JPH0847390A - 活性なヒトtpaをコードする組換えdna分子 - Google Patents

活性なヒトtpaをコードする組換えdna分子

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JPH0847390A
JPH0847390A JP7189294A JP18929495A JPH0847390A JP H0847390 A JPH0847390 A JP H0847390A JP 7189294 A JP7189294 A JP 7189294A JP 18929495 A JP18929495 A JP 18929495A JP H0847390 A JPH0847390 A JP H0847390A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 活性な修飾ヒトTPAをコードする組換えD
NA分子を提供する。 【解決手段】 天然ヒトTPAのDNA分子のN−結合
炭水化物認識配列Asn−X−(ここで、XはSerま
たはThrを表す)をコードするAsn、Serまたは
Thrコドンの全部ではないが少なくとも一つを、別の
アミノ酸をコードするコドンに置き換えて、TPAの前
記炭水化物認識配列の該当位置に炭水化物成分が結合す
ることを防止した点で天然のTPAをコードするDNA
分子と異なることを特徴とする、活性なヒトTPAをコ
ードする組換えDNA分子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は治療用蛋白質の生産
のための組換えDNA技術の応用に関し、詳しくは修飾
されたヒト組織プラスミノーゲンアクチベーター(mT
PA)の生産のための組換えDNA技術の応用に関す
る。
【0002】
【従来の技術】リジケン(Rijken)ら;Bioc
him.Biophys.Acta,580,140
(1979)は、ヒト子宮組織からのヒト組織プラスミ
ノーゲンアクチベーター(uTPA)の部分精製を報告
している。このアクチベーターは、単鎖チモーゲン酵素
であり、血液中のプラスミンで活性化されて、フイブリ
ン血栓を溶解する2−鎖型に活性化される。従って、T
PAは種々の血管病、等に心臓内もしくはその周辺での
血栓の結果として起る心筋梗塞および深部静脈血栓に苦
しむ患者の血栓を溶解する治療用組成物として有用であ
る。
【0003】癌細胞ライン(Bowes melano
ma)細胞からmRNAをDNA組換え技術を用いて取
り出し、このmRNAをcDNAがコードするBowe
sTPAの生産に使用することは、ゴデル(Goedd
el)らがヨーロッパ特許出願第0093619号に記
載している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題および課題を解決するた
めの手段】一般に、本発明は活性ヒトTPAをコード
し、天然のTPA−コードDNA分子とは、天然DNA
分子のN−結合炭水化物認識配列Asn−X−(Ser
またはThr)をコードするAsn,SerまたはTh
rコドンの1つの代りに、別のアミノ酸をコードするコ
ドンに置きかえて、TPAの炭水化物認識配列の部分で
TPAに炭水化物部分が結合するのを防止した点で異な
る。
【0005】好ましい態様においては、炭水化物認識配
列はTPAのカルボキシ末端に最も近い炭水化物認識配
列であるか、またはそのような修飾配列は2ケ所存在
し、すなわち、TPAのアミノ末端に最も近い配列およ
び中間の配列である。好ましくは、修飾された炭水化物
認識配列において、非Asnコドン例えばグルタミンコ
ドンでAsnコドンが置き換えられる。
【0006】本発明の組換えDNA分子は、複製可能な
発現ベクターにより運ばれ、このベクターは宿主哺乳類
細胞に感染させたとき、活性ヒトTPAをコードするD
NA配列を発現させ、宿主細胞中で発現される前記活性
ヒトTPAは、天然ヒトTPAのTPA−結合N−結合
炭水化物部分の1つまたはそれ以上を欠失したものであ
る。本発明の修飾されたTPAは薬学的に受容しうる担
体物質と一緒に混ぜて血栓溶解治療用組成物に製造でき
る。
【0007】本発明のmTPAは哺乳動物細胞培養液か
ら、どのTPAにも応用できる方法で、先ず疎水性アフ
イニティークロマトグラフィー、次いでmTPAを抗T
PA抗体に結合させるアフイニティークロマトグラフィ
ーを施す工程で精製できる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明を好ましい態様に基づき、
以下に詳述する。
【0009】ヒト子宮TPA cDNAの合成 本発明のDNA分子はuTPA cDNAの部位特異的
突然変異化(ミュータジエネシス)により造成した。そ
のヒト子宮TPAをコードするcDNAは、次の工程に
より製造およびクローン化した: 1) ヒト子宮組織から全mRNAを単離する; 2) この全mRNAからuTPA mRNAを豊富化
する; 3) TPA mRNAからcDNAを合成し、3′c
DNA配列および5′cDNA配列を得る; 4) 5′および3′cDNA配列を結合して、中間プ
ラスミドベクター中に完全cDNA配列を得る。
【0010】uTPA mRNAの単離 ヒト子宮組織からのmRNAは次のようにして単離し
た。約30gのヒト子宮組織を、4Mグアニジンチオシ
アネート、1M2−メルカプトエタノール、50mM酢
酸ナトリウム(pH5.0)および1mM EDTAを
含有するグアニジンチオシアネート溶液40ml中で、
組織ホモジナイザーを用いて破砕した。次にホモジネー
ト1ml当り1gのCsClを加え、ホモジネートを3
000rpmで10分間遠心分離した。上澄を、50m
l遠心管中の50mM酢酸ナトリウム(pH5.0)、
1mM EDTA、および1.592g CsCl/m
l溶媒を含有するCsClクッション15ml上に重層
し、45,000rpmで20℃にて24時間遠心分離
した。RNAを含有する白色バンドを回収し、このCs
Cl溶液を水で3倍に希釈し、RNAを沈澱させるため
に−20℃で2倍量のエタノールを加えた。沈澱を遠心
で回収した。溶解および沈澱を繰返してCsClの混在
を十分に取り除いた。約11mgの精製RNAが回収さ
れた。
【0011】精製RNAを高塩濃度緩衝液(10mM
トリス(pH8.0)、0.5MNaClおよび0.2
%ドデシル硫酸ナトリウム)中にオリゴーdTセルロー
ス1mlを含むアフイニテイーカラムに通してから、エ
タノール沈澱で濃縮して、0.1MトリスHCl(pH
7.5)300μl、1mM EDTA、1%ドデシル
硫酸ナトリウムおよび50%ホルムアミドをSW41チ
ューブ中に得た。チューブを15℃で35,000rp
m、16時間遠心分離した。フラクションに別けて回収
し、各フラクションのRNAのサイズを、 3H標識した
4S、18Sおよび28Sの標準マーカーにより決定し
た。
【0012】TPA mRNAを含むフラクションを、
ノーザン ブロテイング(Northern blot
ting)分析で32P標識プローブを使って同定し、こ
れらのフラクションをまとめてプールした。mRNAを
回収するため、グラジエントに等量の0.4M NaO
Ac、pH5を加えて希釈し、希釈後のグラジエント溶
液に2.5倍量のエタノールを加えて沈殿させた。溶解
と沈澱の操作を繰返して、回収されたRNA中に少しで
も残存するホルムアミドを除去した。
【0013】uTPA cDNAの3′配列の製造 uTPA cDNAの第一ストランドは次のようにし
て、単離されたmRNAから製造した。RNAを50m
MトリスHCl、pH8.3、50mM KCl、8m
M MgCl2 、各々1mMのdATP、dCTP、d
GTPおよびdTTP、25μg/mlオリゴーdT
12-18 、50μ/mlアクチノマイシンD、30mM
2−メルカプトエタノール、0.5mCi/ml(α32
P〕dCTP、50単位のRNasinおよび40単位
のAMV逆転写酵素とともに全量50μl中で37℃で
1時間インキュベートした。反応は20mM EDTA
の添加により終了させた。次に反応混合物を、10mM
トリス−HCl(pH8.0)、1mM EDTA、お
よび0.1%ドデシル硫酸ナトリウムで平衡化し、そし
て50μg E.coli tRNAで予備クロマトグ
ラフィーを行なったセファデックスG−100カラムに
付した。
【0014】m−RNA−cDNAハイブリッドを含む
フラクションをプールし、エタノールを添加して沈澱さ
せた。回収したハイブリッドを37℃で数時間0.5N
NaOHで処理し、氷酢酸で中和してからエタノール
で沈澱させた。
【0015】ヌクレオチドトリホスフェートを、次のよ
うにして高塩濃度−エタノール沈澱で除去した。DNA
を最初に20〜50μlの水に溶解し、等量の4M酢酸
アンモニウムを添加した。2倍量のエタノールを加え−
70℃で一夜放置した。溶液の温度を室温にもどし、遠
心分離でDNAペレットを得た。この操作をさらに2回
繰返し、次いでペレットを70%エタノールで1回洗う
ことにより、TPA遺伝子の3′末端の大部分に相当す
る精製cDNA第1ストランドを得た。
【0016】cDNA第1ストランドを、50mM H
EPES緩衝液(pH6.9)、10mM MgCl
2 、2mM DTT、70mM KCl、各々0.5m
MのdATP、dCTP、dGTP、dTTPを含有す
る全量100μl中で、cDNA第2ストランドの合成
に使用した。この混合物にDNAポリメラーゼ−クレノ
フラグメント20単位を15℃で20時間加えた。DN
Aを、1:1(v/v)のフェノールとクロロホルムの
混合物で抽出し、エタノールで沈澱させた。
【0017】この二重鎖cDNAをS1ヌクレアーゼで
処理してヘアピン構造を除去するため、全量100μl
中に30mM NaOAc(pH4.4)、0.3M
NaCl、4.5mM ZnCl、および50単位のS
1ヌクレアーゼを含む液中で室温に30分間置いた。反
応を止めるため、EDTAおよび1MトリスHCl(p
H8.0)を加え、夫々最終濃度を10mMおよび0.
1Mとした。DNAを前記のとおりフェノール−クロロ
ホルム抽出および高塩濃度でのエタノール沈澱の繰返し
により精製した。
【0018】精製した二重鎖cDNA配列を次のように
してクローン化した。先ず二重鎖cDNAに、60mM
カコジル酸−0.14Mトリス(pH7.6)、1mM
ジチオスレイトール、0.1mM dCTP、および
0.2μCi/μlの〔 3H〕dCTPを含む100μ
l反応液中で、オリゴーdCのテールを付けた。10m
M CoCl2 を最終濃度1mMとなるよう加え、50
単位のターミナルデオキシトランスフェラーゼを15℃
で10分間加えた。反応を止めるために、EDTAを1
0mM、ドデシル硫酸ナトリウムを0.1%加え、水で
2倍に希釈した。次に反応混合物をアガロースのゲル電
気泳動に付し、500bpまたはそれ以上の長さのcD
NAをゲルから回収した。
【0019】このオリゴーdCテールを付したcDNA
を、予めPstIで直線化しオリゴーdGテールを付し
たpBR322DNAにアニールさせるため、全量0.
5ml中に15mMトリスHCl(pH7.5)、15
0mM NaCl、および1mM EDTAを含む液中
で65℃、10分間、次に42℃で2時間処理した。ア
ニールされたDNAは、予めCaCl2 で処理して凍結
保存しておいたコンピテントなE.coli(MC10
61)細胞を形質転換するために用いた。細胞とDNA
の混合物を氷上で20分放置し、37℃で7分間の熱シ
ョックを与え、続いて20倍量のL−ブロスとともに3
7℃で45分間インキュベートし、そして15μg/m
lのテトラサイクリンを含有するL−プレート上にプレ
ーテイングした。
【0020】組換えクローンをニトロセルロースフィル
ターに移し、一セットのフィルターはテトラサイクリン
プレート上に置いて生存クローンを保存した。レプリカ
組換えクローンを含む二つ目のセットのフィルターは、
クロラムフェニコールプレート上に置いて37℃で一夜
プラスミドの増幅を行なった。フィルターを処理してD
NAを露出させた。フィルターのプレハイブリダイゼー
ションは、50%ホルムアミド、3XSSC、5Xデン
ハート液、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム、および1
00μg/mlのE.coli tRNAを含む液中
で、42℃、2時間またはそれ以上の時間行なった。こ
のプレハイブリダイゼーション溶液にTPA cDNA
配列を有する32P−標識プローブを加え、フィルター上
のDNAとハイブリダイズさせた(42℃、18時間以
上)。フィルターを次に3XSSCで4時間、65℃の
0.1%SDSで30分間洗浄し、そして再度3XSS
Cで室温で30分間洗浄した。フィルターを空気乾燥
し、増感スクリーンを使用してコダックXAR−5X線
フィルムに−70℃で16時間露出した。
【0021】次に10個の候補の陽性クローンを単離
し、サブクローン化し、前記の方法で再度スクリーニン
グした。繰返して陽性シグナルを示すクローンのみにつ
き、制限エンドヌクレアーゼ開裂による解析をした。p
UPA327と命名したクローンは、最も大きいcDN
A挿入物(2.15kb)を含んでいた。
【0022】uTPA cDNAの5′配列の製造 最大長のcDNAクローンにもuTPAの全コード配列
は含まれていなかったため、失なわれた5′配列を単離
するために次の方法を用いた。サイズの選択を行なわな
い点を除いては上記同様にmRNAを単離した。続い
て、次に示すプライマー伸長法によって、第一cDNA
ストランドを合成した。100μl中に80%ホルムア
ミド、10mM PIPES緩衝液(pH6.4)、
0.4M NaCl、0.25μgの72bpフラグメ
ント、および70μgのmRNAを含む反応混合液中
で、TPA、cDNA(ヌクレオチド552−624)
の72bp PstIフラグメントを、上記mRNAに
アニールさせた。混合液を85℃、5分間加熱および5
0℃で20時間インキュベートして、ハイブリッド形成
を行なった。DNA−RNAハイブリッドの回収は、緩
衝液を水で3倍に希釈し、−20℃で一夜エタノール沈
澱させて行なった。mRNAの溶解および沈澱操作を再
度繰返して夾雑成分を除いた。第一ストランドcDNA
合成の条件は、オリゴーdTを省略した以外は3′配列
に使用した条件と同じである。
【0023】第二ストランドcDNAの合成は、DNA
ポリメラーゼI−クレノウフラグメントのプライマー
(ヌクレオチド1−15)として合成ペンタデカマー
(CTGTGA AGC AAT CAT)を用いて行
なった。100μl中に50mM HEPES緩衝液
(pH6.9)、10mM MgCl2 、および70m
MKClを含む中で、500ngのペンタデカマーを第
一ストランドcDNAとアニールさせるため、65℃で
5分間、65℃から43℃で15分間、43℃で15分
間処理し、混合物を使用するまで氷上に保存した。二重
鎖cDNAは、3′配列について前記したのと実質上同
様にして合成およびクローン化した。
【0024】プレートにまいて、スクリーニングおよび
サブクローニングした後、pUPA432と命名したク
ローンを同定した。このクローンは失なわれていた5′
コード配列を含み、クローンpUPA372と60bp
の重複部を有していた。
【0025】全長uTPA cDNAの製造 全長のヒト子宮TPA遺伝子をコードする。cDNAク
ローンを製造するに先立って、遺伝子の5′および3′
部分を配列決定した。このために、クローンpUPA4
32(5′コード配列)およびpUPA372(3′コ
ード配列)を、マキサム−ギルバート化学デグラデーシ
ョン法およびサンガーのジデオキシヌクレオチド・チエ
インターミネーション法を組合せて分析した。得られた
ヌクレオチド配列を図1〜図3に示す。
【0026】遺伝子の配列を決定した後、図4および5
に説明するようにして、完全cDNA遺伝子を製造し
た。プラスミドpUPA432(5′配列)を、先ずB
glIおよびBglIIの組合せで消化した。ポリアク
リルアミドゲルから400bpのBglI−BglII
フラグメントを単離し、さらにHaeIIIで部分的に
消化した。得られたBglII−HaeIIIフラグメ
ント(ヌクレオチド117−387)をポリアクリルア
ミドゲル上の電気泳動で精製した。フラグメントPst
I−NarI(ヌクレオチド321−448)はPst
IおよびNarIの消化の組合せおよび、続いてのゲル
電気泳動で単離した。このフラグメントをさらにHae
IIIで消化して61bpのHaeIII−NarIフ
ラグメントを生じさせた。BglII−HaeIIIフ
ラグメントおよびHaeIII−NarIフラグメント
の両者を、BamHIおよびNarI消化の組合せで直
線化したpBR322中にクローン化した。得られたク
ローン(pUPA−BglII/NarIと命名した)
から、BglII−NarIフラグメント(ヌクレオチ
ド117−448)、およびこれより大きいBglII
−SalIフラグメントが単離された。
【0027】プラスミドpUPA372をBglIIで
消化し、DNAポリメラーゼIでブラント末端を形成
し、SalIリンカーを加え、次いでE.coli中に
クローニングしてpUPA372−SalIを生じさせ
ることにより、該プラスミドpUPA372のヌクレオ
チド2091のBglII部位をSalI部位に変換し
た。続いてpUPA372−SalIをNarIおよび
SalIの二重消化で開裂させて、NarI−SarI
フラグメント(ヌクレオチド448−2091)を得
た。
【0028】次に、pUPA432からG−Cテールを
除去してSalI部位を導入することにより、子宮TP
A cDNAのリーダー配列に遺伝子工学処理を加え
た。このSalI部位の導入は、PstI消化物からc
DNAを単離し、5′非翻訳領域でSfaN1で開裂
し、DNAポリメラーゼIでブラント末端を形成し、S
alIリンカーを加え、SalIおよびBglIIの組
合せで消化し、BamHIとSalIでの二重消化で直
線化したpBR322ベクター中へクローニングするこ
とにより行なった。
【0029】この遺伝子工学処理された子宮TPAリー
ダーを、XhoIIおよびSalI消化の組合せで、ベ
クターから切り取った。このSalI−BglIIフラ
グメント(ヌクレオチド7−117)を、BglII−
NarI、NarI−SalIおよびBglII−Sa
lIの各フラグメントを上記のように連結して形成され
たSalI−BglIIフラグメント(ヌクレオチド1
17−2091)にスプライスした。SalI部位を両
端に持つ全長子宮TPA遺伝子を、次いでpUC9ベク
ターのSalI部位にクローン化した。図4および5参
照。このpUC9−uTPAプラスミドを、ひき続いて
mTPAをコードする組換えDNAの製造に使用した。
【0030】mTPA DNAの製造 図9において、天然ヒトuTPAは、その分子の三つの
アスパラギン残基、120,187および451位置で
N−グリコシル化されている(これらの位置はリーダー
配列のカルボキシ末端の隣りのアミノ末端グリシン残基
から数えたものであり、図1〜3の114,181およ
び445位置に夫々相当する。図1〜3においては、第
三リーダー開裂部位にすぐ続く位置を1位としてい
る。)。N−結合グリコシル化の認識配列は、Asn−
X−(SerまたはThr)である。これらの位置の1
つもしくはそれ以上でのグリコシル化を防止するため、
本発明者らは、uTPA cDNAのグリコシル化認識
配列中のアスパラギンをコードするAACまたはAAT
コドンをCAAコドン(グルタミンをコードする)に置
き換える方法を採った。後に詳述するとおり、これらの
ミュータント部位(図9のA,BおよびC)は、次のミ
スマッチ・プライマーを用いて、インビトロ部位特異的
ミュータジエネシスにより造成した: (a) ミュータント位置Aに対しては、 TCGGTGACTGTTCTTTGAAGTAA ATGTTGT (b) ミュータント位置Bに対しては、 CAACGCGCTGCTTTGCCAGTTGGT GCA (c) ミュータント位置Cに対しては、 GTAGGCTGACCCTTGCCCAAAGT AGCA ミュータントA単鎖DNAをテンプレートとして用い、
ミュータントAB,AC、およびABCも夫々製造し
た。最後に、ミュータントBおよびCを再結合してミュ
ータントBCを得た。こうして可能な7種類の全ての非
もしくは部分グリコシル化ヒトTPAミュータントを製
造した。ミュータントのA,B,Cの記号は、ミュータ
ントが記号部位でAsnコドンの代りにGlnコドンを
有することを意味し、他の点では天然のDNAと同一で
ある:従ってミュータントABは部位AおよびBでGl
nコドンを有する。Glnを用いたのは、単なる便宜上
であり、他の非Asnコドンを同様に使用できる。ま
た、Asnコドンを置き代える代りに、このAsnコド
ンから2つ下流のSerもしくはThrコドンを他のコ
ドン、例えばGlnで置き代えて同様の結果を得ること
ができる。
【0031】部位特異的ミュータジエネシス インビトロ部位特異的ミュータジエネシスは、最初にス
ミスら、Gene,8,81−87,99−106(1
979)により報告された方法を変形して次のようにし
て行なった。
【0032】前記のミスマッチ化オリゴヌクレオチドプ
ライマーを、慣用法により、アプライド・バイオシステ
ムズ(Applied Biosystems)自動合
成装置を用いて合成した。
【0033】図6で説明するとおり、ヒト子宮TPAを
コードするDNA(前記)をファージM13mp18
〔ファルマシア(Pharmacia)またはニューイ
ングランド・バイオラブス(New England
Biolabs)から入手可能〕中にクローニングし
た。プラスミドpUC9−uTPAをSalIで消化
し、uTPA遺伝子を含むフラグメントを単離し、Sa
lIで切断しておいたM13−mp18ベクターの二−
ストランド体中に挿入した。次にuTPAの有意ストラ
ンド(sense strand)を含むシングルスト
ランドのファージDNAを単離して、オリゴヌクレオチ
ドにより行なわれるミュータジエネシスのテンプレート
として使用した。各ミスマッチ化オリゴヌクレオチドプ
ライマーを65℃で10分間、次いで室温で10分間、
20mMトリス−HCl、pH7.5、10mM Mg
Cl2 、50mM NaCl、1mMジチオスレイトー
ル、0.2ピコモルのシングルストランド化M13−m
p18−TPA DNA、および20ピコモルの5′リ
ン酸ミスマッチ化オリゴヌクレオチドを含有する反応液
中で処理して、テンプレートにアニールさせた。次に、
30mM トリス−HCl、pH7.5、10mM M
gCl2 、2mMメルカプトエタノール、各1mMのd
ATP,dCTP,dGTP,dTTPおよび1mMの
ATPを含む等容量の緩衝液PEをアニーリング反応混
合物に添加した。5−10単位のDNAポリメラーゼ−
クレノウフラグメントおよび3−5単位のT4リガーゼ
を添加し、16℃で一夜インキュベートしてプライマー
の伸長を行なった。
【0034】反応混合物を希釈し、コンピテントなJM
105細胞の形質転換に使用した。ファージのプラック
に関し、その場(in situ)でのミュータジエニ
ック・オリゴヌクレオチド・プラック・ハイブリダイゼ
ーション法で、32P−標識ミスマッチ化プライマーを用
いて、所望のミュータントをスクリーニングした。この
方法は、所望のミュータントはプライマーと完全に相補
性であるが、天然型DNAは1もしくはそれ以上のミス
マッチ部分を含むことに基づくものである。即ち、適当
なハイブリッド形成条件下では、ミスマッチ化プライマ
ーがミュータントとハイブリッドを形成する程度は、天
然型とハイブリッドを形成するよりも大である。このハ
イブリッド形成能の相違が、所望のミュータントの選択
を可能とする。
【0035】候補ミュータントを単離し、制限エンドヌ
クレアーゼ消化およびDNA配列決定により同定する。
所望のミュータントuTPA遺伝子を、適当なM13m
p18−TPAミュータントの複製型のSalI消化に
よって単離した。
【0036】図8に示すとおり、単離された各ミュータ
ントuTPA遺伝子を、プラスミドpCLH3axのX
hoIクローニング部位へ挿入した(プラスミドpCL
H3axは、pBR322配列、マウスメタロチオネイ
ン遺伝子の5′調節配列を含む2000塩基対およびS
V40の3′調節配列を含む237塩基対を伴なうXh
oIクローニング部位を有する)。プラスミドpCLH
3axは、プラスミドpCL28から図7に示すように
して製造した:出発プラスミドpCL28をHindI
IIで切断し、メタロチオネイン遺伝子の方向を変える
ようにして再び連結した;この新たなプラスミドをBg
lIIおよびBamHIで切断し、SV40の237塩
基対polyA領域を挿入した;最後にBglII部位
をXhoIリンカーの付加によってXhoI部位に変換
した。得られたプラスミドをXhoIで切断して、単離
した各mTPA遺伝子を挿入した。各ミュータントDN
Aを含む各造成物をpCT〔ミュータント〕と命名す
る。ここで〔ミュータント〕は、夫々のmTPAがグリ
コシル化の防止のために修飾された部位を示す。例え
ば、部位Aの修飾を含む造成物はpCTAと命名され
る。
【0037】造成の最終工程は、哺乳動物宿主細胞の感
染をひき起すウシパピローマウイルス(BPV)をコー
ドする配列の付加である。プラスミドpB2−2を酵素
BamHIおよびSalIで消化して、BPVゲノムを
含む7.9kbフラグメントを生じさせた。このフラグ
メントを、予め同じ二種の酵素で消化したpCT〔ミュ
ータント〕中へ連結した。この最終造成物(pCAT
〔ミュータント〕)は、5′メタロチオネイン調節シグ
ナル部分、修飾uTPA遺伝子、SV40の3′シグナ
ル部分(ポリA付加部位とともに)、および完全BPV
ゲノムを含む。これらpCAT〔ミュータント〕発現ベ
クターを、次いで哺乳動物宿主細胞に感染させて発現さ
せ、修飾されたuTPA蛋白質を単離するために使用し
た。
【0038】哺乳類細胞の感染(トランスフェクショ
ン) ウイグラー(Wigler)ら、Cell,11,22
3(1977)の感染技術の変法を用いて、次のように
して、pCAT〔ミュータント〕プラスミドDNAをマ
ウスC127細胞中に導入した。
【0039】pCAT〔ミュータント〕DNAの5−2
0μgを、10μgの担体サケ精子DNAを含有する2
40mM CaCl2 0.5ml中へ添加した。この溶
液を、等量の2XHBS(280mM NaCl、20
mM Hepesおよび1.5mM リン酸ナトリウ
ム;pH7.1)中へ泡立てながら加えた。室温で30
分間リン酸カルシウム沈殿を形成させ、5×105 個の
C127細胞を感染の24時間前にプレーテイングし
た。リン酸カルシウム沈澱が生じている間に、細胞増殖
培地を交換した。リン酸カルシウム沈澱を細胞に加え
て、37℃で6−8時間インキュベートした。DNAを
除去し、細胞をリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、p
H7中の20%グリセロールに室温で1−2分間暴露し
た。細胞をPBSで洗浄し、10%仔牛血清(MAバイ
オロジカルズ)、ペニシリン/ストレプトマイシン、お
よび10mM グルタミン(GIBCO)を含むダルベ
ッコの修正培地10mlを添加した。培地を24時間後
およびその後各3〜4時間毎に交換した。14〜21日
後にフォーカスが検出され、21日後にクローニングリ
ング法(cloning ring method)で
単離された。このフォーカスを分析のため増殖させた。
【0040】感染細胞を、慣用手段で培養し、慣用手段
でmTPAを連続的に培養培地から収穫した。pCAT
〔ミュータント〕を含む形質転換C127細胞は、mT
PAを高率に生産した。BPVベクター(これはDNA
コピー数の増大を果す)中での強力なメタロチオネイン
プロモーターが調節するmTPAの生産およびBPVに
よる形質転換細胞の連続増殖特性は、相まってmTPA
の大量生産の最適系を提供する。
【0041】培養培地からのmTPAの抽出および精製 形質転換哺乳類細胞により生産された活性修飾TPA
は、宿主細胞培養培地から回収した。細胞抽出物もしく
は培養培地からの活性mTPAの精製は、一般に1)疎
水性アフイニテイ−クロマトグラフィー、そして2)抗
体アフイニテイ−クロマトグラフィーの工程を含む。こ
の方法は野生型のTPAや、他の修飾型TPAにも応用
できる。詳細にはこれらの工程は以下のように行なう。
【0042】疎水性アフイニテイ−クロマトグラフィー この工程は、宿主細胞培養培地中のmTPAを、例えば
トリスアクリルブルー(LKB)、マクロソルブブル
ー、またはCMアフイゲルブルー(BioRad)のよ
うなmTPAに結合できるが培養培地中の他の何種かの
蛋白質には結合しない染料との複合体にする工程を有す
る。(アフイゲルブルーは、ヒトのノイロブラストーマ
ラインから単離されたプラスミノーゲンアクチベーター
の本発明とは別の精製において、(NH42 SO4
殿およびp−アミノベンズアミジン−セファロースクロ
マトグラフィーとの組合わせで使用されている;Bio
chim.Biophys.Acta,704,450
−460,1980。)培地を濾過して澄明化し、次い
で希釈又は濃縮することなく使用した。リン酸緩衝化生
理食塩水、0.01%ツイーン、pH7.1で平衡化し
たトリスアクリルブルーマトリックス(LKB)を50
ml/l加えた。上澄をトリスアクリルブルーマトリッ
クスに加え(20ml/mg TPA)(バッチ式結
合)、溶液を4℃で2時間、おだやかに攪拌した。マト
リックスを次に20mMリン酸緩衝液、pH7.4、
0.15M NaCl、および0.01%ツイーン80
で洗った。このTPA−含有物質を次に負荷率(loa
d factor)50%でゲル濾過カラムに注入し、
線速度85cm/時間でゲル濾過を行った。トリスアク
リルブルーマトリックスから0.5Mアルギニン、0.
02Mリン酸緩衝液、0.15M NaCl、0.01
%ツイーン、pH7.4で溶出させた。TPAの回収率
は、一般的に90−95%であった。
【0043】上記のとおり、この工程でトリスアクリル
ブルー以外のマトリックスを使用してもよい。その一例
は、CMアフイゲルブルー(Bio Rad)であり、
これはmTPAを同様に良好に結合し、トリスアクリル
ブルーと同様のパターンでmTPAを溶出する。
【0044】アフイニテイークロマトグラフィー 精製を高度に達成する次の工程は、固体支持体カラム上
に固定化した抗TPA抗体を使用するアフイニテイーク
ロマトグラフィーである。慣用手段で作られたポリクロ
ーナルまたはモノクローナル抗TPA抗体のどちらでも
使用できる。
【0045】好ましいアフイニテイークロマトグラフィ
ー工程は次のように行なわれる。トリスアクリルブルー
マトリックスから溶出した材料を、該溶出液中に含まれ
る全てのmTPA活性を結合できるモノクローナル抗T
PAセファロースマトリックス中に、4℃で非常にゆっ
くりと通過させる。適当な抗体は、スコットランドのバ
イオスコット社(Bioscott,Ltd)またはア
メリカン・ダイアグノステイカ(American D
iagnostica)から市販されている。この抗体
をCNBr活性化セファロースに、5mg抗体/ml樹
脂の量で結合させる。抗体マトリックスを0.1Mトリ
ス、pH8.0および0.01%ツイーン80で予め平
衡化し、0.5M NaCl、0.01%ツイーン8
0、0.1Mトリス、pH8.0で洗浄し、そして3.
0M KSCN、0.01%ツイーン80、0.1Mト
リス、pH8.0で溶出する。溶出は線速度60cm/
時間で行ない、70−80%より高い回収率が得られ
る。次にこの濃縮されたmTPAを0.3MトリスHC
l、pH8.0、0.25M NaCl、および0.0
1%ツイーン80に対して透析する。
【0046】抗体/セファロースカラムから回収された
精製mTPAはSDS PAGE電気泳動によれば5%
以下の夾雑成分を有する。還元条件で、多少の2−鎖T
PA(活性型;単鎖が好ましい型である)が観察され
た。精製工程で使用する緩衝液にアプロチニンを添加す
ることによって、2−鎖型を防止することができる。
【0047】子宮TPA cDNAおよび修飾uTPA
の性状決定 上記のとおり、図1〜3には子宮TPA cDNAのヌ
クレオチド配列を、該cDNAによってコードされると
逆算された子宮TPAのアミノ酸配列とともに示す。暫
定的プレプロ配列(tentative prepro
sequence)はアミノ酸−38から−1に相当す
る。図1中でアミノ酸+1、−3および−6の前の各縦
線は、開裂部位を示す。グリコシル化可能部位は、As
n残基のCHOで示されているが;215番の部位は実
際はグリコシル化されない。プラスミン開裂部位(単鎖
uTPAが2−鎖uTPAに変換される部位)は矢印で
示される。セリンプロテアーゼの活性中心の保存された
配列には、下線が施されている。図1〜3はまた、子宮
TPA cDNAと本発明で種々のアスパラギンコドン
をグルタミンコドンで置き代えた組換えDNA分子と
の、ヌクレオチド配列の相違を示す。これらの特定のア
スパラギンコドンを除去することにより、コードするT
PA分子のN−結合グリコシル化の程度を低めることが
できる。
【0048】部分的もしくは非−グリコシル化がmTP
Aの半減期に及ぼす影響を、半減期の測定及びそれらの
半減期と完全グリコシル化uTPAの公知半減期との比
較により調べた。半減期測定は、ウサギを使用し、TP
A注射後の各種時間に血液サンプルを採取し、存在する
TPAの活性及び量を夫々フイブリンプレートおよびE
LISA検定で調べることにより行なった。この比較の
例として、以下にミュータントAおよびBCの分析結果
を示す。
【0049】ミュータントA TPAおよびミュータン
トBC TPAの分析 インビボにおけるuTPAの半減期に対して、グリコシ
ル化が影響を及ぼすか否か調べるため、ウサギを動物モ
デルとして試験を行なった〔コレン(Collen)
等、J.Pharm.Exp.Ther.,231:1
46−152,1984〕。
【0050】ニュージーランド白色家兎(4−5ポン
ド)に、耳の周辺の静脈から、50−200μgの修飾
TPAまたは野生型TPAの50−200μg量を注入
した。このウサギの大動脈から1mlの血液サンプル
を、直接3.8mlクエン酸ナトリウム中へ、0時間目
および注射後30秒、1分、2分、3分、4分、5分、
7分、10分、15分、20分の設定時間後に採取し
た。サンプルを遠心分離して細胞を含まないプラズマを
得、これを検定まで凍結保存した。各野生型TPAおよ
び修飾TPA毎に少なくとも3匹のウサギに注射を行な
った。データをプロットすると、試験された各TPAは
2−3分の同様な半減期を示した。しかしながら、長時
間(20分)にわたってカーブを分析すると、修飾TP
Aのあるものは、野生型TPAに比べてプラズマ中の濃
度が高いことが判明した。したがって、初期の急速な消
失速度は、試験された全てのTPAについて近似してい
たが、20分目までの消失速度は修飾TPAのあるもの
の方が低かった。その例を図10に示す。表1は、ミュ
ータントAおよびBCが野生型TPAより有意に遅い消
失速度を持つことを示唆する結果をまとめたものであ
る。
【0051】
【表1】 これらの結果はELISA(ng/ml)および 125
−フイブリン溶解試験(MIU/ml)の両方で測定し
た。
【0052】+tPAサンプル(注射20分後)は、フ
イブリン溶解活性の存在(+)または不存在(−)を示
す。
【0053】ND=測定せず。
【0054】次の実験は、ELISAアッセイで検出さ
れた血液中の修飾TPAが生物学的に活性であることを
確認するために行った。TPA活性は、 125I−フイブ
リンを用いたフイブリンクロット溶解アッセイおよび間
接的アミド基質溶解アッセイ(amidolytic
assay)で決定した。結果を表1および図10に示
すが、それによれば、ミュータントAおよびBCは野生
型子宮TPAに比べてアッセイ法の如何にかかわらず、
長い消失時間を示した。
【0055】上記の実験は、修飾TPAがプラズマ中で
生物学的活性を保持していることを示している。ミュー
タントのフイブリン溶解活性の更に別の試験は生体外お
よび生体中でのクロットの溶解によって行なった。修飾
はTPAは最初に生体外での125I−フイブリンクロッ
トに対する試験を行った。フイブリンクロットは、10
mM CaCl2 を含有する正常ヒトプール血漿0.5
ml中の1.5μCiの 125Iフイブリン(IBRI
N,アメルシャム)および10μlのトロンボプラスチ
ンの混合物から作った。クロットは実験期間中3mlの
プラズマ中に保持した。放出される放射活性のベースラ
インの安定化のために37℃30分間予備インキュベー
ションした後、同量の野生型またはミュータントTPA
を0.1〜2μg蛋白量で、該 125I−フイブリンクロ
ットに添加し、インキュベーションを37℃で継続し
た。TPA添加後の種々の時間に、サンプル50μlを
取り出し、溶液中の放射活性のカウントを行った。時間
tにおけるパーセントクロット溶解の計算は、時間tに
おける溶液中のカウント量を添加もしくは放出放射活性
カウント総量(100%ソリュブル)で割って計算し
た。図11に、野生型TPA、ミュータントAのTP
A、ミュータントBCのTPAを比較した、インビトロ
のクロット溶解の結果を示す。図11のグラフに見られ
るとおり、各特定の量について、修飾TPAのフイブリ
ン溶解活性は、野生型TPAの活性と同程度であった。
【0056】次に修飾TPAの、インビボにおけるフイ
ブリンクロットに対するフイブリン溶解活性を試験し
た。兎プラズマを使用したとき、インビボのクロット溶
解試験の感度向上が認められたので、インビボのクロッ
ト溶解実験のために同一の0.5又は1ml 125I−フ
イブリンクロットを作成した。このクロットを、12ゲ
ージ針を用いて重さ4ポンドのニュージーランド白色兎
の頸静脈に投与した。耳周辺の静脈からTPAを投与
し、頸動脈中のカテーテルを通してプラズマサンプルを
30秒ないし3時間の間の各時間に抜き取った。TPA
注入の各種パラメーターをテストした後、TPAを45
μgの大量投与に引き続いて、0.25mg/時間の速
度で110分間の連続注入を行なうことが、兎での野生
型およびミュータントAのフイブリン溶解活性の比較に
最適と判明した。図12に示す如く、ミュータントAの
TPAを注射された三匹の兎のフイブリン溶解活性は、
同量の野生型TPAを注射した兎よりも大きいことが観
察された。さらに、注入の間において、ミュータントA
蛋白質を含むプラズマサンプル中のアミドリシス活性の
方が野生型TPAの場合より大きいばかりでなく、注入
終了後の40〜60分後に血液中に存在するアミドリシ
ス活性もミュータントA TPAの方が野生型TPAを
投与した兎のプラズマサンプル中のものより大きかった
(図13)。
【0057】これらのインビボクロット溶解試験の結果
は、明らかにミュータントAの長い生物学的半減期を示
しており、連続注入の期間にプラズマ中のTPAの蓄積
の増加につながるものである。ミュータントBCについ
ても同様の結果が観察された。インビトロおよびインビ
ボの両方の生物学的アッセイから、二種のTPAミュー
タントAおよびBCは、測定法の如何にかかわらず常に
より長い排出時間を有し、その生物学的活性を保持する
と決論される。上記のとおり、循環血液中からの完全グ
リコシル化TPAの肝臓による排出は非常に速く、生物
学的半減期は約2分である(Thromb.Haemo
stas.46,658,1981)。従って、TPA
は通常は注射では投与されず、大量を3時間かけて注入
することにより投与される。mTPAの長い半減期は、
クロット溶解達成に必要な量を少なくするから、注入に
よることなく注射による治療を可能とする。
【0058】用 途 本発明のmTPAは血栓治療の必要あるヒト患者、例え
ば術後患者、最近血栓による心筋梗塞をおこした患者お
よび深部静脈血栓症になやむ患者の血栓を溶解する治療
目的に使用される。mTPAは薬学的に受容される担体
物質、例えば塩溶液と混合して、経口、静注等で投与し
たり、障害を受けた動脈又は心臓に注射して投与され
る。以下に例示的実施例を示す。
【0059】
【発明の実施の形態】
実施例1 大量投与による血栓の緊急的治療のため、5〜10mg
の凍結乾燥mTPAを生理食塩水と混合し、mTPAの
大量を静脈から患者に投与するための注射器の筒内に入
れた。
【0060】実施例2 冠状動脈血栓の早急な溶解を目指す注入投与のため、約
100mg/時間の凍結乾燥mTPAを約1時間かけて
静脈から注入し、その後更に約3時間かけて約50mg
/時間の静脈注入を行った。
【0061】実施例3 冠状動脈血栓の早急な溶解を目指す注入投与のため、実
施例2の処方によったが、但し、注入の前に生理食塩水
中の約10mgの大量mTPAを静脈注射した。
【0062】実施例4 深部静脈血栓症のおだやかな溶解を目指す注入治療のた
め、生理食塩水に溶解した凍結乾燥mTPAを約15m
g/時間の割合で約12ないし24時間かけて静脈注入
した。
【0063】他の態様も特許請求の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】隣接領域を含む、天然ヒト子宮TPA遺伝子の
塩基配列を、本発明の組換えDNA分子中のコドンの置
き代え部分の例とともに示す一連の塩基配列図の最初の
図である。
【図2】図1のつづきを途中迄示す塩基配列図である。
【図3】図1および図2のつづきを最後迄示す塩基配列
図である。
【図4】完全uTPA cDNA配列の製造法を示す一
連の工程図の最初の図である。
【図5】図4のつづきを最後迄示す工程図である。
【図6】mTPAをコードする組換えDNA分子の製造
法を示す工程図である。
【図7】本発明の哺乳類発現ベクターの製造法を示す一
連の工程図の最初の図である。
【図8】図7のつづきを最後迄示す工程図である。
【図9】N−グリコシル化部位およびジスルフイド結合
部位ならびに本発明におけるグリコシル化ミュータント
の部位を記入したヒト子宮TPAの模式図である。
【図10】uTPAおよびmTPAミュータントAの生
体内における半減期を求めるためのグラフである。
【図11】uTPAおよびmTPAミュータントAおよ
びBCの生体外における血栓溶解試験データを示すグラ
フである。
【図12】uTPAおよびmTPAミュータントAおよ
びBCの生体内消失速度を調べるための血栓溶解試験デ
ータを示すグラフである。
【図13】uTPAおよびmTPAミュータントAおよ
びBCの生体内消失速度を調べるための間接アミド基質
溶解試験データを示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 38/46 C07H 21/04 B C12N 5/10 15/09 ZNA // A61K 35/50 7431−4C (C12N 9/64 C12R 1:91) 9281−4B C12N 15/00 ZNA A (72)発明者 ナンシー・シュン アメリカ合衆国マサチューセッツ州02181, ウェルズリー,ワシントン・ストリート 594エイ (72)発明者 ヴァームリ・ビー・レッディ アメリカ合衆国マサチューセッツ州01701, フレイミンガム,トゥー・ジョン・マック ィン・サークル(番地なし) (72)発明者 ジェフリー・エフ・レモント アメリカ合衆国マサチューセッツ州02165, ウェスト・ニュートン,フェアウェイ・ド ライブ 165 (72)発明者 ウィリアム・ダッコウスキ アメリカ合衆国マサチューセッツ州01721, アシュランド,オレゴン・ストリート 73 (72)発明者 リチャード・ダグラス アメリカ合衆国マサチューセッツ州01772, サウスボロ,エッジウッド・ロード 46 (72)発明者 エドワード・エス・コウル アメリカ合衆国マサチューセッツ州01756, メンドン,セミタリー・ストリート 11 (72)発明者 リチャード・ディー・パーセル・ジュニア アメリカ合衆国マサチューセッツ州02158, ニュートン,メイプル・アベニュー 17 (72)発明者 デービッド・タイ−ユイ・ロウ アメリカ合衆国マサチューセッツ州01752, マールボロ,ウェスタービュー・ドライブ 12

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然ヒトTPAのDNA分子のN−結合
    炭水化物認識配列Asn−X−(ここで、XはSerま
    たはThrを表す)をコードするAsn、Serまたは
    Thrコドンの全部ではないが少なくとも一つを、別の
    アミノ酸をコードするコドンに置き換えて、TPAの前
    記炭水化物認識配列の該当位置に炭水化物成分が結合す
    ることを防止した点で天然のTPAをコードするDNA
    分子と異なることを特徴とする、活性なヒトTPAをコ
    ードする組換えDNA分子。
  2. 【請求項2】 炭水化物部分の結合が防止された炭水化
    物認識配列が、TPAのカルボキシ末端に最も近い炭水
    化物認識配列である特許請求の範囲第1項記載の組換え
    DNA分子。
  3. 【請求項3】 前駆体炭水化物認識配列のAsnコドン
    を非Asnコドンに置き換えた特許請求の範囲第2項記
    載の組換えDNA分子。
  4. 【請求項4】 AsnコドンをGlnコドンに置き換え
    た特許請求の範囲第3項記載の組換えDNA分子。
  5. 【請求項5】 炭水化物部分の結合が防止された炭水化
    物認識配列が、TPAのアミノ末端に最も近い炭水化物
    認識配列である特許請求の範囲第1項記載の組換えDN
    A分子。
  6. 【請求項6】 中央付近の炭水化物認識配列のコドンも
    置換された特許請求の範囲第5項記載の組換えDNA分
    子。
  7. 【請求項7】 アミノ末端に最も近い炭水化物認識配列
    および中央付近の炭水化物認識配列におけるAsnコド
    ンを非Asnコドンに置き換えた特許請求の範囲第6項
    記載の組換えDNA分子。
  8. 【請求項8】 AsnコドンをGlnコドンに置き換え
    た特許請求の範囲第7項記載の組換えDNA分子。
  9. 【請求項9】 宿主哺乳類細胞中で活性あるヒトTPA
    をコードするDNA配列を発現させうる複製可能な発現
    ベクターであって、天然ヒトTPAのDNA分子のN−
    結合炭水化物認識配列Asn−X−(ここで、XはSe
    rまたはThrを表す)をコードするAsn、Serま
    たはThrコドンの全部ではないが少なくとも一つを、
    別のアミノ酸をコードするコドンに置き換えて、TPA
    の前記炭水化物認識配列の該当位置に炭水化物成分が結
    合することを防止した点で天然のTPAをコードするD
    NA分子と異なることを特徴とする、活性なヒトTPA
    をコードする組換えDNA分子を含むことを特徴とする
    発現ベクター。
  10. 【請求項10】 宿主哺乳類細胞中で活性あるヒトTP
    AをコードするDNA配列を発現させうる複製可能な発
    現ベクターであって、天然ヒトTPAのDNA分子のN
    −結合炭水化物認識配列Asn−X−(ここで、XはS
    erまたはThrを表す)をコードするAsn、Ser
    またはThrコドンの全部ではないが少なくとも一つ
    を、別のアミノ酸をコードするコドンに置き換えて、T
    PAの前記炭水化物認識配列の該当位置に炭水化物成分
    が結合することを防止した点で天然のTPAをコードす
    るDNA分子と異なることを特徴とする、活性なヒトT
    PAをコードする組換えDNA分子を含むことを特徴と
    する発現ベクターでトランスフェクションした哺乳類細
    胞。
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