【発明の詳細な説明】
骨粗しょう症の治療方法および治療用組成物
本出願は、1989年10月17日に出願された米国特許出願420597の一部係属出願で
あり、今や1992年12月15日に特許された米国特許5,171,583であり、これは1988
年10月21日に出願された米国特許出願の一部係属出願であり、今や放棄されてい
る。
発明の分野
本発明は、ヒトにおける骨粗しょう症の新規な治療方法に関し、更に特にアル
カリ化カリウム塩およびエストロゲン(これはそのような治療に有用でありそし
て骨粗しょう症の通常の治療に伴う健康リスク又は副作用を軽減する)の組合せ
を用いた骨粗しょう症の治療用組成物および治療方法に関する。
発明の背景
骨粗しょう症は、骨の量の絶対的減少により病理学的に特徴づけられそして臨
床的に破壊にまで至りやすいことを特徴とする代謝性骨疾患である。Riggs等、N .Engl.J.Med.
(1986),314:1676;Rusbach等、in:Textbook of Endocrinolo gy
,Ed(s)Williams,(1981),p.922;Riggs,in:Cecil Textbook of Medic ine
,Ed(s)Wyngaarden等、(1985),p.1456;Riggs等、Am.J.Med.,(1983
),75:899。
共に、用いられる幾つかの生化学的マーカーが存在し、これらは疾患を骨粗し
ょう症として診断するため又は骨粗しょう症の治療の有効性を研究するために用
いることができる。例えば、尿のヒドロ
プロリン排泄速度は骨吸収用マーカーとして広く用いられる。Klein等、Metabol ism
2,Vol.13,No.3,1964年3月、272-285;Charles等、J.Clin.Invest.,Vol
.76,1985年12月 2254-2258;およびDeacon等、Clin.Chim.Acta.,1987,297-3
06。ピリジノリンおよびデオキシ−ピリジノリン、コラーゲンクロスリンクの2
種のタイプは骨中に存在し、これらは尿中に検出できそして又骨吸収のためのマ
ーカーでもある。Robin等、European Journal of Crinical Investigation(199
1),21:310-315。
オステオカルシン(osteocalcin)の血清濃縮物は骨形成速度の生化学的マー
カーとして役立つ。オステオカルシンは、骨形成の過程中骨−形成細胞(骨芽細
胞)により合成された骨の生体マトリックスの不可欠なタンパク質である。新し
く合成されたオステオカルシンの小分画は循環系に逃げ、かくして骨形成速度の
血液マーカーを与える。オステオカルシン濃度は、骨形成速度が増加するとき増
加し、そして骨形成速度が減少すると減少する。Brown等、The Lancet,19,198
4年5月、p.1091,「Serum Bone GLA-Protein:A Specific Marker For Bone Fo
rmation in Postmenopausal Osteoporosis」。骨吸収/骨形成の別の反映は、カ
ルシウムとリンのバランス(プラス又はマイナス)における変化でありこのバラ
ンスは総排泄(便および尿)およびカルシウムもしくはリンイオンの食物摂取間
の差異を測定することにより決定される(これらのバランスは、総排泄が食物摂
取よりも少ないときプラスである)。
閉経後の婦人において、エストロゲン不足は骨粗しょう症に対する主な病気の
素因を与える因子として同定されてきた。長期エストロゲン代替治療が、閉経後
の婦人における骨粗しょう症の進行を抑制できることが報告された。Johansen等
、(1990)Metabolism Vol.39,No.11,pp.1122-1126;Ettinger,Obstetrics & Gynecology
,(1988),72:12s-17s;Ettinger等、Annals of Internal Medicine(1985)
,102:319-324。
骨粗しょう症の予防又は治療において有効であるものとしてFDAにより認めら
れたエストロゲンの最少用量は、コンジュゲート化(conjugated)エストロゲン
0.625mg又は他のエストロゲンの同等用量である。しかし、このレベルでのエス
トロゲンの長期使用は重大な健康に対する危険を課す。3種の独立した研究は、
以下の内容を示した;すなわちこの用量レベルで長期間外因性エストロゲンにさ
らされた閉経後の婦人において子宮内膜癌の増加した危険性である。Ziel等(19
75)New England Journal of Medicine,293:1167-1170;Smith等(1975)New England Journal of Medicine
,293:1164-1167;Mack等(1976)New England J ournal of Medicine
,294:1262-1267。
これらの3種の研究より、エストロゲン使用者における子宮内膜癌の危険性が
、非使用者におけるそれよりも約4.5〜13.9倍であることが報告された。危険性
は治療期間とエストロゲン用量の双方にも依存するように思われる、Ziel等、Id
.Mack等、Id.エストロゲン治療から子宮内膜癌の立証された危険性に加えて、
少なくとも1種の研究は、閉経後の婦人に与えられるエストロゲンは胸癌の危険
性を増加することを示している。New England Journal of Medicine(1974)290
:15-19。また、次の内容も報告された、すなわち閉経後のエストロゲンを受け
取る婦人において外科的に確認された胆のう疾患の危険性は2〜3倍増加する。Id.
更に、エストロゲン治療を受ける閉経後の婦人は、凝血塞栓および血栓の血
管疾患および高血圧の増加した危険性を有する。Pfeffer等、(1976)Am.J.Epid emiology
103:445-456。従って、骨粗しょう症の有効治療に対して要求される
用量レベルで、エストロゲンは重大な健康に対
する危険と副作用を与えるかもしれない。
1つの研究は次の内容を示している;すなわちプロゲスチンをエストロゲン代
替治療に添加することは、エストロゲン−誘発子宮内膜癌から保護を与えそして
骨代謝を改善する。Williams等(1990)、Am.J.Obstet.Gynecol.,vol 162,pp
438-446。しかし、プロゲスタチオナール剤の添加は、月ぎめの出血および月経
前の症状を含めた副作用の高発生率をもたらす。研究はこれらの副作用が、エス
トロゲンとプロゲスチンを逐次的周期的基礎で投与することとは反対に、プロゲ
スチンをエストロゲンと組合せて連続的な日を基礎にして投与することにより減
少できることを示しているけれども、研究はエストロゲンとプロゲスチンの連続
用量を受けた65人の患者の内3人は子宮内膜ポリープが成長したことを示した。
別の研究、Ettinger,(1988),Obsterics & Gynecology 72:12s-17sは以下
の内容を示している;すなわち骨粗しょう症の治療のため、下記の一緒にしたエ
ストロゲン約0.6mgは、患者のカルシウム摂取を少なくとも1500mg/kgに増加さ
せることによって半分にカットされ得る。しかし、研究はエストロゲンの通常の
用量の半分は月経の出血および他の好ましくない副作用を引きおこしそうである
。
1992年12月5日に付与された米国特許5,171,583(この内容はその番号を引用
して本明細書に加えられる)は、骨粗しょう症を悩んでいるか又はかかりそうに
しているヒトにおける骨粗しょう症を改善するか又は予防する方法に関し、この
方法は医薬として許容し得るアルカリ化カリウム塩の組成物の治療的又は予防的
に有効な量を含有する組成物を投与することを含んでなる。体重70kgの患者の1
日当たり40−400mmolesそして好ましくは40−250mmolesのアルカリ化カリウム塩
の有効用量が開示されている。
本発明の目的は、エストロゲン単独で治療するよりもより有効である骨粗しょ
う症の治療方法および治療のための組成物を提供することにある。
更に本発明の目的はエストロゲンによる治療に伴う危険性および副作用をもし
も除外しない場合それらを減少させる骨粗しょう症の治療方法および治療のため
の組成物である。
本発明の要約
本発明は骨粗しょう症にかかりやすくなったヒト又は苦しむヒトにおける骨粗
しょう症を改善するか又は予防する新規な方法に関し、この方法は以下の活性成
分の組合せを投与することを含んでなる:
(a)医薬として許容され得るアルカリ化カリウム塩であって、この塩はヒドロ
キシルイオンを発生させそしてそれにより組織液又は尿の(アルカリ度を増加さ
せることにより)酸性度を減少させることができ、そしてこの塩は炭酸水素カリ
ウムおよび炭酸水素塩に変換され(コンバストされ(combusted))そして生体
内でアルカリ化するカルボン酸のカリウム塩から成る群から選ばれる;そして
(b)骨粗しょう症の治療に有効であるエストロゲン、該エストロゲンはその推
賞される用量の1/10である最少量で、好ましくは通常推賞される量の約1/10
から推賞される用量まで又はそれ以上の量で投与される;
アルカリ化カリウム塩は2種の医薬の組合せが、骨粗しょう症の治療において
、独立に投与されるエストロゲンの同等よりも実質的により有効であるそのよう
な量、一般に10%ないし50%又はそれ以上有効であるような量で投与される。医
薬として許容され得るアルカリ化カリウム塩とエストロゲンの組合せは本出願前
当業者に自明
でなかったことの証拠は、骨粗しょう症の治療において組合せにより達成された
相乗作用である。かくして、本発明は通常のエストロゲン治療よりもより有効な
骨粗しょう症の治療を提供する。更に、所望により、本発明によれば組合せ薬に
おいて投与されるエストロゲンの量は通常推賞されるエストロゲンの用量(以下
に明記される如く)の約1/10程度に低い。本発明によればアルカリ化カリウム
塩と協同して低用量のエストロゲンの組合せは、骨粗しょう症の治療に有効であ
りそして健康の危険性およびエストロゲンを用いた通常の治療に伴う副作用をた
とえ除去できなくとも軽減する著るしい利益を与える。エストロゲンと共にアル
カリ化カリウム塩の使用により、エストロゲンとプロゲスチンの同時投与の必要
性が除去される;択一的にアルカリ化カリウム塩のナトリウム尿排泄高進性作用
は、プロゲスチンのナトリウム−保持性質を相殺しそしてこれにより組合された
エストロゲン−プロゲスチン−アルカリ化カリウム塩治療によって得られる結果
を高める。
発明の詳細な記載
本発明の組合せの2種の活性成分、すなわち(a)医薬として許容され得るア
ルカリ化カルシウム塩および骨粗しょう症の治療において有効であるエストロゲ
ンは、互いに協同して別個の用量形態として、すなわち、同時に又は異なるスケ
ジュールで投与され得る。択一的に、そして好ましくは以下に十分に記載される
ように、アルカリ化カリウム塩は単一用量形態でエストロゲンと組合せることが
できそしてこの形態はこれらの活性成分の別個の投与に対する必要性なしで被験
者に投与できる。
本発明において語句「治療」又は「処理」は骨粗しょう症のあらゆる治療を包
含しそして(1)骨粗しょう症を有しない又はそれを
有するものとして未だ診断されなかった被験者において骨粗しょう症の発生を防
ぐこと;(2)骨粗しょう症の悪化を抑制又は阻止すること;又は(3)骨粗し
ょう症状態の後退又は変えることを含む。
本発明において、エストロゲンに言及するため用いられるとき語句「通常推賞
される用量」は、骨粗しょう症のヒトに投与するとき骨粗しょう症の治療に有効
であるエストロゲンの量であり、すなわちそれはヒトにおいて次の効果をもたら
す:
(a)尿のヒドロキシプロリン排泄速度を減少する;
(b)尿のコラーゲン交差排泄速度を減少する;そして
(c)カルシウムおよびリン均衡を減少する、すなわちそれらをよりネガチブ
又はよりポジチブにする。例えば、骨粗しょう症の治療において(以下に明記さ
れる)協同エストロゲンとして公知のエストロゲンの通常推賞される用量は、0.
625mgであり、サイクルベースで投与される、すなわち3週間投与しそして1週
間投与中止する。the Physicians Desk Reference,1993年版2624-25頁参照。(
前記効果は、エストロゲンがプロゲスチンと同時に投与されるかどうかにかかわ
らず生じる。)
本発明において、「独立に投与したとき該エストロゲンの同量」の言及は本発
明の組合せ薬において用いられる同一のエストロゲンの同一の量を意味し、この
エストロゲンは本発明の組合せ薬のアルカリ化カリウム塩の投与なしでも投与さ
れる。
本発明において、語句「コラーゲン交差」はピリジノリンおよびデオキシ−ピ
リジノリン交差を意味する。
本発明において、語句「カルシウム均衡」はカルシウムの総排泄(便および尿
)とカルシウムの食物摂取との差である。同様に、語句「リン均衡」はリンの総
排泄(便および尿)とリンの食物摂取と
の差である。
本発明方法で用いられるアルカリ化カリウム塩は、体液中に存在するとき、ヒ
ドロキシルイオンを生成する塩でありそしてこれにより組織液又は尿の(アルカ
リ度を増加する)酸性度を減少できる塩である。多くの医薬として許容され得る
カリウム塩は公知であり、これらの幾つかはBerg等、J.Pharmaceut.Sci.(1977
)66:1(これは引用して本発明に加えられる)に述べられている。本発明で開
示されるように、公知の方法および技術を用い骨粗しょう症を治療すべき能力に
対する医薬として許容され得るアルカリ化塩を選択しそしてふるい分けすること
は当業者の能力の範囲内である。望ましくは、比較的良好に極性をもちつつ、ヒ
トにおいて容易に達成可能な量で治療的に有効である塩が選択されるであろう。
異なる塩は特定の投与方法および好ましい剤形に応じて選択される。
このように投与されるアルカリ化カリウム塩は、好ましくは炭酸水素カリウム
(KHCO3)およびカルボン酸の医薬として許容し得る、非毒性のカリウム塩、例
えばカリウムグルコネート(C6H11KO7)およびカリウムシトレート(C6H5K3O7)
から成る群から好ましく選ばれる。炭酸水素カリウムの使用は特に好ましい。こ
れらの塩の製造、単離および精製は、当業者に周知である、何故なら本発明で記
載される以外の多様の使用に対する治療において広く用いられるからである。こ
れらの塩の製造に対する特定の手順はRemington's Pharmaceutical Sciences,
マック出版社、ヨーストン、ペンシルバニア州、16版1982年(これは引用して本
発明に加えられる)に記載されている。
本発明で用いられる語句「エストロゲン」は、発情−発生ホルモンの生物学的
活性を有する全ての天然又は合成物質を意味しそしてこれは骨粗しょう症の治療
において有用である。本発明の実施に有
用なエストロゲンは、その医薬として許容し得る塩およびエステルを含めて、次
式:
(式中、R1はヒドロキシル基でありそしてR2はH、−C=C、および−C≡
Cから成る群から選ばれるか、又は
R1とR2は一緒になって酸素(これは二重結合によって分子に結合される)を
表わし、
R3は水素又はヒドロキシル基であり、そして
R4はH、メチルおよびシクロペンチル基から成る群から選ばれ、そして
ここにおいてエストロゲンは6−7位および8−9位で二重結合、7−8位で二
重結合を有するか、又は6,7,8および9位で二重結合を有しない)
で表わされるエストロゲンを含んでなる。
本発明に従って投与され得るエストロゲンには制限されないが次の全てのエス
トロゲンおよびその混合物が含まれる:エストロン(3−ヒドロキシエストラ−
1,3,5(10)−トリエン−17−オン);17β−エストラジオール(17β−エ
ストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17−ジオール);17α−エストラジ
オール(エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17α−ジオール);エチ
ニル エストラジオール(17α−エチニル−1,3,5(10)−エストラトリエ
ン−3,17β−ジオール);エキリン(3−ヒドロキシエストラ−1,2,5(
10),7−テトラエン−17−オン);エキレニン(3−ヒドロキシエストラ−1
,2,3,5,7,9−ペンタエン−17−オン);17α−ジヒドロエキリン(17
α−エストラ−1,3,5(10),7−テトラエン−3,17−ジオール);17β
−ジヒドロエキリン(17β−エストラ−1,3,5(10),7−テトラエン−3
,17−ジオール);17α−ジヒドロエキレニン(17−エストラ−1,3,5,7
,9−ペンタエン−3,17,ジオール);17β−ジヒドロエキレニン(17β−エ
ストラ−1,3,5,7,9−ペンタエン−3,17,ジオール);メストラノー
ル(17−α−エチニル−3−メトキシ−1,3,5(10)−エストラトリエン−
17β−オール);キネストラジオール(エストリオール 3−シクロペンチル
エーテル):キネストロール(17α−エチニルエストラジオール 3−シクロペ
ンチル エーテル);エストラジオール ベンゾエート(17β−エストラ−1,
3,5(10)−トリエン−3,17−ジオール 3−ベンゾエート);エストラジ
オール 17β−サイピオネート(cypionate)(17β−エストラ−1,3,5(1
0)−トリエン−3,17−ジオール 17−シクロペンタンプロパノエ−ト);お
よび共役エストロゲン。
本発明において、語句「共役エストロゲン」は、妊娠したロバの尿(その主成
分はナトリウムエストロンスルフェートである)から由来する物質の平均組成を
表わすため配合される水溶性エストロゲンスルフェートのナトリウム塩として生
じる天然源からの共役エストロゲンの混合物を意味する。共役エストロゲンは、
Wyeth-Ayerstラボラトリーより商標「PREMARIN」のもとで市販されている。Phys
icians Desk Reference,1993年出版、2624-26頁参照。
本発明の組合せ薬の医薬として許容され得るアルカリ化カリウム塩又はエスト
ロゲン成分の投与は以下において述べられる医薬組成物においてなされそして骨
粗しょう症の治療において有用であることが知られている薬剤に対し許容される
全ての投与方法を介してなされ得る。アルカリ化カリウム塩に対し、これらの方
法には経口、非経口および他の全身投与方法が含まれる。異なるアルカリ化カリ
ウム塩は混合されそして同時に投与してもよく、又はある場合にはそれらの別個
の逐次的投与が好ましい。エストロゲンに対しこれらの方法には経口、非経口、
経皮および他の全身投与方法が含まれる。
意図した投与方法に応じ、アルカリ化カリウム塩成分は固体、半固体又は液体
用量形態、例えば錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒、結晶、液剤、懸濁液等
、好ましくは比較的正確な用量の投与に適した単位用量形態であってよい。
好ましくはアルカリ化塩およびエストロゲン活性成分は、錠剤、カプセル剤又
は丸剤中、固体の単位用量形態で組合され、かくしてこれらの成分の別個の投与
に対する必要性を除去する。固体の組合せた用量形態は、通常の医薬担体又は賦
形剤を含有できそして加えて他の医薬薬剤を含有できる。従って、単位用量形態
は通常の非毒性担体、例えば医薬等級のマニトール、ラクトース、デンプン、ス
テアリン酸マグネシウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸
マグネシウム等と配合できる。このような組成物は、本発明の活性成分を50−90
%、好ましくは70−90%含有できる。
択一的に、アルカリ化カリウム塩は、エストロゲン活性成分の投与と協同して
別個の用量形態として投与してもよい。従って二種の医薬は正規の投与方法に従
い、同じスケジュール又は異なるスケジュールで予定できる。アルカリ化カリウ
ム塩成分を別個の用量形態
として投与するとき、該成分は先に述べたいずれかの賦形剤を有した錠剤、丸剤
、カプセル剤、散剤、顆粒、結晶、徐放性製剤の形態てあってよく、あるいは又
液体の医薬として投与できる組成物で投与できる。このような液体組成物は、例
えば塩、例えば炭酸水素カリウムおよび所望の医薬補助剤を担体例えば水、水性
デキストロース、グリセロール等に溶解しこれにより溶液又は懸濁液を調製して
得られる。所望により、別個のアルカリ化塩用量形態は、少量の非毒性補助物質
例えばpH緩衝剤等、例えばソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミン、
酢酸ナトリウム、トリエタノールオレエート等を含有してもよい。このような用
量形態を製造する実際的方法は公知であるか、又は当業者に明らかである;例え
ば前記Remington's Pharmaceutical Sciences,マック出版社、ヨーストン、ペ
ンシルバニア州、16版、1982年を参照のこと。組合せ薬の活性カリウム塩成分、
例えば炭酸水素カリウムは、例えば丸剤とし提供される食物補助物として、又は
食物に直接適用した顆粒又は粉末として、又は好都合な投与手段として飲料水に
溶解して提供される。
本発明の組合せ薬のエストロゲン成分は、最少で通常推賞される用量の約1/
10の量で投与できる。組合せ薬のアルカリ化カリウム塩成分は以下のような量で
投与される;すなわち組合せ薬が、独立に投与するときエストロゲンの同じ量よ
りも骨粗しょう症の治療において約10%以上、又は最大50%、又はそれ以上有効
である量である。
好ましくは、エストロゲン成分は共役エストロゲンの約0.06〜1.25mg、好まし
くは0.06〜0.625mgに相当する(日基準)量で経口投与される。組合せ薬中に加
えられるアルカリ化カリウム塩の量は約30−120、好ましくは約30−60ミリ当量
である。これらのレベルで、次の相対的効果がエストロゲンの同量を独立に投与
する場合との
効果と比較して観察できる。
(a)10%以上の尿のヒドロキシプロリン排泄速度(Klein,Charles等およびDe
acon等出版物(前記)中で記載される如く測定)の減少;
(b)10%以上の尿のコラーゲン交差排泄速度(Robins等出版物(前記)中で記
載される如く測定);および
(c)例えば最大10%まで又はそれ以上のカルシウムおよびリン均衡(通常の方
法で測定)における増加。
前記から明らかなように、本発明の活性成分の組合せは、骨粗しょう症の治療
において相乗作用を示す、すなわち2つの医薬の組合せは独立に投与した時より
も実質的により有効である。最も好ましくは、エストロゲン成分は、最少共役エ
ストロゲンの0.06mgの経口投与に同等の量で投与できる。本発明の組合せにおい
て用いる場合、エストロゲンのより低用量は骨粗しょう症の治療において有効で
あるのみならず、通常の用量のエストロゲンに関連した健康の危険および副作用
を著るしく減少する。
本発明に従って投与されるエストロゲン成分の量は、勿論用いられる特定のエ
ストロゲンの強度および投与方法に依存するであろう。例えば0.6mgの共役エス
トロゲンはエストロゲン様強度および骨粗しょう症を治療するための能力の見地
から0.2mgの超微粉砕17β−エストラジオールと同等である。本明細書で開示し
た如く、エストロゲンおよびエストロゲンに同等の用量レベルおよび本明細書で
記載した用量レベルを選択することは当業者の能力の範囲内であろう。
本発明の組合せ薬は日を基準で連続的に投与されるか、又はその代り、サイク
ル基準で、すなわち3週間投与しそして1週間中止する方法で投与できる。本発
明で記載した組合せ薬を投与することに
加えて、もし必要ならそれを1日当たりカルシウム1500mgに維持するため患者の
カルシウム摂取を補うことが望ましいことは当業者に理解されるであろう。次の
実施例は本発明の幾つかの特定の好ましい、非制限的態様を説明する。
例I
組合せ薬錠剤は、次の活性成分:0.156mgの共役エストロゲンおよび1.5gの炭
酸水素カリウムを含有して調製される。4個のそのような錠剤が毎日適当に投与
され得る。
例II
組合せ薬錠剤が例1と同じ成分を有して製造されそして同じプロトコールに従
って投与される;但し各錠剤はわずか0.08mgの共役エストロゲンおよび0.75gの
炭酸水素カリウムを含有する。
前記から次の内容が理解されるであろう;すなわち本発明は骨粗しょう症に対
する通常のホルモン治療に伴う健康危険および副作用の発生がより低く、ヒトの
骨粗しょう症を有効に治療/予防する新規方法および組成物を提供する。
本発明は説明および明確さと理解のための実施例によりある程度記載したけれ
ども一定の変更および修正は添付の請求の範囲内で行うことができることは自明
であろう。
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