JPH0845714A - 有機磁性体及び時間応答性有機磁性体並びにそれらの製造方法 - Google Patents

有機磁性体及び時間応答性有機磁性体並びにそれらの製造方法

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JPH0845714A
JPH0845714A JP6197680A JP19768094A JPH0845714A JP H0845714 A JPH0845714 A JP H0845714A JP 6197680 A JP6197680 A JP 6197680A JP 19768094 A JP19768094 A JP 19768094A JP H0845714 A JPH0845714 A JP H0845714A
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magnetic material
time
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JP6197680A
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Inventor
Tomohiro Inoue
智博 井上
Masahiro Yanai
將浩 谷内
Yoshihiko Iijima
喜彦 飯島
Shinichiro Nakajima
伸一郎 中島
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/42Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of organic or organo-metallic materials, e.g. graphene

Abstract

(57)【要約】 【構成】 トリアリールメタン構造を有し、しかも分子
量1,000〜10,000の成分を含有する前駆体
を、加熱脱水素反応して得られる有機磁性体及び時間応
答性有機磁性体並びに上記加熱脱水素反応において、置
換基を有しても良いベンゾキノン又はベンゾフェノンを
添加するか、反応温度を100〜200℃とするか、又
は上記反応終了後の分離精製操作で貧溶媒を用いて生成
物のみを沈殿させる固体化操作を1回のみ行なうそれら
の製造方法。 【効果】 磁化率が非常に高く且つ再現性の良い有機磁
性体及び時間応答性有機磁性体が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁化率の大きい有機磁
性体及び時間応答性有機磁性体並びにそれらの製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】磁性材料は、永久磁石をはじめ高透磁率
材料、磁歪材料として、音響材料、電機・電子分野、自
動車分野、医療分野、通信分野、磁気記録分野などの多
くの分野において、幅広く用いられている。特に有機磁
性材料は、無機磁性材料に比べ、密度が小さかったり、
バインダー樹脂への分散性が良かったり、あるいは白色
又は淡色系のものが多いなどの利点を有しており、近年
その開発が注目されている。
【0003】例えば、Korshakらの1,4−ビス
(2,2’,6,6’−テトラメチル−1−オキシル)
ブタインを加熱又は紫外線照射することによって、得ら
れた黒色粉末ポリマー〔Nature 326 370
(1987)〕、Torranceの1,3,5−トリ
アミノベンゼンを沃素によって重合した黒色不溶性ポリ
マー〔Synth.Metal,19 709(198
7)〕、岩村らのポリカルベン(日本化学会、198
7,No.4 595)などが、有機強磁性体として報
告されている。しかし、これらはいずれも合成が難し
く、再現性に問題があったり、強磁性に問題があった
り、強磁性の発現する部分がわずか数%に過ぎなかった
り、磁性発現の温度が極めて低温であったり、空気中で
不安定であったりなどの問題があった。
【0004】また、大谷らは縮合多環芳香族化合物か
ら、p−キシレングリコールを連結剤として作られる縮
合多環芳香族樹脂(COPNA樹脂)を、有機磁性体と
して特開昭62−521号及び同62−522号各公報
に提案した。更に、p−キシレングリコールの代わりに
ベンズアルデヒド又はベンゼンジアルデヒドを用いるこ
とによって、更に耐熱性の高い熱硬化性樹脂を特開昭6
2−282080号公報に提案した。これらは、室温に
おいて強磁性が発現するということだが、ポリマー構造
がはっきりわかっていないことなどから、再現性が非常
に悪かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、再現性の
良い有機強磁性体は、未だ得られていないのが実状であ
る。従って、本発明の目的は、まずは、極めて再現性の
良い有機磁性体とその製造方法を提供するとともに、磁
化率を時間的に制御できる時間応答性有機磁性体とその
製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、有機常磁性体
を極めて再現性良く得ることができ、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明によれば、下記一般式(1)で
示されるトリアリールメタン構造を有する前駆体を加熱
脱水素反応して得られる有機磁性体において、前記前駆
体が分子量1,000〜10,000の成分を含有する
ことを特徴とする有機磁性体が提供される。
【化1】 〔式中、R1、R2及びnそれぞれ以下のものを示す。 R1:2環以上の置換若しくは非置換の縮合多環アリー
レン基(但し、環員にN、S若しくはOよりなるヘテロ
原子を含むことができる)又は電子供与基置換フェニレ
ン基、 R2:置換若しくは非置換のアリール基、 n:重合度。〕
【0007】また、本発明によれば、前記一般式(1)
示されるトリアリールメタン構造を有する前駆体を加熱
脱水素反応して得られる生成物からなる時間応答性有機
磁性体において、前記前駆体が分子量1,000〜1
0,000の成分を含有することを特徴とする時間応答
性有機磁性体が提供される。
【0008】更に、本発明によれば、前記加熱脱水素反
応において、置換基を有しても良いベンゾキノン、置換
基を有しても良いベンゾフェノンのいずれかを添加する
ことを特徴とする前記有機磁性体又は前記時間応答性有
機磁性体の製造方法が提供され、また前記加熱脱水素反
応において、反応温度を100〜200℃とすることを
特徴とする前記有機磁性体又は前記時間応答性有機磁性
体の製造方法が提供され、また前記加熱脱水素反応にお
いて、生成物を反応終了後に未反応物から除去し固化す
る操作で、貧溶媒を用いて生成物のみを沈殿させる固体
化操作を1回のみ行なうことを特徴とする前記有機磁性
体又は前記時間応答性有機磁性体の製造方法が提供され
る。
【0009】なお、本発明で言う時間応答性有機磁性体
とは、何らかの方法(例えば、本発明では温度制御方
法)によって、磁性発現を時間的に制御できる有機磁性
体を意味する。
【0010】本発明の有機磁性体は、常磁性ではあるも
のの、図2に示されるように、200K以下の低温にお
いては、キュリー則よりも磁化率の増加が大きく、50
〜150Kでは、それが非常に顕著である。更に、この
温度範囲に保持することによって、図7に示されるよう
に、磁化率は時間とともに増加していくという時間応答
性を有していることがわかった。即ち、前記一般式
(1)で示されるトリアリールメタン構造を有する前駆
体を加熱脱水素反応して得られる有機磁性体において、
前記前駆体が分子量1,000〜10,000の成分を
含有することによって、極めて再現性が良く、磁化率の
高い有機磁性体を得ることができる。なお、この有機磁
性体は、所定の温度範囲に保持することによって、磁化
率が時間とともに増加していく時間応答性有機磁性体で
ある。このような有機磁性体は、前記加熱脱水素反応に
おいて、置換基を有しても良いベンゾキノン、置換基を
有しても良いベンゾフェノンのいずれかを添加するこ
と、また反応温度を100〜200℃とすること、更に
反応終了後の分離精製操作において、貧溶媒を用いて生
成物のみを沈澱させる固体化操作を1回のみ行なうこと
などによって、再現性良く得られる。
【0011】以下、本発明をその作用とともに、更に詳
細に説明する。まず、前記一般式(1)に示される加熱
脱水素反応前のトリアリールメタン型樹脂は、2環以上
の置換若しくは非置換縮合多環芳香族化合物又はヒドロ
キシベンゼンのようなベンゼンの電子供与基誘導体と、
置換若しくは非置換の芳香族アルデヒドとを酸触媒の存
在下、縮合させて重合することによって得られる。この
トリアリールメタン型樹脂を加熱脱水素反応によりメチ
ン炭素の水素を引き抜くことによって、ラジカルを生成
し、未反応物を除去して、前記有機磁性体が得られる。
更に、これを所定の温度範囲に保持することによって、
一定磁場のもとで磁化率が時間とともに増加する時間応
答性有機磁性体にもなる。
【0012】前記トリアリールメタン型樹脂の分子量
は、反応温度や反応時間を制御することによって、コン
トロールできる。これまでは、前記脱水素反応前駆体
で、メチン炭素にハロゲン原子が置換された場合、重合
度nが4以下の低分子量成分が存在すると、移動度が大
きいため生成したラジカルの安定性が損なわれるとされ
てきた(特開平4−7316号公報)。本発明では、加
熱脱水素反応の場合、前記前駆体の分子量が1,000
〜10,000の範囲内のものを用いると、磁化率増加
などに最適であることがわかった。即ち、1,000以
下の低分子量及び10,000以上の高分子量成分を含
まない方が、好ましいわけである。ここで述べている分
子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GP
C)を用いて測定して、標準ポリスチレン更生曲線によ
り換算したものである。但し、一般に高分子物質は、か
なりの巾の分子量分布を有しており、反応条件を制御す
るだけでは、上記範囲内の分子量成分のみを選択的に合
成するのは困難である。その場合には、GPCなどを用
いて分取することによって、上記分子量成分のみを得る
ことは可能である。但し、上記分子量範囲のみの場合
が、最も好ましいが、それ以外の分子量成分を含んでい
ても、50%未満であれば、その効果は認められる。即
ち、上記範囲の分子量成分を50%含んでいることが好
ましい。
【0013】前記トリアリールメタン型樹脂は、前記一
般式(1)で示されるものであるが、同一般式中のR1
及びR2の具体例としては、次のようなものが挙げられ
る。R1の2環以上の非置換の縮合多環アリーレン基の
具体例としては、ナフチル基、アントリル基、フェナン
トリル基、ピレニル基、クリセン基、ナフタセン基、ベ
ンゾフェナントリル基、ペリレン基、ベンゾピレニル
基、コローネン基、アセナフチレン基、デカシクレン基
などが挙げられる。また、その置換基としては、水酸
基、メチル基などが挙げられる。なお、環員にN、S、
Oなどのヘテロ原子を含んでも良い。更に、電子供与基
置換フェニレン基は、ヒドロキシ基、メトキシ基、メチ
ル基、エチル基などを置換基としてもつフェニレン基で
あって、その具体例としては、フェノール基、レゾルシ
ン基などが挙げられる。
【0014】また、R2の非置換のアリール基の具体例
としては、フェニル基などが挙げられ、その置換基とし
ては、ニトロ基、メチル基、イソプロピル基、t−ブチ
ル基、水酸基、アミノ基などが挙げられる。なお、nは
重合度を意味し、1以上の整数を示す。
【0015】前記トリアリールメタン型樹脂を製造する
場合に適用される縮合多環芳香族化合物としては、例え
ば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレ
ン、クリセン、ナフタセン、ベンゾフェナントレン、ペ
リレン、ベンゾピレン、コロネンなどのベンゼン環縮合
型の他に、アセナフチレン、デカシクレンなどの5員環
などがあり、また環員にN、O、Sなどのヘテロ原子を
含んでもよい。これらの中で、特にピレンの場合が反応
性が高い。また、単環芳香族の場合には、ベンゼンにヒ
ドロキシ基、低級アルコキシ基、低級アルキル基などの
電子供与基の1又は2置換体を用いることができ、例え
ば、フェノール、レゾルシンなどが挙げられるが、これ
らに限定されるものではなく、これらはいずれも混合物
として用いてもよい。
【0016】連結剤として用いる置換若しくは非置換の
芳香族アルデヒドとしては、ベンズアルデヒドが最も一
般的であり、ニトロ基、メチル基、イソプロピル基、t
−ブチル基、水酸基、アミノ基などによる置換体、例え
ばベチルベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、
ベンゼンジアルデヒドなどが挙げられるが、これらに限
定されるものではない。前記縮合多環芳香族化合物に対
する連結剤のモル比は、1〜2程度が好ましい。
【0017】縮合反応の酸触媒としては、p−トルエン
スルホン酸をはじめとする各種の芳香族スルホン酸、フ
ルオロメタンスルホン酸、塩酸、硫酸、硝酸などの強酸
が挙げられる。これらの添加量は、縮合多環芳香族化合
物と連結剤に対して、0.01〜10重量%が好まし
い。
【0018】縮合反応は、不活性雰囲気中、若しくは空
気中で、溶媒の不存在下では、100〜150℃程度の
温度で、10分〜6時間程度行なわれる。但し、溶媒不
存在下では、反応系が短時間で硬化してしまうことがあ
り、このような場合はo−ジクロロベンゼンやニトロベ
ンゼンのような高沸点溶媒を用いて、反応時間を延ばす
こともできる。
【0019】これら反応条件によって、分子量分布が異
なるため、生成したトリアリールメタン型樹脂は、ゲル
パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によっ
て、分子量分布を測定して、必要に応じて、分取操作を
行なうことによって、目的の分子量分布を有するサンプ
ルを得ることができる。
【0020】次に、加熱脱水素反応について説明する
と、これは、前記トリアリールメタン型樹脂の前駆体を
反応溶媒に溶解し、触媒を添加して、ホットプレート、
オイルバス、マントルヒーターなどで加熱することによ
って、脱水素反応を行なうものである。まず、反応系の
濃度は特に限定されるものではないが、反応温度は10
0〜200℃、好ましくは150〜180℃が最も加熱
脱水素反応の効率が良い。反応溶媒は例えば、ニトロベ
ンゼンあるいはジクロロベンゼンなどの高沸点溶媒を用
いることが好ましいが、これらに限定されるものではな
い。また、反応時間は1〜5時間程度が好ましいが、こ
れに限定されるものではない。
【0021】更に、触媒として添加するベンゾキノン
系、又はベンゾフェノン系の物質は、脱水素反応を助長
するものであり、特に、ハロゲン原子、ニトロ基、シア
ノ基などの電子吸引性の置換基を有しているとよい。前
者の例としては、ベンゾキノン、ジクロロベンゾキノ
ン、ジシアノベンゾキノン、ジニトロベンゾキノン、ジ
クロロジシアノベンゾキノンなどがあり、後者の例とし
ては、ベンゾフェノン、クロロベンゾフェノン、ジクロ
ロベンゾフェノン、ジシアノベンゾフェノン、ジニトロ
ベンゾフェノンなどが挙げられるが、これらに限定され
るものではない。但し、これらの添加量は、20〜60
重量%であることが好ましい。
【0022】反応終了後は、生成物に対する貧溶媒を用
いて、生成物のみを沈澱させる固体化操作を行ない、未
反応物を除去して生成物を単離する。なお、この際、再
沈操作は、ラジカル濃度を上げるためには必ず必要であ
るが、繰り返し行なうと、逆にラジカル濃度は減少する
ため、1回のみが好ましい。用いる貧溶媒としては、生
成物によって異なるが、メタノール、エタノール、プロ
パノール、イソプロパノール、シクロヘキサノールなど
のアルコール類、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化
水素類、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類などが
挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】以上のような加熱脱水素反応によって生成
した有機磁性体は、常磁性ではあるものの、その磁化率
は、200K以下ではキュリー則よりも大きく、しかも
50〜150Kにおいては、磁化率が時間とともに増加
する時間応答性を有しており、実用化の可能性も大き
い。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0025】実施例1 まず、縮合反応であるが、ピレン10.13g(50m
mol)、ベンズアルデヒド6.63g(60mmo
l)、及びp−トルエンスルホン酸0.88g(5重量
%)を混合して、マントルヒーターにて160℃に加熱
して、20分間反応を行なった。この後、硬化した反応
系をクロロホルムにて可溶解成分を抽出し、メタノール
にて再沈操作を行ない、縮合生成物として、前記一般式
(1)に示したトリアリールメタン型樹脂を得た。そし
て、この樹脂の分子量分布(標準ポリスチレン換算)を
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC W
aters社製)によって測定して、図1に示した。
【0026】次に、加熱脱水素反応であるが、上記トリ
アリールメタン型樹脂200mgをニトロベンゼン20
mlに溶解して、Arバルブ下、150℃まで昇温し
た。これに、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−
1,4−ベンゾキノン(DDQ)232mgをニトロベ
ンゼン4mlに溶解して滴下した後、そのまま200分
反応を行なった。反応終了後、反応系を室温まで冷却し
て、20倍のメタノール中に撹拌しながら滴下して再沈
操作を行ない、得られた沈殿物を濾別乾燥して脱水素生
成物を得た。
【0027】得られた生成物について、磁気特性の評価
を行なった。まず、超伝導量子干渉式磁化測定装置(S
QUID Quantum Design社製 Mod
el MPMS−2)を用いて、磁化率の温度依存性を
求めた。その結果を図2に示す。図中の磁化率の値は分
子自体の反磁性磁化率の値を差し引いたものである。温
度の低下とともに磁化率の増加が認められたが、常磁性
体の場合は、通常、図中の点線で示したキュリー則に従
うはずであるが、本発明の磁性体は、この理論曲線より
も大きい値を示しており、特に40〜150Kでそれが
顕著であった。
【0028】次に、この生成物を90Kに24時間保持
した後の磁化の磁場依存性を調べた。その結果を図3に
示す。但し、この場合は、分子自体の反磁性磁化率も含
まれている。磁化の磁場依存性が直線的であることか
ら、この生成物が常磁性であることがわかるが、10,
000G→−10,000G→10,000Gへと測定
したわけだが、最初の10,000Gと最後の10,0
00Gの場合では磁化の値が若干異なっている。これ
は、測定時間内でさえも、この物質の磁化が増加してい
ることを示している。更に、ESRスペクトル(日本電
子社製 JEOL−JES−TE300)の測定から、
スピン濃度を求めたところ、1.5×1020スピン/g
であった。
【0029】実施例2 実施例1において、加熱脱水素反応の温度を120℃と
したこと以外は、実施例1と同様にして脱水素生成物を
得た。磁気特性の評価としては、磁化率の温度依存性を
測定した。その結果を図2に示す。
【0030】実施例3 実施例1において、前記一般式(1)で示される脱水素
前前駆体樹脂を、GPCにて分取することによって、図
4に示される分子量分布のものを得た。これを実施例1
と同様にして、加熱脱水素反応して脱水素生成物を得
た。磁気特性の結果は、磁化率の温度依存性を図2に示
した。
【0031】実施例4 実施例1において、前記一般式(1)で示される脱水素
前前駆体樹脂を、GPCにて分取することによって、図
5に示される分子量分布のものを得た。次に、加熱脱水
素反応は、まず上記トリアリールメタン型樹脂200m
gをジメチルホルムアミド20mlに溶解して、Arバ
ルブ下、130℃まで昇温した。これに、ベンゾキノン
232mgをジメチルホルムミド4mlに溶解して滴下
した後、そのまま200分反応を行なった。反応終了
後、反応系を室温まで冷却して、20倍のメタノール中
に撹拌しながら滴下して再沈操作を行ない、得られた沈
殿物を濾別乾燥して脱水素生成物を得た。磁気特性の結
果は、磁化率の温度依存性を図2に示した。
【0032】実施例5 o−ジクロロベンゼン20mlに、ピレン10.13g
(50mmol)、ベンズアルデヒド6.63g(60
mmol)、及びp−トルエンスルホン酸0.88g
(5重量%)を溶解して、150℃にて2時間加熱還流
した後、硬化した反応系をクロロホルムにて、可溶解成
分を抽出し、メタノールにて再沈操作を行ない、前記一
般式(1)で示されるトリアリールメタン型樹脂を得
た。そして、この樹脂の分子量分布をゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー(GPC Waters社製)
によって測定して、その結果を図6に示した。
【0033】次に、加熱脱水素反応は、まず上記トリア
リールメタン型樹脂200mgをo−ジクロロベンゼン
20mlに溶解して、Arバブル下、180℃まで昇温
した。これに、ベンゾフェノン232mgをo−ジクロ
ロベンゼン4mlに溶解して滴下した後、そのまま20
0分反応を行なった。反応終了後、反応系を室温まで冷
却して、20倍のメタノール中に撹拌しながら滴下して
再沈操作を行ない、得られた沈殿物を濾別乾燥して脱水
素生成物を得た。磁気特性の評価としては、磁化率の温
度依存性を測定した。その結果を図2に示した。
【0034】実施例6 実施例1の生成物を、90Kに保持して、磁化率の時間
依存性を測定して、図7に結果を示した。この結果から
わかるように、磁化率は時間の経過とともに増加してい
き、760分でもその増加は飽和に至っていなかった。
【0035】比較例1 実施例1において、前記一般式(1)で示される脱水素
前前駆体樹脂を、GPCにて分取することによって、図
8に示した分子量分布のものを得た。これを実施例1と
同様にして、加熱脱水素反応して脱水素生成物を得た。
磁気特性の結果は、磁化率の温度依存性を図9に示し
た。
【0036】比較例2 実施例1において、前記一般式(1)で示される脱水素
前前駆体樹脂を、GPCにて分取することによって、図
10に示した分子量分布のものを得た。これを、DDQ
を添加しないこと以外は、実施例1と同様にして、加熱
脱水素反応して脱水素生成物を得た。磁気特性の結果
は、磁化率の温度依存性を図9に示した。
【0037】比較例3 ニトロベンゼン20mlに、ピレン10.13g(50
mmol)、ベンズアルデヒド6.63g(60mmo
l)、及びp−トルエンスルホン酸0.88g(5重量
%)を溶解して、150℃にて2時間加熱還流した後、
硬化した反応系をクロロホルムにて、可溶解成分を抽出
し、メタノールにて再沈操作を行ない、前記一般式
(1)で示されるトリアリールメタン型樹脂を得た。そ
して、この樹脂の分子量分布をゲルパーミエーションク
ロマトグラフ(GPC Waters社製)によって測
定した。その結果を図11に示す。次に、加熱脱水素反
応は、反応温度を80℃としたこと以外は、実施例1と
同様にして行なった。磁気特性の結果は、磁化率の温度
依存性を図9に示した。
【0038】
【発明の効果】請求項1の有機磁性体は、前記一般式
(1)で示されるトリアリールメタン構造を有し、しか
も分子量1,000から10,000の成分を含有する
前駆体を加熱脱水素反応して得られるものであることか
ら、磁化率が非常に高く、しかも再現性良く得ることが
できる。
【0039】請求項2の時間応答性有機磁性体は、前記
一般式(1)で示されるトリアリールメタン構造を有
し、しかも分子量1,000〜10,000の成分を含
有する前駆体を加熱脱水素反応して得られるものである
ことから、時間応答性有機磁性体を再現性良く得ること
ができる。
【0040】請求項3〜5の有機磁性体又は時間応答性
有機磁性体の製造方法は、前記加熱脱水素反応におい
て、置換基を有しても良いベンゾキノン、置換基を有し
ても良いベンゾフェノンのいずれかを添加すること、又
は反応温度を100〜200℃とすること、あるいは反
応終了後の分離精製操作で貧溶媒を用いて生成物のみを
沈殿させる固体化操作を1回のみ行なうことという構成
としたことから、本方法によると、磁化率の非常に高い
(時間応答性)有機磁性体を再現性良く得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたトリアリールメタン型樹脂
の分子量分布を示すグラフである。
【図2】実施例1〜5で得られた生成物の磁化率の温度
依存性を示すグラフである。
【図3】実施例1で得られた生成物を90Kに24時間
保持した後の磁化の磁場依存性を示すグラフである。
【図4】実施例3で使用したGPC分取前駆体樹脂の分
子量分布を示すグラフである。
【図5】実施例4で使用したGPC分取前駆体樹脂の分
子量分布を示すグラフである。
【図6】実施例5で得られたトリアリールメタン型樹脂
の分子量分布を示すグラフである。
【図7】実施例6における磁化率の時間依存性を示すグ
ラフである。
【図8】比較例1で使用したGPC分取前駆体樹脂の分
子量分布を示すグラフである。
【図9】比較例1及び2で得られた生成物の磁化率の温
度依存性を示すグラフである。
【図10】比較例2で使用したGPC分取前駆体樹脂の
分子量分布を示すグラフである。
【図11】比較例3で使用したGPC分取前駆体樹脂の
分子量分布を示すグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 中島 伸一郎 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で示されるトリアリー
    ルメタン構造を有する前駆体を加熱脱水素反応して得ら
    れる有機磁性体において、前記前駆体が分子量1,00
    0〜10,000の成分を含有することを特徴とする有
    機磁性体。 【化1】 〔式中、R1、R2及びnそれぞれ以下のものを示す。 R1:2環以上の置換若しくは非置換の縮合多環アリー
    レン基(但し、環員にN、S若しくはOよりなるヘテロ
    原子を含むことができる)又は電子供与基置換フェニレ
    ン基、 R2:置換若しくは非置換のアリール基、 n:重合度。〕
  2. 【請求項2】 前記一般式(1)で示されるトリアリー
    ルメタン構造を有する前駆体を加熱脱水素反応して得ら
    れる生成物からなる時間応答性有機磁性体において、前
    記前駆体が分子量1,000〜10,000の成分を含
    有することを特徴とする時間応答性有機磁性体。
  3. 【請求項3】 前記加熱脱水素反応において、置換基を
    有しても良いベンゾキノン、置換基を有してもよいベン
    ゾフェノンのいずれかを添加することを特徴とする請求
    項1記載の有機磁性体又は請求項2記載の時間応答性有
    機磁性体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記加熱脱水素反応において、反応温度
    を100〜200℃とすることを特徴とする請求項1記
    載の有機磁性体又は請求項2記載の時間応答性有機磁性
    体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記加熱脱水素反応において、生成物を
    反応終了後に未反応物から除去し固体化する操作で、貧
    溶媒を用いて生成物のみを沈澱させる固体化操作を1回
    のみ行なうことを特徴とする請求項1記載の有機磁性体
    又は請求項2記載の時間応答性有機磁性体の製造方法。
JP6197680A 1994-07-29 1994-07-29 有機磁性体及び時間応答性有機磁性体並びにそれらの製造方法 Pending JPH0845714A (ja)

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