JPH0843363A - 超音波による結晶粒径測定方法およびその装置 - Google Patents

超音波による結晶粒径測定方法およびその装置

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JPH0843363A
JPH0843363A JP6182594A JP18259494A JPH0843363A JP H0843363 A JPH0843363 A JP H0843363A JP 6182594 A JP6182594 A JP 6182594A JP 18259494 A JP18259494 A JP 18259494A JP H0843363 A JPH0843363 A JP H0843363A
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JP
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ultrasonic
crystal grain
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Makoto Okuno
眞 奥野
Fumihiko Ichikawa
文彦 市川
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JFE Steel Corp
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 結晶粒径測定方法およびその装置を提供す
る。 【構成】 中心周波数の異なる複数の超音波探触子を用
いて被測定体内に超音波を伝播させ、特定の超音波周波
数における超音波の減衰定数を求め、該減衰定数の値が
あらかじめ設定した範囲内になるときの減衰定数と特定
超音波周波数とから被測定体内の結晶粒径を算出するこ
とにより、非破壊で高精度に結晶粒径を測定することを
可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼板等の結晶粒径を超
音波を伝播させることにより非破壊で測定する方法およ
びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼材などの結晶粒径は、その強度や靱性
などの機械的性質と密接な関係があるため、これを測定
することにより製品の品質保証および品質向上に役立て
ることが重要である。一般に鋼材などの結晶粒径の測定
は、製品の一部を抜き取り、これを研磨仕上げして腐食
させて試験片を作製し、腐食面に現れた結晶粒を顕微鏡
で観察して行われている。しかし、この方法では破壊測
定となるため、製品の全長にわたる測定ができないばか
りか試験片の作製に多大な時間を要し、また顕微鏡観察
時に測定者の主観が入るため信頼性に欠けるという問題
がある。
【0003】このため、被測定体内に超音波を伝播させ
ることにより、非破壊で結晶粒径を測定する方法が知ら
れている。以下に、この方法について説明する。超音波
を鋼材などの被測定体内に伝播させると、超音波音圧は
その伝播距離の増加に伴い被測定体内で吸収・散乱を受
けて減衰する。このとき単位伝播距離当たりの音圧減衰
量を減衰定数という。超音波音圧の減衰は超音波の回折
によっても生じるが、この影響分は容易に計算できるこ
とが知られている。ここでは、超音波回折の影響分を補
正した後の、単位伝播距離当たりの音圧減衰量を減衰定
数と称することとする。
【0004】さて、超音波の減衰する形態は、超音波の
波長をλ(=V/f、ここで、V;被測定体内の超音波
音速、f;超音波の周波数)、被測定体の平均結晶粒径
をDとすると、両者の比λ/Dの大小により異なること
が知られている。すなわち、λ/D≫1のとき、(レイ
リー散乱領域) α=a・D3 ・f4 ……………(1) λ/D≒1のとき、(ストカスティック散乱領域) α=b・D・f2 ……………(2) λ/D<1のとき、(拡散散乱領域) α=c・D-1 ……………(3) ここで、αは減衰定数、a,b,cは被測定体に固有の
定数である。
【0005】通常、超音波によって結晶粒径を測定する
場合は、レイリー散乱領域すなわち結晶粒径Dに対して
十分大きい波長の超音波を使用し、(1) 式より下記(4)
式を導いて結晶粒径Dを求める。 D=3 √{α/(a・f4 )} ……………(4) このようにして、超音波減衰法によって結晶粒径Dを測
定する場合に問題になるのは、被測定体の結晶粒径Dは
一般に未知であるため、λ/D≫1すなわち、{V/
(f・D)}≫1なるレイリー散乱領域を満足する超音
波周波数fが不明であるということである。
【0006】この対策法として、たとえば特公昭58− 3
1867号公報や特開昭60− 35253号公報などに提案されて
いる。特公昭58− 31867号公報の方法は、超音波の周波
数fを変化させて各周波数における減衰定数αを測定
し、このαが2.0 dB/cm 以上になったときの値を用い
て、 α=0.6 D3 ・f4 ……………(5) なる関係式から結晶粒径Dを求めるものである。
【0007】また、特開昭60− 35253号公報の方法は、
レイリー散乱領域外でも結晶粒径Dを求めることができ
るように、周波数fの超音波により減衰定数αを測定し
た後、f/αの大きさに従って相異なる式を適用してD
を算出するものである。すなわち、Dを求める関係式を
下記(6) 式 α=ai ・Dn ・fn+1 ……………(6) とし、この冪指数nおよび係数ai の値をf/αの大き
さにより採択して結晶粒径Dを算出するものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
特公昭58− 31867号公報の方法には次のような問題点が
あった。すなわち、使用する超音波の波長に対して被測
定体の結晶粒径が小さくなってくると、超音波減衰定数
αがα≧2.0 (dB/cm) となる領域がなくなる場合があ
る。また、逆に使用する超音波の波長に対して被測定体
の結晶粒径が大きくなってくると、超音波の減衰が大き
くなりすぎ、測定精度が低下する。
【0009】また、特開昭60− 35253号公報の方法で
は、被測定体の結晶粒径により相異なる近似式を適用す
ることになり、このため測定精度が大幅に劣化する場合
があるという問題があった。本発明は、上記のような従
来技術の有する課題を解決し、被測定体の結晶粒径の大
きさによらずに、結晶粒径を非破壊で高精度に測定し得
る超音波による結晶粒径測定方法およびその装置を提供
することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様は、
被測定体内に超音波を伝播させて被測定体の結晶粒径を
測定する方法において、中心周波数の異なる複数の超音
波探触子を用いて被測定体内に超音波を伝播させ、特定
の超音波周波数における超音波の減衰定数を求め、該減
衰定数の値があらかじめ設定した範囲内になるときの減
衰定数と特定超音波周波数とから被測定体内の結晶粒径
を算出することを特徴とする超音波による結晶粒径測定
方法である。
【0011】また、本発明の第2の態様は、中心周波数
の異なる複数の超音波探触子と、該超音波探触子に対応
して設けられ、該超音波探触子に励起信号を送信すると
ともに該超音波探触子からの信号を受信・増幅する複数
の超音波送受信器と、前記増幅された受信信号から特定
超音波周波数における超音波の減衰定数を算出する信号
処理手段と、算出した特定超音波周波数における減衰定
数の値があらかじめ設定した範囲内であるときの減衰定
数と特定超音波周波数とを用いて被測定体内の結晶粒径
を算出する粒径演算手段と、を有することを特徴とする
超音波による結晶粒径測定装置である。
【0012】さらに本発明の第3の態様は、中心周波数
の異なる複数の超音波探触子と、該超音波探触子の任意
の1個に励起信号を送信するとともに該超音波探触子か
らの信号を受信して増幅する1台の超音波送受信器と、
前記増幅された受信信号から特定周波数における超音波
の減衰定数を算出する信号処理手段と、該信号処理手段
からの出力により探触子切換手段に切り換え指令を出力
して超音波探触子を選択する探触子選択手段と、該探触
子選択手段からの出力により、前記超音波送受信器に前
記超音波探触子の任意の1個を選択して結合する探触子
切り換え手段と、前記算出した特定超音波周波数におけ
る減衰定数の値があらかじめ設定した範囲内であるとき
の減衰定数と特定超音波周波数とを用いて被測定体内の
結晶粒径を算出する粒径演算手段と、を有することを特
徴とする超音波による結晶粒径測定装置である。
【0013】
【作 用】本発明者らが、上記課題を解決するために、
超音波を用いて被測定体の結晶粒径を正確に測定するた
めの条件を鋭意実験を重ねて調査したところ、測定に使
用する超音波探触子の中心周波数が高すぎてもまた低す
ぎても測定精度が低下し、被測定体の結晶粒径Dの大き
さに対応して“適切”な中心周波数fを有する超音波探
触子を使用することがもっとも肝要であることを究明し
た。ところが被測定体の結晶粒径Dの値はあらかじめわ
からないため、どのようにして使用する超音波探触子の
中心周波数を最適化するかが最大の課題であった。
【0014】本発明者らは被測定体内に超音波を伝播さ
せ、特定超音波周波数f0 における被測定体内の超音波
の減衰定数の値によって、使用している超音波探触子の
中心周波数が適切であるか否かを把握できることを見出
した。ここで、特定超音波周波数f0 とは使用している
超音波探触子の中心周波数、あるいは被測定体からの底
面反射エコーを周波数分析して得られるスペクトラム強
度が最大となる周波数である。
【0015】つぎに、このことを裏付ける実験とその結
果について説明する。測定方法としては、図3に示すよ
うに、被測定体1にその上方に取付けた超音波探触子2
から垂直に超音波を伝播させて、その第1次底面反射エ
コー(以下、B1 エコーという)と第2次底面反射エコ
ー(以下、B2 エコーという)を検出し周波数分析を行
った。ここで、実験に用いた被測定体1としては結晶粒
径Dが177 μm , 92μm , 45μm , 21μm である4枚の
炭素鋼板試料A,B,C,Dを、超音波探触子2には中
心周波数9.8MHzの広帯域超音波探触子を用いた。
【0016】各試料A,B,C,DでのB1 エコーおよ
びB2 エコーの周波数分析によるスペクトラム強度と、
両エコーのスペクトラム強度の差から算出した減衰定数
αの値を試料A,Bについては図4に、また試料C,D
については図5にそれぞれ示した。なお、これらの図中
において破線で示す縦線は、B1 エコーのスペクトラム
強度の最大値を与えるいわゆる特定超音波周波数f0
示したものである。
【0017】得られた減衰定数αと超音波周波数fから
前出(1) 式の理論式α=a・D3 ・f4 を用いて結晶粒
径Dを求めた結果を表1に示した。
【0018】
【表1】
【0019】なお、表1において、結晶粒径真値には従
来の破壊試験測定法によって測定された結晶粒径の値を
用い、測定誤差εは(結晶粒径測定値−結晶粒径真値)
である。この表1の結果から、結晶粒径に対して超音波
探触子2の中心周波数が小さすぎるため超音波の減衰定
数αが0.06dB/cm と小さい試料Dや、逆に結晶粒径に対
して超音波探触子2の中心周波数が大きすぎるために超
音波の減衰定数αが10.29dB/cmと大きい試料Aに対して
は、誤差が大きいことがわかる。そこで、中心周波数の
より大きい別の超音波探触子を用いて試料Dを測定した
ところ、α=1.94dB/cm となり、測定誤差が0μm と前
よりも小さくなった。一方、中心周波数の小さい別の超
音波探触子を用いて試料Aを測定したところ、α=3.22
dB/cm となり、測定誤差が6μm と前よりも一桁以上小
さくなった。
【0020】以上のような知見に基づき、本発明者らが
さらに多くの実験を重ねたところ、減衰定数αが下記
(7) 式 C1 ≦α≦C2 ……………(7) (ここで、C1 ,C2 は被測定体に固有な定数)を充た
すような中心周波数を有する超音波探触子で測定した場
合に、測定誤差が格段と小さくなることを見出した。
【0021】なお、炭素鋼板において、C1 =0.1dB/c
m、C2 =6.0dB/cmの場合に、超音波による測定誤差
は、結晶粒径が6〜260 μm の試料に対して±6μm 以
内となり、良好な精度を示した。また、C1 =0.1dB/c
m、C2 =2.0dB/cmの場合に、超音波による測定誤差
は、結晶粒径が6〜150 μm の試料に対して±4μm 以
内となった。
【0022】そこで、たとえば中心周波数がf1
2 ,f3 (ただし、f3 <f1 <f2とする)と相異
なる3個の超音波探触子2a,2b,2cを用意し、こ
のうちの一つたとえば中心周波数f1 を有する超音波探
触子2aから被測定体内に超音波送受信器により超音波
を伝播させ、その反射パルスの受信信号から減衰定数α
1を求め、この減衰定数α1 が前出(7) 式を充たしてい
ない場合には別の超音波探触子2bまたは2cに切り換
えて再測定するようにする。
【0023】具体的には、α1 <C1 の場合は、最初に
用いた超音波探触子2aより中心周波数が高い超音波探
触子2bに、またα1 >C2 の場合は最初に用いたもの
より中心周波数が低い超音波探触子2cに切り換えるの
である。そして、それらの減衰定数α2 あるいはα3
(7) 式を充たした場合の減衰定数α2 あるいはα3 とそ
のときの特定超音波周波数f2 あるいはf3 とから、下
記(8) 式 D=3 √{αi /(a・fi 4 )} ……………(8) (ここで、iは1〜3)を用いて結晶粒径Dを算出する
ことにより、高精度の結晶粒径の測定を実現する。この
一連の処理手順の流れを図6に示した。
【0024】なお、理論式としては前出(1) 式に代えて
下記(9) 式を用い、 α=p・f+a・D3 ・f4 ……………(9) ここで、pは被測定体に固有の定数である。この(9) 式
より結晶粒径Dを下記(10)式で求めるようにしてもよ
い。 D=3 √{(α−p・f)/(a・f4 )} ……………(10) あるいは、(7) 式を充たす数多くの周波数fに対する減
衰定数αの値をあらかじめ求めておき、データ群〔f,
α〕に4次式(1) または(9) 式を最小二乗フィッティン
グさせて、結晶粒径Dを求める方法もある。
【0025】これらの選択は被測定体などによって適切
なものを選べばよい。
【0026】
【実施例】以下に、本発明の実施例について図面を参照
して説明する。図1は、本発明に用いられる結晶粒径測
定装置の一例を示すブロック図である。図において、1
は鋼板などの被測定体、2a,2b,2cは中心周波数
がそれぞれf1 ,f2 ,f3 と相異なる超音波探触子、
3は探触子切換器、4は超音波送受信器、5は信号処理
装置、6は粒径演算装置、7は探触子選択器である。
【0027】超音波送受信器4によって励起されたパル
スをたとえば最初に選択された超音波探触子2aによっ
て超音波に変換され、被測定体1内に伝播される。この
超音波は被測定体1内で減衰された後、ふたたび超音波
探触子2aによって受信され、超音波送受信器4に送ら
れる。信号処理装置5はこの受信波を信号処理し、被測
定体1内の減衰定数αを算出する。この算出法として
は、被測定体1からの多重底面エコーを周波数分析する
ことによって得られるスペクトラム強度から算出する方
法や、たとえば被測定体1内の多重底面エコーの振幅変
化により計算する方法などが知られている。
【0028】さらに、この信号処理装置5では特定超音
波周波数f0 において算出された減衰定数αが前出(7)
式の数値範囲C1 ≦α≦C2 を充たすかどうかを判断す
る。減衰定数αが数値範囲を充たす場合は、被測定体1
に対して好適な中心周波数を有する超音波探触子が選定
されているので、特定超音波周波数f0 におけるαを用
いて粒径演算装置6によって前出(4) 式に基づき直ちに
被測定体1の結晶粒径Dが演算される。
【0029】(7) 式の数値範囲を充たさなかった場合
は、信号処理装置5は前出図4の流れ図に従って探触子
選択器7に切換指令を出力する。この切換指令に基づい
て、探触子選択器7は探触子切換器3を作動して超音波
送信器4と超音波探触子2aの結合を切り離し、超音波
送信器4と超音波探触子2bまたは2cと結合すること
により、数値範囲を充たすような減衰定数αを検索し、
粒径演算装置6によって同様に被測定体1の結晶粒径D
を演算する。
【0030】中心周波数f1 ,f2 ,f3 がそれぞれ10
MHz , 2MHz ,25MHz とされる3個の超音波探触子2
a,2b,2cを用いて、被測定体1としてA〜Jの10
種類の炭素鋼板の結晶粒径を本発明法で測定した。その
測定結果を表2に減衰定数αおよび測定誤差ε(=超音
波測定値−結晶粒径真値)は数値で、判定は適合例を○
印、不適合例を×印でそれぞれ示した。
【0031】
【表2】
【0032】ここで、(7) 式でのC1 ,C2 はそれぞれ
0.1 dB/cm 、6.0 dB/cm に設定し、結晶粒径Dの演算に
は(8) 式を用い、定数aとしては2.93×10-9〔(dB/cm)
・(MHz )-4・ (μm)-3〕を用いた。また、表2における
結晶粒径真値には、従来の破壊試験測定法によって測定
された結晶粒径の値を用いた。この表2において、試料
No. D,E,F,Gは中心周波数が10MHz の超音波探触
子2aによって、減衰定数αが 0.1 dB/cm ≦α≦6.0 dB/cm ……………(11) の好適な範囲に入っており、本発明に適合しているの
で、測定を完了した。
【0033】一方、上記(11)式の数値範囲を充たさなか
った試料No. A,B,CおよびH,I,Jの6種につい
て説明すると、まず、試料No. A,B,Cについては、
中心周波数10MHz の超音波探触子2aで測定した減衰定
数αが6.0 dB/cm より大きくて本発明の適用外であるた
め、精度が悪い。そこで、2MHz の超音波探触子2bに
切り換えて減衰定数αを測定した結果、上記(11)式の範
囲を充たしたので、精度のよい測定結果が得られ、本発
明に適合したので、測定を完了した。
【0034】なお、ここで、ふたたび(11)式の範囲を充
たさなかった場合は、被測定体の結晶粒径は本発明例の
測定システムの測定可能範囲よりも大である旨の出力を
出す。なお、たとえば中心周波数1MHz の超音波探触子
を本システムに予め組み込んでおいた場合には、この超
音波探触子に再び切り換えて測定する。つぎに、試料N
o. H,I,Jの場合は、減衰定数αが0.1 dB/cm より
小さいため、25MHz の超音波探触子2cに切り換えて、
同様にして再測定を行った。その結果、測定誤差εが格
段に低下したことがわかる。
【0035】図2は本発明に用いられる結晶粒径測定装
置の別の例を示したブロック図であり、図示のように、
中心周波数がf1 ,f2 ,f3 ,f4 と相異にする4個
の超音波探触子2a,2b,2c,2dと4個の超音波
送受信器4a,4b,4c,4dとをそれぞれ対応させ
て結合し、被測定体1内に同時に4種類の周波数を伝播
するように構成する。
【0036】この場合、信号処理装置5は得られた4つ
の減衰定数αの中から、前出(7) 式の数値範囲を充たす
ものを自動的に選び、その選ばれた減衰定数αを用いて
粒径演算装置6により被測定体1の結晶粒径Dを演算す
るようにする。なお、上記実施例においては、超音波探
触子2を3個ないし4個用いるとして説明したが、その
個数は被測定体1によって自由に変更することができる
ことはいうまでもない。一般的には、超音波探触子2の
数を多くし、判別に用いられる前出(7) 式の数値範囲を
狭めるようにすると、装置は複雑になるが被測定体1に
対する超音波探触子の適合性を高め、測定誤差を減少す
ることが可能となる。
【0037】また、上記実施例は鋼板の結晶粒径測定を
対象にして説明したが、本発明はこれに限定するもので
はなく、たとえばアルミやチタンなどの他の金属、ある
いはセラミックなどの非金属材料にも適用し得ることは
いうまでもない。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
被測定体の結晶粒径の大きさに対応した中心周波数を有
する超音波探触子を選択して、好適な超音波周波数を伝
播して結晶粒径を測定するようにしたので、被測定体の
結晶粒径を高い精度でかつ非破壊で測定することが可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる測定装置の一例を示したブ
ロック図である。
【図2】本発明に用いられる測定装置の他の例を示した
ブロック図である。
【図3】実験に用いた測定方法の説明図である。
【図4】超音波周波数と底面反射エコーのスペクトラム
強度および減衰定数αとの関係を示す(a) 試料A、(b)
試料Bの特性図である。
【図5】超音波周波数と底面反射エコーのスペクトラム
強度および減衰定数αとの関係を示す(a) 試料C、(b)
試料Dの特性図である。
【図6】本発明による結晶粒径の測定の処理手順を示す
流れ図である。
【符号の説明】
1 被測定体(鋼板) 2 超音波探触子 3 探触子切換器(探触子切換手段) 4 超音波送受信器 5 信号処理装置(信号処理手段) 6 粒径演算装置(粒径演算手段) 7 探触子選択器(探触子選択手段)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定体内に超音波を伝播させて被測
    定体の結晶粒径を測定する方法において、 中心周波数の異なる複数の超音波探触子を用いて被測定
    体内に超音波を伝播させ、特定の超音波周波数における
    超音波の減衰定数を求め、該減衰定数の値があらかじめ
    設定した範囲内になるときの減衰定数と特定超音波周波
    数とから被測定体内の結晶粒径を算出することを特徴と
    する超音波による結晶粒径測定方法。
  2. 【請求項2】 中心周波数の異なる複数の超音波探触
    子と、 該超音波探触子に対応して設けられ、該超音波探触子に
    励起信号を送信するとともに該超音波探触子からの信号
    を受信・増幅する複数の超音波送受信器と、 前記増幅された受信信号から特定超音波周波数における
    超音波の減衰定数を算出する信号処理手段と、 算出した特定超音波周波数における減衰定数の値があら
    かじめ設定した範囲内であるときの減衰定数と特定超音
    波周波数とを用いて被測定体内の結晶粒径を算出する粒
    径演算手段と、を有することを特徴とする超音波による
    結晶粒径測定装置。
  3. 【請求項3】 中心周波数の異なる複数の超音波探触
    子と、 該超音波探触子の任意の1個に励起信号を送信するとと
    もに該超音波探触子からの信号を受信して増幅する1台
    の超音波送受信器と、 前記増幅された受信信号から特定周波数における超音波
    の減衰定数を算出する信号処理手段と、 該信号処理手段からの出力により探触子切換手段に切り
    換え指令を出力して超音波探触子を選択する探触子選択
    手段と、 該探触子選択手段からの出力により、前記超音波送受信
    器に前記超音波探触子の任意の1個を選択して結合する
    探触子切り換え手段と、 前記算出した特定超音波周波数における減衰定数の値が
    あらかじめ設定した範囲内であるときの減衰定数と特定
    超音波周波数とを用いて被測定体内の結晶粒径を算出す
    る粒径演算手段と、を有することを特徴とする超音波に
    よる結晶粒径測定装置。
JP6182594A 1994-08-03 1994-08-03 超音波による結晶粒径測定方法およびその装置 Pending JPH0843363A (ja)

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