JPH08502033A - TGF−βを用いる眼疾患の治療方法 - Google Patents

TGF−βを用いる眼疾患の治療方法

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JPH08502033A JP6503502A JP50350293A JPH08502033A JP H08502033 A JPH08502033 A JP H08502033A JP 6503502 A JP6503502 A JP 6503502A JP 50350293 A JP50350293 A JP 50350293A JP H08502033 A JPH08502033 A JP H08502033A
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エム. グレイサー,バート
ビー. ファリス,ブルース
エフ. ハンハム,アン
エイ. サンダー,ジョージ
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セルトリックス ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、眼疾患を治療する方法である。この方法は、黄斑円孔、黄斑変性、ならびに網膜剥離および裂傷、白内障、角膜外傷、ならびに強膜外傷を包含する種々の疾患の治療に適する。この方法は、有効量のトランスフォーミング成長因子β(TGF-β)の患部への適用を伴う。

Description

【発明の詳細な説明】 TGF-βを用いる眼疾患の治療方法 発明の分野 本発明は、創傷治癒が損なわれる、あるいは調整を必要とする、種々の眼疾患 を治療する方法である。この眼疾患には、黄斑円孔(macular hole)、黄斑変性 、網膜剥離、網膜裂傷、網膜浮腫、網膜血管疾患、網膜血管新生、創傷治癒不全 、増殖性疾患、抗変性疾患、抗血管形成疾患、ドライアイ症候群、ぶどう膜炎、 後発白内障、角膜上皮創傷、角膜血管新生、シェーグレン症候群、および外科的 創傷が含まれる。本方法は、トランスフォーミング成長因子−β(TGF-β)を冒 されている領域へ適用することを伴う。TGF-β2は、TGF-βの好ましい型である 。創傷治癒および神経栄養効果を有する他の成長因子もまた適用し得る。発明の背景 主要な眼疾患は、網膜、水晶体、および角膜を冒す。最も重要な網膜疾患には 、黄斑円孔、黄斑変性、網膜裂傷、糖尿病網膜症、および種々雑多な疾患(misc ellaneous disorders)がある。最も重要な水晶体疾患は、白内障および屈折異 常である。最も重要な角膜疾患は、角膜潰瘍、角膜創傷、および一連のドライア イ/シェーグレン症候群を含む角膜欠陥関連疾患である。これらを以下に簡単に 示す。網膜生理学 網膜は眼の光感受性部分である。網膜は脈絡膜および網膜色素細胞により支持 され、眼の後部に見出され、色素を検出する錐体(cone)および杆体(rod)を 含む。錐体および杆体が興奮した場合、網膜中の次のニューロンを通過するシグ ナルを視神経に伝え、最終的に「可視画像」を統合する脳中枢(cerebral cente r)に伝える。 網膜の中心に黄斑があり、直径が約1/3cmから1/2cmである。黄斑は、特に中心 (窩)において詳細な視力を提供する。なぜなら錐体の密度が高いからである。 血管、神経節細胞、内顆粒層(inner nuclear layer)、内顆粒細胞(inner nuc lear cell)および網状層は、(錐体の上に載っているというよりは)全て片側 に移され、従ってさらに直接的に光を錐体に通過させ得る。 網膜の下に、脈絡膜、線維組織内に埋まっている血管集合部、および脈絡膜層 の上層にある深い色素上皮がある。脈絡膜の血管は、網膜(特に視細胞)に栄養 を供給する。網膜疾患 種々の網膜疾患があるが、現在の治療は最適ではない。網膜は裂孔を形成して 下層の脈絡膜から剥離し得る。特に関連があるのは、中心の視力を曇らせる、あ るいは変視症を生じる黄斑円孔である。ほとんどの黄斑円孔の原因は知られてい ない。しかし、外傷、類嚢胞変性、および網膜硝子体牽引は 全て円孔形成に関連している。全厚黄斑円孔(full thickness macular hole) もまた、近視変性、レーザー光凝固、電光打撃、およびピロカルピン投与に続い て現れる。また、水晶体摘出後に、高頻度で黄斑円孔を生じる。 特発性老人性黄斑円孔は、通常60代以上の健常女性に起こる疾患である。さら に重篤な円孔は、黄斑の全厚に関わり、網膜剥離の輪(halo)に囲まれている。 初期段階では、視野の突然の減少またはゆがみが生じ得る。しかし、初期の変化 を医者が見つけるのは困難である。患者は、突然の視野の変化を経験し得るか、 あるいは症状がゆっくりと進む場合は、症状に気がつかないことがあり得る。黄 斑円孔は、中心部または中心小窩の剥離で始まり、場合によっては全深黄斑円孔 (full-depth macular hole)に至ると考える専門家もいる。Gassの「特発性老 人性黄斑円孔--その初期段階および病因」、Arch.Ophthalmol.(1988)108:629- 639を参照のこと。部分的な円孔(すなわち、深さが部分的である円孔、あるい は新月または馬蹄形を有するという形が部分的な円孔である)は、特に黄斑円孔 の進行を止める有効な方法が利用できる場合には、初期に診断する価値がある。 未知の起源の黄斑円孔については、経毛様体扁平部硝子体切除術(trans-pars plana vitrectomy)のような特定の手術で、黄斑変性の全厚円孔形成への進行 を中断させ得る。しかし、手術は、中心視力に対し永久に損傷を与え得る。黄斑 円孔を治療する現在の方法は、視力を眼の40%にしか改善しない。 網膜の多孔、裂傷、または剥離を示し得る他の網膜血管疾病および網膜黄斑疾 病は、線維組織または支持組織の欠損の結果生じる。黄斑変性 加齢性黄斑変性(AMD)は、55歳を超える米国市民における重篤な視力損失の 主な原因である。ほとんどのAMD患者は、網膜および網膜色素上皮の萎縮の結果 、黄斑領域の網膜色素上皮の内および下に沈渣を形成する。網膜色素細胞は長寿 である。それらは錘体および杆体からの光受容体乳頭(photoreceptor disc)を 何年も貧食し、細胞内老廃物を蓄積させる。不完全に消化された残留物が細胞質 空間を減少させ(Feeny-Burns,L.ら、Invest.Ophthal.Mol.Vis.Sci.(1984)25: 195-200)、そして代謝を妨げる。オルガネラの利用可能な細胞容積が減少する につれて光受容体を消化する能力が低下し、従って黄斑変性の原因になり得る。 また、幾人かの患者は角膜血管新生、網膜色素上皮の剥離および裂傷、線維血 管瘢痕(fibrovascular scarring)、および硝子体出血に伴う浸出性AMDを経験 する。このプロセスは、AMDの患者の顕著な視力損失の原因の80%を超える。 加齢性黄斑変性(AMD)は、萎縮型または(通常あまりないが)浸出型のいず れかで起こる視野を脅かす疾患である。浸出性AMDでは、血管が毛細血管層からB ruch膜、そして特定の場合には下の網膜色素上皮(RPE)の欠損を通って成長す る。これら の血管から漏出する漿液または出血の浸出の器質化により、視神経網膜(neuror etina)の付随変性および中心視力の永久損失を伴う黄斑領域の線維瘢痕が生じ る。 最近、いくつかの研究で、AMDと関連のある初期血管新生病変または再発性血 管新生病変の治療におけるレーザー光凝固の使用が記載された(Macular Photoc oagulation Study Group(1991)Arch.Ophthal. 109: 1220; Macular Photoco agulation Study Group(1991)Arch.Ophthal. 109: 1232; Macular Photocoa gulation Study Group (1991) Arch.Ophthal. 109: 1242)。不幸なことに、 レーザー治療を行った眼窩下病変を伴うAMD患者は、3カ月の追跡調査で視力が かなり急激に低下した(平均3ライン)。さらに、2年で、治療後に処置を施し た眼は、それらの未処置群よりあまり良い視力ではなかった(それぞれ平均、20 /320および20/400)。この手法の他の欠点は、外科手術後の視力がすぐ悪化する ことである。網膜裂傷 網膜は裂開し得、あるいは脈絡膜から剥離され得る。そして、脈絡膜は広範囲 にわたる理由により断裂し得る。 組織の剥離が観察される他の症状には、Bruch膜の視力破壊(ラッカークラッ ク(lacquer cracks))、急性網膜壊死症候群(ARN)、および外傷性脈絡網膜 症または打撲(Purtscher網膜症)により証明され得るように、網膜剥離、色素 上皮剥離、変性近視のような広範囲の異なる症状が含まれ得る。他の網膜疾患 他の網膜疾患には、浮腫状態および虚血状態が含まれる。黄斑浮腫(macular edema)および網膜浮腫は、しばしば糖尿病のような代謝疾患に関連する。網膜 浮腫は、水晶体摘出および他の眼科手術をうけた個体で高率で見出される。浮腫 はまた、進行した高血圧、あるいは悪性の高血圧で見出される。黄斑浮腫は、ぶ どう膜炎、Eales病、または他の病変を介する長期の炎症に共通の合併症である 。局所浮腫は、AIDSの結果である多発性の細胞様体(「綿花体」)に関連する。 網膜虚血は、網膜中心静脈本幹閉塞(central retinal vein occlusion)また は網膜静脈分枝閉塞(branch retinal vein occlusion)、膠原血管病(collage n vascular disease)および原発性血小板減少性紫斑病のような脈絡膜血管疾患 または網膜血管疾患のいずれかから起こり得る。網膜脈管炎および網膜閉塞は、 Eales病および全身性エリテマトーデスで見られる。増殖性糖尿病網膜症(PDR) SebagおよびMcMeelは、PDRの病因を概説した(Survey of Ophthalmol.(1986 )30: 377-84)。開始時の事象は、血管拡張を引き起こす組織での酸素付加が 不十分であり得る。不十分な酸素付加は、動脈基底膜が糖尿病関連の沈査で肥厚 した後に、そして血管周皮細胞(pericyte)の変性に関連する内皮細胞が増殖す るために起こり得る。基底膜の肥厚および血管周 皮細胞の損失が、糖尿病の2つの重要な代謝異常である低インスリンおよび高血 糖の結果生じると考えられている。 PDRの血管新生は上記の微妙な血管異常に寄与する。この少しの混乱でさえ、 通常は存在しない化学物質を血液網膜関門を通過して眼に入らせ得る。 TGF-β以外のいくつかの成長因子が糖尿病網膜症に含まれるようであり、その 因子とは、フィブロブラスト成長因子(FGF)、FGFおよびTGF-βの相互作用、腫 瘍壊死因子(TNF-α、およびTNF−β)を含み、血管形成特性を有することが 知られている(Wiedemann、Survey of Ophthalmol.(1992)36:373-84)。網膜 の血管は糖尿病性虚血に独特の応答をするようなので、特定の網膜誘導性成長因 子があり得るという提案をする人もある。Berritaultら、Differentiation (19 81)18:29-42; ChenおよびChen Invest.Ophthalmol.Vis.Sci. (1980)19: 596- 02: D'AmoreおよびKlagsburn J.Cell.Biol. (1984)99: 1545-49; Elstowら、I nvest.Ophthalmol.Vis.Sci. (1985)26:74-79: Glaserら、Ophthalmology (19 80)87: 440-46; ならびにRuelius-Altemoseら、Invest.Ophthalmol.Vis.Sci. (1985)26(ARVO Suppl):25。 網膜血管形成の潜在的な阻害剤が探されている。腫瘍誘導性血管形成は軟骨の 抽出物で避けられ、それは分子量が約16,000ダルトンであり、プロテアーゼ活性 を阻害する。Langerら、Science (1976) 193: 70-71。最近の研究で、通常の 硝子体液はこのようなインヒビターを含むことが示された。例えば、 分子量6200の硝子体タンパク質が、RDGFに誘導される増殖および血管上皮細胞に よるチミジン取り込みをインビトロで阻害することが見出された。Raymondおよ びJacobson、Exp.Eye Res.(1982)34: 267-86。 臨床的には、網膜に綿花様白斑が現れると網膜虚血の開始の信号である。Seba gおよびMcMeel、同書に記載。これらの白斑は変則的な線維組織の斑点である。ぶどう膜炎 ぶどう膜炎は、ぶどう膜系の炎症をいい、虹彩炎、毛様体炎、虹彩毛様体炎、 および脈絡膜炎を含み、通常眼の付随的な構造の炎症を伴って起こる。これらの 疾患には種々の原因があるが、典型的には全身的なステロイド治療、限局的なス テロイド治療、または限局的なシクロスポリン治療が行われる。この疾患は、前 部(70%)または後部(30%)のいずれかで起こる慢性炎症を呈し、これは従来 の医療で手に負えない重篤な悪化歴により複雑化する。文献の報告では、米国で 毎年30,000人がぶどう膜炎により法定盲目となることが示唆されている。さらに 、概算して20,000人がこの疾患から顕著な視力の損失に冒されている。ステロイ ドを用いて感染戦闘力(infection fighting abilities)を抑制せずに、この症 状を制御するさらなる方法が非常に有利である。白内障 白内障は完全に透明なレンズであるべきレンズの混濁である。白内障は、視野 が曇り、光が眩しい、色の認識が異なる、および片眼複視を引き起こすことによ り、視野を妨げる。これらは、X線照射、ならびに糖尿病、Wilson病(銅の蓄積 )、およびガラクトース血症のような代謝疾病を含む、種々の因子に関連してい る。白内障はまた、コルチゾン、メトトレキサート、およびナイトロジェンマス タード療法の副作用でもある。角膜上皮創傷 角膜および結膜は、病因、直接の外傷、流涙疾患に関連した乾燥、光線エネル ギー(紫外光、日光、および溶接ガン)の照射、花粉およびカビのようなアレル ゲン、ならびに感染因子からの損傷に傷つきやすい。 角結膜炎はまた、Stevens-Johnson症候群、Wegener肉芽腫症、関節リュウマチ 、アトピー性皮膚炎、および瘢痕性類天疱瘡の患者に起こり得る。角膜潰瘍が起 こり得る。 角膜手術後、角膜は治癒しなければならない。普遍的なタイプの角膜手術には 、水晶体の置換を伴うまたは伴わない水晶体摘出;ウイルス感染の治療または全 層移植(PKP)する角膜移植;緑内障濾過手術(glaucoma filtration surgery) ;ならびに放射状角膜切開術および他のタイプの屈折を直す手術を含む。 水晶体切開は、従来の眼内レンズ(IOL)で8mmの長さであり、そして再生可 能な(foldable)シリコーンIOLで3mm以下である角膜全厚創傷である。これら の創傷は、安定するのに数カ月かかり、永久の乱視を引き起こす角膜組織のゆが み(warpage)に関連するが、典型的には困難なく治癒する。視力の安定化を速 め、乱視を避け得る治療が大変望ましい。 全層移植(PKP)および角膜移植は、角膜の周辺全域にわたる全厚創傷を特徴 とする。これらの創傷は、1年以上の間弱く維持される傾向にある。患者は、視 力の浮動を、および創傷離開および/または眼内炎の危険が増加することを経験 する。視力を脅かす副作用を避けるために、視力を安定させることおよび創傷化 膿をできる限り早く速めることが非常に望まれる。 放射状角膜切開術(RK)は、角膜の形を変える最も広く行き渡った技術である 。最も普通に用いられるタイプのRKは、角膜を放射形に4〜8の配置で手術で切 開することに基づく。これらの切開は、典型的には角膜の深さの70%〜80%であ り、従って貫通しない創傷である。角膜の屈折を変える新規なレーザー法および 機械的な方法が現れるが、これらの技術の開発および臨床適用を制限する主なハ ードルである創傷を治癒する問題を伴う。 通常、角膜は迅速に治癒する。FGFは角膜上皮細胞および強膜のフィブロブラ ストの増殖に関わることが知られている。TGF-βは、胎児強膜の発達を刺激する と考えられるが、晩年 の効果は報告されていない。 瘢痕を生じずに角膜上皮創傷の治癒を増強する方法は、角膜が創傷された後に 視力の維持を助けることである。このような予測可能な治癒は、RKにおけるより 予測可能な手術結果に寄与するのに非常に有利である。シェーグレン症候群 シェーグレン症候群は、免疫系の疾患であり、結膜乾燥および角膜乾燥(乾性 角結膜炎症候群)ならびに眼の異物感(gritty)として眼に徴候として現れる。 これは、進行性単核細胞浸潤および涙腺の瘢痕化による涙腺の破壊の結果、涙を 損失したことによる。角膜が乾燥しすぎる場合、角膜潰瘍が発達し得る。 「現在、進行中の外分泌腺破壊の有効な治療はない。治療は、粘膜乾燥の症状 の軽減に合わせる...そして人工涙液[および]眼潤滑軟膏を含む。」Harrison' s Principles of Internal Medicine 、第12版、McGraw-Hill編、1449-50頁、1 991。血管新生 血管新生は、盲目を導き得るので、眼の種々の組織を冒す多種の眼疾患の重篤 な合併症である。角膜血管新生は、外傷、化学熱傷、および角膜移植を含む多く の症状および疾病で起こる。 角膜移植は、角膜組織に血管がないため、多くの患者で成 功している。角膜に血管がないので、免疫系の循環成分が新しい角膜にさらされ ず、通常宿主−移植片拒絶の問題がない。角膜での血管新生の誘導は、角膜を免 疫系にさらし、移植片拒絶を引き起こす。さらに、続く移植も成功しそうにない 。これらの種々の血管新生の原因の治療には、血管新生を含む炎症プロセスを調 整するための免疫抑制剤の投与が含まれる。しかし、免疫抑制剤は、角膜の適切 な創傷の治癒を阻害し得、感染と戦う能力を妨げ得る。創傷治癒を遅らせると、 角膜は長期間感染物に感受性であるままである。従って、視力を脅かす感染は現 在の治療の結果であり得る。 虹彩の血管新生および付随の瘢痕の結果、緑内障および盲目を生じ得る。眼の この部分の血管新生は、一連の糖尿病網膜症、血管閉塞、眼窩腫瘍、および網膜 剥離として発生し得る。最も一般的には、血管を焼灼するレーザー治療が試され る;しかし、さらに瘢痕を生じる危険が付随する。 網膜血管新生および硝子体内血管新生は、糖尿病網膜症、血管閉塞、鎌形赤血 球網膜症(sickle cell retinopathy)、未熟児網膜症(retinopathy of premat urity)、網膜剥離、眼の虚血および外傷を含む広範囲の疾患で起こる。 網膜下色素上皮(RPE)および網膜下血管新生は、一般的であるが、しかし大 変重篤な眼疾患である。新しい血管の成長が、眼の視細胞および色素細胞の通常 の解剖学的構造を妨げ、重篤な視力損失を引き起こす。新しい血管が黄斑下に体 液および血液を漏らし、顕著なゆがみおよび視力損失を引き起こす。 これらの血管が無血管の眼窩領域に発達した場合、中心視力損失および法定盲目 を生じる。 このタイプの血管新生の特定病因は未だ知られていない;しかし、この疾病は 、眼窩下血管新生の家族歴のあるなしに関わらず、50歳を超える患者を最も頻繁 に冒す。視力損失は法定盲目を生じる結果となるに通常十分である。一度血管が 眼窩領域を侵すと、確定した治療はない。実際、患者がこの疾患を発病している 警告となる徴候はほとんどなく、予防手段はない。眼科医により密接なモニタリ ングを受けていてさえ、眼窩下血管新生の患者は不幸な予後になる。処置を行わ ずに自然な経過が続いている眼において、視力は平均20/400へと徐々に低下する 傾向にある(Macular Photocoagulation Study Group、1991)。あるいは、黄斑 光凝固で治療した眼において、1年のレーザー治療後の視力測定では、20/320の 平均視力を生じるのみであった(Macular Photocoagulation Study Group、1991 )。有効な網膜下血管新生療法が視力を守るために必要とされる。 脈絡膜血管新生は、加齢性黄斑変性、推定(presumed)眼ヒストプラスマ症候 群、近視変性、血管様線条、および眼外傷のような網膜疾患により引き起こされ る。黄斑変性は上記で論述されている。脈絡膜血管新生は、ほとんどの場合、治 療するのに手に負えないことが証明されている。たった10%の場合のみ、レーザ ー光凝固が試され得る。利用し得る他の治療はない。レーザー光凝固が成功した としても、血管新生は 約60%から70%の眼において再発する。成長因子 TGF-βとして公知のペプチドファミリーは、細胞増殖および細胞分化の両方を 制御し得る。これらのポリペプチドは、細胞型および環境に大きく依存して、細 胞増殖の刺激および阻害の両方を行い得る。ある種のTGFは、今まで試験された 全ての動物種由来のほとんど全組織に見出された。 TGF-β2は充分特徴付けられた物質である。上記に記載したように、これは、 ポリペプチドであり、約25,000 Dの分子量を有し、ジスルフィド結合で連結した 2つの12,500 Dサブユニットからなるダイマーである(Chiefetzら、Cell(1987 )48:408-415;Ikedaら、Biochemistry(1987)26:2406-2410)。そしてウシ鉱物 除去骨(Seyedinら、J.Biol.Chem.(1987)262:1946-1949)、ブタ血小板(Chei fetzら、Cell(1987)48:409-415)、ヒト前立腺癌細胞株、PC-3(Ikedaら、198 7、Biochemistry 26:2406-2410)などから単離された。TGF-β2を単離および精 製する方法は、Seyedinらの米国特許第4,774,322号に記載されている。 TGF-β1およびTGF-β2は多くの同じ細胞中に見出される。 しかし、それらの成熟配列は約75%〜80%の相同性を有するのみである(Derync kら、EMBO J.(1987)7:3737-3743)。数種のTGF-βが異なる遺伝子によりコー ドされていることが確立された(Madisenら、DNA(1988)7:1-8)。 TGF-β(TGF-β1のみが論文の材料欄に記載されている)は、ウサギの外科的 網膜切開(retinotomy)の端を密閉するようであることが観察された(Smiddyら 、「トランスフォーミング成長因子−β−−生物学的角網膜接着剤」、Arch.Oph thal.Mol. (1989)107:577-580参照)。Smiddyらは、網膜層に角膜を密閉する網 膜切開の周囲の線維組織の形成を示した。 TGF-β2は、コラーゲン糖タンパク質合成、および創傷治癒プロセスに関わる 細胞増殖および移動を刺激することが見出されていた。Ignotz 「トランスフォ ーミング成長因子−βは、コラーゲン中のフィブロネクチン発現、およびその細 胞外マトリックスへの取り込みを刺激する」、J.Biol.Chem.(1986)261:4337-4 5を参照のこと。 TGF-βは、血小板由来増殖因子(a-FGF、b-FGF、およびEGF)により刺激され る網膜色素上皮細胞による[3H]チミジンの取り込みを阻害することが見出され た。Lescheyによると、これは、TGF-βが他の成長因子由来の刺激シグナルを無 効にし得る強い阻害経路に連結されていることによる。Lescheyら、Invest.Opht halmol.Vis.Sci. (1990)31:839-46。 それに対して、TGF-βは角膜内皮細胞におけるFGFの生物活性を陽性に(posit ively)調節する。Plouetら・ J.Cell・ Physiol.(1989)141:392-99。 これらの文書のいずれも、視力が治癒するおよび改善する結果を伴う網膜疾患 へのTGF-βの適用を開示していない。発明の要旨 本発明は、哺乳類の眼の網膜疾患における視力を顕著に改善する方法であり、 ここで、その網膜疾患は、線維組織の損失または損失が切迫していることを特徴 とし、そして本方法は、哺乳類にTGF-βを約1μgから10μg投与することを含 む。好ましくは、TGF-βのタイプはTGF−β2である。 本発明のさらなる局面は、TGF-βを、眼内注入、網膜下注入、強膜下注入、強 膜内注入、角膜内注入、および結膜下注入により、あるいは限局的投与、経口投 与、または非経口投与の形態で投与することである。 上記発明の他の実施態様において、本方法は2つの付加的な先工程を含む:眼 から硝子体液を除去する工程;および、存在すれば網膜上膜を網膜から取り除く 工程。この方法では、TGF-βは網膜の治療が必要な部位にカニューレにより濃縮 液として有効量を投与される。 さらに好ましい実施態様において、治療すべき網膜疾患は黄斑円孔である。 他の実施態様において、黄斑変性において視力を維持するまたは改善する方法 を提供する。本方法は哺乳類の視力を安定化させるまたは改善するのに有効な量 のTGF-βを投与することが必要である。 さらに他の実施態様において、類嚢胞黄斑浮腫において視力を維持するまたは 改善する方法が提供される。本方法は哺乳類に、視力を安定化させるまたは改善 するのに有効な量の TGF-βを投与することが要求される。 さらに他の実施態様において、結合組織または線維組織を減少することを特徴 とする網膜疾患を治療する方法は、眼から硝子体液を除去する工程;存在すれば 網膜上膜を眼から取り除く工程;および、網膜の治療が必要な部位のすぐ表面上 にTGF-β溶液を置くようにカニューレによりTGF-βの濃縮液を投与する工程を含 む。 本発明の他の実施態様によると、このような治療が必要な個体にTGF-βを経口 投与、限局的投与、または全身投与して有益であり得る、眼疾患のまたは眼の治 癒が不十分である患者の治療の方法が提供される。TGF-βは治癒を改善するのに 充分な量で投与され得る。 本発明のさらなる実施態様によると、眼疾患は、網膜創傷、角膜創傷、黄斑変 性、後発白内障、角膜疾患、およびドライアイ/シェーグレン症候群からなる群 より選択される。さらなる実施態様において、TGF-βは、眼内注入によりまたは 角膜への適用により投与される。TGF-βは、目薬または眼窩に時間放出(timed release)カプセルを置いて、角膜に適用され得る。 さらに他の実施態様において、本方法は治癒を促進するのに充分な量、および 不十分な治癒に関する症状を減少するのに充分な量でのTGF-βの投与を提供する 。さらなる実施態様において、投与するTGF-β量は、治療する眼につき少なくと も約0.5μgから50μgのTGF-βである。 他の実施態様において、過度に瘢痕を形成させることなく治癒を促進する眼手 術を行った、あるいは行う予定である、あるいは行っている最中である哺乳類を 治療する方法を提供し、その方法は過度に瘢痕を形成させることなく治癒を促進 するのに充分な量でその哺乳類にTGF-βを投与することを含む。 眼手術は、水晶体の置換を伴うまたは伴わない水晶体摘出;ウイルス感染の治 療または全層移植(PKP)する角膜移植;緑内障濾過手術;ならびに放射状角膜 切開術および他のタイプの屈折矯正手術を含むがそれに限定されない。 他の実施態様において、哺乳類の眼血管新生を治療する方法が提供され、その 方法は有効量のTGF-βを哺乳類に投与することを含む。 他の実施態様において、哺乳類のぶどう膜炎が治療する方法が提供され、その 方法は有効量のTGF-β2を眼内に注入することを含む。 特定の理論に縛られることを望まないと同時に、本発明者らは、投与されたTG F-βが眼組織での線維症性応答を調整することにより治癒を助けることを意図す る。また、網膜への有効量のTGF-βの適用で、このようなTGF-βの適用が黄斑円 孔の個体の視力を顕著に改善するという事実により証明されたような、陽性の神 経再生効果が提供されるようであることが見出された。発明の詳細な説明 本発明の方法は、眼疾患、特に網膜または網膜とその下層の脈絡膜組織との間 の黄斑変性、血管新生、円孔、剥離、裂傷などを含む、あるいは上記のような脈 絡膜組織を含む網膜疾患の治療に適している。定義 「眼疾患」は、眼の生理学的な異常を指す。それらは、網膜、硝子体液、水晶 体、角膜、強膜、または眼の他の部位、あるいは不十分な涙液の生成のような眼 を冒す生理学的異常を含み得る。 「網膜創傷」は網膜の裂傷および円孔、および下層の脈絡膜からの剥離を含む が、それに限定されない。網膜創傷は外傷、類嚢胞変性(cystic degeneration )、硝子体網膜牽引、近視変性、レーザー光凝固、電光打撃、ピロカルピン投与 、および水晶体摘出の後に現れる。調整プロセスにおいて網膜治癒を助けるため に、TGF-βが投与され得る。 「黄斑変性」は、黄斑および網膜の線維沈査の過度の形成、ならびに網膜色素 上皮の萎縮を特徴とする。TGF-βの投与は、萎縮した網膜色素上皮の治癒を調節 様式で(このような治療をしないと生じ得る過度の線維増殖を制限するように設 計される)、促進するのに役立ち得る。 「後発白内障」は、視力を妨げる水晶体の混濁である。後発白内障は、X線照 射後、糖尿病、Wilson病、およびガラク トース血症において、そして薬物療法の副作用として生じる。TGF-βは、天然に 起こり得る過度の増殖を制限するように設計された調節様式で、損傷後の水晶体 の治癒を促進するのに用いられ得る。 用語「罹患した角膜組織」には、種々の原因による角膜の損傷が含まれ、それ は外傷、ドライアイ(眼瞼の内側の結膜が角膜を擦過し得る)、過度の光、アレ ルゲン、および感染因子を含むが、それに限定されない。TGF-βは、罹患した角 膜組織の緩やかな治癒を促進し、そして視力を妨げ得る過度の瘢痕を避けるため に用いられ得る。 「シェーグレン症候群」は、しばしば自己免疫プロセスによる涙腺の破壊によ るドライアイを特徴とする自己免疫疾患である。TGF-βは、少なくともシェーグ レン症候群の眼での発現を制御するのに用いられ得る。特定の理論に縛られるこ とを望まないと同時に、第1に、TGF-βは涙腺に瘢痕を形成することなく緩やか な治癒を促進し得るようである。第2に、TGF-βはまた、涙腺の欠損により引き 起こされるドライアイ症候群から生じる角膜上皮創傷の治癒を促進するようであ る。 「眼血管新生」は、本明細書中で、眼組織への望ましくない新しい血管の成長 と定義される。抑制されない場合には、このような成長の結果失明を生じ得る。 新生血管に進入され得る眼組織は、角膜、虹彩、網膜、硝子体、および脈絡膜を 含む。多くの疾患および症状が、眼血管新生を引き起こすか、またはそれに寄与 する。角膜血管新生の原因には、外傷、化 学熱傷、または角膜移植を含むがそれに限定されない。虹彩血管新生の原因は、 糖尿病網膜症、静脈閉塞、眼腫瘍、および網膜剥離を含むがそれに限定されない 。網膜血管新生、および硝子体内血管新生の原因には、糖尿病網膜症、静脈閉塞 、鎌形赤血球網膜症、未熟児網膜症、網膜剥離、眼の虚血および外傷を含むがそ れに限定されない。脈絡膜血管新生の原因は、加齢性黄斑変性、推定眼ヒストプ ラスマ症候群、近視変性、血管様線条、および眼外傷のような網膜疾患を含むが それに限定されない。 「眼血管新生の哺乳類を治療する」とは、本明細書において、すでに検出可能 である眼血管新生を治療すると定義される。 「哺乳類」は、ヒト、哺乳類の家畜、スポーツ用の動物およびペットと定義さ れる。家畜には、ウシ、ブタ、およびヒツジが含まれるがそれに限定されない。 スポーツ用の動物には、イヌ、およびウマが含まれるがそれに限定されない。ペ ットのカテゴリーには、ネコ、イヌ、およびハムスターが含まれるがそれに限定 されない。 本方法は、TGF-β、好ましくは、TGF-β2のような成長因子を、少なくとも有 効量を眼の異常部位に置くことを含み得る。さらに詳細には、黄斑円孔の治療の ために、TGF-βまたはTGF-β2の濃縮液を、黄斑円孔自体および/または黄斑円孔 の端に置く。このような治療は、視力の改善および円孔の端の厚さを減少させる ことによる治癒を提供する。円孔の端は、脈 絡膜に粘着するか、あるいは後部ヒアリン(hyaloid)膜と再連結するようであ る。同様に、他の網膜異常に成長因子を使用することは有効である。 本発明の1つの局面において、TGF-β2は、以下の実施例に記載されたような 公知の手術法を用いて適用される。TGF-β2は、適用後相当の期間定着させるこ とが望ましい。例えば、典型的には1日がこの目的に充分であると考えられる。 TGF-β2を適当な場所に持続させるために、公知の薬学的組成物が用いられ得る 。典型的にはヒアルロン酸がこの目的のために眼に用いられる;しかし、以下の データにより示されるように、ヒアルロン酸は、治療効果は増大しないようであ る。 少なくとも1000ngのTGF-β投与量が、黄斑円孔剥離の少なくとも部分的な軽減 には好ましい。さらに好ましいのは、少なくとも約1300ngのTGF-β投与量である 。これらの投与量は、視力の改善(スネレン(Snellen)視力表の少なくとも2 ライン)のためのおよその投与量のようである。通常の生理食塩水のような適切 な眼科用担体中にTGF-β2を溶解するまたは懸濁することにより浸透可能となる が、この材料はかなり濃縮した形態で適用するのが好ましい。濃度は、公知の光 透過率(210nmまたは280nmの波長)法により測定され得、そして標準曲線と比較 し得る。 本発明の治療は、網膜疾患、特に黄斑変性および黄斑円孔に適用し、治療を促 進し、視力を顕著に改善する。この治療は周辺の網膜円孔および網膜裂傷にも用 いられ得る。 処方、投与方法、および投与量は、治療されるべき疾患、治療される疾患の部 位、およびことによると患者の医歴の他の局面に依存する。これらの要因は、治 療している内に容易に決定し得る。適用できる眼疾患の患者は、医歴、生理学的 所見、および検査室の検査により同定され得る。医歴は、赤色強膜、痛み、羞明 、ドライアイ、異物感、眼鏡で矯正できないかすみ眼および複視のような視力変 化など、症状の開始時のような事実を明らかにする。患者は時々、テレビを見る とか、夜に車を運転するとかいったような通常の行動が保証され得ないことに不 満をもらす。 不十分な治癒に関連する眼疾患の患者は、強膜充血、網膜上の綿花様白斑、黄 斑円孔、網膜後部出血のような生理学的所見を有し得る。暗示的な検査結果では 、血清中、または硝子体のような眼組織でTGF-βが低レベルであることを含む。 TGF-βは、当該分野で公知の種々の任意の経路により投与され得、それには、 治療される病原の性質および位置に依存して、眼内注入、網膜下注入、強膜下注 入、強膜内注入、脈絡膜内注入、および結膜下注入が含まれるがそれに限定され ない。また、充分なTGF-βが治療される病状に到達するならば、静脈内注射、皮 下注射、または経口投与による投与が本発明で期待される。1つの好ましい実施 態様において、TGF-βの濃縮液が眼に注入され、そして病変部、例えば網膜のす ぐ表面上に置かれる。 TGF-βは、任意の薬学的に許容可能な処方で投与され得、 それには、溶液、懸濁液、ならびにマイクロカプセル粒子および移植可能な材料 のような時間放出型調製物が含まれるがそれに限定されない。 創傷治癒を達成するために、および網膜疾患の治療後の視力を改善するために 、好ましい投与量は約1000ngより大きい(210nmまたは280nmの波長の吸収で測定 した)。他で特に記載しない限り、TGF-βの全重量は、210nmまたは280nmの波長 で行った測定値に基づく。さらに好ましくは、その投与量は約1300ngである。特 定の状態に対しては、好ましい投与量は約2500ngである。 あるいは、TGF-β2を、組織の支質にまたは冒された組織に隣接した区画に埋 めた遅放性デバイスで投与し得る。例えば、直径2mmのエチレンビニルコポリマ ーのペレット中の1,000ugのTGF-βは、硝子体腔または脈絡膜上の空間に外科的 に移植され、時間をかけてTGF-βを放出し得た。この様式は、虹彩または脈絡膜 の血管新生に特に有益であると考えられる。 眼治癒問題の危険を伴う患者には、手術を行ったあるいは行う予定である患者 を含む。このような手術の例には、 水晶体の置換を伴うまたは伴わない水晶体摘出; ウイルス感染の治療または全層移植(PKP)する角膜移植; 緑内障濾過手術;ならびに 放射状角膜切開術および他のタイプの屈折を直す手術 が含まれるがそれに限定されない。これらの症状において、TGF-βの投与は、過 度の線維組織を形成せず、迅速で緩やかな治癒を促進する。 創傷治癒効果および神経栄養効果の両方を有する他の成長因子が、特定のこれ らの発明の治療に適用され得る。これらの因子には、酸性および塩基性のフィブ ロブラスト成長因子、インスリン、インスリン様成長因子、血小板由来成長因子 、神経成長因子、上皮成長因子、トランスフォーミング成長因子α、コロニー刺 激因子、ケラチノサイト成長因子、および組織プラスミノーゲン活性化因子が含 まれるがそれに限定されない。 実施例1 本実施例では、黄斑円孔を軽減するTGF-β2の有効性を示す。臨床データは、 本実施例に続く表に提供する。材料および方法 ステージ2、3、または4の黄斑円孔を有する60個の眼(60人の患者)を処置 した。60人の患者の内32人は両目に黄斑円孔を有した。患者は11歳から76歳の範 囲にわたり、平均年齢は63歳であった。処置した眼は全て、少なくとも2人の異 なる観察者により確認された、ステージ2、3、または4の黄斑円孔の生体顕微 鏡検査の証拠を有した。5人の眼以外の全ての眼は、黄斑円孔が1年以内に存在 していた;全ての患者 に、主観的な視力低下および主観的な視力破壊があった。患者にはだれも、類嚢 胞黄斑浮腫、糖尿病網膜症、または滲出性加齢性黄斑変性の既往症はなかった。 処置前に、処置計画を告げられなかった技術者は、最適に矯正したスネレン視 力を得、そして眼圧測定、眼底写真撮影、および蛍光眼底造影を行った。各黄斑 円孔は、Gassにより記載された基準に従って、ステージ2、3、または4と等級 付けられた(Arch.Ophthalmol.(1988)106:629-39)。簡単に述べると、ステー ジ2の円孔を有する眼は、網膜嚢胞形成領域の縁に沿って深い網膜裂開を有する 。ステージ3では、典型的には上層の弁蓋に全厚円孔がある。黄斑円孔は、後部 硝子体剥離が存在する場合、ステージ4に分類される。処置は、ベースライン検 査の2週間以内に計画した。基準に基づいて、患者が2+より大きい核性硬化水 晶体変化または後嚢水晶体変化(nuclear sclerotic or posterior subcapsular Iens changes)を有する場合、患者は除外された。患者は6カ月〜10カ月間、 平均して8カ月間経過を観察した。処置群 70ng、330ng、および1330ngの用量のTGF-β2を投与した。70ngの投与量は、よ り高濃度に対する陰性コントロールを提供するために選択された。330ng投与量 は、有効範囲の下限であると考えられ、そして1330ng投与量は、有効範囲内で良 好であると考えられた。 眼は、指定投与量の硝子体内(intravitreal)TGF-β2に対して無作為に選択 した。さらに、いくつかの眼は、黄斑円孔の領域からのTGF-β2のクリアランス を遅らせるように、TGF-β2の点眼時に別個に100μlの硝子体内ヒアルロン酸を 投与された。TGF-β2と組合せると有効であるが、ヒアルロン酸の同時投与はTGF -β2由来の利益を減少させるようである。手術手順 全ての手術を鎮静剤の局所麻酔下で行った。眼を前調製しそして滅菌した布で 覆った後、標準3ポート硝子体切除術(standard three-port vitrectomy)を行 った。ステージ2およびステージ3の黄斑円孔の眼において、中心部硝子体切除 術を行った。これらの多くの場合では、硝子体腔の後部1/3に大きな中心裂孔 が見出され、最初、後部ヒアリン(hyaloid)が剥離した印象を与えた。しかし 、これらの眼全てにおいて、さらに研究すると、網膜表面上に皮質性硝子体が維 持されていることが明らかになった。ステージ4の黄斑円孔では、完全な毛様体 扁平部硝子体切除術をこの点で行った。 いくつかの場合において、網膜上膜が見出された;しかし、この膜の明らかな 端は見出され得なかった。存在した場合、網膜上膜を網膜の表面から剥がし、眼 から取り除いた。他の場合において、明確な網膜上膜は見出されなかった;しか し、約200μ〜400μの黄斑円孔を取り巻く網膜の内部表面に、いくらかのゼラチ ン様の濃縮物があり、黄斑円孔の縁に沿って しっかりと粘着しているようであった。これは、可能である限り注意深く切開し た;しかし、黄斑円孔の端での牽引、または神経への損傷を制限するために非常 に注意を働かせた。 短い期間末梢体液を後部に排出させた後に、後部に移動した体液を吸引除去し た。典型的には、約0.1cc〜0.5ccの体液が、この時間の間で網膜表面に再び蓄積 した。黄斑円孔の中心を穏やかに吸引除去し、黄斑円孔の領域で最後に残った量 の体液を取り除いた。 次いで、先細りの湾曲したカニューレをTGF-β2の溶液を含む1ccのシリンジ に連結した。それぞれの場合において、TGF-β2は使用2時間以内に溶解、混和 した。TGF-β2はCeltrix Pharmaceuticals,Inc.,Santa Clara,CAから入手し 、使用の用意ができるまで-70℃で保存した。常に溶解2時間以内に用い、使用 まで氷上で保存した。TGF-β2は高度に精製され(95%を超える純度)、ウシ骨 由来であった。再生処方物は、希釈液で希釈後、70ng/0.1cc、330ng/0.1cc、ま たは1330ng/0.1ccのいずれかのTGF-β2を含んだ。眼は無作為にTGF-β2の投与量 を割り当てられた。約0.1ccのTGF-β2溶液を緩やかに黄斑円孔に注入した。また 、約50%の眼において、TGF-β2溶液の存在が維持され得、それにより効果が改 善されるかどうか測定するために、相当量のヒアルロン酸を挿入した。 手術後、患者に、術後最初の24時間は仰臥体位で横たわり、続く2週間にわ たってできるだけうつ伏せ体位でいるように指示した。 手術後、患者は、1日、2週間、4週間〜6週間、およびその後毎月検査した 。蛍光眼底造影を4週間から6週間、3カ月、および6カ月で行った。最適に矯 正されたスネレン視力、眼圧、水晶体の状態、泡サイズ(bubble size)、黄斑 円孔の状態、および副作用の発生を各試験で行った。統計分析 治療効果を対数回帰を用いて評価した。依存変数は、スネレン視力表での2ラ イン以上の視力改善であり、独立変数はTGF-β2投与量およびヒアルロン酸使用 であった。結果 手術時に、後部ヒアリン表面の状態および黄斑円孔の状態が容易に確認され得 た。表に示すように、60個の処置した眼のうち、4個がステージ2の黄斑円孔を 有し、34個がステージ3の黄斑円孔を有し、そして22個の眼が後部硝子体剥離に 関連するステージ4の黄斑円孔を有した。 上記の技術を用いて、後部ヒアリン表面を、ステージ2およびステージ3の黄 斑円孔の眼すべてにおいて、完全に網膜から剥離した。しかし、ステージ2の黄 斑円孔の眼すべてにおいて、この後部ヒアリン表面の網膜からの剥離が、縁の裂 開を拡大し、後部ヒアリン表面から上昇した弁蓋を形成した。1個の眼では、網 膜は、縁と赤道との間の側頭下部四分円(inferotemporal quadrant)で裂かれ 、隣接する網膜内出血を伴 った。この網膜裂傷は、経強膜冷凍固定(transscleral cryopexy)を伴わずに 治療した。 硝子体切除術後、全ての眼は、黄斑円孔の縁に沿って内部網膜表面上に200μ 〜400μ幅のゼラチン様の物質を有した。少量のこの物質を網膜から切開し得た が、特発性の線維細胞網膜上膜に典型的であるように、連続シートに移し得なか った。積極的な切開は、網膜の外傷を最小限に押さえるために避けた。 手術後1日目および2日目で、6個以外の全ての眼において、前房は、微かな 発赤(flare)およびセル(cell)を有した。これらの6個の眼において、細い 赤褐色の沈査が、極小の線条を伴なって角膜の内皮表面に見出された。全ての場 合において、沈査および線条は、後遺症なしで2週間以内に解決される。未処置 の(intact)水晶体を有する全ての眼は、後部水晶体の浅い傷を調節して、2週 間以内に解決できるくらいの軽症であった。 全ての眼は、手術後1日目および2日目では、硝子体腔の少なくとも75%を満 たす泡を有した。眼圧は30mmHgを超えなかった。どの眼にも手術後2週間で顕著 な炎症応答を示さなかった。全ての眼は、その時点で硝子体の少なくとも60%を 満たす泡を有した。4〜6週間後、泡は硝子体腔の30%から40%を満たす。 4〜6週間で、黄斑領域は、コンタクトレンズ、または78ジオプターレンズを 供えた生体顕微鏡を用いて十分に試験さ れ得る。顕微鏡での黄斑円孔を取り巻く網膜剥離および網膜肥厚は、この時点で 容易に評価し得た。表に示すように、剥離の平坦化(flattening)および通常の 厚みに対する隣接する網膜の減厚が、ヒアルロン酸なしの330ngのTGF-β2で処置 した12個のうち12個の眼、およびヒアルロン酸なしの1330ngのTGF-β2で処置し た11個のうち11個の眼で起こった。それに比べて、ヒアルロン酸なしで70ngのTG F-β2で処置した11個のうち6個の眼のみ4〜6週間後に、黄斑円孔の端が平坦 化した。TGF-β2にヒアルロン酸を添加すると、予測されない結果を生じた。表 のデータに示すように、ヒアルロン酸は、黄斑円孔の周りの網膜を平坦化する割 合を顕著に抑制した。 視力は、網膜平坦化に改善が見られなかった眼では改善しなかった。最終視力 は、ヒアルロン酸なしで1330ngのTGF-β2で処置した11個のうち10個の眼、ヒア ルロン酸なしで330ngのTGF-β2で処置した12個のうち4個の眼、ヒアルロン酸な しで70ngのTGF-β2で処置した11個のうち5個の眼で2ライン以上改善した。 それに比べて、ヒアルロン酸の添加は、視力の改善を抑制するようであった。 最終視力は、ヒアルロン酸および1330ngのTGF-β2で処置した9個のうち4個の 眼、ヒアルロン酸および330ngのTGF-β2で処置した8個のうち2個の眼、ヒアル ロン酸および70ngのTGF-β2で処置した9個のうち0個の眼で2ライン以上改善 した。 対数回帰分析を、TGF-β2およびヒアルロン酸を独立変数と して用い、視力が2ライン改善したものを出力変数(outcome variable)として 用いて行った。分析によって、視力改善におけるTGF−β2の統計学的に有意な有 益な効果が示された(p=0.003)。それに対して、分析により、ヒアルロン酸の 使用は視力改善の好機を減少したことが示された(p=0.002)。 ほとんどの眼は、黄斑円孔の端に沿って線維組織の微細な局在層を発達させた 。この線維組織は、時折黄斑円孔に広がり得たようである。この線維組織形成に もかかわらず、いずれの眼も牽引性網膜剥離または顕著な黄斑牽引を発達させな かった。 さらに、眼底造影による所見が改善された。手術前の蛍光眼底造影は、ほとん どの眼において黄斑円孔の基底に相当する、中心の蛍光の強い部分が欠失するこ と(central hyperfluorescent window defect)を明らかにした。術後に、眼底 造影は、黄斑円孔の端が平坦化されているほとんどの眼で、中心の蛍光の強い部 分が減少していることを示した。しかし、蛍光の強い部分は、絶え間ない網膜下 体液および黄斑円孔を取り巻く網膜肥厚を有する眼すべてにおいて持続した。考察 本発明者らは、創傷治癒の制御が多くの網膜疾患の治療に重要であると考える 。本実施例は、視力の改善を伴う網膜疾患の治療におけるTGF-βのはじめての使 用を記載する。 本実施例での治療の理論は、円孔を取り巻く網膜剥離およ び肥厚を解決するために黄斑円孔の端を平坦化することを誘導することであった 。周辺の網膜円孔の挙動を知ることで、円孔の端に沿って誘導される脈絡網膜粘 着で結合された円孔の周りの網膜を上昇させる牽引力を低下させることが必要で あり得ることが示唆された。周辺網膜円孔は、外科的技術が用いられて網膜およ び破壊の小域を再粘着し得るのでそれほど注目されないのとは異なり、黄斑円孔 は、隣接する知覚神経組織(neurosensory tissue)の破壊および中心視力の永 久の破壊を避けるために、脈絡網膜粘着が緩やかに誘導されることを必要とする 。 視力の改善は、知覚神経網膜(neurosensory retina)の顕著な変性が、局在 する眼窩剥離に続いて起こらなかった、そして組織の顕著な破壊が、手術の介在 の結果ではない場合に、達成され得る。また、周辺の網膜円孔および裂孔の経験 により、本方法が、存在する牽引に対抗するのに十分な強度の脈絡網膜粘着を誘 導するのであれば、全ての網膜牽引が除かれる必要があるわけではないことが示 唆される。 この技術において、後部ヒアリンは、ステージ2またはステージ3の黄斑円孔 を有する眼において網膜から剥離した。次に、ゼラチン様のもろい物質が円孔の 縁に沿って蓄積したが、隣接する知覚神経組織を損傷するおそれがあるために物 質を除去するように制限された試みのみを行った。 顕著な組織損傷を避けるが、円孔の縁に沿って牽引をやわらげるために、本方 法は、網膜の操作を制限し、TGF-βを用 いて脈絡網膜の粘着を誘導する。 表に示したように、黄斑円孔の端は、ヒアルロン酸なしで330ngまたは1330ng のTGF-β2で処置した23個のうち23個の眼(100%)で平坦化した。これらの眼の 多くでは、線維組織の細かいビーズが、平坦化された後に、黄斑円孔の縁に沿っ て観察され得た。この線維組織は、良好な視力の回復を伴った(2以上のスネレ ン視力表のラインの視力の改善)。 本実施例において、黄斑円孔の操作を制限したことで、黄斑円孔の拡大、ある いは黄斑円孔を取り巻く網膜色素上皮の斑形成(mottling)の形跡はなかった。 本実施例において、黄斑円孔の基底にわたる蛍光眼底造影で示し得る蛍光の強 い部分は、円孔の端が平坦化した後に消失した。蛍光の低下は上層の線維膜の形 成によると思われた。しかし、膜の薄い比較的透明な外観で判断すると、これが 原因ではないと考えられる。網膜色素上皮(RPE)細胞内の色素の再分散の方が もっともらしいと考えられる。この説明に関わらず、高レベルの処置が処置した 眼の視力を改善した。 この研究での主要な関心は、黄斑の収縮を増大させ得、増殖性硝子体網膜症( PVR)を生じ得る過度の線維症を、TGF-β2が引き起こし得ることであった。TGF- β2は、PVRの眼で顕著な濃度で存在することが知られ、その形成に関連している (Connor,J.Clin.Invest.(1989)83:1661-66参照)。しかし、この場合に用い られるTGF-β2の濃度は、PVRの眼で見られるより顕著に少なかった。特に、これ らの潜在的な合併症は、処 置した60個の眼のいずれにおいても見られなかった;そして、全ての眼を、少な くとも処置後6カ月間観察した。 視力は、黄斑円孔の平坦化末端、網膜下体液の再吸収、および隣接した網膜の 減厚を伴う眼において、TGF-β2に応答して改善した。 表に示したように、黄斑円孔の端が、330ngおよび1330ng両方のヒアルロン酸 を含まない群の眼すべてにおいて首尾良く平坦化したが、視力の改善は驚くこと に、より高い投与量の眼でより普通に起こった。さらに線維組織形成ではこの所 見は説明されないようである。特定の理論に縛られることを望まないと同時に、 TGF-β2はまた、光受容体の外側部分の機能の回復を、おそらく神経変性または 神経網膜細胞を順番に安定化または整列させる付属組織の刺激により増強したと 本発明者らは仮定する。 追跡調査研究において、至適投与量を確認するために、30個の眼をプラセボで 処置し、29個の眼を660ngのTGF-β2で処置し、そして29個の眼を1330ngのTGF-β 2で処置した。1330ngの投与量は、驚くことに660ngの投与量より有効であった。 特に術後12カ月まででは、3ライン以上のETDRSまで視力を改善することにお いて有効であった。プラセボ処置の眼では30%がこのような改善をし、660ngで 処置した眼では62%がこのような改善をし(p=0.019、プラセボと有意な差はな かった)、しかし、1330ngで処置した眼では75.9%がこのような改善をした(p< 0.001、かなり有意である)。12カ月で2ライン改善し たことに関しては、660ngで処置した眼では69.0%が改善されたが(p=0.004)、 1330ngで処置した眼では79%が改善された(p<0.001)。各群に対して平均ライ ン変化を求め、TGF-β2群をプラセボと比較した。12カ月では、プラセボ処置の 眼は0.6ライン改善し、660ngで処置した眼は2.5ライン改善し(p=0.037)、そし て1330ngで処置した眼は3.8ライン改善した(p<0.001)。従って、約700ngの投 与量に比較してさえ、1330ngの投与量で顕著な改善があった。 実施例2 本実施例では、AMDの治療を記載する。局所投与したウシTGF-β2(bTGF-β2) の治療効力および安全性を、滲出性加齢性黄斑変性の患者および視力が20/160ま たはそれより良い患者において、プラセボ処理または処理なしに対して比較した 。一次効力変数は、各処理群におけるベースラインからの視力変化であった。二 次効力変数は、ベースライン測定値に比較した視力の安定化(ETDRSにおいて2 ライン以内)または改善(ETDRSにおいて2ライン以上)であった。さらなる効 力測定は、蛍光眼底造影法および生体顕微鏡写真における量的変化であったが、 血管新生網の大きさを測定することは大変困難であることがわかり、信頼性のあ る測定ではないと思われた。 本実験の他の要件を満たす滲出性AMDの患者を処理群に振り分けた。以下の基 準に従って患者を選択した: 1.眼窩下血管新生(標準的/不顕性)の生体顕微鏡検査および蛍光眼底造影 による証拠付け 2.患者は加齢性黄斑変性である 3.少なくとも1つの高リスクで特徴づけられる: a.網膜下漿液性滲出 b.網膜下出血性滲出 c.脂質の存在 4.ETDRS(初期治療糖尿病網膜症実験)により測定された最適矯正視力が20/ 160またはそれ以上 5.治療した眼の6カ月間またはそれ未満の視力症状 6.治療および評価計画のすべての局面に従うことができる(術後少なくとも 1年) 7.任意でインフォームドコンセントを受けることができる しかし、以下の基準に適合する患者は本実験から除外された: 1.手術する眼に以前にbTGF-β2を治療している 2.本実験の眼に以前にレーザー治療を施している 3.レーザー光凝固(参考3)に望ましい患者(患者がこの様式での治療を断 っていない場合) 4.線維症の証拠写真により病変領域が25%より広い 5.血液が12乳頭(twelve disc)領域以上で存在する 6.研究者による完全な追跡調査(follow-up)計画を成就することができな い 7.視力を脅かす他の疾患にかかっている(例えば、増殖性糖尿病網膜症、黄 斑円孔、網膜剥離、手に負えない緑内障(uncontrolled glaucoma)、または進 行性視野損失(advanced visual field loss)) 8.実験の評価を妨げる(研究者により決定される)付随の薬物の使用 9.授乳中または妊娠中の患者 各患者を3つの群の1つに無作為に振り分けた。ベースラインでの患者の階級 化は、全群を最小バイアスを示すように行った。階級化のパラメータは、視力( 中間点で20/100)、年 齢(70歳)、および視力損失期間(3カ月)を包含した。硝子体切除後、I群の 患者に血管新生網領域に50μl(665ng)のbTGF-β2を網膜下で与え、別に硝子体 腔との接触面の眼窩上に直接bTGF-β2を150μl(1995ng)適用した。II群に振り 分けた患者は、bTGF-β2を含まない以外は薬剤産物と同一のプラセボ(溶剤(ve hicle))溶液を与えた以外は、I群と同様に治療を施した。III群の患者には治 療を行わなかった。 治療の後(または患者がIII群に属するのであれば実験への承認の後)、すべ ての患者を、ベースライン後、2週間、4週間、6週間、3カ月、6カ月、およ び12カ月で検査した。評価される実験パラメータは、遠見視力および近見視力の 両方についての最適矯正視力、眼圧、水晶体の状態、および屈折を包含する。漿 液滲出および出血滲出の量、知覚神経剥離の大きさ、網膜上膜の存在、標準的/ 不顕性血管新生の強い蛍光の存在および大きさ、全病変大きさ、および眼窩への 影響(foveal involvement)もまた、蛍光眼底造影およびICG(インドシアニン グリーン)眼底造影で測定した。 ウシ骨から高度に精製された形態で(>95%純度)抽出し、網膜下注入または 硝子体内注入を行う前にヒト血清アルブミンを含む希釈液(バイアル2、MS2005 )と混合した濃酸性溶液(バイアル1、MS2004)として供給されたbTGF-β2で患 者を治療した。希釈液と混合した後のbTGF-β2の最終濃度は、溶液200μl容積あ たり2660ngであった。プラセボ調製液は、bTGF-β2を含まない酸性溶液(バイア ル1、MS2009)であり、網膜 下注入または硝子体内注入を行う前に希釈液(バイアル2、MS2005)と混合した 。 投与した全用量は、bTGF-β2が200μl(2660ng)であるか(I群)、またはプ ラセボが200μlであった(II群)。投与の経路について言えば、50μlを、眼窩 の中心から少なくとも乳頭の直径1つ分の部位中で網膜下隙(subretinal space )に注入し、そして150μlを、下に血管新生がある網膜表面上に直接適用した。 一方の処置は、硝子体切除の後に行った。ただしIII群の患者には、硝子体切除 も、実験溶液またはプラセボ溶液の処置も行っていない(すなわち、未処置の状 態のままである)。 本実験の要件に一致しないベースライン所見により、その患者を実験から外し た。ベースライン実験は、以下を包含した。完全な医歴および眼科医歴を得た。 ETDRS眼チャートを用いて、最適矯正視力測定を得た。近見視力もまたBailey-Lo vie Wordチャートを用いて測定した。眼窩下血管新生を、生体顕微鏡検査、眼底 写真撮影、および蛍光眼底造影により視覚化した。1群あたり5人の患者につい て、さらにICG眼底造影を用いて検査した。疾患に関連した眼の乳頭および黄斑 の標準30゜立体眼底写真(写真の映像IおよびII)を得た。さらに、この臨検( visit)で立体眼底造影図を得た。赤みのない立体白黒写真は、本実験および対 眼の乳頭および黄斑を撮影したものであった。眼底造影図の通過枠(transit fr ames)は、眼の領域IIを中心とした。立体血管造影図は、通過相の間ずっと撮影 しており、30秒、40秒、60秒、90秒、2分、3分、5分、 および10分で領域IIを中心とした。10分では、眼の領域Iの立体図もまた撮影し た。別に、反対側の眼および他の領域の図もまた、治療眼科医の裁量で得た。さ らに、ICG造影図も同様のプロトコルを用いて撮影したが、ICG図は40分の時点 でも撮影した。すべての実験写真および眼底造影図を、診療所での患者コードで ラベルした。写真および眼底造影図は、患者の情報および無作為につけたコード についてかくされた観察者に読まれた。本実験に望ましい患者を、ベースライン 視力(20/100)、年齢(70歳)、および視力損失期間(3カ月)をもとにして階 級化するコンピュータープログラムを用いて、処置群に無作為に振り分けた。I 群およびII群の患者の処置は、ベースライン試験を行った日の1週間(7日)以 内に予定した。 すべての手術を鎮静を伴う局所麻酔または全身麻酔のもとで行った。眼を前調 製しそして滅菌した布で覆った後、眼瞼鏡を配置した。2つの結膜弁を横切開お よび中央切開で作製した。3mm注入カニューレを縁の4mm後部に置き、予め配置さ れた4-0白絹U字縫合でその位置に保持した。各場合において、注入を始める前 に、カニューレの先端部を硝子体腔内に確認した。さらなる2つの強膜切開を、 縁の4mm後部で、10時経線および2時経線で作製した。次いで、ライトパイプ(l ight pipe)および硝子体カッターを挿入した。この時点で、疾患に関連した眼 において、中心部硝子体切除(core vitrectomy)を行った。中心部硝子体切除 を行った後、硝子体カッターを取り出し、可撓性シリコーン先端部を有するカニ ューレを代わ りに置いた。次いで、カニューレを硝子体切除機の吸引システムにつなぎ、吸引 を150mmHgにセットした。注入ボトルを、患者の頭部の約50cm上方に配置した。 カニューレの先端部を、側頭上部弧(superotemporal arcade)のちょうど下の 網膜表面の約1mm上方に配置した。十分に吸引を行い、カニューレをゆっくりと 上へ引き上げた。後部ヒアリン表面が側頭上部弧のちょうど下の領域に引き上げ られた後、カニューレを用いて、この後部ヒアリン表面の剥離を赤道線からでき るだけ遠くに広げた。いくつかの場合では、後部ヒアリン表面の剥離を完全に行 うために、乳頭でのさらなる操作を必要とした。これがいったん達成されると、 硝子体カッターを挿入し、そして全体毛様体扁平部硝子体切除を行って、硝子体 をできるだけ末梢まで取り除いた。次いで、可撓性先端部のカニューレを再挿入 し、網膜表面の約1mm上方に再び配置し、そしてゆっくりと側から側へ動かした 。後部ヒアリン全体が除去されたならば、カニューレの先端部のたわみが生じな かった。 次いで、眼から器具を取り外し、強膜栓と置き換えた。網膜裂傷が起こってい ないことを確認するために、末梢網膜を間接検眼鏡検査および強膜減圧(depres sion)で検査した。次いで強膜栓を取り外し、ライトパイプおよび可撓性先端部 のカニューレを再挿入した。視神経乳頭の液をすべて吸引して液−気交換(flui d-air exchange)を行った。次いで、器具を眼から取り除き、強膜栓と置き換え た。15分間、末梢液を後部に排出させた。強膜栓をもう一度取り外し、そして ライト パイプおよび可撓性先端部のカニューレを再挿入した。後部に移動した液をさら に吸引した。 次いで、粘性解剖(viscodissection)カニューレ・チューブ(Visitec,Inc .)を、希釈したばかりのbTGF-β2、またはプラセボの入った1cc注射器につな げた。カニューレの先端部を血管新生領域をちょうど覆うように設置し、1330ng /100μlのbTGF-β2を含む溶液200μlまたはプラセボ溶液200μlをゆっくりと注 入した。 次いで、器具を眼から取り外し、そして2つの上部の強膜切開を7-0ビクリル で閉じた。注入カニューレを取り外し、そして強膜切開を7-0ビクリルで閉じた 。眼圧を検査し、硝子体内泡を正常な眼圧を得るように調整した。結膜を断続し た6-0コラーゲンで閉じた。患者にアセタゾラミドを500mg静脈内注射(IV)で与 え、そして次の24時間の間に6時間ごとにアセタゾラミド250mgを経口または静 注(IV)により続けて与えた。患者に、術後最初の24時間は仰臥体位で横たわり ;その後、続く5日間にわたってできるだけうつ伏せ体位でいるように指示した 。 1日目および1週目での追跡調査(I群およびII群)は、眼圧、残存する気泡 の大きさ、水晶体の外観、副作用、付随の薬物を包含した。処置後、2週、4週 、6週、3カ月、6カ月、および12カ月での追跡調査は、遠見視力および近見視 力の両方に対する最適矯正視力(それぞれEDTRS眼チャートおよびBailey-Lovie wordチャートを用いる);屈折;眼圧;網膜 上膜の存在;蛍光眼底造影の結果(3カ月、6カ月、および12カ月のみ);選 択した患者におけるICG眼底造影の結果;水晶体の状態;副作用の発生;および 付随の薬物の評価を含んだ。 上記のようにして、20人の患者を治療し、評価した。それらのデータを以下 の表に示す。患者は予定された年間実験を完了したわけではないので、予想され た変化のすべて(期待された視力の改善を包含する)が生じたわけではなかった 。黄斑領域上にのみTGF-β2を与えた患者のうち、10人中7人が安定したまた は改善された視力を有したので、成功とみなされる。一方、歴史的に未処置患者 の50%は6カ月以内に失明し、すべての未処置患者が1年以内に失明した。網膜 下注入と網膜上注入とに分けてTGF-β2を与えた患者では、すべての患者が成功 した。 十分でない視力反応を有する3人のうち、2人は低い用量(665ng)を投与され 、そして残る1人は3+の白内障(3+ cataract)であった。18個の眼について、 近見視力をBailey Lovieシステムで評価した。4つの眼はベースラインで読みと ることができなかったが、これらのうち3個は、治療後に読みとることができた (2個は2週臨検で、残る1個は3カ月評価で)。他の患者から得たデータは、 ほとんどの患者の視力が一般的に安定化したか、または改善されたことを示して いる。2人の患者は手術後一時的にIOPが上がったが、IOPは4週までに正常値に 戻った。 実施例3 本実施例では、TGF-β2を用いる網膜下色素上皮(sub-RPE)または網膜下の血 管新生の治療のプロセスを記載する。方法 本実験は、sub-RPEまたは網膜下の血管新生についての実験基準を満たす50人 の患者を含む。患者は以下の基準に従って選択される: 1.眼窩無血管帯(foveal avascular zone)を含むsub-RPEまたは網膜下の血 管新生の生体顕微鏡検査および蛍光眼底造影による証拠; 2.主観的な視力低下にかかっている;および 3.視力測定により客観的な視力損失が確認されている; しかし、以下の基準に適合する患者は本実験から除外される: 1.手術する眼に以前にTGF-β2を治療している患者; 2.現在妊娠中または授乳中の患者; 3.本実験の参加に適合しない臨床的に重要な症状を有している(例えば、活 性な増殖性糖尿病網膜症);および 4.本実験の評価を妨げる薬物を服用している患者; 1群の患者を、眼窩領域に直接適用する、一回の手術内局所用量(intraopera tive local dose)が1330ng/100μlのTGF-β2を50μlまたは200μlで与えられる ように無作為に振り分ける。別の群の患者には、網膜下隙内に50μl、そしてsub -RPEまたは網膜下血管新生の領域の上方の硝子体腔内に150μlを注入する。20人 の患者に治療を施した後、プロトコルに対する安全性の変更が適切かどうかを決 定するためにデータを評価する。20人の治療した眼に異常な副作用(例えば、増 殖性硝子体網膜症(PVR)、過剰出血、または説明できない網膜剥離)がある場 合、試験はこの時点で中断する。 ベースライン実験は、視力測定(標準SnellenおよびETDRS眼チャート)および 生体顕微鏡検査、ならびにsub-RPEおよび網膜下血管新生の存在を証拠づける蛍 光眼底造影およびICG眼底造影を包含する。治療後、患者を1年間追跡調査する 。安全性評価および効力評価は、視力測定、眼窩の生体顕微鏡映像、および蛍光 眼底造影およびICG眼底造影を包含する。手術手順 すべての手術を鎮静を伴う局所麻酔または全身麻酔のいずれかのもとで行う。 2つの結膜弁を横切開および中央切開で作製する。さらなる2つの強膜切開を、 縁の4mm後部で、10時経線および2時経線で作製する。次いで、ライトパイプお よび硝子体カッターを挿入する。この時点で、疾患に関連した眼において、中心 部硝子体切除を行う。中心部硝子体切除を行った後、硝子体カッターを取り出し 、可撓性シリコーン先端部を有するカニューレを代わりに置く。次いで、カニュ ーレを吸引システムにつなぐ。カニューレの先端部を挿入し、側頭上部弧の下で 網膜表面の約1mm上方に設置する。後部ヒアリン表面が側頭上部弧のちょうど下 の領域に引き上げられた後、カニューレを用いて、この後部ヒアリンの剥離を赤 道線からできるだけ遠くに広げる。いくつかの場合では、後部ヒアリン表面の剥 離を完全に行うために、乳頭でのさらなる操作を必要とする。これがいったん達 成されると、そして全体毛様体扁平部硝子体切除を行って、硝子体をできるだけ 末梢まで取り除く。網膜を検査し、網膜裂傷が起こっていないことを確認する。 解かしたばかりのTGF-β2を、1330ng/100μlの濃度のTGF-β2溶液となるよう に2%ヒト血清アルブミンを含む緩衝液中に懸濁する。TGF-β2溶液(50μlまた は200μlのいずれか)を血管新生領域に適用する。網膜下TGF-β2を与えた患者 において、眼窩の中心から少なくとも直径で乳頭1つ分の部位で網 膜下隙に挿入するために、曲がった先細りの33ゲージカニューレを用いる。13 30ng/100μlのTGF-β2を含む50μlをゆっくりと注入する。別に150μlのTGF-β2 を、血管新生領域のちょうど上にある硝子体腔内に注入する。結膜弁および強膜 切開を閉じる。眼圧を検査し、硝子体内泡を正常な眼圧を得るように調整する。 患者にアセタゾラミドを500mg静注(IV)で与え、そして次の24時間の間に6時 間ごとにアセタゾラミド250mgを経口投与(PO)または静注(IV)により続けて 与える。患者に、術後最初の24時間は仰臥体位で横たわり;その後、次の5日間 にわたってできるだけうつ伏せ体位でいるように指示する。 患者を術後、1日目、2週間目、4週間目から6週間目、3カ月目、6カ月目 、および12カ月目で検査する。患者を、遠見視力および近見視力の両方に対する 最適矯正視力、屈折、眼圧、血管新生網の大きさ、網膜上膜の存在、蛍光眼底造 影における強い蛍光の存在、水晶体の状態、ICG眼底造影の結果について検査す る。分析および結果 この試験から得たデータを分析し、これらの用量でのTGF-β2の安全性および 効力を立証する。以下のようであれば、治療は成功であると考えられる: − 視力が20/200またはそれより良い患者において、矯正視力が改善する(約 2ライン)、または安定化する; または − 視力が20/200より悪い患者において、矯正視力が20/200まで改善する、あ るいは − 血管新生網の大きさの減少がみられる他の疾患 本発明の治療はまた、他の眼疾患においても有効であると考えられる。この眼 疾患としては、網膜浮腫、網膜血管障害、創傷治癒障害、増殖性眼疾患、抗変性 疾患、抗血管形成障害、ドライアイ症候群、ぶどう膜炎、および種々の網膜剥離 が挙げられる。 実施例4 インビボでの血管新生におけるTGF-β1およびTGF-β2のみの効果を研究するた めに、種々の用量のTGF-βをウサギの透明な角膜に移植し、血管新生反応を時間 経過に従って測定した。 5〜7ポンドの雄および雌のニュージーランド白ウサギを用いた。動物を、20 mgのキシラジンおよび80mgのケタミンを全体で4回の麻酔を行うように1日ごと に皮下注射することにより麻酔した。6日目に麻酔下で、動物を325mgのペント バルビタールナトリウムを心臓内に注入することにより安楽死させた。 TGF-β1およびTGF-β2および溶剤コントロールを、2.5イソ ゲルアガロース(FMC Corp.,Rockland,ME)中に置いた。ウシ血清アルブミン (BSA)なしで凍結乾燥したブタ血小板由来TGF-β1およびTGF-β2を、Anita Rob ert博士およびMichael Sporn博士(NIH,Bethesda,MD)から得た。BSAと凍結乾 燥したブタ血小板由来TGF-β1もまた、R&D systems,Inc.(Minneapolis,MN) から得た。2つの入手源を用いることで、入手の方法、取り扱いおよび船積みで の可変性(variable)に対しコントロールしやすくなった。アガロースに加える 前に、TGF-β1およびTGF-β2を4mM HClに溶解した。アガロースを60℃に加熱し 、溶解したペプチドに加え、次いでゲルを室温にした。次いで、ゲル化したアガ ロースを、ウサギ角膜への移植のために2×1.5×1mmの移植片に分けた。 1ng、5ng、25ng、および100ngのTGF-βを含むアガロース移植片を、0日目 に、それぞれ、7、6、6、4の角膜のポケット(pocket)中に置いた。2日目 、4日目、および6日目に角膜を写真撮影した。写真をスライドに現像し、順に 映写し、そして血管長を測定した。 TGF-β1を血管のないウサギ角膜に移植すると、1ng、5ng、25ng、および100 ngを移植された角膜の82%では、用量依存的に血管成長の刺激が生じていた。1 ngのTGF-βを移植した角膜の大部分は、血管新生の内方成長(ingrowth)を示さ なかった。残りの1ngで処理した角膜は、まばらで短い血管を有していた。用量 を5ngから100ngに増加するにつれて、血管新生はより密になり、血管はより長 くなり、そして角膜はよ り浮腫状になった。移植後2日目で基質内(intrastromal)血管新生反応は明ら かであり、4日目および6日目ではより顕著になった。 しかし、100ngのTGF-βを移植した角膜では、血管形成は、TGF-β含有移植片 の近接部で妨害されているように見えた。この効果は、血管新生がTGF-αまたは PGE1により刺激されたときには見られず(以下を参照のこと)、移植が新しい血 管の成長を妨害する機械的障壁として単に作用するわけではないことを示唆した 。 従って、既に血管新生が存在しない場合にTGF-β1またはTGF-β2を投与すると 、血管新生の発達が引き起こされ得る。 実施例5 トリプルポケット角膜アッセイ(triple pocket corneal assay)は、最初に 1区画で血管新生を生じる薬剤を投与すること、次いで血管新生の両側にTGF-β 1、TGF-β2、またはコントロールを移植することを包含する。 最初に、血管新生を、PGE1(Upjohn Co.,Kalamazoo,MI)またはTGF-α(Che micon International,Inc.,El Segundo,CA)のいずれかを含有するペレット を移植することにより誘発した。PGE1を無水アルコールに溶解し、次いで塩化メ チレン中の10%エチレンビニルコアセテートポリマーのキャスティング溶液に加 え、ペレットを形成させた。TGF-αを1mM HClに溶解し、次いでアガロースに加 え、移植片に分けた。 2日後(TGF-β実験の0日目)、TGF-β1、TGF-β2、またはコントロールのペ レットを、成長中の血管の横の、最初の移植片のいずれかの側に移植し、血管形 成活性における効果について試験した。TGF-β1およびTGF-β2を、用量が1ng、 3ng、5ng、10ng、25ng、100ng、および200ngとなるように用いた(各用量に対 し6個の角膜、ただし100ng用量では8個の角膜)。さらに、TGF-β1を50ng用量 で移植した。コントロールのアガロース移植片は、等量の溶剤(4mM HCl)また は4mM HClに溶解した100ngの血小板由来成長因子(PDGF、R&D Systems,Inc. から入手)を含有した。 第二の移植片に対するポケットを、長さ1.5mmであり、縁から1.5mmおよび最初 の移植片から3〜4mmで垂直な、1/2厚さ(one-half-thickness)の切開により 形成した。2つのポケットを、ポケットが縁から1.5mmで平行になるように、角 膜の切開した端に毛様体解離のへら(cyclodialysis spatula)をゆっくりと挿 入し、そして角膜の屈曲に平行な面へ最初の移植片の1.0mm以内にまでへらを入 れることにより、最初の移植片の片側に形成した。 血管の長さは、最初の移植片の中心から2mmのTGF-β含有移植片(E)およびコ ントロール移植片(C)の近接部で測定した(図1)。次いで、これらの領域に おける血管の相対長をE/C比(TGF-β移植片の領域の血管の長さをコントロール 移植片の領域の血管の長さで割った)で表した。刺激率または阻害率は、E/Cか ら1.0をひいて100をかけることにより求めた。TGF-β移 植片およびコントロール移植片の両方に近接する血管長の測定は、2日目、4日 目、および6日目に撮った映写したスライドから測定した。 連続した5ミクロンの凍結切片を、トリプルポケットアッセイで100ngのTGF- βを移植した角膜から採取し、ヘマトキシリンで染色し、そして光学顕微鏡によ り検査した。 TGF-βは、1ng、3ng、および5ngの用量の角膜の89%で血管新生を増強した 。4日目のコントロールに対し、1ngでは、血管新生は47%で増強され、3ngで は、118%で増強され、そして5ngでは67%で増強された。TGF-β1は、TGF-β2 よりも、1ng用量(それぞれ55%、40%)および3ng用量(それぞれ180%、56% )で血管新生をより刺激した。 それに対して、TGF-β1およびTGF-β2を25〜100ng与えた角膜の100%で、血管 新生が、以下の表に示されるようにコントロールに対して阻害された。TGF-β1 およびTGF-β2は、効果において同等であった。 投与量および移植時間の長さによる 血管新生の阻害投与量 2日目 4日目 6日目 25ng 52% 42% 33% 100ng 68% 53% 56% 200ng 66% 56% 46% さらに、50ng用量のTGF-β1は、2日目で59%、4日目で4 9%、6日目で29%で血管新生を阻害した。10ngの用量は、一時的な用量(trans itional dose)であると思われた。これは、6つの角膜のうち2つがTGF-β移植 片の領域で血管新生の刺激を示し、そして6つのうち4つがコントロールに対し て血管新生が行われた。 従って、TGF-β1およびTGF-β2はともに、PGE1またはTGF-αにより引き起こさ れた血管新生を阻害し得る。阻害は用量依存性であることがわかった。10ngより 多い用量であると血管新生が阻害される。本実験の最適用量は、約100ngである と思われた。総じて、TGF-β2は、同じ血管新生の阻害を与える場合、刺激効果 が少なく安全性が高いので優れている。 特定の理論に縛られることを望まないと同時に、本発明者らは、10ngより多い および10ng未満における異なる効果は、複数の機能におけるTGF-βの相互作用が 原因となり得ることを提案する。この機能は、約0.1〜1.0pg/mlで血液単球に走 化性を引き起こすこと、1.0〜25ng/mlでインターロイキン-1の遺伝子発現を誘導 すること(少なくともIL-1β特異的mRNAが培養単球において観察されている)、 および0.1〜10.0ng/mlで血管上皮細胞増殖を阻害することを包含する。従って、 10ng未満では、血管上皮細胞増殖における効果が優性であり;対して、より高い 用量では、血管新生を阻害し得る細胞機能において効果がある。 実施例6 この実験では、100ngのPDGFおよび100ngのTGF-β1およびTGF-β2(各ペプチド に対して4個の角膜)を、最初に1.5ug PGE1により血管新生を刺激させた後の第 二の移植片とした。角膜の100%において、TGF-βはPDGFに比例して血管新生を 阻害した。TGF-β1およびTGF-β2は、同程度の阻害を示した。TGF-β移植片の領 域における血管の長さの平均は、それぞれ2日目、4日目、および6日目で、PD GF移植片の領域における平均血管長の19%、40%、および36%であった(β1お よびβ2について組み合わせたデータ)。 この実験では、100ngのPDGFおよび100ngのTGF-β1およびTGF-β2(各ペプチド に対して6個の角膜)を、最初に300ng TGF-αにより血管新生を刺激させた後の 第二の移植片とした。TGF-βはまた、300ngの用量で、TGF-αにより刺激された 血管新生を阻害した。角膜の100%において、TGF-βは血管新生を阻害した。TGF -β1およびTGF-β2は、同程度の阻害を示した。TGF-β移植片の領域における血 管の長さの組み合わせた平均は、それぞれ、2日目、4日目、および6日目で、 コントロール移植片周囲の血管長の47%、51%、および47%であった。 さらに、5ミクロンの凍結切片を、トリプルポケットアッセイで100ngのTGF- βを移植した角膜から採取し、ヘマトキシリンで染色し、そして光学顕微鏡によ り検査した。細胞数の増加が、コントロール移植片と比較したとき、TGF-β移植 片の周囲の基質で観察された。これらの切片では、組織浮腫ま たは組織壊死は観察されなかった。強い炎症細胞浸潤もまた、いずれかのペレッ トの周囲では観察されなかった。 これらの実験では、TGF-β1およびTGF-β2は、陰性タンパク質コントールとし て用いたPDGFと同等であった。従って、本実験は、TGF-β1およびTGF-β2の抗血 管新生効果が、これらのタンパク質に特異的であって、タンパク質を投与するこ とによるものではないことを示す。 実施例7 本実験では、近視および遠視の矯正のための角膜手術の後の治癒におけるTGF- β2の効果を、3つの異なるタイプの角膜切開での角膜局所解剖での変化におい て、TGF-β2が有する効果の大きさを測定することにより決定する。 7〜9ポンドの体重の雌ネコを用いる。これは、眼の大きさ、形状、および形 態が人の眼と類似しているからである。同様に、それらの角膜上皮細胞は、有糸 分裂能力が制限されている。ネコの角膜は、ヒト角膜と同様に非常によく治癒す ることもまた示されている。従って、ネコは、角膜創傷治癒の実験に優れたモデ ルである。 放射状の非貫通性放射状切開(non-penetrating radial incision)を行う。 1群の動物には2つの放射状切開を施し、そして他の群の動物には4つの放射状 切開を施す。これらは、角膜中央部の厚さの90%まで切るように調節したマイク ロメーターのついたナイフを用いて行う。両目ともに手術する。 手術用顕微鏡を用いて、瞳孔の中央部の3.5mmの中央眼帯(central optical zon e)を、マーカーで区切る。放射状切開を中央眼帯で開始し、縁の約2〜3mm以 内にまで末梢方向に広げる。種々の半径の角膜穿孔器を用いて円形状切開を行い 、そして角膜深さの約90%まで貫通する。手術の終わりに、2.0μgまたは5.0μg のTGF-β2、またはコントロール溶液を各眼に対して適用する。鼻側および側頭 側を切開した眼では、TGF-β2を一方の切開部に適用し(切開部の上にカップを 置き、薬物を分散しないようにした後)、そして他方の切開部には処置しない。 これは、局所解剖での変化におけるTGF-β2の効果を評価する助けとなる。次に 、抗生物質軟膏を眼に限局的に適用する。 手術前および手術後決まった間隔で、眼を間隙ランプ(slit lamp)のもとで 観察し、角膜局所解剖測定を行う。間隙ランプを用いて、角膜血管新生、上皮治 癒、切開の深さ(治癒を評価するため)、および形成された瘢痕組織の量を評価 する。角膜局所解剖測定は、眼の安定化がどれだけ対称性であり速いかを評価す る助けとなる。本実験の終わりで、ネコを安楽死させ、眼の切片をスライドグラ ス上に置き、染色し、比較する。TGF-β2処置を施した眼は、速く強度に治癒さ れ、角膜局所解剖で早期に安定化される。 実施例8 本実施例では、ウシ骨由来TGF-β2(bTGF-β2)を、網膜浮腫 の大きさを低下し視力を改善する目的の硝子体切除を行った後のCMEの患者の黄 斑に適用した。持続性CMEにかかっており、そして本実験の他の要件に適合する1 0人の患者に、硝子体切除を施し、そして、硝子体腔との接触面の黄斑病変部上 に直接bTGF-β2を適用させる。本実験の参加者は、ベースラインおよび治療後選 択した間隔で検査する。評価されるべきパラメータは、視力(EDTRS眼チャート )、黄斑状態(生体顕微鏡検査および蛍光眼底造影)、副作用(水晶体の状態、 眼圧、および網膜剥離)、および付随の薬物を包含する。 以下の基準に従って患者を選択した: 1.類嚢胞黄斑浮腫(CME)の生体顕微鏡検査および蛍光眼底造影による証拠 付け 2.CMEにかかって少なくとも3カ月であるが12カ月以上ではない 3.患者が、1つまたはそれ以上の抗炎症剤の治療に対して反応がない 3.既に水晶体摘出をしている(水晶体の置換を伴うまたは伴わない) 4.最適矯正視力が20/60と20/800との間である 5.患者は治療および評価計画のすべての局面に従うことができる 6.患者は任意でインフォームドコンセントを受けることができる しかし、以下の基準に適合する患者は本実験から除外され た: 1.TGF-β2治療を行ってまたは行わずに以前に後部硝子体切除を行っている 2.黄斑機能を妨害し得る他の眼疾患(例えば、黄斑変性、糖尿病網膜症、黄 斑円孔、網膜剥離、進行性緑内障(advanced glaucoma)など) 3.最適矯正視力の測定を妨害する顕著な眼媒質(ocularmedia)の混濁 4.白内障手術に関連しないぶどう膜炎 5.授乳中または妊娠中の患者 6.完全な追跡調査計画を成就することができないおそれがある かかる適任基準に適合すると思われる患者に、ベースライン評価を行う。本実 験の要件と一致しないベースライン所見により、その患者を実験から外した。ベ ースライン実験は、完全な医歴および眼科医歴、および視力測定を含む眼科検査 を包含する。最適矯正視力は、ETDRS眼チャートを用いて測定される。CMEは、眼 底コンタクトレンズまたは78ジオプターレンズを用いる間隙ランプ生体顕微鏡検 査により確認される。乳頭および黄斑のカラー眼底写真(30゜)を撮影する(写 真領域IおよびII)。蛍光眼底造影は、立体眼底造影によるCMEの診断を確認す るために用いられる。黄斑の赤みのない立体写真もまた、眼底造影の初めに撮影 する。眼底造影の通過枠は、実験した眼の黄斑(領域II)を中心とし、そして枠 は、30秒、 1分、2分、5分、および10分で撮影される。乳頭(領域I)の立体写真もまた 、10分で撮影する。すべての実験写真を、患者の実験コードおよび写真の日付で ラベルし、次いで、患者の実験コードまたは処置について写真を撮影した時間の いずれかに関して伏せられている認定された鑑定人(grader)により階級付けす る。 治療は、ベースライン試験を完了した日の1週間(7日)以内に予定する。ど のような理由であれ治療を延期した場合、すべてのベースライン実験を繰り返さ なければならない。 研究者または患者が全身麻酔のもとで手順を行うことを望まないならば、すべ ての手術を予備麻酔を伴う局所麻酔のもとで行う。眼を前調製しそして滅菌した 布で覆った後、眼瞼鏡を配置する。2つの結膜切開を側頭側結膜および鼻側結膜 に作製し、4mm注入カニューレを、予め配置された4-0白絹縫合により、側頭下 部四分円中の縁の3mm後部で縫合する。硝子体輸液を開始する前に、注入カニュ ーレの先端部が硝子体腔内に確かにあることを確認する。さらなる2つの強膜切 開を、縁の3mm後部で、側頭上部四分円および鼻側四分円に作製する。次いで、 光ファイバーライトパイプおよび硝子体カッターを硝子体腔内に挿入する。前部 硝子体および中心部硝子体を切除する。前部、虹彩、または水晶体嚢への目にみ えるいかなる硝子体の付着をも取り除く。次いで、後部硝子体を硝子体カッター で取り除く。各眼を、硝子体切除カッターコンソールの吸入ラインにつなげた可 撓性シリコーン先端部 のカニューレを用いて、後部硝子体剥離について検査する。150mmHg吸入を、眼 窩の約2〜3mm上方、網膜の約0.2〜0.5mm前方に適用し、後部ヒアリンを付着し た後部皮質性硝子体が残存しているかどうかを決定する。後部ヒアリンがまだ付 着している場合、シリコーン先端部カニューレを用いて後部硝子体剥離を行う。 後部ヒアリンを、少なくとも赤道線まで硝子体カッターで取り除く。シリコーン 先端部カニューレを用いて、後部ヒアリンが完全に赤道線まで後部で取り除かれ ていることを確認する。 硝子体カッターおよび光ファイバーライトパイプを眼から取り外し、強膜切開 を強膜栓で閉じる。末梢網膜裂傷があるかどうかを知るために、末梢網膜を間接 検眼鏡検査および強膜減圧で検査する。末梢の裂傷は、存在する場合、冷凍固定 法で治療する。次いで強膜栓を取り外し、ライトパイプおよびシリコーン先端部 カニューレを硝子体腔内に再挿入する。視神経上の硝子体内液をすべて吸引して 液−気交換を行う。器具を取り除き、強膜栓と置き換える。15分間、抹消網膜お よび視神経の周囲の硝子体基部からの液を蓄積させる。強膜栓をもう一度取り外 し、視神経の前部に残っている液を、シリコーン先端部カニューレを用いて吸引 する。 次いで、粘性解剖カニューレ・チューブ(Visitec)を、2%ヒト血清アルブ ミンを補足した中性緩衝液中で希釈したばかりのTGF-β2の入った1cc注射器に つなげる。粘性解剖カニューレの先端部を眼窩上に直接位置させ、カニューレが 眼窩に 触れないように注意する。0.1mlアリコート(1330ng)のTGF-β2を黄斑上に注入 する。器具を眼から取り外し、そして2つの上部の強膜切開を7-0ビクリル縫合 で閉じる。注入カニューレを取り外し、そして残る強膜切開を7-0ビクリル縫合 で閉じる。眼圧を、約10mmHgの眼圧を得るまで無菌ガスで正常化する。次いで、 結膜を断続6-0コラーゲン縫合で閉じる。患者に、術後最初の24時間は仰臥体位 で横たわり;その後、続く5日間にわたってできるだけうつ伏せ体位でいるよう に指示した。 1日目および1週目では、以下のパラメータが評価される:眼圧(異常に高い 場合、IOPは、β遮断薬またはα遮断薬のような局所水性抑制剤(topical aqueo us suppressants)でまず治療する;経口カルボニックアンヒドラーゼインヒビ ターは、局所治療が眼圧を調節するのに不適切である思われる場合にのみ使用す る);残存する気泡の大きさ;前部(角膜、前眼房、および水晶体を含む)の間 隙ランプ生体顕微鏡検査;副作用;および付随の薬物。 治療後2週、6週、3カ月、6カ月、および12カ月では、以下のパラメータが 評価される:標準屈折およびETDRS眼チャートを用いる最適矯正視力;眼圧:水 晶体の状態(核性硬化および後嚢下白内障形成の大きさを含み、両者とも、0-4 のスケールで階級付けされる);類嚢胞黄斑浮腫の重篤さが0-4のスケールで間 隙ランプ生体顕微鏡により評価される;患者の身分および臨検日に関して伏せら れている認定された鑑定人による、蛍光眼底造影写真から得る類嚢胞黄斑浮腫の 重篤さ; 網膜上膜の存在または不在;副作用;および付随の薬物での変化。 本発明は、実施例により、そして言葉で記載されている。本発明者らの意図は 、本実施例は本発明の範囲を限定するために用いられるのではなく、さらに以下 の請求の範囲に対する均等が本発明の範囲内にあるとみなすことである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,CA, CH,CZ,DE,DK,ES,FI,GB,HU,J P,KP,KR,KZ,LK,LU,MG,MN,MW ,NL,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD, SE,SK,UA,VN (72)発明者 ファリス,ブルース ビー. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94301, パロ アルト,リンカーン アベニュー 436 (72)発明者 ハンハム,アン エフ. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94303, パロ アルト,アーストワイルド コート 37 (72)発明者 サンダー,ジョージ エイ. アメリカ合衆国 カリフォルニア 94061, レッドウッド シティ ノーサンバーラン ド ストリート 437

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.哺乳類の眼の網膜疾患での視力を顕著に改善する方法であって、該疾患が 、線維組織の機能不全、損失、または損失が切迫していることを特徴とし、そし て該方法が、該哺乳類に、約1μgから10μgのTGF-βを投与する工程を包含する 、方法。 2.前記TGF-βがTGF-β2である、請求項1に記載の方法。 3.前記TGF-βが、眼内注入、網膜下注入、強膜下注入、強膜内注入、脈絡膜 内注入、および結膜下注入、ならびに、局所投与、経口投与、または非経口投与 の形態から選択される方法により投与される、請求項1に記載の方法。 4.前記眼内投与が、前記網膜疾患部位の上、下、表面上、または中に、ある いはそれらを任意に組み合わせて、TGF-β溶液を置く工程を包含する、請求項3 に記載の方法。 5.さらに以下の工程を包含する、請求項1に記載の方法: 眼から硝子体液を除去する工程; 存在すれば、網膜上膜を取り除く工程;および TGF-βの濃縮液を、該溶液を網膜疾患部位のすぐ表面上に置くように、カニュ ーレにより投与する工程。 6.前記TGF-βが1回投与される、請求項1に記載の方法。 7.前記TGF-βが、前記網膜疾患が改善されるまで繰り返し投与される、請求 項1に記載の方法。 8.前記TGF-βの投与量が、約1300ngより多い、請求項1に記載の方法。 9.前記TGF-βの投与量が、2500ngより多い、請求項1に記載の方法。 10.前記網膜疾患が、黄斑円孔である、請求項1に記載の方法。 11.前記網膜疾患が、黄斑変性である、請求項1に記載の方法。 12.前記網膜疾患が、網膜裂傷である、請求項1に記載の方法。 13.前記網膜疾患が、網膜下血管新生である、請求項1に記載の方法。 14.哺乳類の眼の黄斑変性において視力を維持するまたは改善する方法であ って、該方法が、該哺乳類に、視力を安定化させるまたは改善するのに有効な量 のTGF-βを投与する工程を包含する、方法。 15.類嚢胞黄斑浮腫において視力を維持するまたは改善する方法であって、 該方法が、該哺乳類に、視力を安定化させるまたは改善するのに有効な量のTGF- βを投与する工程を包含する、方法。 16.視力を顕著に改善するために網膜疾患を治療する方法であって、該網膜 疾患は、結合組織または線維組織の減少を特徴とし、該方法は、以下の工程を包 含する、方法: 眼から硝子体液を除去する工程: 存在すれば、網膜上膜を取り除く工程;および TGF-β2の濃縮液を、該TGF-β2溶液を網膜の治療が必要な部位のすぐ表面上に 置くように、カニューレにより投与する工程。 17.障害治癒に関連した眼疾患の哺乳類を治療する方法であって、該方法は 、TGF-βの薬学的組成物を該哺乳類に経口投与、局所投与、または全身投与する 工程を包含し、ここで該組成物は、TGF-βの投与量範囲が約1μgから約10μgで ある量で投与される、方法。 18.前記眼疾患が、網膜浮腫、網膜創傷、黄斑変性、後発白内障、角膜上皮 創傷、およびシェーグレン症候群からなる群から選択される、請求項17に記載 の方法。 19.前記TGF-βがTGF-β2である、請求項17に記載の方法。 20.前記TGF-β2が組換えヒトTGF-β2である、請求項19に記載の方法。 21.前記投与が、眼内注入、網膜下注入、強膜下注入、強膜内注入、脈絡膜 内注入、またはそれらの任意の組み合わせにより行われる、請求項17に記載の 方法。 22.前記投与が、角膜または強膜への適用により行われる、請求項17に記 載の方法。 23.前記角膜または強膜への適用が、眼窩内への時間放出剤型の配置である 、請求項22に記載の方法。 24.前記薬学的組成物の充分量が、過度の線維増殖を生じずに治癒を増強す る量である、請求項17に記載の方法。 25.前記薬学的組成物の充分量が、眼の症状の治癒を増強し、そして哺乳類 の症候を改善する量である、請求項17に記載の方法。 26.眼に投与される前記薬学的組成物の量が、約1000ngから5000ngのTGF-β である、請求項17に記載の方法。 27.過度に瘢痕を形成させることなく治癒を促進する、眼手術を行った、ま たは行う予定である、または行っている最中である哺乳類を治療する方法であっ て、該方法が、該哺乳類にTGF-βを投与する工程を包含し、ここでTGF-βの投与 量範囲は約1μgから約10μgである、方法。 28.前記TGF-βが、手術の創傷に直接適用されることにより投与される、請 求項27に記載の方法。 29.前記TGF-βが、眼内注入、網膜下注入、強膜下注入、強膜内注入、脈絡 膜内注入、またはそれらの任意の組み合わせにより投与される、請求項27に記 載の方法。 30.前記TGF-βが溶液で投与される、請求項29に記載の方法。 31.前記TGF-βが徐放剤で投与される、請求項29に記 載の方法。 32.前記TGF-βがTGF-β1またはTGF-β2である、請求項27に記載の方法。 33.前記TGF-β2が組換えヒトTGF-β1またはTGF-β2である、請求項27に 記載の方法。 34.前記眼手術が、水晶体摘出である、請求項27に記載の方法。 35.前記眼手術が、角膜移植である、請求項27に記載の方法。 36.前記眼手術が、緑内障濾過手術である、請求項27に記載の方法。 37.前記眼手術が、屈折矯正手術である、請求項27に記載の方法。 38.前記屈折矯正眼手術が、放射状角膜切開術である、請求項37に記載の 方法。 39.眼あたりに投与される前記薬学的組成物の量が、少 なくとも約1000ngのTGF-βである、請求項27に記載の方法。 40.眼血管新生の哺乳類を治療する方法であって、該方法は、約1μgから 約10μgの投与量範囲のTGF-β2を哺乳類に投与する工程を包含する、方法。 41.前記TGF-β2が、静脈内投与、限局的投与、眼内投与、筋肉内投与、局 所投与、または眼デバイス内投与される、請求項40に記載の方法。 42.前記眼血管新生が、角膜血管新生、虹彩血管新生、網膜血管新生、硝子 体血管新生、および脈絡膜血管新生を包含する群から選択される、請求項40に 記載の方法。 43.前記角膜血管新生が、外傷、化学熱傷、または角膜移植により引き起こ される、請求項42に記載の方法。 44.前記虹彩血管新生が、糖尿病網膜症、静脈閉塞、眼腫瘍、または網膜剥 離により引き起こされる、請求項42に記載の方法。 45.前記網膜血管新生が、糖尿病網膜症、静脈閉塞、鎌状赤血球網膜症、未 熟児網膜症、網膜剥離、眼の虚血、および眼の外傷により引き起こされる、請求 項42に記載の方法。 46.前記硝子体内血管新生が、糖尿病網膜症、静脈閉塞、鎌状赤血球網膜症 、未熟児網膜症、網膜剥離、眼の虚血、および眼の外傷で生じる、請求項42に 記載の方法。 47.前記脈絡膜血管新生が、加齢性黄斑変性の角膜障害または角膜下障害、 推定眼ヒストプラスマ症候群、近視性変性、血管様線条、および眼外傷で生じる 、請求項42に記載の方法。 48.哺乳類におけるぶどう膜炎を治療する方法であって、該方法は、該哺乳 類に、有効量のTGF-β2を眼内に注入する工程を包含する、方法。
JP6503502A 1992-07-08 1993-07-08 TGF−βを用いる眼疾患の治療方法 Pending JPH08502033A (ja)

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