JPH0839091A - 有機性排水の浄化方法と同方法に使用される微生物反応装置 - Google Patents

有機性排水の浄化方法と同方法に使用される微生物反応装置

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JPH0839091A
JPH0839091A JP19794694A JP19794694A JPH0839091A JP H0839091 A JPH0839091 A JP H0839091A JP 19794694 A JP19794694 A JP 19794694A JP 19794694 A JP19794694 A JP 19794694A JP H0839091 A JPH0839091 A JP H0839091A
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organic wastewater
wastewater
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biomass
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Mamoru Kashiwatani
衛 柏谷
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    • Y02W10/10Biological treatment of water, waste water, or sewage

Abstract

(57)【要約】 【目的】 生活系排水の有機性排水中の、全リン、全窒
素の除去を安価かつ効率的に行う。 【構成】 連通した3個以上の処理区画1、2…が連続
して通水可能に配設され、各処理区画の内部に水流発生
器と空気拡散器とを備えた微生物反応装置1の処理区画
の内部に微生物固定化担体を収容し、連通した3個以上
の処理区画のうち、正の流れ方向と逆の流れ方向とから
有機性排水の流入可能な流入水路を設け、前記逆の流れ
方向からの操作では前記正の流れ方向の操作での最終の
処理区画を第1の処理区画とし、前記正の流れ方向での
第1の処理区画を最終の処理区画として、いずれかの操
作において、最終の処理区画となる処理区画から正の流
れ方向と逆の流れ方向とで有機性排水を流出可能な流出
水路を設けるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は都市下水、住宅団地な
どからの生活系排水、各種の業種からの有機系産業排水
などの有機性排水の浄化に当り、BODまたはCODの
ほかに、全リンと全窒素の除去を法令などに基づいて実
施する必要のある処理施設での排水の浄化方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】有機性排水には、一般に、その中にバク
テリア・菌(カビ)類、原生動物などの微生物が生存し
ており、これらは活動できる環境が与えられると、細胞
合成を行い増殖していく。これらはその数が増加すると
バイオマス(微生物塊)を形成し、これらは懸濁状また
は物体に固着・付着した状態で、嫌気条件下では排水中
およびバイオマスからの溶存態リンの放出に関与し、無
酸素(分子状の酸素がなく、原子の酸素が存在する)条
件下では、硝酸態および亜硝酸態窒素の窒素ガスへの転
換に関与する。また、好気条件下では有機炭素(法令な
どではBODまたはCODを指標とする)の減少および
アンモニア態窒素の亜硝酸態窒素、さらには硝酸態窒素
への転換に関与するほか、溶存態リンをバイオマスの生
体を合成するに必要とする量以上に摂取(過剰摂取とい
う)して貯蔵することが知られてきた。また、一部の有
機性産業排水では、高温に曝らされたり、薬品が加えら
れることによって、殺菌された状態にあるが、生活系排
水などを添加することで必要な種類のバイオマスの生育
と増殖を可能にできることが知られている。
【0003】ところで、有機性排水中のBODまたは
(および)CODと全リン、全窒素をバイオマスを用い
て同時に除去する浄化方法として、「嫌気、無酸素、好
気法」(以下、A20法と記す。)が開発されている。
このA20法では、一般的に微生物反応装置と沈殿池に
代表される固液分離設備との間に懸濁態バイオマスを循
環させ、前記微生物反応装置の中で、このバイオマスに
嫌気、無酸素、好気の条件を段階的に与えている。これ
により嫌気条件下では排水とバイオマスとに含まれる固
形物中のリンの溶存態リンとしての水中への放出、無酸
素条件下では硝酸態および亜硝酸態窒素の排水中の有機
炭素を電子供与体として窒素ガスへの転換(脱窒)、好
気条件下では排水中の残余の有機炭素の除去とアンモニ
ア態窒素の亜硝酸態窒素次いで硝酸態窒素への転換(硝
化)及びバイオマスへの溶存態リンの過剰摂取を行うよ
うになっている。そしてこのリンを過剰摂取したバイオ
マスを沈殿池で分離、濃縮し、一部を系外に排出するこ
とでリンと有機炭素の除去を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記A
20法では雨天時など微生物反応装置に流入する有機性
排水中の基質濃度が低下した状態が長時間にわたり続く
ときには、有機性排水を嫌気状態に維持するのがむずか
しくなる。さらに沈殿池から返送されてくるバイオマス
を含む排水中には硝化液が含まれるので、嫌気状態の維
持は増々困難となる。また、有機性排水が嫌気状態にな
らないと、有機性排水およびバイオマスに含まれる固形
物中のリンの放出による該有機性排水中での溶存態リン
濃度は上昇しない。したがって好気状態下でのバイオマ
スによる溶存態リンの過剰摂取も生じないため、沈殿池
で分離、濃縮したバイオマスの一部を系外に排出するこ
とで、排水中のリンを除去することが困難となる。
【0005】そこで、スタンレーらは、「非バルキ活性
汚泥を製造する方法」(特公昭56−42997号公報
参照)を提案した。この方法では、嫌気状態を維持する
のに窒素ガスを用いて溶存酸素濃度を常に0mg/lに
維持することとしている。しかし、この方法を適用する
ことは多額な経済負担を必要とする上、沈殿池から送ら
れてくる返送汚泥液中の溶存酸素、硝酸及び亜硝酸塩を
構成する酸素原子は嫌気条件の連続した維持に大きな負
担となる。
【0006】また、同方法では、沈殿池で分離、濃縮し
たバイオマスは元素として6%までのリンを含有し、こ
の排出バイオマスを工業的用途のために再生することと
している。この種のバイオマスからリンを回収するに
は、再び嫌気条件下に置き、放出された溶存態リンを凝
集剤の添加によって不溶存態リンとして分離回収すると
いう手間および経済負担が要求される。
【課題を解決するための手段】本発明は、前記、従来の
「嫌気−無酸素−好気」法の有する問題点のうち、主と
して有機性排水の浄化の安定性と確実性及び全リンの除
去および回収による再利用さらに処理・処分すべき汚泥
量の軽減という経済的負担の解消を目的とした「嫌気−
無酸素−好気」法における有機性排水の浄化方法及び同
方法に使用される微生物反応装置に関する。
【0007】前記の問題点を解消するために、本発明に
よる浄化方法は、連通した3個以上の処理区画が連続し
て通水可能に配設され、前記各処理区画の内部に水流発
生器と空気拡散器とを備えた微生物反応装置の前記処理
区画の内部に微生物固定化担体を収容し、前記連通した
各処理区画に正の流れ方向からあらかじめ夾雑物と土砂
を十分に除去した有機性排水を通水させて、流入側から
見て最初の処理区画である第1の処理区画内では前記有
機性排水と前記微生物固定化担体に固着または付着して
いるバイオマスとを接触させて前記バイオマス及び有機
性排水に含まれる固形物中のリンを溶存態リンとして該
有機性排水中に放出させ、流入側から見て最終の処理区
画内では前記有機性排水中の溶存酸素濃度を所定濃度の
範囲に維持しながら、前記有機性排水と前記微生物固定
化担体に固着または付着しているバイオマスとを接触さ
せて前記有機性排水中のアンモニア態窒素の酸化を行う
と共に、この最終の処理区画内に滞留しているか、ある
いは最終の処理区画から流出した前記有機性排水を前記
第1の処理区画に続く第2の処理区画に返水し、前記第
1の処理区画から前記第2の処理区画に流入してきた前
記有機性排水と混合させた上で、前記微生物固定化担体
に固着または付着しているバイオマスとを接触させるこ
とで前記有機性排水中の硝酸態及び亜硝酸態窒素を窒素
ガスに転換する操作を、一定時間にわたり連続的あるい
は間欠的に行い、次いでこれら連通した処理区画に前記
正の流れ方向と逆の流れ方向から前記有機性排水を通水
させて、該逆の流れ方向からの操作では前記正の流れ方
向の操作での最終の処理区画を第1の処理区画とし、前
記正の流れ方向での第1の処理区画を最終の処理区画と
して、逆の流路をたどって同様の操作を行うようにした
ことを特徴とするものである。
【0008】このとき前記第1の処理区画で前記有機性
排水と前記バイオマスとの接触によって該有機性排水中
に放出された前記溶存態リンを含む有機性排水の一部を
連続あるいは間欠的に前記第1の処理区画の外部に設け
られた混和槽に移送し、該混和区画内で前記の移送され
た有機性排水に凝集剤を添加して混合し、前記有機性排
水内に含有する溶存態リンを不溶存態リンに転換し、該
有機性排水を固液分離設備にて固形物としての前記不溶
存態リンを回収し、固液分離後の有機性排水は第2以降
の処理区画に返水するようにすることが好ましい。
【0009】また、前記正の流れ方向から行っている前
記有機性排水のバイオマスによる浄化を、逆の流れ方向
からの浄化に切替える直前に、前記処理区画全体の水位
を満水位の約3/4が最低水位となるような水位以内ま
で低下させる水位低下設備を前記最終の処理区画の一部
に設け、該水位低下設備の操作により逆の流れ方向から
前記有機性排水の通水を開始して満水位に到達するまで
の間、前記処理区画から無流出でバイオマスによる浄化
を行うことが好ましい。
【0010】前記正の流れ方向からの有機性排水のバイ
オマスによる浄化の際に、連絡管きょを介して前記第1
の処理区画に滞留する排水を、逆の流れ方向からの浄化
に切替えた際に前記第2の処理区画に移送し、前記処理
区画の水位の低下と同時に、またはそれ以後の所定タイ
ミングで、前記第1の処理区画内に滞留する排水の全量
に相当する水量または一部の水量を逆の流れ方向からの
浄化の際の前記第2の処理区画に移送し、この排水に含
まれる有機炭素を前記第2の処理区画での排水に含まれ
る硝酸態及び亜硝酸態窒素の窒素ガスへの転換の際の電
子供与体として使用することが好ましい。
【0011】前記最終の処理区画からのバイオマス等か
ら成る懸濁物質を含む流出水を固液分離し、濃縮された
状態の前記懸濁物質の全部または一部を連絡管きょによ
り前記第2以降の処理区画に移送し、前記第2の処理区
画内の微生物固定化担体に固着または付着させるバイオ
マスの一部として使用することが好ましい。
【0012】前記最終の処理区画内での前記有機性排水
中の溶存酸素濃度は1.5〜6.5mg/lとなるよう
にすることが好ましい。
【0013】また、前述の浄化方法に使用される微生物
反応装置は、連通した3個以上の処理区画が連続して通
水可能に配設され、前記各処理区画の内部に水流発生器
と空気拡散器とを備えた微生物反応装置の前記処理区画
の内部に微生物固定化担体を収容し、前記連通した3個
以上の処理区画のうち、正の流れ方向と逆の流れ方向と
から有機性排水を流入可能な流入水路を設け、前記逆の
流れ方向からの操作では前記正の流れ方向の操作での最
終の処理区画を第1の処理区画とし、前記正の流れ方向
での第1の処理区画を最終の処理区画として、いずれか
の操作において、最終の処理区画となる処理区画から正
の流れ方向と逆の流れ方向とで有機性排水を流出可能な
流出水路を設けたことを特徴とするものである。
【0014】前記微生物反応装置内に収容される微生物
固定化担体は、水の流動に伴って浮遊あるいは流動でき
る寸法等を有し、各種のプラスチック、植物、合成ゴム
または炭化物を材料とする加工・成形品で一辺の長さあ
るいは直径が3〜30mmの多孔状の粒体、立方体、板
体または円筒体であるか、または同一寸法の破砕体であ
り、これらを見掛けの体積として処理区画の有効体積の
5〜60%添加しておき、各処理区画間の担体の移動阻
止設備として開孔径2〜28mmの穴あき板またはそれ
と同一開孔目幅を有する格子状鋼材加工品であることが
好ましい。
【0015】また、前記微生物固定化担体は、前記処理
区画本体あるいは支持材を介して互いが密着しないよう
に両端または一端が固定され、プラスチック材料の極細
繊維を紡ぐかまたは束ねてその最大の広がり幅を10〜
60mmとした紐状加工品を5〜50mmの間隔をあけ
て吊設するか、または平板か波板状のプラスチック材料
でかさ体積1m3当りの全表面積が60〜120m2であ
る成型品あるいは溶着加工品をその処理区画内有効体積
の90%以内で充填しても良い。
【0016】前記処理区画は前記有機性排水を貯留可能
な1個の槽体内に形成された隔壁により複数の室に区画
するようにすることが好ましい。
【0017】前記処理区画は前記有機性排水を貯留可能
な複数の槽を連通させた槽群として構成することが好ま
しい。
【0018】
【作用】本発明による有機性排水の浄化方法はバイオマ
スの水環境への対応の多様性を利用して、有機性排水に
含まれる有機炭素、全リンおよび全窒素を一つの浄化装
置の中で除去することにより、有機性排水の浄化を行う
ものである。運転の初期に、この微生物反応装置に有機
性排水の通水を継続していくと槽あるいは室内で懸濁態
バイオマスが生長、増殖していき、これらのバイオマス
は次第に微生物固定化担体の多孔質内部や窪みなどの部
分に固着するか、あるいは表面部分に固着または付着し
ていき、微生物固定化担体はその機能を発揮できる状態
になっていく。このような状態となった微生物固定化担
体を保持する微生物反応装置に有機性排水を通水する
と、第1の処理区画内で水流発生器を運転することによ
り排水と微生物固定化担体に固着または付着している高
密度のバイオマスとの接触によって極めて短時間で嫌気
状態が作り出される。
【0019】本浄化方法では、懸濁態バイオマスの第1
の処理区画への返送を行わないことから、返送水に含ま
れている溶存酸素、硝酸及び亜硝酸塩を構成する酸素原
子が排水中に付加されることもなく、雨天時など排水中
の基質が希釈されている場合でも、この高密度のバイオ
マスが他の補助的手段なしに容易に排水の嫌気状態を生
成させ得る。このようなことから、第1の処理区画での
排水およびバイオマスに含まれる固形物中の溶存態リン
の該有機性排水中への放出は急速に、かつ確実に行なわ
れる。
【0020】第1の処理区画に滞留する溶存態リンを豊
富に含む排水はその一部をこの処理区画の外部に設けら
れた混和槽に移送して、凝集剤を加えて混合し、この溶
存態リンを不溶存態リンに転換し、さらに固液分離して
系外に排除する。この処理を講ずることによって、第1
の処理区画に存在するバイオマスに含まれるリン含有量
を極端に増加させずにすむことになるほか、このように
固液分離し、回収する不溶存態リンを主体とする固形物
は、余り多くの不純物を含まないため、産業用の目的で
再利用することも容易に行うことができる。また固形物
分離後の有機性排水は第2以降の処理区画に返水される
が、凝集剤として消石灰が使用される場合には、返水さ
れる有機性排水に含まれてくるアルカリ分がアンモニア
態窒素の亜硝酸態窒素への酸化の際のアルカリ調整剤と
しての役割を発揮できる。
【0021】第2以降の好気条件以外の処理区画では最
終の好気条件下の処理区画内に存在するか、あるいはこ
れより流出した排水の返送を受けて、その排水に含まれ
る硝酸態及び亜硝酸態窒素の窒素ガスへの転換(脱窒)
が行われる。この際に電子供与体として使用されるのは
第1の処理区画から第2の処理区画に流入してきた排水
中の有機炭素である。第2の処理区画にて微生物固定化
担体に固着または付着するバイオマスには、第1の処理
区画で合成され、懸濁状態で第2の処理区画に到達した
バイオマス小片、微細フロックなどのほか、硝酸塩及び
亜硝酸塩を構成する酸素原子を利用しての細胞合成で発
生するバクテリア等でがある。
【0022】また、微生物反応装置を流出した排水の固
液分離設備から排出されたバイオマスを含む懸濁物質の
一部を第2以降の処理区画に移送することも必要により
行われる。これらは第2以降の処理区画に添加した微生
物固定化担体のバイオマスを高密度に維持する役割の一
部を果すことになる。したがって、これらの処理区画内
の排水の溶存酸素濃度は約0mg/l付近に維持される
こととなり、脱窒は急速、かつ確実に進行できる。好気
条件下である最終の処理区画には硝酸態および亜硝酸態
窒素の窒素ガスへの転換の際に消費された残余の有機炭
素を含む排水が流入して、溶存酸素濃度が1.5〜6.
5mg/lに維持されての細胞合成が行われる。有機炭
素濃度が低下してくると、排水中のアンモニア態窒素の
亜硝酸態窒素、続いて硝酸態窒素への酸化(硝化)が行
われる。この処理区画にて微生物固定化担体に固着また
は付着するバイオマスは、この処理区画に流入してきた
有機炭素の好気条件下で合成されたバイオマスと、上流
側の処理区画から懸濁状態で到達したバイオマス小片、
微細フロックなどである。したがって、これらの処理区
画に添加した微生物固定化担体のバイオマスも高密度に
維持されており、排水の溶存酸素濃度を1.5〜6.5
mg/lに保持することにより、硝化が急速に、かつ確
実に進行することになる。なお、溶存酸素濃度が6.5
mg/l以上となる強力な空気拡散を行うこととする
と、バイオマスの固定化担体への固着または付着が大き
く阻害されることになる。
【0023】このような微生物反応装置を用いての排水
の浄化では、一般的に好気条件下でのバイオマスによる
溶存態リンの細胞合成に必要な量以上の量の摂取(過剰
摂取)が行われることが知られてきた。しかし、バイオ
マスによるリンの過剰摂取ではアンモニア態窒素の亜硝
酸態及び硝酸態窒素への酸化よりも長い反応時間を要す
ることから、好気条件を維持する反応時間はこのリン過
剰摂取に必要な時間に制約を受けることが多い。そこ
で、本発明の微生物反応装置では、嫌気条件下で排水や
バイオマスから放出された溶存態リンの一部をあらかじ
め不溶存態リンに転換して系外に排出させるようにし
た。この結果、好気条件下の処理区画内に移送されてき
た排水中に含まれている溶存態リン濃度は、前記有機性
排水に含まれていた全リン濃度よりは高いが、極端に高
い濃度ではない。したがって、好気条件下でバイオマス
による溶存態リンの過剰摂取時間がアンモニア態窒素の
亜硝酸態及び硝酸態窒素への酸化に必要な反応時間より
も大幅に延長されることにはならない。このようなこと
から、好気条件下の排水の処理区画内での滞留時間は、
従来の浄化方法よりも短縮できる。
【0024】本発明による浄化方法では、排水の流入を
一定時間毎に正の流れ方向から逆の流れ方向に、さらに
正の流れ方向へと切替えていく。この切替えは都市下
水、生活系排水などでは毎日1回、あるいは複数日に1
回、流入する排水量の少ない早朝に行ない、産業排水で
は休業時に行う。また、連続的に操業を行っている工場
では、貯留槽を設けて一時的に排水をこの槽内に貯留さ
せることによって実施することができる。排水の流入が
逆の流れ方向に切替えられた際に、前回に嫌気条件で維
持されてきた第1の処理区画が、今回は最終の処理区画
となって、排水が最終の処理区画から流出することとな
る。したがって、未処理の排水を流出させない処理を講
ずる必要がある。そこで、本発明では第1の手段とし
て、切替える以前に好気条件の排水をあらかじめ流出さ
せ、全処理区画内の水位を満水位の約3/4が最低水位
となるような水位以内まで低下させておく。これにより
逆の流れ方向から排水が流入してきても少くとも1時間
以内での最終の処理区画からの排水の流出は生じない。
第2の手段として、第1の手段での操作と同時に、ある
いはその後に切替え前の第1の処理区画の排水の全量に
相当する水量かあるいは一部の水量を、切替え後の第2
の処理区画に移送する。これにより逆の流れ方向から排
水が流入してきても、排水は一連の操作と反応が行われ
てから流出させることができる。
【0025】本発明の微生物反応装置で排水の流入を一
定時間毎に正の流れ方向から逆の流れ方向に、さらに正
の流れ方向へと切替えていくことは、微生物固定化担体
に固着または付着されるバイオマス量の均等化に役立つ
ことになる。微生物固定化担体としては各種のプラスチ
ック材料、植物、合成ゴム、炭化物の多孔状成形品や破
砕体、あるいは各種のプラスチック材料を用いた紐状、
または成型か溶着の加工品などが好適である。これらの
うち、バイオマスを高密度で固着または付着できるほ
ど、本発明の微生物反応装置内で使用するのに好都合で
ある。微生物固定化担体に固着または付着したバイオマ
スは、長時間にわたり嫌気、好気条件を交互に受けるこ
ととなるため、それぞれのバイオマスが滞留している処
理区画内で分解されて次第に減少し、新しく生産された
バイオマスと世代交代していく。したがって、最終の処
理区画から流出する排水中のバイオマスを含む固形物質
は懸濁態バイオマスを循環させる従来の方法よりも大幅
に減少することとなり、汚泥の処理・処分は極めて容易
になる。
【0026】
【実施例】本発明による有機性排水の浄化方法及び微生
物反応装置の一実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1〜図3は都市下水の処理場、住宅団地の生活系排水
処理施設、大中規模の工場、事業場から排出される有機
性産業排水の処理施設に適用される微生物反応装置の例
を示した模式構成図である。また、図4、図5には比較
的小規模な工場・事業場から排出される有機性産業排水
の処理施設に適用される微生物反応装置の模式構成図を
示した。なお、図1〜図5のうち、図1、図4には微生
物反応装置を中心として必要な周辺設備、機材及び管き
ょ等の平面的な配置と流れの方向を示し、図2、図3及
び図5は微生物反応装置の断面の例を示している。
【0027】図1〜図3において、符号1は微生物反応
装置の本体であり、各図に示した例では6個の処理区画
から構成されている。図1で[]の中に数字を示したの
が有機性排水の正の流れ方向での浄化処理区画番号であ
り、実線で示した流れ方向に従って有機性排水が各処理
区画に流入し、各処理区画において浄化され、次の処理
区画に流出していく。また()の中に数字を記したのが
前記正の流れ方向と逆の流れ方向での浄化処理区画番号
であり、点線で示した流れ方向に従って有機性排水が各
処理区画に流入し、浄化され、次の処理区画に流出して
いく。従って、図示した実施例では符号1が第1の処理
区画であり、符号6が最終の処理区画となる。図2及び
図3に示した微生物反応装置では、正の流れ方向からの
有機性排水の浄化方法に使用する設備、機材及び配管類
が付帯的に図示されている。また、第4〜第6の処理区
画の微生物固定化担体は記述を省略してある。なお、こ
の処理区画は構造上、有機性排水を貯留可能な複数の槽
群として連通させることで構成させても良いし、また1
個の大きな槽体内に隔壁を形成して複数の室に分割し、
各室を連通可能にしたものでも良い。
【0028】図2及び図3に示したように微生物反応装
置1の内部の各処理区画内には水流発生器2及び空気拡
散器3が設置されている。水流発生器2は微生物反応装
置1の外部に設置された駆動装置4によって回転する翼
体を有し、該翼体を区画内で回転させて、貯留している
有機性排水に流速を与えて排水と微生物固定化担体5に
固着または付着したバイオマスとを接触させる役割をも
つ。空気拡散器3はブロワー(図示せず)から圧縮空気
供給管7を通じて送られてくる圧縮空気を細かい泡状に
して区画内に拡散させ、有機性排水の溶存酸素濃度を
1.5mg/l以上に上昇させ、更にその濃度を1.5
〜6.5mg/lに維持させる役割をもつ。
【0029】図2に示したように微生物反応装置1の隔
壁1Aの一部には、微生物反応装置1内を浮遊あるいは
流動可能に収容されている微生物固定化担体5が処理区
画間の移動を阻止する移動阻止設備8が設けられてい
る。この移動阻止設備8は開口径2〜28mmの穴あき
板または格子状鋼材加工品からなり、一辺の長さあるい
は直径が3〜30mmの多孔状の粒体、立方体、板体ま
たは円筒体であるか、または同一寸法の破砕体である微
生物固定化担体5が装置の区画外に流出しないようにな
っている。
【0030】微生物反応装置1内に収容される微生物固
定化担体5は、水の流動に伴って浮遊あるいは流動でき
る寸法等を有することが好ましく、各種のプラスチッ
ク、植物、合成ゴムまたは炭化物を材料とした加工・成
形品であることが好ましい。また、その寸法、形状とし
ては、一辺の長さあるいは直径が3〜30mmの多孔状
の粒体、立方体、板体または円筒体であることが好まし
い。また同一寸法の破砕体であっても良い。これらを装
置内に収容する場合は、見掛けの体積として処理区画の
有効体積の5〜60%程度添加することが好ましい。
【0031】また、微生物固定化担体5の他の実施例と
して、処理区画本体あるいは支持材を介して互いが密着
しないように両端または一端が固定され、プラスチック
材料の極細繊維を紡ぐかまたは束ねてその最大の広がり
幅を10〜60mmとした紐状加工品を5〜50mmの
間隔をあけて吊設する方法もある。この場合、微生物固
定化担体5は平板か波板状のプラスチック材料からなる
ことが好ましく、かさ体積1m3当りの全表面積が60
〜120m2である成型品あるいは溶着加工品をその処
理区画内の有効体積の90%以内で充填しても良い。
【0032】また、微生物反応装置1からの排水の流出
は可動式の水位低下設備9を通じて行われる。この水位
低下設備9は有機性排水の流入を正の流れ方向から逆の
流れ方向に切替える直前に処理区画の水位を満水位の3
/4が最低水位となるような水位以内で低下させる場合
にも使用できる設備として設置される。微生物反応装置
1から流出した有機性排水は流出水路10を経由して固
液分離装置11に流入される。この装置から流出した有
機性排水に含まれる懸濁物質の濃度は1g/l以下であ
ることが多いので、沈殿池のほか各種の濾過装置も用い
ることができる。固液分離設備11からの流出水は放流
水路12を経由して公共用水域に放流されるが、この固
液分離設備11からの濃縮された懸濁物質は多量のバイ
オマスを含むことから、必要によりその全部または一部
を汚泥返送管13にて第2の処理区画[2]又は(2)
に送り、微生物固定化担体5に固着または付着させるバ
イオマスの一部として役立たせ、残余は汚泥として送泥
管14を経由して汚泥脱水設備(図示せず)に送る。
【0033】一方、微生物反応装置1へ有機性排水の流
入は流入水路15を経由して行われ、第1の処理区画
[1]又は(1)にて、この有機性排水と処理区画
[1]又は(1)に添加された微生物固定化担体5に固
着または付着したバイオマスとの接触が行われる。この
処理区画[1]又は(1)内で有機性排水の嫌気状態が
維持されることとなり、処理区画[1]又は(1)での
溶存態リン濃度は原排水中の溶存態リン濃度の2〜10
倍に達する。この溶存態リンを含有する有機性排水はそ
の一部を連続的、あるいは間欠的に嫌気液採取管16に
て混和槽17に送る。ここで凝集剤貯槽18から送られ
る凝集剤を添加して不溶存態リンに転換する。通常、凝
集剤としては消石灰液を用い、カルシウム・ヒドロオキ
シ・アパタイト[Ca5OH・(PO4 )3 ]を生成さ
せ、これを固液分離設備19にて分離し、リン濃縮液回
収管20にて排出する。固液分離設備19からの分離液
は嫌気分離液管21にて第2の処理区画[2]又は
(2)に返送する。この処理区画[2]又は(2)には
最終の処理区画[6]又は(6)から硝化液返送管22
によって硝酸態及び亜硝酸態窒素を含む有機性排水が送
られる。処理区画[2]及び[3]、又は(2)及び
(3)では処理区画[1]又は(1)から移送された有
機性排水とこの硝酸態及び亜硝酸態窒素を含む有機性排
水とが混合された上、有機性排水に含まれる有機炭素を
電子供与体として、この処理区画内に、添加あるいは固
定設置された微生物固定化担体5に固着または付着して
いるバイオマスとの接触による脱窒が行われる。
【0034】第4の処理区画ないし最終(第6)の処理
区画[4]〜[6]又は(4)〜(6)は空気拡散管3
からの圧縮空気を有機性排水に散気することにより好気
状態が維持されて、処理区画[4]又は(4)に流入し
てきた有機性排水と処理区画[4]〜[6]又は(4)
〜(6)に添加あるいは固定、設置された微生物固定化
担体5に固着または付着したバイオマスとの接触による
有機炭素の酸化と同化、アンモニア態窒素の酸化による
硝酸態及び亜硝酸態窒素への転換が行われる。同時にバ
イオマスによる溶存態リンの摂取も進行する。処理区画
[6]を流出した有機性排水は流出水路10により固液
分離設備11を経由して、放流水路12にて公共用水域
に放流される。
【0035】都市下水または住宅団地からの生活系排水
は、午後10時を過ぎる頃から下水処理場や生活排水処
理施設に流入してくる水量も、またその中に含まれる有
機炭素、全リン、全窒素濃度も次第に減少していく。そ
して、午前4〜5時には下水処理場や生活系排水処理施
設に流入する水量は極めて少くなるし、これらに含まれ
る有機炭素、全リン、全窒素濃度も極めて低くなる。工
場・事業場の場合にも昼間の作業によって生じて貯留槽
に貯水されている水量も早朝にはほとんど無くなる。正
の流れ方向から逆の流れ方向、あるいは逆の流れ方向か
ら正の流れ方向への流入水の切替えはこの時間帯に行わ
れる。
【0036】そこで、有機性排水の流れ方向の切替えの
直前に、処理区画[6]又は(6)に設けた水位低下設
備を用いて処理区画[4]〜[6]又は(4)〜(6)
の有機性排水を排出して全処理区画の水位を低下させ
る。この時間帯に下水処理場や生活排水処理施設に流入
してくる水量は極めて少いため、処理区画[4]〜
[6]、又は(4)〜(6)の有機性排水は昼間の2倍
以上の時間が好気条件下に置かれており、水位低下設備
9を用いて、全処理区画の水位を一時的に急に低下させ
ても、有機酸素濃度が高くなるなどの水質的な問題を生
ずることはない。正の流れ方向で処理区画[1]又は
(1)に滞留していた有機性排水は、逆の流れ方向に切
替えた際に処理区画[6]又は(6)となり、最初に流
出していくことになる。早朝の4〜5時に流入してくる
生活系排水は、低水量で、かつ有機炭素、全リン、全窒
素が極めて低濃度であることから、今まで嫌気状態で実
用してきた処理区画を逆の流れ方向に切替え後に好気状
態に維持して、1時間以上経過してからこの排水を流出
させることとすると、脱窒は十分には行われていない
が、低濃度の硝酸態及び亜硝酸態窒素を含む状態での流
出となる。この濃度は昼間に十分な脱窒を行って流出さ
れる場合よりも低くなるので法的な規制に違反するとい
うような問題を生ずることはないが、嫌気液移送管23
により処理区画[1]又は(1)の有機性排水の相当量
をあらかじめ処理区画[5]又は(5)に送水しておく
と、万一夜半に高濃度の有機炭素、全リン、全窒素を含
む排水が流入した場合にも、放流水の水質にこの種の問
題を生ずることが避けられる。
【0037】正の流れ方向から逆の流れ方向へ、あるい
は逆の流れ方向から正の流れ方向に有機性排水の流れ方
向を切替えた初期の少なくとも次の1時間では、全処理
区画の水位が満水位に向って上昇していくことで、処理
区画(6)又は[6]からの有機性排水の流出は生じな
い。この間に処理区画(1)又は[1]は嫌気条件が整
えられ、また処理区画(6)又は[6]は溶存酸素濃度
を1.5〜6.5mg/lに維持した好気条件が整えら
れて、処理区画全体を安定運転することができる。
【0038】図4及び図5に示した実施例は比較的小規
模の工場、事業場からの有機性産業排水を浄化する実施
例である。この実施例では処理区画として連通した3槽
から成る微生物反応装置1が用いられている。第1の槽
[1]又は(1)は嫌気条件の槽であり、ここで有機性
排水と微生物固定化担体5に固着または付着したバイオ
マスとを接触させることにより固形物中のリンを溶存態
リンとして有機性排水中に放出させる。第2の槽[2]
又は(2)では最終の槽[3]又は(3)より移送され
てきた有機性排水と槽[1]又は(1)からの有機性排
水とを混合した上、微生物固定化担体5に固着または付
着したバイオマスとを接触させることにより、有機性排
水中の硝酸態及び亜硝酸態窒素を窒素ガスに転換(脱
窒)させる。さらに最終の槽[3]又は(3)では有機
性排水中の溶存酸素濃度を1.5〜6.5mg/lに維
持しての有機性排水と微生物固定化担体5に固着または
付着したバイオマスとの接触による有機炭素の酸化と同
化、アンモニア態窒素の硝酸態及び亜硝酸態窒素への酸
化(硝化)を行う。
【0039】3槽式の微生物反応装置1では槽[2]又
は(2)には常に硝酸態及び亜硝酸態窒素を含む有機性
排水が返送されてきて、窒素ガスへの転換(脱窒)が行
われることとなるため、水流発生器2のみで空気拡散器
は設置されない。しかし、槽[1]又は(1)及び槽
[3]又は(3)では水流発生器2と空気拡散器3が設
置される。図5に示したケースでは水の流動に伴って浮
遊あるいは流動できる寸法等を有する微生物固定化担体
5が添加されているが、この担体は図3と同様にそれぞ
れの槽本体あるいは支持材を介して固定設置する紐状の
材料を使用したものであってもよい。前記の微生物固定
化担体5を添加する場合にあっては担体の他槽への移動
を阻止するため、移動阻止設備8が付加される。
【0040】槽[3]又は(3)からの有機性排水の流
出は、水位低下設備9を通じて行われるが、この水位低
下設備9は有機性排水の流入を正の流れ方向から逆の流
れ方向に切替える直前の槽群の水位を満水位の約3/4
以内の水位が最低水位となるような範囲の所定水位に低
下させる場合にも使用できる設備である。槽[3]又は
(3)から流出した有機性排水は、さらに固液分離設備
11にて固液分離される。したがって、この固液分離設
備11からの流出水はそのまま公共用水域へ放流され
る。この固液分離設備11で濃縮された懸濁物質はバイ
オマスを含むことから、必要によりその全部または一部
を汚泥返送管13にて返送して槽[2]又は(2)に流
入させて微生物固定化担体5に固着または付着させるバ
イオマスの一部として役立たせ、残余は汚泥として送泥
管14にて汚泥脱水設備(図示せず)に送り、処分され
る。
【0041】槽[1]又は(1)では有機性排水を、微
生物固定化担体5に固着または付着したバイオマスと接
触させることによって嫌気状態が作り出され、有機性排
水に含まれるリンの他、バイオマスに過剰摂取されてき
たリンが溶存態リンとして放出される。この原排水より
も高い濃度のリンを含む有機性排水の一部を取り出して
混和槽にて凝集剤を加えて混合し、生成された不溶存態
リンを分離し、系外に排出したうえ、回収して再利用す
る。凝集剤としては、通常、消石灰液が用いられる。
【0042】槽[3]又は(3)に流入する有機性排水
中の全リン濃度は、放出された溶存態リンをあらかじめ
除去しているので、極端な高濃度とならない。槽[3]
又は(3)内の微生物固定化担体5に固着または付着し
たバイオマスによる溶存態リンの摂取によって槽[3]
又は(3)を流出する有機性排水の溶存態リン濃度を極
めて低濃度とすることができる。
【0043】有機性排水の流れを正の流れ方向から逆の
流れ方向、あるいは逆の流れ方向から正の流れ方向に切
替える直前に槽[3]又は(3)に設置した水位低下設
備9を用いて、全槽の水位を満水位の約3/4程度が最
低水位となるような範囲の所定水位に低下させる。この
ために、各槽間の連絡管26に制水弁24、25を設け
ておき、まずこれらの制水弁24、25を閉止して槽
[3]又は(3)の好気状態の有機性排水の一部または
大部分を可動式水位低下設備9により排出してから、制
水弁24を開放して槽[2]又は(2)の有機性排水を
槽[3]又は(3)に徐々に移送する。続いて、槽
[1]又は(1)と槽[2]又は(2)との間の制水弁
25を閉止した状態で、嫌気液移送管23により槽
[1]又は(1)の有機性排水を槽[2]又は(2)が
満水になるまで移送する。その後、制水弁24を閉止
し、制水弁25を開放して、槽[1]又は(1)と槽
[2]又は(2)との有機性排水の交換を行う。この交
換終了後は制水弁24も開放する。これによって、十分
に浄化されないままで微生物反応装置1外に流出する有
機性排水を最小限にすることができる。
【0044】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明による有
機性排水の浄化方法によれば、前記微生物固定化担体に
高密度に固着または付着させたバイオマスは懸濁態バイ
オマスとは異なり、微生物反応装置から流出することも
少なく、その内部に保持されており、かつ降雨によって
有機性排水が希釈されるなど有機炭素濃度が大きく減少
した際にも、また降雨が終了して有機性排水中の有機炭
素濃度が急速に増加に転じた際にも適応できて、全リ
ン、全窒素の除去が常に十分に行えるという効果を奏す
る。
【0045】さらに前記微生物固定化担体に固着または
付着するバイオマスは、有機性排水の流入の方向が一定
時間毎に正の流れ方向から逆の流れ方向に、さらに正の
流れ方向へと変ることから、前記微生物反応装置全体を
通じて、その量が平均化されると共に、その付着密度も
高く維持できる。すなわち、バイオマスの前記微生物反
応装置内での滞留時間を懸濁態バイオマスを使用する場
合に比べて非常に長くとることができる。
【0046】このバイオマスは前記微生物反応装置内で
一定時間ごとに、嫌気、無酸素(硝酸及び亜硝酸塩を構
成する酸素原子利用による呼吸)、好気の異なる環境条
件に順次おかれること、さらに装置内での滞留が極めて
長時間となることから、その細胞物質が酸化されて炭酸
ガス発生量が非常に多くなる。このことは装置からの流
出水に含まれてくる懸濁物質が大きく減少することと一
致している。したがって、流出水に含まれる懸濁物質を
固液分離するのは、広い敷地面積を必要とする沈殿池で
なくともよく、各種の瀘材または瀘布を使用する簡略化
された濾過設備でも十分に対応できる。また、汚泥の処
理、処分費も従来法より安価となる経済的な効果を奏す
る。
【0047】本発明にかかる浄化方法では、第1の処理
区画である嫌気条件下において有機性排水およびバイオ
マスから放出された溶存態リンを含む有機性排水の一部
を連続的あるいは間欠的に採取して、比較的純度の高い
不溶存態リンとして回収することができることから、リ
ン鉱石を利用していくのと同様の考えでの効果的なリン
の再利用を図ることができる。
【0048】また、凝集剤として消石灰液を使用する
と、分離液に多量の消石灰が含まれてくることから、低
硬度の都市下水、生活有機性排水または産業有機性排水
を浄化する際に不足する水中のアルカリ分(有機性排水
中のアンモニア態窒素の亜硝酸態窒素への酸化の際に必
要となる)は、この分離液が第2の処理区画以降に返送
されることによって補充され、安定した硝化反応が継続
して期待できるという効果を奏する。
【0049】前記微生物反応装置の好気条件下の処理区
画内に存在する微生物固定化担体に固着または付着した
バイオマスは、溶存態リンを過剰に摂取する能力を有す
るが、好気条件の処理区画に流入する有機性排水中の溶
存態リン濃度は有機性排水に含まれてくる濃度を大きく
上回ることとはならないため、同一バイオマスが長時間
にわたり溶存態リンが相当量含まれる有機性排水と接触
していても、この処理区画内に存在するバイオマスのリ
ン含有量は、懸濁態バイオマスを用いる従来の方法での
バイオマスのリン含有量よりも極端に高くはならない。
したがって、バイオマスの溶存態リンの過剰摂取能力に
よって、本装置を流出する有機性排水中の溶存態リンは
低濃度を維持できるという効果を奏する。
【0050】本発明にかかる浄化方法では、有機性排水
の流れを正の流れ方向から逆の流れ方向に、あるいは逆
の流れ方向から正の流れ方向に切替えた際に、浄化不十
分な有機性排水の流出を防ぐ対策として、切替えの直前
に、好気条件下の処理区画の水位をあらかじめ満水位の
3/4が最低水位となる水位以内にまで低下させておく
ことと、前の操作では第1の処理区画(今回の操作では
最終の処理区画となる)内に滞留する有機性排水の全量
に相当する水量または一部の水量を今回の操作の第2の
処理区画に移送することが好ましい。このように処理す
ることにより、有機性排水の浄化不十分のままでの流出
は防がれて、常に安定した処理水質を期待できる装置の
運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による有機性排水の浄化方法の一実施例
である都市下水の処理場、住宅団地の処理施設、大中規
模の工場、事業場からの有機性産業排水処理施設に適用
される微生物反応装置を含め、必要な設備、機械及び連
絡管きょなどを示した平面的配置図。
【図2】図1に示した微生物反応装置に、浮遊あるいは
流動できる微生物固定化担体を添加した場合の同装置の
断面図。
【図3】図1に示した微生物反応装置に、紐状の微生物
固定化担体を固定、設置した場合の同装置の断面図。
【図4】本発明の他の実施例として比較的小規模な工
場、事業場からの有機性産業排水に適用される微生物反
応装置を含め、必要な設備、機械及び連絡管きょなどを
示した平面的配置図。
【図5】図4に示した微生物反応装置に、浮遊あるいは
流動できる微生物固定化担体を添加した場合の装置の断
面図。
【符号の説明】
1 微生物反応装置 2 水流発生器 3 空気拡散器 4 水流発生器用駆動装置 5,6 微生物固定化担体 7 圧縮空気供給管 8 移動阻止設備 9 可動式水位低下設備 10 流出水路 11,19 固液分離設備 12 放流水路 13 汚泥返送管 14 送泥管 15 流入水路 16 嫌気液採取管 17 混和槽 18 凝集剤貯槽 20 リン濃縮液回収管 21 嫌気分離液管 22 硝化液返送管 23 嫌気液移送管 24,25 制水弁 26 槽間連絡管

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】連通した3個以上の処理区画が連続して通
    水可能に配設され、前記各処理区画の内部に水流発生器
    と空気拡散器とを備えた微生物反応装置の前記処理区画
    の内部に微生物固定化担体を収容し、前記連通した各処
    理区画に正の流れ方向からあらかじめ夾雑物と土砂とを
    十分に除去した有機性排水を通水させて、流入側から見
    て最初の処理区画である第1の処理区画内では前記有機
    性排水と前記微生物固定化担体に固着または付着してい
    るバイオマスとを接触させて前記バイオマス及び有機性
    排水に含まれる固形物中のリンを溶存態リンとして該有
    機性排水中に放出させ、 流入側から見て最終の処理区画内では前記有機性排水中
    の溶存酸素濃度を所定濃度の範囲に維持しながら、前記
    有機性排水と前記微生物固定化担体に固着または付着し
    ているバイオマスとを接触させて前記有機性排水中のア
    ンモニア態窒素の酸化を行うと共に、この最終の処理区
    画内に滞留しているか、あるいは最終の処理区画から流
    出した前記有機性排水を前記第1の処理区画に続く第2
    の処理区画に返水し、 前記第1の処理区画から前記第2の処理区画に流入して
    きた前記有機性排水と混合させた上で、前記微生物固定
    化担体に固着または付着しているバイオマスとを接触さ
    せることで前記有機性排水に含まれる硝酸態及び亜硝酸
    態窒素を窒素ガスに転換する操作を、一定時間にわたり
    連続的あるいは間欠的に行い、 次いでこれら連通した処理区画に前記正の流れ方向と逆
    の流れ方向から有機性排水を通水させて、該逆の流れ方
    向からの操作では前記正の流れ方向の操作での最終の処
    理区画を第1の処理区画とし、前記正の流れ方向での第
    1の処理区画を最終の処理区画として、逆の流路をたど
    って同様の操作を行うようにしたことを特徴とする有機
    性排水の浄化方法。
  2. 【請求項2】前記第1の処理区画で前記有機性排水と前
    記バイオマスとの接触によって該有機性排水中に放出さ
    れた前記溶存態リンを含む有機性排水の一部を連続ある
    いは間欠的に前記第1の処理区画外に設けられた混和槽
    に移送し、該混和槽内で前記有機性排水の一部に凝集剤
    を添加して混合し、前記有機性排水に含有する溶存態リ
    ンを不溶存態リンに転換して前記有機性排水を固液分離
    して前記不溶存態リンを回収し、固液分離後の有機性排
    水は第2以降の処理区画に返水するようにしたことを特
    徴とする請求項1記載の有機性排水の浄化方法。
  3. 【請求項3】前記正の流れ方向から行っている前記有機
    性排水のバイオマスによる浄化を、逆の流れ方向からの
    浄化に切替える直前に、前記処理区画全体の水位を満水
    位の約3/4が最低水位となるような水位以内まで低下
    させる水位低下設備を前記最終の処理区画の一部に設
    け、該水位低下設備の操作により逆の流れ方向から前記
    有機性排水の通水を開始して満水位に到達するまでの
    間、前記処理区画から無流出でバイオマスによる浄化を
    行うことを特徴とする請求項1記載の有機性排水の浄化
    方法。
  4. 【請求項4】前記正の流れ方向からの有機性排水のバイ
    オマスによる浄化の際に、連絡管きょを介して前記第1
    の処理区画に滞留する排水を、逆の流れ方向からの浄化
    に切替えた際に前記第2の処理区画に移送し、前記処理
    区画の水位の低下と同時に、またはそれ以後の所定のタ
    イミングで、前記第1の処理区画内に滞留する排水の全
    量に相当する水量または一部の水量を逆の流れ方向から
    の浄化の際の前記第2の処理区画に移送し、この排水に
    含まれる有機炭素を前記第2の処理区画での排水に含ま
    れる硝酸態及び亜硝酸態窒素の窒素ガスへの転換の際の
    電子供与体として使用するようにしたことを特徴とする
    請求項1記載の有機性排水の浄化方法。
  5. 【請求項5】前記最終の処理区画からのバイオマス等か
    ら成る懸濁物質を含む流出水を固液分離し、濃縮された
    状態の前記懸濁物質の全部または一部を連絡管きょによ
    り前記第2以降の処理区画に移送し、前記第2の処理区
    画内の微生物固定化担体に固着または付着させるバイオ
    マスの一部として使用するようにしたことを特徴とする
    請求項1記載の有機性排水の浄化方法。
  6. 【請求項6】前記最終の処理区画内での前記有機性排水
    中の溶存酸素濃度は1.5mg/l以上6.5mg/l
    以下に維持されるようにしたことを特徴とする請求項1
    記載の有機性排水の浄化方法。
  7. 【請求項7】連通した3個以上の処理区画が連続して通
    水可能に配設され、前記各処理区画の内部に水流発生器
    と空気拡散器とを備えた微生物反応装置の前記処理区画
    の内部に微生物固定化担体を収容し、前記連通した3個
    以上の処理区画のうち、正の流れ方向と逆の流れ方向と
    から有機性排水の流入可能な流入水路を設け、前記逆の
    流れ方向からの操作では前記正の流れ方向の操作での最
    終の処理区画を第1の処理区画とし、前記正の流れ方向
    での第1の処理区画を最終の処理区画として、いずれか
    の操作において、最終の処理区画となる処理区画から正
    の流れ方向と逆の流れ方向とで有機性排水を流出可能な
    流出水路を設け、請求項1記載の有機性排水の浄化方法
    に使用されることを特徴とする微生物反応装置。
  8. 【請求項8】前記微生物固定化担体は、水の流動に伴っ
    て浮遊あるいは流動できる寸法等を有し、各種のプラス
    チック、植物、合成ゴムまたは炭化物を材料とする加工
    ・成形品で一辺の長さあるいは直径が3〜30mmの多
    孔状の粒体、立方体、板体または円筒体であるか、また
    は同一寸法の破砕体であり、これらを見掛けの体積とし
    て処理区画の有効体積の5〜60%添加しておき、各処
    理区画間の担体の移動阻止設備として開孔径2〜28m
    mの穴あき板または同一開孔目幅を有する格子状鋼材加
    工品を設置することを特徴とする請求項7記載の微生物
    反応装置。
  9. 【請求項9】前記微生物固定化担体は、前記処理区画本
    体あるいは支持材を介して互いが密着しないように両端
    または一端が固定され、プラスチック材料の極細繊維を
    紡ぐかまたは束ねてその最大の広がり幅を10〜60m
    mとした紐状加工品を5〜50mm間隔で吊設するか、
    または平板か波板状プラスチック材料でかさ体積1m3
    当りの全表面積が60〜120m2である成型品あるい
    は溶着加工品を前記処理区画内の有効体積の90%以内
    で充填したことを特徴とする請求項7記載の微生物反応
    装置。
  10. 【請求項10】前記処理区画は前記有機性排水を貯留可
    能な1個の槽体内に形成された隔壁により複数の室に区
    画されたことを特徴とする請求項7記載の微生物反応装
    置。
  11. 【請求項11】前記処理区画は前記有機性排水を貯留可
    能な複数の槽を連通させた槽群として構成されたことを
    特徴とする請求項7記載の微生物反応装置。
JP19794694A 1994-07-31 1994-07-31 有機性排水の浄化方法と同方法に使用される微生物反応装置 Pending JPH0839091A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002102875A (ja) * 2000-09-29 2002-04-09 Babcock Hitachi Kk 水質浄化装置と方法
KR100435621B1 (ko) * 2002-08-24 2004-06-12 효림산업주식회사 오수정화 고도처리시스템
JP2006136752A (ja) * 2004-11-10 2006-06-01 National Agriculture & Bio-Oriented Research Organization 懸濁物を伴う無機態窒素・リン含有水の処理方法
JP2008183519A (ja) * 2007-01-30 2008-08-14 Kansai Pgs Kk 下水処理装置およびリンの回収方法

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