【発明の詳細な説明】
発明の名称
ヒトの認識障害の治療に有用な3,3′−ジ置換−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ〔2,
3-b〕ヘテロ環式−2−オン本発明の背景 発明の分野
本発明はジ置換多環化合物、薬学的組成物、調製方法、および認識障害および
/または神経学的機能不全および/または情緒障害、例えば変性性神経系疾患に
限らない疾患等を治療するための哺乳類における使用に関する。更に、これらの
化合物は神経伝達関連の疾患の生化学的機構に関する研究における試薬としても
使用できる。従来技術を含む背景
神経系疾患および神経学的不全の効果的な治療方法がますます求められている
。これらの疾患の多くは加齢と相関しており、その理由は主に、神経系の変性的
の変化である。幾つかの疾患の早期の段階では特定の系が特に影響を受ける(例
えばアルツハイマー病および重症筋無力症の場合はコリン作用性の系であり、パ
ーキンソン病の場合はドーパミン作用性の系である)が、複合神経伝達系不全(
アセチルコリン、ドーパミン、ノルエピネフリン、セロトニン)は一般的に、老
人性痴呆症、複合梗塞性痴呆症、ハンチントン病、精神遅滞等の後期の段階にお
いて認められる。これは、認識、神経学的、および、効果/精神病成分(effect
ive/psychotic components)(Gottfries,Psychopharmacol,1985,86,245参
照)を含む一般的に観察されている複合兆候を説明するものである。脳における
アセチルコリンの合成および放出に関する不全は一般的に認識欠陥
(Francis等、New England J.Med.,1985,7,313参照)に関連するものと考え
られており、神経学的不全(例えばパーキンソン症状)および情緒/精神変化は
それぞれドーパミン作用性およびセロトニン作用性の系の欠陥と関連していると
考えられる。その他の神経学的不全(例えば重症筋無力症)は末梢神経系におけ
るコリン作用性の不全に関連している。
これまで用いられている治療手段には、ビンカミンおよびペントキシフィリン
のような血管活性薬;エルゴロイドメシレート、ピラセタムおよびナフチドロフ
リンのような代謝冗進剤;l-DOPA、コリンおよび5−ヒドロキシトリプタミン
のような神経伝達物質前駆;フィソスチグミンのような伝達物質代謝酵素阻害剤
;および、副腎皮質剌激性ホルモンおよびバソプレシン関連ペプチドのような神
経ペプチドが包含される。パーキンソン病に対するl-DOPA治療および重症筋無
力症に対するコリンエステラーゼ阻害剤治療を除いては、これらの治療手段は、
一般的に、神経伝達物質の刺激誘発放出の増強により治療対象の系の残存機能を
増強することはできない。理論的には、このような増強は情報の化学的伝達の間
のSN比(シグナル対ノイズ比)を改善し、これにより、認識、神経学的機能およ
び情緒調節に関連する過程における不全を低減する。
本発明に最も関連の深い文献および特許はDeNoble等のPharmacol.Biochem.B
ehavior,1990,36,957;Cook等、1990,19,301;Nickolson等、1990,19,28
5;およびMyersおよびNickolsonの米国特許4,760,083号(1988)およびその参考
文献に記載されている。これらの文献では、下記式:
〔式中XおよびYは一緒になって飽和または不飽和の炭素環またはヘテロ環の第
1の環を形成し、その環に示された炭素は、第1の環に縮合した少なくとも1つ
の別の芳香族環またはヘテロ芳香族環に連結しており;Het1またはHet2の1つは
2、3または4−ピリジル;または2、4または5−ピリミジニルであり、そし
て、もう一方は以下:(a)2、3または4−ピリジル、(b)2、4または5−
ピリミジニル、(c)2−ピラジニル、(d)3または4−ピリダジニル、(e)
3または4−ピラゾリル、(f)2または3テトラヒドロフラニル、および、(g
)3−チエニルより選択される〕のa,a−ジ置換芳香族およびヘテロ芳香族およ
びその塩は認識増強剤として有用であると記載されている。
特許WO 91/01/306(1991年2月7日)は、老人性痴呆症の治療に有用な、即ち
脳機能を改善し脳代謝を活性化し保護するような、下記式:
のオキソインドール誘導体を開示している。上記式においては、R1は水素、ハロ
ゲン、低級アルキルまたは低級アルコキシであり;R2は水素または低級アルキル
であり;R3は-CH2-R5であり、ここでR5は環状であってよいアルキル、ベンゾジ
オキサニル、または複数個
の水素、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、エチルアミノ、トリフル
オロメチル、ニトリル、ニトロまたはベンジルオキシで置換されてもよいフェニ
ル基であるか;あるいは、R2とR3は一緒になって=CH-R5を表し、ここでR5は上記
したとおり定義され、そしてR4は1−プロピルブチル、ピリジルまたはフェニル
または置換フェニルである。
EP 415102-Aは鎮痛、抗痙攣および/または記憶増強活性を有し、アルツハイ
マー病の治療に有用な一連の1,3−ジヒドロ−1−(ピリジニルアミノ)−2H−
インドール−2−オンを開示している。
式中、R1〜R3は水素、低級アルキル(場合によりアリールで置換されている);
ピリジルまたはチエニルで置換されているメチルまたはエチル;またはアリール
であるか;またはR2+R3は炭素原子4〜6個のシクロアルカンまたはスピロ縮合
アレン、ピペリジンまたはテトラヒドロピランを形成し;XおよびYは水素、ハ
ロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、NO2、NH2またはCF3であり;mおよび
nは1〜3であり;低級とは炭素原子1〜6個を示す。
Ting等はEP 0347698 A1において、下記式:
〔式中Aは環内にヘテロ原子1〜3個を有する縮合した5員または6員のヘテロ
芳香環であり、各ヘテロ原子は独立してO、S、NまたはNR6を表し、ここでR6
は水素またはC1〜C4アルキルであり;二重線は任意の二重結合を表し、例えばX
への結合が二重結合である場合は、XはOまたはSであり;そしてXへの結合が
単結合である場合は、XはOR10であり、ここでR10はアルキルまたはアラルキル
であり;T2およびT3は独立してS、SOまたはSO2を表し;mおよびnは独立して
0または1を表し;そしてR1は水素、アルキル、アリールまたはアラルキルであ
り;R2およびR3は独立して水素、アルキル、ハロゲン、アリールまたはアラルキ
ルなどである〕の抗炎症作用を有する一連のヘテロ二環化合物を記載している。本発明の要旨
“混合懸垂基”gem置換を有する特定の多環化合物が神経組織中の神経伝達物
質、特にアセチルコリン、ドーパミンおよびセロトニンの剌激誘導放出を増強し
、これにより、能動的回避作業の学習および記憶に関与する過程を改善すること
が分かった。
特に、本発明によれば、薬学的に適する担体および下記式:
の化合物の有効量より本質的になる、薬学的組成物が提供される。好ましい実施
態様は、
R1は(CH2)m-Wまたは(CH2)n-R4であり;
R2は炭素原子1〜7個のアルキル、R4 0〜3個で置換されているベンジルま
たはR5 0〜3個で置換されているフェニルであり;
R3はH、炭素原子1〜6個のアルキル、ハロゲン、CN、OR7、N(R7R8)、S(O
)pR7、NO2またはCF3であり;
R4はCON2R7、CON(R7R8)、CN、OR7、N(R7R8)、S(O)pR7、F、Cl、Br、NO2
またはCON7であり;
R5はCO2R7、CON(R7R8)、CN、OR7、N(R7R8)、S(O)pR7、F、Cl、Br、NO2
、COR7またはCF3であり;
R6はH、炭素原子1〜4個のアルキル、フェニルまたはベンジルであり;
R7およびR8は独立してHまたは炭素原子1〜6個のアルキルであり;
Wは場合によりR5 0〜2個で置換されたピリジル、ピリミジニル、ピラジニ
ル、ピリダジニル、ピラゾリル、テトラヒドロフラニル、チエニルまたはフェニ
ルであり;
mは1〜4であり;
nは1〜6であり;そして
pは0〜2であるような、式Iの化合物である。
最も好ましい式Iの化合物は、
R1は(CH2)m-Wまたは(CH2)n-R4であり;
R2は炭素原子1〜7個のアルキル、R4 0〜3個で置換されているベンジルま
たはR5 0〜3個で置換されているフェニルであり;
R3はH、炭素原子1〜4個のアルキル、ハロゲン、CN、OR7、N(R7R8)、S(O
)pR7、NO2またはCF3であり;
R4はCO2R7、CON(R7R8)、CN、S(O)pR7またはCOR7であり;
R5はCO2R7、CON(R7R8)、CN、OR7、N(R7R8)、S(O)pR7、F、Cl、Br、NO2
、COR7またはCF3であり;
R6はH、炭素原子1〜4個のアルキル、フェニルまたはベンジルであり;
R7およびR8は独立してHまたは炭素原子1〜6個のアルキルであり;
Wはピリジル、ピリミジニル、テトラヒドロフラニルであり;
mは1〜4であり;
nは1〜6であり;そして
pは1〜2であるような化合物である。
特に好ましい式Iの化合物は、
(a)1,3−ジヒドロ−1−フェニル−3,3−ビス(4−ピリジニルメチル)−2H
−ピロロ〔2,3-b〕ピリジン−2−オン二塩酸塩、
(b)1,3−ジヒドロ−1−(4−クロロフェニル)−3,3−ビス(4−ピリジニ
ルメチル)−2H−ピロロ〔2,3-b〕ピリジン−2−オン二塩酸塩、
(c)1,3−ジヒドロ−1−(4−クロロフェニル)−3−(3−シアノフェ
ニル)−3−(4−ピリジニルメチル)−2H−ピロロ〔2,3-b〕ピリジン−2−
オン二塩酸塩、
(d)1,3−ジヒドロ−1−(4−クロロフェニル)−3−(3−ピリジニルメチ
ル)−3−(4−ピリジニルメチル)−2H−ピロロ〔2,3-b〕ピリジン−2−オ
ン二塩酸塩、
(e)1,3−ジヒドロ−1−(4−クロロフェニル)−3−(フェニルメチル)−
3−(4−ピリジニルメチル)−2H−ピロロ〔2,3-b〕ピリジン−2−オン、
である。本発明の詳細な説明
本発明の化合物の大部分はスキーム1および2に記載の工程により合成できる
。一般的に、R1が4−ピコリルである場合は、化合物はスキーム1に記載のとお
り調製され、ラクタムIIAを過剰の4−ピコリルクロリドと相転移条件下に反応
させて所望の生成物を得る。相転移触媒の例はテトラブチルアンモニウムのヨウ
化物、塩化物または水酸化物であるが、これに限定されるものではない。ラクタ
ムの3−位でアニオンを形成する能力に応じて、IIAは例えば重炭酸ナトリウム
またはカリウム、炭酸ナトリウムまたはカリウム、水酸化ナトリウム、カリウム
またはリチウムのような塩基、または、有機性−水性溶媒系と相溶性を有する何
れかの塩基と反応させることができる。溶媒系は、水および水とは混和しない有
機溶媒、例えばベンゼン、トルエン、ヘキサン、メチルシクロヘキサンまたは塩
化メチレンよりなるものであってよいが、これに限定されるものではない。反応
は4℃から溶媒の還流温度までの温度で行なうことができる。過剰の4−ピコリ
ルと化合物IIAの反応は、例えば水素化ナトリウムまたはカリウム、n−ブチル
リチウムまたはナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドのような塩基である
が、これに限定
されるものでなく、その過剰量を用いてIIAのアニオンを形成することにより非
水性のプロトン性の溶媒中で行なうことができる。非プロトン性の溶媒は例えば
、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド
、ジメチルアセトアミドまたはベンゼンであるが、これに限られるものではない
。
スキーム1
R1が4−ピコリルである場合の3,3′−ジ置換−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ〔2,
3-b〕ヘテロ環−2−オンの合成
スキーム2
R1が4−ピコリル以外の場合の3,3′−ジ置換−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ〔2,
3-b〕ヘテロ環−2−オンの合成
あるいは、式Iの化合物は、非プロトン性溶媒、例えば、テトラヒドロフラン
、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ドまたはベンゼン中、強塩基、例えば水酸化ナトリウムまたはカリウム、n−ブ
チルリチウムまたはナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドと化合物IIIと
を反応させることにより調製できる。この方法はスキーム2に記載される。
原料となるラクタムは、下記文献のとおり調製できる。
a.Marfat等、Tetraherdon Lett.,1987,28(35);4027〜4030
b.R.P.RobinsonおよびK.M.Donahue,J.Org.Chem.,1991,56,4805〜48
06
c.Ting等、J.Med.Chem.,1990,33,2697〜2706
d.Stingach等、Chemistry of Heterocyclic Compounds,1981,1,54〜56
e.Royer等、Tetrahedron,1980,36,2499〜2465
f.ScgaferおよびGewald,Monatsh.Chem.,1989,120(4),315〜322
g.Wolfe等、J.Am.Chem.Soc.,1980,102(10),3646〜3647
h.Tayler等の記載した方法(Tetrahedron,1987,43(21),5145〜5158,“1
,2,4−トリアジンの分子内Diels-Alder反応、フロ〔2,3-b〕−ジヒドロピラノ
〔2,3-b〕ピリジンおよびピロール〔2,3〕ピリジンの一般的合成”)およびStin
gach等の記載した方法(Khimiya Geterotsiklicheskikh Soedinenii,1981,1
,54〜56“7−アザイサチン誘導体のチオセミカルボゾン”)またはRobinsonお
よびDonahueの記載した方法(J.Org.Chem.,1991,56,4805〜4806,“5−ア
ザオキシインドールの合成”)の組み合わせを用いて、所望の出発物質を調製で
きる。
i.Fortunak,US 4997954,1992年3月5日
j.T.等、EP 0347698 A1および参考文献
k.BeugelmansおよびRoussi,Chem.Commun.,1979,950
l.Goehring,Wolfe等、J.Am.Chem.Soc.,1985,107,435
m.Clark等、Synthesis(1991),10,871〜878
本発明の化合物は遊離の塩基または薬学的に許容される酸の酸付加塩として存
在できる。更に、本発明の化合物はR1が4−ピコリルではない場合は、ラセミ体
として、または、個々のエナンチオマーとして;R1が不斉中心を有する場合は、
ジアステレオマーとして;あるいは、R1が幾何異性体を形成することができる部
分を有する場合はsynまたはantiまたはEまたはZ)またはこれらの混合物とし
て存在できる。合成
調製例 1
1,3−ジヒドロ−1−フェニル−2H−ピロロ〔2,3-b〕ピリジン−2−オン
この化合物は、Ting,Kaminski等が“潜在的抗炎症剤としての置換1,3−ジヒ
ドロ−2H−ピロロ〔2,3-b〕ピリジン−2−オン”(J.Med.Chem.,1990,33,
2697〜2706)に記載した方法により収率55%で調製した。mp 116.0〜117.0℃;I
R(KBr):1727cm-1(CO);1H NMR(CDCl3 TMS):d 3.73(s,2H,CH2-CO),
〔7.00(dd,1H),7.39(dd,1H),8.18(d,1H),2,3-subs.Pyr〕,7.51(
m,5H,Phe);質量スペクトルm/e 211(M+1);
元素分析値(C13H10N2O,MW 210.24)
計算値:C 74.27;H 4.79;N 13.33
測定値:C 74.11;H 4.73;N 12.92
その他の「ヘテロ環」はTing等のEP 0347698(1989)に記載の方法の変法を用
いて調製できる。
1,3−ジヒドロ−1−(4−クロロフェニル)−2H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジ
ン−2−オンはEP 0347698号に記載のとおり調製した。mp154〜155℃;文献値mp
148〜150℃
実施例 1
1,3−ジヒドロ−1−フェニル−3,3−ビス(4−ピリジニルメチル)ピロロ〔2,
3-b〕ピリジン−2−オン二塩酸塩半水和物
乾燥THF 25ml中の水素化ナトリウム(0.55g、22.9ミリモル)の懸濁液を調製
例1(1,3−ジヒドロ−1−フェニル−2H−ピロロ〔2,3-b〕ピリジン−2−オン
)(1.0g、4.76ミリモル)で処理し、室温で30分アルゴン下で撹拌した。次に混
合物を過剰の塩酸4−ピコリルクロリド(2.5g、15.2ミリモル)で処理し、更に
3時間アルゴン下で撹拌した。混合物を30分間還流し、室温に冷却し、そして、
慎重に塩化メチレン200mlと水200mlとの間に分配した。有機層を2×100mlの水
および塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して得られた
油状物はTLC(クロロホルム:メタノール9:1)によれば不純物を含有してい
ることが分かった。油状物を、移動相としてクロロホルム:メタノール(9:1
)を使用したシリ
カゲル上のクロマトグラフィーに付した。適切な画分を合わせ、1N塩酸/ジエ
チルエーテルで処理し、減圧下に濃縮して収率37.7%(0.85g)で不定形のオフ
ホワイトの固体として所望の生成物を得た。mp 184.0〜185.0℃;IR(ヌジョー
ル):1716cm-l(CO);1H NMR(DMSOd6 TMS):d,〔3.67(d,2H),3.76(d
,2H),CH2−C−CH2)〕,〔6.87(d,4H),8.60(d,4H),4-Pyr 2本〕,
〔7.38(m,1H),8.00(d,1H),8.20(d,1H),2,3-ジ置換 P,7.41(m,5H
,Phe);質量スペクトル392(M+1)
元素分析値(C25H20N4O 2HCl 0.5H2O,MW 474.39)
計算値:C 63.30;H 4.89;N 11.81
測定値:C 63.43;H 4.69;N 11.68
実施例 2
1,3−ジヒドロ−1−(4−クロロフェニル)−3,3−ビス(4−ピリジニルメチ
ル)−2H−ピロロ〔2,3-b〕ピリジン−2−オン二塩酸塩
実施例1において1−(4−クロロフェニル)−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ
〔2,3-b〕ピリジン−2−オンを置換することにより(Ting等、EP 0347698A)収
率64%で所望の生成物を得た。mp 137℃分解;IR(ヌジョール):1718cm-1(CO
);1H NMR(DMSOd6 TMS):d〔3.70(d,
2H),3.93(d,2H),CH2−C−CH2〕,〔7.1(m,1H),7.5(d,1H),8.35(
d,1H),Pyr〕,〔7.65(d,2H),8.77(2H),4−Cl−Phe〕,〔8.10(d,4H
),8.95(d,4H),2 4-Pyr〕;質量スペクトルm/e 427(M+1)
調製例 2
エタノール50ml中の1,3−ジヒドロ−1−フェニル−2H−ピロロ〔2,3-b〕ピリ
ジン−2−オン(3.2g、15.22ミリモル)およびピリジン−4−カルボキシアル
デヒド(1.63g、15.22ミリモル)の混合物をトリエチルアミン(1g)で処理し
、16時間室温で撹拌した。混合物をエタノール更に100mlで希釈し、80℃に加熱
し、24時間冷却した。得られた固体を濾過して回収し、冷エタノールで洗浄し、
乾燥して収率99%(4.5g)でa,b−不飽和アミドを得た。mp 199〜200℃;IR(ヌ
ジョール):1723(CO)cm-l;1H NMR(CDCl3 TMS):δ〔6.88(m,1H),7.71
(d,1H),8.16(d,1H),2,3−ジ置換Pyr〕,〔7.40(m,2H),7.53(m,3H
),Phe〕,〔7.48(d,2H),8.76(d,2H),4-Pyr〕,7.88(s,1H,C=CH)
;質量スペクトルm/e 300(M+1)
乾燥THF(100ml)中のa,b−不飽和アミド(調製例2B)(4.0g、13.36ミリモ
ル)をナトリウムボロハイドライド(0.51g、13.48ミリモル)で処理し、16時間
室温で撹拌した。混合物を1時間還流し、
室温に冷却し、酢酸25mlで処理し、真空下に濃縮した。残存物を塩化メチレン15
0mlと飽和重炭酸ナトリウム50mlとの間に分配し、有機層を水および塩水で洗浄
し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、真空下に濃縮して均質(TLC、
クロロホルム−メタノール、9:1)ガラス状物として収率94%(3.80g)で所
望の生成物(調製例2C)を得た。IR Cl3フィルム):1726(CO)cm-1;1H NM
R(CDCl3 TMS):d〔3.22(2d,1H),3.50(2d,1H)CH2-pyr〕,3.96(m,1H
,CH),〔6.93(dd,1H),7.25(m,1H),8.12(d,1H),2,3−ジ置換Pyr〕
,7.0〜7.4(m,5H,Phe),〔7.41(d,2H),8.48(d,2H),4-Pyr〕;質量
スペクトルm/e 302(M+1)
調製例 3
1,3−ジヒドロ−1−(4−クロロフェニル)−3−(4−ピリジニルメチル)
−2H−ピロロ〔2,3-b〕ピリジン−2−オン
調製例2において1,3−ジヒドロ−1−(4−クロロフェニル)−2H−ピロロ
〔2,3-b〕ピリジン−2−オンを置換することにより、平均収率85%で所望の中
間体(3C)を調製した。mp 177〜179℃分解;IR(ヌジョール):1732cm-1(C
O);1H NMR(CDCl3 TMS):d〔3.41(m,1H),3.52(m,1H),CH2-Pyr〕,4.
03(t,1H,CH-C-Pyr),
〔7.02(m,1H),7.3(m,1H),8.18(d,1H)2,3-Pyr〕,7.35(m,4H Phe-Cl),7.35
,8.46(2d,4H,4-Pyr);質量スペクトルm/e 336(M+1)
実施例 3
1,3−ジヒドロ−1−(4−クロロフェニル)−3−(3−シアノフェニル)−
3−(4−ピリジニルメチル)−2H−ピロロ〔2,3-b〕ピリジン−2−オン二塩
酸塩
乾燥THF 75ml中の1,3−ジヒドロ−1−(4−クロロフェニル)−3−(4−
ピリジニルメチル)−2H−ピロロ〔2,3-b〕ピリジン−2−オン(3.0g、8.93ミリ
モル)の溶液を水素化ナトリウム(0.26g、10.7ミリモル)で処理し、30分間
室温で撹拌した。次に混合物を乾燥THF 25ml中に溶解したa−ブロモ−m−トル
ニトリル(1.93g、9.82ミリモル)の溶液で滴下処理した。混合物を24時間乾
燥窒素下室温で撹拌し、真空下に濃縮した。残存物を塩化メチレン150mlと水100
mlとの間に分配した。有機層を更に水および塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウ
ム上で乾燥し、濾過し、濃縮して泡状物を得た。泡状物を最小量のメタノールに
溶解し、移動相としてクロロホルム−メタノール(95:5)を用いたシリカゲル上
のクロマトグラフィーに付した。適切な画分を合わせ、真空下に濃縮して25mlと
し、
1N塩酸−ジエチルエーテル(10ml)で処理した。得られたガム状の混合物を濃
縮して得られた泡状物をジエチルエーテルで摩砕し、濾過して回収し、更にジエ
チルエーテルで洗浄し、乾燥して泡状物として収率87%(3.89)で所望の
生成物を得た。IR(ヌジョール):2229(CN),1723(CO)cm-1;1H NMR(DMS0d6 T
MS):d3.4〜3.6(dd,2H,CH2 e), 〜3.85(dd,2H,CH2-Pyr),〔6.91(d,2H)
,7.25(m,3H),7.61(m,3H),Phe-ClおよびPhe-CN〕,〔7.37(dd,1H),7.96(d,1H
),8.20(d,1H),2,3-Pyr〕,〔7.51(d,2H),8.71(d,2H),1,4-Pyr〕;質量スペク
トルm/e 451(M+1)
元素分析値(C27H19N40Cl HCl,MW 487.39)
計算値:C66.54;H,4.14: N,11.50
測定値:
実施例 4
1,3−ジヒドロ−1−(4−クロロフェニル)−3−(3−ピリジニルメチル)
−3−(4−ピリジニルメチル)−2H−ピロロ〔2,3-b〕ピリジン−2−オンニ
塩酸塩
1,3−ジヒドロ−1−(4−クロロフェニル)−3−(4−ピリジニルメチル
)−2H−ピロロ〔2,3-b〕ピリジン−2−オン(3.0g、8.93
ミリモル)および1N水酸化ナトリウム20mlの混合物を充分な量のメタノールで
処理して溶液化した。混合物を水10ml中の塩酸3−ピコリルクロリド(1.6g、9.8
2ミリモル)で滴下処理した。混合物を2時間室温で撹拌し、1N水酸化ナトリ
ウム20mlで更に処理した。混合物を24時間室温で撹拌し、真空下に濃縮した。残
存物を塩化メチレン200mlとに分配し、塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾
燥し、濾過し、1N塩酸/ジエチルエーテル20mlで処理した。形成した沈殿を濾
過して回収し、エーテルで洗浄し、乾燥して収率90%(4.0g)で所望の生成物
を得た。mp 208〜211℃、分解;IR(ヌジョール):1720cm-1(CO);1H NMR(D
MS0d6 TMS):d3.65〔m,2H,CH2−(3-Pyr)〕,3.71〜3.91〔q,2H CH2−(4-Pyr)
〕,〔7.06(d,2H),7.22(m,1H),7.53(d,2H),7.60(d,2H),7.85(dd,1H),8.04(dd,2
H),8.22(d,1H),8.52(s,1H),8.84(d,3H),Ar〕;質量スペクトルm/e 427(M+1)。
実施例 5
1,3−ジヒドロ−1−(4−クロロフェニル)−3−(3−フェニルメチル)−
3−(4−ピリジニルメチル)−2H−ピロロ〔2,3-b〕ピリジン−2−オン
1,3−ジヒドロ−1−(4−クロロフェニル)−3−(4−ピリジニルメチル
)−2H−ピロロ〔2,3-b〕ピリジン−2−オン(3.0g、8.93ミリモル)および1
N水酸化ナトリウム20mlの混合物を充分な量のメタノールで処理して溶液とした
。混合物をベンジルクロリド(1.24g、9.82ミリモル)で処理して、24時間室温
で撹拌した。得られた固体を濾過により回収し、水で洗浄し、真空下に乾燥して
87%収率(3.30g)で所望の生成物を得た。mp 182〜185℃;IR(ヌジョール):
1727cm-1(CO);1H NMR(CDCl3 TMS):d3.29(dd,2H Phe-CH2),3.4〜3.7(q,2H Py
r-CH2),〔6.75(d,J=8.8,2H),6.9(m,2H),7.1(m,6H),7.35(d,J=8.4,2H),7.6
1(d,J=7.3,1H),8.05(d,J=6.6,1H),8.33(d, .2, 2H),Ar〕;質量スペクトルm/e
(M+1)。
元素分析値(C26H20N3OCl,MW 425.92)
計算値:C 73.32; H4.73; N 9.87
測定値:C 73.61; H4.93; N 9.83
実施例 6
1,3−ジヒドロ−1−(4−クロロフェニル)−3−(4−ピリジニルメチル)
−2H−ピロロ〔2,3-b〕ピリジン−2−オン−3−ペンタンニトリル
乾燥THF 100ml中の1,3−ジヒドロ−1−(4−クロロフェニル)−3−(4
−ピリジニルメチル)−2H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−2−オン(3.0g
、8.93ミリモル)の溶液を水素化ナトリウム(0.26g、10.72ミリモル)で処理し
、30分間室温で撹拌し、乾燥THF 25ml中の5−ブロモバレロニトリル(1.6g、9.8
7ミリモル)で処理した。混合物を24時間窒素下室温で撹拌し、真空下に濃縮し
た。残存物の一部を調製用HPLCに付し、わずかに黄色の油状物として所望の生成
物を得た。IR(ヌジョール):2246(CN),1728(CO)cm-l;1H NMR(CDCl3TMS):d1.
26(m,2H CH2-CC-CN),1.65(m, 2H, CH2-C-CN),2.06,2.24(2m,2H CH2-CCC-CN),
2.31 (t, 2H CH2-CN),〔3.17(d,J=12.8),3.41(d,J=12.8)CH2-Pyr〕,〔6.98(d
,J=6.4,2H),8.32(d,J=6.4)4-Pyr〕,〔7.07(d,J=8.6, 2H),7.44(d,J=8.6,2H)4
-Cl-Phe〕,7.13,7.62,8.18(3m,3H Pyr);質量スペクトルm/e 417(M+1)。
実施例 7
1,3−ジヒドロ−1−(4−クロロフェニル)−3−(4−ピリジニルメチル)
−2H−ピロロ〔2,3-b〕ピリジン−2−オン−3−ブタン酸エチルエステル塩酸
塩
実施例6においてエチル4−ブロモブチレートを置換することにより、カラム
クロマトグラフィーの後に収率22%で泡状物として所望の生成物を得た。1H NMR
(300 MHz, CDCl3 TMS)δ1.24(t,3H,CH3),1.4(m,2H CH2-C-CO),2.0〜2.35(m,
4H, CH2-C-CH2-CO),〔3.07,(d,J=12.5,1H),3.29(d,J=12.5,1H CH2-pyr〕,4
.11(q,2H,OCH2),〔6.76(d,J=6,2H),8.31(d,J=6,2H),4-Pyr〕,〔7.04(d,J=8.
8,2H),7.40(d,J=8.8,2H),4-Cl-Phe〕,〔7.1(m,1H),7.6(m,1H),8.1(m,1h),2
,3-Pyr〕; IR(ヌジョール)1723(C=0)cm-1;MS(NH3-CI)m/e 450(M+1)/100
元素分析値(C25H24N303Cl 2HCl,MW 522.86)
計算値:C 57.43; H 5.01; N 8.01
測定値:C 57.69; H 4.86; N 7.86
実施例 8
1,3−ジヒドロ−1−(4−クロロフェニル)−3−(2−ピリジニルメチル)
−3−(4−ピリジニルメチル)−2H−ピロロ〔2,3-b〕ピリジン−2−オン
1N酸化ナトリウム20ml中の1,3−ジヒドロ−1−(4−クロロフェニル)−
3−(4−ピリジニルメチル)−2H−ピロロ〔2,3-b〕ピ
リジン−2−オン(3.0g、8.93ミリモル)の懸濁液を充分な量のメタノールで処
理して溶液とした。溶液を10分間かけて水10ml中の塩酸2−ピコリルクロリド(
1.6g、9.82ミリモル)の溶液で滴下処理した。混合物を16時間室温で撹拌し、
得られた固体を濾過して回収し、水で洗浄し、乾燥した。固体をクロロホルム−
シクロヘキサンから再結晶し、79%収率(3.0g)で所望の生成物を得た。mp 193
〜195℃:1H NMR(300 MHz,CDCl3 TMS)δ〔3.34(d,J=12,1H),3.56(d,J=12,1H)C
H2-(2-Pyr)〕,〔3.48(d,J=14,1H),3.78(d,J=14,1H)CH2-(4-Pyr)〕,〔6.95(m,1
H),8.0(m,1H),8.27(d,J=7,1H)Pyr〕,〔7.0(m,6H),7.5(m,2H)2-Pyrおよび4-Cl-P
he〕,〔7.42(d,J=7,2H),8.32(d,J=7,2H)4-Pyr〕;IR(ヌジョール)1732(C=0)cm-1
;MS(NH3-CI)m/e 427(M+1)/100
元素分析値(C25H19N4OCl H20)
計算値:C67.49; H4.76; N12.59
測定値:C67.38; H5.01; N12.34
実施例 9
1,3−ジヒドロ−1−(4−クロロフェニル)−3−(2−ピリジニルメチル)
−3−(4−ピリジニルメチル)−2H−ピロロ〔2,3-b〕ピ
リジン−2−オン二塩酸塩
クロロホルム中の遊離塩基(実施例8)の溶液を過剰の塩酸/ジエチルエーテ
ルで処理し、得られた白色の綿状の固体を濾過して回収し、ジエチルエーテルで
洗浄し、真空下に乾燥して定量的収率で所望の塩を得た。mp 170〜175℃分解;1
H NMR(300 MHz,DMSOd6TMS)δ〔3.62(d,J=12.5,1H),3.79(d,J=12.5,1H),CH2-pyr
〕,3.78(s,2H CH2-Pyr),〔7.06(m,1H),7.85(m,1H),8.36(m,1H),Pyr〕,〔7.22(
d,J=8.8,2H),7.57(m,4H),8.72(d,J=6.2),4-Pheおよび4-Pyr〕,〔7.31 (d,J=7.3
,1H),7.57(m,1H),7.94(d,J=4.0,1H),7.96(d,J=3.3,1H),2-Pyr〕;IR(ヌジョー
ル)1718(C=0)cm-1;MS(NH3-CI)m/e 427(M+1)。
実施例 72
N−シクロヘキサンメチル−4−アゾオキシインドール
Goehring,Wolfe等の記載した方法(J.Am.Chem.Soc.,1985,107(2),435〜443)
の変法により調製した。乾燥THF 200ml中の2−クロロ(N−シクロヘキサンメ
チルアセトアミド)ピリジン(2.4g、9.0ミリモル)の溶液をLDA(3.86g、36.0
ミリモル)で処理し、乾燥窒素下5分間室温で撹拌した。得られた赤味がかった
溶液を水晶光化学反応フラスコに移し、4時間Hanoviaランプ#679A36により発
生させたUV光に曝露した。混合物を飽和塩化アンモニウム150mlで処理し、有機
層を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、
真空下に濃縮して収率92%(1.90g)で茶色のガム状物を得た。IR(ヌジョール
):1722(C=0)cm-l;MS(NH3-CI)m/e 231(M+1)/100%。質量スペクトルによれば
出発物質および出発物質のデス−Cl生成物は認められなかった(M+1=233)。こ
の物質は更に精製したり特性化することなく使用した。
実施例 73
1,3−ジヒドロ−1−シクロヘキサンメチル−3,3−ビス(4−ピリジニルメチル
)−2H−ピロロ〔2,3-b〕ピリジン−2−オン
N−シクロヘキサンメチル−4−アゾオキシインドール(1.5g、6.5ミリモル
)および1N水酸化ナトリウム(32.5ml)の混合物を充分な量のメタノールで処
理して溶液とした。混合物を室温で撹拌し、水25ml中の塩酸4−ピコリルクロリ
ド(2.3g、14.0ミリモル)の溶液で1時間かけて滴下処理した。混合物を24時間
室温で撹拌し、真空下に濃縮した。残存物を水で摩砕し、水相を捨てた。粗生成
物を移動相として塩化メチレンを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィ
ーに付し、適切な画分を合わせ、濃縮して収率25%で不定形の茶色の固体として
所望の生成物を得た。TLCによれば同質であった(クロロホルム−メタノール9
:1)、m/e 413(M+1)。
生化学試験方法
神経伝達物質放出検定:本発明の化合物の神経伝達物質放出活性をMulder等の
記載した方法(Brain Res.,1974,70,372)の変法であるNickolson等の報告((199
0),Drug Development Research, 19,285〜300)に従って測定した。
体重175〜200gの雄性Wistarラット(Charles River)を用いた。ラットを少な
くとも7日間飼育した後、12/12時間の照明/消灯サイクルの下で動物実験施設
内の実験に付した。脱イオン水および標準ラット試料(Purina)を自由摂取させ
た。
ラットを断首し、即座に脳を摘出した。側頭皮質のスライス(厚み0.3mm)を
凹部を有するLuciteガイドを用いて手作業で調製し、その後0.25×0.25mmの正方
形に分割した。
スライス(湿潤重量約100mg)をNaCl(116mM)、KCI(3mM)、CaCl2(1.3mM)、MgC
l2(1.2mM)、KH2PO4(1.2mM)、Mg2SO4(1.2mM)、NaHCO3(25.0mM)およびグルコース(11
.0mM)を含有するKrebs-Ringer培地(KR)10ml中でインキュベートし、これに、10
μCi3H−コリン(比放射能約35Ci/mM;NEN)および10mM未標識コリンを最終濃度
1マイクロモルとなるように添加した。脳プレパレーションを一定流量の95%O2
/5%CO2の下、37℃で30分間インキュベートした。これらの条件下でプレパレ
ーションにより取り込まれた放射性コリンの一部がシナプスベシクル中に保存さ
れているコリン作用性の神経末端により放射性アセチルコリン(ACh)に変換され
、高カリウムイオン(K+)含有培地による脱極性化により放出された。
ACh保存物の標識の後、スライスを3回未標識のKR培地で洗浄し、スーパーフ
ュージョン装置に移してACh放出に対する薬剤の作用を測定した。スーパーフュ
ージョン装置はスライスを支持するGF/F
ガラスファイバーフィルターを備えた直径5mmの10個のサーモスタットを有する
ガラスカラムよりなる(組織約10mg/カラム)。スーパーフュージョンは10mMへ
ミコリン−3(HC-3)を含有するKR−培地(0.3ml/分)で行なった。HC-3はリ
ン脂質のスーパーフュージョンの間に形成されたコリンおよび、未標識のAChに
変換される前に形成された標識AChの代わりに放出される恐れのある放出AChの再
取り込みを防止する。培地は25チャンネルの蠕動ポンプ(BrinkmanのIsmatec
)により供給し、サーモスタットステンレススチールコイル中で37℃に加温した
後にスーパーフュージョンカラムに導入した。各カラムには低K+/KR−培地から
高K+/KR−培地への変換を迅速に行なうための4ウエイのスライダー弁(Beckma
nn Instrumants)および薬剤非含有の低および高K+/KR−培地から薬剤含有低お
よび高K+/KR−培地への変換を行なうために用いる2個の10チャンネルの3ウエ
イの弁が配設されている。
非特異性結合放射能の洗浄を15分間行なった後、4分の画分の回収を開始した
。4分の回収を3回行なった後、最初の培地をKCl濃度を25mMに増加させておい
たKR−培地(高K+培地)に変えた(S1)。高K+/KR−培地による放出の脱極性化
誘導剌激は4分間持続した。次に薬剤非含有の低および高K+/KR−培地を薬剤−
および溶媒−含有の低および高K+/KR−培地と交換し、スーパーフュージョンを
継続して低K+/KR−培地の4分回収を3回、高K+/KR−培地の4分回収を1回(
S2)、および、低K+/KR−培地の4分回収を2回行なった。
低および高K+/KR−培地の何れかを用いて適切な濃度の薬剤(0.9%食塩水中
)の100倍希釈を行なうことにより薬剤を培地に添加した。
全てのスーパーフュージョン画分を液体シンチレーションカウント用バイアル
に回収した。スーパーフュージョンの後、スライスをスーパーフュージョンカラ
ムから取り外し、0.1N塩酸1.0mlで抽出した。Liquiscint(NEN)計数液(12ml)を
スーパーフュージョン画分および抽出液に添加し、試料をPackard Tricarb液体
シンチレーションカウンターで計数した。クエンチングに対する計数補正を行な
った。
S2/S1比(S2の間に薬剤が存在しなかった対照群との比較)を、刺激誘導アセ
チルコリン放出を増強または抑制する薬剤の能力の尺度とした。
挙動試験方法
ラット受動回避(PA)低酸素誘導健忘症:体重165〜210gの未絶食の雄性CDラッ
トを以下の方法を用いてPA装置内で訓練した。ラットを2コンパートメントチャ
ンバーの透明な方にいれ、90秒を与えて暗コンパートメントに入れた。暗チャン
バーに入れた10秒後、3秒間の足ショック(1.0mA)を格子床にかけ、その後、1
0秒遅れでもう1回3秒間の足ショックをかけた。4時間後に保持を調べた。ラ
ットに300秒間を与えて暗コンパートメントに入らせ、時間を測定した。受動回
避訓練の前に30分間6.5%酸素添加窒素を含有するガス混合物にラットを曝露す
ることにより、記憶の破壊を誘導した。PA訓練の時間に対応して被験物質を投与
した(0.1ml/ 100g s.c.)。この方法を用いた場合、実施例1の化合物は対照
群と比較して以下の潜伏時間を有することが分かった。
実施例1 ED150,s.c.=1.3mg/kg
用途
上記した試験結果によれば、本発明の化合物は認識障害および/
または神経学的機能不全および/または神経系疾患を有する患者における情緒お
よび精神障害、例えば、アルツハイマー病、ハーキンソン病、老人性痴呆症、複
合梗塞痴呆症、ハンチントン病、精神遅滞、重症筋無力症の治療に有用である。
本発明の化合物は哺乳動物の体内の薬剤作用部位に活性成分を接触させるような
いかなる方法でも、上記疾患を治療するために投与できる。化合物は、単独の治
療薬として、あるいは、治療薬の組み合わせとして、薬剤に係わる使用のための
いかなる従来の方法を用いても投与できる。これらは単独でも投与できるが、一
般的には選択された投与経路および標準的な薬学的慣行に基づいて選択される薬
学的担体とともに投与される。
投与量は、使用方法および特定の薬剤の薬力学的特性、その投与方法および投
与経路、対象の年齢、体重、および健康形態、症状の性質および範囲、併用治療
の種類、投与頻度、および、所望の作用のような知られた要因に応じて変化する
。上記した疾患または症状の治療に用いるためには、本発明の化合物は0.001〜1
00mg/体重の活性成分用量で毎日経口投与できる。通常は、1日当たり1〜4回
、分割用量で0.01〜10mg/kg/日を投与するか、徐放性処方で投与することが、
所望の薬理学的作用を得るのに有効であった。
投与に適する剤形(組成物)は単位当たり活性成分約1mg〜約100mgを含有する
。これらの薬学的組成物においては、活性成分は通常は組成物の総重量を基にし
て、約0.5〜95%の量で存在する。
活性成分はカプセル、錠剤および粉末のような固体剤形またはエリキシル、シ
ロップおよび/または懸濁液のような液体形態で経口投与できる。本発明の化合
物はまた滅菌液体剤形として非経腸的に
投与できる。
ゼラチンカプセルを用いて活性成分および適当な担体、例えば乳糖、澱粉、ス
テアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはセルロース誘導体を含有すること
ができる。同様の希釈剤を用いて圧縮錠剤を調製できる。錠剤およびカプセルは
ともに一定時間にわたり薬剤の持続的放出を与えるような徐放性薬品として製造
できる。圧縮錠剤は不快な味をマスキングするために糖コーティングまたはフィ
ルムコーティングすることができ、あるいは、これらコーティングを用いて外界
から活性成分を保護することができ、また、胃腸管内における錠剤の崩壊を選択
的にすることができる。
経口投与のための液体剤形は、着色料およびフレーバー剤を用いることにより
、患者の許容性を増大させることができる。
一般的に、水、薬学的に許容される油、食塩水、水性デキストロース(グルコ
ース)、および関連する糖溶液およびグリコール類、例えばプロピレングリコー
ルまたはポリエチレングリコールが非経腸溶液のための適当な担体である。非経
腸投与のための液体は、好ましくは活性成分の水溶性の塩、適当な安定化剤、お
よび、必要に応じて、緩衝物質を含有する。重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリ
ウム、またはアスコルビン酸のような抗酸化剤を単独または組み合わせて適当な
安定化剤として用いる。クエン酸およびその塩、およびEDTAも使用される。更に
、非経腸溶液は塩化ベンザルコニウム、メチル−またはプロピルパラベン、およ
びクロロブタノールのような保存料も含有できる。
適当な薬学的担体は、本分野の標準的な参考文献であるA.Osolの“Remington'
s Pharmaceutical Sciences”に記載されている。
本発明の化合物の投与のための有用な薬学的剤形を以下に記載する。
カプセル
多数のユニットカプセルは、粉末活性成分100mg、乳糖150mg、セルロース50mg
およびステアリン酸マグネシウム6mgを標準的な2ピースのハードゼラチンカプ
セルの各々に充填することにより調製される。
ソフトゼラチンカプセル
大豆油、綿実油、またはオリーブ油のような分散性油中の活性成分の混合物を
調製し、陽圧置換により注入しゼラチンに導入して活性成分100mgを含有するソ
フトゼラチンカプセルを調製した。カプセルは洗浄し乾燥した。
錠剤
多数の錠剤は、投与単位が活性成分100mg、コロイド状二酸化ケイ素0.2mg、ス
テアリン酸マグネシウム5mg、微結晶セルロース275mg、澱粉11mgおよび乳糖98.
8mgよりなるように従来の方法で調製する。飲みやすくしたり吸収を遅延させる
ために適切なコーティングを施してよい。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C07D 495/04 103 9165−4C
498/04 103 9360−4C
513/04 325 9360−4C