JPH08502966A - Rna/リガンド結合の低分子抑制 - Google Patents

Rna/リガンド結合の低分子抑制

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JPH08502966A JP6511215A JP51121594A JPH08502966A JP H08502966 A JPH08502966 A JP H08502966A JP 6511215 A JP6511215 A JP 6511215A JP 51121594 A JP51121594 A JP 51121594A JP H08502966 A JPH08502966 A JP H08502966A
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ザップ,マリア・エル
スターン,セス
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ユニバーシティー・オブ・マサチューセッツ・メディカル・センター
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Abstract

(57)【要約】 リガンドのRNAへの結合を抑制する方法が開示されるが、この抑制は、RNAに結合する小型の有機分子によって仲介され、それによってリガンドの結合を抑制する。好ましい種類の小型有機分子は、2−デオキシストレプタミン(2−DOS)アミノグリコシドである。本明細書で開示されるのは、トランス一活性化型蛋白へのRNA結合の抑制に有用な2−DOS類に属するものである。

Description

【発明の詳細な説明】 RNA/リガンド結合の低分子抑制 発明の背景 ヒトレトロウイルス(例えば免疫不全ウイルス1型(HIV−1))の複製は 、ウイルスの秩序正しい形質発現パターンを必要とする。この統制された形質発 現は、ウイルスの2つの制御蛋白(TatおよびRev)とウイルスRNA上の それぞれの部位との配列特異的相互反応に依存する。Tatは転写アクチベータ ーであり、一方、Revは、ウイルスgag−polおよびenvメッセンジャ ーRNA(mRNA)の細胞質蓄積を増加させるために転写後に作用する。 TatおよびRevはウイルス複製に必須であるので、治療的な介入には魅力 的な標的である。これらのウイルス性制御蛋白レベルを低下またはそれらの作用 を阻害するために、今日までのところ3種類の戦法が試された。先ず初めに、R ev mRNAに対するアンチセンス核酸が定常的なRev蛋白レベルを低下さ せるために用いられた。第二の方法は、親和性の高い蛋白結合部位を含む、極め て過剰量の小型の「囮」RNAを導入することによって制御蛋白を隔離(滴定) するものである。例えば、Tat結合部位TARを発現しているレトロウイルス ベクターは、培養細胞でのウイルス複製を抑制することができる。第三の方法は 、ウイルス制御蛋白についての優性ネガティブ突然変異体(ミュータント)を発 現させるものである。例えば、C−末端の限定領域内に変異を有するRev誘導 体はRev活性を破壊し、さらにこれら変異体は、同時核酸感染(コトランスフ ェクション)アッセーで野生型Revを抑制することができる。これら3種の戦 法に固有の主要な問題は、この治療薬(核酸または蛋白のいずれかである)の送 達の困難さである。 発明の要旨 本発明は、リガンドのRNAへの結合を抑制するために小型の有機分子を使用 することに関する。好ましい実施態様では、このリガンドはトランス活性化型( trans-activating)制御蛋白で、このRNAはシス作動性(cis-acting)配列を 含むMRNAまたはプレーMRNAである。 好ましい種類の小型の有機分子は2−デオキシストレプタミン(2−DOS) アミノグリコシドである。本明細書で開示されるものは、トランス活性化型制御 蛋白のmRNAへの結合を抑制するために有用な2−DOS類である。本発明は また、多様な構造的修飾に関するが、これら構造的修飾は、リガンドのRNAへ の結合を抑制する2−DOS−アミノグリコシドの能力に影響を与えることが分 かった。 図面の詳細な説明 図1:TatペプチドのTAR RNAへの結合のシソマイシンによる抑制 A) 26ヌクレオチド32P標識TAR RNAプローブ (+18から+44)を、指定した抗生物質の非存在下(−)またはその250 μMの存在下(+)で、HIV−1 Tat蛋白(Calnanら、Genes Rev.,5:20 1-210(1991))のアミノ酸48−60を含む合成ペプチドと共に保温した。T atペプチドの存在(+)は各レーンの上に示す。コントロールの反応は左に示 す。Tat−TAR複合体と未結合RNAプローブは矢印で示す。Tat結合を 抑制する抗生物質は星印(*)で示す。 B) 同じTARプローブをTatペプチドの存在下(+)でシソマイシンの 濃度(マイクロモル)を減少させながら保温した。ペプチドまたは抗生物質が存 在しない場合(−)はレーンの上に示す。Tat−TAR複合体および未結合プ ローブは矢印で示す。 図2:シソマイシンによるTat−TARの相互反応特異的抑制 A) シソマイシンはRev−RRE相互反応に影響を与えない。親和性の高 いRev結合部位を含む32P標識RNAプローブ(Zappら、Cell,74:969-978( 1993))を、精製大腸菌(E.coli)由来Rev蛋白と共にシソマイシンの濃度 を上げながら保温した。抗生物質の濃度(マイクロモル)は各レーンの上に示す 。抗生物質が存在しないコントロール反応は左に示す。Rev−XRE複合体お よび未結合プローブは矢印で示す。 B) プレ−mRNAスプライシングに影響を与えない抑制性アミノグリコシ ド 32P標識ヒトβ−グロビンプレ−mRNA(Krainerら、Cell,36:993-1005( 1984)およびRuskinら、Cell,38:317-331(1984))を、数種のアミノグリコシ ドの存在下(+)または非存在下(−)でHeLa核抽出物中で保温した。濃度 (マイクロモル)は左に示す。反応生成物の構造は右に示す。コントロール反応 は左に示す。 図3:TAR RNAの限定領域へのシソマイシンの結合 ケトキサール修飾/保護実験。親和性の高いTAT結合部位を含む46−ヌク レオチドRNAを、シソマイシンの濃度を上昇させながら(10μM、100μ Mまたは1mM)、またはその非存在下で保温し、さらに表示したようにケトキ サールで処理した。逆転写RNAを変性ポリアクリルアミドゲル上で分離した。 ヌクレオチドの位置はオートラジオグラムの左に示した通りである。シソマイシ ンによって選択的に保護されたグアノシンは星印(*)によって示す。 図4:ジヒドロストレプトマイシンによるHTLV−1 Rex蛋白のXRE RNAへの結合抑制 親和性の高いRex結合部位を含む100ヌクレオチドの32P標識RNAプロ ーブを、精製大腸菌(E.coli)由来GST−Rex蛋白と共に種々のアミノグ リコシドの存在下または非存在下で保温した。被検抗生物質は各レーンの上に示 す。濃度(マイクロモル)または抗生物質は左に示す。コントロール反応は左側 に示す。Rex−XRE複合体および未結合プローブは矢印で記した。 図5:Rex−XRE相互反応の抑制の特異性 親和性の高いRev結合部位を含む67ヌクレオチドの32P標識RNAプロー ブ(Zappら、Cell,74:969-978(1989))を、精製大腸菌(E.coli)由来Rev 蛋白と共にジヒドロストレプトマイシンの濃度を増加させながら、またはその非 存在下で保温した。抗生物質の濃度は各レーンの上に記した。コントロール反応 は左側に示す。Rex−XRE複合体および未結合プローブは矢印で示す。 図6:6DEEによるTatペプチドのTAR RNAへの結合抑制 A) 26ヌクレオチドの32P標識TAR RNAプローブ(+18から+4 4)を、HIV−1 Tat蛋白のアミノ酸40−60を含む合成ペプチドと共 に250μMの表示化合物の存在下、またはその非存在下で保温した(Calnanら 、Genes Rev.,5:201-210(1991))。Tatペプチドが存在する場合(+)は 各レーンの上に記した。コントロール反応は左側に示す。Tat−TAR複合体 および未結合プローブは矢印で示す。6DEEの存在下でのTat結合反応は星 印(*)で示す。 B) 同じプローブを6DEEの濃度(マイクロモル)を減少させながらTa tペプチドの存在下(+)または非存在下(−)で保温した。ペプチドまたは6 DEEが存在しない場合(−)はレーンの上に示した。Tat−TAR複合体お よび未結合プローブは矢印で示す。 図7:6DEEによるTat−TAR相互反応の特異的抑制 親和性の高いRev結合部位を含む32P標識RNAプローブ(Zappら、Cell,74 :969-978(1993))を、精製大腸菌(E.coli)由来Rev蛋白と共に6DE Eの濃度を上昇(+)させながら保温した。6DEEの濃度(マイクロモル)は 各レーンで示した。6DEEの非存在下でのコントロール反応は左側に示す。R ev−RRE複合体および未結合プローブは矢印で示す。 図8:プレ−mRNAスプライシングに影響を与えない抑制性化合物6DEE 32P標識ヒトβ−グロビンプレ−mRNA(Krainerら、Cell,36:993-1005( 1984)およびRuskinら、Cell,38:317-331(1984))を、6DEEの存在下(+ )または非存在下(−)でHeLa核抽出物中で保温した。濃度(マイクロモル )は左に示す。反応生成物の構造は右側に記した。コントロール反応は左側に示 す。 発明の詳細な説明 本発明は、リガンドのRNAへの特異的結合は小型の有機分子によって抑制さ れるという発見に基づいている。この小型の有機分子はRNAに結合し、それに よってリガンドがRNAに結合するのを抑制する。本明細書で用いられているよ うに、”小型有機分子”という表現は、ペプチド、オリゴヌクレオチドまたはそ の類似体以外の分子量が約2000ダルトン未満の化合物を指す。RNA/リガ ンド対のRNA部分はいずれのリボ核酸ポリマーであってもよい。RNA/リガ ンド対のリガンド部分は好ましくは蛋白、核酸、脂質または炭水化物である。 ある実施態様では、リガンド/RNA対のリガンド部分はHIV Rev蛋白 である。Rev蛋白は転写後に機能し、感染細胞の核から細胞質へのgag−p olおよびenvmRNAの輸送を促進する。Revがなければ、これらの構造 遺伝子転写物は、細胞質内に蓄積されず、ウイルスは複製することができない。 Revによる活性化のために、Rev反応性転写物内のシス−作動性成分が要求 される。この成分(Rev反応性成分(RRE)と呼ばれる)は、234ヌクレ オチドフラグメントまでマッピングされている(Malimら、Nature 338:254(198 9)参照)。 Revは、インビトロでRREと特異的に結合する。化学的保護実験およびR NA分解酵素(RNAアーゼ)保護実験では、Revの結合は主として66ヌク レオチドフラグメント内のヌクレオチド(RREのドメインIIと呼ばれる)を保 護する。このフラグメントは親和性の高いRev結合のために必要にして十分で あることが示された。下記の実施例では、標識した67ヌクレオチドの高親和性 Rev結合部位へRevが結合するのを阻害する能力について小型有機分子が調 べられた(Bartelら、Cell,67:529(1991)参照)。 以下に詳細に説明するように、高親和性RREへのRevの結合抑制達成は、 好ましい種類の小型有機分子(2−デオキシストレプタミン(2−DOS)アミ ノグリコシド類)を用いて認められた。この2−DOS類には、グリコシド結合 で1つまたはそれ以上の糖部分に連結された2−デオキシストレプタミン核を有 するという特徴をもつ1群のアミノグリコシドが含まれる。 下記の実施例の章で説明する実験では、13種類の2−DOSアミノグリコシ ド類のRev/RRE結合抑制アッセーでのテストが記載されている。具体的に は、テストされた2−DOS化合物は、ネアミン、アミカシン、シソマイシン、 リボスタマイシン、ブチロシン、カナマイシンB、カナマイシンA、トブラマイ シン、ゲンタマイシン、ネオマイシンB、パロマイシン1、リビドマイシンAお よびヒグロマイシンBである。リビドマイシンAを除いてこれらの化合物の各々 の化学的構造は、Merck Index(第11版、Budavariら編、Rahway(1989))で与 えられる。リビドマイシンAの構造は「抗生物質化合物」のCRCハンドブック (J.Berdi、CRC Handbook of”Antibiotic Compounds”、I巻(炭水化物性抗 生物質)、CRC Press Inc.、Boca Raton、フロリダ(1980))で与えられる。 2−DOS類化合物は、構造的特徴に基づきサブクラスに分類できる。サブク ラスに分類する方法の1つは、2−デオキシストレプタミン核に結合した糖部分 の数に基づく。サブクラス分類のもう1つの慣用的方法は、2−デオキシストレ プタミン核上の置換基の位置によるものである。以下の表は、テストした2−D OS化合物の各々についてのこれら構造的特性をまとめたものである。 驚いたことに、Rev/RRE結合抑制アッセーでテストした13種の2−D OSアミノグリコシドのうち、8種(ネオマイシンB、ネアミン、リボスタマイ シン、リビドマイシンA、カナマイシンB、アミカシン、ゲンタマイシンCおよ びトブラマイシン)がRREへのRev結合抑制に有効であった。さらに、3種 の2−DOSアミノグリコシド(ネオマイシンB、トブラマイシンおよびリビド マイシンA)は、例外的な抑制能力を有していた。これらのデータは、2−DO SアミノグリコシドはこのRev/RRE結合抑制をもたらす未だ未知の構造的 特性という特徴をもつことを明瞭に示している。このことは、有効な2−DOS アミノグリコシドは適切な方向性をもつアミノ基とヒドロキシル基を含み、RN A塩基に対して水素結合供与体および受容体を提供し、RNAの陰性荷電燐酸基 と相互反応させるために陽性に荷電した アミノ基を提供するようにみえる。したがって、本発明はまた、この構造特性を 模倣しそれによってRev/RRE相互反応を抑制することができる小型の有機 分子に関する。 別の実施態様では、リガンド/RNA対のリガンド部分はHIVTat蛋白で ある。このtat蛋白は、転写段階で作用することによって遺伝子発現を強化す ることが知られている。この機能は、トランス作動性反応性成分(つまりTAR )と結合するアルギニン富裕RNA結合モチーフを介して達成される。TARは HIV遺伝子ひとつひとつのmRNA転写物中に含まれる。 下記の実施例では、26ヌクレオチドの標識TATRNAプローブ(Calnanら 、Genes Dev.5:201-210(1991))へのTAT結合阻害に関して32種の小型有 機分子の能力をテストする実験を開示する。RREへのRev結合に関して分か るように、2−DOS化合物の化学特性はTat/TAR結合について必須であ る。アミノグリコシド系抗生物質のシソマイシン(構造I)は、濃度50μMで 80%より大きいTat/TAR結合抑制をもたらした。リボスタマイシン、ジ ヒドロストレプトマイシン(構造II)、リンコマイシンおよびチオストレプト ンは抑制を示さなかった。これら化合物の各々の化学構造はMerck Index(第11 版、Budavariら編、Rah-way(1989))で与えられる。 実施例で説明する化学的保護実験およびRNAアーゼ保護実験において、Ta t/TAR相互反応のシソマイシンによる抑制は非常に特異的であることが明瞭 に示された。また、シソマイシンの結合はTARの限定領域に局在したが、この 場合シソマイシンは、TARのRNA構造をゆがめている。 別の実施態様では、リガンド部分はヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV −1)のRex蛋白である。Rex蛋白は、HTLV−1複製に必須の配列特異 的RNA結合蛋白である。Rexが機能するためには、Rex反応性成分つまり 「XRE」と呼ばれるシス−作動性RNA成分が必要で、これはU3領域の3’ 部分に位置している。HIV−1 Re v蛋白に似て、このHTLV−1 Rex蛋白は転写後に機能し、ウイルスの構 造蛋白をコードするスプライシング前のmRNAまたは1回だけスプライシング されたmRNAの核−細胞質再分布を促進させる。 下記の実施例では、親和性の高いRex結合部位を含む100ヌクレオチドの 標識RNAプローブ(Ohtaら、J.Virol.,62:4445-4451(1988))を用いて、 グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)−Rex融合蛋白の結合を抑 制する能力について、小型の有機分子をテストした実験が記載されている。具体 的には、32種のアミノグリコシド系および非アミノグリコシド系の抗生物質が この態様でテストされた。RevおよびTat蛋白の場合のように、2−Dos 核内に含まれる構造成分はリガンド/RNA抑制に必須のようにみえる。具体的 にはジヒドロストレプトマイシン(構造II)は50μMの低い濃度でRex結 合を完全に抑制した。ヒグロマイシンB、リンコマイシン、カスガマイシン、オ リボマイシンおよびクロモマイシンAは250μMまで抑制を示さなかった。こ れら化合物の各々の構造はカスガマイシンを除いてMerck Index(第11版、Budav ariら編、Rahway(1989))で与えられる。カスガマイシンの構造は、「抗生物 質化合物」のCRCハンドブック(J.Berdi、CRC Handbook of”Anti-biotic C ompounds”、I巻(炭水化物性抗生物質)、CRC Press,Inc.、Boca Raton、フ ロリダ(1980))で与えられる。 ジヒドロストレプトマイシンの結合は、Rex−XRE相互反応に特異的であ る。このことは、Rev/RRE結合抑 制が100μM以下の濃度では効果がないことが示されたとき明らかとなった。 Rex−XREに対するジヒドロストレプトマイシンの特異性はまた、RNAア ーゼ保護実験でも示された。これらの実験のより詳細な記載は下記の実施例で提 供される。 本明細書で開示する抑制方法は種々の状況で有用である。インビトロの場合に は、本抑制方法は、例えばこの所望の特性をもつ他の化合物の同定のためにデザ インした実験でRev/RRE結合抑制用の陽性コントロールとして用いること ができる。実施例の章で示すように、本抑制方法をHIV感染細胞の治療に応用 し、それによってHIVウイルスの複製抑制をもたらすことができる。 2−DOSアミノグリコシドに官能基を付加し、本明細書に開示した所望の特 性の強化についてさらにテストすることができる。アミンおよびヒドロキシ官能 基が誘導用として好ましい場所である。2−DOSアミノグリコシドの官能基付 加は、この化合物のRREに対する親和性/特異性の増強に役立つ。この修飾は また、該化合物の膜透過性および細胞内取り込みの増強に役立つ。アミンの塩基 性を低下させる親油性部分または親油基の誘導はこの所望の効果をもつかもしれ ない。治療の場合には、修飾アミノグリコシドは毒性の低下を示すであろう。修 飾2−DOSアミノグリコシド自体はRev RREの抑制物質ではないが、細 胞内部で活性な抑制物質に変換されるえる場合もまた含まれる。 ある実施態様では、添加された3つの糖をもつ2−デオキ シストレプタミンアミノグリコシドのアミンは、2−DOSアミノグリコシドの 分子量を500ダルトンまで増加させる修飾基を付加される。別の実施例では、 4,5−二置換2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドはまた、2−DO Sアミノグリコシドの分子量を500ダルトンまで増加させる修飾基を付加され る。また別の実施態様では、1つ、2つまたは4つの添加糖をもつ2−デオキシ ストレプタミンアミノグリコシド並びに4−一置換および4,6−二置換2−デ オキシストレプタミンアミノグリコシドのアミンに、修飾基が付加されるが、こ の場合分子量の制限はない。この制限を満たす共通の修飾基には、例えば、ベン ジル、置換ベンジル、N−tert−ブトキシカルボニル、カルボベンジルオキ シ、アルキル、置換アルキル、アシル、ベンゾイル、置換ベンゾイルアルカノイ ルまたは置換アルカノイルが含まれる。この修飾基は、好ましくは2−DOSア ミノグリコシドの全体的な親油性を高める傾向をもつ基である。 別の実施態様では、2−DOSアミノグリコシドの全アミンがメチルで置換さ れているか、または一級アミンのいずれかであることを条件として、アミン修飾 基はメチル基である。この例では、2−DOS分子上のヒドロキシル基は、置換 されていなくても、また部分的にもしくは完全に置換されていてもよい。 2−DOSアミノグリコシドのヒドロキシ官能基はまた、修飾基を用いて官能 基付加を行うことができる。ヒドロキシル誘導に有用な共通の修飾基には、例え ば、ベンジル、置換 ベンジル、ベンゾイル、置換ベンゾイル、アルキル、置換アルキル、アルカノイ ル、置換アルカノイルまたはシリルが含まれる。アミン誘導のために考察したよ うに、ヒドロキシル修飾のための修飾基の選択は、好ましくは2−DOSアミノ グリコシドの全体的な親油性を増強する傾向をもつ基である。 以下に詳述する構造に関する情報は、特に有用な2−DOSアミノグリコシド 誘導体を説明するために提供される。これらには、下記の構造III−IVで説明す る構造特色をもつ4−置換、4,5二置換、または4,6二置換2−デオキシス トレプタミンアミノグリコシドが含まれる。 式中、R1は、HまたはL−(−)−4−アミノ−2−ヒドロキシブチリルから 選ばれ; R2は、下記構造IVの構造をもつヘキソースの基から選ばれ: (式中、R5はアミノまたはヒドロキシルのいずれかで、R6およびR7はHまた はヒドロキシルのいずれかで、R8はアミ ノまたはヒドロキシルのいずれかで、R9はアミノまたはメチルアミノのいずれ かである)、 R3およびR4はそれぞれ別個にH、R10または下記の構造Vの構造をもつ分子部 分から選ばれ: 式中、R10は構造VIに示すように、Hまたは下記の構造VIから成る基から選ばれ ; 11はHまたはマンノシルから成る基から選ばれるが;R3またはR4の少なくと も1つはHでなければならない。 上記の構造I−IVに示した構造のアミンおよびヒドロキシル基は、本発明の詳 細な説明ですでに述べたように修飾できることは理解されるところであろう。 実施例に示すように、インビトロでのRev/RRE結合の2−DOSアミノ グリコシドによる抑制は、アミノグリコシドの感染細胞におけるHIV複製抑制 を予測するものとして役立つであろう。したがって、本発明の別の特徴は、HI V感染細胞におけるHIV複製抑制に関する。感染細胞を複 製抑制に十分な量のアミノグリコシドと接触させることによって複製抑制は影響 を受ける。小型の有機分子の投与のための慣用の態様を治療において用いること ができる。 上記で検討した好ましい種類の小型の有機分子(2−DOSアミノグリコシド 類)の他に、非アミノグリコシド系でもなく抗生物質ですらない小型の有機分子 の使用が有効であることを示す実験を、以下の実施例の章で述べる。より具体的 には、以下に述べるこの実験は、エリプチシン誘導体(6−2[2−(ジエチル アミノ)エチル]エリプチシン二塩酸塩(6DEE)(構造VII))は、TAR RNAへのTatペプチドの結合を抑制することを示す。 実施例 実施例1HIV RNAのRREへのRev結合を抑制するアミノグリコシド 系抗生物質 抗生物質がRevのRREへの結合を阻害することができるか否かをテストす るために、高い親和性のRev結合部位を含む67ヌクレオチドの32P標識RN Aプローブを、種々の抗生物質の存在下で精製大腸菌由来Rev蛋白とともに保 温した。RevのRNAプローブへの結合は、RNAゲル移 動度シフトアッセーによって定量した。 総数32種のアミノグリコシド系および非アミノグリコシド系抗生物質を、R ev結合抑制能について先ず調べた。いくつかの結論がこのデータから得られた 。第一に、非アミノグリコシド系抗生物質(エリスロマイシン、テトラサイクリ ン、チオストレプトン、クロラムフェニコール、クロモマイシンA、オリボマイ シン、リンコマイシン、クリンダマイシンA、ビネオマイシン、カプレオマイシ ン、ビオマイシン、ジスタマイシンA、アンピシリン、カルベニシリンおよびチ ュニカマイシン)は、検査したいずれの濃度でも抑制を示さなかった。第二に、 3種のアミノグリコシド系抗生物質(ネオマイシンB、トブラマイシンおよびリ ビドマイシンA)は顕著な抑制能を有していた。特に、ネオマイシンBは1μM の低い濃度でRev結合を完全に抑制した。また、親和性の高い結合部位を含む 33ヌクレオチドRNAプローブへの、およびインビボでRev反応を支える2 34ヌクレオチドRREへのRevの結合は、この同じ濃度の薬剤で抑制された 。トブラマイシンおよびリビドマイシンAは共にRev結合抑制を達成するため にはわずかに高い濃度(10μM)を必要とした。第三群のアミノグリコシド( ゲンタマイシン、カナマイシンB、リボスタマイシン、ネアミン、アミカシンお よびシソマイシン)は、100μmで抑制を示した。テストしたその他のアミノ グリコシド系抗生物質(ブチロシン、カナマイシンA、パロモマイシン、スペク チノマイシン、ストレプトマイシン、カスガマイシン、ジヒドロストレプトマイ シ ンおよびヒグロマイシンB)は、用いたいずれの濃度でも抑制活性を示さなかっ た。 RNAとアミノグリコシドとの結合は、この薬剤の陽性荷電のアミノ基とRN Aの陰性荷電の燐酸基との間のイオン反応を必要とする。RNA結合のためのア ミノ基の重要性は、いくつかの重要な構造−活性相関性によって明らかにされる 。カナマイシンA対カナマイシンBおよびネオマイシンB対パロマイシンの両方 の事例で、アミノのヒドロキシル基への変更によって抑制活性は排除された。 Rev−RRE抑制データによって、2−デオキシストレプタミン(2−DO S)コア構造が抑制に必要であることが示唆される。例えば、2−DOSを欠く 薬剤(例えばストレプトマイシンおよびスペクチノマイシン)は、非アミノグリ コシド系抗生物質がそうであったように活性をもたなかった。最も活性の高いア ミノグリコシドは、4,5−二置換2−DOS(ネオマイシンBおよびリビドマ イシンA)および4,6−二置換2−DOS(トブラマイシン)部分を含む。 極めて驚くべき構造と活性の相関性はネオマイシンBとパロマイシンを含む。 これら2つの分子はほとんど同一で、2−DOSの4位のアミノグルコースのC 6置換基の性質だけが異なっている。最も強力な抑制物質であるネオマイシンB は、アミノ基を有し、一方、完全に活性をもたないパロマイシンはこの位置にヒ ドロキシル基を有する。実施例2ネオマイシンBは特異的にRev−RRE相互反応を抑制する 抑制がRev−RRE相互反応に特異的であるか否かを決定するために、いく つかの無関係な配列特異的RNAおよびDNA結合蛋白に対する抑制性抗生物質 の影響を調べた。先ず初めに、プレ−mRNAスプライシングに必要な2種のよ く性状が分かっている蛋白を調べた。これらはスプライシング必須因子U2AF65 およびショウジョウバエ(Drosophila)の性致死スプライシング調節蛋白であ る。 これらの結合実験では、性致死蛋白またはU2AF65の65kDサブユニット (それぞれグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)との融合蛋白とし て精製された)を、ショウジョウバエのtra遺伝子で発見された十分に性状が 分かっているポリピリミジントラクト−3’スプライシング部位を含む32P標識 RNAとともに、100μMのネオマイシンBまたは100μMのトブラマイシ ンの存在下で保温した。 GST−性致死蛋白のtraRNAへの結合は、100μMのネオマイシンB とともに保温した後影響を受けない。同様に、GST−Sex U2AF65のイ ンビトロ結合も100μMのネオマイシンBの存在によって抑制されない。した がって、これらの実験は、ネオマイシンBはこれら2種のRNA結合蛋白のイン ビトロ結合特性に影響をあたえないことを明らかにしている。 次にグリヤルアルデヒド3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)( 配列特異的態様でトランスファーRNA(tRNA)のサブセットにまた結合す る糖分解酵素)を調 べた。GAPDHのtRNATyrへの結合は100μMのネオマイシンBまたは 100μMのトブラマイシンによって影響を受けなかった。 Revは、アルギニン富裕RNA結合モチーフを含むRNA結合蛋白類に含ま れる。次にアミノグリコシド系抗生物質がこの種類の別の部分つまりHIV−1 Tatの蛋白の結合を抑制することができるか否かを調べた。Tatのアルギ ニン富裕領域を含む12アミノ酸ペプチドは、完全な長さの蛋白のそれと匹敵す るRNA結合活性を有する。Tatペプチドの結合はアミノグリコシド系抗生物 質のいずれによっても影響を受けなかった。したがって、テストした全てのRN A−蛋白相互反応のうち、Rev−RRE相互反応のみが抑制された。実施例3ネオマイシンBによるDNA結合蛋白の抑制 ネオマイシンBによる抑制がRev:RRE相互反応に特異的であるというさ らに別の証拠を提供するために、DNA結合蛋白のインビトロ結合特性における ネオマイシンBの影響を調べた。 これらの実験では、ゲル内移動度シフトアッセーを用いて、2つの真核細胞転 写因子(Oct−1およびATF−2)のDNA結合活性を、100μMネオマ イシンB中で保温した後精査した。HSV ICPOオクタマー結合部位を含む32 P標識70ヌクレオチドDNAプローブ(Stern & Herr,Genes and Developm ent,5:2555-2566(1991))とともに、精製Oct−1をネオマイシンBの非存 在下または存在下(1 00μM)で保温した。さらに、ATF−2の35ヌクレオチドDNAプローブ (HTLV−1のLTRのヌクレオチド−251から−232と相同)への結合 に対する100μMネオマイシンBの影響も精査した。HSV ICPOオクタ マー結合部位へのOCT−1の結合は100μMのネオマイシンBでは影響され なかった。ATF−2に対するDNA結合活性の程度は100μMネオマイシン Bとの保温後も変化がなかった。したがって、ネオマイシンBは、Oct−1お よびATF−2のインビトロDNA結合特性に影響を与えない。実施例4前駆体mRNAプロセッシングの抑制 これまでの研究で、ネオマシシンBやトブラマイシンのようなアミノグリコシ ド系抗生物質は、グループIのイントロンのセルフスプライシングをインビトロ で効果的に抑制すると報告された(von Ahsenら、J.Mol.Biol.,226:935-941 (1992))。しかしながら、これらの抗生物質が、多くのRNA:蛋白相互反応 を伴う反応工程である前駆体mRNAスプライシングに抑制作用を有するかどう かは未だ確定されていない。これらアミノグリコシド系抗生物質が前駆体mRN Aスプライシングを抑制するか否かを決定し、さらに、ネオマイシンBによる抑 制がRev:RRE相互反応に特異的であることを示すために、カナマイシンA 、ネオマイシンBまたはトブラマイシンの前駆体mRNAプロセッシングのイン ビトロ抑制能を調べた。これらの実験では、220ヌクレオチドのアデノウイル ス主要後期前駆体mRNA(MXSVL) を、カナマイシンA、ネオマイシンBまたはトブラマイシンを含むHeLa細胞 核抽出物中で保温した。これらのアミノグリコシド系抗生物質を100μMまで の濃度で哺乳類のインビトロスプライシング抽出物に添加した場合、前駆体mR NAスプライシングのいずれの段階においても影響を与えなかった。前述の項で 述べた結果を合わせると、これらのデータは、ネオマイシンによるRevのRR Eへの結合抑制は極めて特異的であることを示している。実施例5ネオマイシンBはRREのコア結合部位に結合する 次に抑制の基礎を決定するための実験を実施した。アミノグリコシド系抗生物 質に関する背景情報が与えられるならば、ネオマイシンBはRREと複合体を形 成し、Rev結合を阻害することができるという可能性が存在する。この仮説を テストするために、化学的フットプリント実験を実施した。67ヌクレオチドR RERNAを単独、Revとともに、またはネオマイシンB、トブラマイシンも しくはカナマイシンAの濃度を高めながら(0.1、1.0および10μM)と もに保温し、さらに硫酸ジメチル(DMS)またはケトキサールのいずれかで処 理した。前者はN1のアデノシンおよびN3のシトシンをメチル化し、後者はグ アノシンのN1およびN2を修飾する。特異的塩基の修飾はプライマーの伸長に よって検出した。このような条件の下では、DMSおよびケトキサールは一本鎖 特異的で、したがって単独RNAの修飾パターンは二次構造の指標を提供する。 ネオマイシンBの存在下で実施された化学修飾/保護実験の結果によって、ネ オマイシンBは、Rev蛋白に対して親和性が高い認識/結合部位内に含まれる RRE内のヌクレオチドに結合することが明らかにされた。トブラマイシンは同 様な保護パターンを生じたが、トブラマイシンによる保護は弱く、これはトブラ マイシンの弱い抑制活性と一致する。例えば、Rev、ネオマイシンB、トブラ マイシンは全て、67ヌクレオチドRNAのヌクレオチド46−48を強力に保 護した。同じ濃度の非抑制性アミノグリコシドのカナマイシンAはRREを化学 的修飾から防護しなかった。実施例6RevはRREへの結合についてネオマイシンBと競合する 実施例5の化学修飾/保護実験は、抑制性抗生物質は親和性が高いRev結合 部位のコア内の塩基を保護することを示した。このことは、これら薬剤は競合的 メカニズムによってRev結合を抑制することを示唆した。この仮説が予測する ものは、高濃度のRevによって抑制が抑えられるということである。この可能 性を調べるために、Revの濃度を増加させながら、100μMのネオマイシン Bを含む反応混合物に加えた。最も低い蛋白濃度(1.3−2ng)でも薬剤に よってRev結合は完全に抑制された。しかしながら、Revの量が増加するに つれ、RNA結合は回復した(10−20ng)。実施例5と6の結果を総合す ると、ネオマイシンBによるRev結合の抑制は競合的メカニズムによって生じ ることが示唆される。実施例7ネオマイシンBはインビトロでRev機能と拮抗する 上記の実験によって、精製RevのRNAへの結合に干渉するこれら抗生物質 の能力が測定された。これによって、抑制性抗生物質は、またRev機能と干渉 する可能性が示唆された。この仮説は、インビトロでRev機能を精査すること によって調べた。このアッセーでは、スプライシングの抑制は、RNAに結合す ることができるRev誘導体とRREを含むプレ−mRNAの両方を必要とする 。したがって、スプライシングの抑制はRev−RRE相互反応に依存する。ネ オマイシンBはRev結合を抑制するので、この薬剤はスプライシング抑制を逆 転させるであろう。 この実験の結果は、Rev誘導体はRREを含むプレ−mRNAのスプライシ ングを抑制することを示した。特に、ネオマイシンBは、Rev結合を抑制する 濃度(1.0−2.5μM)と同じ濃度でRev仲介スプライシング抑制を無効 にした。対照的に、非抑制性抗生物質であるカナマイシンAは40倍高い濃度で もスプライシング抑制を逆転させることができなかった。このことは、ネオマイ シンBはインビトロでRev機能を抑制することを示す。ネオマイシンBは、4 00倍高い濃度でもRNAベースのプレ−mRNAスプライシング反応を抑制し なかったので(実施例4参照)、抑制は極めて特異的であることは明らかである 。実施例8ネオマイシンBはインビボで選択的にRev機能と拮抗する 次に、抑制性抗生物質がインビボでもRev機能と拮抗することができるか否 かを知るために実験を行った。Rev機能は、クロラムフェニコールアセチトラ ンスフェラーゼ(CAT)レポータープラスミドpCM128(これはRREお よび細菌性CATコード配列の両方を含むただ1つのイントロンを有する)を用 いて同時核酸感染アッセーで測定した(Hopeら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87 :7787-7791(1990))。イントロンは通常スプライシングによって能率的に切 り出され、したがってpCM128をトランスフェクトされた細胞は、ほんの微 量のCAT酵素活性を発現するだけである。Rev発現プラスミドによる同時核 酸感染はスプライシングされていない転写物が細胞質に入るのを可能にし、した がって、CAT発現が増加する。ネオマイシンBおよびトブラマイシンによって Rev機能の用量依存抑制が生じるが、一方、カナマイシンAは抑制作用をもた なかった。これらの発見は、上記のインビトロRev結合アッセーおよびスプラ イシング抑制アッセーで得られた結果と一致する。 3つの考察によって、Rev機能の抑制は特異的で、形質発現におけるより一 般的な抑制作用によるものではないということが示唆される。第一に、テストし た全ての抗生物質の濃度で、細胞の生存度および増殖は正常で、細胞内翻訳総量 ([35S]メチオニンの取り込み)は抑制されなかった。第二に、Rev機能を 抑制するネオマイシンBおよびトブラマイシンの濃度は、同時核酸感染を行った β−ガラクトシダーゼ、レポーター遺伝子の発現を抑制しなかった。第三に、ネ オマイシンBおよびトブラマイシンの対応濃度では、サイトメガロウイルス(C MV)−CATレポーターの発現、またはHIVのロングターミナルリピート− CATレポーターのHIV Tat−仲介活性化を抑制しなかった。したがって 、Rev機能の抑制は、転写または転写後の段階におけるCAT形質発現に対す る干渉によるものではない。転写活性化はTatとトランス作動性反応性配列と の間のRNA−蛋白相互反応を必要とするので、Tatを抑制できないことは極 めて明瞭である。この実験から、ネオマイシンBおよびトブラマイシンは、イン ビボでのRev機能を選択的に抑制すると結論することができる。実施例9ネオマイシンBはHIVの産生を抑制する これまでの実験は、RevはHIVの複製に必須であることを示した。したが って、上記に示した結果から予想されることは、ネオマイシンBはウイルス産生 を抑制するであろうということである。この予想をテストするために、慢性的感 染を起こしている細胞株(U1)でのウイルス産生におけるネオマイシンBの作 用を精査した。この細胞株は、ウイルス産生のRev依存活性化を調べるための モデルとしてこれまで用いられてきた(Pomerantzら、Cell,61:1271-1276(199 0); Michaelら、J.Virol.,55:1291-1303(1991))。 ウイルス産生は、ネオマイシンBの濃度を上げながら、培溶液中のウイルス構 造蛋白(p24)量を測定するという標準アッセーを用いて調べた。この実験の 結果は、ネオマイシンBは用量依存態様(0−2.5mM)でウイルス産生を抑 制することを明瞭に示した。調べた最高の濃度では、抑制は約85%であった。 とりわけ、これら薬剤の全ての濃度で、細胞増殖は未処理コントロールの94− 108%であった。ネオマイシンBはしたがって、慢性感染を生じた細胞のHI V産生を明瞭に抑制する。実施例10シソマイシンはTATペプチドのTAR RNAへの結合を抑制す Tat結合抑制能について、総計32種のアミノグリコシド系および非アミノ グリコシド系抗生物質をテストした。これらのデータのいくつかを図1Aに示す 。26ヌクレオチド32P標識TAR RNAプローブ(+18から+44)を、 HIV Tat蛋白(Calnanら、Genes Rev.,5:201-210(199l))のアミノ酸 48−60を含む合成ペプチドとともに250μMの表示抗生物質の存在下また は非存在下で保温した。結果は、アミノグリコシド系抗生物質であるシソマイシ ンだけがTatペプチドのTAR RNAへの結合を抑制することを示した。リ ボスタマイシン(100μMまたはそれ以上の濃度でRev結合を抑制すること がこれまで示されていたアミノグルコシド)は、Tat結合に関して250μM では影響を与えなかった。同じTARプローブをTATペプチドの存在下でシソ マイシンの濃度(マイクロモル)を減少させながら保温した。データは図1Bに 示す。このデータは、50μMの低さの濃度で、TATペプチド結合は>80% 抑制されることを示している。実施例11シソマイシンはTat−TAR相互反応を特 異的に抑制する Tatは、アルギニン富裕RNA結合モチーフを含むRNA結合蛋白類の1つ である。シソマイシン抑制がTat/TARに特異的であるか否かを調べるため に、親和性の高いRev結合部位を含む32P標識RNAプローブ(Zappら、Cell ,74:969-978(1993))を、精製大腸菌(E.coli)由来Rev蛋白とともにシ ソマイシンの濃度を増加させながら保温した。図2Aに示すように、Revの結 合はテストしたいずれの濃度のシソマイシンでも影響されなかった。実施例12シソマイシンは哺乳類プレ−mRNAスプライシングを抑制しない プレ−mRNAのスプライシングは多くのRNA−蛋白相互反応およびRNA −RNA相互反応を必要とし、したがって、RNA結合蛋白抑制因子についての 厳密なテストを提供する。32P標識ヒトβ−グロビンプレ−mRNA(Krainer ら、Cell,36:993-1005(1984)、及びRuskinら、Cell,38:317-331(1984)) を数種のアミノグリコシドの存在下または非存在下でHeLa核抽出物中で保温 した。スプライシングは100μMシソマイシンによって影響を受けなかった( 図2B)。上記の結果と合わせて、これらのデータは、シソマイシンによるTa t−TAR相互反応の抑制は高度に特異的であることを示している。実施例13シソマイシンはTARの限定領域に結合する シソマイシンがTARの限定領域に結合するか否かをテストするために、化学 的フットプリント実験をケトキサール (これはグアノシンのN1位とN2位を修飾する)を用いて実施した。親和性の 高いTAT結合部位を含む46ヌクレオチドRNAを、シソマイシンの濃度を増 加させながら(10μM、100μMまたは1Mm)またはその非存在下で保温 し、表示したようにケトキサールで処理した。ジデオキシシーケンシング反応( C、U、GおよびA)および未処理RNAによるコントロール反応(K)に加え て、逆転写RNAを変性ポリアクリルアミドゲルで分離した。結果(図3)は、 シソマイシンは2つのグアノシン(G33及びG43)を保護することを示して いるが、このことは、シソマイシンはTAR RNAの構造的変化を誘発するこ とを示唆する。これらのデータを合わせれば、シソマイシンはTAR RNAに 直接結合し、その構造を歪めることが示唆される。誘発された構造的変化におけ るこの直接結合によって上記のTat結合抑制が説明される。実施例14HTLV−1 Rex蛋白の結合を抑制する低分子 抗生物質がHTLV−1 Rex蛋白のその同系のRNA結合部位(XRE) への結合を阻害するか否かをテストするために、親和性の高いRex結合部位( Ohtaら、J.Virol.62:4445-4451(1988)を含む100ヌクレオチド32P標識R NAプローブを、精製大腸菌由来グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GS T)−Rex融合蛋白とともに種々の抗生物質の存在下で保温した。GST−R exのRNAプローブへの結合はRNA移動度シフトアッセーによって測定した 。 総数32種のアミノグリコシドおよび非アミノグリコシド系抗生物質を、Re x結合を抑制する能力についてテストした。これらのデータのいくつかを図4に 示す。特に、ジヒドロストレプトマイシンは、50μMの濃度でRex結合を完 全に抑制した。図4に示したその他の抗生物質は(ヒグロマイシンB、リンコマ イシン、カスガマイシン、オリボマイシン、クロモマイシンA)は、テストに用 いた最高濃度(250μM)でも抑制活性をもたなかった。実施例15ジヒドロストレプトマイシンはRex−XRE相互反応を特異的に 抑制する 抑制がRex−XRE相互反応に特異的か否かを調べるために、無関係の配列 特異的RNA結合蛋白、HIV−1 Rev蛋白に対するジヒドロストレプトマ イシンの作用を調べた。Rexは、アルギニン富裕RNA結合モチーフを含むR NA結合蛋白類の1つである。ジヒドロストレプトマイシンがこの種類に含まれ る別の蛋白の結合を抑制することができるか否かを調べるために、HIV−1 Rev蛋白を調べた。親和性の高いRev結合部位を含む67ヌクレオチド32P 標識RNAプローブ(Zappら、Cell,74:969-978(1989))を、精製大腸菌(E .coli)由来Rev蛋白とともにジヒドロストレプトマイシンの濃度を上げなが ら、またはその非存在下で保温した。図5に示したように、RevのXREへの 結合は、最高濃度(100mM)のジヒドロストレプトマイシンによって影響さ れなかった。実施例16ジヒドロストレプトマイシンは哺乳類のプレ −mRNAスプライシングを抑制しない 上記に述べたように、プレ−mRNAスプライシングは、RNA−蛋白相互反 応およびRNA−RNA相互反応の抑制因子についての厳密な特異性テストを提 供する。図2Bおよび実施例12で述べたように、100μMのジヒドロストレ プトマイシンは、HeLa細胞核抽出物中のヒトβ−グロビンプレ−mRNAの 基質のスプライシングに影響を与えなかった。上記の結果と合わせて、これらの データは、ジヒドロストレプトマイシンによるRex−XRE相互反応の抑制は 高度に特異的であることを示唆している。実施例17アミノグリコシド系抗生物質ではない低分子はHIV TAT蛋白 の結合を選択的に抑制する エリプチシンは抗腫瘍活性をもつことが知られている化合物の1つの種類であ る。それらは、DNAとの相互作用によって、おそらく挿入メカニズムを介して 抗腫瘍効果を示すと考えられている。したがって、この種類に含まれるいずれか の分子によって、RNA結合蛋白とその系統のRNA結合部位(TAR)との相 互反応が抑制されるか否かをテストした。 親和性の高いTat結合部位を含む36ヌクレオチド32P標識RNAプローブ (+18から+44)を、Tatアルギニン富裕RNA結合領域(Calnanら、Ge nes Rev.,5:201-210(1991))を含む合成ペプチドとともに保温した。この特 有なTatペプチド(アミノ酸48−60)は、完全な長さのTat蛋白のRN A結合活性に匹敵するRNA結合活性を有することが以前に示されていた。Ta tペプチドのTAR R NAプローブへの結合は、RNAゲル移動度シフトアッセーによって測定した。 図6Aは、エリプチシン誘導体(6−[2−(ジエチルアミノ)エチル]エリ プチシンジヒドロクロリド(6DEE))は、TAR RNAへのTatペプチ ドの結合を250μMで抑制したことを示す。図6Bは、同じプローブをTAT ペプチドの存在下または非存在下で6DEEの濃度を減少させながら保温した場 合の測定実験を表している。このデータは、6DEEは50μMの濃度でTat ペプチドの結合を>85%抑制したことを示している。 6DEEがこの種類の別のペプチドの結合を抑制することができるかどうかを 知るために、HIV−1 Rev蛋白を次にテストした。親和性の高いRev結 合部位を含む32P標識RNAプローブ(94.7 Zappら、Cell 74:969-978(1993) )を、精製大腸菌(E.coli)由来Rev蛋白とともに6DEEの濃度を上げな がら保温した。実施例186DEEは哺乳類のプレ−mRNAスプライシングを抑制しない 32P標識ヒトβ−グロビンプレ−mRNA(Krainerら、19:4, Ruskinら、19 :4)をHeLa核抽出物中で6DEEの存在下または非存在下で保温した。図8 は、100μMの6DEEは、HeLa細胞核抽出物中で、ヒト32P標識β−グ ロビンプレ−mRNA基質のスプライシングに影響を与えなかったことを示す。 上記の結果と合わせて、これらのデータは、6DEEによるTat−TAR相互 反応の抑制は高度に特異 的であることを示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI A61K 38/00 ADY C12N 15/09 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),CA,JP,US (72)発明者 ザップ,マリア・エル アメリカ合衆国マサチューセッツ州01505, ボイルストン,グリーン・ストリート・ 368 (72)発明者 スターン,セス アメリカ合衆国マサチューセッツ州01564, スターリング,リバー・ビュー・ロード・ 18ビー

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ペプチド、オリゴヌクレオチドまたはその類似体以外の、約2000ダルト ン未満の分子量をもつ小型有機化合物とRNAを接触させることを含むRNA− リガンド相互反応を抑制する方法であって、当該小型有機化合物が該RNAに直 接結合し、それによって該RNAへのリガンドの結合を抑制する、RNA−リガ ンド相互反応抑制方法。 2.該リガンドが蛋白、核酸、脂質または炭水化物から成る群から選ばれる、請 求の範囲第1項の方法。 3.該小型有機化合物がアミノグリコシドである、請求の範囲第2項の方法。 4.アミノグリコシドが2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドである、 請求の範囲第3項の方法。 5.ペプチド、オリゴヌクレオチドまたはその類似体以外の、約2000ダルト ン未満の分子量をもつ小型有機化合物とシス−作動性RNAを接触させることを 含むシス−作動性RNA配列へのトランス−活性化型調節蛋白の結合を抑制する 方法であって、該小型有機化合物が該RNAに直接結合し、それによって該RN Aへの該蛋白の結合を抑制する、シス−作動性RNA配列へのトランス−活性化 型調節蛋白の結合を抑制する方法。 6.該RNAがmRNAまたは前駆体mRNAである、請求の範囲第5項の方法 。 7.該mRNAがウイルスによってコードされる、請求の範 囲第6項の方法。 8.該ウイルスがRNAウイルスである、請求の範囲第7項の方法。 9.該RNAウイルスがレトロウイルスである、請求の範囲第8項の方法。 10.該ウイルスがHIV−1である、請求の範囲第9項の方法。 11.該トランス−活性化型調節蛋白がRevである、請求の範囲第10項の方法 。 12.該トランス−活性化型調節蛋白がTatである、請求の範囲第10項の方法 。 13.該ウイルスがHTLV−1である、請求の範囲第9項の方法。 14.該トランス−活性化型調節蛋白がRexである、請求の範囲第13項の方法 。 15.該小型有機化合物がアミノグリコシドである、請求の範囲第10項の方法。 16.該小型有機化合物がアミノグリコシドである、請求の範囲第13項の方法。 17.該アミノグリコシドが2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドである 、請求の範囲第15項の方法。 18.該アミノグリコシドが2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドである 、請求の範囲第16項の方法。 19.Rev反応性構成成分を含むRNAへのHIV Rev蛋白結合を抑制する 方法であって、該RNAと、該RNA に直接結合する2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドとを接触させ、そ れによってRev反応性構成成分へのHIV Rev蛋白結合を抑制するること を含む、Rev反応性構成成分を含むRNAへのHIV Rev蛋白結合を抑制 する方法。 20.該2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドが3つの糖部分を含む、請 求の範囲第19項の方法。 21.2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドの1つまたは2つ以上のアミ ノ基が、分子量合計が500ダルトン未満の修飾基で官能基付加されている、請 求の範囲第20項の方法。 22.該修飾基が該2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドの親油性を高め る、請求の範囲第21項の方法。 23.該2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドの1つまたは2つ以上のヒ ドロキシル基が修飾基で官能基付加されている、請求の範囲第20項の方法。 24.該修飾基が該2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドの親油性を高め る、請求の範囲第23項の方法。 25.2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドのアミノ官能基が、それぞれ 別個にメチル置換されているか、または1級アミンである、請求の範囲第20項 の方法。 26.2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドのヒドロキシル部分が官能基 付加されていない、請求の範囲第25項の方法。 27.2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドが1つ、 2つまたは4つの糖部分を含む、請求の範囲第19項の方法。 28.該2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドの1つまたは2つ以上のア ミノ基が修飾基で官能基付加されている、請求の範囲第27項の方法。 29.該修飾基が2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドの親油性を高める 、請求の範囲第28項の方法。 30.該2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドの1つまたは2つ以上のヒ ドロキシル基が修飾基で官能基付加されている、請求の範囲第27項の方法。 31.該修飾基が該2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドの親油性を高め る、請求の範囲第30項の方法。 32.2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドのアミノ官能基が、それぞれ 別個にメチル置換されているか、または1級アミンである、請求の範囲第27項 の方法。 33.2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドのヒドロキシル部分が官能基 付加されていない、請求の範囲第32項の方法。 34.該2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドがトブラマイシンである、 請求の範囲第19項の方法。 35.該2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドがネオマイシンBである、 請求の範囲第19項の方法。 36.該2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドがネアミンである、請求の 範囲第19項の方法。 37.該2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドがリボ スタマイシンである、請求の範囲第19項の方法。 38.該2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドがリビドマイシンAである 、請求の範囲第19項の方法。 39.該2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドがカナマイシンBである、 請求の範囲第19項の方法。 40.該2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドがアミカシンである、請求 の範囲第19項の方法。 41.該2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドがゲンタマイシンCである 、請求の範囲第19項の方法。 42.Rev反応性構成成分を含むRNAへのHIV Rev蛋白結合を抑制する 方法であって、該方法が、該RNAに直接結合し、それによってRev反応性構 成成分へのHIV Rev蛋白結合を抑制する4−一置換、4,5−二置換、ま たは4,6−二置換−2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドと該RNA とを接触させることを含み、さらに該2−デオキシストレプタミンアミノグリコ シドが以下の構造を有し: 式中R1はHまたはCOCHOHCH2CH2NH2から成る群から選ばれ; R2は以下から成る群から選ばれ; 5はNH2またはOHから成る群から選ばれ; R6はHまたはOHから成る群から選ばれ; R7はHまたはOHから成る群から選ばれ; R8はNH2またはOHから成る群から選ばれ; R9はNH2またはNHCH3から成る群から選ばれ; R3およびR4はそれぞれ別個にH、R10から成る群から選ばれ; ここでR10はHまたは から成る群から選ばれ; R11はHまたはマンノシルから成る群から選ばれるが、少なくともR3またはR4 はHでなければならない、Rev反応性構成成分を含むRNAへのHIV Re v蛋白結合を抑制する方法。 43.該2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドの1つまたは2つ以上のヒ ドロキシル基が修飾基で官能基付加されている、請求の範囲第42項の方法。 44.該修飾基が該2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドの親油性を高め る、請求の範囲第43項の方法。 45.2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドのアミノ官能基が、それぞれ 別個にメチル置換されているか、または1級アミンである、請求の範囲第42項 の方法。 46.2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドのヒドロキシル部分は官能基 付加されていない、請求の範囲第45項の方法。 47.2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドが4−一置換2−デオキシス トレプタミンであって、ここでR3およびR4がH、またはR3がHの場合は4, 6−二置換2−デオキシストレプタミンである、請求の範囲第42項の方法。 48.該2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドの1つまたは2つ以上のア ミノ基が修飾基で官能基付加されている、請求の範囲第47項の方法。 49.該修飾基が該2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドの親油性を高め る、請求の範囲第48項の方法。 50.2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドが4,5−二置換2−デオキ シストレプタミンであって、その場合R4がHである、請求の範囲第42項の方 法。 51.2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドの1つま たは2つ以上のアミノ基が、分子量合計が500ダルトン末満の修飾基で官能基 付加されている、請求の範囲第50項の方法。 52.該修飾基が該2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドの親油性を高め る、請求の範囲第51項の方法。 53.レトロウイルスによってコードされるRNAに結合して、該RNAへの蛋白 の結合を抑制し、それによってレトロウイルスの複製を抑制する2−デオキシス トレプタミンアミノグリコシドとレトロウイルス感染細胞とを接触させることを 含む、レトロウイルスの複製を抑制する方法。 54.レトロウイルスがHIVであり、HIVがコードする該RNAがRev反応 性構成成分を含み、HIV RNAへの結合が抑制される該蛋白がRevである 、請求の範囲第53項の方法。 55.該2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドが3つの糖部分を含む、請 求の範囲第54項の方法。 56.2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドの1つまたは2つ以上のアミ ノ基が、分子量合計が500ダルトン未満の修飾基で官能基付加されている、請 求の範囲第55項の方法。 57.該修飾基が該2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドの親油性を高め る、請求の範囲第56項の方法。 58.該2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドの1つまたは2つ以上のヒ ドロキシル基が修飾基で官能基付加されている、請求の範囲第55項の方法。 59.該修飾基が該2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドの親油性を高め る、請求の範囲第58項の方法。 60.2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドのアミノ官能基が、それぞれ 別個にメチル置換されているか、または1級アミンである、請求の範囲第55項 の方法。 61.2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドのヒドロキシル部分は官能基 付加されていない、請求の範囲第60項の方法。 62.2−デオキシストレプタミンアミノグリコシドが1つ、2つまたは4つの糖 部分を含む、請求の範囲第54項の方法。
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