【発明の詳細な説明】
放送または録音セグメントを符号化/復号してその視聴を監視する方法と装置
発明の背景
本発明は、無線や有線や衛星やその他で送る放送や、あらかじめ録音したメデ
ィアで配布するビデオや音楽やその他の作品を符号化および復号し、またそれら
の視聴を監視することに関する。
放送セグメントは、生の番組やテープにとった番組やコマーシャルなどを含む
。これらのセグメントは、例えば全国放送、特定の地域内放送、予定のない番組
枠の穴埋めなど、多様なスケジュールに従って放送される。更にスケジュールさ
れた放送時間は、全国統一放送の場合もあるし、放送者が地域を考慮して変える
場合もある。
コマーシャルなどのセグメントが所定のチャンネルでまたは所定の局で実際に
いつ放送されたかを独立に検出したいという需要がある。
また、一般に視聴者数に従って放送料金が変わるので、放送セグメントの視聴
者を監視したいという需要がある。更に、マーケットリサーチ技術の中には、放
送セグメントの度数および/または性質が消費者の購買決定に与える効果を試験
するものもある。
放送セグメントの識別を検出する従来の方法はいくつかある。しかしどの方法
も複雑である、視聴者に押しつけがましいか(intrusivenss)使いにくいし、雑
音の多い環境では誤りが多いなど、限界が少なくとも1つはある。
その1つに、多数の選択された視聴者がそれぞれ視聴した番組の日記をつける
方法がある。この方法は、選択された視聴者が自発的にまた適時に協力してくれ
ることが前提である。広告主や広告代理店や放送者は、メディアを視聴したこと
が回答者の日記に完全には報告されていないのではないかと懸念している。特に
、幼児やティーンエージャーや若者がどのようにメディアを視聴したかは十分報
告されていないことが調査データから推測される。これらのグループは日記を完
全につけることができないか、または日記をつけるのが非常に面倒なので完全な
情
報を報告しないと考える人もいる。
人が記録することのこのような欠点を避けるために、受動的な記録法が研究さ
れた。受動記録法の特徴は、ある装置を設けて視聴者が視聴した放送セグメント
を実時間で検出し、この情報を記録して後で中央データ処理装置で検索する、す
なわちアップロードすることである。計算機が読める形式で情報を収集するので
、受動記録装置を用いるとデータ処理を簡単に行うことができる。受動記録によ
り収集される情報は人間の誤りがないので、この点では信頼性が高い。
小さくて携帯可能な「個人用受動視聴者計器」と呼ぶ装置が提案されている。
この装置は人が身につけていて、視聴した放送セグメントを監視するものである
。この計器は視聴者が何を決定したかを個人のレベルで見ることができるので、
非常に望ましいものである。
受動記録の主な問題は、視聴者が視聴しているセグメントを正しく検知できる
かということである。提案されている方式は、放送セグメントを無修正で識別す
るものと、放送前にセグメントとを修正して識別を容易にするものとがある。
無修正セグメントの識別に用いる1つの方法はパターン認識である。各セグメ
ントを放送の前か後に分析する。その分析した特性がその「放送シグネチャ」を
決定する。放送シグネチャの表は各監視局で作成するか、または予め用意されて
いる。その動作は、監視局が放送中のセグメントの特徴を分析して、放送シグネ
チャのどれかとマッチさせる、すなわちそのパターンを認識する。この方法は比
較的複雑な技術を用いているので、実現するのが厄介である。というのは、各監
視局は新しいセグメントを導入する度にこれを認識できなければならないからで
ある。
いくつかの識別方法では、放送セグメントを修正して検出装置が認識できるコ
ードを与える方式を用いる。この方式の利点は、新しい放送セグメントを導入す
る度に監視局を更新する必要がないことである。
米国特許第3,004,104(ヘムブルック(Hembrooke))は、音声帯域
の一部(1000Hz)の周波数の狭帯域(10Hz幅)を所定のコードに従っ
て定時間隔で抑制することを提案している。しかし、視聴者が情報として感知で
きない程度まで抑制を短くすると、この抑制は周囲のノイズ源から干渉を受けや
す
い。
また、各セグメントの初めと終わりに狭い帯域幅(100Hz)の識別コード
で短時間(3秒)だけ可聴周波数の副搬送波を変調することが提案された。この
方法は、視聴者の受信が早すぎたり遅すぎたりした場合に計量装置が識別コード
を検知することができないことやノイズに弱いことのために、満足なものではな
い。
別の提案は、可聴以下の周波数の識別コードを番組セグメント内の従来の可聴
音と混合することである。この方法は、受信器が音を再生する前に監視局が放送
を受信すると仮定している。というのは、受信器の中には質の悪いものがあって
、個人用計量装置がこれを認識できるほどの高い忠実度でこの情報を再生しない
からである。従ってこの方法は、音の信号を監視する型の個人用計量器には適し
ていない。
音楽の録音に関するものとして提案されたある技術は、6周波数帯域のシーケ
ンス(このシーケンスは信号の途中で変動する)を可聴信号から除き、除いた周
波数の代わりにコード信号のシーケンスを挿入することである。この挿入した信
号はかなり簡単に除かれるので、この方法はうまくいかない。またこの方法はノ
イズ、特に可聴ノイズに弱い。
発明の目的と概要
本発明の目的は次の通りである。
・ 視聴者が視聴した放送または録音セグメントに関する情報を提供し、
・ 周囲にノイズがかなりある場合でも、視聴者が視聴した放送または録音セグ
メントに関する情報を提供し、
・ コードが情報として視聴者に感知されないようにして視聴信号を符号化する
方法と装置を提供し、
・ 所定の時間内にどのセグメントが実際に放送されたかを検出し、
・ 視聴者のメディア視聴記録を中央装置に提供し、
・ 既存の伝送チャンネル内に隠された情報を符号化伝送により中央装置から受
信すること。
本発明の一態様では、情報を放送または録音可聴信号内に符号化する。所定の
帯域幅を持つコード信号を所定の帯域幅より狭い帯域幅を持つ識別信号で変調し
て、符号化信号を作る。符号化識別信号を放送または録音可聴信号と混合して、
出力信号を作る。
本発明の別の態様では、符号化識別信号を持つ可聴信号部分を含む符号化放送
または録音セグメント信号を受信する。符号化識別信号は、所定の帯域幅を持つ
コード信号を、所定の帯域幅より狭い帯域幅を持つ識別信号で変調して作る。可
聴信号部分をコード信号の複写と相関させて識別信号を回復する。
ある応用では、受信および相関は視聴者自身が身につけまたは携帯する個人用
装置で行い、視聴者が視聴した放送または録音セグメントの記録を作る。この記
録を、視聴者の識別と共に中央装置にアップロードする。
別の監視装置は、個人用装置と同様にして受信と相関を行い、また放送または
録音セグメントに含まれる追加の情報を抽出して、放送の全記録を作る。この監
視装置は中央装置と通信して、情報をアップロードする。
中央装置は個々の視聴者記録とこれらの記録内の項目に関する追加の情報とを
マッチさせて、誰が何をいつ視聴したかの全記録を与える。
本発明の別の態様では符号化放送信号を与える。符号化放送信号を作るには、
可聴信号を含む放送信号を与え、所定の帯域幅を持つコード信号を前記所定の帯
域幅より狭い帯域幅を持つ識別信号で変調して符号化識別信号を作り、符号化識
別信号を可聴信号と混合する。
本発明の更に別の態様では符号化録音信号を与える。符号化録音信号を作るに
は、可聴信号を含む録音する信号を与え、所定の帯域幅を持つコード信号を前記
所定の帯域幅より狭い帯域幅を持つ識別信号で変調して符号化識別信号を作り、
符号化識別信号を可聴信号と混合して符号化録音信号を作り、符号化録音信号を
録音して符号化録音信号を作る。
本発明の更に別の態様は、可聴信号内に情報を符号化する方法を与える。前記
方法は、複数の記号を含む符号化する信号を受信し、各複数の記号について周波
数の対応するグループを表すそれぞれの複数のディジタルデータをメモリから読
み出して符号化信号を作り、符号化信号を可聴信号と混合して出力信号を作る、
段階を含む。
本発明の更に別の態様では、可聴信号内に情報を符号化する装置は、複数の記
号を含む符号化する信号を受信する入力と、それぞれが各記号に対応しかつ周波
数の各グループを表す複数のディジタルデータのグループを記憶するメモリと、
各記号を入力に受けるとこれに応じてメモリからディジタルデータのそれぞれの
グループを読み出して符号化信号を作る手段と、符号化信号を可聴信号と混合し
て出力信号を作る手段と、を備える。
本発明の上記およびその他の目的や機能や利点は、いくつかの例示の実施態様
についての以下の詳細な説明を添付の図面と関連して読むことにより明らかにな
る。図面中、対応する部分および要素はいくつかの図面において同じ参照番号で
識別される。
図面の簡単な説明
第1図は、本発明の一実施態様の符号器のブロック図である。
第2A、2B、2C図は、第1図の符号器と共に用いる個人用モニタのブロッ
ク図である。
第3A−3K図は、第1、2A、2B、2C図の実施態様を説明するのに用い
る周波数使用チャートである。
第4A図は、本発明の別の実施態様における符号器のブロック図である。
第4B図は、第4A図の符号器のROMを時間領域のコード信号でプログラム
する装置のブロック図である。
第4C図は、本発明の実施態様の符号化システムのブロック図である。
第5図は、本発明の別の実施態様の符号器のブロック図である。
第6図は、第5図の符号器と共に用いる個人用モニタのブロック図である。
第7図は、本発明の更に別の実施態様の符号器のブロック図である。
第8図は、第7図の符号器と共に用いる個人用モニタのブロック図である。
第9図は、本発明の更に別の実施態様の監視装置のブロック図である。
いくつかの優れた実施態様の詳細な説明
いくつかの優れた実施態様において、本発明はいくつかの選択肢から選択され
たスペクトル拡散技術を用いて、ある放送セグメントを放送する前にそのセグメ
ントの可聴部分に識別情報を加え、また人が操作せずに動作する受動監視装置を
設けて、放送セグメント内の識別情報を検知して記録する。ここでは「計器」お
よび「計量器」という語は、受動放送監視装置などの装置を指すのに用いる。各
計器に記録した情報は定期的に中央データ処理装置にアップロードして、恒久的
に記憶する。
このような実施態様では、使用するスペクトル拡散方式は、一般にデータ速度
が比較的低くかつ狭い帯域幅を持つ識別信号に形成した、ここでx(w)、x(
t)、x(n)と呼ぶ識別情報を符号化する。ここで用いる「信号」という語は
、電気信号や、記憶し処理しおよび/または伝送する情報を表現するだけでなく
、情報を具体化したどのような形式をも含む。ここで用いる「帯域幅」という語
は、周波数帯域限界間の差だけでなく、周波数間隔または周波数範囲を含む。こ
こで用いる語の説明は例示が目的であって、当業者はこれらの語を適当な別の意
味で用いる場合があるから、これに限定されるわけではない。優れた実施態様で
は、このように形成した識別信号をコード信号で変調する。コード信号は拡散信
号とも呼び、データから独立していてより広い帯域幅を持つ。
コード信号は偽ランダム信号であって、放送セグメントの変調後は、感知され
るとすれば情報としてではなく、一般にヒスと呼ぶ低レベル白色雑音として感知
される。コード信号は正規の放送可聴信号レベルより十分低いレベルで可聴信号
に混合し、情報として感知されないようにする。また別の態様では、可聴信号を
得る方法に応じた低レベルで可聴信号と混合して、例えば音として再生した信号
に対するベースバンド信号として復号してよい。
優れたコードの1つは、約300−3、000Hzを占める音声帯域に加える
音のシーケンスである。というのは、全ての放送形式および全ての受信装置は、
少なくとも妥当な質の音声情報を再生するからである。
各計量器では、例えば以下に説明するプロセスの1つを用いて放送セグメント
の可聴信号部分をコード信号の同期した参照複写と相関させ、有効な情報項目(
例えば関連する地理的区域内の有効なチャンネル)と比較して識別信号を回復し
、これを記憶する。
スペクトル拡散符号化を用いるため、コード信号を伝送する可聴帯域幅内にか
なりの周囲のノイズがあっても、識別情報の良好な回復ができる。更に、符号化
識別信号は視聴者には感知されない。
ある実施態様では、放送するセグメントの一般に20−22,000Hzの可
聴信号部分を、局やチャンネルその他の番組ソースの識別情報で符号化する。こ
れは可聴信号部分を、この情報を運ぶ情報信号で変調したコード信号と混合する
ことにより行う。この情報は特定の放送ソースをユニークに識別する。放送時間
と放送ソース(すなわち局またはチャンネルであって必ずしも番組セグメントの
識別ではない)だけを伝送すれば、放送セグメント当たりの情報量を短くするこ
とができる。
受動計器(選択された視聴者が身につけることが望ましい)はソース識別子を
回復して、時間および日付スタンプと共にこれを自分のメモリに記憶する。毎日
の終わりに計器をベース装置に乗せて再充電し、その記録情報を抽出し、必要で
あれば新しい情報を計器にロードすることができる。抽出情報を家庭内の記憶お
よび送信装置で収集し、家族が電話をかけていないときに、ベース装置または記
憶および送信装置を用いて、ダイアル呼出し電話線によりこの情報を中央装置に
送信する。1つのベース装置または記憶および送信装置に複数の受動計器を接続
することができる。または計器自体を中央装置に送って、記録したデータを抽出
してもよい。
更に、放送セグメントに関する追加の情報、例えば特定の番組やコマーシャル
を識別する情報も、セグメントの可聴信号部分に符号化する。この追加の情報は
、可聴信号の全範囲と同じ周波数範囲か、または音声帯域以上だが可聴信号範囲
内例えば4,000−20,000Hzの範囲を持つコード信号を用いてよい。
または追加の情報は、可聴信号を音声帯域の上または下で直接に、すなわちスペ
クトル拡散符号化を行わずに変調する、または放送セグメントの他の部分例えば
ビデオ信号を変調する、追加の情報信号に形成してよい。
別の監視装置がベースバンド放送セグメントを受信してそこから放送セグメン
トに関する追加の情報を抽出し、これを中央データ処理装置に送って個人監視装
置からのソース識別情報とマッチさせ、誰が何をいつ視聴したかという完全な視
聴者記録を与える。または、別の監視装置を放送場所、例えばケーブルシステム
のヘッドエンドに設けて、ケーブル放送を行う直前に信号を直接監視してもよい
。
ソース識別情報のスペクトル拡散符号化の優れた一方法は、周波数領域での直
接シーケンス符号化を用いる。別の方法は、時間領域での直接シーケンス符号化
と周波数ホッピング(frequency hopping)を行う。これらの方法をそれぞれ以
下に説明する。しかし本発明はこれらの方法に限定されるわけではなく、時間ホ
ッピング(time hopping)やパルスFMシステムやハイブリッド法を用いる他の
スペクトル拡散法も可能である。
以下に本発明の一実施態様を、符号器を示す第1図と、個人用モニタを示す第
2図と、周波数使用チャートを示す第3A−3K図を用いて説明する。
第1図は、本発明の符号器100の優れた一実施態様を示す。符号器100は
入力端子105と110、変調器120、逆変換器130、バッファ140、D
/A変換器150、低域フィルタ160、ミキサ170、出力端子175を備え
る。
周波数領域でのビット形式から成るソース識別信号X(ω)を入力端子105
に供給し、同様にビット形式の周波数領域の対せきコード信号G(ω)を入力端
子110に供給する。対せき信号は例えば「1」と「−1」という、反対の値だ
けを持つ。この例では、X(ω)とG(ω)の値は実数だけから成り、虚数部は
ゼロである。これらの信号については以下に詳細に説明する。
ここに用いる「ビット」とはデータの単位、例えばソース識別子の一部をいい
、「チップ」とはコードの基本単位をいう。情報信号の帯域幅はコード信号の所
定の帯域幅より狭いので、1ビットは多くのチップに対応する。周波数領域では
各チップは「点」で表される。これは実質的にデータ値である。
コード信号は例えば毎日変更して、例えばテープ再生の識別や、収集したデー
タを所定の調査期間に限定することや、不正なアクセスを妨げるなどの、各種の
ニーズに応える。コード信号は、多くの伝送方式のどれかを用いて、中央装置か
ら1つ以上の符号器に送ることができる。例えばコード信号は、公衆交換電話網
やローカルエリアネットワークや衛星通信により、または第9図に関連して後で
説明する方法を用いて放送に符号化したデータとして、伝送することができる。
ラジオとテレビに異なるコードを用いることにより、同じ個人用モニタでラジオ
だけまたはテレビだけのデータを収集することができる。または、コードを地理
的位置に基づいて割り当てたり、または視聴の監視をコマーシャル広告だけに限
定したりしてよい。
ソース識別信号X(ω)とコード信号G(ω)を変調器120に供給し、変調
器120は個々の周波数成分について、例えば直接乗算や排他的論理和やその他
の結合技術を用いてこれらの信号を変調して、周波数領域の符号化したソース識
別信号を形成する。
正しく選択すると、周波数領域の符号化信号は、視聴者が用いる受信器回路や
スピーカの一般的な周波数応答にそのスペクトルをマッチさせるだけでなく、監
視する室または他の音響環境を補償するという特性を持つ。
周波数領域の符号化ソース識別信号を逆変換器130に供給し、逆変換器13
0は逆高速フーリエ変換(FFT)またはウェーブレット変換(wavelet tranfo
rm)を行って時間領域の符号化ソース識別信号を作り、これをバッファ140に
供給する。バッファ140は例えば2,048のデータ項目を保持し、また先入
れ先出し方式で用いるランダムアクセスメモリとして図示されている。バッファ
140の内容を、例えば16ビットのD/A変換器150に送り、アナログの符
号化識別信号を約90dB範囲のレベルにする。
一実施態様では、変換器150は毎秒8,192サンプルの速度でサンプリン
グする。バッファ140の長さは、選択したサンプリング速度、すなわち(毎秒
8,192サンプル)/(毎秒4ビット)=2,048サンプル/ビット、での
1ビット時間に相当する。対応するFFTは周波数領域で1,024点の長さを
持ち、各点は4Hzに相当する。300−3,000Hzの周波数範囲内の67
6点は用いるが、0−296Hzの範囲に対応する75点と、3,004−4,
092Hzの範囲に対応する273点は用いない。アナログの符号化識別信号を
低域フィルタ160に供給し、低域フィルタ160は所望の範囲外の偽信号を除
去する。
ミキサ170で、ろ波した符号化識別信号を、聞こえないように選択した比率
でセグメントの可聴部分と結合し、符号器100の出力端子175に供給して、
もしあればセグメントの他の部分と共に、RFや衛星やケーブル放送などの従来
の方法で放送するか、またはテープなどの録音媒体に録音する。符号化識別信号
を結合するレベルは、多くの可聴番組で許容される正常の雑音レベルにほぼなる
ように選択する。個人用モニタとは異なる監視装置向けの追加の情報もミキサ1
70に別個に供給し、符号化識別信号および可聴部分と結合する。
符号器100の前述の各要素が行う変調から混合までの処理段階は、放送また
は録音するセグメントの可聴部分にソース識別信号を完全に符号化するまで繰り
返す。これらの段階を繰り返すことにより、いろいろの位置で、またはセグメン
トの可聴部分を通して継続的に、ソース識別を符号化することができる。セグメ
ントのソースが変わったことを反映したりその他適宜に対処するため、その後の
識別情報を変更することができる。
第2A図は、本発明の個人用モニタの優れた一実施態様200を示す。個人用
モニタ200はマイクロホン230、増幅器240、低域フィルタ250、A/
D変換器255、バッファ260、変換器265、相関器270、入力端子27
5と285、結合器280、メモリ290を備える。第2A図の外側の破線は、
一般に人が身につける、例えば視聴者の衣服にクリップで止める計量器の外箱を
示す。
第2A図に示すように、放送セグメントの符号化可聴部分を一般的な放送受信
器210の入力端子205に受信し、受信器210はスピーカ220を用いて可
聴部分を音として再生する。受信器210とスピーカ220は家庭などで視聴者
が通常用いる装置であって、放送可聴信号を音として再生する。または、符号化
可聴部分を含む録音セグメントをビデオテープレコーダなどにより再生して、そ
の可聴部分をスピーカ220などのスピーカによって音として再生してもよい。
放送または録音セグメントの、音として再生した可聴部分を個人用モニタ20
0のマイクロホン230で受けて、音のエネルギーを電気信号に変換する。変換
した電気信号は有線または無線通信により増幅器240に供給する。増幅器24
0は自動利得制御増幅器として図示されており、パワーレベルを高めた出力信号
を発生する。
第2A図では、マイクロホン230と増幅器240の結合235Aを、視聴者
が身につける個人用モニタ200内に納めるものとして図示している。第2B図
に、結合235Aと同じ機能を持つ別の結合235Bを示す。結合235Bは、
視聴者が身につけるようになっていてかつモニタ200の他の部分から物理的に
分離している第1装置241と、モニタ200の残りの部分を納める外箱内に含
まれる第2装置242を備える。第2B図に示す装置は、視聴者が子供の場合や
視聴者が身につける装置は小さい方が望ましい場合に、特別に作られるものであ
る。
結合235Bの第1装置241は、マイクロホン230と送信器231とアン
テナ232を備える。マイクロホン230で変換した電気信号を送信器231に
供給する。送信器231は変換した信号から無線送信に適した信号を発生してア
ンテナ232に供給する。アンテナ232は送信器231から信号を無線で送信
する。
結合235Bの第2装置242は、アンテナ233と受信器234を備える。
アンテナ233はアンテナ232からの無線放送を受信して電気信号に変換し、
これを受信器234に供給する。受信器234は増幅器240の出力に対応する
高めたパワーレベルの出力信号を発生する。
第2C図は別の結合235Cを示すもので、視聴者が身につけて運びかつ一般
にヘッドホン226と共に用いる携帯用装置225により、ラジオ放送または再
生音を聴く場合に用いる。結合235Cはジャックなどの入力端子236、プラ
グなどの出力端子237、単なるYケーブルなどの分配器238、増幅器239
を備える。入力端子236は携帯用装置225に結合し、放送可聴信号を受信し
て分配機238に供給する。分配器238は入力端子236からの信号の複写を
増幅器239と出力端子237に供給する。増幅器239は高めたパワーレベル
の出力信号を発生する。
増幅器240や受信器234や増幅器239からの信号をフィルタ250を通
してA/D変換器255に供給する。増幅信号のレベルは、変換器255の最大
範囲の約50%に相当する。フィルタ250は増幅信号の低域ろ波を行い、コー
ド信号の最大周波数、例えばある実施態様では3,000Hz、を超える全ての
周波数を除去して、より高い周波数情報が符号化情報の存在する周波数領域内に
入る(aliased)ことを防ぐ。
変換器255はろ波信号を一連の16ビット値に変換し、これらの値を変換信
号としてバッファ260に供給する。バッファ260は変換した値を記憶した後
変換器265に供給し、変換器265は変換した値を高速フーリエ変換やさざな
み変換などにより周波数領域に変換する。バッファ260は、以下に説明するよ
うに同期と追跡のために、滑り変換(sliding transform)が可能な方法で各値
を記憶する。
周波数領域の信号と入力端子275に供給するコード信号G(ω)の複写を相
関器270に送り、相関器270はこれらの信号を相関させて、回復ソース識別
信号X’(ω)を発生する。相関過程の一部として、上に説明したようにバッフ
ァ260からの読出しを適当に調整することによりコード信号G(ω)の複写を
受信信号と同期させ、時間領域データの正しい集合でFFTまたはさざなみ変換
を行う。コード信号は個人用モニタに配線で供給してよいが、望ましくはこれに
ダウンロードして、上に述べたようにコードを変更しやすいようにする。信号の
回復と同期については、より詳細に以下に説明する。
見やすくするために図示していないが、個人用モニタ200内に中央処理装置
を設けて、同期やその他のデータ管理機能を援助することができる。
相関器270は回復ソース識別信号X’(ω)に対応するビットを表す出力信
号を発生し、これを入力端子285に供給する時間スタンプと結合してメモリ2
90に送って記憶し、更に追加の情報と共に中央データ処理装置に送って視聴者
を識別する。追加の情報はモニタ200に割り当てた一連番号または他の識別子
などでよく、中央装置はこれを用いて、モニタの一連番号と視聴者とを関連付け
るルックアップテーブルの指標とする。追加の情報はメモリ290または例えば
ROMに記憶する。第2B図の実施態様では、上に説明したように送信器231
は、時間スタンプと結合する、装置を身につけている人を識別する適当な一連番
号すなわち識別子を、中央データ処理装置に追加の情報として伝送する。これに
より単一の無線伝送チャンネルを用いることができる。別の態様では、所定の家
庭内で用いる各無線送信器231に固有の伝送チャンネルを割り当てることによ
り、モニタ200は無線送信器231、従って対応する視聴者を識別することが
できる。
メモリ290からの情報を転送するには、個人用モニタ自体を中央装置に送っ
てもよいし、例えば視聴者の居住地にある基地局に時間スタンプ付きデータを読
み出して、基地局と中央装置との間のダイアル呼出し通信リンクにより送っても
よい。
符号器100と個人用モニタ200の動作を以下に説明する。
第1図に戻って、上に述べたようにD/A変換器150は毎秒8,192サン
プルの速度でサンプリングする。最小ナイキスト速度では、これは4,096H
zの信号速度に相当する。所望のデータ速度と誤り率との間で選んだバランスに
従って、0から4,096Hzまでの周波数成分を選択する。第3A図に示すよ
うに、この実施態様では周波数範囲300−3,000Hzに対応する676点
だけを用いる。
第3D図に示すように、長さ676点のコード信号G(ω)を選択する。各点
すなわちコード信号の値は4Hz間隔に対応する。このコード信号は偽騒音特性
を持つので同期処理が容易であり、符号化情報が感知しにくくなり、また一般的
な受信器210とスピーカ220の周波数応答特性が最適になる。
放送のソースを表すビットのシーケンス例えば「チャンネル4」と、ソース情
報に付随しまたはこれと交互に現れる例えば「09:32 1/30/92」と
いう時間および/または日付スタンプまたはその数字表示とから成るソース識別
データを定義する。または録音セグメントでは、録音するときに個々の番組およ
び関連する時間スタンプを識別するデータを定義して、録音した関連する時間ス
タンプと個人用モニタに200で発生した時間スタンプとを比較することにより
再生速度を検出する。第3B図は、二進数すなわち「1 0 1...1」で表
すこのようなシーケンスを示す。
選択した拡散比に従って、コード信号の点数と等しい点数を持つ識別信号X(
ω)に識別データを写像する、すなわち拡散する。第1図の符号器は効果的な拡
散比である1352:1を用いる。すなわち2つの変換が、対応するビット内の
全てのチップを含む。しかし第3C図は図を簡単にするために単に10:1の比
を示す。すなわち、ソース識別データの各ビットは、第3C図に示す識別信号X
(ω)の10点に対応する。
変調器120は対せきコード信号G(ω)と識別信号X(ω)を変調して、第
3E図に示す変調信号X(ω)G(ω)を作る。対せき信号を二進データストリ
ームで表す場合は、二進「0」は対せき「+1」信号レベルに対応し、二進「1
」は対せき「−1」信号レベルに対応する。特定すると、同じ4Hz周波数間隔
に対応する各信号X(ω)とG(ω)の諸点を掛け合わせて、排他的論理和操作
の場合に対応する結果を得る。
周波数領域の変調信号を表す点の集合を逆変換器130で逆変換して時間領域
の符号化ソース識別信号を作り、これをセグメントの可聴部分と混合して、放送
しまたは予め録音したメディアで配布する。
個人用モニタ200で、変換器265は受信信号を周波数領域の点の集合に変
換する。符号化信号を完全に受信した場合は、回復した点の集合は第3E図に示
す変調信号に正確に対応する。
同じ4Hz周波数間隔に対応する2つの信号の点を乗算することにより、相関
器270は回復した点の集合を同期コード信号G(ω)の点の集合と相関させて
、第3F図に示す回復ソース識別信号X’(ω)を発生する。X’(ω)に対応
するビットは、例えば符号器でビットを拡散した点の平均値をとることにより回
復する。この例では、第3F図に示す各ビットについて10点の平均値を計算し
て第3G図に示す値を得る。波形と相関させるなどの他の方法も、識別ビットを
回復するのに適している。
第3H−3K図は、受信信号が雑音を含む場合のビットの回復を示す。第3H
図は変換器265からの回復した点の集合を示す。太字で示すように、最初の1
0点の内の2個の回復した点が誤りであるが、第2の10点では連続した4点が
誤りであり、第3の10点では誤った4点が正しく回復した点と交互になってい
る。
第3J図は雑音の多いデータに基づく回復ソース識別信号X’(ω)を示すも
ので、値が誤った諸点を含んでいる。第3K図は、各回復したビットの平均値を
示す。平均値を最も近い二進値(0か1)に丸めると、各ビットの10点の中で
4点までが誤りであっても、すなわち10点の中で正しく受信したのが6点だけ
であっても、ソース識別データを完全に回復することが分かる。
すでに述べたように、本実施態様は各半ビットについて676点を用いる。す
なわち2つの変換が、対応するビット内の全てのチップを含むので、ソース識別
データを完全に回復するためには676点の中の339点の値だけを正しく受信
すればよい。
一般に個人用モニタ200は、一般にテレビやラジオのチャンネルを変えるこ
とにより生じるソース識別データの変化や、視聴者が検出可能な範囲外にいるか
またはモニタ200を身につけていない場合に一般に生じる時間切れ故障などの
事象だけを記録する。
視聴者は放送セグメントを録音しておいて、後で再生する場合がある。回復識
別データに含まれる時間スタンプと個人用モニタが回復識別データを記憶すると
きに付ける時間スタンプとを比較することにより、中央データ処理装置はこれを
検出することができる。同様に、視聴者がいつセグメントの通常の再生を変えた
かは、録音セグメントとモニタの時間スタンプの時間差の変化を調べることによ
り検出することができる。
放送中にかなりの時間にわたって視聴者が音声信号の音量を弱くした場合は、
個人用モニタは信号事象がないと記録する。音声信号の音量を検出可能なレベル
に回復すると、個人用モニタはソース識別データが変化したとしてこれを記録す
る。アップロードした視聴者の記録を正しく分析すれば、中央装置は「コマーシ
ャルの消去(zapping)」を検出することができ、これにより広告主は自分のコ
マーシャルの可聴部分に対する視聴者の反応を測ることができる。
また本発明は、販売用のテープやディスクに予め録音した音楽やビデオなどの
録音セグメントの不正な複写、すなわち「テープの海賊版」、を検出するのに有
用である。すなわち、録音セグメント内の符号化データは個別の番組を識別し、
また録音セグメントの特定の複写(カセットやディスクなど)の一連番号を識別
する。何人かの視聴者のアップロードした記録や視聴日記が同じ番組や特定の複
写の一連番号を含んでいる場合は、このセグメントが不正に複写された可能性が
ある。
本発明を用いると、視聴者の調査をいろいろの方法で容易に選択した時間枠に
限定することができる。例えば、日付が調査期間の枠内かどうかを個人用モニタ
のソフトウエアで試験することや、選択した時間枠の間だけ個人用モニタにコー
ドをロードまたはダウンロードすることや、内部に記憶したコードの集合の中か
ら日付や時間に基づいて個人用モニタで選択することや、日付および/または時
間に基づいてコード信号を使用することや、アップロードした視聴者日記を中央
装置で分析することなどである。
第4A図は、本発明の別の実施態様の符号器102を示す。符号器102は入
力端子185、アドレス発生器186、読出し専用メモリ(ROM)180、D
/A変換器150、低域フィルタ160、ミキサ170、出力端子175を備え
る。
例えば時間領域のビット形式のソース識別信号x(t)を、入力端子185を
通してアドレス発生器186に供給する。アドレス発生器186は識別信号x(
t)の各ビットに応じてアドレスの集合を作り、この集合の各アドレスをROM
180に逐次供給する。ROM180は周波数領域のコード信号に対応するデー
タを含むが、これはすでに逆変換を行って時間領域のデータとして記憶している
。ROM180は各アドレスで指定したメモリ位置の内容を読み出して、その内
容を時間領域のソース識別信号としてD/A変換器150に供給する。D/A変
換器150、低域フィルタ160、ミキサ170、出力端子175については、
第1図に関連して前に説明した。
動作を説明すると、識別信号x(t)の各ビットを入力端子185に与えると
、ROM180から値のストリングを時間領域のソース識別信号として読み出す
。最も簡単な場合は、x(t)は2つの値例えば0と1をとり、ROM180は
第1コード信号に対応するデータをアドレス1−2,048に、第2コード信号
に対応するデータをアドレス2,049−4,096に含む。必要であれば、R
OM180は追加のコードを記憶してよい。この例では、x(t)の値が0の場
合はアドレス1−2,048にある第1コード信号を読み出し、x(t)の値が
1の場合はアドレス2,049−4,096にある第2コード信号を読み出す。
またROM180は第1図のバッファ140の機能を実行するものとして図示
しているが、必要であれば符号器102に別のバッファを設けてもよい。
第4B図は第4A図のROM180をプログラムする装置で、入力端子181
、逆変換器182、プロセッサ183を備える。
ビット形式の周波数領域の対せきコード信号G(ω)を、入力端子181を通
して逆変換器182に供給する。逆変換器182は第1図の逆変換器130と同
じもので、逆FFTまたはさざなみ変換により時間領域コードデータを作ってプ
ロセッサ183に供給する。プロセッサ183は必要な書込みアドレスを生成し
てこの書込みアドレスをROM180に供給し、時間領域のコードデータをこれ
らの書込みアドレスに記憶する、すなわち「バーンイン」する。
このプロセスは少なくとも追加の1コード信号G(ω)の間繰り返す。コード
信号G(ω)は、例えば第1コード信号の逆の複写である。バーンインしたRO
M180はコードデータを含むので、符号器102で用いることができる。
容易に理解できるように、逆変換器102は主位置でだけ必要なので、第4B
図の装置を主場所に置き複数の第4A図の各符号器102を分散した場所に置く
ことにより、第1図の構成に比較して安価に作ることができる。
第4C図は、本発明の更に別の実施態様の符号化システムを示す。第4C図の
符号化システムは、符号器104と、電話網と、中央データ処理装置を備える。
符号器104は入力端子191と192、プロセッサ190、モデム194、イ
ンターフェース回路196、ランダムアクセスメモリ(RAM)198、データ
バス199、D/A変換器150、低域フィルタ160、ミキサ170、出力端
子175を備える。
ビット形式の周波数領域の対せきコード信号G(ω)の集合を中央データ処理
装置に供給し、中央データ処理装置は逆変換器(見やすくするために図示してい
ない)を用いて逆FFTまたはさざなみ変換を行い、時間領域のコードデータの
集合を作る。次に中央データ処理装置は符号器104との通信リンクを設定して
、時間領域のコードデータの集合をダウンロードする。またこのコードデータの
対応する書込みアドレスも符号器104にダウンロードしてよい。第4C図では
、通信リンクは公共交換電話網(PSTN)を通して設定するように図示してい
るが、第9図に関連して後で説明するような別の通信リンクを用いてもよい。
中央データ処理装置からダウンロードしたデータを、入力端子191を経て符
号器104のモデム194に受信する。ダウンロードしたデータはデータバス1
99で伝送して、RAM198内の、データの一部としてダウンロードしたアド
レスに、またはプロセッサ190が生成したアドレスに記憶する。コードデータ
をRAM198に記憶した後は、RAM198は第4A図のROM180と同じ
機能をする。
識別信号x(t)を入力端子192を経てインターフェース回路196に供給
する。プロセッサ190は信号x(t)の各ビットの読出しアドレスの集合を生
成し、これらのアドレスをデータバス199を経てRAM198に供給する。ま
たは、インターフェース回路196がアドレスの集合を生成して、これをデータ
バス199を経てRAM198に供給してもよい。信号x(t)のビット毎にR
AM198からデータを読み出し、第4A図の実施態様と同じ方法で時間領域の
ソース識別信号を発生する。
D/A変換器150、低域フィルタ160、ミキサ170、出力端子175の
動作は、前に第1図に関連して説明した。
第5図は、本発明の符号器の別の実施態様を示す。これは、時間領域での直接
シーケンススペクトル拡散符号化を用いる。符号器300は入力端子305と3
10、変調器320、低域フィルタ360、ミキサ370、出力端子375を備
える。
時間領域で表したソース識別信号x(t)を入力端子305に供給し、時間領
域のコード信号g(t)を入力端子310に供給する。信号x(t)とg(t)
を変調器320に供給してこれらの信号を変調し、時間領域の符号化ソース識別
信号を発生して低域フィルタ360に供給する。低域フィルタ360は所望の範
囲外の偽信号を除去する。
ミキサ370で、ろ波した符号化識別信号をセグメントの可聴部分と結合して
、第1図のミキサ170に関連して前に説明したように感知されないようにし、
次に符号器200の出力端子375に送って従来の方法で放送する。
第6図は、本発明の個人用モニタの別の実施態様400を示す。個人用モニタ
400はマイクロホン430、増幅器440、低域フィルタ445、相関器45
0(これは乗算器452と積分器454と比較器456を備える)、入力端子4
60と465、結合器470、スイッチ475、センサ480、メモリ490を
備える。個人用モニタ200に関連して前に説明したのと同じ理由で、個人用モ
ニタ400にも中央処理装置を設けてもよい。
マイクロホン430は、第2A図に関連して前に説明したように、放送セグメ
ントの音として再生した可聴部分を変換して電気信号を発生する。マイクロホン
430から得られた電気信号を増幅器440に、次いでフィルタ445に供給す
る。これらはそれぞれ第2A図の増幅器240およびフィルタ250と同じもの
である。コード信号g(t)の複写を端子460を通して供給し、フィルタ44
5からのろ波した信号出力を相関器450に供給する。
相関器450は乗算器452を含み、乗算器452はろ波した信号とコード信
号とを乗算して、乗算結果を積分器454に供給する。積分器454はビット区
間にわたって積分して積分信号を作り、比較器456に供給する。ビット速度が
毎秒4ビットの場合は、ビット区間は0.25秒である。比較器456は、コー
ド信号を時間窓に沿って滑らせて、信号の開始を定義するコード信号の点を積分
するすなわち進めまたは遅らせることにより、コード信号の複写を入ってくる信
号と同期させ、積分信号を最適にする。
より特定すると、ソース識別信号x(t)は、1ビットに対応する各チップに
おいて同じ論理状態(0または1)を持つ。放送信号を誤りなしに受信すると、
コード信号の複写とろ波した受信信号との乗算から得られる各チップの値は、ビ
ットの期間中、同じ値を持つ。このようにして、積分の結果が0または1の平均
チップ値に相当する場合は同期がとれる。受信信号とコード信号が同期しない場
合は、積分の結果は0または1ではなくて、0.5に近い平均値である。
同期がとれると、時間窓を滑らせることにより調整して、入ってくる信号の追
跡を続けることができる。
一般に、視聴者が視聴しているセグメント毎に同期をとらなければならない。
視聴者が別の部屋に行ったときのように個人用モニタがかなりの時間にわたって
信号を受信しない場合は、モニタはこれを信号事象の損失として記録する。放送
や再生が行われている部屋に視聴者が戻ったときは、再び同期をとる必要がある
。
同期をとると、比較456は回復ソース識別データを結合器470に出力し、
結合器470はこれを入力端子465に供給する時間スタンプと結合して時間ス
タンプ付き信号を作って、スイッチ475に供給する。
センサ480は熱センサまたは動作検出センサでよく、個人用モニタ400を
人が身につけているか、従ってその人が放送を受信中であるかどうかを検出し、
個人用モニタ400を人が身につけているときは使用可能信号を発生する。この
使用可能信号により個人用モニタを動作させるかどうかを制御して、個人用モニ
タの電源、一般には再充電可能電池を効率的に用いることができる。このような
センサの使用はこの特定の実施態様に限られるわけではなく、第2A図に示した
個人用モニタ200などの個人用モニタのいかなる実施態様にも用いてよい。セ
ンサからの使用可能信号はスイッチ475に供給する。
使用可能信号が動作状態の場合は、スイッチ475は時間スタンプ付き信号を
メモリ490に送って記憶し、上に説明したように更に中央データ処理装置に転
送する。
または、センサ480からの信号を結合器470に送ってスイッチ475をや
め、ローカルの時間スタンプを持つ回復識別データと、識別データを回復したと
きに視聴者がモニタを身につけていたかどうかの指示を、個人用モニタ400が
記憶するようにしてよい。
更にまた、本発明をビデオテープレコーダ(VCR)と共に用いて、放送セグ
メントを録音中に監視することができる。符号化識別信号を含むのは音として再
生した信号ではなく、VCRのチューナが出力するベースバンド信号の可聴部分
である。この場合、モニタはVCRが録音を行っていることを検知し、録音信号
の識別情報を記憶する。VCRについての日記は、個人用モニタ400が作る日
記と同じようにしてアップロードする。
第7図は、本発明の符号器の更に別の実施態様500を示す。符号器500は
入力端子505と515、変調器510、周波数シンセサイザ520、ミキサ5
25と540、低域フィルタ530、出力端子545を備える。ソース識別デー
タx(n)を入力端子505を経て変調器510に供給し、正弦信号で変調する
。
コードデータg(n)を入力端子515を経て周波数シンセサイザ520に供
給し、周波数シンセサイザ520の出力を制御する。より特定すると、使用可能
な帯域幅は300−3,000Hzの範囲であり、これをより狭いM個の帯域に
分割する。各帯域幅は(3,000−300)/M Hzである。各チップ時間
で、帯域ホッピング(hopping)シーケンスを指定するコードデータg(n)に
従って周波数シンセサイザ出力をM帯域の1つの中心周波数に変え、周波数をホ
ップしたコード信号を発生する。
ソース識別データを搬送する正弦信号と周波数をホップしたコード信号をミキ
サ525に供給し、ここで混合して符号化識別信号を作って低域フィルタ530
に供給し、所望の範囲外の偽信号を除去する。
ろ波した符号化識別信号を、放送セグメントの可聴部分と、放送のソースに関
する更に詳細を与える恐らく追加の情報と共に、ミキサ540に供給する。ミキ
サ540はこれらの信号を混合して、符号化識別信号を持つ可聴信号部分を出力
端子545に出す。この可聴部分を含むセグメントを、放送装置を経て放送する
。
第8図は、本発明の個人用モニタの更に別の実施態様600を示す。個人用モ
ニタ600はマイクロホン630、増幅器635、低域フィルタ640、入力端
子645と675、周波数シンセサイザ650、ミキサ660、復調器670、
結合器680、メモリ690を備える。個人用モニタ200と400に関して上
に説明したのと同じ理由で、個人用モニタ600に中央処理装置を設けてもよい
。
マイクロホン630と増幅器635と低域フィルタ640は、第2A図と第6
図の対応する要素と同じ動作をするので、簡潔のためにこれらの説明は省略する
。
コードデータg(n)の複写を端子645を経て周波数シンセサイザ650に
供給して、その出力を制御する。シンセサイザ650の出力の周波数は第7図の
シンセサイザ520の出力と同じである。
フィルタ640からのろ波した信号とシンセサイザ650からの周波数を合成
した信号をミキサ660に供給し、これらを混合して識別信号を回復する。言い
換えると、ミキサ660はろ波した信号と周波数を合成した信号とを相関させる
。すなわち、ミキサはこれらの信号を一致すなわち相互関係に置く。
回復識別信号を復調器670に供給し、ここで復調して回復識別データを作り
、端子675を経て供給する時間スタンプ付きデータと結合器680で結合する
。時間スタンプ付き識別データをメモリ690に供給して記憶し、上に説明した
ように、更に中央データ処理装置に転送する。
第9図は、本発明の別の実施態様の監視装置700を示す。監視装置700は
端子705と715と735、モデム710、チューナ720と740、復調器
725と745、復号器730と750、クロック回路755、メモリ760、
プロセッサ770、データバス780を備える。クロック回路755は符号器7
00のいろいろのブロックの要求に応じて、時間および日付け情報を従来の方法
で供給する。
第9図に示すように、放送セグメントを含む信号をモニタ700の入力端子7
35に受信する。放送信号は符号化ソース識別信号を含む可聴部分を持つ。受信
信号をチューナ740に、次いで復調器745に供給して、ベースバンド放送信
号を回復する。または、チューナと復調器を別の装置にして、ベースバンド放送
信号をモニタ700に直接供給してもよい。
別の態様として、ラジオまたはテレビ局などの各放送ソースは、第1図、第5
図、第7図に示すような符号器を、どの番組が実際に放送されているかを監視す
るモニタ700などの装置と共にその構内に設けてよい。この場合、符号器とモ
ニタを同じ外箱内に納めれば、必要な装置全体の大きさを減らすことができる。
というのは、符号器とモニタは例えばコード信号のメモリを共用してよく、また
ベースバンド信号が直接使用可能なのでチューナと復調器は必要ないからである
。
ベースバンド放送信号を復号器750に供給し、復号器750は第2A図、第
6図、第8図に示す個人用モニタで用いたのと同じ方法でソース識別信号を抽出
する。
また復号器750は受信した放送セグメント内の追加の情報を抽出する。これ
は上に説明したように、可聴部分で直接変調し、拡散信号を用いて符号化した後
可聴部分と混合してもよいし、または放送セグメントの別の部分で変調してもよ
い。この追加の情報は、例えば広告のソース識別情報や、使用可能な容量が限ら
れているために音声帯域内に符号化した情報の中には存在しない放送セグメント
内の番組の識別に関する情報を含んでよい。
各放送セグメントについて、復号器750は音声帯域から抽出したソース識別
情報や、追加の情報や、適当な時間スタンプ情報を、データバス780を経てメ
モリ760に供給して記憶する。
例えば毎日という定期的な間隔で、メモリ760に記憶している放送セグメン
トに関する情報をアップロードする時間になったことをプロセッサ770は検出
する。プロセッサ770はモデム710を用いて、公衆交換電話網により中央デ
ータ処理装置への回路を設定する。専用の電話線を端子705に接続してもよい
が、設置が柔軟でコストが節約できるのでダイアル回線の方が望ましい。別の態
様として、このために広域網を用いてもよい。回路を設定すると、プロセッサ7
70はメモリ760に命令して必要な情報をデータバス780に供給させ、また
モデム710に命令してこの情報を中央装置に転送させる。または、中央装置か
らメモリ760に命令を送ってデータを転送させてもよい。
モニタ700を用いて所定のラジオまたはテレビジョン放送市場で放送信号を
監視し、どのセグメントがどの時間に1つ以上のチャンネルでまたは1つ以上の
局から放送されたかを決定することができる。ある応用では、モニタ700はセ
グメント識別情報を復号して、どの番組やコマーシャルやその他のセグメントが
放送されたかを決定し、この情報を中央データ処理装置に送って、個々の視聴者
から送られる個人用モニタのデータと相関させることができる。更に別の応用で
は、1つ以上のチャンネルでまたは1つ以上の局から放送されるコマーシャルを
決定して、広告主または放送装置の使用権の購入者から放送局に支払う料金を決
定する報告書を作成し、および/またはマーケットリサーチの報告書を作成する
。
更に別の応用では、モニタ700はどの著作権保護作品が1つ以上の局からま
たは1つ以上のチャンネルで放送されたかを示すデータを集める。例えば、ある
ラジオ局は予め録音した歌を何度も放送し、中央装置がアップロードした情報を
正しく分析してこの状態を検出すると、この分析結果を用いて著作権使用料の支
払い義務を決定する。
またモニタ700を家庭の監視に用いて、1つ以上のラジオまたはテレビジョ
ン受像機で再生しまたは表示した番組やコマーシャルやその他のセグメントを決
定することができる。この場合、本発明を用いて視聴者の構成を監視してもよい
ししなくてもよい。
また中央装置は電話線により情報をモニタ700にダウンロードして、直ぐま
たは後で処理することができる。このダウンローディングはモニタ700が起動
した接続中に行ってもよいし、中央装置が接続を起動した場合でもよい。ダウン
ロードする情報の例は、符号化ソース識別情報の更新コード信号、別のインター
フェース(簡単にし分かりやすくするために図示していない)を通してユーザか
ら情報を収集するための指示メッセージ(家庭のモニタに表示される)、実行可
能な番組情報などである。末端で変造されないようにするために、モニタ700
を中央装置の制御の下に置くことは重要である。
また中央装置は別のRFチャンネルに情報を供給して、分散したモニタ装置7
00のグループに放送してもよい。このRFチャンネルはスペクトル拡散符号化
技術を用いて、既存のFM放送に符号化する。符号化FM放送はモニタ700の
入力端子715に受信し、チューナ720に、次いで復調器725に供給して、
ベースバンド放送信号を回復する。または、チューナと復調器を別の装置にして
、ベースバンド放送信号をモニタ700に直接供給してもよい。復号器730は
符号化情報をFM放送から抽出し、抽出情報をデータバス780を経てメモリ7
60に供給する。または、復号器730は情報を受信したことをデータバス78
0を経てプロセッサ770に知らせ、抽出情報の処理に関するプロセッサ770
からの命令に応える。
モニタ700は、端子715に供給する符号化FM放送と端子735に供給す
る放送セグメントから情報を同時に受信し、また端子705を経てデータを同時
に受信または送信することができる。
符号化FM放送は、RF伝送ではなくケーブルなどを経て符号器700に供給
してよい。
本発明の例示の実施態様やいろいろの変形を添付の図と共に詳細に説明したが
、本発明はこれらの実施態様自体や説明した変形に限られるものではなく、請求
の範囲に規定されている本発明の範囲と精神から逸れることなく、当業者はいろ
いろの変更や修正を行うことができるものである。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 ジェンセン,ジェームズ エム.
アメリカ合衆国 21044 メリーランド州
コロンビア,フォークナー リッジ サー
クル 10702
(72)発明者 リンチ,ウェンデル ディー.
アメリカ合衆国 20901 メリーランド州
シルバー スプリング,リンムーア ドラ
イブ 103
(72)発明者 アービ,ジュアン シー.
アメリカ合衆国 20707 メリーランド州
ローレル,アッシュフォード ブールバー
ド 8301