JPH084732B2 - 粒子の混合・分散方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、接触形電界カーテンの原理を応用した粒子
の混合・分散方法に関する。

［従来の技術］ 接触形電界カーテンは、特公昭54−12667号（接触形
電界カーテンを構成する方法およびこれを利用した接触
形電界カーテン装置）に説明されるよう、電界カーテン
構成用の電極群に、近接または接触して誘電体層を置
き、その誘電体層上に軽物体が誘電体層の表面との接触
帯電による接触電荷を得て、電界カーテンの電気力学的
作用を受け、誘電体層から反撥駆動されるものである。

これを第４図により説明する。

互いに絶縁した棒状あるいは円環状の電界カーテン形
成用電極ａを一列に並べ、その隣り合う電極ａ間に交番
電圧ｂを印加することにより各電極ａ内には図示の点線
で示したような電気力線ｃをもった交番不平等電界が形
成される。この電極ａ間に形成される電気力線をもった
交番不平等電界は、言うまでもなく、その大きさ、方向
とも空間的に変化しており、かつ、時間的には正確弦的
にその方向が交番して、交番不平等電界列となってい
る。

この電界域に帯電粒子が近づくと、電気力線ｃに沿っ
た方向の交番電気力を受け、ほぼ湾曲した電気力線ｃに
沿って振動し、その振動の半周期ごとに力線ｃに垂直な
外向き方向の脈動的遠心力を受ける。その結果として粒
子には平均遠心力Fcが作用する。

また、粒子の振動位相は、粘性媒質中での振動である
ことに起因して、電極ａに近い電界の強い場所では、電
極ａから等ざかる方向の電気力を、逆に電極ａから遠い
電界の弱い場所では電極ａに向かう方向の電気力を受け
る結果、粒子には、その差として電極から遠ざかる方向
の電気力線ｃに沿った平均グレーディエント力Fgが作用
する。

平均遠心力Fcは、力線ｃの方向の空間的変化（湾曲）
に起因し、グレーディエント力Fgは力線ｃの密度の空間
的変化（電界強度勾配）に起因して発生する作用力で、
ともに電界が不平等でかつ交番的であることから生じ
る。両者の合成力として、電極列から遠ざける方向の電
気力学的反撥力Frが粒子に作用する。

この電界域に誘電体層を置くと粒子は、その誘電体層
に付着接触すると直ちに接触帯電により帯電し、上述の
電気力学的反撥力により誘電体層から浮上するようにな
る。

［発明が解決しようとする課題］ ところで、この接触形電界カーテンは装置は、電気集
塵器、静電塗装用ブース或は静電塗装用ガンなど、主に
反撥力による粒子の払い落しや移動に使用されているの
が現状である。

本発明者らは、粒子が電界カーテンの作用領域内にあ
るとき、粒子が激しい撹乱運動を起すことに着目し、本
発明を創案したもので、その目的は粒子を電気力学的に
混合或は分散することができる粒子の混合・分散方法を
提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 本発明は、上記目的を達成するために、混合或は分散
すべき粒子の層内に、誘電体で被覆した電界カーテン形
成用電極体を挿入或は配設し、該電極体の各電極に定在
波或は進行波の電圧を印加して層内の粒子を混合或は分
散させるようにしたものである。

［作 用］ 上記構成によれば、混合或は分散すべき数種の或は１
種の粉体などの粒子の層に、誘電体で被覆した電界カー
テン形成用電極体を挿入或は配設し、各電極に高電圧を
印加することにより各電極間に交番不平等電界が形成さ
れ、粒子は誘電体との接触帯電により帯電し、電界カー
テンの作用で激しく攪乱運動をすることとなるため、均
一な混合或は分散が行える。

［実施例］ 以下本発明の好適実施例を添付図面に基づいて説明す
る。

第１図において、１は混合或は分散すべき粒子の層
で、混合すべき数種の粉末や凝集した粉末、或はコロイ
ド状，エマルジョン状，スラリー状など混合或は分散さ
せるものであればいかなるものでもよく、例えば医薬品
の主薬と添加剤とを製剤のための混合、調剤のために種
々の薬剤粉末を混合させたり、さらにファインセラミッ
クスの新しい応用として超伝導材料の原料粉末の混合、
射出成型のためのプラスチックスの着色材乃至強化のた
めの添加剤の混合、パン製造プロセスにおける小麦粉へ
のビタミン添加剤の混合などに使途がある。

また、分散としては、層１内で凝集した粉末粒子を均
一に分散させる場合、スラリー，コロイド，エマルジョ
ン中の粉末や液滴を均一に分散させ場合などに使途があ
る。

誘電体で被覆した電界カーテン形成用電極体２は、ガ
ラス棒などの絶縁体からなる電極支持体３の外周に、誘
電体４で被覆した一対の螺旋状の電極5,6を巻き付けた
もので、両電極5,6に導線7,8を介して単相交流などの電
源装置９が接続される。

この電界形成用電極体２は、電極5,6を、第１図のよ
うに螺旋状に形成する代りに、第２図に示すよう円環状
に電極5,6を形成し、これらを電極支持体３内に設けた
導線7,8を介して電源装置９に接続しても、或は第３図
に示すよう電極支持体３の外周に、その軸方向に沿った
棒状の電極5,6を配置するように構成してもよい。

また電極支持体３に誘電体４で被覆した電極5,6を取
り付ける代りに、電極支持体３をファインセラミックで
形成し、その成型時に電極5,6を埋設しておき、これを
焼成して誘電体で被覆された電界カーテン形成用電極体
２を構成するようにしてもよい。

電源装置９は定在波の単相交流電源のほかに進行波の
三相交流電源などを用いる。

次に本実施例の作用を説明する。

先ず、電界カーテン形成用電極体２の電極5,6に単相
交流電源を印加すると、第４図で説明したように各電極
5,6間に不平等交番電界が形成される。

この状態で電界カーテン形成用電極体２を、粒子の層
１内に挿入したり、或は予め層１内に配設しておくと、
層１内の粒子は、電界カーテン形成用電極体２で形成さ
れる電界カーテンの電気力学的作用により激しい撹乱運
動が与えられる結果、層１内の粒子の混合・分散が行え
る。この際電界カーテン形成用電極体２を層１内で機械
的に移動すれば、層１内の粒子の混合・分散がより一層
均一に行える。

なお、この電界カーテン形成用電極体２を、各種粒体
を貯留排出するホッパーの排出口近くに配置すれば貯留
粒体の架橋を防止でき、その排出を良好にできる。

［発明の効果］ 以上説明してきたことから明らかなように本発明によ
れば次のごとき優れた効果を発揮する。

（１） 粒子の層内に誘電体で被覆した電界形形成用電
極体を挿入或は配設することで、その層内の粒子を接触
帯電させて粒子を均一に混合・分散できる。

（２） 従来のような機械的混合・分散と違い、各粒子
の撹乱運動で混合・分散するため、より完全な混合・分
散が行える。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す正面断面図、第２図，
第３図は夫々本発明の他の実施例を示す断面図、第４図
は電界カーテンの原理を示す図である。 図中、１は粒子の層、２は電界カーテン形成用電極、４
は誘電体、5,6は電極、９は電源装置である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】混合或は分散すべき粒子の層内に、誘電体
   で被覆した電界カーテン形成用電極体を挿入或は配設
   し、該電極体の各電極に定在波或は進行波の電圧を印加
   して層内の粒子を混合或は分散させることを特徴とする
   粒子の混合・分散方法。