JPH08507208A - 腎臓atp−依存性ナトリウムチャンネルをコードするヒトdna配列 - Google Patents

腎臓atp−依存性ナトリウムチャンネルをコードするヒトdna配列

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JPH08507208A
JPH08507208A JP6518999A JP51899994A JPH08507208A JP H08507208 A JPH08507208 A JP H08507208A JP 6518999 A JP6518999 A JP 6518999A JP 51899994 A JP51899994 A JP 51899994A JP H08507208 A JPH08507208 A JP H08507208A
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ビエンコウスキ,マイケル・ジェローム
グロッピ,ビンセント・エドワード,ジュニア
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ジ・アップジョン・カンパニー
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、膜またはレシピエント細胞系に対しカリウムチャンネル活性を与えるタンパク質をコードするヒトDNA組成物に関する。該DNA組成物は、カリウムチャンネルタンパク質をコードする構造遺伝子、該構造遺伝子を含有する発現および複製のプラスミドまたはべクターならびにそれらの遺伝子を発現する宿主細胞を包含する。また、カリウムチャンネル調節活性につき化合物をスクリーニングする方法も記載する。

Description

【発明の詳細な説明】 腎臓ATP−依存性ナトリウムチャンネルをコードするヒトDNA配列発明の背景 1.発明の分野 本発明は、膜またはレシピエント細胞系に対しカリウムチャンネル活性を与え るタンパク質をコードするヒトDNA組成物に関する。該DNA組成物は、カリ ウムチャンネルタンパク質をコードする構造遺伝子、該構造遺伝子を含有する発 現および複製のプラスミドまたはベクターならびにそれらの遺伝子を発現する宿 主細胞を包含する。また、カリウムチャンネル調節活性につき化合物をスクリー ニングする方法も記載する。 2.関連する技術の記載 ホー,ケイ(Ho,K)らによる「クローニング・アンド・エクスプレッショ ン・オブ・アン・インワードリー・レクティファイイング・エイティピイ・レギ ュレイティッド.ポタシウム・チャンネル(Cloning and expression of an in wardly rectifying ATP-regulated potassium channel)」、ネイチャー(N ature)(1993年3月4日)、第362巻、31−38頁。そこでは、ラッ ト腎臓の外部髄質の内部ストライプ(inner stripe)由来のATP調節カリウム チャンネルタンパク質をコードする遺伝子について記載されている。 チャンディー,ケイ(Chandy,K)らによる1992年2月20日公開のWO 92/02634、PCT/US91/05168。そこでは、MK3として公知 の遺伝子産物、Tリンパ球中に存在する電位依存性で型のカリウムチャンネル タンパク質について記載されている。 ハーポルド,エム(Harpold,M)らによる1992年2月20日公開のWO 92/02639、PCT/US91/05625。そこでは、細胞表面タンパク 質の活性を調節する化合物を同定する転写アッセイについて記載されている。ま たレポーター遺伝子、転写調節エレメント、およびカリウムイオンチャンネルと なりうる外来性の細胞表面タンパク質をコードするDNAを含有する細胞につい て も記載されている。 ルツンスキー,エム(Luzdunski,M)による「カリウムチャンネル:構造− 機能の相関、多様性および薬理学(Potassium Channels:Structure-Function Re lationships,Diversity,and Pharmacology)」、カーディオバスキュラー・ドラ ッグズ・アンド・セラピー(Cardiovascular Drugs and Therapy)、(1992 )、第6巻、312−319頁。ここでは、カリウムチャンネルに関する一般的 な記載および情報が記載されている。 3.背景 細胞膜のイオンチャンネルは、イオン流動が起こる基本的な部位である。現代 における薬物−チャンネル相互作用の研究は、プロカインおよびコカインにより 引き起こされるイカ軸索のナトリウム(Na+)、およびカリウム(K+)チャン ネルの遮断を証明するために電位差クランプ技術(voltage clamp technique) が用いられた時に開始された(ナカハシ(Nakahashi)、アナルス・オブ・ノイ ロロジー(Ann Neurology)、(1984);16(suppl):S39−S51頁 )。 本発明はカリウムチャンネルに関する。薬理学的および物理化学的な研究によ り、数多くの哺乳動物細胞の形質膜においてカリウム選択性の孔を形成する複数 サブタイプの膜イオンチャンネルが存在することが明らかとなった。これらカリ ウムチャンネルの薬理学的および電気生理学的な性質の比較からそれらの開閉特 性におおいに基づく種々のサブタイプのグループ分けの操作上の定義が明らかに されてきた。 電位差で開閉するカリウムチャンネルは膜ポテンシャルの変化を検知し、この 細胞膜ポテンシャルの変化に反応してカリウムイオンを通過させる。リガンドに より開閉するカリウムチャンネルは、カルシウム、ナトリウム、ATPまたは脂 肪酸(特にアラキドン酸)を包含する低分子量エフェクターによって調節される (ラツンスキー(Lazdunski)によるカーディオバスキュラー・ドラッグズ・ア ンド・セラピー(Cardiovascular Drugs and Therapy)、(1992)、第6巻 、313−319頁)。これらのチャンネルタンパク質がカリウムイオンを選択 的に移動させるという共通の性質を有するにもかかわらず、それらが異なった生 物物理 学的、生物化学的および薬理学的な性質を有することは、それらが異なった遺伝 子によってコードされる異なった遺伝子産物であることを示唆している。 ATP−感受性、またはATPにより開閉するカリウムチャンネルは、細胞の その電気的な興奮に細胞の生物エネルギー状態がリンクしている重要なクラスの チャンネルである。該チャンネルは高い細胞内ATP濃度によって遮断され、A TPが減少すると開孔する(ラツンスキー(Lazdunski)(1992))。元来 ATPにより開閉するカリウムチャンネルは心臓組織に存在すると記載されてい た(ノマ,エイ(Noma,A)、ネイチャー(Nature)、第305巻、147−1 48頁)が、その後これらが膵臓β−細胞(クック(Cook)ら、ネイチャー(Na ture)、(1984)、第311巻、271−273頁);血管平滑筋(vascula r smooth muscle)(ネルソン,エム・ティー(Nelson,M.T.)ら、アメリカ ン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー(Am.J.Physiol.)、(1990)、第 259巻、C3−C18頁)および腎臓の肥大上行性肢(thick ascending limb )(ワン,ダブリュー(Wang,W)ら、アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジ オロジー(Am.J.Physiol.)、(1990)、第258巻、F244−F253 頁))に存在することが記載されている。 カリウムチャンネルタンパク質についてのモレキュラークローニングの研究か らいくつかの知見が得られているが、電位差により開閉するファミリーのカリウ ムチャンネルのメンバーに関してだけである。これらの電位差により開閉するフ ァミリーのカリウムチャンネルタンパク質をコードする種々の遺伝子は、Shaker 、ShawおよびShab遺伝子座の全てから由来のショウジョウバエ遺伝子を用いてク ローン化されている(ウェイ,エイ(Wei,A)ら、サイエンス(Science)、( 1990)、第248巻、599−603頁)。 リガンドにより開閉するファミリーのカリウムチャンネルタンパク質のメンバ ーを、電位差により開閉するカリウムチャンネルの公知の配列に基づくプローブ を用いてクローン化する全ての公知の試みは失敗している。これらのカリウムチ ャンネルの電気生理学的および薬理学的な特性を一緒にすると、これらの結果に より、ATPにより開閉するカリウムチャンネルタンパク質が電位差により開閉 す るカリウムチャンネルをコードする遺伝子とは異なる遺伝子によってコードされ ることがさらに確認される。これらの結果は、電位差感受性のカリウムチャンネ ルと、ATPにより開閉するカリウムチャンネルをコードするそれぞれの遺伝子 間で相同性がほとんどまたは全くないことを示している。 ラット腎臓カリウムチャンネルをコードするcDNAが、ラット腎臓の肥大上 行性肢からサイズ−分画したmRNAを用いた発現クローニングにより単離され ている。卵母細胞で発現させると、この遺伝子によりコードされるタンパク質が 、ATPにより開閉するカリウムチャンネルの顕著な特徴を全てではないが多く 示す(ホー,ケイ(Ho,K)ら、ネイチャー(Nature)、第362巻、31−3 8頁(1993年3月4日))。 本発明は、初めて成功したヒト腎臓ATP開閉カリウムチャンネル遺伝子およ び関連するカリウムチャンネル遺伝子のクローン化を記載する。これらの重要な 遺伝子のクローニングは、潜在的な薬物ターゲットの同定、特徴付けおよびクロ ーニングを可能にする系への重要なチャンネルタンパク質の生産を可能とするで あろう。本発明は、大容量の機械スクリーニングの開発を包含し、それにより生 化学研究用の物質生産の適当な系を作ることが可能となるであろう。 テトロドトキシンの高選択性およびナトリウムチャンネル遮断作用の発見によ り、イオンチャンネルの研究に、特定の化学物質をプローブとして用いる広範な 興味が涌き起こされた(ナラハシ(Narahashi)(1984))。本発明は、他 の重要な生理学的物質を発見させうる重要なカリウムチャンネルを提供する。発明の要約 本発明は、ヒトカリウムATP開閉チャンネルタンパク質をコードする機能性 cDNAクローンおよびその誘導体の最初の単離を特徴とする。本発明は、以下 のことを記載している。図1〜5に示される配列を有するヒト腎臓ATP開閉カ リウムチャンネルおよび関連するカリウムチャンネルをコードする単離DNAお よびその選択された誘導体。図1〜5のDNA分子からなる種々のベクターおよ びその選択された誘導体。図1〜5のDNA分子からなる種々のプラスミドおよ びその選択された誘導体。細菌細胞、酵母細胞または哺乳動物細胞の中での発現 に適応するベクターおよびプラスミド。図1〜5のベクターおよびプラスミドま たはそれらの選択された誘導体を含有する細菌、酵母または哺乳動物細胞を用い て、ヒト腎臓ATP開閉カリウムチャンネル活性および関連するカリウムチャン ネル活性を調節する化合物をスクリーニングする方法。 また本発明は、K−8、K−11もしくはK−12と命名されたクローンから の、またはその自明な変形から選択された誘導体からの図1、2、3、4または 5で示した配列を有するか、K−8、K−11またはK−12と命名されたクロ ーンまたはその明らかな種々の変形から選択される誘導体からの配列を有するか 、表1に示されたN末端タンパク配列をコードするDNAを有するか、あるいは K−2、K−6、K−8、K−11もしくはK−26と命名されたクローンから の配列および表1には示されていないが図1〜5に示されている残りのDNAを 有するか、あるいは図1〜5に示したDNAによってコードされたタンパク質、 または図6または表1に示されているタンパク質のいずれかの欠損を含めた約最 初の26個のN末端アミノ酸のいずれかをコードするDNAを有するヒト腎臓カ リウムチャンネルタンパク質をコードする単離されたDNA分子、またはその前 記DNA分子のいずれかに90%相同のDNA分子を提供する。 また、本発明は、前記のごとき哺乳動物細胞を用いて、ヒト腎臓カリウムチャ ンネル活性を調節する化合物をスクリーニングする方法をも請求する。該方法は 以下の:a)クローン化K+チャンネルを発現する細胞を密集するまで増殖させ 、b)a)の細胞を平衡塩溶液で平衡化し、c)平衡化細胞のベースライン測定 を行い、d)一のテスト化合物またはテスト化合物のカクテルを該細胞に添加し て、膜ポテンシャルの変化を記録し、e)野生型上にまたは偽トランスフェクト した対照株上にK+を発現する細胞を脱分極化させる化合物をテストして選択性 を確立し、f)選択的なK+遮断を示す化合物を選択する工程からなる。図面の簡単な説明 図1. cDNAクローンK26によりコードされるオープン・リーディング ・フレームの翻訳である。 図2. cDNAクローンK26−プラスによりコードされるオープン・リー ディング・フレームの翻訳である。 図3. cDNAクローンK11によりコードされるオープン・リーディング ・フレームの翻訳である。 図4. cDNAクローンK11−プラスによりコードされるオープン・リー ディング・フレームの翻訳である。 図5. cDNAクローンK−8によりコードされるオープン・リーディング ・フレームの翻訳である。 図6. ヒト腎臓K−ATPチャンネル蛋白質のアミノ酸配列図である。 図7A−7F.アフリカツメガエル(Xenopus oocytes)で発現されるK−8、 K11およびK26チャンネルの全ての細胞の記録である。 図8A−8F.アフリカツメガエル(Xenopus oocytes)で発現されるK−8、 K11およびK26チャンネルのカリウム選択性である。 図9. ACASサイトメーター(cytometer)で分析されるK26Kxチャン ネルを一時的に発現しているCOS 7細胞のBaCl2誘導脱分極である。 図10. ACASサイトメーター(cytometer)で分析されるK26 Kxチャ ンネルで安定に発現しているヒト胎児腎臓(HEK 293)細胞のBaCl2 誘導脱分極である。 図11. ACASサイトメーター(cytometer)で分析されるROMK1 KX チャンネルで一時的に発現しているCOS 7細胞のBaCl2誘導脱分極であ る。 図12. ACASサイトメーター(cytometer)で分析されるROMK1 Kx チャンネルを安定に発現しているCOS 7細胞のグリブリド(Glyburide)誘 導脱文極である。 図13A−13C.FLIPRで分析されたA10細胞のKCl依存性脱分極で ある。好ましい具体例の記載 本発明は、機能性カリウムATP開閉チャンネルタンパク質をコードするヒト DNAのクローニングおよび単離に関する。一の具体例において、本発明は、イ オンチャンネル研究用の発現系としてのアフリカツメガエル(Xenopus laevis) 卵細胞を用いることにより立証されるごとくヒトカリウムATP開閉チャンネル タンパク質をコードする機能性cDNAクローンをまず単離することよりなる。 細胞表面に機能性ヒトカリウムATP開閉チャンネルを発現する哺乳動物および 細菌細胞系を、薬理学的および生理学的な方法を用いることによって決定し記載 する。かくして、このATP開閉チャンネルタンパク質ファミリーの特殊なメン バーを研究する初めての明確な細胞系を確立した。もう1つの具体例において、 これらのヒトカリウムATP開閉チャンネルは、大容量スクリーニング操作する のを示す。 定義.本明細書で用いる略語および語句は当業者によく知られたものであろう 。いくつかの語句については、以下の節でさらに十分に記載する。 I.機能性ヒトカリウムチャンネルDNAクローンの単離 1.ラット腎臓cDNA PvuII/BamHI断片の単離 (出典明示して本明細書の一部とみなす)ホー,ケイ(Ho,K)らの方法(「 クローニング・アンド・エクスプレッション・オブ・アン・インワードリー・レ クティファイング・エイティーピー−レギュレーティッド・ポタシウム・チャン ネル(Cloning and expression of an inwardly rectifying ATP-regulated potassium channel)」、ネイチャー(Nature)、第362巻、31−38頁( 1993年3月4日))を用いて、プラスミドpSPORTに組み込んだROM −K1と命名したラット腎臓ATP−カリウムチャネルcDNAを得る。プラス ミドpSPORT由来のこのラット腎臓ATP−カリウムチャンネルcDNAを 制限エンドヌクレアーゼPvuIIおよびBamHIで完全に消化する。ROM−K1 の完全なオープン・リーディング・フレームを含有する得られた1.3キロベー スのインサートDNAを、分取用アガロースゲル電気泳動により精製する。 2.ラット断片の放射性同位元素標識 単離したラット腎臓cDNA PvuII/BamHI断片を、DNAポリメラーゼI のクレノーフラグメントの存在下にα−32P−dATPおよびランダムヘキサマ ーを用いて放射性同位元素標識する。 3.ヒトK−チャンネルcDNAを含有する組換えバクテリオファージの単離 バクテリオファージ・ベクター ラムダgt10中のヒト腎臓cDNAライブ ラリーをイー・コリ(E.coli)C600 hf1-株に感染させ、400,00 0の独立した組換え体を寒天板にプレートする。寒天板のレプリカをナイロン膜 に調製し、変性ファージDNAを焼付けによりフィルター上に固定化させる。該 レプリカナイロンを緩衝液中でプレハイブリダイズさせて非特異的な結合サイト をブロックし、次いで、ROM−K1の32Pランダムプライマー標識PvuII/Ba mHI断片とハイブリダイズさせる。次いで、65℃にて該フィルターを0.3M NaCl/0.1%SDSで洗浄する。フィルター上の放射活性を、増感紙と一 緒に−70℃でオートラジオグラフィーに付して測定する。レプリカ上の陽性バ クテリオファージを寒天板から単離し、前記のホー(Ho)によるネイチャー(Na ture)の文献に記載のごとく希釈平板および再スクリーニングによりクローン化 する。 4.クローン化ファージ保存株からのバクテリオファージDNAの調製 前記の工程3.からのハイブリダイセーション陽性クローンのクローン化バク テリオファージ保存株を用いて、イー・コリ(E.coli)に感染させ、次いでD NAを単離することによって、バクテリオファージDNAを調製する。イー・コ リ(E.coli)培養をクローン化ファージで感染させ、バクテリオファージ粒子 のポリエチレングリコール沈澱、続いてのバクテリオファージ外皮タンパク質の 破壊を組み合わせて感染培養からバクテリオファージDNAを単離する。この方 法で調製したバクテリオファージDNAをEcoRIで消化してcDNAインサー トを得る。遊離したインサートcDNAの大きさは、アガロースゲルでサイズ分 画して測定する。次いで、分画したcDNAを毛管現象によってナイロン膜に移 し、前記のごとき、ROM−K1の32P−PvuII/BamHI断片へのハイブリダ イゼーションおよびオートラジオグラフィーにより相同配列を検出する。 5.選択したバクテリオファージDNAの配列決定 異なったEcoRI制限酵素切断パターンを有するクローンから調製したバクテ リオファージDNAを選抜し、次いで、サイクル・ジデオキシ鎖停止反応により 塩基配列を決定する。該ジデオキシ鎖停止法では、ユナイテッド・ステイツ・バ イオケミカルズ社(United States Biochemicals)(オハイオ州、クリーブラン ド(Cleveland,OH))から入手可能なシークエナーゼ(SEQUENASE (TM))法および製品を用いることができる。その後に、反応生成物を変性ゲル で分離し、分画されたDNAバンドをオートラジオグラフィーで検出し、ゲルを マニュアルで判読する。 6.代替ヒトK−ATPチャンネルDNAのクローニング DNA配列分析により、全cDNA中に含有され、代替5’配列に挟まれた共 通のコア−エキソンが明らかにされた。さらに、これらの代替5’配列を、逆転 写酵素/ポリメラーゼ鎖反応の(RT/PCR)増幅およびcDNA末端の5’迅 速増幅(RACE)分析の組み合わせを用いて各々の転写産物につき転写開始部 位をマッピングすることによって特徴付けた。分けられたコア・エキソン配列( HROM4)に相補的な合成オリゴヌクレオチド・プライマーならびにMMLV 逆転写酵素を用いてヒト腎臓全RNAを逆転写させた。次いで、cDNA産物を 、アンカー・プライマー(5’RACE)またはK26 cDNAの5’非翻訳 配列に特異的なプライマー(HROM−10)の一方を用いてPCR増幅させた 。これによりK−8、K11、K11+、K26およびK26+という5つの異な ったcDNAを単離した。該PCR産物をプラスミドベクターにサブクローニン グし、前記のごとく両鎖の完全な塩基配列を決定した。バクテリオファージcD NA配列ならびにRT−PCRおよび5’RACE産物の両配列の組合せを用い てK−8、K11、K11+、K26およびK26+cDNAの完全な塩基配列を 割り当てた(図1〜5)。 7.クローンおよび該クローンの選択した誘導体の選択 該K26クローンのDNA配列は、389アミノ酸残基のタンパク質をコード する一本鎖オープン・リーディング・フレームを含有し、これは1つの重要な相 違を有してラット腎臓ROM−K1カリウムチャンネルに対しかなりの配列同一 性を示す。N−末端ドメインに見い出される実際のアミノ酸残基、最初の26ア ミノ酸、特に最初の10アミノ酸は、ラット配列の分析から通常予測されるよう なものとは驚くべきかつ予期せぬ相違を示す。タンパク質の形質膜への挿入の前 に細胞内の空間に存在するN−末端アミノ酸残基は、ラットの配列から予想され るよりも大きなダイバージェンス、すなわち、同一および同様なチャンネルタン パク質で見い出される高い相同性を前提とすると、予想されていたよりもさらに 高いダイバージェンスを示す。 K−8cDNAが、ラット腎臓ROM−K1チャンネルと同じ長さであるヒト 種の相同物をコードしていることに注意されたい。ROM−K1をK−8と比較 した場合、重要なアミノ酸の相違があり、それに相当するDNAは異なるが、ラ ットおよびヒトの双方は同様な異なったアミノ酸末端を有する。意義深いことに は、K11、K−11+、K26、K26+、および本発明者らがK2およびK− 6と呼ぶ他の2つのK+チャンネルタンパク質は、この重要な領域に異なった ならびに異なったのアミノ酸を有する。この相違は、ラットの配列のみを前 提としても、予期されなかったものである。 異なったヒトアミノ酸末端の配列を以下の表1に示す: かくして、K2は、ROM−K1より8残基少ない配列を有し、一方K−6は 、ROM−K1より7残基多い配列を有する。これらの最初の26または同様な N−末端アミノ酸は、タンパク質の最も重要な多様性領域であり、該タンパク質 の残りの部分は高い相同性を有している。このN−末端領域における相違は、タ ンパク質の機能的な相違となりうることが研究から示されている。本明細書で開 示したラットROM−K1およびK8は、ほとんどもしくは全くATP阻害を示 さ ない。内因性のK+チャンネルは、ATPによって阻害される。従って、他の変 異物のうちの1つがATP阻害を示すということはありうる。K11は腎臓の肥 大上行性肢の中で最も豊富に存在するタンパク質のようである。腎臓では、機能 的なK+チャンネルがATPにより阻害され、よってタンパク質変異物をATP による阻害のテストにかけ、ATPにより阻害されるタンパク質をK+遮断剤の スクリーニングに用いることは論理的であろう。他の機能的な相違は、他のN− 末端配列と関連しうる。 これらの全ヒトタンパク質配列、それらをコードするDNA、それらの自明な 変異物、少なくとも90%の相同性が期待される以外は保存的置換が可能なそれ らの相同配列は、本明細書に記載した発明として包含される。最初の26または 同様なN−末端配列、もしくはそれらの不存在または欠損は非常に重要であるが 、配列中のいずれの位置にも保存性の置換が予想され、これらの全ては本発明に 包含される。 II.ヒトカリウムチャンネルDNAを組み込む適当なベクターの調製 1.pGEM7ベクター a.クローン・コーディング配列の調製 ラムダDNAをKpnI/AccI、Xho/AccIまたはMunIで各々制限酵素消化し てK−8、K11およびK26クローンのオープン・リーディング・フレームを 得る。該DNA断片を分取用アガロースゲル電気泳動で精製する。 b.クローンのプラスミドベクターへの導入 該K−8、K11およびK26 cDNA断片をpSP64−ポリA(K−8 およびK11)またはpGEM7(K26)のどちらか一方のマルチ・クローニ ング・サイトにサブクローニングして、K−8/pSP64、K11/pSP64 またはpGEM7/K26をそれぞれ得る。 2.pSVL/K26ベクター a.pGEM7/K26プラスミドを制限エンドヌクレアーゼXhoIおよびBa mHIで二重消化し、得られた断片を分取用アガロースゲル電気泳動で精製する 。 b.単離したK26のXhoI/BamHI断片を一時的な発現ベクター(transien t expression vector)pSVLにサブクローニングして発現プラスミドpSV L/K26を得る。 3.pCEP4ベクター a.K26の全コーディング配列を含有するXhoI/BamHI断片を、発現ベ クターpCEP4にサブクローニングして発現ベクターpCEP/K26を得る 。 4.pMEPベクター a.K26の全コーディング配列を含有するXhoI/BamHI断片を、発現ベ クターpMEPにサブクローニングして発現ベクターpMEP/K26を得る。 5.pMAL2c/K26ベクター a.K26の全コーディング配列を、適当な制限エンドヌクレアーゼ認識部位 を含有するプライマーを用いてポリメラーゼ鎖反応(PCR)に付し、発現に適 用させる。 b.構築したPvuII/BamHI PCR断片を細菌発現ベクターpMAL2cに サブクローニングする。 c.該PCR産物の一体化を、ジデオキシ鎖停止法を用いたDNA塩基配列決 定により確認する。 6.pYESIベクター a.K26の全コーディング配列を、適当な制限エンドヌクレアーゼ認識部位 を含有するプライマーを用いてポリメラーゼ鎖反応(PCR)に付し、発現に適 用させる。 b.構築したNOTI PCR断片を細菌発現ベクターpYESIにサブクロ ーニングする。 c.該PCR産物の一体化を、ジデオキシ鎖停止法を用いたDNA塩基配列決 定により確認する。 III.ヒトカリウムチャンネルDNAクローンによりコードされるタンパク質 の発現 1.COS7細胞におけるK26クローンの一時的な発現 a.pSVL/K26発現プラスミドおよびカチオン性リポソームDOTAP を用いてCOS7細胞をトランスフェクトする。このカチオン性リポソームは、 ベーリンガー・マンハイム社(Boehringer Mannheim)(インディアナ州、イン ディアナポリス(Indianapolis,Indiana))から入手可能である。機能的な発 現は、転写分析により確認し、機能的な発現は、トランスフェクトした細胞の静 止状態の膜ポテンシャルに対するBa2+の効果を測定することにより光学的にモ ニターする。以下の「実施例」を参照せよ。 2.卵母細胞におけるK26クローンの一時的な発現 a.K−8、K11およびK26クローンの卵母細胞発現 i.卵母細胞におけるpSP64ポリA系 1.pSP64ポリAベクターをEcoRIで完全に消化し、その産物をクレ ノー・ポリメラーゼを用いて満たす。満たすための反応による平滑末端産物をN otIリンカーと連結し、NotIで消化してNotIサイトを生成させる。 2.K−8、K11およびK26 pSP64ポリAプラスミドDNAをNo tIで消化して直鎖化し、分取用ゲル電気泳動により精製する。 3.BamHI−消化pGEM7/K26鋳型から、SP6 RNAポリメラー ゼを用いてセンスcRNAを合成し、同反応において5’末端をキャップ化する 。 4.キャップ化cRNAをアフリカツメガエルの卵母細胞にマイクロインジ ェクションし、72時間発現させる。 5.全細胞および脱着パッチ記録モード(detached patch recording mode )での電気生理学的な測定によるマイクロインジェクションの72時間後にカリ ウムチャンネル活性をモニターする。以下の「実施例」を参照せよ。 3.哺乳動物細胞におけるK26DNAクローンの安定した発現 a.K26の、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、アフリカミドリザル 腎臓細胞(COS)、ヒト胎児腎臓細胞およびマウスL−細胞での発現 i.pCEP/K26およびpMEP/K26ベクター発現系 1.pMEP/K26およびpCEP/K26発現プラスミドならびにカチオ ン性リポソームDOTAPを用いてチャイニーズハムスター卵巣、COS、ヒト 胚児腎臓細胞およびマウスL−細胞をトランスフェクトする。 2.ハイグロマイシンBの存在下に該細胞を培養して安定したトランスフェ クタントを選抜する。安定したクローン化細胞系を数回サブクローニングしてク ローンの継代性を確実とする。トランスフェクトした細胞におけるK26の発現 は、K26転写産物の分析(ノーザンブロッティング分析およびRT−PCR) および機能アッセイを用いて確認する。後者のアッセイは、Ba2+添加後にレポ ーター染色剤DiBACを用いて膜ポテンシャルの変化を光学的に測定して行う 。また、K26の発現も電気生理学的な方法により測定する。以下の「実施例」 を参照せよ。 4.細菌細胞におけるK26DNAクローンの安定した発現 a.pMAL2c/K26系 i.DH5aを含有するpMAL2c/K26プラスミドの発現の誘導は、対 数増殖期の培養にIPTGを添加することにより誘導する。 ii.所望のタンパク質生成物の発現は、誘導した培養から単離した細菌細胞 のSDS−PAGE分析により確認する。 iv.ヒトカリウムチャンネルDNAクローンによりコードされるタンパク質に 基づく発現系を用いたバイオアッセイ この節では、ヒト腎臓ATP開閉カリウムチャンネルおよび関連のカリウムチ ャンネルを発現する細菌細胞、酵母細胞および/または哺乳動物細胞を用いて、 ヒト腎臓ATPカリウムチャンネル活性を調節する化合物をスクリーニングする 方法ならびに操作について記載する。 K26で安定してトランスフェクトした哺乳動物細胞をマルチウェル組織培養 皿の中で増殖させる。選択する組織培養皿は、96ウェルである。他の培養皿を 用いることもできる。K26を発現する哺乳動物細胞の膜ポテンシャルは、電位 差感受性の蛍光色素を用いて光学的に測定する。選択する色素は、ビス(1,3 -ジブチルバルビツール酸)トリメチンオキソノール(DiBAC4(3))であ る。また、他の電位差感受性の色素を用いることもできる。膜ポテンシャルの変 化は、高いバックグラウンドの非細胞性蛍光に対する細胞性蛍光の変化を測定す ること により検知する。全ウェル蛍光ではなく、細胞に関連する蛍光を測定する。一時 に全96ウェルにおいて、高いバックグラウンドの非細胞性蛍光に対する細胞性 蛍光の変化を測定することが可能な96ウェルプレート・リーダーを用いるのが さらによい膜ポテンシャルの変化を測定する系である。ノベルテック社(Novel Tech)(ミシガン州、アン・アーバー(Ann Arbor,Michigan))で製造され、販 売されているレーザーシステムFLIPRもかかる系の一つである。スクリーニ ングは、K26を発現する細胞に剤を添加することから構成される。K26を遮 断する剤は細胞を脱分極化させる。K26を活性化させる剤は細胞を過分極化さ せる。特異性はいくつかの方法により決定する。特異性の最初のテストは、目的 の剤が偽トランスフェクトした細胞の膜ポテンシャルを調節するか否かを確認す ることである。これらの細胞として、K26をクローン化しているがK26遺伝 子産物を発現しないベクターが含有される。特異性の他のテストとして、目的の 剤が他のK+チャンネル活性を調節するか否かを確認することが含まれる。 本発明は、前記の記載から当業者に容易に評価され理解されよう。以下の「詳 細な実施例」では、本発明実施の最良条件の詳細を提供し、さらに十分に完成発 明を説明する。それらは、本発明を限定するものではない。詳細な実施例 I.機能性ヒトカリウムチャンネルDNAクローンの単離 1.ラット腎臓cDNA PvuII/BamHI断片の単離 ホー,ケイ(Ho,K)らにより記載されている方法(「クローニング・アンド ・エクスプレッション・オブ・アン・インワードリー・レクチファイイング・エ イティーピー・レギュレイティド・ポタシウム・チャンネル(Cloning and expr ession of an inwardly rectifying ATP-regulated potassium channel)」、 ネイチャー(Nature)、第362巻、31−38頁(1993年3月4日))を 用いて、ROM−K1と命名したラット腎臓ATP−カリウムチャンネルcDN Aを得る。プラスミドベクターpSPORT中のROM−K1 cDNAを、ア ンピシリン選抜下にイー・コリ(E.coli)DH5a株にて継代する(マニアティ ス(Maniatis)ら、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)、コー ルド・ スプリング・ハーバー研究所(Cold Spring Harbor Laboratory)、1982) 。精製したプラスミドDNAを、制限エンドヌクレアーゼPvuIIおよびBamHI で二重消化し、得られたROM−K1の全オープン・リーディング・フレームを 含有する1.3キロベースの断片を、分取用アガロースゲル電気泳動およびその 後の単離断片の電気溶出により精製した。 2.ラット断片の放射性同位元素標識 1.3キロベースの制限断片である、単離したラット腎臓cDNA PvuII/Ba mHIを、DNAポリメラーゼIのクレノーフラグメントの存在下にα−32P− dATPおよびランダムヘキサマーを用いて放射性同位元素で標識した(エイ・ ピー、ファインバーグ(A.P.Feinberg))およびビー、フォーゲルシュタイン (B.Vogelstein)、アナリティカル・バイオケミストリー(Anal.Biochem.)、 第137巻、266頁(1984))。 3.ヒト陽性バクテリオファージの調製 クローンテック社(Clonetech)(カリフォルニア州、パロ・アルト(Palo Al to,California))から購入したバクテリオファージベクター ラムダgt10 の中のヒト腎臓cDNAライブラリーをイー・コリ(E.coli)C600hf1- 株に感染させ、400,000の独立した組換え体を寒天板にプレートする。寒 天板のレプリカをナイロン膜に調製し、焼付けによってファージDNAをフィル ター上に固定化させる。レプリカナイロンを緩衝液中でプレハイブリダイドさせ て、非特異的な結合サイトをブロックし、次いで前記のごとく標識した32P−標 識 PvuII/BamHI断片とハイブリダイズさせる。次いで、該フィルターを65 ℃にて0.3M NaCl/0.1%SDSで洗浄する。フィルター上の放射活性の 座標は、増感紙を用いた−70℃におけるオートラジオグラフィーにより検出す る。一次スクリーニングから62個のレプリカ陽性(replicate positive)を同 定し、これら各々のレプリカ陽性を限界希釈、次いで寒天培地上での反復プレー トならびに前記のごとき32P−標識ROM−K1プローブでの再スクリーニング およびオートラジオグラフィーによりクローン化する。 4.クローン化ファージ保存株からのバクテリオファージDNAの調製 バクテリオファージDNAは、イー・コリ(E.coli)に感染させ、次いでD NAを単離することによって、前記工程3からの陽性クローンのクローン化ファ ージ保存株から調製する。クローン化保存株からのバクテリオファージで感染し たイー・コリ(E.coli)培養を用い、溶菌させ、次いでポリエチレングリコー ルで沈澱させ、バクテリオファージ外皮蛋白を破壊させることによりバクテリオ ファージDNAを調製する(マニアティス(Maniatis)ら、モレキュラー・クロ ーニング(Molecular Cloning)、コールド・スプリング・ハーバー研究所(Col d Spring Harbor Laboratory)、1982)。精製したバクテリオファージラム ダDNAをEcoRIで分解して分画化cDNAを得る。アガロースゲル上でサイ ズ分画して、遊離したインサートcDNAの大きさを測定する。次いで、分画化 cDNAを毛管作用によりナイロン膜に移して、前記のごとき32P−PvuII/Ba mHI断片へのハイブリダイゼーションおよびオートラジオグラフィーにより相 同性配列を検出する(サザン,イー(Southern,E)、モレキュラー・バイオロ ジー(Mol.Biol.)、第98巻、503頁(1975))。相同性DNA配列は 、ROM−K1コーディング配列の種々の部分由来の32P−標識DNA断片とハ イブリダイズさせ、次いで前記のごとく軽く洗浄することにより検出する。次い で、単一のハイブリダイゼーションパターンを示すファージDNAをDNA配列 分析に付す。 5.選抜したバクテリオファージDNAの塩基配列決定 異なったEcoRI制限酵素パターン(restriction pattern)を示すクローン からのバクテリオファージDNAを選抜し、次いでサイクル・シークエンシング ジデオキシ−鎖停止反応(パーキン・エルマー−セータス社(Perkin Elmer-Ce tus)(コネチカット州、ノーウォーク(Norwalk,Connecticut))製、アンプリ タック・キット(AmpliTaq kit))を用いてバクテリオファージDNAから直接 各々のバクテリオファージのDNA配列を決定する。反応生成物を1メーターの 変性ポリアクリルアミドゲル上で解像し、次いで分画化DNAをオートラジオグ ラフィーにより検出する。次いで、DNA配列をマニュアルで判読する。 6.ヒト腎臓転写物5’末端のマッピング ヒトの腎臓のライブラリーから単離されたバクテリオファージのcDNAの塩 基配列の分析により、種々の5’末端配列に融合した共通のコア エキソンが明 らかにされた。これらのcDNAを生じさせる転写物を、さらにK−チャンネル の転写物のポリメラーゼ鎖反応(RT−PCR)と結び付けた逆転写酵素による cDNA合成によって解析した。第一鎖のcDNA合成は、オリゴdTとMML V逆転写酵素(ベセスダ・リサーチ・ラボラトリーズ,ガイセルバーグ、メリー ランド(Bethesda Research Laboratories,Gaitherburg,Maryland))を用い て起点としヒト腎臓全RNA鋳型を用いてなされた。第一鎖cDNA産物の一部 を、K−8またはK11/K26のcDNAのいずれかに特異的な5’末端のオ リゴヌクレオチド・プライマーと組み合わせ、コアーエキソン(HROM−4) に特異的な、共通の3’末端オリゴヌクレオチドプライマーを用いて、PCRに より増幅した。これらのPCR増幅の反応物を、アガロースゲル電気泳動で、大 きさにより分別し、電気溶出により回収した。おのおのの個々の断片を、DNA ポリメラーゼIのクレノーフラグメントを用いて平滑末端化し、T4ポリヌクレ オチドキナーゼを用いてリン酸化し、SmaI消化したpUC19にサブクロー ン化した。おのおののサブクローン化したPCR産物の塩基配列を、シーケナー ゼTM(SEQUENASETM)、(ユナイテッド・ステイツ・バイオケミカルズ 、クリーブランド、オハイオ州(United States Biochemicals,Cleveland,Ohi o))を用いてジデオキシ鎖停止法により決定した。合成cDNA配列をこのc DNA配列とRT−PCR産物から得られた配列の組み合わせにより構築し、こ れは図2に示される。本発明者らの分析によりヒトの腎臓中の5個の別個の転写 物が明らかとされた。 7.クローンの選択. ヒト腎臓RNAから単離した5個の別個の転写物によってコードされるオープ ン・リーディング・フレームの翻訳により、これらは潜在的にヒト腎臓KATPチ ャンネルタンパク質の、三種のアミノ末端の変種をコードすることが示された。 おのおのの転写物は二つの前述した膜貫通ドメイン、すなわちシェイカーK−チ ャンネルH5ドメイン(Shaker K-channel H5 domain)と、予測される一つの A TP結合部位に対し、注目すべき相同性を示す領域、の存在を含む、全てのKAT P チャンネルタンパク質であることの証明を備えた蛋白質をコードしていた。ク ローンK−8は、92%以上がラット腎臓ROM−K1に同一である391アミ ノ酸タンパク質をコードする1173塩基対のオープン・リーディング・フレー ムを含んでいた。クローンK26は、アミノ末端(10アミノ酸残基)が完全に 別個である以外は、K−8に同一である389アミノ酸残基の蛋白質をコードす る単一のオープンーリーディング・フレーム(1167塩基対)を含んでいた。 最終的に、クローンK11、K11+およびK26+のすべてが同じ372残基の チャンネルタンパク質をコードしており、これはそれぞれK−8およびK26か らの、アミノ末端の19または17残基を欠失したK−8またはK26のアミノ 末端の不完全な形であった。 それそれのDNA配列を哺乳動物細胞での発現(pCEPまたはpMEP)、 卵母細胞での発現(pSP64−ポリA)、細菌での発現(pMAL2c)また は酵母での発現(pYES)のためのベクターで発現させるために開発し、それ ぞれの構築物を適当な宿主で、種々のヒト腎臓KATPチャンネルを発現するため に用いた。 8.クローンの精製. K26ラムダDNAを制限エンドヌクレアーゼMunIで消化し、1.3キロ ベースの断片を分取用アガロースゲル電気泳動で精製した。 II.ヒトのカリウムチャンネルDNAを組み込んだ適当なベクターの調製 1.pGEM7ベクター. 1.3キロベースのMunI制限酵素断片を、プラスミドベクターpGEM 7のEcoRIサイトにサブクローンした。 cRNAキャッピング. pGEM7/K26プラスミドをBamHIで線状にした。線状にしたプ ラズミドを次いで転写し、T7RNAポリメラーゼを用いて、7MeGppp5 ’Gでキャップした。 2.pSVL/K26ベクター. pGEM7/K26プラスミドをXhoIお よびBamHIで二重消化し、得られた断片をpSVLにサブクローンしてpS VL/K26を得た。 3.pCEP4ベクター. K26のXhoI/BamHI断片をプラスミドベクターpCEPにサブ クローンして、pCEP/K26を得る。 4.pMEPベクター. K26のXhoI/BamHI断片をプラスミドベクターpMEPにサブ クローンして、pMEP/K26を得る。 II.ヒトのカリウムチャンネルDNAクローンによりコードされる蛋白質の発 現. 1.COS 7細胞におけるK26クローンの一時的な発現. pGEM7/K26プラスミドを、制限エンドヌクレアーゼXhoIおよびB amHIで完全に消化し、K26のコーディング配列を含む1.3kbの断片を 分取用アガロースゲル電気泳動で単離した。この断片をプラスミドベクターpS VLに連結し、連結による生成物をコンピテントなイー・コリ(E.coli) DH5αの細胞を形質転換するのに用いた。pSVL/K26発現プラスミドを 適当なクローンから調製し、精製したpSVL/K26プラスミドDNAを、カ チオン性リポソーム・DOTAP(ベーリンガー・マンハイム、インディアナポ リス、インディアナ(Boehringer Mannheim,Indianapolis,Indiana))を用い て、COS 7細胞を形質転換するのに用いた。チャンネル活性をトランスフェ クション後、48〜72時間検出した。 2.哺乳動物細胞におけるK26 DNAクローンの安定な発現. a.K26のチャイニーズ ハムスター卵巣(CHO)、アフリカミドリザル の腎臓の細胞(COS)、ヒト胚児腎臓およびマウスL−細胞での発現。 i.pCEP/K26またはpMEP/K26の発現プラスミドを、カチオン 性リポソーム・DOTAPを用いて、COS 7細胞あるいはヒト胚性腎臓細胞 (239細胞)をトランスフェクトするのに用いた。トランスフェクト後20時 間で、細胞を、トランスフェクトされていない細胞を殺すために0.15〜0. 5mgのハイグロマイシンBで処理した。おのおののセルラインはシングル・セ ル・クローニングによって単離した。 3.K−8、K11およびK26cRNAの、アフリカツメガエル卵母細胞にお ける機能的発現 . われわれは、アフリカツメガエルの卵母細胞における発現によって、K−8, K11およびK26ポリペプチドの電気生理学的特性を実験した。ポリアデニル 化したcRNA(100ng/μl溶液の45nl)を卵母細胞に注入し、48 〜72時間発現させた。K−8、K11、またはK26に注入後48時間後に、 卵母細胞はそれぞれ、−90.08±1.90mV(n=9)、−97.2±0m V(n=1)、および−88.75±0.45mV(n=2)の静止膜電位を示し 、これは比較的変化せず第三日には87.89±1.57mV(n=7)および− 93±0.79mV(n=7)および−88.4±2.11mV(n=4)であっ た。水を注入した対照の卵母細胞は、約−40mVの平均静止膜電位を示した。 ROM−K cRNAを注入した卵母細胞の、かなりさらに負の電位は、これら のチャンネルの機能的発現によっており、これらの値は推量されるKのグラジエ ント(2mM細胞外/100mM細胞内)から計算したK平衡電位に近い。 電流を、発現しているK−8,K11およびK26のcRNAを発現している 卵母細胞を用いて、二つの微小電極による電気固定法の方法により記録し、結果 を図7A−Fに示す。図7A,7Bおよび7Cには、それそれK−8,K11お よびK26を注入した卵母細胞からの50mM外部K+中で記録した典型的な電 流の記録を示す。図7D,7Eおよび7Fにおいて、Y軸はマイクロアンペアで の電流であり、X軸はミリボルトでの膜電位である。この対応するI−Vの関係 を、図7D,7Eおよび7Fにおいて中抜き丸で示す。全ての場合において、保 持電位−20より正の電位での電流は外部へ向かっており、−20mVより負の 電位での電流は内部に向かっていた。内部へ向かう電流の振幅は常に外部へ向か う電流の振幅より大きく、これは内方への整流を起こしていた。 これらのクローン化したチャンネルの電流の活動のタイムコースは、二つの異 なったフェーズで似ている:急速な、ほとんど瞬間的なフェーズと、それに続く ゆっくりした、時間に依存したフェーズである。一度活性化されると、電流はど ちらの方向でも衰退したり不活性化させたりしない。1mMのBa2+は、選択的 に、K−8で最も顕著な、時間と電圧に依存した方法で、内部電流を妨げる(図 7D,7E,および7F、黒丸)。Ba2+による阻害は、流出に次いで逆転する (図7D,7Eおよび7F、中抜き四角)。外方電流に対するBa2+の効果の欠 失は、外部に移動する、競合するK+イオンによって、そのチャンネル結合部位 からのBa2+の”ノック−オフ”効果を示唆するであろう。 チャンネルのK+選択性を考察するために、外部のKCl濃度を5mMから1 00mMに増加させ、コリン Clを、重量オスモル濃度を維持するために置換 した。図8A〜8Fに示される結果は、K−8,K11およびK26についての 逆転電位(Erev)と、外部K+濃度の間の関係を説明する(それぞれ図8A,8 Bおよび8C)。図8A〜8Cにおいて、Y軸はミリボルトでの逆転電位(Ere v )であり、X軸はミリモーラーでのカリウム濃度である。このデータはネルン ストの関係に適合し、K−8に対しては57.87mV、K11に対しては57. 45mV,K26に対しては53.53mVの、K+濃度の10の位当たりの変化 の傾きを生じ、この全てが室温におけるK+選択的電極に対する理論的な値であ る58mVの中にあった。 内方に整流したカリウムチャンネル中の膜コンダクタンス、gkは、[K+0 が上昇するにつれて増加する。膜コンダクタンス、gkと、[K+0との間の関 係は、 gk=C[K+0 z で表され、ここでCは比例定数であり、[K+0はmMで表される外部のK+の 濃度であり、Zはべき指数因子である。本発明者らは、これらのチャンネルの傾 きのコンダクタンスを、5、10、25、50および100KCl(mMで)を 含む溶液中で測定し、その結果を図8D,8E,および8Fに、それぞれK−8 ,K11,K26について示した。図8D,8E,および8Fにおいて、Y軸は g/gmaxであり、X軸は[K+0である。チャンネルコンダクタンスと外部[ K+]との関係は、非線形であり、高[K+]では減少する。K−8,K11,K 26 のそれぞれに対するZの値の平均値は、0.396±0.05(n=5)、0.3 83±0.097(n=5)、および0.488±0.01(n=4)である。こ れらの結果は、内方へ整流するチャンネルを通ってのK+イオンの浸透は、独立 の法則から外れており、これはチャンネル内でのイオン−イオン相互作用が起こ っていることを意味するという結論をさらに支持する。 4.哺乳動物細胞における、チャンネル活性の光学上の測定. 本発明者らは、また哺乳動物細胞における瞬間的な、また安定なトランスフェ クションの双方におけるK26の機能的発現を実験した。最初に、K26のK+ チャンネルの発現の機能的発現を、電圧に感受性の染料と、細胞内の蛍光での変 化を記録するための器械を用いて決定した。選択した染料はビス(1,3−ジブ チルバルビツール酸)トリメンチン オキソノール)DiBAC4(3)である 。他の、電圧に感受性の染料を用いることもできた。膜電位の変化を光学的に測 定するために、細胞をカバーグラスのチャンバー上で継代培養し、密集するまで 増殖させた。分析の直前に、細胞を20mM Hepes(EBSS−H)でp H7.4に緩衝化したアールの平衡塩類溶液で数回洗浄し、次いで5μM Dibac4(3)を含む同緩衝液に入れた。膜電位の蛍光イメージングを、細 胞を5μMのDibac4(3)で37℃において15分間平衡化し、次いでレ ーザーを基礎とする、イメージング・サイトメーター(ACAS570,メリデ ィアン インスツルメンツ(Meridian Instruments))の台に据え付けた35 ℃に温度を制御したミニ−インキュベーターに入れた後に行った。ACAS 5 70は、細胞をアルゴンイオンレーザーを用いて488nmで励起するよう作ら れている。蛍光の放射を、535nmにおいて、495nmのLPジクロイック ラーと、525nmを中心とする10nmのバンドを通すフィルターを用いて集 めた。全ての場合において、データをACASソフトウェアの内部にある動的プ ログラム(Kinetic program)を用いて少なくとも25分間、毎60秒ごとに集 めた。蛍光の変化をアップジョン・ラボラトリーズ(Upjohn Laboratories)で 開発した記号論理学のモデルを用いて計算した。対照の実験によって、ジメチル スルホキシドやエタノールのごとき溶媒の添加は0.8%(v/v)までの濃度 では効果がないことが確認された。エップスら(Epps et.al.)による以前の研 究(ケミストリー・アンド・フィジックス・オブ・リピッズ(Chemistry and Physics of Lipids)、出版中 1944年)によって、光学的膜電位の分析 が定量的であることを示している蛍光の変化と膜電位の変化の間の線形の関係を 確認した。他のイメージング機器および/またはスペクトロフルオロメーターも また、膜電位における変化を光学的に測定するのに使用できる。 K26の場合について、第三章(3)のデータは、異種発現させたK26のK+ チャンネルは、開く確率が非常に高いことを示す。これらのデータにより、K 26のK+チャンネルを発現する細胞にもしK+チャンネル阻害剤を添加すると、 チャンネルを発現する細胞の膜電位は、脱分極することが予測される。図9のデ ータによりこの予測が確認される。図9〜12Bにおいて、RFと示されるY軸 は、相対蛍光であり、Tと示されるX軸は、分(min)での時間である。グリ ブリドやグリピジド等の化合物(例えば図12Aや12B)を細胞の溶液に添加 する場合、当該添加は7分に等しい時間で行った。図9のデータは、1mMのB a++を、一時的にK26K+チャンネルを発現している(中抜き三角;図9)C OS 7細胞に添加した時(矢印;図9)、膜電位は脱分極することを確実にし た。ホー(Ho)らの以前の研究によって、内方に整流するK+チャンネルの、K 26クラスをBa++が阻害することが確立されている。1mMのBaCl2を野 生型のCOS 7細胞に添加したとき(矢印;図9)、膜電位に対しほとんど効 果がない(黒丸;図9)。これらのデータによって、野生型COS 7細胞は、 Ba++感受性のイオンチャンネルを発現せず、かくして、それらをK+チャンネ ル発現の研究のための優れた感受性のある細胞にすることが示される。K26 K+チャンネルはまた哺乳動物細胞でも安定に発現され得る。図10でのデータ に示されるように、3mM BaCl2(矢印;図10)をK26 cDNAで トランスフェクトしたHEK 293細胞に添加したとき(中抜き三角;図10 )、膜電位は脱分極した。この実験で、K26を発現しているHEK 293細 胞は、16回継代し、これはK26が安定に発現したことを示す。3mMのBa Cl2(矢印;図10)を野生型HEK 293細胞に添加したとき(黒丸; 図10)、膜電位に対し効果がなかった。電気生理学的研究により、光学的膜電 位の分析からの結論が確認される。これらを一緒にすると、これらのデータは、 哺乳動物細胞においてこのチャンネルを発現した時に、K26 K+チャンネル 活性を阻害する新しい化学的実在を見い出すのに、光学的膜電位分析を用いるこ とができることを示す。 5.K26 K+チャンネル活性を阻害する薬剤についての、大量スクリーニ ングの開発 本発明者らは、K26 K+チャンネル活性を阻害する新しい化学的実在を見 い出すために、大量スクリーニングを開発してきた。このスクリーニングの鍵と なる特徴は、K26または関連したカリウムチャンネルタンパク質を発現してい るCOS 7またはHEK 293細胞を脱分極する、新しい化学的実在を見い 出すために、第三章(4)で述べた光学的膜電位の分析を用いることである。ス クリーニングで用いる最も良いK+チャンネルタンパク質は、そのATPに対す る感受性のために、K11タンパク質であるであろうことに注意するべきである 、[第一章、第七部の、実験の詳細の、クローンの選択と選択した誘導体を参照 ]。この開示されたクローンの全てと最初のほぼ30あるいはアミノ酸の自明な 変種とは、K+チャンネル阻害剤をスクリーニングするために用いられるであろ うということが予想される。選択的にするためには、K26(またはK11等) K+チャンネルを発現している細胞を脱分極する薬剤は、野生型の細胞あるいは 偽トランスフェクトした対照細胞に対してほとんどないしは全く効果を示しては ならない。逆に、もし、K26(またはK11等)K+チャンネルを発現するか 否かにかかわらず、COS 7およびHEK293の両細胞を脱分極する新しい 化学的実在が見い出されれば、この新しい化学的実在はK26(あるいはK11 等)につき選択性を持たないと結論されるであろう。かくして、K+の阻害の選 択性は、K26(またはK11等)を発現しているか、あるいはしていない同一 細胞タイプの対の比較により判定されるであろう。この方法では、膜電位の変化 の非特異的測定を用いて、選択的にK26(またはK11等)K+活性を阻害す る新しい化学的実在を見い出すことができる。 選択の操作。図11に示されるデータは、ROMK1 K+チャンネルを、一 時的にCOS細胞で発現させた時(黒丸;図11)、2mMのBaCl2の添加 (矢印;図11)は、膜電位の脱分極を引き起こすことを示す。2mMの BaCl2の添加(矢印;図11)は、野生型COS 7細胞にほとんど効果を 示さなかった(中抜き丸;図11)。これらのデータは、ROMK1およびK2 6の両K+チャンネルが、Ba++に感受性であることを示す。さらに、本発明者 らは、KATPチャンネルを阻害することが知られているスルホニル尿素である1 00μMのグリブリドの添加(矢印;図12A)が、ROMK1 K+(中抜き 三角;図12A)を安定に発現しているCOS 7細胞の脱分極を引き起こすこ とを見い出した。100μMのグリブリドの野生型COS 7への添加(黒丸; 図12A)は、過分極を起こした。これらのデータは、グリブリドがCOS 7 細胞で発現しているROMK1チャンネルを阻害していることを示す。薬理学的 選択性を決定するために、本発明者らはグリブリドに密に関連する他のスルホニ ル尿素の効果も実験した。図12Bのデータは、100μMのグリピジドの添加 (矢印;図12B)は、ROMK1 K+チャンネルを発現しているCOS 7 細胞の膜電位に対して全く効果も持たないことを示す(黒丸;図12B)。それ に加え、100μMのグリピジドの添加(矢印;図12B)は、野生型COS 7細胞の膜電位に全く効果も持たなかった(中抜き三角;図12B)。これらの データを合わると、光学的膜電位分析は、異種発現されたK+チャンネルと特異 的に相互作用する化学的系列の中の化合物を見い出すことができることを例証し ている。 K26または(K11)K+活性を選択的に阻害する新しい化学的実 在を迅速にスクリーニングするために、本発明者らはFLIPR(ノーベルテッ ク、アン・アーバー、ミシガン州(NovelTech,Ann Arbor,MI))と呼ばれる 、新しく開発された96ウェルの蛍光イメージング・プレート・リーダーを用い た。この機器は、おのおのの96ウェルのマイクロテストプレートの各ウェル中 の膜電位の変化を、同時に、光学的に測定できる[図13A参照]。溶媒の対照 をA10 平滑筋細胞に添加したとき(7分;図13A)、膜電位にはほとんど 効果を持たない(図13Aの全ての線)(A10 平滑筋細胞はジ・アメリカン ・タイ プ・ティッシュー・コレクション(The American Type Tissue Collection )、ATCC番号 CRL−1476)から入手可能である)。図では示されて いないが、図13A、13Bおよび13CのY軸は、最大の反応のパーセントを 示し、X軸は時間(分)で表わされる時間(T)を示す。3mMのKClを5m M KCl中で増殖しているA10 平滑筋細胞に添加したとき(7分;図13 B)、膜電位での小さいが、統計上有意な変化があった(図13Bの全ての線) 。30mMのKClをA10 平滑筋細胞に添加したとき(7分;図13C), 膜電位に大きな変化があった(図13Cの全ての線)。 このデータは、光学的膜電位の分析が、細胞の膜電位を変える薬剤を検出する のに使用できることをはっきりと示している。光学的スクリーニングの方法は、 光学的膜電位の分析とFLIPRとを、COSおよびHEK 293で発現され たK26(またはK11)K+チャンネルの活性を阻害する新しい化学的実在を 見い出すために用いることである。要約すると、このスクリーニングは以下の工 程に従って操作できる: 1)クローン化されたK26(またはK11)K+チャンネルを発現している 細胞を、密集するまで96ウェルのマイクロテストプレートで増殖させる。2) 細胞を、20mM HEPESを含むアールの平衡塩類溶液中の5μM DiB AC4(3)で平衡化する。3)それぞれのウェルのベースラインの測定を記録 する。4)一つの試験化合物あるいは試験化合物のカクテルをそれぞれのウェル に添加し、膜電位の変化を記録する。5)次いで、K26を発現している細胞を 脱分極する化合物を、野生型あるいは偽トランスフェクトした対照に対し試験し て選択性を確立する。6)K26を選択的に阻害することが示された化合物を動 物モデルで利尿効果を試験することになる。 このスクリーニングの方法で、1カ月あたり5000以上の化合物を分析でき る。 配列表 (1)一般的情報: (i)出願人:ジ・アップジョン・カンパニー(The Up john Company)、 マイク・ジェイ・ビエンコウスキ(Mike J.Bienkowski)、 ビンス・イー・グロッピ,ジュニア(Vince E.Groppi,Jr.) (ii)発明の名称:腎臓ATP−依存性ナトリウムチャンネルをコードする ヒトDNA配列 (iii)配列の数:5 (iv)対応する住所: (A)住所:アップジョン・コープラット・インタレクチュアル・プロパ ティー・ロー(Upjohn Corporate Intellectual Property Law)(1920-32-1) (B)通り:ヘンリエッタ・ストリート301番(301 Henrietta Street ) (C)市:カラマズー(Kalamazoo) (D)州:ミシガン(Michigan) (E)郵便番号:49001 (v)コンピュータ判読形態: (A)ミディアム・タイプ:フロッピー・ディスク (B)コンピューター:アイビーエム・ピィシィ・カンパタブル (IBM PC Compatible) (C)オペレーティング・システム:PC−DOS/MS−DOS (D)ソフトウェア:パテンティン・リリース #1.0(Patentin Release #1.0)、バージョン #1.25(Version #1.25) (vi)当該出願の情報: (A)出願番号:US (B)出願日: (C)分類: (vii)優先する出願のデータ: (A)出願番号:US 08/021,616 (B)出願日:1993年2月19日 (viii)代理人の情報: (A)氏名:ウートン,トマス・エイ(Wootton,Thomas A) (B)登録数:35,004 (C)リファランス/ドキット番号:4750.1CP (ix)電気通信情報: (A)電話:616 385−7914 (B)テレファックス:616 385−6897 (C)テレックス:224 401 UPJOHN (2)配列番号:1 (i)配列特性: (A)配列の長さ:1740塩基対 (B)配列の型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:cDNA to mRNA (iii)ハイポセティカル配列:No (iv)アンチセンス:No (v)フラグメント型:N-末端フラグメント (vi)起源: (A)生物名:ホモ・サピエンス(Homo sapiens) (vii)直接の起源: (A)ライブラリー名:ヒト腎臓cDNA (B)クローン名:K26 (viii)配列:配列番号1 (3)配列番号:2 (i)配列特性: (A)配列の長さ:1832塩基対 (B)配列の型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:cDNA to mRNA (iii)ハイポセティカル配列:No (iv)アンチセンス:No (v)フラグメント型:N−末端フラグメント (vi)起源: (A)生物名:ホモ・サピエンス(Homo sapiens) (vii)直接の起源: (A)ライブラリー名:ヒト腎臓cDNA (B)クローン名:K26P (viii)配列:配列番号2: (4)配列番号:3の情報 (i)配列特性: (A)配列の長さ:1671塩基対 (B)配列の型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:cDNA to mRNA (iii)ハイポセティカル配列:No (iv)アンチセンス:No (v)フラグメント型:N−末端フラグメント (vi)起源: (A)生物名:ホモ・サピエンス(Homo sapiens) (vii)直接の起源: (A)ライブラリー名:ヒト腎臓cDNA (B)クローン名:K11 (xi)配列:配列番号3: (4)配列番号:4の情報 (i)配列特性: (A)配列の長さ:1703塩基対 (B)配列の型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:cDNA to mRNA (iii)ハイポセティカル配列:No (iv)アンチセンス:No (v)フラグメント型:N−末端フラグメント (vi)起源: (A)生物名:ホモ・サピエンス(Homo sapiens) (vii)直接の起源: (A)ライブラリー名:ヒト腎臓cDNA (B)クローン名:K11P (xi)配列:配列番号4: (5)配列番号:5の情報 (i)配列特性: (A)配列の長さ:1591塩基対 (B)配列の型:核酸 (C)鎖の数:一本鎖 (D)トポロジー:直鎖状 (ii)配列の種類:cDNA to mRNA (iii)ハイポセティカル配列:No (iv)アンチセンス:No (v)フラグメント型:N−末端フラグメント (vi)起源: (A)生物名:ホモ・サピエンス(Homo sapiens) (vii)直接の起源: (A)ライブラリー名:ヒト腎臓cDNA (B)クローン名:K8 (xi)配列:配列番号5:
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C12N 5/10 C12P 21/02 9452−4B //(C12N 1/19 C12R 1:865) (C12N 5/10 C12R 1:91) (C12N 5/00 B C12R 1:91) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G B,GE,HU,JP,KP,KR,KZ,LK,LU ,LV,MG,MN,MW,NL,NO,NZ,PL, PT,RO,RU,SD,SE,SK,UA,US,U Z,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. K−8、K−11もしくはK−12と命名されたクローンからの、または その自明な変形から選択された誘導体からの図1、2、3、4または5で示した 配列を有するか、K−8、K−11またはK−12と命名されたクローンまたは その明らかな種々の変形から選択される誘導体からの配列を有するか、表1に示 されたN末端タンパク配列をコードするDNAを有するか、あるいはK−2、K −6、K−8、K−11もしくはK−26と命名されたクローンからの配列およ び表1には示されていないが図1〜5に示されている残りのDNAを有するか、 あるいは図1〜5に示したDNAによってコードされたタンパク質、または図6 または表1に示されているタンパク質のいずれかの欠損を含めた約最初の26個 のN末端アミノ酸のいずれかをコードするDNAを有するヒト腎臓カリウムチャ ンネルタンパク質をコードする単離されたDNA分子、またはその前記DNA分 子のいずれかに90%相同のDNA分子。 2. クローンK26を記載し、図1に示す配列、または図1とほぼ同一の配列 、または図1からの自明な変形配列を有し、請求項1のヒト腎臓カリウムチャン ネルをコードする請求項1記載の単離したDNA分子、またはその90%相同性 DNA分子。 3. クローンK26−プラスを記載し、図2に示す配列、または図2とほぼ同 一の配列、または図2からの自明な変形配列を有し、請求項1のヒト腎臓カリウ ムチャンネルをコードする請求項1記載の単離したDNA分子、またはその90 %相同性DNA分子。 4. クローンK11を記載し、図3に示す配列、または図3とほぼ同一の配列 、または図3からの自明な変形配列を有し、請求項1のヒト腎臓カリウムチャン ネルをコードする請求項1記載の単離したDNA分子、またはその90%相同性 DNA分子。 5. クローンK11−プラスを記載し、図4に示す配列、または図4とほぼ同 一の配列、または図4からの自明な変形配列を有し、請求項1のヒト腎臓カリウ ムチャンネルをコードする請求項1記載の単離したDNA分子、またはその90 %相同性DNA分子。 6. クローンK−8を記載し、図5に示す配列、または図5とほぼ同一の配列 、または図5からの自明な変形配列を有し、請求項1のヒト腎臓カリウムチャン ネルをコードする請求項1記載の単離したDNA分子、またはその相同性DNA 。 7. クローンK−2を記載し、表1のタンパク質配列、または表1に示される 配列とほぼ同一の配列、または表1に示されるK−2のタンパク質配列につきコ ードするDNAの自明な変形、またはその配列に対し90%相同のDNA分子を 有し、かつ図1〜6で示される配列に90%相同の残りの配列を有し、かつRO M−K1もしくはK8のN−末端配列からの、すなわちタンパク質配列MFKH LR等からの20個のアミノ酸で始まる配列で開始する請求項1記載のヒト腎臓 カリウムチャンネルをコードする請求項1記載の単離されたDNA分子。 8. クローンK−6を記載し、表1のタンパク質配列、または表1に示される 配列とほぼ同一の配列、または表1に示されるK−2のタンパク質配列につきコ ードするDNAの自明な変形、またはその配列に対し90%相同のDNA分子を 有し、かつ図1〜6で示される配列に90%相同の残りの配列を有し、かつRO M−K1もしくはK8のN−末端配列からの、すなわちタンパク質配列MFKH LR等からの20個のアミノ酸で始まる配列で開始する請求項1記載のヒト腎臓 カリウムチャンネルをコードする請求項1記載の単離されたDNA分子。 9. 請求項1記載のDNA分子からなるベクター。 10.請求項1記載のDNA分子からなるプラスミド。 11.細菌細胞での発現に適合する請求項9記載のベクター。 12.哺乳動物細胞での発現に適合する請求項9記載のベクター。 13.酵母細胞での発現に適合する請求項9記載のベクター。 14.細菌細胞での発現に適合する請求項10記載のプラスミド。 15.哺乳動物細胞での発現に適合する請求項10記載のプラスミド。 16.酵母細胞での発現に適合する請求項10記載のプラスミド。 17.請求項14記載のプラスミドからなる細菌細胞。 18.請求項15記載のプラスミドからなる単離哺乳動物細胞。 19.請求項16記載のプラスミドからなる酵母細胞。 20.請求項17記載の細菌細胞を用いて、ヒト腎臓カリウムチャンネル活性を 調節する化合物をスクリーニングする方法。 21.請求項18記載の単離哺乳動物細胞を用いて、ヒト腎臓カリウムチャンネ ル活性を調節する化合物をスクリーニングする方法。 22.以下の工程: a)クローン化K+チャンネルを発現する細胞を密集するまで増殖させ、 b)a)の細胞を平衡塩溶液で平衡化し、 c)該平衡化細胞のベースライン測定を行い、 d)一のテスト化合物またはテスト化合物のカクテルを該細胞に添加し、膜ポテ ンシャルの変化を記録し、 e)野生型または偽トランスフェクトした対照に対しK+を発現する細胞を脱分 極化させる化合物をテストして、選択性を確立し、 f)選択的にK+をブロックすることが示される化合物を選択することを特徴と する請求項21記載の方法。 23.以下の工程: a)96穴マイクロプレートでクローン化K8、K11、K26または関連する K+チャンネルを発現する細胞を密集するまで増殖させ、 b)a)の細胞を、20mM HEPESを含有するアール(Earle)平衡塩液 中の5μMのDiBAC4のごとき平衡塩溶液で平衡化し、 c)該平衡化細胞のベースライン測定を行い、 d)一のテスト化合物またはテスト化合物のカクテルを該細胞に添加し、膜ポテ ンシャルの変化を記録し、 e)野生型または偽トランスフェクトした対照に対しK+を発現する細胞を脱分 極させる化合物をテストして、選択性を確立し、 f)選択的にK+をブロックすることが示される化合物を選択することを特徴と する請求項21記載の方法。 24.請求項19記載の酵母細胞を用いて、ヒト腎臓カリウムチャンネル活性を 調節する化合物をスクリーニングする方法。 25.K−8、K−11、もしくはK−12と命名されたクローン、またはその 自明な変形から選択された誘導体からの図1、2、3、4または5に示された配 列を有するか、あるいはK−2、K−6、K−8、K−11、またはK−26と 命名されたクローンからの表1から選択されるN−末端タンパク質配列からのタ ンパク質を有し、かつ、表1には示されていないが、図1〜5に示されている残 りのアミノ酸を有するか、あるいは図1〜5に示されるDNAによってコードさ れる約最初の26個のN末端アミノ酸のアミノ酸、または図6または表1に示さ れたタンパク質、またはその前記DNA分子いずれかに90%相同のDNA分子 からのタンパク質を有するヒト腎臓カリウムチャンネルタンパク質として哺乳動 物細胞で機能する単離されたタンパク質。 26.K−8、K−11もしくはK−12と命名されたクローン、またはその自 明な変形から選択された誘導体、またはその90%相同配列からの図1、2、3 、4、5に示された配列を有するヒト腎臓カリウムチャンネルタンパク質として 哺乳動物細胞で機能する請求項25記載の単離されたタンパク質。 27.K−2、K−6と命名されたクローンからの表1に示されたN-末端タン パク質配列についての該末端タンパク質配列を有し、かつ表1には示されていな いが、図1〜5に示されている残りのアミノ酸を有する哺乳動物細胞で機能する 請求項25記載の単離されたタンパク質。 28.いずれの欠損も含めた、図1〜5に示されたDNAによってコードされた タンパク質の約最初の26個のN末端アミノ酸のいずれかのN−末端タンパク質 配列についての該末端タンパク質、あるいは図6に示したタンパク質、あるいは その前記DNA分子のいずれかに90%相同のDNA分子からのタンパク質を有 する哺乳動物細胞で機能する請求項25記載のタンパク質。
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