【発明の詳細な説明】
TNF−αリボザイムおよびTNF−αリボザイムに
リンクした耐分解性mRNA誘導体
〔発明の背景〕
この出願の全体を通して、種々の刊行物が括弧内のアラビア数字により参照さ
れる。これらの刊行物の開示は全体として、本発明が属する技術の状態をより完
全に記載するために、参照としてこの出願に組み込まれる。
酵素の自己開裂活性を有するRNA分子(リボザイム)の発見は、遺伝子発現
を人工的に制御する新しい方法を提供している(Foster & Symons,(1987)Cel
l,49:585-591)。リボザイムは、開裂に必要な配列のほぼ全体を含むように設
計されている。ハンマーヘッドタイプについては、標的RNAは、XUXから3
’で起こる開裂を伴う配列XUXだけを含んでいる必要がある(Haseloff & Ger
lach,(1988)Nature,(London)334:585-591;Perriman et al.,Gene(1992
)113:157-163)。この高度の特異性および限られた標的要求性によって、これ
らの触媒的RNA分子には、ウイルス性病原体の阻害能力、および高度に特異的
な仕方で転写を妨害することによる特定の遺伝子発現を調節する能力が付与する
される(Uhlenbeck,(1987)Nature,(London)328:596-600;Haseloff & Ge
rlach,(1988)Nalure,(London)334:585-591)。
幾つかの報告は、ハンマーヘッドタイプのリボザイムが、生細胞中で機能する
ことを示している。Collen & Birnstiel
(1989,EMB0 J.,8:3861-3866)およびCameron & Jennings(1989,Proc.Natl
.Acad.Sci.,USA86:9139-9143)は、ゼノパス ラエビスの卵母細胞並びにサ
ル(COS1)細胞において、夫々リボザイムに媒介された破壊および特定の遺伝子
発現の低下を報告している。Sarver et al.(1990,Science,247:1222-1225
)は、HIV-1gagRNAに対して向けられたリボザイムが、CD4+HeLa細胞にお
けるp24抗原の発現を減少させたことを示している。最近ではHIV-1のインテグラ
ーゼ(integrase)遺伝子を開裂するように設計されたリボザイムが、大腸菌に
おけるプラスミドから転写された場合に有効であることを示すことによって、こ
の研究系統は細菌性細胞にまで拡大された。インテグラーゼRNAは除去され、
インテグラーゼタンパク質の合成はブロックされた(Sioud & Drlica,(1991)
Proc.Natl.Acad.Sci.,USA88:7303-7307)。リボザイムは生体内で有効であ
るから、今や、リボザイムの安定性およびデリバリーの問題を検討し得る。
腫瘍壊死因子α(TNF−α)遺伝子の発現を阻害するために、我々は、陽イ
オンのリポゾームに媒介されたトランスフェクション(Malone et al.,(1989
)Proc.Natl.Acad.Sci.,USA86:6077-6081)を用いて、TNF−αに対して
向けられたリボザイムを、ヒトの前骨髄球白血病細胞(HL60)および末梢血
単核細胞(PBMNC)へ供給した。TNF−αは、多くの炎症性リュウマチ疾
患において重要な役割を演じており(Shinmei et al.,(1989)Sem.Arth.Rhe
um.18
(suppl.1)27-32)、主組織適合性複合体(MHC)およびインターロイキン
1およびインターロイキン6のようなサイトカインを含む幾つかのタンパク質の
発現を調節する(Beutler & Cerami,(1988)Annu.Rev.Biochem.57:505-518
および(1989)Annu.Rev.Immnol.7:625-655)。TNF−αはまた、正規の免
疫応答のために必要であるように思えるが、大量のTNF−αは、リュウマチ性
関節炎で見られるような破壊的効果を生じ得る(Brennan et al.,(1989)Lan
cet ii244-247)。更に、TNF−αは、ACH-2 細胞内におけるHIV-1 発現を誘
発する原因となるサイトカインである(Rosenberg & Fauci,(1990)Immunol.
Today 11:176-180)。TNF−αは、ウイルスの長い末端繰り返し配列内のNF-
XB賦活成分と結合してHIV-1発現を活性化する細胞因子の生産を誘発する。
触媒的RNA分子の有効性は、生体内でのmRNAの安定性に依存する。DN
Aの構造的因子に関する知識と比較すれば、mRNAの安定性因子については僅
かしか知られていない。m−RNAの半減期は、線維芽細胞インターフェロンお
よびc−fosについては30分間よりも短く、βグロブリンについては17時
間よりも長い。殆どの真核生物のmRNAは、細胞内において、5’キャップ構
造および3’ポリ(A)テール並びにポリ(A)結合タンパク質により、エキソ
ヌクレアーゼの攻撃から保護される。さらに、真核生物のmRNAは、コード領
域の何れか一方の側に、5’および3’非コード領域の両方を有している。この
5’非コード領域は、
mRNAのタンパク質への転写の開始速度と係わり合いがある。3’非コード領
域は、ポリ(A)の形成を開始するように働き、またmRNAを安定化するよう
に作用することができる(Baralle,F.E.,Int. Rev.of Cytology(1983)81:7
1-106)。特に、3’非コーディング鉄応答性要素(3′non-coding iron-respon
sive elements)は、鉄の存在下でmRNAの安定性を調節することが証明され
た。他の特徴づけられたモチーフは、幾つかの細胞性mRNA、特にサイトカイ
ンmRNAの急速な分解の原因となるAUUUA要素である(Saini,K. S et
al.,Mol.Cel.Biochem.(1990)96:15-23;Ross,H.J,et al.,Blood(19
91)77:1787-1795)。幾人かは、急速な分解が起きる前に最初のエンドヌクレア
ーゼ攻撃が必要とされると仮定している(Nielson,D.A.and Shapiro,D.J.
,Mol.Endocrlnology(1990)4:953-957)。
タンパク質を生産するために特定のmRNAの生体内における半減期を延長す
る方法が必要とされ、また植物および動物で使用するための遺伝子制御のオリゴ
ヌクレオチド法(アンチセンスおよび三重螺旋)が必要とされる。さらに、mR
NA要素の安定化は、アンチセンスオリゴヌクレオチドに加えて、リボザイムに
も適用することができる。
〔発明の概要〕
本発明は、TNF−α・mRNAに対する活性な化合物を開示する。更に、一
つ又は複数の内因性タンパク質によって、RNAに生体内での安定性を付与する
ことが可能なRNA分
子を開示する。安定化される得るRNA分子には、リボザイム、アンチセンス分
子、タンパク質の生産に有用なポリペプチドをコードするmRNAおよびその他
の細胞性RNAが含まれる。この明細書に記載されるリボザイムおよびアンチセ
ンス分子は、動物および植物において有用であり、特に、ウイルス性疾患に適し
ている。製造方法および使用方法も開示される。
〔図面の簡単な説明〕
図1:TNF−α RNAテンプレートを有するリボザイムA、BおよびIIの
塩基の組み合わせ(配列番号15−18)
リボザイムAは、Haseloff & Gerlach(1988)に記載されているように、保全
リボザイム配列、TNF−α RNAヌクレオチド374および393に相補的な5′
および3′フランキング配列(ナンバリングについてはPennica et al.,(Natur
e(1984)312:724-729)を参照)、およびCUミスペア(C)を有するバクテリ
オファージT7転写ターミネータ(Rosenberg et al.,Gene(1987)56:125-13
5)からなる。リボザイムBは、T7転写ターミネータを欠くことを除いてAと
同一である。リボザイム11は、9および11塩基対のハイブリダイズするアームを
有する、リボザイムBの短縮版である。アンチセンスRNAは、触媒ドメインの
代わりに単一のグアノシンヌクレオチドを有することを除いてリボザイムAと同
一である。抗TNF−αハンマーヘッド触媒遺伝子およびアンチセンスRNAコ
ントロールは、Sioud & Drlica((1991)Proc.Natl.Acad,Sci.,USA88:7303
-7307)によって記述された通りに作製された。簡潔に述べると、バクテリオフ
ァージT7RNAポリメラーゼプロモータ、リボザイムの5′および3′認識配列
、触媒ドメインおよびT7転写ターミネータの配列を含む2つの重複する半オリ
ゴヌクレオチドを合成し(Xbal制限部位をT7ターミネータとリボザイムの3′
末端との間に、PvuIIおよびXhoI部位をリボザイム配列の5′および3′末端にそ
れぞれ導入した)、ハイブリダイズさせた後、DN
Aポリメラーゼのクレノーフラグメントで伸長させた。伸長に続いて、DNAを
フェノールで抽出し、エタノールで沈殿させ、ゲル精製した後、Smal開裂pUC
18ベクターにクローニングした。重複プライマーの配列(公衆衛生研究所、New
York 10016、N.Y.)は以下の通り用いた:
(1)リボザイムプライマー(配列番号19−22):
(2)アンチセンスプライマー:
図中、下線を付した配列は、DNAテンブレート中の制限部位の存在の結果生じ
たものである。リボザイムAおよびBとは異なり、リボザイムIIはこれらの配列
を欠いている。したがって、安定性のために制限配列を必要とすることはない。
しかしながら、これら3つの全てのリボザイムはイン・ビボにおいて安定であり
、タンパク質に結合する。
図2a−2b:(A)イン・ビトロRNA転写体および(B)イン・ビトロ活
性
(A)リボザイムA、BおよびTNF−αアンチセンスのイン・ビトロ転写。
T7RNAポリメラーゼを用いて、組換えプラスミドから開裂したPAGE精製
テンプレートDNA断片から、(Uhlenbeck,O.,Nature(1987)328:596-600)
によって記述された通りにリボザイムおよびアンチセンスRNAを転写した。転
写の過程で、RNAを[α32p]CTPで内部的に標識した。全ての場合におい
て、7-メチルグアノシン(5′)トリホスホ(5′)グアノシンで転写を開始し
た。転写体をDNAse(RNAse非含有)で処理し、フェノールで抽出し、エタ
ノールで沈殿させた後、7M尿素を含有する15%ポリアクリルアミドゲルにおけ
る電気泳動によって分析した。リボザイムA、Bおよびアンチセンスの長さは、
それぞれ、97、49および76ヌクレオチドである。(B)イン・ビトロにおけるT
NF−α RNAの開裂。PBMNC細胞をPMAおよびConAで刺激してT
NF−αタンパク質を発現させる。全細胞RNAを抽出し、このRNA(20μg
)をリボザイムまたはアンチセンスRNAのいずれか1μgと50℃で60分間イン
キュベートした。その後、ゲル電気泳動によりRNA種を分離し、TNF−α
RNAをノーザンブロッティングにより同定した(kb=103塩基)。
図3a−3c:形質導入後のリボザイム安定性
RNA安定性に対するバクテリオファージT7転写ターミネータの効果を、H
L60細胞にリボザイムAおよびBを共形質導入することにより比較した。全RN
Aを抽出し、7M尿素を含有する15%(w/v)ポリアクリルアミドゲルにおい
て電気泳動することにより分析した。リボザイムAは形質導入後72時間を越えて
も検出可能であったのに対して、リボザイムBの量は徐々に減少した(図3(a
))。その後、各バンドに含まれる放射活性を測定し、結果をゼロ時間での放射
活性に対する割合として表わした。図3(c)は、リボザイムBがリボザイムA
よりも急速に劣化することを示している。形質導入後72時間でのリボザイムAお
よびBの残留放射活性は、それぞれ57%および18%であった。アンチセンスRN
Aコントロール(触媒ドメインを欠くリボザイムA)の安定性は、リボザイムA
に似ている(データは示さず)。このように、リボザイムの3′末端へのバクテ
リオファージT7 ターミネータの付加は、その安定性を増加させる。
また、細胞質および核RNAを分析することにより、HL60細胞におけるリボ
ザイムAの区分けも研究した。図3(b)(レーンNおよびC)に示されるよう
に、リボザイムAは、核内に優先的に存在する。
20%(v/v)仔ウシ血清(FCS)が補足されたRPMI1640中で増殖して
対数増殖期にある1000万のヒトHL6O細胞(ATCC CCL 240)をRNA
形質導入に用いた。細胞を、血清非含有培地で2回洗浄した。血清非含有培地1
滴(5ml)、次いでリポフェクチン(Bethesda Research Laboratories)35μ
gをポリスチレンチューブに入れた。キャリアRNA(大腸菌tRNA)10μg
。3×106 disintsmin のキャップされた32P標識リボザイムA、Bまたはアン
チセンスRNA(5μg)。この混合物を直ちに混合した。
血清非含有培地リポフェクチン/RNA/キャリアRNAの混合物中に細胞を再
懸濁させ、インキュベータに20時間戻した。形質転換に続いて、ハンクス緩衝生
理食塩水で3回洗浄し、その後、20%FCSで補足されたRPMIと共にインキ
ュベータに戻した。各レーンの上に示される時間で細胞(106)を収集し、全R
NAを調製して、7M尿素を有する15%ポリアクリルアミドゲルで分析した。形
質転換に用いられたRNAサンプルは、図3の頂部に示されている。リボザイム
Bのみは、共形質導入実験において、その位置を示すマーカーとして機能する。
(b)核(N)および細胞質(C)RNAの分析。標識され、キャップされたリ
ボザイムAのサンプル(50μM)を、HL60細胞の形質導入に20時間用いた。細
胞を3回洗浄し、核および細胞質RNAを調製して、ゲル電気泳動により分析し
た。細胞質および核の画分を調製するために、細胞を10mMトリス・HCl(p
H7.5)中にホモジナイズした。4℃で10分間、5mM KCl、140mM Na
Cl、5mMジチオスレイトールおよび0.49%(w/v)ノニデットP40(Noni
det P40)、並びに800gで5分間遠心することにより核を収集した。上清液中の
RNAは沈殿させ、細胞質画分として保存した。核は、Chomezynski & Sacchi(
1987,Anal.Biochem.162:156-160)が記述する通りに処理して全RNA調製物
とした。矢印は、リボザイムAモノマーの位置を示す。(c)RNA定量を示す
一実験。(a)に示されるリボザイムバンド中の放射活性の移動量を決定し、20
時間の形質導入期間の直後に存在する放射活性に対する割
合として表わした。□リボザイムA:◆リボザイムB。
図4:HL60細胞中におけるリボザイムA、BおよびIIの安定性
50を越える実験により(Mean of more 50experiments)、DOTMAカチオン
性リポソーム介在形質導入を用いて、リボザイムを細胞に導入した。形質導入に
続いて、細胞を洗浄し、完全培地中に再懸濁した。培養物1mlに含まれる細胞
を様々な時間で収集した。全RNAを調製した後、7M尿素を含む15%ポリアク
リルアミドゲルにより分析した。リボザイム放射活性の量をアクチンmRNAま
たはリボゾームRNAに標準化し、ポスト形質導入時間の16時間後に存在する放
射活性に対する割合として表わした。これらの実験は、ただ一回の実験である図
3(c)に対して、ある時点については50回繰り返した。さらに、図3(c)の
再実験はリボザイムAおよびBと平行な曲線を示し、これはリボザイムBと同様
の安定性であることを示している。
図5a−5b:イン・ビボにおけるリボザイム活性
形質導入期間(20時間)の後の、HL60細胞内でのリボザイムおよびアンチセ
ンスRNA活性を分析した。リボザイムAまたはアンチセンスRNAでの形質導
入に続いて、細胞を6時間刺激してTNF−αを発現させた。RNAを抽出し、
1-2%(w/v)アガロース・ホルムアルデヒドゲルを通してゲル電気泳動する
ことにより分離して、放射活性プローブを用いるノーザンブロッティングによっ
てTNF−α遺伝子を検出した。末梢血単核球PBMNCの場合には、TNF−
αブローブとハイブリダイズさせた後、フィルターを細長く切断し、アクチンプ
ローブ(British Biotechnology Limited)とハイブリダイズさせた。細胞を分
離し(Sioud et al.,1990)、ハンクス緩衝生理食塩水で4回、並びに血清非
含有培地で3回洗浄した。細胞(106)に形質導入し、HL60細胞と同様に処理
した。レーン1および4、(キャリアRNA 1μg 大腸菌tRNAでのみ形
質導入された)コントロール;レーン2、アンチセンスRNA;レーン3および
5、リボザイムA。このオートラジオグラムは、リボザイムAレーンにおけるT
NF−αシグナルを表示するために、過剰露光した。(b)TNF−αタンパク
質に対するラジオイムノアッセイ。刺激工程の間にイオノマイシンを用いて、培
地中にTNF−αタンパク質を放出させた。培地中に存在するTNF−αタンパ
ク質の量を、TNF−α[125I]アッセイシステム(Amersham)を用いて測定
した。レーン1ないし5は、それぞれ図5(a)および5(b)のレーン1ない
し5に対応する。
図6a−6b:HL60細胞におけるリボザイムBおよびIIの免疫染色
図6aは、転写の間にジゴキシゲニン結合ウリジンかりボザイムに取り込まれ
たことを示す。細胞にジゴキシゲニン結合リボザイムを形質導入した。形質導入
に続いて、顕微鏡スライドを調製し、その後、抗ジゴキシゲニン−フルオレセイ
ンFab結合体を用いて細胞内部のリボザイムを検出した。図6bは、蛍光発光
細胞の写真を示す。
図7a−7c:TNF−αリボザイムBおよびIIを用いる、HL60細胞および
PBMNC由来の細胞質抽出物のゲル遅延アッセイ(gel retardation assay)
A)リボザイムIIを、抽出タンパク質と共に、RTで25-30分間インキュベー
トし(レーン2、3、4および5)(下記参照)、またはインキュベートせず(
レーン1)に、電気泳動で分析した(25μgオリゴ+5μg細胞質抽出物(CE
))。レーン4および5は、RNAsin 20ユニットを加えたことを除いて、それ
ぞれレーン2および3と同様である。レーン4および5に見られる複合体は全て
レーン2および3で観察することができた(オリジナルフィルム)。
B)従来記載されている通り(Sioud,et al.,1992)のイン・ビトロ転写に
よって25ngのTNF−αリボザイムIIを生成させ、これを、材料および方法に
おいて既述した通りにHL60もしくはPBMN細胞から調製した細胞質抽出物(
CE)と共に、室温で25分間インキュベートした。インキュベーションに続いて
、タンパク質リボザイム複合体を4%純粋ポリアクリルアミドゲルで分離した。
レーン1:CEなしのコントロール;レーン2:+5μgのHL60細胞由来CE
;レーン3:さらに1μgのtRNAを加えたこと以外はレーン2と同じ;レー
ン4:さらに10ユニットのRNase阻害剤を加えたこと以外はレーン3と同じ;
レーン5:電気泳動の前にサンプルをプロテイナーゼKで処理したこと以外はレ
ーン4と同じ;レーン6:5μgのPBMN細胞由来のCEを加えたこと以外は
レーン1と同じ;レーン7:1μgを
越えるtRNAを加えたこと以外はレーン6と同じ;レーン8は、高分子複合体
から回収されたリボザイムRNAを含む(この複合体は1つの調製ゲルから切り
取られ、物質は溶出された後フェノール抽出された)。
C)リボザイムBを用いたゲル遅延:パネルAに示すように、リボザイムBお
よびHL60細胞から調製されたCE5μgと共にインキュベートしたもの(レー
ン2)。
図8:競合アッセイ
25ngのリボザイムIIを、図5において記述したHL60細胞もしくはPBMN
由来の細胞質タンパク質5μgと共にインキュベートした。レーン1はCEなし
のコントロール、レーン2はレーン1と同様であるが、HL60細胞由来のCE5
μgおよびポリdCdI 2500ngの両者が添加されており;レーン3はレーン
2と同様であるが、ポリdCdIの代わりに2500ngの冷リボザイムが添加され
ており;レーン4はレーン3と同様であるが、500倍過剰の冷リボザイムが添加
されており;レーン5はレーン1と同様であるが、PBMN由来のCE5μgが
添加されており;レーン6、7、8はレーン5と同様であるが、それぞれ300、4
00もしくは500の冷リボザイムが添加されている。
図9:インターロイキン2(IL−2)リボザイムおよびTNF−αリボザイ
ムまたはアンチセンスの5末端に連結したIL−2リボザイムの推定二次構造(
配列番号23-25)。
図10a−10c:IL−2リボザイムを用いた細胞質抽出物のゲル遅延アッセイ
A)イン・ビトロ転写によって生成したIL−2リボザイム25ngをHL60細胞
由来のCEと共にインキュベートした;レーン1はCEなしのコントロール;レ
ーン2はHL60細胞由来のCEを伴う。
B)IL−2を、HL60細胞由来のCEの代わりに、PBMN細胞由来のCEと
共にインキュベートした(レーン2)。
図11a−11c;ゲル遅延およびUV架橋実験
A)イン・ビトロ転写によって生成したTNF−αリボザイムII 50ngを、
PBMN細胞から調製した細胞質抽出物(CE)と共に、室温で25分間インキュ
ベートした。インキュベーションに続いて、タンパク質リボザイム複合体を6%
純粋ポリアクリルアミドゲルで分離した。レーン1はCEなしのコントロール;
レーン2:+PBMN細胞由来のCE1 5μg;レーン3:+PBMN細胞由
来のCE2 5μg。レーン4および5はそれぞれレーン2および3と同様であ
るが、電気泳動の前にプロテイナーゼKで15分間処理している。CE1およびC
E2は2種類の異なる細胞質タンパク質調製品に相当する。
B)Aと同様のパネルであるが、過剰露光されている。
C)矢印で示される複合体を含むゲルの領域を純粋ゲルから切断し、UVに30
分間さらしてトリス緩衝液中に浸漬し、リボヌクレアーゼT1で処理して10%S
DSポリアクリルアミドゲル上で分析した。
図12A:IL−2、TNF−αリボザイムの5′に連結したIL−2連結リボ
ザイム(IL-2 linked ribozyme)を用いた
ゲル遅延
TNF−αリボザイム、IL−2リボザイム、TNF−αリボザイムの5′に
連結したIL−2リボザイムまたはTNF−αアンチセンスの5′に連結したI
L−2 50ngを、PBMN細胞から調製した2種類の異なる細胞質抽出物(C
E1およびCE2)と共に、室温でインキュベートした:
レーン1:TNF−αリボザイム−コントロールとしてのCE;レーン2:T
NF−αリボザイム+CE;レーン3:IL−2リボザイム−コントロールとし
てのCE;レーン4:IL−2リボザイム+CE;レーン5:IL−2リボザイ
ム+CE2;レーン6:TNF−αの5′末端に連結したIL−2リボザイム−
CE:レーン7:TNF−αの5′末端に連結したIL−2リボザイム+CE1
;レーン8:TNF−αリボザイムの5′末端に連結したIL−2リボザイム+
CE2。
図12B:TNF−αアンチセンスの5′に連結したIL−2を用いたゲル遅延
レーン1:TNF−αアンチセンスに連結したIL−2リボザイム−CE;レ
ーン2および3:TNFアンチセンスに連結したIL−2+各々、2μgのCE
1または5μgのCE。
図13A−13B:A)TNF−αリボザイムに連結したT7ターミネータの椎定
二次構造 B)TNF−αリボザイムの3′末端に連結したTNF−αアンチセ
ンス(配列番号26−27)★アンチセンス分子の折り畳みを得るために、連結部に
2つのAを加えた。
図14A:TNF−αリボザイムまたはTNF−αリボザイムに連結したTNF
アンチセンスを用いるゲル遅延
イン・ビトロ転写によって生成したTNF−αリボザイムIIまたはTNFリボ
ザイムに連結したTNFアンチセンスを、PBMN細胞から調製した細胞質抽出
物(CE)と共に、室温で25分間インキュベートした。
レーン1:TNF−α−コントロールとしてのCE;レーン2:TNF−α+
CE;レーン4:TNF−αリボザイムに連結したTNFアンチセンスーコント
ロールとしてのCE;レーン5および6はレーン4と同様であるが、それぞれ、
CE1およびCE2と共にインキュベートした。
図14B:競合実験
レーン1:コントロール−CE;レーン2+CE;レーン3はレーン2と同様
であるが、300過剰の冷TNF−αリボザイムを反応に加え、レーン4はレーン
wと同様であるが、500の冷TNF−αリボザイムを反応に加えた。
図15A−15B:A)IL−2リボザイムおよびB)TNF−αリボザイムの3
′末端に連結したIL−2リボザイムの椎定二次構造(配列番号28−29)。
図16:IL−2リボザイムまたはTNF−αリボザイムの3′に連結したIL
−2リボザイムのゲル遅延
イン・ビトロ転写によって生成したIL−2およびTNF−αの3′に連結し
たIL−2リボザイム 50ngを、細胞質抽出物と共に、あるいは細胞質抽出物
なしで、室温で25分間インキュベートした。
レーン1:IL−2リボザイム−コントロールとしてのCE;レーン2はレー
ン1と同様であるが、+CEである;レーン3:TNF−αリボザイムの3′末
端に連結したIL−2リボザイム−コントロールとしてのCE;レーン4はレー
ン3と同様であるが、+CEである。IL−2リボザイムおよびTNF−αに連
結したIL−2の電気泳動移動度は、おそらく分子内相互作用のために、再現性
がなかった。
図17A−17B:A)5′末端が丸められたTNF−αリボザイムおよびB)3′
末端か丸められたTNF−αリボザイムの推定二次構造(配列番号30−31)。
図18A−18D:TNF−αリボザイム、3′もしくは5′が丸められたTNF−
αリボザイムおよびインテグラーゼリボザイムを用いるゲル遅延
A)イン・ビトロ転写によって生成したTNF−αリボザイム、3′もしくは5
′が丸められたTNF−αリボザイムおよびインテグラーゼリボザイム50ngを
、PBMN細胞から調製した細胞質抽出物(CE)と共に、室温で25分間インキ
ュベートした。
レーン1:TNF−αリボザイム−CE;レーン2:TNF−αリボザイム+
CE;レーン3:3′が丸められたTNF−αリボザイム−コントロールとして
のCE;レーン4:+CE以外はレーン3と同様;レーン5:5′が丸められた
TNF−αリボザイム−コントロールとしてのCE;レーン6:+CE以外はレ
ーン5と同様;レーン7:インテグラーゼリボザイム−コントロールとしてのC
E;レーン8:+CE以
外はレーン7と同様。
B)パネルAと同様であるが、過剰露光されている。
C)レーン1:5′が丸められたTNF−αリボザイム−コントロールとして
のCE;レーン2はレーン1と同様であるが、+CEである;レーン3:インテ
グラーゼリボザイム−コントロールとしてのCE;レーン4はレーン3と同様で
あるが、+CEである。
D)イン・ビトロ転写によって生成した、3′が丸められたTNF−αリボザ
イム25ngを、異なる型の細胞から調製した細胞抽出物と共に、室温で25分間イ
ンキュベートした。
レーン1:−コントロールとしてのCE;レーン2:PBMN細胞から調製さ
れたCEと共にインキュベートした以外はレーン1と同様;レーン3:HL60細
胞から調製されたCEとインキュベートした以外はレーン1と同様;レーン4:
CE以外はレーン1と同様であり、このCEはWH164細胞から調製されたもの
である。
図19:TNF−αリボザイムB(配列番号32)およびTNF−αリボザイムII
上のタンパク質の潜在的連結部位
図20:IL−2リボザイムおよびTNF−αリボザイムの3′末端に連結した
IL−2リボザイムのイン・ビボ活性
図21A−21B:TNF−αリボザイムおよびTNF−αリボザイムの3′末端
に連結したTNF−αアンチセンスのイン・ビボ活性
A)形質導入時間6および12時間での細胞毒性アッセイ
B)ラジオイムノアッセイによるTNF−αレベルの定量
図22:CTLL2アッセイによるIL−2のイン・ビボレベルの定量(詳細な
説明を参照)
図23:IL2遺伝子発現に対するTNF−αリボザイムおよびアンチセンスの
影響
〔発明の詳細な説明〕
ここに説明される本発明は、TNF−αリボザイムまたは下記の構造(配列I
D番号1)を有する化合物に関する。
ここで、各Xは同一または異なるリボヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチド
であって、その糖、リン酸または塩基が修飾または置換され得るリボヌクレオチ
ドまたはデオキシヌクレオチドを表し;A,C,UおよびGの夫々はリボヌクレ
オチドを表し、またa,c,u(t)およびgの夫々は、その糖、リン酸または
塩基が修飾もしくは非修飾、または置換され得るリボヌクレオチドまたはデオキ
シリボヌクレオチドを表し;(X)nおよび(X)n′の夫々は、所定の配列を有
するオリゴヌクレオチドを表し;nおよびn′の夫々は0〜100の整数を表し;
夫々の★は、その両側に位置するヌクレオチドの間の塩基対形成を表し;夫々の
実線は、その両側に位置するリボヌクレオチド間に共有結合を与える化学的結合
を表し;aはリボヌクレオチドの数を定義する整数を表し[但し、aは0または
1であり得、もし0であるときは、(X)aの5′側に位置するAは(X)aの3
′側に位置するXと結合する];mおよびm′の夫々は1以上(典型的には100
以上)の整数を表し;夫々の断続線(dashed line)は
独立に、その両側に位置するヌクレオチドの間に共有結合を与える学的結合、或
いはこのような化学的結合の不存在を表し;(X)bは存在し又は不存在であり
得るオリゴヌクレオチド[但し、(X)bが存在するときは、bは2以上の整数
を表す]を表す。
このような化合物は、TNR−αをイン・ビボで開裂するためにターゲッティ
ングされる。該化合物がイン・ビボにおいてTNF−α・mRNAとハイブリダ
イズするように十分な相補性が維持されるとすれば、ハイブリダイズ性のアーム
、即ち、ggu(t)ccgu(t)cA、並びにu(t)cu(t)agu(
t)agaa(配列ID番号2)における部位指向性の突然変異が可能である。
また、DNAアームおよびRNA触媒領域を含む化合物である限り、全てのRN
A化合物は本発明の一部である。
(X)nまたは(X)n′が存在しない化合物もまた、本発明の一部である。上
記化合物の一つの形態は、下記の構造(配列ID番号3)を有している。
ここでのヌクレオチド類は上記に定義した通りである。該化合物の全てのRNA
バージョンもまた説明される。更に、該
化合物は下記の構造(配列ID番号4)を有し得る。
ここで(X)nはオリゴヌクレオチドを表す。
更に、該化合物は下記の構造(配列ID番号27)を有し得る。なお、ここで
の3′末端は、TNF−αの異なった標的にターゲットされるTNF−αアンチ
センス分子である。
本発明には更に、下記の構造を有する多リボザイム化合物が含まれる。
3′−[−(Z)r−Q−(Z)s−]z−5′
ここで、夫々のQは、同一または異なり得る上記の化合物を表し;夫々のZは、
同一または異なり得るリボヌクレオチド
またはデオキシヌクレオチドであって、その糖、リン酸または塩基が修飾または
置換され得るリボヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチドを表し;rおよびs
の夫々は0以上の整数を表し;zは1以上の整数を表す。
更に、本発明は、問題のmRNAの細胞間での分解の速度を低下させ、mRN
Aの定常状態レベルを増大させることによって、タンパク製造を増大させるため
の化合物および方法に関する。このような化合物および方法は、リボザイムおよ
びアンチセンスRNAの安定性を増大するために有用であり、従って効果的であ
る。また、本発明の化合物および方法は、転写に利用可能なmRNAの量を増大
することによって、タンパク製造を増加するために利用することができる。
リボザイムは、RNA開裂反応を触媒することができるRNAである。最も単
純で且つ最も普通に使用されるのは、保存された触媒ドメインと、基質RNAに
ハイブリダイズする隣接配列(flanking sequences)とを含んだハンマーヘッド
型のリボザイムである(Haseloff et al.PCT国際公開第WO89/05852 号)。
ハンマーヘッド型リボザイムは、開裂を受けるべきXUXトリプレットを含んだ
何れのRNA配列に対してもターゲッティングされ得る。幾つかの研究によって
、これらのリボザイムはイン・ビボで標的RNAを開裂し、タンパクの発現を抑
制できることが立証されている。他の分類のリボザイムは、テトラヒメナIVS
(グループIイントロン)(1988年4月26日に発行されたCech et al.の米国特
許第4,740,463号)、RNAseP(Altman et al.PCT国
際公開第WO 92/03566 号)、肝炎デルタリボザイム(例えば、Blumenfeld et al
,PCT国際出願第WO/90/05157号)およびヘアピンリボザイム(欧州特許出願
第EP 360,257号、Hampel et al.,Nuc.Acids Res.(1990)18:299-304)。
ここに権利請求された発明の安定化mRNAは、文献中の方法を用いて、例え
ばT7ターミネータ、ρ独立性ターミネータ、cry要素(1987年5月19日に発
行されたGelfand et al.の米国特許第4,666,848 号)またはTrpEターミネ
ータのような3′上の転写ターミネータを用いることによって、更に安定化され
得る。更に、ポリ(A)追加信号AATAAAのような配列を添加することや、
3′非コーディング領域の長さを変化させるとを含む戦略が可能である(1992年
9月22日に発行されたGilliesの米国特許第5,149,635号を参照されたい)。これ
らの技術は、リボザイム、アンチセンスまたはタンパクを製造する目的で、mR
NAを安定化するために用いることができる。
具体的には、本発明は、(X)nおよび(X)n′で表される問題の単鎖RNA
に対して安定性を付与することができる、下記の構造(配列ID番号5)を有す
るRNA分子を包含する。
ここで、各Xは同一または異なり得るリボヌクレオチドを表し;(X)nおよび
(X)n′の夫々は、所定の配列を有するオリゴヌクレオチドを表し;nおよび
n′の夫々は0〜1000の整数を表し;夫々の★は、その両側に位置するリボヌク
レオチドの間の塩基対形成を表し;夫々の実線は、その両側に位置するリボヌク
レオチド間に共有結合を与える化学的結合を表し;aはリボヌクレオチドの数を
定義する整数を表し[但し、aは0または1であり得、もし0であるときは、(
X)aの5′側に位置するAは(X)aの3′側に位置するXと結合する];mお
よびm′の夫々は、1以上(典型的には100以上)の整数を表し;(X)bはオリ
ゴヌクレオチド[但し、bは2以上の整数を表す]を表す。
本発明の他の態様は、下記の構造(配列ID番号6)を有するRNA分子であ
る。
ここで、各Xは同一または異なり得るリボヌクレオチドを表し;G★は存在して
も存在しなくてもよく;(X)nおよび(X)n′は上記で定義した通りである。
上記のように、夫々TNF−αリボザイム構造またはTNF−αアンチセンス
構造における、GGUCCGUCAおよびUCUAGUAGAA(配列ID番号
7)において、部位指向性の突然変異が可能である。これらのアームはイン・ビ
ボでRNA結合と結合するから、著しい多様性が可能である。3′または5′末
端のアームを欠失した化合物もまた、ここ
に記載する発明に包含される。好ましくは、5′末端のアームが欠失される。ま
た好ましくは、該化合物はTNF−αリボザイムの3′末端に結合される。一つ
の態様においては、TNF−αリボザイムの3′末端の複数のバージョンが、安
定化要素として使用される。
本発明の一態様において、(X)nまたは(X)n′は少なくともーつのリボザ
イムをコードする。該リボザイムはヘアピン型リボザイム、RNAaseP型リ
ボザイム、より好ましくはハンマーヘッド型リボザイムであり得る。(X)nま
たは(X)n′が少なくともーつのハンマーヘッド型リボザイムをコードする場
合、これは下記の構造(配列ID番号8)を有し得る。
ここで、XおよびYの夫々は、同一または異なり得るリボヌクレオチドを表し;
(Y)pおよび(Y)p′の夫々は、開裂されるべきRNA標的配列とハイブリダ
イズすることができる所定の配列を有するオリゴヌクレオチドを表し;pおよび
p′の夫々は、前記オリゴヌクレオチドにおけるリボヌクレオチド数を定義する
整数[但し、p+p′の和は前記リボザイムを前記RNA標的配列にハイブリダ
イズさせるために十分な数である]を表し;(X)nおよび(X)n′の夫々は、
所定の配列を有するオリゴヌクレオチドを表し;夫々の★は、その両側に位置す
るリボヌクレオチドの間の塩基対形成を表し;夫々の実線は、その両側に位置す
るリボヌクレオチド間に共有結合を与える化学的結合を表し;aはリボヌクレオ
チドの数を定義する整数を表し[但し、aは0または1であり得、もし0である
ときは、(X)aの5′側に位置するAは(X)aの3′側に位置するXと結合す
る];mおよびm′の夫々は、1以上の整数を表し;(X)bはオリゴヌクレオ
チド[但し、bは2以上の整数を表す]を表す。
本発明の態様において、RNA分子は以下の構造(配列ID番号9,10)を
有し得る。
または
本発明の更なる態様においては、以下の構造(配列ID番号11〜13)を有
し得る。
または
上記の特定のIL-2リボザイムについて、当業者は他のリンカーが可能であるこ
とを認識するであろう。
或いは、(X)nまたは(X)n′は、下記の構造を有し得る。
ここで、夫々のYは同一または異なるリボヌクレオチドま
たはデオキシヌクレオチドであって、その糖、リン酸または塩基が修飾または置
換され得るリボヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチドを表し;(Y)nおよ
び(Y)n′はオリゴヌクレオチド(nおよびn′は該オリゴヌクレオチドにお
けるヌクレオチド数を限定する整数である)であって、開裂されるべき所定のR
NA標的配列とハイブリダイズするように、該RNA標的配列に対して十分に相
補的な所定の配列を有ししており、また前記RNA標的配列が当該化合物内には
存在していないようなオリゴヌクレオチドを表し;Nはアデニン、グアニン、シ
トシンまたはウラシルであり;夫々の実線は、その両側に位置するリボヌクレオ
チド間に共有結合を与える化学的結合を表し;Mは2〜20の整数を表し;ヌクレ
オチド(Y)mは当該化合物内の他の何れのヌクレオチドともワトソン・クリッ
クの塩基対を形成していない。
本発明の他の態様は、ポリペプチドをコードするmRNAを安定化するために
も用いられ得る上記のRNA分子である。特に、該RNA分子は、工業的または
商業的に重要なタンパクの製造に有用である。このような多くのタンパクは既に
商業的に入手可能であるか、或いは商業的に開発されている最中である。かかる
タンパクの例には、ヒトおよび動物の成長ホルモン、組織プラスミノーゲン活性
化剤、エリスロポエチンおよびVIII因子が含まれる。
本発明は、細胞培養系、特に培養で増殖しているCHO細胞のような動物細胞
培養系において、このようなタンパクの製造を改良するために用いられ得る。そ
れによって、かかる
タンパクの商業的製造に含まれる実質的なコストを低減できるであろう。
本発明の他の態様は(X)nまたは(X)n′、即ち標的を開裂することができ
るリボザイムである。或いは、(X)nまたは(X)n′は、哺乳動物または植物
に固有のRNAとハイブリダイズすることができ、これを不活性化することがで
きるアンチセンス配列である(植物については、1992年4月21日に発行されたSh
ewmaker et al.の米国特許第5,107,065号を参照されたい)。更に、このリボザ
イム配列またはアンチセンス配列の標的は、サイトメガロウイルス、肝炎ウイル
ス、ヘルペスウイルス、HIV、EBV、パピローマウイルス、サイトメガロウ
イルス、鼻炎ウイルス、インフルエンザウイルス、水痘-帯状庖疹ウイルス、パ
ラインフルエンザウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、呼吸器系シンシチウムウ
イルス(respiratory syncytial virus)、アデノウイルス、麻疹ウイルス、風
疹ウイルス、ヒトパルボウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス、エコーウイ
ルス、アルボウイルス、またはヒトT細胞白血病リンホーマウイルスのようなウ
イルス標的を含むウイルス遺伝子であり得る。
本発明はまた、上記の化合物およびRNA分子の製造方法として具現され、こ
の方法は、(a)DNA、RNAまたはこれらの組み合わせからなる導入ベクタ
ー中に、前記化合物に対応するヌクレオチド配列を連結する工程と;(b)RN
Aポリメラーゼを用いて、工程(a)のヌクレオチド配列を転写する工程と;(
c)前記化合物を回収する工程とを具備
する。本発明にはまた、転写に際して上記の化合物またはRNA分子を生じるヌ
クレオチド配列を含んだ、RNAもしくはDNAまたはこれらの組み合わせから
なるバクテリア性またはファージ性の導入ベクターが含まれる。
更に、クローン化された真核細胞DNAを、培養された哺乳動物細胞中に導入
するための多くの方法が開発されている(Sambrook et al.,Molecular Cloning
:A Laboratory Manual 2ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press 1989):
即ち、リン酸カルシウムまたはEDTA-デキストランに媒介されたトランスフ
ェクション;ポリブレン(Polybrene);プロトプラスト融合;電気穿孔;およ
び核への直接的なマイクロインジェクションである。
本発明は、TNF−αの過剰発現に関連した疾病を治療する方法であって、患
者に対して、TNF−αの過剰発現を低減して前記疾病を治療するように、有効
量のTNF−αリボザイムを投与することを具備した方法を提供する。このよう
な疾病には、リウマチ性関節炎、AIDS、敗血症性ショック、移植片-宿種性
の疾患、癌に付随した悪液質および自己免疫疾患が含まれる。
本発明はまた、上記のRNA分子を用いて、特定のRNA標的配列を開裂しま
たは不活性化する方法を提供する。このようなRNAは、哺乳動物または植物に
固有のものであり得る。これは、HIVのようなウイルス遺伝子をターゲッティ
ングするために特に適している(1989年2月21日に発行されたGoodchild et al
.の米国特許第4,806,463号を参照のこ
と)。
ここで説明した化合物および方法において、(X)nおよび(X)n′の5′末
端および3′末端は、エンドヌクレアーゼを分解から安定化するために修飾され
得る。例えば、末端からのヌクレアーゼ攻撃、特に3′−5′進行性のエクソヌ
クレアーゼ活性を防止するために、ブロック基が追加され得る。例えば、ブロッ
ク基は任意に置換されたアルキル、任意に置換されたフェニル、任意に置換され
たアルカノイルから選択され得る。任意の置換基は、C1〜C5アルコキシ等か
ら選択され得る。或いは、末端ブロック基として、ヌクレアーゼの攻撃に対して
抵抗性であるホスホロチオエート、メチルホスホネート若しくはホスホロアミデ
ートのようなヌクレオチド類縁体、またはヌクレオシド誘導体(例えば、リボー
ス部分のαアノマー)を用いてもよい。
或いは、他のヌクレアーゼに対する当該エンドヌクレアーゼ分子の感受性を変
化させる非核酸基が、該エンドヌクレアーゼの3′および/または5′末端に挿
入され得る。例えば、該エンドヌクレアーゼに結合した9-アミノ-アクリジンは
、当該エンドヌクレアーゼに対するヌクレアーゼ攻撃に対する抵抗性を生じさせ
るための末端ブロック基とし、および/またはエンドヌクレアーゼ活性を補助す
るための挿入剤として作用し得る。種々の他の化学基、例えばスペルミンまたは
スペルミジンが関連した仕方で使用され得るであろうことは、容易に承認される
であろう。
本発明のエンドヌクレアーゼは、基質ヌクレオチド配列に
対する結合親和性を修飾し、または標的細胞に対する親和性もしくは細胞分画に
おける局在性を増大させるために、タンパク、ステロイド、ホルモン、脂質、核
酸配列、挿入分子(例えば9-アミノアクリジンのようなアクリジン誘導体)等の
親和性剤に共有結合的または非共有結合的に結合され得る。例えば、本発明のエ
ンドヌクレアーゼは、標的配列のハイブリダイゼーションおよび開裂が起こり得
るように、該エンドヌクレアーゼを標的核酸に対して並列にすることを補助し得
るRNA結合性のペプチドまたはタンパクに結合され得る。ヌクレオチド配列は
、基質に対する親和性を増大するために、(X)n基および(X)n′基の5′末
端および3′末端に組み込まれ得る。このような追加のヌクレオチド配列は、標
的配列と共に三重螺旋を形成することができ(Strobel,S.A.,et al.,(1991
),Nature 350:172-174、およびその中で参照として記載されている参考文献)
、これは分子内的に折り畳まれた基質との相互作用を可能にする。或いは、上記
追加のヌクレオチド配列内の修飾された塩基(非天然の塩基または既出の核酸構
造の原理(Principles of Nucleic Acid Structure)に記載されているようにし
て修飾された塩基)を使用し得る。これは、基質内のヌクレオチドと共に塩基の
ペア相互作用、トリプレット相互作用またはカルテット相互作用を生じる単鎖D
NAまたは二本鎖DNAに会合するであろう。適切な塩基には、イノシン、5′-
メチルシトシン、5′-ブロモウラシルおよび当該技術で周知の他の塩基、例えば
上記「核酸構造の原理」に記載されているものが含まれる。
合成によるmRNAの製造は周知である(Sambrook et al.,Molecular Clonl
ng:A Laboralory Manual 2ed.Cold Sprlng Harbor Laboralory Press 1989を
参照のこと)。TNF−αリボザイムのための修飾された塩基対を伴なうDNA
-RNA混合オリゴマーは、アプライド・バイオシステムズ社、バイオサーチ社
またはミリゲン社によって製造されている機械のように、商業的に入手可能なD
NA合成機によって製造することができる(例えば、Perrault et al.,Nalure
,344:565-567(1990),for derivatives Uhlmann,E.and Peyman,A.Chemic
al Reviews(1990)90:543-584,H-phoshonate monomers see Agrawal et al.U
.S.Patent No.5,149,798)。
保存されたTNF−αモチーフに結合するタンパクは、リボザイム反応の速度
および特異性を増大するように作用し得る。最近、ツチハシ等は、p7ヌクレオ
キャプシド(NC)タンパクがハンマーヘッド型リボザイムの開裂を10〜20倍加
速することを報告した(Science(1993),262:99-102)。従って、TNF−α
モチーフに結合するタンパクは同様の効果を有し得る。
ここで用いる「有効量」の用語は、所定の状態および投与レジメ(administra
tion regimen)を有する哺乳動物において所望の効果を与える量を意味する。適
切な稀釈剤、保存剤、可溶化剤、乳化剤、アジュバントおよび/またはキャリア
と共に、有効量を含有する組成物は治療に有用である。このような組成物は液体
処方、または凍結乾燥もしくは他の方法で乾燥された処方であり得る。また、こ
の組成物には種々の緩
衝剤(例えばTris-HCl,リン酸アセテート)、pHおよびイオン強度、表面への
吸着を防止するためのアルブミンまたはゼラチンのような添加剤、洗浄剤(例え
ばTween 20,Tween 80,Pluronic F68,胆汁酸塩)、可溶化剤(例えばThimeros
al,ベンジルアルコール)、増量剤または浸透圧調節剤(例えばラクトース、マ
ンニトール)、ポリエチレングリコールのようなポリマーのオリゴヌクレオチド
への共有結合的結合、金属イオンとの錯形成、或いはポリ乳酸、ポリグリコール
酸、ポリビニルピロリドン等のようなポリマー化合物の粒状製剤への組み込み、
またはリポソーム、微細エマルジョン、ミセル、単層もしくは多層担体、赤血球
ゴーストもしくはスフェロプラストへの組み込みが含まれ得る。このような組成
物は、上記オリゴヌクレオチドの物理的状態、可溶性、安定性、イン・ビボでの
放出速度およびイン・ビボでのクリアランス速度に影響するであろう。抗酸化剤
、例えばアスコルビン酸;低分子量ポリペプチド(約10残基以下)、即ち、ポ
リアルギニンまたはトリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブ
リンのようなタンパク;グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸またはアルギ
ニンのようなアミノ酸;EDTAのようなキレート化剤;マンニトールまたはソ
ルビトールのような糖アルコールのような他の成分を添加してもよい。可能な持
続的放出性の組成物には、脂質親和性のデポー剤(lipophilic depots)(例え
ば脂肪酸、ワックス、オイル)の処方が含まれる。また、本発明には、ポリマー
(例えばポリオキサマー(polyoxamers)若しくはポリオキサミン(polyo
xamines))で被覆された粒状組成物、並びに組織特異的受容体、リガンド若し
くは抗原に対する抗体に結合され、または組織特異的受容体のリガンドに結合さ
れたオリゴヌクレオチドが包含される。更に、本発明のオリゴヌクレオチドを核
、細胞質または特定のタイプの細胞にターゲッティングするために、特異的ヌク
レオチド配列が添加され得る。本発明の組成物の他の態様においては、粒子形状
保護コーティング、プロテアーゼ阻害剤、または非経腸的投与、気管支投与、鼻
腔投与および経口投与を含む種々の投与経路のための浸透エンハンサが組み込ま
れる。
適切な局所投与処方には、ゲル、クリーム、溶液、乳剤、糖鎖ポリマー、その
生体分解性マトリックス;蒸気、ミスト、エアロゾルまたは他の吸入剤が含まれ
る。前記オリゴヌクレオチドは、ウエハー、ワックス、チューインガムを含む膜
もしくは固体キャリア中に封入し得る。また、上皮層を通した移行導入を補助す
る浸透エンハンサも当該技術において公知であり、ジメチルスルホキシドおよび
グリコールが含まれるが、これらに限定されるものではない。
以下の実験の詳細のセクションにおいて、本発明を例示する。これらのセクシ
ョンは本発明の理解を助けるために記載されるものであり、如何なる意味におい
ても、後述の請求の範囲に記載する本発明を限定することを意図しておらず、ま
たそのように限定するものと解釈されてはならない。
〔実験の詳細〕
目的とするリボザイムはTNF−αRNAを
in vitroで切断する
TNF−αRNAを切断するようにデザインされた3つのハンマーヘッド型
リボザイム(Haseloff & Gerlach,1988)を、図1に示す。イングリッシュら(
English et al.)(1991)による記載の様に、ホルボース12ミリステート1
3アセテート(phorbol 12-myristate 13 acetate)およびコンカナバリン(C
on A)によって、TNF−α遺伝子転写を刺激した後にPBMNCから抽出
した全RNAを使用して、ハンマーヘッド型リボザイムのin vitro活性を研究し
た。リボザイムAは、バクテリオファージT7のターミネーターをその3′末端
に含んでいたが、リボザイムBは含んでいなかった。リボザイムIIは、下線を
施した制限部位を欠いていた。図2は、ゲル電気泳動およびTNF−αプローブ
を使用したノーザレンブロット・ハイブリデイゼーションによって分析されたリ
ボザイムか仲介するRNAの切断を示す。TNF−αリボザイムは、約1800
のヌクレオチドの長さの目的RNAを1420と380のヌクレオチド断片に切
断した。リボザイムによって産生されたTNF−α断片の該サイズから見ると、
切断部位が予想と一致していた。この様に、リボザイムAおよびBは、無関係な
RNAsの存在下でTNF−α目的部位をin vitroで切断する。
リボザイムA、BおよびIIの生細胞中での安定性
リボザイムA、BおよびIIの生細胞中での安定性を、
図3および4に示す。細胞膜は、高電荷高分子量分子の侵入に対する実質的なバ
リヤーとして存在するので、高電荷高分子量分子を細胞質内に送達する事が、主
要な課題である。これを解決するために、トランスフェクション技法[例えば、
カチオン性リポソーム介在トランスフェクション技術(Malone et al.,(1989
)Proc.Natl.Acad.Sci.,USA86:6077-6081)、および電気穿孔法(Callis et
al,,(1987)Nucl.Acids.Res.15:5823-5831)およびマイクロインジェクシ
ョン(Rosa et al.,(1989)J.Cell.Biol.109:17-34)等]が開発されてき
た。リポソームベースの方法が、最も多用性に富むようであるので、リポソーム
が、TNF−αRNAをうまく切断する機能的リボザイムを送達できるかについ
てテストがなされた。
RNAトランスフェクションの有効性は、まず、HL60細胞中で測定され、
細胞に付加する完全な32p標識されたRNAを測定することで測定される。リボ
ザイムがトランスフェクションされた後、細胞はハンクス緩衝塩類溶液(GIBCO
)で洗浄された。全RNAを細胞から調整し、RNA種をゲル電気泳動によって
分離した。次ぎに、リボザイムRNAバンド中に含まれる放射活性を測定した。
その結果、放射活性バンドは、8から20時間のトランスフェクション期間中に
、リポソームに添加した初期RNAに対して2から4%に変化していた。これは
細胞当たり約300,000分子のリボザイムAが送達されたことに相当する。
図4は、リボザイムA、BおよびIIの安定性を示す。、
20%(v/v)の子牛胎児血清(FCS)の供給されたRPMI1640中で
対数増殖期に成長させた10百万のヒトHL60細胞(ATCC CCL 240)が、RN
Aトランスフェクションに使用された。細胞は無血清培地で二回洗浄され、無血
清培地の一滴(5ml)をポリスチレンチューブに添加し、続いて35μgのリ
ポフェクチン(Bethesda Research Laboratories)、10μgのキャリアRNA
(E.Coli.tRNA)、および3x106崩壊時間(分;disints min)の32p標識
キャップリボザイムA、B、II(5μg)を添加した。混合物は速やかに混合
された。細胞を無血清培地リポフェクチン/RNA/キャリアRNAの混合物中
に再懸濁し、インキュベータ中に戻し20時間置いた。トランスフェクション後
、細胞を三回、ハンクス緩衝塩類溶液で洗浄し、20%FCSの供給されたRP
MIのインキュベータ中に戻した。細胞(106)は、上述の各レーンに示され
た時間に採集し、全RNAを調整し、7M尿素配合15%ポリアクリルアミドゲ
ルで分析された。トランスフェクションに使用したRNAサンプルは、図4の上
部に示してある。標識されキャップされたリボザイムA(50μM)は、20時
間のHL60細胞トランスフェクトに使用された。細胞を3回洗浄し、核および
細胞質RNA調整し、ゲル電気泳動で分析した。核および細胞質分画を調製する
ために、細胞を10mM−Tris・HCl(pH7.5)、5mM−KCl、
140mM−NaCl、5mMジチオトレイトールおよび0.4%(w/v)ノ
ニデット(Nonidet)P40中で10分間4℃でホモジナイズ
した。核は800gで5分遠心分離して採集した。上澄液中のRNAを沈殿させ
、細胞質画分として貯蔵した。核は、Chomezynski & Sacchi(Anal.Biochem(1
987)162:156-160)による全RNAの調製法に記載のように処理した。矢印は、
リボザイムAのモノマーの位置を示す。(a)に示すリボザイムバンドの放射活
性量が測定され、20時間のトランスフェクション直後に存在した放射活性に対
するパーセンテージとして表わされた。
図5はin vivoにおけるリボザイムの活性を示す
HL60細胞(a)におけるリボザイムおよびアンチセンスRNAの活性を
20時間のトランスフェクション後に分析した。リボザイムAまたはアンチセン
スRNAによるトランスフェクション後、細胞を6時間刺激してTNF−αを発
現させた。RNAを抽出して、1−2%(w/v)アガロース・ホルムアルデヒ
ド・ゲルを使用したゲル電気泳動法で分離し、TNF−α遺伝子に対する放射活
性プローブでノーザレンブロットによる検出を行った。TNF−αプローブによ
ってハイブリデイゼーションした後、そのフィルターをを剥がして、アクチンプ
ローブ(British Biotechnology Limited)でハイブリダイズした。PBMNC
(b)の場合、細胞は、分離され(Sioud et al.,Scand.J.Immol.(1990 31:
415-421)、ハンクス緩衝塩類溶液で4回、無血清培地で3回洗浄された。細胞
(106)は、トランスフェクトされHL60前胞として処理された。レーン1
および4は、(キャリアRNA単独でトランスフェクトされた)対照;レーン2
は、ア
ンチセンスRNA;レーン3および5はリボザイムA。このオートラジオグラム
を過剰露光し、リボザイムAレーンにTNF−αシグナルを表示させた。
TNF−α蛋白(c)のラジオイムノアッセイ
培地中に存在するTNF−α蛋白の量は、TNF−α[125I]分析システ
ム(Amersham)を使用して測定された。レーン1から5は、図5(a)および5
(b)のレーン1から5に夫々相当する。
リボザイムによる内在性TNF−αRNAの
in vivoにおける破壊
リボザイムAがRNAトランスフェクション後のそのターゲットを排除する
かどうかを確かめる為に実験を行った。HL60細胞内でのTNF−αRNA合
成の予備経時研究では、TNF−αRNAが、PMAおよびConAによる2時
間の刺激後には検出され得ることを示し、4から6時間後には最大発現に至る事
がわかった。リボザイムがトランスフェクションされた細胞は、PMAおよびC
onAで6時間刺激し、全RNAを抽出し、TNF−αプローブを使用したノー
ザレンブロットによって分析した。TNF−αおよびアクチンmRNAは、電気
泳動移動度がほぼ同じであるので、剥離後、アクチンプローブによって同じブロ
ットがハイブリダイズされた。過少露光フィルムのデンシトメトリックスキャン
からのデータでは、TNF−α信号が40%(図5(a)アンチセンス・レーン
)および90%(図3(a)リボザイムAレーン)減少した。更に、ラジオイン
ムノアッセイを使用
して、培養培地中のTNF−α蛋白を測定した。本システムは、TNF−αに特
異的であるという点で、バイオ分析を凌ぐ利点を持つ。該データは、HL60が
PMAおよびConAによって刺激されて、ml当たり1000fmolの多量のTNF
−αを分泌されることを示すが、細胞がリボザイムAおよびアンテイセンスで夫
々トランスフェクトされた場合(図5(b))には、僅か150および400fm
olしか分泌しない事を示している。
アンテイセンスRNAの効果がリボザイムAより小さく、またリボザイムAも
アンテイセンスRNAも細胞内部に、同様な濃度で存在していた(データは表示
せず)ので、リボザイムAの活性の一部は、RNAを切断するその能力に起因し
ているのではないかと我々は示唆する。in vivoにおけるリボザイム介在RNA
切断は、真核細胞で観察されている(Saxena & Ackerman,J.Biol.Chem.(19
90)265:17106-17109)。
この場合、切断生成物は何も見られなかった。先に示唆したように、(Cotten
& Birnstiel,1989;Sarver et al.,1990; Sioud & Drlica,1991)、リボザ
イム介在切断による産物は、たぶん細胞ヌクレアーゼ(5′断片、その5′末端
はキャップされていたけれども、3′→5′エクソヌクレアーゼによって速やか
に分解されたと予想される)によって分解されたのであろう。
同様の条件を使用して、リボザイムAをPBMNCに送達した。図5(a)お
よび(b)に見ることができるように、リボザイムAは、TNF−αRNAの量
を80%減少させ、
TNF−α蛋白の量を70%減少させて、リポソームに仲介されるRNAトラン
スフェクションが、リボザイムを様々なタイプの細胞に送達する方法を提供する
可能性を高めた。分析中、リボザイムBは、リボザイムAと同様な減少をTNF
−α・mRNAにおいて誘導したようだ(データ無表示)。この様に、T7トラ
ンスフェクションターミネータの添加はリボザイムAの特異的活性を減少させ得
る。
図6はTNF−αリボザイムの細胞分布を示す
TNF−αリボザイム類(図1)は非常に安定である。TNF−αリボザイ
ム類は、ヒト細胞内で7日間にわたり検出可能であるが、一方、リボザイム類は
通常、ヒト細胞内で不安定である(図4参照)。細胞分画研究では、TNF−α
リボザイム類が細胞から回収可能である事が示されているが、リボザイムの主要
部分が細胞ヌクレアーゼが接近出来ない場所に隔離されているという可能性を示
すものではなかった。この疑問にむけて、細胞にジゴキニン標識リボザイムをト
ランスフェクションした。トランスフェクション以後72時間後に顕微鏡用スラ
イドを調製し、リボザイムを抗−ジゴキニン蛍光Fab接合体によって、材料お
よび方法に記したように検出した。図5AおよびBに提示したデータは、安定効
果が細胞の区画性に起因するものではないことを示している。なぜならば、リボ
ザイムの免疫蛍光染を行なうや否や、細胞全体が蛍光性を獲得したからである。
図6(a)および6(B)参照。
図7は細胞抽出物によるTNF−αリボザイム類
電気泳動移動度シフト分析を示す
初期の仮説では、腫瘍壊死因子の特定部位に抗して行動するリボザイムが、
タンパク等のある細胞制因子によって保護されているとされていた。もし蛋白が
リボザイムに結合してリボザイムを分解させないよう防御していたならば、移動
性シフト実験でそれらを検出できるはずである。HL60細胞の細胞蛋白で実施
された初期の実験では、形成された複合体は、反応混合物中のポリdC dIお
よびtRNAの存在によって阻害されなかった事が明らかになった。これらの実
験では、抽出物中に存在しているヌクレアーゼによってリボザイムがかなり分解
された。そこでRNAsinがインキュベーション混合物中に添加され、リボヌ
クレアーゼの影響を減らすと、投入RNAの大部分が、主要複合体中(図7bレ
ーン2、3および4)に補足された。PBMN細胞からの細胞質抽出物を使用す
ると、低電気泳動移動度を持つ複合体も検出可能であった(図7bレーン6、7
)。これはリボザイムに結合した蛋白が、全細胞タイプに共通の蛋白である事を
示唆している。RNasin存在下または無存在下で形成された複合体は、同一
の移動度をもっていた。これは、蛋白が全長に結合したことを示す。さらに、フ
ェノール抽出後に複合体から回収されたリボザイムは、完全な長さのリボザイム
に相当する(図7bレーン8)。
複合体の形成はTNF−αリボザイム類に特異的である
tRNAを反応に添加しても、形成される複合体の量は減少しなかった。こ
れは、リボザイムに対するある特異的な
結合がある事を示唆する。結合の特異性は、競合分析によって確認された(図8
)。tRNAおよびPoldCdIと対比させて、複合体形成を無標識リボザイ
ムを標識リボザイムと競合させて行った。面白いことに、IL−2またはHIV
インテグレースのmRNA指向性のハンマーヘッド型リボザイムによる複合体形
成は見られなかった。これは、結合がTNF−αリボザイム類の触媒ドメインに
起因していないことを示す。TNF−αとは異なり、IL−2リボザイムはTN
F−αリボザイムのように細胞内で安定ではなく、このような結合現象を示さな
い。この様に、こうした結合がTNF−αリボザイム類のin vivo安定性に関係
する可能性がある。
TNF−αリボザィムは他のリボザイムに対して
安定性を与える
TNF−αを分解から保護するという本RNA要素の特徴付けを行う前にも
、本RNA要素が他のRNAに付加されてれてそれを安定化するのではないかと
いう可能性がテストされた。TNF−αリボザイムは、単独では不安定なIL−
2リボザイム(図9)に結合した。図10AおよびBに示されるように、我々の
条件においては、IL−2リボザイム単独ではどの細胞要素とも自身との複合体
を形成しなかった。下記に示すように、IL−2リボザイムに結合したTNF−
αリボザイムは複合体を形成し、安定化された。
保護または無保護IL−2リボザイムのin vivo活性
アンテイセンスまたはリボザイムによるTNF−α遺伝子発現が阻害されて
も、IL−2の遺伝子の発現には著しい
影響を与えないことはわかっている。そこでIL−2遺伝子発現に対する二重リ
ボザイム(TNF−αリボザイムに結合したIL−2リボザイム)の効果が正確
に調査できる。
TNF−αリボザイムに対抗するリボザイムは、蛋白等の或る細胞質因子によ
って保護された。これらの因子は、構造的安定性を超えて、リボザイムの安定性
および/または活性を高め得る。このような因子または関連化合物は、遺伝子治
療アプローチによってリボザイムと結合させることができる。
移動性シフト実験を使用して、蛋白がTNF−αリボザイムに結合することを
うまく実証できる(図8、7および9参照)。電気泳動の前に該複合体をプロテ
ナーゼKで前処理して複合体(図11A、レーン4および5)を排除し、コファ
クターが蛋白性であることが確認された。レーン4に見られるリボザイムの分解
は、この特殊細胞質抽出物(CE)中に存在する過剰のリボヌクレアーゼによっ
ておこる。さらに、TNF−αリボザイム結合蛋白のUV架橋分析では、図11
C;レーン1に見られるような主要なリボザイム結合蛋白を明らかにした。
同様の複合体形成は、インテグレースリボザイムでは観察されなかった。この
様に蛋白は、TNF−αリボザイムに特異的であり、インテグレースリボザイム
とTNF−αリボザイム間のin vivo安定性の相違は該蛋白に起因するのではな
いかと示唆される。
TNF−αリボザイムと他のRNA分子とのリンクが蛋白質結合をもたらし、
in vitoroおよびin vivo安定性を授与す
るのかどうかについて見るために、下記のミニ遺伝子を構築した。
1)TNF−αリボザイム5′リンクしたIL−2リボザイム
TNF−αリボザイムおよびインテグレースまたはIL−2リボザイムは、そ
れらのRNAターゲットと相補的なヌクレオチド配列が僅かに異なるだけなので
、そのRNA領域が複合体形成に関与していると思われる。
2)アンチセンスTNF−αRNA(図9参照)にリンクしたIL−2リボザ
イム
これらの分子をコードしている遺伝子をクローンし、in vitroで転写し、放
射活性標識されたRNA分子をゲル遅延分析で使用した。
幾つかの実験で複合体の弱い検出が見られたが、我々のデータでは、TNF−
αリボザイムの5′にリンクしたIL−2も、アンテイセンスにリンクしたIL
−2リボザイムもどちらも蛋白と結合しなかった事を示している(図9の構造参
照)(図12A、レーン4、5、7、および8、および図12B:レーン2およ
び3)。図12Aに見られるように、CE存在下でのIL−2リボザイムのおよ
び該キメラ分子の分解が全レーンで見られた。これは、複合体形成が分解からリ
ボザイムを保護していることを示している。
このデータは蛋白質が結合して二次構造を取らなければならないことを示唆し
ている。TNF−αリボザイムの3′末端にリンクしたT7ターミネータは該結
合に影響していない
ので、リボザイム結合部位が、TNF−αリボザイムの5′フランキング配列と
その触媒ドメインの間に形成された可能性が考えられた。更に、T7ターミネー
タにリンクしたTNF−αリボザイムの二次構造を模倣する試みがなされた(図
13A)。
TNF−αリボザイムの3′末端にリンクした
TNF−αアンチセンス
アンチセンスに対するTNF−αリボザイムの3′末端は、TNF−α上の
異なるターゲットに向かった(図13B)。選ばれたアンチセンスはヘアピン構
造(キージング・ループ(keesing loop))持つ。両遺伝子がクローンされ、in
vitroで転写され、そして放射性標識されたRNA分子を使用してゲル遅延分析
が行なわれた。
結果(図14A:レーン5および6)は、TNF−αリボザイムの3′末端に
リンクしたアンテイセンスが蛋白に結合した事を示す。更に競合実験では、無標
識TNF−αリボザイムが複合体形成に対して該キメラリボザイムと競合したこ
とから、同じ蛋白が複合体形成に関与していることが実証された(図14B:レ
ーン3および4)。
二番目の実験では、IL−2リボザイムが、TNF−αリボザイムの3′末端
にリンクした(図15B)。IL−2リボザイムフランキング配列は、分子内相
互作用を防御するために構築物中で拡張された。
キメラリボザイムから生じたRNAは、TNF−αリボザイムとして蛋白と結
合した(図16;レーン4)。これらの
実験データは、TNF−αリボザイムの5′フランキング配列がこの結合に関与
することを示唆している。
不完全TNF−αリボザイム
フランキング配列の関与を調べるため、その5′または3′のフランキング
配列で先端切除したTNF−αリボザイム(夫々、図17Aおよび17B)を構
築した。
これらのリボザイムをコードした遺伝子をクローンし、in vitroで転写し、そ
して放射性標識RNA分子を使用して、ゲル遅延分析を行なった。図18A、レ
ーン4に見られるように、3′末端切除リボザイムは蛋白と結合している。対照
的に、5′末端切除TNF−αリボザイムは蛋白と複合体を形成していない(図
18A:レーン6)。*で示されたバンドはリボザイム細胞内形成によるものと
思われる。
3′末端切除リボザイムが他のタイプの細胞由来の蛋白と結合するか否かにつ
いて見るために、ゲル遅延分析が使用された。図18D、レーン2、3、および
4に見られるように、不完全リボザイムはPBMN、HL60およびWH164
由来の蛋白と結合した。我々の実験データを総合すると、多くの細胞タイプ起源
の内在性蛋白が3′末端切除TNF−αリボザイムと結合することが示される。
この様に蛋白と結合するどのリボザイムの能力も、その5′末端およびたぶん3
′塩基組成に依存する。
TNF−αリボザイムBおよびIIの考えられる二次構造および該蛋白の推定
結合部位を図19に提示する。
本分析中、in vitro複合体形成がリボザイムを分解から守
ることが観察された(図21A参照)。内在性蛋白は、TNF−αリボザイム類
の予期せざる安定性に関与し得る。更にこの様な内在性蛋白が、リボザイムの折
りたたみの誤りを防御し、かつ分解を助長して、in vivoでのリボザイム活性を
高めるのかもしれない。
IL−2およびTNF−αリボザイムの3′末端に
リンクしたIL−2のin vivo安定性
IL−2およびTNF−αリボザイムの3′末端にリンクしたIL−2のin
vivo安定性を、先に報告した様に調査した。つまり、20%子牛胎児血清を供
給したPRMIにおいて対数成長期に成長したHL−60細胞を、DOTAPを
トランスフェクション剤として使用して、IL−2リボザイムまたはTNF−α
リンクしたIL−2でトランスフェクトした。トランスフェクション後、細胞を
3回ハンクス緩衝塩類溶液で洗浄し、20%子牛胎児血清を供給したPRMIの
インキュベーターに戻した。1ml培養物に含まれる細胞を種々の機会に採集し
た。全RNAを調製し、7M尿素配合15%ポリアクリルアドゲルで分析した。
リボザイムバンド中の放射活性を測定し、トランスフェクション直後に存在する
放射活性に対するパーセントとして表した(図20)。データはキメラリボザイ
ムがIL−2リボザイム単独よりもより安定であることを示す。
TNF−αリボザイムおよびTNF−αリボザイムに
リンクしたTNF−αアンチセンスの
in vivo活性および細胞障害性
TNF−αリボザイム、アンチセンスおよびTNF−αリボザイムにリンク
したアンチセンスのin vivo性を、細胞障害性分析およびラジオイムノアッセイ
を使用して調査した。これらの実験では、リボザイム類の細胞インターナリゼー
ションがカチオン性リポソームによって(DOTAP)によって行なわれた。5
6から91番のTNF−α配列(Pennica et al.,1984,Nature312:724)と相
補的な、長さ36ntのアンチセンスがTNF−αリボザイムにリンクした。
約100,000PBMN細胞がリボザイムで6時間から12時間でトランスフェク
トされた。TNF−αの発現は10μgのPHAで16時間にわたって誘導され
、培地中に分泌されたTNF−αは、L929細胞を使用した細胞障害分析によ
って測定された。TNF−αは、L929細胞の成長を阻害する。高い放射活性
計測数(取り込まれた3Hチミジンが高レベルである)は、TNF−αが低レベ
ルである事を示し、つまりPBMN細胞中でリボザイムが効果的であることを示
す。末梢血にリボザイムがトランスフェクトすると、TNF−αのレベルはかな
り減少する。更にラジオイムノアッセイを使用して、培養培地中のTNF−αを
測定した。このシステムはTNF−αに特異的である点でバイオアッセイを凌ぐ
利点を持つ。
図21に提示するデータは、全分子がin vivoで活性であることを示す。予想
し得たように、TNF−αリボザイムにリンクしているアンチセンスは相乗効果
をもつ。
治療方法を考案するにあたっての主要な問題の一つは、特
異性および細胞障害性である。この様に、TNF−αリボザイム、TNF−αリ
ボザイムにリンクしたTNF−αアンチセンスのインターロイキン2遺伝子の発
現における効果を調査し、特異性および細胞障害性をチェックした。
分子がカチオン性リポソームによって細胞内に送達された。約100,000末梢血
単核細胞がテスト分子によって5時間でトランスフェクトされた。トランスフェ
クション後、細胞を5μg/mlのPHAで16時間刺激し、培地中に分泌され
たインターロイキン2の定性を、CTLL2分析を使用して行った。この分析で
、対照およびテスト分子でトランスフェクトされた細胞から得られた上澄液から
一連の希釈(1/4から1/128)を行った。各々の希釈物(3重で行った)
から100μlを20μlの培地中の5000CTLL2細胞に加えた。20時
間後、細胞に3Hチミジンを4時間でパルス(与え)し、採集し、DNAに付加
した放射活性を測定する。インターロイキン2は、CTLL2細胞の成長を促進
し、高い放射活性計測は、高レベルのIL−2を示し、つまりPBMN細胞中で
はIL−2は効果的でない事を示す。
図22は、インターロイキン2の発現が、TNF−αリボザイムによって行わ
れない事を実証している。図22はまた、リボザイムが該細胞に対して細胞障害
性でないことを示し、IL−2遺伝子発現が、TNF−α遺伝子発現のレベルに
よって規制されないことを示す。
IL−2リボザイム、TNF−αリボザイムの
3′末端にリンクしたIL−2リボザイムの
in vivo活性がCTLL2分析によって調査された。
約100,000PBMN細胞に異なる分子(最終濃度25μl)を、DOTAP
をカチオン性リポソームとして使用してトランスフェクトした。トランスフェク
ションの8時間後、細胞をPHA(5μg/ml)で16時間刺激し、培地中の
IL−2をCTLL2分析で、図22に示すように分析した。
図23に提示されたデータは、両リボザイムが活性であることを示している。
TNF−αリボザイムの3′にリンクしたIL−2リボザイムの活性は、IL−
2単独よりも遥かに高い。これは、蛋白がリボザイムの安定性および活性の両方
を高め得ることを示唆している。
インターロイキン2遺伝子発現を測定するもう一つの方法は、PBMN細胞に
直接3Hチミジンをパルスする事である。
トランスフェクション後、細胞をPHAで48時間刺激し、3Hチミジンをパ
ルスし、18時間後に収穫した。この分析で、IL−2はT細胞の成長を刺激し
、高い放射活性計測は高レベルのIL−2を示し、つまり無効果分子であること
を示す。3つの実験結果を下に提示する。
上記表に提示された結果は、両リボザイムがin vivoで活性であることを示す
。TNF−αリボザイムにリンクしたIL−2リボザイムがIL−2単独よりも
、より活性であった。
上記で実証されたように、3′不完全リボザイムがTNF−αリボザイムであ
る蛋白と結合する。この様に、不完全リボザイムは蛋白を通じて安定化剤として
使用可能である。更にこの不完全リボザイムは、3′末端フランキング配列を欠
いているので、活性ではないだろう。
TNF−αリボザイムおよび3′不完全リボザイムのin vivo活性が、様々な
トランスフェクション時に調査された(下記参照)。上記の様に、DOTAP使
用して細胞にTNF−αリボザイムおよび3′不完全リボザイムをトランスフェ
クトした。これらの実験において、細胞はトランスフェクション時以降6、20
、42、72時間後にLPS(100mg/ml)で刺激された。培地に含まれ
るTNF−αを、キット(Amersham)記載の様にラジオイムノアッセイで測定し
た。これらのデータはfmol/mlで表される。
これらのデータは、TNF−αリボザイムと比較して不完全リボザイムは、活性
でないことを示し、TNF−αリボザイムはトランスフェクション後72時間経
っても活性であることを実証している。
42時間後に見られるように、無刺激細胞は、刺激された対照と同量のTNF
−αを分泌した。これは多分、細胞がプラスチックと接触によって刺激されたと
いう事実によるものであろう(細胞をプラスチックに長時間接触させると幾つか
のリンフォカイン遺伝子の発現が刺激され得る事が知られている)。この様にリ
ボザイム活性の崩壊がトランスフェクション後48時間して起こるのは、プラス
チックに長時間接触されてTNF−α遺伝子が過剰発現に起因するか、および/
またはリボザイム自身の崩壊に起因するのかもしれない。
〈結論〉
我々は、TNF−αリボザイムがヒト細胞中では非常に安
定である事をこの様に実証した。この現象は、リボザイムが細胞中に分布してい
るように見える(図6)ので、細胞内にあっては簡単に説明されない。リボザイ
ムの重篤な分画が、電気泳動移動度低下をもつ複合体として回収された。リボヌ
クレアーゼをRNAsinで抑制すると、細胞抽出物からの複合体の回収は増加
した。tRNAの添加は競合的効果をもたらさなかった。複合体の形成阻害は、
無標識のリボザイムにおいてのみ得られた。インテグレースもIL−2リボザイ
ムも検出可能な複合体を形成しなかった。この様に、結合はTNF−αリボザイ
ムに特異的である。IL−2リボザイムは、TNF−αリボザイムと比較すると
、細胞内安定性低下を示したことは、複合体形成が安定性に関連するとの可能性
を高めた。
TNF−αリボザイムとIL−2リボザイムとのリンクはお互いに安定性を高
め、二重リボザイムに複合体を形成する能力を与えた。更に、リンクしたリボザ
イムは活性であった。この様、に、3′末端の不完全なリボザイムは蛋白に結合
する。対照的に、5′末端の不完全なTNF−αリボザイムは蛋白複合体を形成
しない。蛋白に結合するいかなるリボザイムの能力も、その5′末端および、多
分、長さを含めた3′ベースの組成に依存するであろう。我々のデータは、リボ
ザイム結合内在性蛋白を考案する一助となろう。
配列表
(1)一般的情報
(i)出願人:Sloud,Mouldy
(ii)発明の名称:TNF−アルファリボザイムおよびTNF−アルファリ
ボザイムに結合した分解抵抗性mRNA誘導体
(iii)配列の数:32
(iv)通信宛先:
(A)名宛人:John M.Slattery−デービス
コリソン ケーブ
(B)通り:リトル コリンズ ストリート 1
(C)市:メルボルン
(D)州:ビクトリア
(E)国:オーストラリア
(F)郵便番号:3000
(v)コンピュータ読取り可能な形態:
(A)媒体タイプ:フロッピーディスク
(B)コンピュータ:IBM・PCコンパチブル
(C)オペレーテイングシステム:PC−DOS/MS−DOS
(D)ソフトウエア:PatentIn リリース#1.24
(vi)現在の出願データ:
(A)出願番号:
(B)出願日:1993年11月3日
(C)分類:
(vii)先の出願データ
(A)出願番号:US 07/971,058
(B)出願日:1992年11月3日
(viii)アトニー/エージェント情報
(A)氏名:John M. Slattery
(B)登録番号:
(C)参照/ドケット番号:
(ix)電信情報:
(A)電話:613−254−2777
(B)テレファックス:613−254−2770
(C)テレックス:AA31787
(2)配列認識番号1のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:43塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:他の核酸
(A)説明:(混合DNA/RNAオリゴマー 詳細は、明細書
および図面を参照)
(xi)配列の記載:配列認識番号1:
(2)配列認識番号2のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:16塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:他の核酸
(A)説明:(混合DNA/RNAオリゴマー 詳細は、明細書
および図面を参照)
(xi)配列の記載:配列認識番号2:
(2)配列認識番号3のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:42塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直線状
(ii)分子の型:他の核酸
(A)説明(混合DNA/RNAオリゴマー 詳細は、明細書
および図面を参照)
(xi)配列の記載:配列認識番号3:
(2)配列認識番号4のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:42塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直線状
(ii)分子の型:RNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号4:
(2)配列認識番号5のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:43塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直線状
(ii)分子の型:他の核酸
(A)説明(混合DNA/RNAオリゴマー 詳細は、明細書
および図面を参照)
(xi)配列の記載:配列認識番号5:
(2)配列認識番号6のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:22塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直線状
(ii)分子の型:RNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号6:
(2)配列認識番号7のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:19塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直線状
(ii)分子の型:RNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号7:
(2)配列認識番号8のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:26塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直線状
(ii)分子の型:RNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号8:
(2)配列認識番号9のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:88塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直線状
(ii)分子の型:RNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号9:
(2)配列認識番号10のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:87塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直線状
(ii)分子の型:RNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号10:
(2)配列認識番号11のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:67塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:RNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号11:
(2)配列認識番号12のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:67塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:RNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号12:
(2)配列認識番号13のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:15塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:RNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号13:
(2)配列認識番号14のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:83塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:RNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号14:
(2)配列認識番号15のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:97塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:RNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号15:
(2)配列認識番号16のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:33塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:RNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号16:
(2)配列認識番号17のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:53塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:RNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号17:
(2)配列認識番号18のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:46塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:RNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号18:
(2)配列認識番号19のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:69塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:DNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号19:
(2)配列認識番号20のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:72塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:DNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号20:
(2)配列認識番号21のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:57塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:DNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号21:
(2)配列認識番号22のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:62塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:DNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号22:
(2)配列認識番号23のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:49塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:RNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号23:
(2)配列認識番号24のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:106塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:RNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号24:
(2)配列認識番号25のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:90塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:RNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号25:
(2)配列認識番号26のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:92塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:RNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号26:
(2)配列認識番号27のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:94塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:RNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号27:
(2)配列認識番号28のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:55塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:RNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号28:
(2)配列認識番号29のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:108塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:RNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号29:
(2)配列認識番号30のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:41塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:RNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号30:
(2)配列認識番号31のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:39塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:RNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号31:
(2)配列認識番号32のための情報:
(i)配列特性:
(A)長さ:49塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の型:RNA(ゲノム)
(xi)配列の記載:配列認識番号32:
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C12N 1/21 8828−4B
5/10
15/09
//(C12N 9/00
C12R 1:91)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CZ,DE,DK,ES,FI,GB,H
U,JP,KP,KR,KZ,LK,LU,LV,MG
,MN,MW,NL,NO,NZ,PL,PT,RO,
RU,SD,SE,SK,UA,US,UZ,VN