JPH08506489A - Plrv感染に耐性の植物 - Google Patents
Plrv感染に耐性の植物Info
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- JPH08506489A JPH08506489A JP6518159A JP51815994A JPH08506489A JP H08506489 A JPH08506489 A JP H08506489A JP 6518159 A JP6518159 A JP 6518159A JP 51815994 A JP51815994 A JP 51815994A JP H08506489 A JPH08506489 A JP H08506489A
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Abstract
(57)【要約】
PLRVレプリカーゼ遺伝子をコードする単離DNA配列が本文中に開示されている。また、植物中でレプリカーゼ遺伝子を発現させることによってウイルス感染に対する耐性を与える方法、並びに、レプリカーゼ遺伝子を含むトランスジェニックなジャガイモ植物及び塊茎も開示されている。
Description
【発明の詳細な説明】PLRV感染に耐性の植物 発明の分野
本発明は植物の遺伝子工学に関する。特に本発明は遺伝的に改変されたウイル
ス耐性植物に関する。発明の背景
農業的に重要な多くの作物は植物ウイルスの感染に感受性である。これらのウ
イルスは作物を激甚に損傷し、栽培業者にとって作物の経済価値を顕著に下落さ
せる。これは最終的に消費者価格の高騰を招く。作物の植物ウイルス感染を防御
または阻止する試みはこれまでにもなされてきたが、未だにウイルス病原体は農
業における重要な問題であり続けている。
最近になって科学者たちは遺伝子工学技術を用いるウイルス耐性植物の生産手
段を開発した。この種の方法は、保護を与える手段が植物自体に取込まれ後代に
継承されるという利点がある。宿主植物が、感染防止能力、ウイルス増殖の阻止
または遅延能力、及び、病状進行の阻止または遅延能力、を有しているとき、宿
主植物は耐性である。「耐性」とは「罹病性」の対語であり、その定義はCoo
per and Jones,1983に記載されている。宿主のウ
イルス耐性には異なるいくつかのタイプが認識されている。即ち、宿主は、(1
)感染の確立、(2)ウイルスの増殖、または、(3)ウイルスの移動、に対し
て耐性を有し得る。
ウイルス病害を防御するためには、ウイルスの複製及び/または感染の過程を
妨害する遺伝子をトランスジェニック植物中で発現させるとよい。コートタンパ
ク質(CP)と呼ばれる植物ウイルスのキャプシドタンパク質が植物中で発現す
るとき、この発現が相同ウイルス及び近縁ウイルスに対する耐性を与え得ること
は既に証明されている(Abelら、1986;Tumerら、1987;Cu
ozzoら、1988;Hemenwayら、1988;Starkら、198
9;Lawsonら、1990;Kaniewskiら、1990)。これらの
研究において、ウイルス病害に対する耐性は、感染発生率の減少、症状進行の遅
延、ウイルス複製もしくはウイルス抗原レベルの低下、または全身的ウイルス移
動の遅延もしくは不在、として定義される。これらのトランスジェニック植物中
のウイルスコートタンパク質の発現は、観察はされたがいまだ未確定のメカニズ
ムによるウイルス病害の減少効果の原因であろう(Abelら、1986;va
n Dunら、1988-
A)。ウイルス感染に対するこの種の防御はコートタンパク質媒介耐性と呼ばれ
る。
コートタンパク質媒介ウイルス耐性が多様な状況において有用であることは立
証されたが、ウイルス耐性を与えるための必ずしも最も効果的な手段ではない。
このような場合においては植物にウイルス耐性を与えるための別の方法も有用で
あろう。ウイルスまたは病害の発生を阻むような別の技術も公表または提案され
ている。これらの例としては、アンチセンスコートタンパク質(Cuzzoら、
1988)、サテライトRNA(Harrisonら、1987)、リボザイム
(Walbotら、1988)、欠陥干渉分子(Morch、1987)、ウイ
ルス非構造遺伝子(Golemboskiら、1990;Braunら、199
2)、抗体(Hiatt、1990)、PRタンパク質(Bolら、1990)
及び抗ウイルスタンパク質(Irvinら、1980)がある。
ウイルス非構造遺伝子の1つであるタバコモザイクウイルス(TMV)の推定
レプリカーゼ遺伝子のフラグメントが、タバコ植物中で発現されたときにTMV
耐性を与えることが最近になって知見された(Golemboskiら、1
990)。TMV中では183キロダルトン(kDa)及び126kDaの2つ
のタンパク質がレプリカーゼ成分であると推測されており、その理由はタバコ植
物中で正常に増殖するために双方のタンパク質の発現が必要なためである(Is
hikawaら、1986)。更に、これらの2つのタンパク質は、他の公知の
RNA依存性RNAポリメラーゼまたはレプリカーゼ遺伝子中でしばしば観察さ
れるNTP結合モチーフ及びGDDドメインのような進化的に保存されたモチー
フを含む(Koonin、1991)。NTP結合モチーフはアミノ酸配列G-
X-X-X-X-G-K-X’であり、Gはグリシン、Xは任意のアミノ酸、X’は通
常はセリン(S)またはトレオニン(T)を示す(Gorbalenyaら、1
988)。GDDモチーフは大きいほうのドメインであり、このドメインの特徴
は、順次に結合したグリシン(G)残基と2つのアスパラギン酸(D)残基とか
ら成る3つの不変残基が存在することである。GDDドメインはしばしばレプリ
カーゼタンパク質中に見出され、触媒機能に関与すると考えられている(Hod
gman、1988)。183kDaのタンパク質は、126kDaの終止コド
ン(TAG)の翻訳読み過し(read-throug
h)によって産生される。126kDaタンパク質はNTP結合モチーフを含む
。183kDaタンパク質はNTP及びGDDの双方のモチーフを含む。耐性を
与えたTMVゲノムの領域は、183kDaの推定レプリカーゼ遺伝子の読み過
し部分であった。この読み過し部分は54kDaのタンパク質をコードする容量
を有している。GDDドメインは54kDa及び183kDaのタンパク質配列
内部に位置している。多年の間、54kDaタンパク質は別の遺伝子産物として
産生されると考えられていた。Golemboskiら(1990)は、この推
定遺伝子の機能を決定するためにこの配列によってタバコを形質転換し、トラン
スジェニック植物がTMVに耐性であるという予想外の知見を得た。126kD
aタンパク質をコードする遺伝子によって形質転換された植物は保護されていな
かった。183kDaの読み過しタンパク質に関しては報告データが全く存在し
なかった。
頭部切除(truncated)形態のレプリカーゼ(GDDドメイン)を発
現させることによって観察される耐性のメカニズムは不明である。最近になって
、TMVの場合には、観察される耐性を得るために54kDaの読み過
しタンパク質(GDDドメイン)を発現させる必要があることが証明された(C
arrら、1992)。
他の研究者らは、非構造ウイルスタンパク質の成分を発現するトランスジェニ
ック植物について保護実験を行った。例えば、van Dunら(1988)は
、アルファルファモザイクウイルス(AlMV)の複製に関与するタンパク質を
コードする2つの遺伝子のいずれかを発現するタバコ植物中の保護を分析した。
タンパク質P1及びP2を夫々コードするAlMVのRNA1またはRNA2に
対するcDNAによってこれらの植物を形質転換した。これらのRNAによって
コードされているポリペプチドP1及びP2は、他のウイルスレプリカーゼに対
してアミノ酸類似性を有しており、双方の存在が複製に必須であることが知られ
ている。AlMVに対するNTP及びGDDモチーフは異なるRNA上に存在し
、従って異なるタンパク質である。より詳細には、P1はNTP結合モチーフを
含み、P2はGDDモチーフを含む。RNA1またはRNA2を発現する植物は
AlMV感染に対して保護されていなかった。また、RNA1及び2の双方を発
現する植物もAlMV感染に対して保護されていなかった(Taschnerら
、199
1)。
Buckら(PCT国際公開WO92/03539)は、植物にウイルス耐性
を与える目的でキュウリのウイルスレプリカーゼの発現または機能を阻止する種
々の技術の使用について記載した。該国際公開に使用または開示された耐性獲得
技術としては、(1)アンチセンス方法(全長レプリカーゼをコードするRNA
に相補性のRNAを発現させ得る);(2)レプリカーゼの3つのウイルスコー
ド成分(ウイルスコードポリペプチドP1a及びP2aとタバコのポリペプチド
P50)の1つに特異的な抗体の産生をコードする遺伝子の発現;及び、(3)
レプリカーゼの成分の1つをコードするRNAに特異的なリボザイムの発現、な
どがある。
ジャガイモ葉巻病ウイルス(PLRV)は、ルテオウイルス(luteovi
rus)グループの植物ウイルスの成員である。PLRVは正のセンスの一本鎖
RNAウイルスである。ウイルス粒子を形成するために、ウイルスRNAはコー
トタンパク質によってキャプシド封入され、ルテオウイルスグループのウイルス
の典型的な特徴である等尺性形態を与える。本発明を適用し得るルテオウイルス
グループ
の他の成員としては、オオムギ黄化ウイルス、インゲンマメ葉巻病ウイルス、ビ
ート西部萎黄病ウイルス、ニンジン赤葉病ウイルス、落花生ロゼット病アシスタ
、インドネシア大豆矮化ウイルス、大豆矮化ウイルス及びタバコネクローシス矮
化ウイルスがある。可能なその他の成員としては、ビート黄化網目ウイルス、セ
ロリ黄化斑点ウイルス、綿青化症ウイルス、filaree赤葉病ウイルス、キ
ビ赤葉病ウイルス、ホオズキマイルド緑化症ウイルス、ホオズキ葉脈発疹症ウイ
ルス、キイチゴ葉巻病ウイルス、タバコ葉脈奇形ウイルス、タバコ黄化網目ウイ
ルス及びタバコ黄化葉脈アシスタなどがある。
PLRV RNAは5’端にゲノム結合タンパク質様ユニットを有し、3’端
はポリA尾部を含まない(Mayoら、1982)。PLRVゲノムRNAはR
NA中間体を介してDNA依存的に複製される。PLRV RNAは6個の読み
取り枠(ORF)を含む(図1)。PLRVゲノムの編制はMartinら(1
990)によって研究されている。ゲノムRNAの5’側半鎖中では、28kD
aのタンパク質をコードする小ORF(ORF1)の後に2つの大ORF(OR
F2a及びORF2b)が続いており、これらは夫々7
0kDa及び67kDaのタンパク質をコードしているであろう。ORF2a及
びORF2bは、他の既知のレプリカーゼ遺伝子との配列類似性に基づいて、推
定レプリカーゼタンパク質をコードすると提唱されている。特に、ORF2a及
びORF2bはNTPドメイン(Habiliら、1989)及びRNAポリメ
ラーゼ(Kamerら、1984)の特徴的モチーフを含む。ORF2bは、レ
プリカーゼタンパク質中にしばしば見出されるGDDモチーフを含み、触媒機能
に関与すると考えられている。以後の記載では、PLRV読み取り枠2a及び2
bを推定レプリカーゼまたはレプリカーゼと呼ぶ。PLRV単離物LR-7 W
ashington中で、ORF2aとORF2bとは579ヌクレオチドだけ
オーバーラップしている。ORF2bにはこの領域のAUG翻訳開始コドンが欠
如しているので、ORF2bはORF2aのリボソームフレームシフトによって
発現されると推測される(Mayoら、1989)。
正常感染サイクルの一部であるマイナス鎖メッセージから転写された2.3k
bのサブゲノムRNAは、ORF3(コートタンパク質(CP)遺伝子)、OR
F4(17kDaの推定核酸結合タンパク質(Tackeら、1991)及び
ORF5(56kDaの読み過しタンパク質、Bahnerら、1990)の翻
訳を担当する。CP遺伝子は、アンバー終止コドン(TAG)によって56kD
aのORFから隔てられている。56kDaのタンパク質が、CP遺伝子のアン
バー終止コドンの抑制によって翻訳されることは判明している(Bahnerら
、1990)。従って、56kDaのORFはTMVの183kDaのタンパク
質と同様の読み過し産物として発現される。
PLRVの宿主域は、ジャガイモ、タバコ、トマト及びコショウを重要成員と
するナス科(Solanaceae)の植物に限定される。本発明を適用し得る
商業的に重要なジャガイモの栽培品種の非限定例としては、Russet Bu
rbank、Shepody、Atlantic、Norchip及びSupe
riorがある。他のルテオウイルスの宿主域はもっと広汎であろう。例えば、
ビート西部萎黄病ウイルスの宿主域は23の双子葉科を含み、以下の作物、即ち
、テンサイ、テーブルビート、ホウレン草、レタス、大豆、ブロッコリー、カリ
フラワー、ラディッシュ、カブ、エンドウ豆、ソラマメ、ヒヨコマメ、アマ、ヒ
マワリ、カラシナ、クローバー、キャベツ、カブハボタン、
セイヨウアブラナ、ハマナ、コショウ、カボチャ、スイカ、キュウリ、トマトな
どを冒す。更に、オオムギ黄化ウイルスの宿主域は、オオムギ、エンバク、コム
ギ、イネ、ライムギのようなイネ科(Gramineae)に限定される。
PLRVはアブラムシによって持続的に伝搬される。ジャガイモ産業における
最も深刻なウイルスの問題は、ジャガイモ作物のジャガイモ葉巻病ウイルス(p
otato leafroll virus;PLRV)感染である。ジャガイ
モのPLRV感染は、ジャガイモ作物の品質及び収量を低下させ、かなりの経済
的損失を生む。Russet Burbank品種のジャガイモでは、塊茎のP
LRV感染症状は「網状壊死(net necrosis)」と呼ばれる篩部壊
死である。ウイルスは主病変として篩部壊死を誘発する(Shepardson
ら、1980)。この壊死は、ジャガイモの加工品質に影響を与え、作物の価値
を下落させ、ジャガイモ栽培業者に経済的な打撃を与える。PLRV感染の結果
として生じた経済的な損失は、全世界のジャガイモ収穫高の約5%にのぼると算
定されている。作物のPLRV感染に対する現行の対策では、ウイルスを伝搬す
るアブラムシを防除するために殺虫剤を使用してい
るが、この防除方法は、費用が高い、環境汚染の危険がある、完全防除はできな
い、などの欠点がある。
上記から理解されるように、種々の植物のジャガイモ葉巻病ウイルス感染は、
今日の農業でぶつかる重要な問題である。従って、現行の方法に代わって使用で
き植物にウイルス耐性を与えるために有効な方法の開発は業界に多大な貢献とな
るであろう。発明の概要
本発明の1つの目的は、
(a)植物細胞中でRNA配列の産生を惹起すべく機能するプロモーター領域と
、
(b)上記プロモーター領域と作動可能に結合し、ジャガイモ葉巻病ウイルスレ
プリカーゼをコードする構造遺伝子と、
(c)上記構造遺伝子と作動可能に結合し、転写の終了及び転写mRNA配列の
3’端へのポリアデニル化リボヌクレオチドの付加を惹起するように植物細胞中
で機能する3’非翻訳領域とを含むDNA分子を提供することである。
本発明の別の目的は、感受性ナス科植物にジャガイモ葉巻病ウイルス感染耐性
を与える方法を提供することであり、方法は、
(a)(i)植物細胞中でRNA配列の産生を惹起すべく機能するプロモーター
領域と、
(ii)上記プロモーター領域と作動可能に結合し、ジャガイモ葉巻病ウイルスレ
プリカーゼをコードする構造遺伝子と、
(iii)上記構造遺伝子と作動可能に結合し、転写の終了及び転写mRNA配列
の3’端へのポリアデニル化リボヌクレオチドの付加を惹起するように植物細胞
中で機能する3’非翻訳領域とを含むDNA分子によって植物細胞を形質転換し
、
(b)分化植物を与えるように上記植物細胞を再生し、
(c)上記ジャガイモ葉巻病ウイルスの感染に対して植物を耐性にすべく十分な
レベルでジャガイモ葉巻病ウイルスレプリカーゼ遺伝子を発現する形質転換植物
を選択する段階を含む。
本発明の更に別の目的は、感受性ナス科植物中のジャガイモ葉巻病ウイルス感
染に由来する網状壊死を抑制する方法を提供することであり、方法は、
(a)(i)植物細胞中でRNA配列の産生を惹起すべく機能するプロモーター
領域と、
(ii)上記プロモーター領域と作動可能に結合し、ジャガイ
モ葉巻病ウイルスレプリカーゼをコードする構造遺伝子と、
(iii)上記構造遺伝子と作動可能に結合し、転写の終了及び転写mRNA配列
の3’端へのポリアデニル化リボヌクレオチドの付加を惹起するように植物細胞
中で機能する3’非翻訳領域とを含むDNA分子によって植物細胞を形質転換し
、
(b)分化植物を与えるように上記植物細胞を再生し、
(c)上記植物葉巻病ウイルスの感染に対して植物を耐性にすべく十分なレベル
でジャガイモ葉巻病ウイルスレプリカーゼ遺伝子を発現する形質転換植物を選択
する段階を含む。
本発明の更に別の目的は、
(a)植物細胞中でRNA配列の産生を惹起すべく機能するプロモーター領域と
、
(b)上記プロモーター領域と作動可能に結合し、ジャガイモ葉巻病ウイルスレ
プリカーゼをコードする構造遺伝子と、
(c)上記構造遺伝子と作動可能に結合し、転写の終了及び転写mRNA配列の
3’端へのポリアデニル化リボヌクレオチドの付加を惹起するように植物細胞中
で機能する3’非翻訳領域とを含むDNA分子をゲノムに含むウイルス耐性の形
質転換ナス科植物を提供することである。
本発明のまた別の目的は、
(a)植物細胞中でRNA配列の産生を惹起すべく機能するプロモーター領域と
、
(b)上記プロモーター領域と作動可能に結合し、ジャガイモ葉巻病ウイルスレ
プリカーゼをコードする構造遺伝子と、
(c)上記構造遺伝子と作動可能に結合し、転写の終了及び転写mRNA配列の
3’端へのポリアデニル化リボヌクレオチドの付加を惹起するように植物細胞中
で機能する3’非翻訳領域とを含むDNA分子をゲノムに含むウイルス耐性の形
質転換ナス科植物細胞を提供することである。
本発明のその他の目的、特徴及び利点は、以下の記載、実施例及び請求の範囲
より当業者に明らかであろう。図面の簡単な説明
図1は、PLRVのゲノム編制を示す。
図2は、プラスミドpMON18608の物理的地図を示す。
図3は、プラスミドpMON8574の物理的地図を示す。
図4は、プラスミドpMON18643の物理的地図を示す。
図5は、プラスミドpMON18644の物理的地図を示す。
図6は、プラスミドpMON18685の物理的地図を示す。
図7は、プラスミドpMON18658の物理的地図を示す。
図8は、プラスミドpMON18679の物理的地図を示す。
図9は、試験地#1における対照及びトランスジェニック系統のPLRV症状
に対する目視評価を示す。
図10は、試験地#2における対照及びトランスジェニック系統のPLRV症
状に対する目視評価を示す。
図11は、試験地#1におけるRusset Burbank WT対照系統
並びにpMON18658及びpMON18685のトランスジェニック系統に
ついてELISAによって測定したPLRV感染の発生率を示す。
図12は、試験地#2におけるRusset Burbank WT対照系統
並びにpMON18658及びpMON18685のトランスジェニック系統に
ついてELISAによって測定したPLRV感染の発生率を示す。発明の詳細な説明
本発明によれば、植物のウイルス耐性は、ジャガイモ葉巻病ウイルスの推定レ
プリカーゼをコードするヌクレオチドから成る単離DNA配列を植物中で発現さ
せることによって得られる。PLRVゲノムのORF2a及びORF2b並びに
ORF2bの終止コドン(TGA)までの3’の666個のヌクレオチド(nt
s)をコードするcDNA配列(SEQ ID NO.1)を調製した。この配
列は、SEQIDNO.1のRNA及び恐らくは1種または複数のコードタンパ
ク質を十分なレベルで発現する植物中でPLRV感染に対する耐性を与える。S
EQ ID NO.1またはSEQ ID NO.1の改変を含む植物発現ベク
ター即ちpMONベクターが実施例に記載されている。PLRVゲノムのORF
2a/2bは、PLRV感染植物中のRNA依存性RNAポリメラーゼ(レプリ
カーゼ)遺伝子として機能すると考えられている(van der Wilkら
、1989)。
ジャガイモ葉巻病ウイルスレプリカーゼ遺伝子は、実施例に記載したような精
製ジャガイモ葉巻病ビリオンから回収したRNAから作成されたcDNAライブ
ラリーから単
離し得る。cDNAライブラリーは当業者に公知の多くの方法で構築され得る。
代表的なジャガイモ葉巻病ウイルス単離物に由来の代表的なレプリカーゼ遺伝子
のcDNA配列は3,184ヌクレオチドの長さであり、SEQ ID NO.
1のヌクレオチド41-3,225に対応する。
種々のPLRV株または単離物のいずれかから単離されたPLRVレプリカー
ゼ遺伝子即ちSEQ ID NO.1を本発明で使用し得る。任意のPLRV株
に由来の対応レプリカーゼ遺伝子は、オーバーラップする2つのOFRから成り
、これらは、推定28kDaのタンパク質をコードするウイルスゲノムの最も5
’側のORF(ORF1)の下流に存在する。報告されたPLRVレプリカーゼ
ORFのアミノ酸配列は、地理的に遠方の場所のPLRV単離物に由来の別のレ
プリカーゼ遺伝子に比較すると高度の類似性を示す(Habiliら、1989
)。
全長の推定レプリカーゼタンパク質(ORF2a及びORF2b)は、−1の
フレームシフトによってコードされている。フレームシフト部位はヘプタヌクレ
オチド配列UUUAAAUとして同定された。この−1のフレームシフトは、N
TPドメイン及びGDDドメインの双方を含む1
10kDaのフレームシフトタンパク質を生成するSEQ ID NO.1中の
ヌクレオチド(nt)1,501を起点とする。フレームシフトがほぼ1%の頻
度で発生することが実験的に証明された(Pruferら、1992)。例えば
、感染細胞中の100個の翻訳された2aタンパク質(70kDa)毎に1つの
翻訳されたフレームシフト(2a/2b)(110kDa)タンパク質が存在す
るであろう。植物中で発現された推定レプリカーゼクローン(SEQ ID N
O.1)はその天然メカニズムによってフレームシフトし、従って全長110k
Daの2a/2b推定レプリカーゼタンパク質をコードしていると予想される。
レプリカーゼ媒介耐性のメカニズムは判っていないので、複数の植物遺伝子発
現ベクターをPLRV耐性を生じるように設計した。これらの方法としては、全
長レプリカーゼ遺伝子(ORF2a/2b)の発現、頭部切除形態のレプリカー
ゼドメイン(GDDドメイン)の発現、及び、PLRVレプリカーゼに対するア
ンチセンスmRNAがある。
Braunら(1992)は、ジャガイモXウイルス(PVX)に対するアミ
ノ末端の674個のアミノ酸または全長ウイルスレプリカーゼの発現が、PVX
感染に対して高
度に耐性の植物を産生することを証明した。Braunら(1992)はまた、
NTPドメインまたはGDDドメインを個別に発現させるベクターがPVX耐性
植物を産生しないことを証明した。実施例に記載のようにしてSEQ ID N
O.1を含む植物発現ベクターを設計した。これは全長推定レプリカーゼ遺伝子
(ORF2a/2b)を含む。
Golemboskiら(1990)は、TMVレプリカーゼ遺伝子の頭部切
除形態であるGDDモチーフを含む54kDaの読み過しタンパク質の発現が、
相同TMV株に対する耐性を生じさせるに十分であることを証明した。Brau
nら(1992)は、PVXの場合にGDDドメインがPVX感染に対する耐性
を生じさせるに十分でないと報告したが、GDD媒介耐性のこの現象はウイルス
特異的であろう。従って、Golemboskiら(1990)の知見に基づい
て、GDDドメインを含む構築物を(実施例に記載のように)設計した。
レプリカーゼはPLRV感染サイクル中の重要な構成要素でありPLRVゲノ
ム中の最大ORFであるから、推定レプリカーゼ遺伝子(ORF2a/2b)に
対しては実施例に記載のようにアンチセンスmRNAを発現させる方法を
採用した。トランスジーンとしてアンチセンスまたはマイナス鎖メッセージを過
発現させる理由は、これらが侵入性PLRVゲノムの正のRNA鎖に競合的に結
合し、PLRVレプリカーゼ遺伝子の翻訳をブロックし、PLRVに対する耐性
メカニズムを与えるからである。
SEQ ID NO.1は、本発明で使用したヌクレオチド配列のソースであ
るPLRVレプリカーゼcDNAを含む。クローニングを容易にするために、レ
プリカーゼ遺伝子のヌクレオチド配列の例えば5’端及び3’端を改変してもよ
い。前述のような全長110kDaレプリカーゼタンパク質が1%を上回る頻度
で産生するように、いくつかのヌクレオチドの挿入、除去または変異によって天
然のフレームシフトメカニズムを除去するような改変を追加してもよい。このた
めに、当業者に公知の方法を用いて部位特異的突然変異を誘発してもよく、また
必要に応じて種々の制限部位を与えてもよい。翻訳開始コドン(ATG)の前後
により好ましい関係が含まれるように、種々のオリゴヌクレオチドプライマーを
使用して5’端を改変してもよい。植物中でATGの前後の最適な関係は、−5
のグアニンまたはシトシン、2つのアデニン、任意の2つのヌクレオチド、
翻訳開始コドン(ATG)、+4のグアニンが順次に続く配列であることは判っ
ている〔(G/CAANNATGG)(Lutckeら、1987)〕。また、
植物に好適な終止コドン(TAA)を得るように遺伝子の3’端を改変してもよ
い(Murrayら、1989)。あるいは、操作された遺伝子が該遺伝子を発
現させる標的生物に対して好ましいアミノ酸コドン使用を含むように遺伝子を構
築してもよい(Perlakら、1991)。
レプリカーゼ遺伝子の配列決定は、米国生化学指針(United Stat
es Biochemical’s recomendations)に従って
、Sequenase(登録商標)ポリメラーゼを用いSangerら(197
7)の方法によって行った。遺伝子産物のアミノ酸配列を予測するためにヌクレ
オチド配列を使用した。この及び本文中のすべての予測アミノ酸配列中では標準
1文字命名法を使用する。本文中に示したすべてのペプチド配列は、N末端が左
側、C末端が右側の慣用のフォーマットで示す。
図面に開示した特定のヌクレオチド及び/またはアミノ酸配列は例示的なもの
であり、等価の遺伝子またはその部
分が本発明の開示に従って取得及び/または生成され得ることを理解されたい。
等価なる用語は、該遺伝子またはその部分が、本発明で開示されたレプリカーゼ
遺伝子と実質的に同様にして機能し、また実質的に同様にして植物にウイルス耐
性を与えることを意味する。
PLRVレプリカーゼcDNA配列(SEQ ID NO.1)を植物中で発
現され得る遺伝子として、pMON18608(図2)のような植物発現ベクタ
ーに挿入し得る。植物発現ベクターは、植物中で発現させ後代に継承させるべき
遺伝子を安定に取込むために必要な要素を含む。遺伝子は、単独でまたは他の要
素と組み合わせて細胞中で発現され得る1つの要素または組み合わせ要素である
と定義できる。一般に遺伝子は(5’から3’端に向かう方向で)、(1)植物
細胞中で機能し得る5’非翻訳リーダー配列と、(2)所望のタンパク質をコー
ドする遺伝子即ちDNA配列と、(3)典型的には転写の終了及びRNA配列の
3’領域のポリアデニル化を惹起する3’非翻訳領域とを含む。これらの要素の
各々は隣接要素に対する順次結合によって作動可能に結合されている。上記要素
を含む遺伝子を標準組換えDNA方法によって植物発現ベクターに挿入し得る。
遺伝
子の要素のいくつかまたは全部が存在してもよく、必要な場合には追加または残
りの要素をベクターに付加してもよい。本発明の別の態様は、レプリカーゼ遺伝
子の多数コピーを植物ゲノムに導入することである。更に、植物発現ベクターを
遺伝子以外の全部の要素が存在するように構築してもよく、その一例がpMON
18608(図2)である。次いで、適当な時期に当業者に公知の方法によって
遺伝子を付加し得る。
プロモーターと呼ばれるDNAのセグメントは、DNAをmRNAに転写する
ときの調節機能を担当する。植物細胞中で機能する多数のプロモーターが当業界
で公知であり、本発明の実施に使用し得る。これらのプロモーターは、植物また
は植物ウイルスのような種々のソースから得ることができ、その非限定例として
は、カウリモウイルス(caulimovirus)グループから単離されたプ
ロモーター、例えばカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター(CaM
V35S)、増強カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター(enhC
aMV35S)、ゴマノハグサヒナノウスツボ(figwort)モザイクウイ
ルス全長転写プロモーター(FMV35S)及びクロロフィルa
/b結合タンパク質から単離されたプロモーターがある。他の有用なプロモータ
ーとしては、感染が生じることが判っているある種の細胞型中で誘導的にまたは
組織特異的にレプリカーゼ遺伝子を転写し得るプロモーターがある。例えば、以
下の誘導タンパク質、即ち、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ、カルコンシ
ンターゼ、ヒドロキシプロリンに富む糖タンパク質、エクステンシン、発病関連
タンパク質(例えばPR-1a)、ジャガイモの創傷誘導プロテアーゼインヒビ
ター、のいずれかの遺伝子に由来のプロモーターがある。
篩部細胞のようなある種の細胞型中でタンパク質を発現させるためにはグルタ
ミンシンテターゼプロモーターのような代替プロモーターの使用も可能である。
ジャガイモ塊茎中でタンパク質を発現させるためにはパタチン(patatin
)プロモーターを使用し得る。選択された特定プロモーターは好ましくは、作動
可能に結合されたレプリカーゼ遺伝子の十分な発現を惹起でき、ウイルス耐性を
与えるために有効な量のレプリカーゼタンパク質を産生するが、発現母体となる
植物細胞の損傷または致死を生じさせるほど多量には産生しない。選択されたプ
ロモーターを機能さ
せ得る組織の非限定例としては、表皮、維管及び巣因組轍がある。実際に選択さ
れるプロモーターは、レプリカーゼ遺伝子の発現を達成し、従ってウイルス耐性
を植物に与えるべく十分な転写活性を与えなければならない。
非翻訳リーダー配列は適当な任意のソースに由来するものでよく、mRNAの
翻訳を増進するように特異的に改変され得る。5’非翻訳領域は、遺伝子を発現
させるように選択されたプロモーター、発現させるべき遺伝子またはコーディン
グ領域の天然型リーダー配列、ウイルスRNA、適当な真核細胞遺伝子または合
成遺伝子配列から得ることができる。本発明は後出の実施例に示す構築物に限定
されない。
終結領域即ち3’非翻訳領域は、転写を終結させるため、及び、転写されたm
RNA配列の3’端にポリアデニル化リボヌクレオチドを付加するために使用さ
れる。終結領域は、プロモーター領域に由来してもよく、遺伝子に由来してもよ
く、または別のソースに由来してもよく、好ましくはターミネーターとポリアデ
ニル化をコードする配列とを含む。キメラ植物遺伝子の適当な3’非翻訳領域の
非限定例は、(1)ノパリンシンターゼ(NOS)遺伝子のようなA
grobacterium腫瘍誘発(Ti)プラスミド遺伝子のポリアデニル化
シグナルを含む3’転写非翻訳領域、(2)ダイズ7S貯蔵タンパク質遺伝子及
びエンドウ豆のリブロース1,5-ビスホスフェートカルボキシラーゼ-オキシゲ
ナーゼの小サブユニット(ssRUBISCO遺伝子)のような植物遺伝子であ
る。後者を本文中では以後E9と呼ぶ。
発現構築物を得るためには、標準的な方法で発現構築物の種々の構成要素また
はそのフラグメントを大腸菌のような細菌性宿主中で複製され得る適当なクロー
ニングベクターに挿入する。文献に記載された多数のベクターが存在する。各ク
ローニング後に、ベクターを単離し、特定の要求を充たすベクターを与えるため
に、制限エンドヌクレアーゼ消化、新フラグメントの挿入、結合、欠失、挿入、
in vitro突然変異誘発、ポリリンカーフラグメントの付加などの操作を
更に行う。構築物が完成すると、適当なベクターに移入し、植物細胞の形質転換
及び植物細胞中での外来遺伝子の発現の方法に従って更に操作する。
植物細胞ゲノム中への遺伝子物質の導入または植物細胞の形質転換のために種
々の技術を利用し得る。しかしなが
ら、本発明の実施では宿主内への植物ベクターの導入が特定の方法に限定されな
い。有効な形質転換を与えるいかなる方法も使用し得る。本発明のDNA構築物
を植物細胞に挿入するために、Agrobacteriumの腫瘍誘導(Ti)
または根誘導(Ri)プラスミドに由来の植物発現ベクターを用いる形質転換、
及びそれ以外の代替的な方法を使用することが可能であった。このような方法と
して例えば、リポソームの使用、エレクトロポレーション、DNΛの自由取込み
を増加させる化学物質、微小粒子(microprojectile)の撃込み
によるDNAデリバリー、微量注入、ウイルスまたは花粉を使用した形質転換、
などがある。
植物発現ベクターは好ましくは、植物細胞の形質転換に必要なすべての要素を
含んでいる。代表的な植物クローニングベクターは、選択可能マーカー遺伝子、
審査可能(scoreable)マーカー遺伝子、T-DNA境界配列、クロー
ニング部位、形質転換体の同定及び広域宿主の複製及び移動機能を容易にする適
当な細菌性遺伝子、並びに、所望に応じたその他の要素から成る。レプリカーゼ
遺伝子は、所望の植物種を形質転換させる適当な任意の植物発現
ベクター中に挿入され得る。適当な植物発現ベクターとしては、例えばHerr
era-Estrellaら(1983)、Bevanら(1984)、Kle
eら(1985)及びFraley(1983)によって開示されたベクターに
加えて、Agrobacterium tumefaciensのTiプラスミ
ド由来のベクターがある。
形質転換された植物細胞を選択するために選択可能マーカー遺伝子を使用し得
る。使用されるマーカー遺伝子が、カナマイシン、G418、ヒグロマイシン、
ストレプトマイシンなどの抗生物質に対する耐性をコードするのが有利である。
付加的または代替的に、グリホセート、スルホニルウレア、ホスフィノトリシン
またはブロモキシニルに対する耐薬性のような除草剤耐薬性をコードする他のマ
ーカーも使用し得る。また、追加の選択手段も使用し得る。使用される特定マー
カーは、形質転換細胞を非形質転換細胞と対比させて選択し得るマーカーである
。異なる宿主種の数次第で、異なる宿主を選択するために異なる選択条件が使用
される場合には、当業界で公知のマーカーを1種またはそれ以上使用してもよい
。
ジャガイモ葉巻病ウイルスレプリカーゼ遺伝子を含む植
物発現ベクターは、ナス科の植物を形質転換するために使用され得る。特に、ジ
ャガイモ葉巻病ウイルス感染はジャガイモに持続的に付随する問題であり、この
ウイルスはトマト、コショウ及びタバコにも感染し得る。Agrobacter
ium媒介形質転換プロトコルがナス科の成員を形質転換するために有効である
ことは公知である。Agrobacaterium媒介形質転換を使用するとき
は、所望の発現ベクターを適当なAgrobacterium菌株中に移動させ
る。代表例としてAgrobacaterium菌ABI株の場合を説明する。
所望の発現ベクタ−を、ヘルパープラスミドpRK2013(Dittaら、1
980)を用いる三親交配系によってAgrobacterium菌ABI株中
に移動させる。バイナリーABI株は、欠損(disarmed)Tiプラスミ
ドpTiC58(Konczら、1986)を保有するAgrobacteri
um tumefaciens A208のクロラムフェニコール耐性誘導体で
ある。このTiプラスミドは、T-DNA植物ホルモン遺伝子を保有せず(欠損
)、従って菌株はクラウンゴールを発症できない。欠損TiプラスミドはABI
菌株に結合後のベクターの自律複製に必要なt
rfA遺伝子機能を与える。植物組織をABIと発現ベクターとのコンジュゲー
トと共にインキュベートすると、ベクターは欠損pTiC58プラスミドによっ
てコードされたvir機能によって植物細胞に移入する。TiプラスミドpTi
C58は植物細胞に移入せず、Agrobacterium中に残留する。1つ
または2つの境界配列を含む形質転換ベクターをAgrobacteriumに
よって植物にデリバリーし得る。1つの境界配列を含むベクターは右側のT-D
NA境界領域がオープンであり、全ベクター配列を宿主植物染色体中に挿入する
。右側境界配列は移入及び組込み中に消滅する。2つの境界配列を含むベクター
中では、右側境界配列と左側境界配列との間のDNAが植物染色体中に挿入され
、これにより必要なキメラ遺伝子だけが染色体にデリバリーされる。ベクターの
残部及び境界配列は移入及び組込み中に消滅する。
ナス科の成員の形質転換及び再生のプロトコルは公知である。特に、ジャガイ
モ及びトマトに関しては種々の形質転換及び再生のプロトコルが確立されている
。ジャガイモの代表的プロトコルを実施例に示している。ジャガイモ植物を形質
転換し、形質転換したカルスを同定した後で、形
質転換したカルス組織を完全植物として再生させる。公知の任意のジャガイモ植
物の再生方法を本発明に使用し得る。
所望のレプリカーゼ遺伝子を含む本発明の植物を当業者に公知の方法で栽培す
る。従って、本発明の形質転換植物は、レプリカーゼ遺伝子を発現でき、これに
よりウイルス耐性を示す。形質転換植物中のレプリカーゼ遺伝子または遺伝子産
物の存在は、当業者に公知の任意の適当な方法によって決定し得る。これらの方
法として、サザン、ノーザン及びウエスタンブロット法、ELISA及びバイオ
アッセイがある。次いでレプリカーゼを発現し得る形質転換植物を耐性効果測定
アッセイで処理し得る。このための代表的なアッセイを実施例に示している。
以下の実施例は、本発明の実施をより十分に説明するために与えたものであり
、本発明の範囲を限定すると解釈してはならない。本発明の思想及び範囲を逸脱
することなく本文中に記載の方法及び遺伝子の多様な変更が可能であることは当
業者に明らかであろう。明瞭及び簡潔な説明を与えるために、特定実施態様に関
する以下の記載では、ジャガイモ葉巻病ウイルス(PLRV)レプリカーゼ遺伝
子及びトランスジェニックRusset Burbankジャガ
イモ植物中の耐性の使用を例示する。実施例
実施例に関連する総合的情報菌株及びプラスミド
大腸菌MV1190株(BioRad提供)
Agrobacterium菌ABI株
ヘルパープラスミドpRK2013
pMON18608(図2)
pMON8574(図3)
pMON18643(図4)
pMON18644(図5)
pMON18685(図6)
pMON18658(図7)
pMON18679(図8)酵素及びキット
DNA配列決定キット:
United States BiochemicalのSequenase
v2.0配列決定キット#70770 In vitro突然変異誘発キット
BioRad Mut-a-geneのin vitro突然
変異誘発キット#170-3578改変酵素
仔ウシ腸由来のアルカリホスファターゼ(CIP):
Boehringer Mannheim #713023制限酵素
5’から3’の方向に指定された認識配列をもつ以下の制限酵素をNew E
ngland Biolabsの指示に従って使用する:
EcoRI(G↓AATTC):New England Biolabs C
AT#101
KpnI(GGTAC↓C):New England Biolabs CA
T#142
StuI(AGG↓CCT):New England Biolabs CA
T#187
BsaAI(YAC↓GTR):New England Biolabs C
AT#531
BglII(A↓GATCT):New England Biolabs CA
T#144培地及び溶液
LBSCK:10gのNaCl、5gの酵母エキス、10
gのBacto-トリプトン、50mgのスペクチノマイシン、25mgのクロ
ラムフェニコール及び50mgのカナマイシンを1リットル容量中に含有、pH
7.0。
MSO:4.4gのMX塩(Sigma Chemical Co.,St.L
ouis,MO)、30gのショ糖及び2mlのB5ビタミン(500X)を1
リットル容量中に含有、pH5.7。
PM培地:1リットル容量、pH6.0中の4.4gのMS塩(Sigma C
hemical Co.,St.Louis,MO)、30gのショ糖、0.1
7gのNaH2PO4.H2O)1mlのチアミンHCl及び0.1gのイノシト
ールと0.2%のGelrite寒天とを含有。
カルス誘導培地:5.0mg/リットルのZeatin Riboside、1
0mg/リットルのAgNO3及び0.1mg/リットルのNAA含有。
苗条誘導培地:MSOに加えて5.0mg/リットルのZeatin Ribo
side、10mg/リットルのAgNO3及び0.3mg/リットルのGA3(ジ
ベレリン酸)及び100mg/リットルのカナマイシン含有。
NAAはナフタレン酢酸。
LB培地:1リットルあたり10gのトリプトン、5gの酵母エキス及び5gの
NaClを含有、pH7.0。
PBS-T-O:8gのNaCl、0.2gのKH2PO4、2.9gのNa2HP
O4.12H2O、0.2gのKCl、0.05%のTween20及び0.2%
のオボアルブミン含有。
PBS-T:上記のリン酸塩緩衝生理食塩水及び0.05%のTween20含
有。
特に注釈がなければ、上記溶液を基本(1×)濃度で使用した。実施例全体を
通じて、異なる濃度レベルで使用した場合には、溶液に関して基本(1×)濃度
の倍数を示した。ジャガイモ葉巻病ウイルスcDNAライブラリーの構築
ジャガイモ葉巻病ウイルスビリオンを精製するために、Datura str
amonium cv.tatulaの新しい感染葉を、Waringブレンダ
ー内で、2倍量(w/v)の0.1Mのクエン酸緩衝液pH6、0.01MのE
DTA、0.3%(w/v)のDIECA(ジエチルチオカルバミン酸、ナトリ
ウム塩、Sigma D-3506)、0.5%(v/v)の2-メルカプトエタ
ノール及び1.5%(重量/組織重量)のRohament(登録商標)で磨砕
し
た。この混合物を室温で少なくとも2.5時間撹拌し、ここで1%のTrito
n X-100(v/v)を添加し、次いで一夜撹拌した。この溶液に次に20%
(v/v)のブタノール:クロロホルム(1:1)を添加し、ブレンダー内で3
0秒間混合し、Beckman JA-10ロータ内で15℃、6000rpm
で10分間遠心した。上部の水相を採取した。8%(w/v)の固体PEG80
00及び1%(w/v)のNaClを添加し、次いで30分間撹拌した。これを
室温で1時間インキュベートし、次いでJA-10ロータ内で15℃、5000
rpmで20分間遠心した。ペレットを採取し、0.01MのEDTAを含有し
初期組織重量の1/4の容量の0.1Mのクエン酸緩衝液pH6.4に再懸濁さ
せ、室温で一夜撹拌し、次いでJA-21ロータ内で8000rpmで10分間
遠心することによって清澄化した。上清を採取し、45Ti Beckmanロ
ータ内で15℃、30Krpmで2時間遠心した。ペレットを初期組織重量の1
/100の容量の50mMのクエン酸緩衝液pH6.4及び5mMのEDTAに
再懸濁させた。これを2時間撹拌し、次に15℃、8000rpmで10分間遠
心した。上清を採取した。これを、Beckman S
W−28ロータ内で15℃、25Krpmで2時間遠心することによってショ糖
濃度勾配(10-40%w/v)上で精製した。注射器、皮下注射針または勾配分
別によってウイルスバンドを回収した。
約55μgのウイルスを、2.1mlの0.05Mのクエン酸緩衝液pH6.
4中で、200μlの100mMのTris,pH7.5、200μlの10%
SDS及び400μlの1mg/mlのプロテアーゼKと共に37℃で30分間
インキュベートし、フェノール及びフェノールクロロホルム(1:1v/v)を
夫々用いて2回抽出することによってPLRV RNAを抽出した。次に、ラン
ダムプライマーとラムダgt11(λgt11)キットをAmershamの指
示通りに用いてPLRV cDNAを合成した。
AmershamのcDNAクローニング系から提供されたアダプターを用い
てλgt11中で構築したcDNAライブラリーから、全長PLRVレプリカー
ゼクローンを単離した。AmershamのEcoRIアダプターは以下の構成
を有していた。
このアダプターは5’から3’の方向でEcoRI適合性オーバーハング、B
amHI、KpnI及びNcoI部位を有している。ORF2aの5’端に相補
性のオリゴヌクレオチドプライマーを使用してこのライブラリーをスクリーニン
グした。
推定レプリカーゼ成分のcDNAライブラリーをスクリーニングするためのプ
ライマーは以下の配列を有していた。
5’GGAGGTGCCTCGGAAGTTGAAGGCCGG3’
(SEQ ID NO.2)
このプライマーはSEQ ID NO.1のヌクレオチド122-148にハ
イブリダイズする。cDNAクローンの記述
3,901ヌクレオチドのKpnI cDNAクローン(SEQ ID NO
.1)をλgt11から単離した。推定レプリカーゼ遺伝子の全長cDNA(S
EQ ID NO.1のヌクレオチド41-3,225)の存在を確認するため
に、このcDNAクローンのマッピング及び配列決定を行った。3,901ヌク
レオチドのcDNAの内部には、推定レプリカーゼ遺伝子の翻訳起点(ATG)
までの5’の40個のヌクレオチド(nts)も存在している。40個のヌクレ
オ
チドは、EcoRIアダプター由来のKpnI及びNcoI制限部位と真正PL
RV cDNAの30個のヌクレオチドとを含む。レプリカーゼ終止コドン(T
GA)の後に推定レプリカーゼ遺伝子までの3’の666個のヌクレオチドが存
在する。この領域の内部には、ORF2bとORF3との間の166個のヌクレ
オチドから成る遺伝子間領域(SEQ ID NO.1のヌクレオチド3,22
6-3,422)と、コートタンパク質ORF3のコーディング領域に由来の4
68個のヌクレオチド(SEQ ID NO.1のヌクレオチド3,423-3
,890)と、17kDaの推定核酸結合タンパク質をコードするORF4のコ
ーディング領域の444個のヌクレオチド(SEQ ID NO.1のヌクレオ
チド3,448-3,891)とが存在する。しかしながら、コートタンパク質
及び17kDaタンパク質の読み取り枠は不完全である。コートタンパク質のO
RFでは遺伝子の3’端から52コドン(156ヌクレオチド)が欠失し、17
kDaのORFでは遺伝子の3’端から8コドン(24ヌクレオチド)が欠失し
ている。コートタンパク質のORF及び17kDaタンパク質のORFは頭部が
欠失しているので、コートタンパク質及び17kDaタンパク質のO
RFは隣接ポリリンカーに続いており、ベクターの下流配列にオープンに維持さ
れている。pMON8574の構築
推定レプリカーゼ遺伝子及び下流配列を含むcDNA配列をKpnIによって
消化した。3,901個のヌクレオチドから成るKpnIフラグメントを、Kp
nI消化し製造業者の指示通りに仔ウシ腸アルカリホスファターゼ(CIP)で
消化した予処理pGEM3Zf(−)(提供:Promega Corp.,M
adison,WI)にクローニングした。クローンを同定し、pMON857
4(図3)と命名した。このクローンは、レプリカーゼRNA(センス鎖)がT
7バクテリオファージ転写プロモーターを用いて転写されるように配向されてい
た。pMON186O8植物形質転換ベクターの説明
実施例で植物発現ベクターの1つとして使用したプラスミドpMON1860
8(図2)は、多数クローニング部位をもつように設計されたベクターであり、
本文中に記載のPLRV耐性を与え得るDNAフラグメントまたは遺伝子をクロ
ーニングするために使用された。ベクターpMON18608はPLRV耐性を
与え得る遺伝子をその内部に
全く含まない。
プラスミドpMON18608は以下のDNAセグメントを含む。図2の下部
近傍の出発点は、大腸菌中に維持するための細菌性複製起点(ori-322)
であり、Agrobacterium tumefaciens細胞に接合的に
移入するためのbom部位を含んでいる。反時計回り方向でori-322の次
に、プライマー抑制用コーディング配列であるromとも呼ばれるropが存在
する。反時計回り方向で更にその次に、複製成長起点であるori-V(Sta
lkerら、1981)、及び、植物ゲノム中へのT-DNA挿入を終結させる
左側境界配列が順次存在する。その次に、選択可能マーカーとして使用されるキ
メラ遺伝子が存在する。キメラは、0.35キロ塩基(kb)のカリフラワーモ
ザイクウイルス35Sプロモーター(p-35S)(Odellら、1985)
、0.83kbのネオマイシンホスホトランスフェラーゼII型遺伝子(KAN)
及びノパリンシンターゼ遺伝子に由来の0.25kbの3’非翻訳領域(NOS
3’)(Fraleyら、1983)を含む。
選択可能マーカーとして使用される遺伝子の次に、エンドウ豆RUBISCO
遺伝子の小サブユニット(Coru
zziら、1984)に由来の0.65kgのE9 3’領域が存在する。その
次に、BglII、StuI及びKpnI制限部位を特徴とするポリリンカー領域
が存在する。PLRV耐性を与え得るDNA配列はこの場所でFMVプロモータ
ー及びE9 3’領域に融合し得る。FMVプロモーターを含むDNA配列は、
ポリリンカー部位にクローニングされたDNA配列の転写プロモーターとして機
能する。FMVプロモーターの次に右側境界配列が存在し、挿入T-DNAの植
物染色体内取込みがここで開始される。その次に、細菌性スペクチノマイシン/
ストレプトマイシン耐性をコードするトランスポゾンTn7から単離された0.
93kbのフラグメント(Spc/Str)が存在する。このフラグメントは、
大腸菌及びAgrobacterium tumefaciens中の選択決定
基である(Flingら、1985)。
ベクターの諸要素に関する以下の記載は、DNA配列が多数クローニング部位
に挿入されること以外は、pMON18643(図4)、pMON18644(
図5)、pMON18685(図6)及びpMON18658(図7)について
も同じである。pMON18643及びpMON18644の構築
pMON8574のKpnIフラグメント(SEQ ID NO.1)は本発
明の推定レプリカーゼDNA配列を産生するために使用したcDNAのソースで
あった。KpnIフラグメント、SEQ ID NO.1を、KpnI消化しC
IP処理したpMON18608に、センス方向でクローニングしてpMON1
8643(図4)を作成し、アンチセンス方向でクローニングしてpMON18
644(図5)を作成した。pMON18643中のPLRVレプリカーゼの5
’非翻訳領域の配列及び翻訳起点(ATG)を以下に示す。
真正PLRV cDNAを太字体で示す。(上の図の塩基7はSEQ ID
NO.1の塩基7に対応する)。pMON8574のcDNAクローンの5’配
列内部に、ヌクレオチド7を起点とする翻訳開始(ATG)コドンを含むNco
I部位が存在する。NcoI部位内部のこのATGは、推定PLRVレプリカー
ゼのヌクレオチド41の真正翻訳起
点に対してアウトオブフレームの翻訳を惹起する。この第一の翻訳開始(ATG
)はORF1とインフレームに維持されている。pMON18643にクローニ
ングされたKpnIフラグメントはまた、推定レプリカーゼ2a/2bタンパク
質のORF(SEQ ID NO.1のヌクレオチド41−3,225)、遺伝
子間領域(SEQ ID NO.1のヌクレオチド3,226-3,422)、
コートタンパク質ORFの一部分(SEQ ID NO.1のヌクレオチド3,
423-3,890)、推定17kDaの核酸結合タンパク質をコードするOR
Fの一部分(SEQ ID NO.1のヌクレオチド3,448-3,891)
を含む。コートタンパク質及び17kDaの核酸結合タンパク質のORFは3’
端で頭部が欠失しており、終止コドンを含まない。従って、タンパク質合成はp
MON18643のE9に続くであろう。SEQ ID NO.4は、コートタ
ンパク質及び17kDaのORFの最初のインフレーム終止コドンが見つかるま
での3’のKpnI部位(SEQ ID NO.1のヌクレオチド3,896-
3,901)の配列を含む。最初のインフレームストップは、17kDaタンパ
ク質ではSEQ IDNO.4のヌクレオチド154に存在し、コートタンパク
質のORFではSEQ ID NO.4のヌクレオチド195に存在する。pM
ON18643でRusset Burbank品種のジャガイモを形質転換し
、そのPLRV耐性付与能力を試験した。
アンチセンスRNAの発現をドライブするpMON18644は110アミノ
酸よりも大きいORFを全く含まない。アンチセンス構築物を作成する理由は、
侵入性PLRVの正センスメッセージに結合し従ってPLRV感染の初期事象中
にPLRVゲノムの翻訳をブロックするマイナス鎖RNAを作成するためであっ
た。pMON18644についても、Russet Burbankジャガイモ
を形質転換し、そのPLRV耐性付与能力を試験した。pMON18679の構築
推定レプリカーゼ遺伝子(ORF2a/2b)の発現を改良し得るベクターを
作成するために、第一のATG(SEQ ID NO.1のヌクレオチド7)と
、ORF2a/2bをコードする第二のATG(SEQ ID NO.1のヌク
レオチド41)との間の部位特異的突然変異誘発によってBglII(A↓GAT
CT)制限部位を挿入した。以下のオリゴヌクレオチドを使用し、Bio-Ra
dによって記載さ
れたMut-a-Gene(登録商標)手順に従って突然変異誘発を実施した。
5’-TCTGTTCATGATAGATCTCGTAAATTAAGCTC-3’
(SEQ ID NO.3)
得られた突然変異を、PLRVレプリカーゼの翻訳開始点(AUG)の上流9
ヌクレオチドのBglII部位に挿入し、pMON18679と命名した。このベ
クターはpMON8574の誘導体である。
pMON18685の構築
PLRVレプリカーゼ遺伝子がレプリカーゼRNA及び1種または複数のタン
パク質を発現するRusset BurbankにPLRV耐性を与える能力を
試験するために、PLRVレプリカーゼ遺伝子をコードするpMON18679
由来のBglII-KpnIフラグメントから成るDNAコーディング配列をpM
ON18608(図2)に組込み操作した。得られたベクターpMON1868
5(図6)はSEQ ID NO.1のヌクレオチド38-3,901
を含む。配列内部には、BglII挿入体の5ヌクレオチド、5’非翻訳真正PL
RV cDNAの3ヌクレオチド、ORF2a及びORF2bのコーディング配
列、並びに、3’真正PLRV cDNAの666ヌクレオチドが存在する。3
’配列の666ヌクレオチド内部には、遺伝子間領域(SEQ ID NO.1
のヌクレオチド3,226-3,422)、コートタンパク質ORFの一部分(
SEQ ID NO.1のヌクレオチド3,423−3,890)及び17kD
aの推定核酸結合タンパク質ORFの一部分(SEQ ID NO.1ヌクレオ
チド3,448-3,891)が存在する。コートタンパク質及び17kDaの
核酸結合タンパク質のORFは3’端の頭部が欠失しているので、終止コドンを
含まない。これらの遺伝子から産生されたmRNAによるタンパク質合成は、p
MON18685のE9 3’領域に続くであろう。SEQ ID NO.4は
、コートタンパク質及び17kDaのORFの最初のインフレーム終止コドンが
見つかるまでの3’KpnI部位(SEQ ID NO.1ヌクレオチド3,8
96-3,901)由来の配列を含む。最初のインフレームストップは、17k
Daタンパク質に対してはSEQ ID NO.4のヌクレオチド154に存在
し、
コートタンパク質ORFに対してはSEQ ID NO.4のヌクレオチド19
5に存在する。pMON18685のPLRV耐性付与能力を試験するために、
Russet Burbank品種のジャガイモをpMON18685で形質転
換した。pMON18658の構築
GDDモチーフを含む頭部切除レプリカーゼ構築物をSEQ ID NO.1
から構築した。PLRV ORF2bの51%(SEQ ID NO.1のヌク
レオチド2,275-3,222)をコードする植物発現ベクターを、5’オー
バーハングを除去するためにクレノウ及びdNTPで埋め戻したHindIII部
位(A↓AGCTT)(SEQ ID NO.1ヌクレオチド2,227-2,
232)と、非反復BsaAI部位(CAC↓GTG)(SEQ ID NO.
1のヌクレオチド3,404-3,409)とを用いて作成した。1,178ヌ
クレオチドのフラグメントは、5’非翻訳配列の47ヌクレオチド(SEQ I
D NO.1のヌクレオチド2,228-2,274)、GDDドメインのコー
ディング配列(SEQ ID NO.1のヌクレオチド2,275-3,222
)及び3’非翻訳配列の181ヌクレオチド(SEQ ID NO.1
のヌクレオチド3,226−3,406)を含む。GDDドメインを含む316
コドンの部分的ORF2b(SEQ ID NO.1のヌクレオチド2,275
-3,222)を作成した。記載のフラグメントを、StuI及びCIPによっ
て消化したpMON18608にセンス方向でクローニングした。
得られたプラスミドをpMON18658と命名し、耐性評価のためにRus
set Burbank品種のジャガイモをこのプラスミドで形質転換した。PLRV耐性を付与するその他のベクターの構築
PLRV耐性を付与するSEQ ID NO.1の発現構築物の設計を変更し
得ることは当業者に理解されよう。これらのベクターを2aORFだけもしくは
2bORFだけ優先的に発現させてもよく、または、同じまたは異なるプロモー
ターを用い同じベクター内で双方のORFを互いに別々に発現させてもよい。S
EQ ID NO.1のヌクレオチド2,227のHindIII部位を利用でき
るように部分消化中にpMON18685をHindIIIで切断することによっ
てベクターを構築し得る。5’オーバーハングを除去して平滑末端をもつクロー
ニング部位を作成するために、ベクターをクレノウ及びdNTPで埋め戻す必要
があ
る。次に、ベクターをBglIIで切断し、2aドメインを含むフラグメントを単
離する。このフラグメントはBglII及びStuIで切断したpMON1178
1にクローニング可能であった。
SEQ ID NO.1のコーディング能力の別の変種では、レプリカーゼ構
築物pMON18685(SEQ ID NO.1ヌクレオチドの3,226-
3,891)の終止コドン(TGA)までの構造遺伝子の3’のコーディング領
域が除去される。この発現ベクターの構築方法では、BglII及びBsaAIに
よってpMON18685を消化し、PLRVレプリカーゼ遺伝子を含むフラグ
メントを、BglII及びStuIで消化したpMON11781にクローニング
した。得られたプラスミドをpMON18821と命名した。
更に、部位特異的突然変異誘発または当業者に公知のその他の技術によって、
SEQ ID NO.1のフレームシフト領域(ヌクレオチド1,501-1,
507)の内部にいくつかのヌクレオチドを挿入、除去または変異させることに
よって天然フレームシフト部位を除去するように構築物を設計できた。SEQ
ID NO.1内部のヌクレオチド
1,507の後にTヌクレオチドを挿入する突然変異誘発プライマーを使用でき
、また、フレームシフト部位の内部のヌクレオチドを変異させ、フレームシフト
がもはや発生しないようにした。この挿入及び変異は、天然のフレームシフト部
位を変異させ、従って全長(2a/2b)110kDaの推定レプリカーゼ遺伝
子を発現する。フレームシフト部位を変異させる突然変異誘発プライマーを以下
に示す。
5’-CGGTGCCGCTTGCCCAATTCAAGGGCTTGTTTGTTG-3’
SEQ ID NO.5
上記の突然変異誘発プライマーによって突然変異したフレームシフト部位の翻
訳を以下に示す。下線を付けたアミノ酸配列は真正ORF2bアミノ酸配列を示
す。元の配列SEQ ID NO.1中の変異ヌクレオチドを太字体及び下線に
よって強調する。
本文中に記載のSEQ ID NO.1のPLRVコーディング配列を、PL
RV感染に対する耐性が更に強化されるように改変してもよい。本文中の改変な
る用語は、PLRVコーディング配列の任意の意図的な変異を意味しており、
その非限定例としては、付加、欠失、置換及びそれらの組み合わせがある。構築
物はまた、ORF2aのNTPドメイン及び/またはORF2bのGDDドメイ
ンが改変されるように特異的に設計され得る。
PLRVレプリカーゼまたはSEQ ID NO.1またはSEQ ID N
O.1の部分的変異がPLRVの非相同または異種菌株に対して発現する耐性ス
ペクトルは未知である。可能な耐性拡大メカニズムは、PLRVレプリカーゼま
たはSEQ ID NO.1またはSEQ ID NO.1の部分的変異と、コ
ートタンパク質の構造遺伝子(ORF3)またはコートタンパク質の遺伝子の何
らかの変異またはコートタンパク質遺伝子のコーディング能力とを組み合わせる
ことによって得られる。コートタンパク質構造要素と非構造レプリカーゼ遺伝子
とのこの組み合わせは広い耐性スペクトルを与えることに成功した。
ウイルス耐性スペクトルの拡大はまた、複数のレプリカーゼ遺伝子または非近
縁ウイルス由来の複数の別の遺伝子を組み合わせ双方のウイルスに耐性を与える
ことによって得られた。例えば、発現ベクター中のPLRVレプリカーゼ遺伝子
とPVYレプリカーゼ遺伝子またはPVYコート
タンパク質遺伝子とを組み合わせると、PLRV及びPVYの双方に対する耐性
が得られた。これは、任意のウイルスに耐性を与えることが判っている任意の構
造遺伝子を互いにまたは非構造遺伝子と任意に組み合わせることによって使用し
得ることを示す応用例である。
広い耐性スペクトルはまた、レプリカーゼ遺伝子と、他のPLRVレプリカー
ゼ遺伝子のような他の遺伝子との融合によって拡大し得る。このような耐性スペ
クトルの拡大は、PLRV単離物の2aドメインと異なる単離物の2bドメイン
との翻訳的融合によるキメラレプリカーゼ遺伝子の作成によって得られる。この
キメラレプリカーゼ遺伝子は、非キメラレプリカーゼ遺伝子の発現では得られな
かったような、双方の単離物に対する保護を与えるであろう。耐性を与えるよう
な別の融合体も構築し得る。
PLRVレプリカーゼ遺伝子(SEQ ID NO.1)及び他の形質を与え
る遺伝子の別の組み合わせを更に含む発現ベクターを構築することも可能であっ
た。これらの例としては、Bacillus thuringiensisに由
来のタンパク質のような殺虫性タンパク質をコードする遺伝子、または多量の固
体(high solids)の
産生に関連する遺伝子のような改良された品質形質を与える遺伝子がある。三親交配手順
形質転換に先立って、pMONベクターを内包する大腸菌を、ヘルパープラス
ミドpRK2013(Dittaら、1980)との三親交配によってAgro
bacterium ABIに交配した。ABIは、欠損pTiC58プラスミ
ドpMP90RK(Koncz & Schell、1986)を保有するAg
robacterium tumefaciens菌A208株である。欠損T
iプラスミドは、ABI菌株に接合した後にpMONベクターの自律複製に必要
なtrfA遺伝子機能を与える。植物組織をABI::pMONコンジュゲート
と共にインキュベートしたとき、ベクターは欠損pMP90RKTiプラスミド
によってコードされたvir機能によって植物細胞に移入される。LB培地(1
リットルあたり10gのトリプトン、5gの酵母エキス及び5gのNaCl)中
で25μg/mlのクロラムフェニコール(Sigma Chemical C
o.)及び50μg/mlのカナマイシン(Sigma Chemical C
o.)と共にAgrobacteriaを30℃で30時間増殖させた。pRK
2013を内包する大腸菌をカナマイシン(50μg/ml)中で一夜増殖
させた。pMONベクターを内包する大腸菌を75μg/mlのスペクチノマイ
シン(Sigma Chemical Co.)を含むLB培地中で増殖させた
。培養物の増殖後、各100μlのAgrobacterium ABI、大腸
菌pRK2013及び大腸菌pMONベクターを収容した管に4mlのLBを添
加した。この混合物を5000×gで5分間遠心した。遠心後に、上清分画を傾
瀉し、ペレット分画を100μlのLBに再懸濁させた。25μlの再懸濁細菌
をLBプレートの表面中央にピペットで点滴した。300Cで一夜増殖後、この
プレートから採集した細胞の接種ループを、75μg/mlのスペクチノマイシ
ンと50μg/mlのカナマイシンと25μg/mlのクロラムフェニコールとを
補充したLBプレートで画線培養した。
30℃で24〜48時間維持した後、大腸菌pMONベクター、大腸菌pRK
2013及びAgrobacterium ABIの三親交配プレートは細菌コ
ロニーを含んでいた。三親交配プレートから4つのコロニーを選択し、75μg
/mlのスペクチノマイシンと50μg/mlのカナマイシンと25μg/mlの
クロラムフェニコールとを補充したLB液体培地に接種し、30℃で増殖させた
。p
MONベクターの存在をサザン分析によって証明した。pMONベクターを含む
ことが確認された培養物の1つを使用してRusset Burbankジャガ
イモ品種を形質転換した。ジャガイモの形質転換
異なる4つのレプリカーゼ構築物pMON18685、pMON18643、
pMON18644及びpMON18658を用いてRusset Burba
nkジャガイモを形質転換した。選択可能物質としてカナマイシン(Sigma
Chemical Co.)を用いてジャガイモを形質転換するために、Ag
robactaeriumを2mlのLBSCK中で一夜増殖させた。翌日、細
菌をMSOで1:10に希釈するかまたは0.2〜0.33の光学密度読み取り
が成立するまで希釈した。25mg/mlのアスコルビン酸を補充したPM培地
中で無菌条件下に3週間増殖させたジャガイモ植物の茎から葉を摘み取り、茎を
3〜5mmの切片に切断し、上記のような希釈細菌を接種した。
準備した共生培養皿に移植片を配置した。共生培養皿は1.5mlのTxD細
胞と共に1/10のMOSを収容し、
湿潤濾紙で被覆されていた。皿あたり約50の移植片を配置した。2日間の共生
培養期間後、5.0mg/リットルのZeatin Riboside、10m
g/リットルのAgNO3、0.1mg/リットルのNAA及び100mg/リット
ルのカナマイシンを加えたMSOを含むカルス誘導培地に移植片を配置し4週間
維持した。4週間後、カナマイシンの存在下に増殖を示した移植片を更に選択す
るために、5.0mg/リットルのZeatin Riboside+10mg/
リットルのAgNO3及び0.3mg/リットルのGA3を加えたMSOを100
mg/リットルのカナマイシンと共に含む苗条誘導培地に配置した。8週目に苗
条が出現し始めた。次に、植物をPM培地と共にガラスカップに配置し、約2週
間増殖させた。植物を土に植え、寒気に曝して丈夫にし、形質転換を確認するた
めにカルスを再形成させ、抗生物質カナマイシン耐性を植物に与えるNptIIの
存在をアッセイによって分析した。植物がNptIIの発現に有利な陽性のカルス
再形成を示したとき、この植物を更に試験するために選出し組織培養物中に維持
した。ジャガイモPLRV耐性実験
A.トランスジェニックRusset Burbankの生 育室分析
PLRV感染に対するトランスジェニックジャガイモの耐性の評価を先ず生育
室で行った。PLRV感染力アッセイのために各トランスジェニック系統から1
0本の根付き挿し木を作成した。適度な強さの光を当てて24℃に維持する16
時間の昼と20℃に維持する8時間の夜とを与える条件の生育室でジャガイモ植
物を生育した。移植の2週間後、トランスジェニック植物及び対照Russet
Burbankの根付き挿し木に、アブラムシを用いてPLRVを接種した。
アブラムシをPLRV感染ホオズキ(Physalis floridana)
上に維持した。約15匹の保毒アブラムシをホオズキから各ジャガイモ植物に移
した。アブラムシを1週間だけ放置し、次いでアブラムシ駆除用殺虫剤を散布し
た。接種の1カ月後、各植物の葉及び根のサンプルを採取し、ELISAによっ
て分析した。感染植物の葉または根でPLRV抗原(ウイルス)が検出されたと
きに植物が感染されていると判定した。この分析の結果を以下の表1に示す。縦
の欄は構築物の番号、アッセイに用いた各構築物の系統の番号及び3段階の感染
範囲に分類された系統の数を示す。高度に耐性の系統は0−20
%のPLRV感染を示し、中程度に耐性の系統は21−60%の感染を示し、耐
性のない系統は>60%の感染を示す。結果は、pMON18643(アウトオ
ブフレームのレプリカーゼ)においてはPLRV感染に高度に耐性の系統は存在
せず、pMON18644(アンチセンス)においては21の試験系統中の1系
統が高レベルの耐性を示し、pMON18658(レプリカーゼ遺伝子の3’部
分)においては17の試験系統中の1系統が高レベルの耐性を示し、pMON1
8685においては3系統中の1系統が高レベルの耐性を示し、RB-wt対照
においては12の試験系統全部が>60%の感染を示した。PLRVレプリカー
ゼcDNAを含むアンチセンス(pMON18644)、3’部分(pMON1
8658)及びセンス(pMON18685)構築物は、PLRV感染に高度に
耐性のRusset Burbankジャガイモ系統を作成する可能性を有して
いるという結論が得られた。
B.トランスジェニックRusset Burbankの圃場検定
10系統のRusset Burbank(RB)野生型(独立の非トランス
ジェニック組織培養再生物)、14系統のベクター対照(VC)(PLRV c
DNA非含有のトランスジェニックRusset Burbank)、及び試験
構築物pMON18643(17系統)、pMON18644(22系統)、p
MON18658(19系統)及びpMON18685(24系統)の挿し木か
らジャガイモの苗を生育した。苗を鉢に移植し、圃場栽培まで温室に維持した。
圃場試験法としては任意反復実験を用い、各系統の植物を1
畝あたり20本として重複試験した。この設計を米国ノースウエストの2つの試
験地で繰り返した。試験地を夫々試験地#1及び試験地#2と呼ぶ。
圃場栽培の2週間後、PLRV LR-7感染したホオズキ(Physali
s floridana)から摘取したアブラムシ寄生葉を各ジャガイモ植物に
移すことによって、各植物に10〜20匹のPLRV LR-7保毒グリーンピ
ーチアブラムシ(Myzus persicae)を接種した。保毒アブラムシ
はホオズキの葉から這い出してジャガイモ植物を食べ、これによってジャガイモ
植物にPLRV感染の機会を与えた。接種5日後にジャガイモ植物に殺虫剤を噴
霧した。栽培後16週以内の植物が自然老化を始めるまで季節中は殺虫剤の散布
を定期的に継続した。
C.葉面症状の目視評価
接種6週後に双方の試験地の各反復試験区のPLRV症状を評点した。各試験
地で、評点はブラインドで実施したが、協力者の主観的評価に傾き易かった。結
果を、記録するか、または、認識可能なPLRV葉面症状を示した各反復試験区
の植物のパーセンテージに変換した。各系統毎に1つの評価を与えるように評点
を平均化し、得られた値を
図9及び図10のデータグラフの点として示す。双方の反復試験区でデータが得
られないかまたはデータが不完全であったジャガイモ系統はこのグラフに示さな
かった。これらのグラフのX軸は、PLRV様症状を示す植物のパーセンテージ
として測定したPLRVの平均感染率を示す。Y軸(図示せず)は系統の数を示
す。試験地#1の結果を図9に示し、試験地#2の結果を図10に示す。
図9は、圃場試験地#1における全部のレプリカーゼcDNA系統と対照との
目視評価の比較を示す。図9から判るように、pMON18685(全長PLR
Vレプリカーゼコーディング配列)では24のトランスジェニック系統中の11
系統がPLRV症状に対して高レベル(<20%の症状、p=0.05)の耐性
を示した。pMON18658(PLRVレプリカーゼ遺伝子の3’部分)では
6つのトランスジェニック系統が圃場試験地#1でPLRV症状に対して有意な
(<20%の症状、p=0.05)耐性を示した。pMON18643(PLR
Vレプリカーゼのアウトオブフレームコーディング配列)ではPLRV症状の有
意な減少を示した系統はなかった。pMON18644(SEQ ID NO.
1のアンチセンス)ではPLRV症状の有
意な減少を示した系統はなかった。
圃場試験地#2の目視観察の結果を図10に示す。pMON18685(<2
5%症状)の4つのトランスジェニック系統及びpMON18658(<25%
感染)の3つの系統は、PLRV症状に対する耐性を示した。pMON1864
3で形質転換した系統またはpMON18644で形質転換した植物中では、耐
性が観察されなかった。2つの試験地における目視評点の差は、各試験地の症状
に関する協力者の主観的評価に起因する。双方の試験地の結果によれば、pMO
N18658(3’PLRVレプリカーゼコーディング配列)及びpMON18
685(全長PLRVレプリカーゼコーディング配列)のトランスジェニックジ
ャガイモ系統がPLRV症状に対して高レベルの耐性を示した。
D.PLRV(7)ELISA分析
保毒アブラムシ接種の6週後に、PLRV抗原(ウイルス)をアッセイするた
めに、10系統のRusset Burbankジャガイモ対照、5系統のpM
ON18658及び10系統のpMON18685のトランスジェニックRus
set Burbankジャガイモから葉サンプルを採取した。サンプルに選ん
だ各植物の別々の葉から#6
のコルク穿孔器で3つの打ち抜き葉サンプルを採取し、合わせて1つの分析用サ
ンプルとした。サンプルを凍結状態で2つの圃場試験地からELISA用試験所
に輸送した。サンプルを750μlのPBS-T-O中でテフロン乳棒で均質化し
、ヒツジ抗PLRV IgGを予めコートしたELISAマイクロタイタープレ
ートに充填した。プレートを一夜インキュベートし、PBS-Tで洗浄し、アル
カリホスファターゼにコンジュゲートしたヒツジ抗PLRV IgGと共にイン
キュベートした。プレートを4時間インキュベートし、PBS-Tで洗浄し、ア
ルカリホスファターゼ基質を添加することによって増殖させた。
図11は、試験地#1のpMON18685系統、pMON18658系統及
びRusset Burbank野生型(RBwt)対照から採取したサンプル
のELISAによって測定した平均感染率(%)の比較を示す。図12は同様に
、試験地#2のpMON18685系統、pMON18658系統及びRuss
et Burbank野生型(RBwt)対照から採取したサンプルのELIS
Aによって測定した平均感染率(%)の比較を示す。各点は、アッセイに用いた
各系統の2つの反復試験地における感染を逆変換
平方根平均(back−transformed square−root m
eans)として計算した平均パーセント感染値(40個のデータ点の平均)で
ある。統計分析は、垂直方向の点線で示す信頼レベル(0.1%、1.0%及び
5%)をもつ片側検定である。このELISAデータは目視評価よりも客観的で
ある。双方の試験地におけるPLRV感染のELISA値とPLRV症状の目視
観察との間には十分な相関関係が存在した。pMON18685については8系
統が双方の試験地でp=0.01を有している。pMON18658については
2系統が双方の試験地でp=0.01を有している。この分析によれば、6つの
pMON18685系統が双方の試験地でPLRVの非存在を示した。
E.圃場試験地の塊茎の網状壊死の分析
PLRV構築物の圃場試験で得られたジャガイモの収穫時の網状壊死の存在を
検定した。Russet Burbankジャガイモの網状壊死症状の原因は、
塊茎中の篩部組織が枯れて暗色に変わるためであり、この変色は網状構造として
塊茎全体に現れるが、通常は塊茎の切断された茎端に極めて顕著に現れる。この
分析では、各系統の塊茎の
茎端を切断し、網状壊死症状を検査した。網状壊死をはっきりと示した塊茎だけ
を網状壊死の範囲にカウントした。このアッセイ時点で塊茎の別の変色または欠
陥も存在していた。これらの原因としては、Verticillium spp
.及びFusarium spp.のような維管の植物病原体の存在、または熱
応力、冷害、つるの早枯れのような生理的要因、及び茎端の褐変反応を生じる他
の要因などが考えられる。PLRVが誘発した網状壊死の初期症状と後者の塊茎
変色との識別は不可能であろう。従って、この範囲に入れた値の幾つかが、塊茎
の貯蔵後に明白に識別できる網状壊死に発展し得る。収穫時の識別可能な網状壊
死及びその他の塊茎変色の減少は、PLRV耐性ジャガイモ系統を評価するため
及び市場品質の植物材料を選択するための重要な基準である。
F.網状壊死アッセイの手順
全試験区を畝毎に収穫し、塊茎を地面に置いた。全試験区の塊茎の型を評点し
た。型外れの塊茎については網状壊死を評点しなかった。各試験地の選択系統か
ら選んだ80の大塊茎(1試験区あたり40、1系統あたりの総数160)を切
断して網状壊死の存在及び発病度を検定した。各
塊茎の茎端を長軸に垂直に切断し、次に各塊茎を半分に分割した。網状壊死のな
い塊茎を「0」と評価し、網状壊死のある塊茎を「1」と評価し、網状壊死が塊
茎の中央まで広がっている塊茎を「2」と評価した。網状壊死以外の内的欠陥ま
たは病害の存在を「+」と評価した。(1)草性及び塊茎の品質に基づいて適正
な型である、(2)25%以下の葉症状または症状の有意な減少(p=0.05
)を示す、及び、(3)網状壊死を示す塊茎が1系統あたり2個以下であるかま
たは対照に比べて網状体が95%減少している、という3つの品質基準のすべて
を満たしていた系統の残りの塊茎全部を、試験区毎に袋詰めし、60日間貯蔵し
、60日目にこれらの残りの塊茎を上記手順で検定した。野生型(RB)の残り
の塊茎もすべて袋詰めして貯蔵し、後日になって網状壊死を分析した。
収穫時に行った網状壊死分析の結果を表2に示す。この表は双方の試験地のデ
ータを合わせたものである。アッセイに用いた各系統毎に、160の塊茎を切断
し網状壊死の発生率を審査した。アッセイに用いた10系統のRusset B
urbank野生型ジャガイモの1600の塊茎では、7.5〜19.4%の範
囲にわたる合計13.3%(2
13塊茎)が網状壊死の発生を示し、36.7%(587塊茎)が網状壊死と多
少の塊茎変色とを併せて示した。pMON18685(全長レプリカーゼコーデ
ィング配列)では、網状壊死アッセイに用いた24系統中の12系統がRuss
et Burbank wtよりも少ない症状を示し、2.5〜7.5%の範囲
にわたる合計5.5%(106/1920)が網状壊死を示し、合計20.1%
(386/1920)が変色を示した。pMON18658(3’レプリカーゼ
フラグメント、GDD)では、アッセイに用いた19系統中の7系統で、1.3
〜6.8%の範囲の合計3.9%(44/1120)の塊茎が網状壊死の発生を
示し、18.4%の塊茎(222/1120)が何らかの欠陥を示した。pMO
N18643(アウトオブフレームレプリカーゼ配列)では、10系統中の2系
統が6.9%(22/320)の網状壊死を示し、24.7%(79/320)が
何らかの欠陥を示した。pMON18644(アンチセンス)では、10系統中
の1系統が3.8%(6/160)の網状壊死を示し、25%(40/160)が
何らかの欠陥を示した。このアッセイによれば、pMON18685では24系
統中の12系統、pMON18658では19系統中の7系統において収穫時の
網状
壊死の発生数が減少し、その他の塊茎変色の発生率も低下していることが判明し
た。pMON18643及びpMON18644では、夫々10系統中の2系統
及び10系統中の1系統で網状壊死の発生率の減少が観察された。アッセイに用
いた系統の総数に対するパーセンテージで判断すると、センス構築物、即ち、p
MON18685及びpMON18658では、pMON18643及びpMO
N18644よりも多くの系統で網状壊死が減少していた。
貯蔵後の塊茎の網状壊死アッセイの結果を表3に示す。
塊茎を華氏50〜55度で2カ月間貯蔵し、次いで、網状壊死症状の発生率及び
発病度を判定するために、試験地毎
に1系統あたり約120個の塊茎を前述のごとく切断した。表3のデータは試験
地#2から得られたものである。Russet Burbank野生型(RBw
t)の10系統は、1系統あたり2.6−31%の範囲の平均11.4%の網状
壊死を示した。pMON18685の5系統は貯蔵後網状壊死の発生率が0−1
.4%の範囲にわたる合計0.8%であり、対照よりも良好な結果を示した。p
MON18658の3系統は貯蔵後の網状壊死の発生率が、0−2.5%の範囲
にわたる合計1.1%であり、対照よりも良好な結果を示した。構築物pMON
18643及びpMON18644の各々では、1つの系統が、夫々0.8%及
び3.0%に減少した貯蔵後の網状壊死の発生率を示した。(注:標本採取手順
の性質によって、貯蔵後の網状壊死アッセイから得られたデータは軽度の網状壊
死の検出に有利になるように歪んでいると考えられる。典型的には、最大塊茎を
収穫時アッセイ用に選択し、より少数の大塊茎を貯蔵後アッセイ用に残しておく
。網状壊死は、小さい塊茎サンプルよりも大きい塊茎サンプル中で発生する機会
が多い。従って、本文中に示すデータはこの要因を反映し得る。)
G.発芽した塊茎の葉組織のELISA
発芽した塊茎から得られた葉組織の耐性レベルをELISAによって測定し得
る。塊茎の萌芽中のPLRVの発生率は、塊茎中のPLRVを測定するための信
頼できる方法である(Flandersら、1990)。萌芽中のPLRV感染
の低発生率及び塊茎中の低ウイルス価は、網状壊死症状の発生率及び発病度に有
意な衝撃を与える。更に、塊茎中のPLRVの感染及び蓄積に高度に耐性のジャ
ガイモ植物は、市場用栽植の種子材料としてより有用である。
葉の網状壊死症状が減少していたジャガイモ系統及びRusset Burb
ank野生型(RBwt)及びベクター対照系統(RBvc)の各々の約40個
の塊茎のバラ末端
(rose end)を切断することによって塊茎の発芽を惹起した。各ジャガ
イモ片は少なくとも3つの芽を有しており、これを発芽剤(ジベレリン酸)で処
理し、次いで温室内で鉢土に植付けた。植付けの6週後に、各塊茎の芽が発芽し
、1塊茎あたり3つの萌芽の各々から1枚の葉サンプルを採取し、1サンプルと
してプールした。サンプルを750μlのPBS−T抽出緩衝液中で均質化し、
250μlをELISAマイクロタイタープレートに充填し、前述の試薬によっ
てPLRVの存在を検定した。
貯蔵後に発芽した塊茎のアッセイ結果を表4に示す。Russet Burb
ank wt及びvcの萌芽はPLRVによって高度に感染されていた。アッセ
イに用いた塊茎の平均80%がウイルスを含んでいた。これは、Flander
sら(1990)がRusset Burbank中で観察した感染率と同様で
ある。pMON18685(全長レプリカーゼ)の5系統は、萌芽中の極めて低
いPLRV発生率によって示されるように塊茎のPLRV感染に高度に耐性であ
った。5系統中の4系統が検出可能なPLRVを含んでいなかった。pMON1
8658(GDDフラグメント)では3系統をアッセイに使用したが、PLRV
の発生率(17%)が減少していた。1系統は検出可能なPLRVを含んでいな
かった。pMON18643では1系統が中程度のPLRV発生率(55%)を
示し、pMON18644の1系統は高レベルのPLRV(89%)を示した。
このデータから、pMON18685中の全長PLRVレプリカーゼ遺伝子は高
頻度のPLRV感染に対してほぼ免疫を与え、GDDフラグメントをもつpMO
N18658はより低い頻度でほぼ免疫を与えるという結論に達した。
アンチセンス構築物pMON18644はウイルス耐性に対してあまり有効でな
く、pMON18643中のアウトオブフレーム翻訳開始コドンはレプリカーゼ
遺伝子産物の産生に不利な影響を与え、PLRV感染に対する耐性を与える構築
物の効力を減少させる。
H.圃場の接種レプリカーゼ系統からのアブラムシによるPLRV伝搬アッセイ
PLRVは機械的に伝搬されない。感染植物から非感染植物へPLRVを伝搬
することができるのはアブラムシだけである。病害を防除するために現行のよう
な殺虫剤の散布が必要とされる理由はここにある。ウイルス耐性ジャガイモには
アブラムシ防除のための殺虫剤がもはや不要である。PLRV耐性のジャガイモ
栽培品種はしばしばPLRV価を全く示さないかまたは極めて僅かにしか示さず
、これらの植物から他の植物へのアブラムシによるウイルス伝搬も容易には生じ
ない。この特徴は、圃場のウイルス蔓延の可能性を抑制するので営利面から極め
て重要である。
表5は、PLRVを接種した圃場のレプリカーゼ系統の葉から指標宿主ホオズ
キ(Physalis floridana)へのアブラムシによるPLRV伝
搬の結果を示す。実験的にこれを逆伝搬(back transmission
)と呼ぶ。使用した方法では、表5に示す各レプリカーゼ系統の10植物の各々
から1枚の若い小葉を収穫した。
湿潤濾紙に載せたシャーレ中で各小葉に5匹のアブラムシを置いた。24時間後
、アブラムシを置いた各小葉をホオズキ幼若植物に置き、ケージで覆った。48
時間後、硫酸ニコチンを燻蒸することによってアブラムシを駆除した。接種4週
後にPLRV感染の徴候を審査した。葉症状が全くまたは殆どなく、塊茎の網状
壊死も全くまたは殆どなく、塊茎の萌芽中にウイルスが全くまたは殆ど存在しな
かったpMON18685の5系統は、表5に示すようにアブラムシによって伝
搬可能なウイルスも含んでいなかった。pMON18658の3系統は、葉症状
、塊茎の網状壊死及び塊茎の萌芽中のウイルスがいずれも少なく、アブラムシに
よって伝搬可能なウイルスをある程度含んでいた。
アッセイに用いた系統のうち、アンチセンス構築物pMON18644は有効
なウイルス耐性を与えず、pMON18643中のアウトオブフレーム翻訳開始
コドンはレプリカーゼ遺伝子産物の産生に不利な影響を与え、PLRVに対する
耐性を与える構築物の効力を減少させた。
注:PLRV感染したRusset Burbankからの逆伝搬は常に90−
100%の感染ホオズキを生じる(Hassanら、1985;Thomas、
1983)。
本明細書で言及したすべての刊行物及び特許出願は、本発明が属する分野にお
ける当業者の技術レベルを示す。
上記より、本発明は提示したすべての目的を本発明に固有の明白な利点を伴っ
て適切に達成し得ることが理解されよう。いくつかの特徴及びサブコンビネーシ
ョンは有益であり他の特徴及びサブコンビネーションに無関係に使用できること
も理解されよう。これらは本発明の範囲に基づいて予測可能であり、本発明の範
囲内に包含される。本発明の範囲を逸脱することなく多くの実施態様が可能であ
るが、本文中に記載または添付図面に図示したすべての事項は例示的に解釈され
るべきであって制限的に解釈されてはならないことを理解されたい。
下記の文献は明細書中に引用されたものである:
【配列表】
配列番号(SEQ ID NO):1
配列の長さ:3901
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:Genomic cDNA
配列
配列番号(SEQ ID NO):2
配列の長さ:27
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:合成DNA
配列
配列番号(SEQ ID NO):3
配列の長さ:32
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:合成DNA
配列
配列番号(SEQ ID NO):4
配列の長さ:197
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:Genomic DNA
配列
配列番号(SEQ ID NO):5
配列の長さ:36
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:合成DNA
配列
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 チユーマー,ニルガン・エレケン
アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・
08550、プリンストン・ジヤンクシヨン、
ツー・サラ・ドライブ(番地なし)
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.(a)植物細胞中でRNA配列の産生を惹起すべく機能するプロモーター領 域と、 (b)前記プロモーター領域と作動可能に結合し、ジャガイモ葉巻病ウイルスレ プリカーゼをコードする構造遺伝子と、 (c)前記構造遺伝子と作動可能に結合し、転写の終了及び転写mRNA配列の 3’端へのポリアデニル化リボヌクレオチドの付加を惹起するように植物細胞中 で機能する3’非翻訳領域とを含むDNA分子。 2.前記プロモーター領域が、FMV35Sプロモーター領域、CaMV35S プロモーター領域及び増強CaMV35Sプロモーター領域から成るグループか ら選択されることを特徴とする請求項1に記載のDNA分子。 3.前記プロモーター領域がFMV35Sプロモーター領域であることを特徴と する請求項1に記載のDNA分子。 4.前記構造遺伝子が配列番号1のヌクレオチド38〜3,901から成ること を特徴とする請求項1に記載のDNA分子。 5.前記構造遺伝子が配列番号1のヌクレオチド2,275〜3,222から成 ることを特徴とする請求項1に記載 のDNA分子。 6.前記3’非翻訳領域が、ノパリンシンターゼ(NOS)遺伝子の3’非翻訳 領域、大豆7S貯蔵タンパク質遺伝子、及びエンドウ豆のリブロース1,5-ビ スホスフェートカルボキシラーゼ-オキシゲナーゼ(ssRUBISCO)E9 遺伝子の小サブユニットから成るグループから選択されることを特徴とする請求 項1に記載のDNA分子。 7.前記3’非翻訳領域が、エンドウ豆のリブロース1,5-ビスホスフェート カルボキシラーゼ-オキシゲナーゼの小サブユニット(ssRUBISCO)E 9遺伝子から得られることを特徴とする請求項1に記載のDNA分子。 8.(a)(i)植物細胞中でRNA配列の産生を惹起すべく機能するプロモー ター領域と、 (ii)前記プロモーター領域と作動可能に結合し、ジャガイモ葉巻病ウイルスレ プリカーゼをコードする構造遺伝子と、 (iii)前記プロモーター領域と作動可能に結合し、転写の終了及び転写mRN A配列の3’端へのポリアデニル化リボヌクレオチドの付加を惹起するように植 物細胞中で機能する3’非翻訳領域とを含むDNA分子によって植物細胞を形質 転換し、 (b)分化植物を与えるように前記植物細胞を再生し、 (c)前記ジャガイモ葉巻病ウイルスによる感染に対して植物を耐性にすべく十 分なレベルでジャガイモ葉巻病ウイルスレプリカーゼ遺伝子を発現する形質転換 植物を選択する段階を含む感受性ナス科(Solanaceae)植物中のジャ ガイモ葉巻病ウイルス感染に耐性を与える方法。 9.前記植物が、ジャガイモ、トマト及びタバコから成るグループから選択され ることを特徴とする請求項8に記載の方法。 10.前記ジャガイモが、Russet Burbank、Shepody、A tlantic、Norchip及びSuperiorから成るグループから選 択されることを特徴とする請求項9に記載の方法。 11.前記ジャガイモがRusset Burbankであることを特徴とする 請求項10に記載の方法。 12.前記プロモーターが、FMV35Sプロモーター領域、CaMV35Sプ ロモーター領域及び増強CaMV35Sプロモーター領域から成るグループから 選択されることを特徴とする請求項8に記載の方法。 13.前記構造遺伝子が配列番号1のヌクレオチド38〜 3,901から成ることを特徴とする請求項8に記載の方法。 14.前記構造遺伝子が配列番号1のヌクレオチド2,275〜3,222から 成ることを特徴とする請求項8に記載の方法。 15.前記3’非翻訳領域が、ノパリンシンターゼ(NOS)遺伝子の3’非翻 訳領域、大豆7S貯蔵タンパク質遺伝子、及びエンドウ豆のリブロース1,5- ビスホスフェートカルボキシラーゼ-オキシゲナーゼの小サブユニット(ssR UBISCO)E9遺伝子から成るグループから選択されることを特徴とする請 求項8に記載の方法。 16.(a)植物細胞中でRNA配列の産生を惹起すべく機能するプロモーター 領域と、 (b)前記プロモーター領域と作動可能に結合し、ジャガイモ葉巻病ウイルスレ プリカーゼをコードする構造遺伝子と、 (c)前記構造遺伝子と作動可能に結合し、転写の終了及び転写mRNA配列の 3’端へのポリアデニル化リボヌクレオチドの付加を惹起するように植物細胞中 で機能する3’非翻訳領域とを含むDNA分子をゲノムに含むウイルス耐性の形 質転換ナス科植物。 17.前記構造遺伝子が配列番号1のヌクレオチド38〜2,901から成るこ とを特徴とする請求項16に記載のウイルス耐性の形質転換ナス科植物。 18.前記構造遺伝子が配列番号1のヌクレオチド2,275〜3,222から 成ることを特徴とする請求項17に記載のウイルス耐性の形質転換ナス科植物。 19.前記植物が、ジャガイモ、トマト及びタバコから成るグループから選択さ れることを特徴とする請求項16に記載のウイルス耐性の形質転換ナス科植物。 20.前記植物がジャガイモであることを特徴とする請求項19に記載のウイル ス耐性の形質転換ナス科植物。 21.前記ジャガイモが、Russet Burbank、Shepody、A tlantic、Norchip及びSuperiorから成るグループから選 択されることを特徴とする請求項20に記載のウイルス耐性の形質転換ナス科植 物。 22.(a)植物細胞中でRNA配列の産生を惹起すべく機能するプロモーター 領域と、 (b)前記プロモーター領域と作動可能に結合し、ジャガイモ葉巻病ウイルスレ プリカーゼをコードする構造遺伝子と、 (c)前記構造遺伝子と作動可能に結合し、転写の終了及び転写mRNA配列の 3’端へのポリアデニル化リボヌクレオチドの付加を惹起するように植物細胞中 で機能する3’非翻訳領域とを含むDNA分子をゲノムに含むウイルス耐性の形 質転換ナス科植物細胞。 23.前記構造遺伝子が配列番号1のヌクレオチド38〜2,901から成るこ とを特徴とする請求項22に記載のウイルス耐性の形質転換ナス科植物細胞。 24.前記構造遺伝子が配列番号1のヌクレオチド2,275〜3,222から 成ることを特徴とする請求項22に記載のウイルス耐性の形質転換ナス科植物細 胞。 25.(a)(i)植物細胞中でRNA配列の産生を惹起べく機能するプロモー ター領域と、 (ii)前記プロモーター領域と作動可能に結合し、ジャガイモ葉巻病ウイルスレ プリカーゼをコードする構造遺伝子と、 (iii)前記構造遺伝子と作動可能に結合し、転写の終了及び転写mRNA配列 の3’端へのポリアデニル化リボヌクレオチドの付加を惹起するように植物細胞 中で機能する3’非翻訳領域とを含むDNA分子によって植物細胞を形質転換し 、 (b)分化植物を与えるように前記植物細胞を再生し、 (c)前記ジャガイモ葉巻病ウイルスによる感染に対して植物を耐性にすべく十 分なレベルでジャガイモ葉巻病ウイルスレプリカーゼ遺伝子を発現する形質転換 植物を選択する段階を含む感受性ナス科植物中のジャガイモ葉巻病ウイルス感染 に由来する網状壊死の抑制方法。 26.前記植物が、ジャガイモ、トマト及びタバコから成るグループから選択さ れることを特徴とする請求項25に記載の方法。 27.前記ジヤガイモが、Russet Burbank、Shepody、A tlantic、Norchip及びSuperiorから成るグループから選 択されることを特徴とする請求項26に記載の方法。 28.前記ジャガイモがRusset Burbankであることを特徴とする 請求項26に記載の方法。 29.前記プロモーターが、FMV35Sプロモーター領域、CaMV35Sプ ロモーター領域及び増強CaMV35Sプロモーター領域から成るグループから 選択されることを特徴とする請求項25に記載の方法。 30.前記構造遺伝子が配列番号1のヌクレオチド38〜 3,901から成ることを特徴とする請求項25に記載の方法。 31.前記構造遺伝子が配列番号1のヌクレオチド2,275〜3,222から 成ることを特徴とする請求項25に記載の方法。 32.前記3’非翻訳領域が、ノパリンシンターゼ(NOS)遺伝子の3’非翻 訳領域、大豆7S貯蔵タンパク質遺伝子、及びエンドウ豆のリブロース1,5- ビスホスフェートカルボキシラーゼ-オキシゲナーゼの小サブユニット(ssR UBISCO)E9遺伝子から成るグループから選択されることを特徴とする請 求項25に記載の方法。
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