JPH08507587A - 内燃機関のデッキプレート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 内燃機関（12）のためのシリンダライナー組立体（10）が開示される。この組立体（10）は、シリンダヘッド（16）と、上部デッキ面（26）とシリンダボア（28）を形成するシリンダブロック（18）と、シリンダボア（28）内に取り付けられるシリンダライナー（30）とを備える。シリンダライナー（30）は、シリンダブロック（18）の上部デッキ面（26）上に延びるフランジ付き端部（32）を備える。シリンダボア（28）のまわりには、シリンダライナー（30）のフランジ付き端部（32）とシリンダ部正との間において、硬化された環状デッキプレート（24）が設けられて、該フランジ付き端部（32）がシリンダヘッド（16）とシリンダブロック（18）の間に固定された時のシリンダブロック（18）の割れを防止する。硬化された環状デッキプレート（24）は、ロックウエルＣスケールで約25から約60までの範囲の硬度、好ましくは、ロックウエルＣスケールで約50の硬度を有する。

Description

【発明の詳細な説明】 内燃機関のデッキプレート 技術分野 本発明は、一般に内燃機関のシリンダライナーの支持構造に関し、特に、シリ ンダブロックの割れを減少させるために内燃機関のシリンダブロックと取り外し 可能なシリンダライナーとの間に取り付けられる、取り外し可能な硬質のデッキ プレートに関する。 背景技術 シリンダライナーを有する内燃機関に使用する従来の支持構造は、一般に、軽 量のエンジンシリンダブロック又はライナーを高い燃焼ガス負荷に対して支持す るものであった。例えば、ウシオ等に与えられた米国特許第4,757,790号及び同 第4,858,462号がある。 内燃機関では、ブロック及びライナーを高ガス圧に対して支持することに加え て、ブロック又はライナーを熱負荷及び機械的負荷に対して支持しなければなら ない。例えば、取り外し可能なフランジを備え上部又は中間部で支持されたシリ ンダライナーを有する内燃機関では、機械加工の誤差や熱的な歪みが、シリンダ ライナーとシリンダブロックとの突き当て部で高い局部的な接触応力を生じるこ とがある。フランジ付きのライナーがシリンダブロックの上面すなわちデッキに より支持された構造では、シリンダボアの近傍で上部デッキに割れを生じる。こ れをチェックせずに放置すると、割れが隣り合ったシリンダボア間に伝播して圧 縮損失を招き、エンジン性能を減退させる。 さらに、エンジンのオーバーホールが困難になる。オーバーホール中にシリン ダブロックの上部デッキに小さい割れが見つかった場合、典型的には、シリンダ ボアのまわりで割れが除去される深さまでデッキを皿繰りし、シリンダライナー のフランジと皿繰り部との間に円筒形リングを挿入して、シリンダライナーのフ ランジ高さを保つようにする。しかし、円筒形リングは、シリンダブロックと同 様に、機械加工の誤差と熱歪みにより高い局部的な応力に曝され、割れを生じる ことになる。さらに、適切なシリンダライナーフランジの高さを得るには、普通 はシムを追加することが必要になる。許容できる修理範囲を越えて割れが進行す ると、シリンダブロックを交換しなければならない。 したがって、シリンダライナーとシリンダブロックとの間き突き当て部を、シ リンダブロックの割れが減少するように改良することが望まれる。この突き当て 部は、エンジン性能に影響することなく修理可能であることが好ましい。理想的 には、この突き当て部は、現存のエンジンに適合できることが望ましい。 発明の開示 本発明の一つの実施例によれば、シリンダブロックのシリンダボア内にシリン ダライナーが取り付けられ、該シリンダライナーはフランジ付きの取り付け面を 備え、該取り付け面がシリンダブロックの対応する取り付け面に受けられて該シ リンダブロックの取り付け面に固定された形式の内燃機関において、シリンダブ ロックの該取り付け面をロックウエルＣスケールで約25から60までの硬度にする 改良がなされる。 本発明の他の実施例では、シリンダヘッドと、シリンダボアを有するシリンダ ブロックと、該シリンダボア内に取り付けられたシリンダライナーとを備え、該 シリンダライナーがシリンダブロック上に延びるフランジ付きの端部を有し、シ リンダボアのまわりにはシリンダライナーのフランジ付き端部とシリンダブロッ クとの間に硬化された環状プレートが配置され、該硬化された環状プレートとシ リンダライナーのフランジ付き端部とはシリンダヘッドとシリンダブロックとの 間に固定された、内燃機関のためのシリンダヘッドジョイントが提供される。 本発明のさらに他の実施例においては、シリンダボアを形成するシリンダブロ ックと、該シリンダボア内に取り付けられるシリンダライナーとを備え、該シリ ンダライナーがシリンダブロック上に延びるフランジ付きの端部を有する内燃機 関の製造方法が提供される。この製造方法は、シリンダボアのまわりでシリンダ ブロックに所定の深さまで皿繰りの機械加工を施し、該所定の深さに相当する所 定の厚さを有しロックウエルＣスケールで約25から約60までの硬度の環状プレー トを得、該環状プレートを皿繰り部に配置し、シリンダライナーを、そのフラン ジ付き端部が環状プレート上に延びるような状態でシリンダボア内に配置し、シ リンダライナーのフランジ付き端部を環状プレートに固定する段階からなる。 図面の簡単な説明 図１は本発明の一実施例によるシリンダヘッドジョイントの一部の断面図であ る。 図２は図１に示すシリンダヘッドジョイントの一部の拡大断面図である。 図３は図１のシリンダヘッドジョイントの硬化されたデッキプレートの平面図 面の簡単な説明である。 図４は本発明の他の実施例によるシリンダヘッドジョイントの一部の横断面図 である。 発明を実施するための最良の形態 図１及び図２を参照すると、内燃機関１２内のシリンダヘッドジョイント１０ が示されている。シリンダヘッドジョイント１０は、シリンダヘッド１６とシリ ンダブロック１８の間に固定されたスペーサプレート１４を備える。燃焼ガスシ ールすなわちファイヤリング２２を含む通常のヘッドガスケット２０がシリンダ ヘッド１６とスペーサプレート１４との間に取り付けられる。シリンダブロック １８の上面すなわちデッキ２６とスペーサプレート１４との間にデッキプレート ２４が直接取り付けられる。 シリンダブロック１８は多数のシリンダボア２８を有し、このシリンダボア内 にそれと対応する数のシリンダライナー３０が設けられる。シリンダライナー３ ０はフランジ３２を有し、該フランジ３２がシリンダヘッド１６とデッキプレー ト２４の間に固定されて、ライナー３０がボア２８内に取り付けられる。図示し た特定の実施例では、シリンダブロックとライナーは、硬度がロックウエルＢス ケールで約４から約５までの鋳鉄のような同質の材料により形成されており、熱 膨張とそれに伴う応力を減少させるようになっている。しかし、本発明の利点を 損なうことなく、シリンダブロックとライナーを異なる材料により形成すること もできる。同様に、シリンダライナーをほぼ中間部にフランジを有する形状とし て、そのフランジをシリンダボア内に対応して形成した段部又はフランジに着座 させるようにした中間支持シリンダライナーも本発明の利点を受けることができ る。 割れを生じたシリンダブロックのための現在のオーバーホール技術は、シリン ダボアのまわりで皿繰りの機械加工をし、シリンダブロックとシリンダライナー フランジの間で皿繰り部内に硬化していない鋼製リングを取り付け、シムにより シリンダライナーを所望の高さにすることからなる。皿繰りの深さと適切なシリ ンダフランジ高さを得るに必要なシムの数は、シリンダブロック内の割れを除去 するに必要な機械加工の程度による。本発明は、上ブロック支持形又は中間ブロ ック支持形のいずれのライナーと組み合わせて使用しても、シリンダブロックの 割れを減少させることができ、それによって、高価なシリンダブロックの皿繰り 機械加工と皿繰り部のシリンダライナーフランジへのシムの選定取り付けの必要 性をなくすことができる。その代わりに、製造工程においてシリンダブロックを 所定の高さまで機械加工し、シリンダブロックの上ブロックデッキの機械加工高 さに対応する所定の厚さの高価されたデッキプレートを設けることにより、シリ ンダライナーの高さを製造中に精密に設定することができる。 本発明によれば、ライナー３０のフランジ３２に突き当てられるデッキプレー ト２４の上面２９は、ロックウエルＣスケールで約２５から約６０までの範囲の 硬度を有し、デッキプレート上のフランジ３２により与えられる高い局部的な応 力に耐えることができる。好ましい特定の実施例においては、デッキプレート２ ４は、市販品質のばね用の炭素鋼の硬質引き抜き線材により形成され、ロックウ エルＣスケールで約５０の硬度まで加工硬化される。例えば、焼き戻し炭素鋼仕 様SAE J316又はASTM A229及びステンレス鋼仕様SAE 30301及び30302を参照され たい。 デッキプレート２４の形状は用途によって異なる。例えば、図３においては、 デッキプレート２４はスペーサプレート１４の形状に対応する形状を有する。ま た、デッキプレート２４は、複数のボルト穴３４、冷却水穴３６及びリフター室 用貫通穴３８を有する。図示した好ましい特定の実施例では、シリンダヘッドと シリンダブロックの間で、それぞれの冷却水穴とリフター室用貫通穴に冷却水用 口金やリフター室ガスケット（図示せず）が配置され、デッキプレート２４を直 接にスペーサプレート１４とシリンダブロック１８の間に取り付けることができ るようにしている。別の構造としては、デッキプレート２４のいずれかの側にガ スケットを配置して、それぞれの冷却水穴とリフター室用貫通穴のまわりをシー ルすることができる。この場合には、デッキプレート２４は隣接する部品に接触 するように配置される。デッキプレート２４は又、シリンダボアに対応する形状 とすることができる。例えば、図４において、デッキプレート２４は平坦な円筒 形リングであり、シリンダボア２８のまわりの皿繰り部４０に取り付けられる。 デッキプレート２４は、その形状にかかわりなく、エンジンのオーバーホール 中に取り付けることができる。上部デッキを面削りするか、シリンダライナーの まわりに皿繰り加工を施すことにより、硬化されたデッキプレートを挿入し、フ ランジ付きシリンダライナーとシリンダブロックの間に該デッキプレートを固定 して、シリンダライナーフランジとブロックとの間の高い接触応力による割れを 減少させることができる。 図示したデッキプレート２４のいずれの実施例においても、該デッキプレート ２４は、厚さ約0.794±．025mmとすることが好ましいが、用途及び荷重条件によ っては他の厚さでもよい。このように、本発明は、シリンダブロックの上部デッ キを約0.794mmだけ面削りするか皿繰り加工し、面削りされた部分の代わりにシ リンダライナーフランジとシリンダ部との間にデッキプレート２４を固定するこ とだけで、さらにシム調整する必要なく、適用することができる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．シリンダブロック（18）のシリンダボア（28）内に取り付けられたシリンダ ライナー（30）を有し、該シリンダライナー（30）がフランジ付き取り付け面（ 32）を有し、該取り付け面が前記シリンダブロック（18）の対応する取り付け面 （29）に受けられて固定された内燃機関（12）において、前記シリンダブロック （18）の前記取り付け面（29）がロックウエルＣスケールで約25から約60までの 範囲の硬度を有することを特徴とする内燃機関（12）。 ２．請求の範囲第１項に記載した改良であって、 前記シリンダブロック（18）は、該シリンダブロック（18）の前記取り付け面 （29）を形成する硬化されたプレート（24）を備え、前記硬化されたプレート（ 24）が前記シリンダライナー（30）と前記シリンダブロック（18）の間に固定さ れたことを特徴とする改良。 ３．請求の範囲第２項に記載した改良であって、前記硬化されたプレート（24） がロックウエルＣスケールで約50の硬度を有することを特徴とする改良。 ４．請求の範囲第３項に記載した改良であって、前記シリンダブロック（18）は 鋳鉄で形成され、前記硬化されたプレート（24）は鋼から形成されたことを特徴 とする改良。 ５．請求の範囲第４項に記載した改良であって、前記硬化されたプレート（24） は加工硬化されたことを特徴とする改良。 ６．請求の範囲第５項に記載した改良であって、前記シリンダブロック（18）は 上部デッキ面（26）を有し、前記シリンダライナー（30）は該シリンダライナー （30）のフランジ付き取り付け面を形成するフランジ付き端部（32）を有し、前 記硬化されたプレート（24）は、前記上部デッキ面（26）と前記フランジ付き端 部（32）との間に固定されたことを特徴とする改良。 ７．シリンダヘッド（16）と、 シリンダボア（28）を備えるシリンダブロック（18）と、 前記シリンダボア（28）内に取り付けられ、前記シリンダブロック（18）の 上に延びるフランジ付き端部（32）を備えるシリンダライナー（30）と、 前記シリンダライナー（30）の前記フランジ付き端部（32）と前記シリンダ ブロック（18）との間において前記シリンダボア（28）のまわりに配置された硬 化された環状プレート（24）と、 からなり、 前記硬化された環状プレート（24）と前記シリンダライナー（30）の前記フ ランジ付き端部（32）は前記シリンダヘッド（16）と前記シリンダブロック（18 ）との間に固定されたことを特徴とする内燃機関（12）のためのシリンダヘッド ジョイント（10）。 ８．請求の範囲第７項に記載したシリンダヘッドジョイント（10）であって、 前記シリンダヘッド（16）と前記シリンダブロック（18）の上部デッキ面（ 26）の間に固定され、前記シリンダライナー（30）の前記フランジ付き端部（32 ）を受けるようになったシリンダライナー貫通穴（38）を備えるスペーサプレー ト（14）を有し、 前記上部デッキ面（26）は、前記シリンダボア（28）のまわりに皿繰り部（ 40）を備え、前記硬化された環状プレート（24）は前記上部デッキ面（26）とほ ぼ面一になるように前記皿繰り部（40）に受け入れられ、前記シリンダライナー （30）の前記フランジ付き端部（32）は前記シリンダライナー貫通穴（38）に受 け入れられて前記シリンダヘッド（16）と前記硬化されたデッキプレート（24） との間に固定されたことを特徴とするシリンダヘッドジョイント（10）。 ９．請求の範囲第８項に記載したシリンダヘッドジョイント（10）であって、前 記硬化された環状プレート（24）は、ロックウエルＣスケールで約25から約60ま での範囲の硬度を有することを特徴とするシリンダヘッドジョイント（10）。 10．請求の範囲第９項に記載したシリンダヘッドジョイント（10）であって、前 記硬化された環状プレート（24）は、ロックウエルＣスケールで約50の硬度を有 することを特徴とするシリンダヘッドジョイント（10）。 11．請求の範囲第１０項に記載した改良であって、前記硬化された環状プレート （24）は加工硬化されたことを特徴とする改良。 12．請求の範囲第７項に記載したシリンダヘッドジョイント（10）であって、 前記シリンダライナー（30）の前記フランジ付き端部（32）を受けるための シリ ンダライナー貫通穴（38）を備えるスペーサプレート（14）を有し、 前記硬化された環状プレート（24）は前記スペーサプレート（14）の形状に 対応する形状を有しており、前記スペーサプレート（14）と前記硬化された環状 プレート（24）とは、前記シリンダヘッド（16）と前記シリンダブロック（18） の前記上部デッキ面（26）の間に固定されたことを特徴とするシリンダヘッドジ ョイント（10）。 13．請求の範囲第１２項に記載したシリンダヘッドジョイント（10）であって、 前記硬化された環状プレート（24）は、ロックウエルＣスケールで約25から約60 までの範囲の硬度を有することを特徴とするシリンダヘッドジョイント（10）。 14．請求の範囲第１３項に記載したシリンダヘッドジョイント（10）であって、 前記硬化された環状プレート（24）は、ロックウエルＣスケールで約50の硬度を 有することを特徴とするシリンダヘッドジョイント（10）。 15．請求の範囲第１４項に記載した改良であって、前記硬化された環状プレート （24）は加工硬化されたことを特徴とする改良。 16．シリンダボア（28）を形成するシリンダブロック（18）と前記シリンダボア （28）に取り付けられるシリンダライナー（30）とを備え、前記化ライナー（30 ）は前記シリンダブロック（18）の上に延びるフランジ付き端部（32）を備える 内燃機関（12）を製造又は修理する方法であって、 前記シリンダボア（28）のまわりで前記シリンダブロック（18）に所定の深 さまで皿繰り部（40）の機械加工を行ない、 前記所定の深さに対応する所定の厚さを有し、ロックウエルＣスケールで約 25から約60までの範囲の硬度を有する環状プレート（24）を得、 前記環状プレート（24）を前記皿繰り部（40）に配置し、 前記シリンダライナー（30）を、前記フランジ付き端部（32）が前記環状プ レート（24）の上に延びるような状態で前記シリンダボア（28）内に配置し、 前記シリンダライナー（30）の前記フランジ付き端部（32）を前記環状プレ ート（24）に固定する、 ことを特徴とする方法。 17．シリンダヘッド（16）と、上部デッキ面（26）及び前記上部デッキ面（26） から延 びるシリンダボア（28）を備えるシリンダブロック（18）と、該シリンダボア（ 28）に取り付けられるシリンダライナー（30）と、前記シリンダヘッド（16）と 前記上部デッキ面（26）の間に固定されるスペーサプレート（14）とを有し、前 記スペーサプレート（14）はシリンダライナー貫通穴（38）を備え、前記シリン ダライナー（30）は、前記シリンダライナー貫通穴（38）に受け入れられて前記 上部デッキ面（26）上に延びるフランジ付き端部（32）を備える内燃機関（12） を製造し又は修理する方法であって、 前記上部デッキ面（26）を所定の深さだけ機械加工し、 前記スペーサプレート（14）の形状に対応する形状と前記所定深さに対応す る所定の厚さを有し、ロックウエルＣスケールで約25から約60までの範囲の硬度 を有するデッキプレート（24）を得、 前記デッキプレート（24）を前記上部デッキ面（26）上に配置し、 前記スペーサプレート（14）を前記デッキプレート（24）上に配置し、 前記シリンダライナー（30）を、前記フランジ付き端部（32）が前記シリン ダライナー貫通穴（38）内に受け入れられ前記デッキプレート（24）上に延びる ような状態で前記シリンダボア（28）内に配置し、 前記スペーサプレート（14）と前記デッキプレート（24）とを前記シリンダ ヘッド（16）と前記上部デッキ面（24）の間に固定し、前記シリンダライナー（ 30）の前記フランジ付き端部（32）を前記シリンダヘッド（16）と前記デッキプ レート（24）の間に固定する、 ことを特徴とする方法。