JPH0841104A - 分岐多糖の製造方法 - Google Patents

分岐多糖の製造方法

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JPH0841104A
JPH0841104A JP18166194A JP18166194A JPH0841104A JP H0841104 A JPH0841104 A JP H0841104A JP 18166194 A JP18166194 A JP 18166194A JP 18166194 A JP18166194 A JP 18166194A JP H0841104 A JPH0841104 A JP H0841104A
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裕文 赤野
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 有機酸又は無機酸を平衡吸着させた多糖を湿
熱処理し、該多糖分子中に1,6結合を高い割合で生成
させることを特徴とする分岐多糖の製造方法。 【効果】 着色及び加熱臭の発生を抑えるとともに、オ
リゴ糖をほとんど含まないようにして、多糖中の1,6
結合を増加させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、1,6結合を高い割合
で含有する多糖を製造する方法に関し、さらに詳しく
は、着色や刺激臭の発生を抑制して、1,6結合を高い
割合で含有する多糖を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】糖類の中でも、分枝度が高いもの、即ち
1,6結合を多く含有するものは、粘着性が高く、また
老化しにくく安定であることが知られている。糖類にお
いて、このような1,6結合を増加させる処理として
は、1950年代ごろ、澱粉を焙焼することにより澱粉
の構造を変化させる方法が報告されている。この構造の
変化は、焙焼の際に存在する水分により加水分解が起こ
り、さらに高温になるにつれて再重合が起こり、1,6
結合が多くなるためであると考えられている(二国二郎
監修、澱粉科学ハンドブック、朝倉書店p498−50
0、発行日:1984年8月1日)。
【0003】このような焙焼デキストリンには、酸を添
加しないで135〜150℃程度まで加熱して得られる
ブリティシュ・ガム、鉱酸とともに120℃前後で加熱
して得られる白色デキストリン、及び150〜200℃
で加熱して得られる黄色デキストリンがある。この焙焼
という方法において、得られる1,6結合の割合を処理
前の1,6結合の割合よりも5%以上高くするには、さ
らに高温にしたり、反応時間を長くしたりする必要があ
るが、このように加熱条件を変更すると、着色物質が増
加したり、刺激臭が発生したりし、焙焼によって1,6
結合を増加させるには、限界があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、着色
及び加熱臭の発生を抑えるとともに、オリゴ糖をほとん
ど含まないようにして、従来より主に食品に使用されて
いる多糖中の1,6結合の割合を増加させる方法を提供
することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、酸を平衡吸着させ
た多糖を、比較的低い温度で、水分含量が低く且つ一定
に保持されるように湿熱処理し、連続的に加水分解及び
再重合を行わせることにより、着色が少なく、単糖の生
成も少なく、短時間で効率的に1,6結合の割合を増加
させることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、有機酸又は無機酸を平衡吸着させ
た多糖を湿熱処理し、該多糖分子中に1,6結合を高い
割合で生成させることを特徴とする分岐多糖の製造方法
である。
【0006】また、本発明は、有機酸又は無機酸を平衡
吸着させた多糖に、単糖及び/又はオリゴ糖を添加して
湿熱処理し、該多糖分子中に1,6結合を高い割合で生
成させることを特徴とする分岐多糖の製造方法である。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて使用することのできる多糖は、天然多糖、合成多
糖、その誘導体であればいかなるものでもよいが、例え
ば澱粉、α−1,4グルカン(アミロース)、β−1,
3グルカン(カードラン)、α−1,3グルカン、β−
1,4グルカン(セルロース)、ヘミセルロース、カラ
ギーナン、グルコマンナン、寒天(アガロース)、グル
コマンナン、ペクチン、グァーガム、ローカストビーン
ガム、サイリウム、アラビアガム、キサンタンガム、ジ
ェランガム、アルギン酸等が挙げられる。
【0008】本発明では、上記多糖に酸処理を施し、酸
を平衡吸着させる。酸は、有機酸又は無機酸のいずれを
用いてもよい。有機酸としては、酢酸、クエン酸、乳
酸、琥珀酸、酒石酸、アジピン酸、安息香酸、フマル
酸、シュウ酸、フィチン酸、ソルビン酸、リンゴ酸等の
食品添加物の適用を受けているものが好ましく、さらに
はpKa(酸解離定数の逆数の常用対数)の小さいもの
が好ましい。また、無機酸としては、塩酸、硫酸、硝
酸、リン酸、ルイス酸等を用いることができる。
【0009】有機酸を用いる場合は、多糖に対する有機
酸の平衡吸着量が1〜10%(w/w)となるように酸
処理を行うのが好ましく、無機酸を用いる場合は、多糖
に対する無機酸の平衡吸着量が0.03〜0.1%(w
/w)となるように酸処理を行うのが好ましい。有機酸
が10%、又は無機酸が0.1%を超えると、カラメル
反応等で着色が激しくなる場合があり、また有機酸が1
%、又は無機酸が0.03%未満では、1,6結合の割
合の増加率が悪くなる。添加量が少量で済むという点よ
り、無機酸を用いるのが好ましく、取扱いの点から塩酸
を用いるのが特に好ましい。
【0010】また、当該酸処理によって、多糖の水分含
有量を0.5〜15%(w/w)とするのが好ましく、
特に1〜10%(w/w)とするのが好ましい。なお、
本発明でいう水分含有量とは、酸吸着多糖を105℃の
オーブンに入れ、1時間おきにその重量を測定し、ほぼ
一定(重量変化率0.5 %以内)になるまで測定した結果
の、重量軽減分をいう。
【0011】このような酸処理は、例えば無機酸であれ
ば、0.05〜0.1%の酸水溶液に、有機酸であれ
ば、1〜10%の酸水溶液に多糖を浸漬し、室温で平衡
吸着させることにより行うことができる。あるいは、酸
水溶液を多糖に噴霧させることにより、必要量吸着させ
てもよい。
【0012】得られた酸吸着多糖は、濾別後、風乾、減
圧乾燥等により乾燥させて、水分含有量を1〜10%
(w/w)とするのが好ましい。このように水分含有率
を低く抑えるのは、原料に用いられる多糖に含まれる水
分の存在が、加熱による多糖分解に伴うグルコースある
いは還元糖の生成を促進するとともに、1,6結合の生
成を阻害してしまうからである。従って、酸吸着多糖を
低水分含有率とすることにより、単糖及びオリゴ等の生
成量を少なく抑え、かつ高分子の変性多糖(1,6結合
含有多糖)を収率よく生成することができる。
【0013】本発明では、このように含水量を調整した
酸吸着多糖に対して、湿熱処理を施す。具体的には、酸
吸着多糖を耐熱性容器に詰めて密閉し、オーブン中で好
ましくは125〜140℃、特に好ましくは約130〜
135℃で湿熱処理を行う。処理時間は、30分〜1時
間が好ましい。このような湿熱処理を施すことによっ
て、反応が均一に行われ、また生成物の褐変や異臭の発
生を防止することができる。
【0014】また、この湿熱処理の際に、単糖及び/又
はオリゴ糖を添加することにより、重合の頻度を向上さ
せて、1,6結合を増加させることができる。それらの
添加量としては、多糖に対して1〜10%(w/w)程
度であるのが好ましい。添加量が多くなると、重合によ
る水分含量が増加し、加水分解が促進されたり、着色が
ひどくなったりする。
【0015】湿熱処理を終えた多糖は水に溶解し、pH
を調整する。pHの調整には一般のアルカリがいずれも
使用可能であるが、好ましくは炭酸ナトリウムを用い
る。アルカリ水溶液でpHを5〜5.5、好ましくはp
H5.2に調整したのち、常法により脱塩し、(a) スプ
レードライ法により乾燥させるか、(b) 遠心分離した上
澄み液をエチルアルコール中に攪拌しながら注入し、再
度の遠心分離により上澄液を除去し、得られたエチルア
ルコール不溶性画分からエチルアルコールを除去し、乾
燥させる。このようなエチルアルコール処理を行うこと
により、着色性物質及び低分子糖の一部を除去すること
ができる。
【0016】以上の方法によれば、多糖分子中の1,6
結合の割合を、湿熱処理する前の多糖分子中の1,6結
合の割合よりも、5%以上増加させることができる。ま
た、このように1,6結合を多い割合で含有する分岐多
糖は、60%程度の高収率で得られる。このようにして
得られる分岐多糖は、難消化性、水溶性、免疫賦活性、
低コレステロール活性、植物耐病性等の性質を有するこ
とが期待され、また食物繊維としても有望である。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例及び実験例により具体
的に説明するが、これらにより本発明の範囲が限定され
るものではない。尚、実施例及び実験例において用いた
各測定方法を、以下に参考例として説明する。
【0018】〔参考例〕 (1) 平均分子量の測定方法 試料を水に溶解し、1000ppm(w/w)濃度に調
製した試料液を用い、下記の条件下で高速液体クロマト
グラフィーを行い測定する。 カラム :東ソーG3000PWXL+G2500PW
XL(7.8mmI.D.×30cm) 温度 :55℃ 溶出液 :水 流速 :0.7ml/min. 検出 :RI 標準試料:アミローススタンダード〔(株)中埜酢店製
(M.W.2000〜10万)〕 α−1,4オリゴ糖ミックス〔(株)中埜酢店製〕 マルトペンタオース マルトトリオース 記録器 :Sic Chromatocoder 12 GPCカートリッジ
付き
【0019】(2) グリコシド結合様式の検討方法 グリコシド結合様式は、下記のメチル化法 [R. Gonda e
t al., Chem. Pham. Bull., 38(10), 2771-2774 (199
0)] でメチル化し、加水分解後にガスクロマトグラフィ
ーにより各グリコシド結合の定量を行うことにより調べ
る。
【0020】 メチル化 脱水した試料(10mg)をネジ付試験管に入れ、1m
lの脱水DMSOを加えて溶解する。これにNaOHを
100mg加え、直ちに0.5mlのヨウ化メチルを加
える。窒素ガスによる置換を行った後、スターラーで攪
拌しながら1〜2時間反応させ、水5mlを加える。こ
れに5mlのクロロホルムを加えて十分に振とうし、ク
ロロホルム層を三角フラスコにとる。同様の操作を5回
繰り返し、三角フラスコにとったクロロホルム層に蒸留
水25mlを加え、振とう後、クロロホルム層を回収す
る操作を3回繰り返す。次にエバポレーターで減圧乾燥
する。
【0021】 完全メチル化の確認 クロロホルム1〜2mlで試料を溶解した後、クロロホ
ルムを対照としてIRを測定し、水酸基がないことを確
認する。
【0022】 分離 セファデックスLH−20(ファルマシア社製)で糖画
分を分離する。溶媒は、クロロホルム:メタノール=
2:1を用い、試料を溶媒1mlに溶かして分離する。
糖画分をフェノール硫酸法で確認後、回収し、減圧乾燥
する。
【0023】 加水分解 メチル化物に1〜2mlの90%(w/v)ギ酸を加え
て窒素ガス置換を行い、100℃で3〜8時間反応さ
せ、減圧乾燥する。1〜2Mのトルフルオロ酢酸1〜2
mlを添加し、窒素ガス置換して密封する。100℃で
3〜10時間反応させ、トリフルオロ酢酸が完全に除去
されるまで乾燥する。
【0024】 還元 加水分解物を1〜2mlの50%(v/v)以下のエタ
ノール水溶液で溶解し、試料の5〜10倍量のホウ酸水
素化ナトリウムを加えて室温で2〜4時間放置する。ア
ンバーライトCG−120〔H+ 〕(オルガノ社製)を
蒸留水に懸濁させて、試料に少量ずつ滴下する。十分量
を添加し、10分以上静置する。濾過後、残渣を50%
エタノール水溶液で洗浄し、さらに99.5%(v/
v)エタノール溶液で洗浄した後、減圧乾燥する。減圧
乾燥後、析出したホウ酸結晶を5〜10mlのメタノー
ルに溶解し、減圧乾燥する。この操作を2回繰り返す。
【0025】 アセチル化 試料にピリジン0.3mlを加え、溶解させた後、無水
酢酸0.3mlを加える。オイルバス上、95〜100
℃で90〜120分反応させ、反応後冷却する。トルエ
ン1ml添加し、40℃以下で減圧濃縮し、乾固する。
【0026】 溶解 試料を0.5mlのクロロホルムに溶解してガスクロマ
トグラフで分析する。
【0027】 ガスクロマトグラフィーの条件 [TIC] Mode : MF-EI [Pos.] Carrier gas : He 1.14 cm3/min Capillary column : 0.25 mm, 3m, HiCap-CBP10 (GLサ
イエンス) 120 scan/min
【0028】〔実施例1〕市販のカードラン10gを6
試験区用意し、それぞれ100mlの0.05%(v/
v)希薄塩酸水溶液に10分間浸漬し、濾紙で濾過後、
風乾した。その後、水分含有率が1%、2.6%、3
%、5%、10%及び15%(w/w)となるように、
60℃で減圧乾燥した。これらを試験区からとし
た。得られた酸吸着カードランを、スクリューキャップ
付き試験管に移して密閉し、130℃で30分間、オー
ブン中で湿熱処理した。ここで、水分含量15%のもの
(試験区)は、120℃あたりから褐変が激しくなっ
たため、125℃に達温したところで試験を中止した。
また、試験区については、さらに30分間湿熱処理を
行った。
【0029】湿熱処理後、それぞれ40%(w/w)水
溶液にするとともに、pHを5.6に調整した後、遠心
分離により、水不溶性画分を除去した。遠心分離した上
澄液をイオン交換樹脂により脱塩し、これをエタノール
中に攪拌しながら注入した後、遠心分離により上澄液を
除去し、エタノール不溶画分を得た。分別した沈殿物
は、80%エタノール水溶液及び99.5%エタノール
溶液により数回洗浄した後、当該エタノールを除去し、
乾燥させた。得られた水溶性多糖の量をそれぞれ表1に
示す。また、得られた水溶性多糖の分子量を測定するた
めに、HPLC装置を用いてGPC分析を行った。結果
(重量平均分子量及び分子量分布)を表1に示す。
【0030】〔実験例1〕実施例1で得られた多糖〜
及び未処理カードランを試料として、参考例に従って
メチル化し、GC−MS法により結合様式を分析した。
この結果、未処理のカードランでは1,3結合のみが検
出され、1,6結合については検出限界以下であった。
これに対し、サンプル〜では、1,3結合及び1,
6結合が検出され、1,2結合及び1,4結合由来のピ
ークはわずかに検出されたのみであった。1,6結合を
有するグルコースが全グルコースに占める割合を、GC
分析のピーク面積より算出した結果を表1に示す。表1
から明らかなように、水分含量が増加するにつれて、
1,6結合を有するグルコースの割合が増加する傾向が
あった。
【0031】
【表1】
【0032】〔実験例2〕実施例1で得られたから
までの5種の水溶性多糖の酵素に対する消化性を調べ
た。酵素としてはザイモリエイス−100T(生化学工
業社製)を用い、対照試験区としてカードランを用い
た。カードラン及び5種の水溶性多糖をそれぞれ3mg
ずつとり、イオン交換水5mlに溶解した。但し、カー
ドランは水不溶性であるため、分散状態のまま使用し
た。これらの水溶液に、ザイモリエイス酵素液(20m
gを2mlのイオン交換水に溶解した液)を100μl
加えて、37℃で24時間反応させ、GPC分析により
酵素に対する消化性を調べた。結果を表1に示す。表1
から、ザイモリエイスでは分解されない水溶性多糖が実
施例1により得られたことが分かった。また、アミラー
ゼに対する消化性は全く認められなかった。なお、カー
ドランは水に不溶性であるが、湿熱処理後は水溶性とな
ることが分かった。
【0033】〔実施例2〕市販のカードラン10gを、
100mlの各種濃度の希薄塩酸水溶液に10分間浸漬
し、濾紙で濾過後、風乾した。その後、水分含有率が3
%(w/w)となるように、60℃で減圧乾燥した。こ
のうち1gをサンプリングし、10mlのイオン交換水
に分散させ、NaOHで中和滴定することにより、酸の
吸着量を測定した。こうして得られた、酸吸着量が0.
01、0.03、0.05、0.1、0.2%のカード
ランに対して、実施例1と同様の方法で湿熱処理を行っ
た。このとき、酸吸着量が0.2%の糖は着色がひど
く、異臭がした。この酸吸着量が0.2%のものを除い
て、4サンプルについて実施例1と同様にメチル化分析
し、1,6結合の割合を調べた。結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】表2から明らかなように、酸吸着量が0.
03〜0.1%の状態で湿熱処理した多糖は、1,6結
合を5%以上有する。
【0036】〔実施例3〕8mlの12.5%(v/
v)クエン酸水溶液(有機酸)を、市販のカードラン1
0gに添加し、水分含有率が7.8%(w/w)となる
ように減圧乾燥した。得られた酸吸着カードランを、ス
クリューキャップ付き試験管に移して密閉し、135℃
で60分間、恒温器中で湿熱処理した。湿熱処理後、1
0%(w/w)水溶液にするとともに、pHを6.0に
調整した後、遠心分離により、水不溶性画分を除去し
た。遠心分離した上澄液をイオン交換樹脂により脱塩
し、これをエタノール中に注入した後、遠心分離により
上澄液を除去し、エタノール不溶画分を得た。得られた
沈殿物は、80%エタノール水溶液及び99.5%エタ
ノール溶液により数回洗浄した後、当該エタノールを除
去し、減圧乾燥した。得られた水溶性多糖は、2.8g
であった。この多糖をGPC分析した結果、重量平均分
子量は4200であり、分子量分布は2.1であった。
また、実施例1と同様にメチル化分析し、1,6結合の
割合を調べた。その結果、1,6結合の割合は5.1%
であった。
【0037】次に、得られた水溶性多糖のうち3mgを
イオン交換水5mlに溶解し、実験例2と同様のザイモ
リエイス酵素液を100μl加えた後、37℃で24時
間反応させ、GPC分析により酵素に対する消化性を調
べた。この結果、重量平均分子量は4000でほとんど
変化せず、ザイモリエイスでは分解されない水溶性多糖
が得られたことが分かった。また、アミラーゼに対する
消化性は全く認められなかった。
【0038】〔実施例4〕有機酸としてのクエン酸1g
と、グルコース0g、0.5g、1gとをそれぞれ水8
mlに溶解し、当該3種のグルコース濃度のクエン酸水
溶液を、コーンスターチ10gにそれぞれ添加した。そ
の後、水分含有率が3%(w/w)となるように、60
℃で減圧乾燥した。この酸吸着澱粉を、それぞれI、I
I、III とした。
【0039】これらの酸吸着澱粉I、II、III を、それ
ぞれスクリューキャップ付き試験管に移して密閉し、1
35℃で60分間、恒温器中で湿熱処理した。湿熱処理
後、10%(w/w)水溶液にするとともに、pHを
6.0に調整した後、遠心分離により、水不溶性画分を
除去した。遠心分離した上澄液をイオン交換樹脂により
脱塩し、これをエタノール中に注入した後、遠心分離に
より上澄液を除去し、エタノール不溶画分を得た。得ら
れた沈殿物は、80%エタノール水溶液及び99.5%
エタノール溶液により数回洗浄した後、当該エタノール
を除去し、減圧乾燥した。
【0040】得られた水溶性多糖の量を表3に示す。ま
た、この多糖をGPC分析した結果(重量平均分子量及
び分子量分布)も合わせて表3に示す。次に、得られた
水溶性多糖のうち2gずつをイオン交換水20mlに溶
解し、アミラーゼ(天野製薬社製,アミラーゼAD)6
80units を用いて、37℃で24時間酵素処理し、イ
オン交換樹脂で除蛋白後、エタノール中に沈殿精製し
た。当該回収率を表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】表3より、グルコースの添加量を増やすに
つれて、アミラーゼに対して難消化性となっており、
1,6結合が多くなっていることが分かる。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、着色及び加熱臭の発生
を抑えるとともに、オリゴ糖をほとんど含まないように
して、多糖中の1,6結合を増加させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/715 ADN (72)発明者 川村 吉也 愛知県江南市古知野町古渡132

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機酸又は無機酸を平衡吸着させた多糖
    を湿熱処理し、該多糖分子中に1,6結合を高い割合で
    生成させることを特徴とする分岐多糖の製造方法。
  2. 【請求項2】 有機酸又は無機酸を平衡吸着させた多糖
    に、単糖及び/又はオリゴ糖を添加して湿熱処理し、該
    多糖分子中に1,6結合を高い割合で生成させることを
    特徴とする分岐多糖の製造方法。
  3. 【請求項3】 多糖分子中に1,6結合を高い割合で生
    成させることが、湿熱処理後の多糖分子中の1,6結合
    の割合を、湿熱処理前の多糖分子中の1,6結合の割合
    よりも、5%以上増加させるものである請求項1又は2
    記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 有機酸の平衡吸着量が、使用する多糖の
    1〜10%(w/w)であることを特徴とする請求項1
    又は2記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 無機酸の平衡吸着量が、使用する多糖の
    0.03〜0.1%(w/w)であることを特徴とする
    請求項1又は2記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 湿熱処理時の多糖の水分含有量が1〜1
    0%(w/w)であり、かつ湿熱処理温度が125〜1
    40℃であることを特徴とする請求項1又は2記載の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 使用する多糖が、β−1,3グルカンで
    あることを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 得られる分岐多糖が、難消化性、水溶
    性、免疫賦活性、低コレステロール活性及び植物耐病性
    からなる群から選ばれた少なくとも1つの性質を有する
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
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