本発明は、細胞を本発明のα1−抗トリプシン変異体に接触させることを含ん でなるヒト細胞の細菌感染を抑制する方法を提供するものである。好ましい実施 態様では、α1−抗トリプシン変異体はα1−抗トリプシンポートランドである。 好ましい実施態様では、細菌感染の原因はコリネバクテリウム・ジフセリエ(Co rynebacterium diptheriae)である。他の好ましい実施態様では、細菌感染の原 因はバチルス・アンスラシス(炭疽菌、Bacillus anthracis)である。さらに他 の好ましい実施態様では、細菌感染の原因はシュードモナス・エルジノーサ(Ps eudomonas aeruginosa)である。 また本発明は、医薬として許容されるキャリヤー中の、治療上有効な量の本発 明のα1−抗トリプシン変異体を投与することからなる、ヒトの細菌感染を抑制 する方法を提供するものである。好ましい実施態様では、α1−抗トリプシン変 異体はα1−抗トリプシンポートランドである。好ましい実施態様では、この細 菌感染の原因はコリネバクテリム・ジフセリエである。他の好ましい実施態様で は、細菌感染の原因はバチルス・アンスラシスである。さらに他の好ましい実施 態様では、細菌感染の原因はシュードモナス・エルジノーサである。 また本発明は、医薬として許容されるキャリヤー中の、 治療上有効な量の本発明のα1−抗トリプシン変異体を投与することからなる、 細菌に感染しているヒトの治療方法を提供するものである。好ましい実施態様で はα1−抗トリプシン変異体はα1−抗トリプシンポートランドである。好ましい 実施態様では、細菌感染の原因はコリネバクテリウム・ジフセリエである。他の 好ましい実施態様では、細菌感染の原因はバチルス・アンスラシスである。さら に他の好ましい実施態様では、細菌感染の原因はシュードモナス・エルジノーサ である。 本発明は、医薬として許容されるキャリヤー中の、治療上有効な量のα1−抗 トリプシン変異体および治療上有効な量の第二の抗菌化合物の混合物を投与する ことからなる、細菌に感染しているヒトの治療方法を提供するものである。好ま しい実施態様では、α1−抗トリプシン変異体はα1−抗トリプシンポートランド である。好ましい実施態様では、細菌感染の原因はコリネバクテリウム・ジフセ リエである。他の好ましい実施態様では、細菌感染の原因はバチルス・アンスラ シスである。さらに他の好ましい実施態様では、細菌感染の原因はシュードモナ ス・エルジノーサである。 また細菌毒素のエンドタンパク質分解活性の活性化を阻害できる、フリンエン ドプロテアーゼインヒビターの治療上有効な量、および医薬として許容されるキ ャリヤーまたは希釈剤を含有する、本発明の方法によって有効な医薬として許容 される組成物も提供される。 本発明は、ヒト細胞を本発明のα1−抗トリプシン変異体と接触させることか らなるヒト細胞のウイルス感染を阻害する方法を提供するものである。好ましい 実施態様で、本発明は、本発明の組換え発現構造体、ならびに該構造体を動物の 細胞内に供給および該細胞内で発現させる遺伝子手段を備える、α1−抗トリプ シン変異体をコードする核酸の遺伝子治療デリバリーシステムを提供するもので ある。好ましいα1−抗トリプシン変異体はα1−抗トリプシンポートランドであ る。治療上有効な量の遺伝子治療デリバリーシステムおよび医薬として許容され るキャリヤーまたは希釈剤を含有する医薬として許容される組成物が提供される 。好ましい実施態様では、ウイルス感染の原因はヒト免疫不全ウイルス1(HI V−1)である。他の好ましい実施態様では、ヒト細胞は造血細胞であり最も好 ましくはTリンパ球である。他の好ましい実施態様のウイルス感染としてはイン フルエンザウイルスによる感染がある。 また本発明は、医薬として許容されるキャリヤー中の、治療上有効な量の本発 明の遺伝子治療デリバリーシステムを投与することからなる動物、最も好ましく はヒトのウイルス感染を抑制する方法を提供するものである。好ましい実施態様 では、ウイルスはヒト免疫不全ウイルス1(HIV−1)である。他の好ましい 実施態様ではウイルスはサイトメガロウイルスである。 本発明は、医薬として許容されるキャリヤー中の、治 療上有効な量の本発明の遺伝子治療デリバリーシステムを投与することからなる 、ウイルスに感染しているヒトの治療方法を提供するものである。好ましい実施 態様では、ウイルスはヒト免疫不全ウイルス1(HIV−1)である。他の好ま しい実施態様ではウイルスはインフルエンザウイルスである。 本発明は、医薬として許容されるキャリヤー中の、治療上有効な量の本発明の 遺伝子治療デリバリーシステムおよび治療上有効な量の第二の抗ウイルス化合物 の混合物を投与することからなる、ウイルスに感染しているヒトの治療方法を提 供するものである。好ましい実施態様では、ウイルスはヒト免疫不全ウイルス1 (HIV−1)であり第二の抗ウイルス化合物はアジドチミジンである。他の好 ましい実施態様では、ウイルスはインフルエンザウイルスである。 また本発明は、医薬として許容されるキャリヤー中の、治療上有効な量の遺伝 子治療デリバリーシステムを投与することからなる、ヒトのウイルス関連免疫抑 制の治療方法を提供するものである。好ましい実施態様では、ウイルスはヒト免 疫不全ウイルス1(HIV−1)である。 また、治療上有効な量の、抗ウイルス特性を有するα1−抗トリプシン変異体 をコードする遺伝子治療デリバリーシステムおよび医薬として許容されるキャリ ヤーまたは希釈剤を含有する、本発明の方法によって有効な医薬として許容され る組成物も提供される。好ましい実施 態様ではα1−抗トリプシン変異体はα1−抗トリプシンポートランドである。 また本発明は、細胞を本発明の遺伝子治療デリバリーシステムに接触させるこ とからなる、生物活性を有するタンパク質またはペプチドの細胞内でのタンパク 質分解処理を阻害する方法を提供するものである。好ましい生物活性タンパク質 はプロ−β−神経成長因子、血液凝固因子タンパク質IX因子、プロ−フォンビル ブラント因子、補体因子C3およびレニンである。 図面の簡単な説明 図1は、ワクシニアウイルス組換え構造体に感染したBSC−40細胞による 、本来のα1−抗トリプシン(レーン1)、α1−抗トリプシンピッツバーグ(レ ーン2)およびα1−抗トリプシンポートランド(レーン3)の産生を示す。 図2は、本来のα1−抗トリプシン(斜線バー)、α1−抗トリプシンピッツバ ーグ(点をうったバー)およびα1−抗トリプシンポートランド(点彩バー)に よる生体外でのトロンビンとフリンの阻害を示す。 図3は、α1−抗トリプシンと変異体によるプロ−β−NGFのタンパク質分 解処理の阻害を示すSDS−PAGE分析の結果である。 図4は、α1−抗トリプシンと変異体によるHIVgp160のタンパク質分 解処理の阻害を示すウエタン ブロット分析の結果である。 図5は、同時に発現されるα1−抗トリプシンと変異体の存在下および不在下 で、CD4+ヒトHeLa細胞とシンシチウム(融合細胞)を形成するgp16 0産生IP/IR赤白血病細胞のgp41による融合誘導容量(fusogenic capa city)を検定する試験プロトコールを示す。 図6は、実施例5に記載されているシンシチウム試験の結果を示す。 図7は、VV:mNGFに感染したBSC−40細胞中の、プロ−β−NGF のタンパク質分解処理のα1−抗トリプシンポートランドによる阻害のオートラ ジオグラフ(パネルA)、および全オートラジオグラフ密度(β−NGFバンド +プロ−β−NGFバンド)に対する処理されたバンド(β−NGF)のオート ラジオグラフ密度の百分率として示すこれら試験の定量化した結果を示す。 図8は、組換え発現構造体のpRep4△L/Rpα1−PITおよびpRe p4△L/Rpα1−PDXの構造を示す。 図9は、HIVに感染したHeLa CD4+クローン1022細胞の培養物 (パネルB)、ならびに感染して4日後の二つのトラスフェクタントのPDX− 4(パネルC)およびPDX−6(パネルA)を示す。 好適な具体例の詳細な説明 遺伝子工学によりクローン化された遺伝子からα1−抗トリプシンポートラン ド等のタンパク質を製造することは周知のことである。例えば、Bellらのアメリ カ特許第4,761,371号第6欄3行目から第9欄第65行目までを参照。(ここで引 用するアメリカ特許文献の開示内容をすべて参考に記載する。)下記の議論はこ の分野の概観であり、技術のすべてを記載するのではない。この議論のためα1 −抗トリプシン変異体のα1−抗トリプシンポートランドを具体例として採用す る。この議論は本発明のすべてのα1−抗トリプシン変異体に適用されかつ本発 明に含まれることが理解できるだろう。 α1−抗トリプシンポートランドをコードするDNAは化学合成、または、こ の実施例2に記載するように、本来のα1−抗トリプシンDNA配列に生体外で 突然変異を誘発させれば得られる。この本来のα1−抗トリプシンDNAは適当 な細胞または培養細胞ラインからmRNAの逆転写をスクリーニングするか、適 当な細胞からゲノムライブラリーをスクリーニングするか、またはこれらの方法 の組合わせにより得られる。mRNAまたはゲノムのDNAのスクリーニングは 公知のα1−抗トリプシン遺伝子配列から得られるプローブで実施できる。プロ ーブは公知の方法により蛍光性の基、放射性原子または化学ルミネッセンスの基 等の検出可能な基でラベルされ、かつ従来のハイブリッド形成検査(Sambrookら の 「分子クローニング:実験室マニュアル」ニューヨーク州Cold Spring Harbor L aboratory Press参照)に使用される。さらにα1−抗トリプシン遺伝子配列は、 本来のα1−抗トリプシン遺伝子配列から生成されるPCRオリゴヌクレオチド プライマーを使用し、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法により生体外の突然変 異により得られる。Mullisらのアメリカ特許第4,683,195号および第4,683,195号 参照。 α1−抗トリプシンポートランド等のα1−抗トリプシン変異体は、α1−抗ト リプシン変異体をコードするDNAからなる組換え発現構成物で形質転換された 宿主細胞内で合成される。この組換え発現構成物はまた複製可能なDNA構造物 であるベクターで構成することができる。ベクターはここではα1−抗トリプシ ンポートランドをコードするDNAを増幅するため、および/またはα1−抗ト リプシンポートランドをコードするDNAを発現するために使用する。本発明の 目的から、組換え発現構成物は複製可能なDNA構成物であり、ここでα1−抗 トリプシン変異体をコードするDNA配列は適当な宿主内でα1−抗トリプシン 変異体の発現をもたらすことのできる適当な制御配列にリンクされる。このよう な制御配列の必要性は選ばれる宿主および形質転換の方法により異なる。一般的 に、制御配列には転写プロモーター、転写を制御する任意のオペレーター配列( 細菌内)またはエンハンサー配列(真核細胞内)、適当なmRN Aのリボソーム結合サイトをコードする配列、および転写と翻訳の終結を制御す る配列がある。増幅ベクターは発現制御ドメインを必要としない。必要なことは 専ら、通常複製起点により付与される宿主中での複製能力および形質転換の認識 を促進する選択遺伝子である。 DNA領域はそれらが機能的に互いに関連がある場合は自在にリンクできる。 例えば;プロモーターはそれが配列の転写を制御する場合、コードしている配列 に自在にリンクできる;リボソーム結合サイトは、それが翻訳できるように配置 されているならコードしている配列に自在にリンクできる。一般的に、自在にリ ンクされた手段は隣接し、リーダー配列では同一翻訳読取り枠内で隣接している 。 本発明を実施するに有用なベクターにはプラスミド、ウイルス(ファージを含 む)、レトロウイルスおよび組込み可能なDNA断片(すなわち、同形組換えに より宿主ゲノム内に組込み可能な断片)がある。ベクターは宿主ゲノムとは独立 して複製し機能するか、またある場合にはゲノム自身に組込まれる。適当なベク ターにはレプリコンと、所定の発現宿主と両立する種から誘導された制御配列と が含まれている。好適なベクターにはプラスミドpZVneoがあり、ワクシニ アウイルス配列との同形組換えに基づく組換え発現構成物体を製造するために有 用である。 本発明の組換え発現構成体の好適な具体例は、下記実 施例2で記載するとおり、哺乳類の細胞に感染しかつα1−抗トリプシン変異体 を発現することができるワクシニアウイルス配列で構成されている。 形質転換された宿主細胞は、組換えDNA技術を使用しかつα1−抗トリプシ ン変異体をコードする配列で構成して作製された組換え発現構成体で形質転換さ れ、かつトランスフェクトされた細胞である。形質転換された宿主細胞はα1− 抗トリプシンポートランドを発現するが、DNAをクローニングするか増幅する ために形質転換された宿主細胞はこれらの配列を発現する必要がない。 多細胞器官に由来する細胞も含めて、細胞の培養物は組換えα1−抗トリプシ ンポートランドの合成には望ましい宿主である。第一に、適当な組換え発現構成 体で形質転換されかつα1−抗トリプシンタンパク質を発現できる細胞の培養物 は有用である。実施例で説明するとおり、本発明はバクテリア、酵母、昆虫また は哺乳類の細胞で実施することが好ましいが、哺乳類の細胞がより好適である。 バクテリアと酵母の増殖は従来公知であり、細胞培養物中の哺乳類細胞の増殖は お決まりの方法である。Academic Press,Kruse&Patterson編の「組織培養」参 照。最も好適な哺乳類の細胞はBSC−40アフリカミドリ猿の腎臓細胞である が、ヒトの293細胞、VEROおよびHeLaの細胞、中国産ハムスターの卵 巣(CHO)の細胞ラインおよびWI138、BHK、COS−7、CVとMD CK細胞等の他の細胞もまた有 用である。 本発明では、記載するようにして形質転換した細胞から産生した、α1−抗ト リプシンポートランドの均質組成物を提供する。かかる均質な組成物は、その中 に少なくとも90%のタンパク質を含んでいる哺乳類のα1−抗トリプシンポー トランドタンパク質で構成することを意図するものである。 本発明の組換え発現構成体は、α1−抗トリプシンポートランドで抑制できる フリンまたはフリン様エンドプロテアーゼの活性を発現する細胞内でウイルスそ の他の感染から動物を保護する方法として、分子生物学的に動物の生体内で細胞 を形質転換するのに有用である。本発明は、安全かつ効率的に適切な細胞内へこ れらの配列を導入しかつα1−抗トリプシンポーランドを発現させる構成により 、組換え発現構成体からなる遺伝子治療デリバリ−システムを提供する。このた め、例えばTeminとWatanabeのアメリカ特許第4,650,764号およびMillerの同第4, 861,719号に記述するレトロウイルスベクターが採用される。本発明の組換え発 現構成体はまた同形組換えを実施する遺伝子治療でも使用される。Thomas&Cape cchiの、Cell、51巻、503〜512、1987年;Bertlingの、Bioscience Report、7 巻、107〜112、1987年;Smithiesらの、Nature、317巻、230〜234、1985年参照 。さらに、このような改変α1−抗トリプシン配列を伴うする細胞内でα1−抗ト リプシンポートランドを生成する内因性 のα1−抗トリプシン配列の改変は、同形組換えその他の方法を使用しても達成 可能である。その組織がα1−抗トリプシントポーランド変異体を発現するトラ ンスジェニック動物もまた本発明の他の目的である。 本発明のペプチドは公知のいずれの方法によっても産生および/または分離で きる。本発明の各ペプチドをコードする核酸を分離または化学合成することは従 来技術の範囲内のことである。このような核酸は組換え発現構成体の成分として 有利に利用されており、この核酸は転写および/または翻訳制御要素と自在にリ ンクされている。このため、本発明の組換え発現構成体は、これによって形質転 換された細胞、好適には真核細胞、最も好適には哺乳類細胞の培養物内で本発明 のペプチドの発現が可能である。 本発明のペプチドは公知の化学合成法のいずれによっても、特に例えば市販の 自動ペプチド合成器を使用する固相合成法により、有利に合成できる。このよう なペプチドはアミノ酸の配列−Arg−X−X−Arg−(ここでXはどのよう なアミノ酸でもよい。)を含む線状ペプチドとして提供される。これらのペプチ ドは組合わされた形でもよく、この組合わせ内のペプチドは特定の配置がとれる ように、“スペーサ”のアミノ酸により分離されまたは分離されずに相互に線状 にリンクされている。また分枝鎖の組合わせでもよく、ここでは成分のペプチド がペプチドからなるアミノ酸のアミノ酸側鎖に機能的 に共有結合的にリンクされている。 また、本発明は抗菌的および抗ウイルス的方法を提供するものである。本発明 はバクテリア毒素のエンドタンパク質分解に対する活性を遮断する方法を提供す る。本発明の抗菌的方法における標的バクテリアは、エンドタンパク質分解に対 し活性な毒素、例えばコリネバクテリア属のジフテリア菌(Corynebacterium di ptheriae)が生成するジフテリア毒素、シュードモナス属のアウリゲノサ菌(Ps eudomonas aurigenosa)の外毒素A、破傷風菌(tetanus)の毒素、エセリティ ア属大腸菌(Escherichia coli)とビブリオ属コレラ菌(Vibrio cholerae)の エンテロトキシン、バチルス属のアンスラクシス(Bacillus anthracis)の保護 抗原、およびクロストリディウム属のボツリヌス菌(Clostridium botulinus) の神経毒素とC2毒素を生成するバクテリアが含まれるが、これには限定されな い。好適な毒素とはコンセンサスフリン認知サイト(−Arg−Xaa−Xaa −Arg↓−)でタンパク質分解的に処理されるものである。好適な具体例はコ リネバクテリア属のジフテリア菌、シュードモナス属のアウリゲノサ菌およびバ チルス属のアンスラクシスである。 本発明の提供する抗ウイルス法の標的ウイルスには、ピコルナウイルス(ポリ オウイルスやライノウイルス等);オルソミクソウイルス(インフルエンザウイ ルス等);パラミクソウイルス(はしかウイルスやおたふくかぜ ウイルス等);コロナウイルス;ラブドウイルス(狂犬病ウイルスや水泡性口内 炎等);トガウイルス(Semliki Forestウイルスや黄熱病ウイルス等);ブンヤ ウイルス(カリフォルニア脳炎ウイルス等);アレナウイルス(ラッサ熱ウイル ス等);風疹ウイルス;レオウイルス(コロラドだに熱ウイルス等);肝炎ウイ ルス;アデノウイルス;疱疹ウイルス(単純疱疹ウイルス等);および乳頭腫ウ イルス、RNA腫瘍ウイルスまたはレトロウイルスおよびレンチウイルス(ヒト の免疫不全ウイルス等)を含む発癌性ウイルスがあるが、これには限定されない 。最も好適なウイルスはヒトの免疫不全ウイルス(HIV−1およびHIV−2 )である。 本発明の提供する方法により保護される細胞はヒト、犬、牛、鼠、兎、豚、羊 、猿、猫、山羊および馬の細胞が含まれるが、これに限定されない。好適な細胞 はヒトの細胞である。より好適にはヒトのTリンパ球(T細胞)で、最も好適な ヒトのT細胞は細胞表面の抗原CD4を発現する細胞である。 本発明の方法は、ヒトの血または血漿を処理して輸血受容者を汚染ウイルスの ウイルス感染から保護するために使用される。本発明の方法はヒトの精液を処理 するためにも使用され、ウイルスで汚染された精液からの胎児およびこのような 胎児を受胎したりこの精液で妊娠した母親を保護する。好適な具体例での汚染ウ イルスはHIV−1である。 本発明はヒトのウイルス感染を抑制する方法を提供する。本発明ではまたウイ ルスで感染された人の治療方法を提供する。本発明の他の具体例ではウイルス感 染に関連して人を免疫抑制する方法をも含んでいる。さらに本発明の他の具体例 では、ウイルスによる感染に曝された、特にウイルスまたはウイルスで汚染され た体液で感染した人に接して直接感染の危険のある人を治療する予防法を提供す る。本発明のこれら具体例での好適なウイルスはHIV−1である。本発明は、 本発明のペプチドと製薬上許容できるキャリヤーとからなり、かつ本発明で提供 した方法で使用するに有効な製薬上許容できる組成物を提供するものである。 また本発明では、細胞を本発明の遺伝子治療デリバリーシステムと接触させる ことによって細胞内の生物学的に活性なタンパク質またはペプチドのタンパク質 分解処理を阻害する方法を提供する。本発明の方法によれば、生体内または生体 外でフリンによりタンパク質分解的に処理される生物学的に活性な分子のタンパ ク質分解処理を抑制する。これらには、ペプチドホルモン、ニューロペプチド、 成長因子、凝集因子、血清アルブミン、細胞表面受容体および接着分子があげら れるが、これには限定されない。生物学的に活性なタンパク質で好適なものには プロ−β−神経成長因子、血液凝集因子タンパク質第IX因子、プロ−フォンビ ルブラント因子、補体因子C3およびレニンがある。以上のように、発現過剰や 生 産過剰またはこのように生物学的に活性なタンパク質の不適当な合成に関連して おこる、動物の、好適にはヒトの異常な状態および病的状態を軽減するものであ る。 本発明で提供する製薬上許容できる組成物の製造は当業者に周知の方法で調製 できる。無菌の生理食塩水、血漿等の一般的なキャリヤーが本発明の製剤組成物 の製造に利用される。投与経路としては経口(肺への吸入を含む)、静脈内、腸 管外(非経口)、直腸内、眼、耳および経皮があるがこれには限定されない。本 発明の製剤組成物は生理食塩水等の静脈注射用の従来の媒体または血漿を媒体に して静脈に投与できる。またこのような媒体には、例えば浸透圧、緩衝剤、保存 剤等を調整する製薬上許容できる塩等の従来の調剤用添加物を含ませてもよい。 好適な媒体の中では通常の生理食塩水および血漿がよい。 下記実施例は前述の方法および効果的な結果を説明してある(Andersonら、Bi ol.Chem.、268巻、24887〜24891、1993年にも開示)。下記の実施例は説明のた めに記載するもので、これに限定されるものではない。 実施例1 生体外でのアフリカミドリザル細胞内でのフリンエンドプロテアーゼの調製 Bresnahanら(J.Cell Biol.、111巻、2851〜2859、1 990年)およびMolloyら(J.Biol.Chem.、267巻、16396〜14402、1992年;とも に参考のため引用する。)に記述するようにして、抑制実験用にヒトのフリンを 合成した。簡単に言えば、トランケートされているが機能的なフリンタンパク質 をコードしたフリンcDNA(van den Ouwelandら、Nucleic Acids Res.、18巻 、664、1992年)をワクシニアウイルスベクター(Hrubyら、Meth.Enzymol.、12 4巻、295〜309、1986年)の多数のクローニングサイトに挿入し、そしてBSC −40アフリカミドリザルの腎臓細胞(ATCC Accession No.CCL26,American T ype Culture Collection,Rockville,MD)を用い感染させた。細胞は血清のな い培地で24時間インキュベートし、それから4℃で採取し、Doundeホモ ジナイザー(Kontes GlassCo.Vineland,OH)により20〜30ストロークで粉 砕した。溶解分離物を低速遠心分離(1,000g,5分)で澄まし、それから上澄み を1時間、100,000gの超速遠心分離に掛けた。ペレットをpH7.5で10mM のHEPES[N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N′−(2−エタン スルホン酸)、Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO]からなる緩衝液200μL 中に再懸濁させ、そして使用するまで4℃で保存した。 また、カルボキシル末端81アミノ酸を欠く、可溶性のトランケートされたフ リンの誘導体を使用した(この分子をより詳細に記述したMolloyらの同文献を参 照、参 考のため引用する)。簡単に言えば、BSC−40細胞はトランケートされたフ リンcDNAを含むワクシニアウイルスベクターにより感染され、16〜18時 間血清を含まない培地で成長させ、それから採取した。細胞を粉砕し、4℃で順 次1,000gと10,000gの遠心分離に掛けた。上澄みは0.2μmのフィルターを通し、 20mMのビストリス(Bis Tris)(pH7.0)および1mMの2−メルカプトエ タノールからなる緩衝液でおよそ1:1に希釈した。それからこの混合物をMo no Q HR5/5高速タンパク質液体クロマトグラフィーのアニオン交換カ ラム(Pharmacia LKB Biotechnology Inc.)に掛け、0〜750mMの塩化ナト リウムの勾配でトランケートされたフリン誘導体を溶離させ、使用するまで4℃ で保存した。 実施例2 生体外での突然変異およびα1−抗トリプシンの本来および変異種の調製 α1−抗トリプシンポートランドと名付ける新規のα1−抗トリプシンを、自然 発生した変異体α1−抗トリプシンピッツバーグ(Lewisら、Blood、51巻、129〜 137、1978年:Owenら、N.Engl.J.Med.、309巻、684〜698、1983年)をコード するクローン化されたcDNAを生体外で突然変異させて生成した。α1−抗ト リプシンピッ ツバーグをコードする全長のcDNA(Met358→Arg358の突然変異以外は Longら、前掲、の開示した配列と同一である。)は標準的技術(Sambrookら、同 誌、第15章を参照)を使用してM13mp19ファージ内でサブクローン化した 。後記の突然変異生成プライマーはそれからα1−抗トリプシンピッツバーグ配 列: のコドン352〜358に対応する単一鎖のファージDNAの配列とアニールした。下 線の配列は突然変異したコドンをコード化してある。アニール後、突然変異生成 プライマーは4種のデオキシヌクレオチド三リン酸の存在下でE.coil DNAポ リメラーゼのクレノウ(Klenow)断片を使用して伸長した。突然変異した配列を 有するクローンはその後成長し、E.coliで選択し、突然変異生成の成否を確か めるため、選択された突然変異クローンの配列の適切な部分のDNA配列決定を 行った。突然変異したα1−抗トリプシンcDNA配列はワクシニアウイルス組 換えベクターのpZVneoでサブクローン化し、実施例1(そしてHayflickら 、J.Neurosci.、12巻、705〜717、1992年にはより詳細に記述されており、参考 のため引用する。)に記述するようにワクシニアウイルス組換え体を調製するた めに使用する。 突然変異の結果、α1−抗トリプシンピッツバーグ(Ala355−IIe−Pr o−Arg358)の配列が α1−抗トリプシンポートランド(Arg355−IIe−pro−Arg358)の 新規の配列に変わった。本来のα1−抗トリプシン(VV:α1−NAT;Ala355 −IIe−Pro−Met358)、α1−抗トリプシンピッツバーグ(VV: α1−PIT)およびα1−抗トリプシンポートランド(VV:α1−PDX)を 含むワクシニアウイルス構成体をそれぞれBSC−40細胞の感染に使用した。 感染された細胞は各々のα1−抗トリプシンを培地中に分泌し、そして本来のα1 −抗トリプシンと変異体とを、Mono Q HR5/5高圧液体クロマトグラ フィーのアニオン交換カラム(Pharmacia LKB Biotechnology Ltd.Stockholm, Sweden)に掛けて、適切に感染されたBSC−40細胞の培地から分離し、さら にMolloyらが記述するように50mM Tris−HCl(pH8)中の塩化ナ トリウムの線形の勾配(0.05M→0.5M)を使用してこれを溶離させた。 本来のα1−抗トリプシン(レーン1)、変異体ピッツバーグ(レーン2)およ びポートランド(レーン3)を第1図に示すようにウエスタンブロットハイブリ ダイゼーション(Sambrookら、同誌、第18章を参照)により確認した。 実施例3 生体外でのα1−抗トリプシンポートランドによるフ リンエンドプロテアーゼ阻害の特性 α1−抗トリプシン、変異体ピッツバーグおよびポートランドを、Molloyら( 同誌)が記述するようにして、実質的に生体外でのフリンエンドプロテアーゼ阻 害能力について検査した。簡単に言えば、実施例1に記載した再懸濁したフリン 標品調製液25μLを、100mM HEPES(pH7.5)、1mM塩化カ ルシウム、1mM 2−メルカプトエタノールおよび0.5% トリトン(Tr iton)−X100からなる緩衝液中で、37℃で20分間各々のα1−抗ト リプシン(最終濃度10μg/mL)とともにインキュベートした。その後、基 質[(N−ブトキシカルボニル)−Arg−Val−Arg−Arg−(4−メ チルクマリル−7−アミド);Peninsula Laboratories,Belmont,CA]を添加 して最終濃度を50μMとし、37℃で30分間インキュベートした。その後分 光蛍光計(Perkin Elmer,Waterbury,CT,LS3型)を使用する蛍光測定法(励起 波長=380nm,放出波長=460nm)で遊離したアミノメチルクマリン量を測定した 。この実験結果を第2図に示す。比較のためまた、各々のα1−抗トリプシンを トロンビンととものインキュベートし、基質にベンゾイル−Phe−Val−A rg−(p−ニトロアニリド)を使用してトロンビンペプチダーゼ活性を比色分 析法で検査した。その結果も第2図に示した。未変異のα1−抗トリプシンはフ リンエンドプロテアーゼ活性もトロンビンエンドプロテア ーゼ活性(斜線のバー)をも抑制できなかった。α1−抗トリプシンピッツバー グは特にトロンビンを抑制したが、 フリンではそうではなかった(点をうったバー)。新規の変異体α1−抗トリプ シンポートランド(点彩バー)はトロンビンのエンドプロテアーゼ活性には効果 がないが、特に実質的にかつ定量的にフリンのエンドプロテアーゼ活性を抑制す る効果があった。第1表によれば、エラスターゼ[基質として(N−ブトキシカ ルボニル)−Ala−Ala−Pro−Ala−(p−ニトロアニリド)で比色 分析法で検査した。]の阻害の程度の比較結果が解る。エラスターゼ活性は特に 本来のα1−抗トリ プシン(α1−NAT)で抑制され、トロンビンは特にα1−抗トリプシンピッツ バーグ(α1−PIT)で抑制され、かつフリンは特にα1−抗トリプシンポート ランド(α1−PDX)で抑制された。α1−PDXはフリンの抑制に関しα1− PITよりも3000倍以上の効果があり、K1/2が0.03μg/mLであって0. 4nMと同等であることが解った。α1−PDXではまたα1−PITと比較して トロンビンの抑制活性が大きく減衰している(>300倍)。これらの結果は、こ こで開示する新規のα1−抗トリプシン構造変異体(α1−PDX)が、特にこれ をフリンエンドプロテアーゼのインヒビターとして有用ならしめる、新規の機能 性を有することを立証するものである。 実施例4 生体内でのα1−抗トリプシンポートランドによるフリンエンドプロテアーゼ 阻害の特性 α1−抗トリプシンポートランドの生体内におけるフリンエンドプロテアーゼ 阻害能力につき検査した。BSC−40細胞は実施例2で記述したように、α1 −抗トリプシンポートランドをコードするワクシニアウイルスベクターおよびプ ロ−β−神経成長因子(β−NGF)をコードするワクシニアウイルスベクター をともに感染させた。ニューロペプチド成長因子はコンセンサスフリ ンサイト−Arg−Ser−Lys−Arg↓−(Bresnahanら;同誌)でフリ ンにより処理され、かつ細胞成長培地内に分泌されることが知られている。感染 した細胞をその後4時間[35S]−メチオニンの存在でインキュベートし、細胞 培地を採取した。この培地試料をNFG−特異性抗体で免疫沈降させ、ドデシル 硫酸ナトリウム/ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PAGE)によ り検査し、標準的技術(Sambrookら、同誌、が記載する)を使用してフルオログ ラフィーで明視化した。 これらの実験結果を第3図に示した。野性型のワクシニアウイルスで感染され た細胞は培地(レーンA)中に検出可能なβ−NFGを分泌しないが、β−NF Gをコードするワクシニアウイルスベクターで感染された細胞はβ−NFGの処 理型(13キロダルトン、kD)および未処理型(=35kD)を共に分泌した;野 性型のワクシニアウイルスによる細胞のこのような感染はβ−NFGの産生パタ ーンには効果がない(レーンC)。同様に、本来のα1−抗トリプシン(レーン D)およびα1−抗トリプシンピッツバーグ(レーンE)をコードするワクシニ アウイルス構造体と、β−NFG構造体とで感染されたBSC−40細胞もまた 、β−NFGの処理型および非処理型の両者を生成した。対照的に、β−NFG 構造体およびα1−抗トリプシンポートランド(レーンF)をコードするワクシ ニアウイルス構造体とで感染された細胞はβ−NFGの非処理型のみ生成した。 これはα1 −抗トリプシンポートランドが生体内で生物活性のプロ−ペプチドのフリン媒介 エンドプロテアーゼ処理を阻害できることを立証するものである。 実施例5 α1−抗トリプシンポートランドによる人の免疫不全ウイルスgp160のフ リン媒介処理の阻害 実施例4で記述した実験を免疫不全ウイルス(HIV−1)のグリコプロテイ ンgp160をコードするワクシニアウイルス構造体を使用して繰返した。この 先駆物質のタンパク質はタンパク質分解的に処理されて生体内で二つの膜組織関 連タンパク質;gp120(標的の宿主細胞の表面のHIV受容体CD4を結合 する)およびgp41(細胞へのウイルス侵入を媒介するフソジェニック(fuso genic)活性を提供する。)になることが知られている。コンセンサスフリンサ イト−Arg−Glu−Lys−Arg↓−におけるタンパク質分解処理は、H IVウイルス粒子の熟成および解放には必要なステップである。ワクシニアウイ ルス構造体で感染された細胞からの細胞膜が実施例1に記載するように分離され た。このような膜のタンパク質はSDS−PAGEで分解されそしてHIVタン パク質(Andersonら、同誌、を参照)に対する抗体を使用して、特にウエスタン ブロット分析(Sambrookら、同誌、の第18章を参照)により確認した。 この実験結果を第4図に示す。野性型ワクシニアウイルスで感染された細胞は 検出可能なHIV関連ペプチド(レーンA)を産生しなかった。gp160をコ ードするワクシニアウイルスベクターで感染された細胞では非処理タンパク質お よび処理生成物、gp120およびgp41が産生された。gp160構造体お よび本来のα1−抗トリプシン(レーンC)とα1−抗トリプシンピッツバーグ( レーンD)をコードするワクシニアウイルス構造体で感染されたBSC−40細 胞には、非処理gp160および処理gp120とgp41が生成された。他方 、gp160構造体およびα1−抗トリプシンポートランド(レーンE)とをコ ードするワクシニアウイルス構造体で感染された細胞は、非処理gp160をの み生成した。これらの結果から、α1−抗トリプシンポートランドは生体内で生 物活性ウイルス性タンパク質を処理するフリン媒介エンドプロテアーゼを阻害す ることを立証するもので、これは即ちウイルスのタンパク質処理を阻害してウイ ルス感染を治療する方法を示唆している。 他の一連の実験では、α1−抗トリプシンポートランドが媒介するgp160 のタンパク質分解処理の抑制作用につき検査し、このような抑制作用の機能的因 果関係を測定した。上述のとおり、gp160を処理すると、標的の細胞へのウ イルス侵入に重要なフソジェニック(fusogenic)活性を提供するタンパク質g p41が生成される。IP/IR赤白血病の細胞(Spiroら、J.Vi rol.、63巻、4434〜4437、1988年)表面のgp120とgp41の発現は、細胞 表面における細胞の融合(fusion)、およびgp120の標的であるCD4を発 現する細胞でシンシチウムの形成を促進する。これらの実験では、IP/IR細 胞はgp160をコードするワクシニアウイルス発現構造体、および細胞のフソ ジェニック(fusogenic)能力へのgp160処理の抑制効果が決められている 各々のα1−抗トリプシンとで感染される。この実験の計画案が第5図に示して ある。簡単に言えば、IP/IR細胞はワクシニアウイルスgp160構造体と 、実施例2で記載した各α1−抗トリプシン構造体を単独かまたは共に用いて、 両者の構造体で感染された。細胞を8〜16時間インキュベートし、収集し、そ してCD4+のヒトHeLa細胞[Kabatら、J.Virol.、 巻、 頁、1994 年に記載されているように、CD4+の細胞表面のタンパク質を発現する親のH eLa細胞(ATCC No.CCL 2)の変形]の単一層上に拡げた。これらの細胞をさ らに8〜12時間インキュベートし、シンシチウムの形成をクリスタルバイオレ ット染色より検出し、これを相抽出顕微鏡(phase-contact microscopy)検査で 観察した。 これらの実験結果を第6図に示した。パネルAはHIV gp160をコード するワクシニアウイルス組換え体で感染されたIP/IR細胞で覆われたHeL a/CD4+細胞の結果を示し、パネルBは野性型のワクシニ アウイルスでも感染されたHIV gp160ワクシニアウイルス組換え体で感 染されたIP/IR細胞を使用した覆われたHeLa/CD4+細胞での実験結 果を示す。これら感染された各培養体の細胞内でのシンシチウム形成(および、 そこでの、gp160からgp120とgp41とへの適切なタンパク質分解処 理)は各培養体内の多数の多核性細胞により確かめられた。パネルCは、野性型 のワクシニアウイルスを感染したIP/IR細胞を使用した覆われたHeLa/ CD4+細胞の実験結果を示す;特にこのような培養体では多核性細胞は観察さ れなかった。パネルDおよびEはgp160をコードするワクシニアウイルス組 換え体と、本来のもの(パネルC)およびピッツバーグ変異体(パネルD)とを 感染したIP/IR細胞を使用する覆われたHeLa/CD4+細胞の実験結果 を示す。本来または変異体ピッツバーグα1−抗トリプシンの発現はgp41で 惹起されるシンシチウム形成には何の効果もなかった。パネルFは、gp160 をコードするワクシニアウイルス組換え体およびHeLa/CD4+細胞のα1− 抗トリプシンポートランドとで感染された、IP/IR細胞を使用する覆われた HeLa/CD4+のHIV gp41媒介シンシチウム形成に及ぼす効果を示 す。これらの培養体ではシンシチウム形成は全く見られず、そしてこれらの培養 体の細胞は、パネルCで見られるとおり、野性型のワクシニアウイルスで感染さ れたIP/IR細胞を使用 する覆われた細胞の実験と同じに見えた。これらの結果は、α1−抗トリプシン ポートランドによるgp160処理の抑制作用はウイルスgp41のフソジェニ ック(fusogenic)活性を除去することを立証しており、かつこのような抑制作 用は生体内外でのHIV感染の治療方法が可能であることを示唆している。 実施例6 α1−抗トリプシンポートランドの直接適用によるβ−神経成長因子のフリン 媒介処理の阻害 細胞成長培地にインヒビターを添加する際の、タンパク質分解処理を阻害する α1−抗トリプシンポートランドの能力について下記検査で立証した。BSC− 40細胞を成長させ、35mmの組織培養プレート(Falcon Microbiological S upply Co.Lincoln Park,NJ)に集合体を形成させ、その後、実施例4で記載す るとおり機能的プロ−β−NGFタンパク質(VV:mNGF)をコードする組 換えワクシニアウイルスを感染させた。感染の4時間前に細胞成長培地を除去し 、そして、実施例2で記載するようにして調製した0、0.5または50μg/ mLのα1−抗トリプシンポートランド(α1−PDX)を補充した、無血清培地 (McKeetonら、Dev.Biol.Std.、37巻、97〜108、1977年に記載するように作製 したMCDB 202培地)に置き換えた。4時間イン キュベートした後、細胞を5pfu/細胞のVV:mNGFで多数の感染を行っ た。ある培養によれば、予備インキュベートされた細胞はVV:mNGFで2m. o.iだけトランスフェクトされ、そしてVV:α1−PDX(実施例2参照)で5 m.o.iだけ感染された。ウイルス接種後、予備インキュベーション時間における のと同じようにα1−PDXを同一濃度で各感染プレートの培地に添加した。 後の感染から18時間後、培地を各プレートから取除き、そして[35S]−メ チオニンおよび[35S]−システイン(500μCi)およびα1−PDXを含む培 地に適切な濃度で各プレートを5時間インキュベートすることにより細胞を代謝 的に標識した。標識後、各プレートから培養培地を採取し、NFGペプチドを免 疫沈降させてから、SDS−PAGEで分解し、そして実施例4で記載するよう にフルオログラフィーで明視化した。 この実験の結果を第7図に示す。パネルAは各感染培養物につき免疫沈降され たNFGペプチドのSDS−PAGA分析のオートラジオグラフであり、ここで レーン1はα1−PDX 0μg/mLでインキュベートされた培養物の結果で ;レーン2はα1−PDX 0.5μg/mLでインキュベートされた培養物の結果 であり;レーン3はα1−PDX 50μg/mLでインキュベートされた培養物 の結果で;レーン4はVV:α1−PDXでも感染された培養物の結果である。 このオートラジオ グラフが証明するように、α1−PDXタンパク質による細胞培養物のインキュ ベーションではプロ−β−NGFのフリン関連タンパク質分解処理が投与量に依 存して顕著に減衰することを示している。オートラジオグラフのデータはパネル Bに示すように濃度計で定量化した;タンパク質分解処理の抑制相対量の百分率 は、非処理バンド(プロ−β−NGF)と処理バンド(β−NGF)の総和濃度 に対する処理バンド濃度の百分率として表わす。この図から、α1−PDX 5 0μg/mLでは約5倍[47%(0μg/mL)対10%(50μg/mL)]だけタンパク 質分解処理量を低減させることを示している。両者を共に感染させた細胞ライン には実質的な処理は見られず、上記実施例4に記載する結果と一致する。 培養体中の細胞に直接α1−PDXを投与した後のフリンタンパク質分解処理 の投与量に依存するこのような減衰は、生物学的に重要な種々のタンパク質分子 のフリン関連タンパク質分解の熟成を抑制することを意図する、タンパク質ベー スの治療法の可能性を立証するものであり、そしてこれはここで開示するように α1−PDXタンパク質が示すトロンビンの抑制をしないことによりさらに有利 なものとなる。 実施例7 α1−抗トリプシンポートランドをコードするHIV−LTRベース組換え発 現ベクターの構成 生体内でα1−PDXタンパク質を発現できる組換え発現構成体で細胞を安定 的にトランスフェクトするために下記の発現ベクターを作製した。ここでα1− PDXの発現はHIV−2の長いターミナルの繰返し(LTR)配列によるもの である。完成されたプラスミドを第8図に示す。 470bp断片をSmaI/HindIIIの消化作用により組換えプラスミ ドpGEM/RREから摘出し、そしてブラント−エンド(平滑断端)をプラス ミドpRep4(Invitrogen,San Diego,CA)のBamHIサイトにクローン 化した。制限酵素が生成するオーバーハング(restriction enzyme-generated o verhang)は従来の方法(Sambrookら参照)によりクレノウ(Klenow)ポリメラ ーゼ(Pharmasia,Upsia,Sweden)を使用しブラント−エンドとした。470b p断片は7621〜8140のヌクレオチド(Malimら、Nature、338巻、254〜257、1989 年参照)からなるHIV−HXB2のrev応答因子を含んでいる。ラウス肉腫 ウイルス3′LTRはSal I(部分的にブラント)/Hind III消化 物から得られるプラスミドから摘出され、HIV LTR(ヌクレオチド -450 から+80まで)を含むpBennCAT(NIH AIDS Research Program,Bethesd a,MD)からEcoRI(ブラント)/HindIII消化断片と連結して置き 換えられた。この得られた発現プラス ミドをpRep4/RREと名付けた。 α1−PITまたはα1−PDX cDNAを発現するプラスミドは、各cDN A分子をHIV LTR配列とRRE配列との間のpRep4/RREに挿入し て構成した。これはEcoRI(ブラント)およびXhoIの消化作用を利用し てpA1AT PIT(Longら、前掲)からα1−PIT cDNA配列を摘出 するか、またはSmaIおよびXhoIの消化作用を利用してpAIAT PD Xからα1−PDX cDNA配列を摘出し、各cDNAをHindIII(ブ ラント)/XhaIで消化したpRep4/RREでクローニングすることによ って行った。最後に、エプスタイン−バーウイルスの複製の起点(ORIP)お よび核抗原(EBNA−1)配列を以下のようにして各α1−抗トリプシン変異 体発現構成体の最終バージョンから摘出した。pRep4/RREはSpeIと ClaIで消化し、上記のようにブラントエンドとし、そしてそれ自体を再結合 した(第8図参照)。次いで、そのように改変されたpRep4/RREプラス ミドからのXbaI/SacII断片を上述の各々のα1−抗トリプシン変異体 プラスミドの対応する断片と交換した。この結果第8図のような構造を有し、か つ各α1−抗トリプシン変異体α1−PIT(プラスミドpRep4△L/Rpα1 −PIT)およびα1−PDX(プラスミドpRep4△L/Rpα1−PDT )をコードするプラスミドが得られた。 実施例8 α1−抗トリプシンポートランドを発現するヒトのCD4+細胞ラインの確立 pRep4△L/Rpα1−PDXプラスミドには真核細胞(製品カタログ参 照、Invitrogen)に対するヒグロマイシン(hygromycin)耐性を付与できる機能 的ヒグロマイシン耐性遺伝子(第8図参照)が含まれている。このプラスミドD NA 10μgを、変形燐酸カルシウム沈殿法(Chen & Okayama、Molec.Cell .Biol.、8巻、123〜130、1988年、さらにSambrookらが同誌で記載するしてい る)を使用してHeLa/CD4+クローン1022細胞(前記実施例5に記載 )に導入した。トランスフェクションの2日後、細胞を100μg/mLのヒグロ マイシン(Sigma Chemical Co.)を補充した選択培地RPMI60/10%ウシ 胎児血清上に置き、実験中この培地にて維持した。薬品耐性の細胞クローンが2 週間後にこの選択培地内に現れ、各クローンを従来法[Tissue Culture、Academ ic Press、Kruse & Patterson編、(1973年)参照]を用いて後続の実験用とし て分離し、増大させた。このうちの2つのクローン(PDX−4およびPDX− 6と名付ける)を下記の実験に使用した。 細胞ラインPDX−4、PDX−6および親HeLa/CD4+クローン10 22を2×105細胞/プレート の濃度で6穴プレート(falcon)に播種した。次いで、細胞の培養体を約70,000 cpm/mLの逆転写酵素活性を有するHIV LAV株(NIH AIDS研 究プログラム)を含んだ培地2mLで重複して感染させた。細胞培養体は感染4 日後に細胞変性効果およびシンシチウム形成につき試験した。このような培養物 を第9図に示す。親のHeLa/CD4+クローン1022細胞(パネルB)は 無数のシンシチウムおよび細胞変性的な細胞の一層性(Cell monolayer)欠如が 見られた。他方、PDX−4(パネルC)およびPDX−6(パネルA)の細胞 培養物は共にシンシチウムは僅かであった。生産的感染が、各感染培養物の細胞 上澄み中にHIVコア抗原p24が250pg/mL以上の検出されたことによ り立証された。対照的に、感染ウイルスのレベルは親のHeLaクローン102 2培養物におけるよりもPDX−4およびPDX−6においてより低かった。細 胞の溶解物を感染後4日の各細胞培養体から調製し、gp160/gp120の 存在を実施例5に記載するウエスタンブロット分析により試験した。gp160 とgp120は共にHIV感染親HeLaクローン1022培養体で検出された が、HIV感染PDX−4およびPDX−6培養体ではgp120は検出されず 、gp160に対応する微かなバンドのみ検出された。 これらの結果から、HeLaクローン1022細胞中のα1−PDXの発現は これら細胞でHIV感染に対す る抵抗性を付与していることが立証された。さらに、多量の感染性のウイルスが 存在しない培養体の細胞上澄みにp24抗原が存在するということは、この細胞 中のα1−抗トリプシンポートランドの発現が感染性のエンベロープされたウイ ルス粒子の形成を抑制していることを示している。これらの結果は生体内外で攻 撃されやすい細胞のHIV感染を予防するのにとって重要な意味がある。 前記開示内容は本発明の特定の具体例を強調するものであること、およびこれ に対応するすべての変形例は添付クレイムで記述するように本発明の精神および 範囲に含まれること、を理解すべきである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C07K 5/11 9152−4B C12N 9/99 C12N 5/10 9281−4B C12N 5/00 B 9/99 9455−4C A61K 37/66 ADZ //(C12N 5/10 C12R 1:91) (C12N 9/99 C12R 1:91) (72)発明者 アンダースン、エリック ディー. アメリカ合衆国 97202 オレゴン州 ポ ートランド エス.イー. ウィンザー 4512 (72)発明者 トーマス、ローレル アメリカ合衆国 97062 オレゴン州 ト ゥアラティン ウイチタ 5210 (72)発明者 ヘイフリック、ジョエル エス. アメリカ合衆国 98115 ワシントン州 シアトル フィフティフォース アヴェニ ュー エス.イー.7003 (72)発明者 ネルソン、ジェイ アメリカ合衆国 97062 オレゴン州 ト ゥアラティン エス.ダブリュー. メド ウ ウェイ 21067 (72)発明者 ステングレン、ステファン ジー. アメリカ合衆国 97201 オレゴン州 ポ ートランド エス.ダブリュー. バンク ロフト コート 163

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. α1−抗トリプシン変異体タンパク質またはそのペプチド断片を含有し ているフリンエンドプロテアーゼインヒビターであって、アミノ酸−Arg−X −X−Arg−からなるアミノ酸配列を有し、各Xは本来のα1−抗トリプシン のアミノ酸配列の355〜358位に対応するいずれかのアミノ酸であるフリン エンドプロテアーゼインヒビター。 2. α1−抗トリプシン変異体タンパク質またはそのペプチド断片がα1−抗 トリプシンポートランドであって、本来のα1−抗トリプシンのアミノ酸配列の 355〜358位におけるα1−抗トリプシンポートランドのアミノ酸配列が− Arg−Ile−Pro−Arg−である請求項1に記載のフリンエンドプロテ アーゼインヒビター。 3. α1−抗トリプシン変異体タンパク質またはそのペプチド断片をコード するヌクレオチド配列を有する核酸であって、核酸によってコードされるアミノ 酸配列が配列−Arg−X−X−Arg−であり、各Xが本来のα1−抗トリプ シンのアミノ酸配列の355〜358位に対応するいずれかのアミノ酸である核 酸。 4. 核酸がコードするα1−抗トリプシン変異体タンパク質またはそのペプ チド断片がα1−抗トリプシンポートランドであって、核酸によってコードされ るα1− 抗トリプシンポートランドのアミノ酸配列が本来のα1−抗トリプシンのアミノ 酸配列の355〜358位における配列−Arg−Ile−Pro−Arg−を 有するる請求項3に記載の核酸。 5. α1−抗トリプシン変異体タンパク質またはそのペプチド断片をコード するヌクレオチド配列を有する核酸を含有している組換え発現構造体であって、 ヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列がアミノ酸−Arg−X− X−Arg−であり、各Xは本来のα1−抗トリプシンのアミノ酸配列の355 〜358位に対応するいずれかのアミノ酸である組換え発現構造体。 6. α1−抗トリプシン変異体タンパク質またはそのペプチド断片をコード するヌクレオチド配列がα1−抗トリプシンポートランドをコードし、ヌクレオ チド配列がコードするα1−抗トリプシンポートランドのアミノ酸配列が、本来 のα1−抗トリプシンのアミノ酸配列の355〜358位におけるアミノ酸−A rg−Ile−Pro−Arg−である請求項5に記載の組換え発現構造体。 7. 請求項3に記載された核酸を含有する組換え発現構造体であって、発現 構造体は形質転換された細胞の培養物中でα1−抗トリプシンポートランドを発 現することができる組換え発現構造体。 8. 請求項5に記載された組換え発現構造体で形質転 換された細胞の細胞の培養物であって、形質転換された細胞の培養物がα1−抗 トリプシンポートランドを発現している細胞の培養物。 9. 細胞が細菌細胞、酵母細胞、昆虫の細胞または哺乳類の細胞である請求 項8に記載の細胞の培養物。 10. 請求項8に記載された細胞の培養物によって産生されるα1−抗トリプ シンポートランドを含有する均一な組成物。 11. 細菌毒素のエンドタンパク質分解活性の活性化を阻止することができる 請求項1に記載のフリンエンドプロテアーゼインヒビター。 12. 細菌毒素が、コリネバクテリウム・ジフセリエのジフテリア毒素である 請求項11に記載のフリンエンドプロテアーゼインヒビター。 13. 細菌毒素が、バシルス・アンスラシスの炭疽毒素である請求項11に記 載のフリンエンドプロテアーゼインヒビター。 14. 請求項11に記載されたフリンエンドプロテアーゼインヒビターの治療 上有効な量と、医薬として許容されるキャリヤーまたは希釈剤とを含有する医薬 として許容される組成物。 15. α1−抗トリプシン変異体をコードする核酸の遺伝子治療デリバリーシ ステムであって、請求項5に記載された組換え発現構造体と、組換え発現構造体 を動物の細胞内に供給し、発現させる遺伝子手段とを備える遺 伝子治療デリバリーシステム。 16. α1−抗トリプシン変異体がα1−抗トリプシンポートランドである請求 項15に記載の遺伝子治療デリバリーシステム。 17. 細胞を請求項11に記載されたフリンエンドプロテアーゼインヒビター と接触させることからなる細胞の細菌感染抑制方法。 18. 細胞を請求項15に記載された遺伝子治療デリバリーシステムと接触さ せることからなる細胞のウイルス感染抑制方法。 19. 細胞を請求の範囲15に記載された遺伝子治療デリバリーシステムと接 触させることからなる、細胞内での生物活性を有するタンパク質またはペプチド のタンパク質分解処理を抑制する方法。 20. 生物活性を有するタンパク質が、プロ−β−神経成長因子、血液凝固因 子タンパク質第IX因子、プロ−フォンビルブラント因子、補体因子C3または レニンである請求項19に記載の抑制する方法。 21. 4〜100個のアミノ酸のアミノ酸配列を有するペプチドであって、ア ミノ酸配列−Arg−X−X−Arg−を有し、各Xがいずれかのアミノ酸であ るペプチド。
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