JPH083835Y2 - 三脚用雲台 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案はカメラ用三脚に取り付け
て使用する雲台の改良に係り、殊に撮影姿勢の変更安定
性に優れた三脚用雲台に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来よりカメラ用三脚の頂端に固設し、
カメラを所定の角度に安定保持する構造として各種の雲
台が使用されている。そして一般には図５に示すように
三脚の基台５０から突出した昇降桿５１の頂端に構成し
てなる雲台受け５２に対してボルト５３によって支持ブ
ロック５４を固設すると共に、該支持ブロック５４の頂
端に横架設した支持軸５５に対して、カメラ取付ブロッ
ク５６を鉛直方向回動自在に軸設し、該カメラ取付ブロ
ック５６に突設したハンドル５７の揺動（矢印Ａ）によ
って角度を調整すると同時に、回動（矢印Ｂ）によって
上記支持軸５５の廻りを締結して所望角度に固定する構
成になっている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし上記構成の雲台
では、ハンドル５７を緩めると支持軸５５を回転中心と
してカメラ取付ブロック５６が簡単に回転してしまい、
殊にサブロイド版用等の大型カメラや長焦点距離の望遠
レンズを取り付けた大重量のカメラを取り付けている場
合は支持軸５５の廻りのモーメントが大きく安定性が確
保できないため、ハンドル５７による締結（矢印Ｂ）を
強力に行う必要があり、大きな力を要するだけでなく、
締結部の螺子山を破壊するなどの問題を有していた。

【０００４】本考案は上記問題に鑑みてなされたもので
あり、カメラ取付ブロックを僅かな力で確実に任意の角
度に傾斜固定することができると共に、固定時の安定性
に優れた新規構造の三脚用雲台を提供することを目的と
するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案に係る三脚用雲台
は、三脚の雲台受けに固着する螺子固着手段を底面に構
成した支持ブロックと、該支持ブロックの上面に突設し
たジャーナル突起と回動自在に嵌合するジャーナル軸受
を底面に構成すると共に、該ジャーナル軸受に構成した
すり割を揺動旋回締結ハンドルに構成した締結軸のボル
ト部によって拡縮して回動固定または釈放する構成にな
る本体ブロックと、上記本体ブロックの一端に横架設し
た支持軸を介して鉛直方向回動自在に枢着すると共に、
上面にカメラ取付手段を構成してなるカメラ取付ブロッ
クと、上記本体ブロックの端部に第一連桿の一端を回動
自在に枢着し、またカメラ取付ブロックの端部に突設し
た軸受突起に第二連桿の一端を第一締結軸を介して回動
自在に枢着すると共に、両各連桿の他端部を第二締結軸
によって連結し、該第一締結軸と第二締結軸の螺子作用
により枢着部を緊締または釈放して両連桿の連結角度を
変更調節する構造になるパンタグラフ式角度調節機構と
から構成したことを要旨とするものである。また上記パ
ンタグラフ式角度調節機構の第一連桿と第二連桿はそれ
ぞれ複数枚を両部材の連結枢着端部において、交互に積
層連結することが好ましい。

【０００６】

【作用】上記構成では、旋回と仰伏角度の調節は揺動旋
回締結ハンドルによってすり割を拡縮し、ジャーナル軸
受とジャーナル突起の嵌合を緊締または釈放して行う。
またカメラ取付ブロックの鉛直方向回動変位は、パンタ
グラフ式角度調節機構の第一締結軸と第二締結軸を回動
して行う。この鉛直方向角度変位に際し、第一締結軸と
第二締結軸の螺子を緩めると、第一，第二連桿の枢着部
における摺動摩擦力が減少し、パンタグラフを構成して
いる両連桿の連結角度が自在になり、カメラ取付ブロッ
クは支持軸を回動中心としてカメラを鉛直面を回転面と
して回動変位させる。

【０００７】

【実施例】以下、本考案に係る三脚用雲台の一実施例を
図１乃至図３に従って説明する。符号１は雲台の本体ブ
ロックであり、該本体ブロック１底面の中心軸ＣＬ位置
に構成した半球状のジャーナル軸受２には、半径方向に
延びるすり割３を形成すると共に、該すり割３の対向す
る両端部間に揺動旋回締結ハンドル４を構成した締結軸
のボルト部５を螺合軸設し、すり割３を拡縮してなる。
該ジャーナル軸受２には円盤状支持ブロック６の上面側
中心軸位置に突設した球状のジャーナル突起７を回動自
在に嵌合すると共に、押えプレート８によって回動を阻
止しないように枢着してなる。該支持ブロック６の底面
側中心軸位置には、三脚取付雌螺子９が螺設してあり、
また周縁に近接して底面方向に進退する回り止め螺子１
０を螺合してなる。

【０００８】上記本体ブロック１の上方には該本体ブロ
ック１の一端に横架設した支持軸１１を介して矩形板状
のカメラ取付ブロック１２の一端を鉛直方向回動自在
（矢印Ｃ）に枢着すると共に、パンタグラフ式角度調節
機構１３を介して該本体ブロック１の揺動端とカメラ取
付ブロック１２の揺動端間を連結してなる。該パンタグ
ラフ式角度調節機構１３は、本体ブロック１の端部に突
設した軸受突起１４に複数の第一連桿１５，１５…の一
端をピン軸１６を介して回動自在に枢着すると共に、カ
メラ取付ブロック１２の端部に突設した軸受突起１７に
複数の第二連桿１８，１８…の一端を第一締結軸１９を
介して枢着し、両各連桿１５，１８の他端部を第二締結
軸２０によって連結したものである。また本実施例では
上記第一連桿１５，１５…と第二連桿１８，１８…がそ
れぞれ両側に２枚づつ、計４枚の組合せによって構成し
てあり、第一締結軸１９と第二締結軸２０の端部にはそ
れぞれ回動摘み２１，２２を固着すると共に、第二締結
軸２０の両連桿１５，１５間にはスペーサ２３を介挿
し、両回動摘み２１，２２を回動して第一締結軸１９と
第二締結軸２０を緊締または釈放して両連桿１５，１８
の連結角度を変更調節する構造になる。

【０００９】また上記カメラ取付ブロック１２の上面に
は長手方向に延びる蟻溝２４を構成すると共に、中心軸
位置に溝底に押頭２５を位置する固定螺子２６を螺合
し、該カメラ取付ブロック１２の底面側端部に突設した
締結レバー２７操作により面方向（矢印Ｄ）出退自在に
枢設してなる。上記蟻溝２４は、一方の溝縁中央部に切
欠部２８が構成してあり、後述するワンタッチ取付プレ
ート３０の嵌入構造を構成してなる。

【００１０】ワンタッチ取付プレート３０は、矩形の平
板状を呈し、上記カメラ取付ブロック１２の蟻溝２４と
長手方向（矢印Ｅ）摺動自在に係合する摺動リブ３１，
３１を下面両側に構成すると共に、一方の摺動リブ３１
の中央に上記蟻溝２４の切欠２８と対応するリブ切欠部
３２を構成してなる。該リブ切欠部３２による前側の摺
動リブ３１の幅Ｗ１は蟻溝２４の切欠２８の幅Ｗ２より
小さく（Ｗ１＜Ｗ２）なるように構成してあり、蟻溝２
４の底面に表示した取付基準ライン２９にワンタッチ取
付プレート３０の端部（矢印Ｆ）を合わせることによ
り、この位置では、面方向（矢印Ｇ）から嵌入すること
ができるスライドバヨネット機構を構成してなる。符号
３３は該ワンタッチ取付プレート３０の一側に突設した
抜け止め突起であり、該抜け止め突起３３はカメラ取付
ブロック１２の端部に突設したストップピン３４と摺動
リブ３１が蟻溝２４から抜落しない範囲で当突してな
る。

【００１１】該ワンタッチ取付プレート３０はカメラａ
のボディ底面に穿設したアクセサリ取付雌螺子を利用し
て常時カメラに固設して使用するようになり、各種カメ
ラに対応するように中心軸上及び側方に位置してそれぞ
れ螺子軸設孔３５，３５を穿設し、底面側から取付螺子
３６を挿入してカメラａの底面に螺合固着してなる。ま
た符号３７は該ワンタッチ取付プレート３０の底面に取
付螺子３６に近接して螺設した締結螺子であり、該締結
螺子３７は端部を上面側に出退し、取付螺子３６によっ
て固着したカメラａの底面に先端を圧接するようにな
り、取付螺子３６を中心とするカメラの回動を阻止して
なる。

【００１２】上記構成になる三脚用雲台は、三脚ｂの雲
台受けｂ１に突設したボルトｂ２を三脚取付雌螺子９に
螺合締結すると共に、回り止め螺子１０を締結して雲台
受けｂ１の面に圧接し、回動方向も確実に締結すること
ができる。旋回と仰伏角度の調節は、揺動旋回締結ハン
ドル４によってすり割３を拡縮し、ジャーナル軸受２と
ジャーナル突起７の嵌合を緊締または釈放して行う。ま
たカメラ取付ブロック１２の鉛直方向回動変位は、パン
タグラフ式角度調節機構１３の両回動摘み２１，２２を
回動して行う。図４に示すようにこの鉛直方向角度変位
（矢印Ｃ）に際し、両回動摘み２１，２２を回動して第
一締結軸１９と第二締結軸２０の螺子を緩めると、軸受
突起１７と各第二連桿１８，１２、及び各第一連桿１
５，１５と各第二連桿１８，１８の枢着部における摺動
摩擦力が減少し、パンタグラフを構成している両連桿１
５，１５の連結角度を釈放し、これによってカメラ取付
ブロック１２は支持軸１１を回動中心として旋回する。

【００１３】実際には、該カメラ取付ブロック１２には
カメラａを固設したワンタッチ取付プレート３０が取り
付けられているため、カメラ側の重心が支持軸１１の上
方を越えると反転方向にモーメントが生じ、外側に倒れ
ようとするが、第一連桿１５と第二連桿１８を複数枚重
ねて摺動面積を大きくしているため、第一締結軸１９と
第二締結軸２０を緩めたときの緊締力を調節することに
よって急速に回転傾倒することはなく、カメラ等の登載
機器に悪影響を及ぼすことはない。またパンタグラフ式
角度調節機構１３を設定角度に固定した場合は、両締結
軸１９，２０を緊締することによって複数枚の連結桿１
５，１８端が重なり合って圧接するため、回動摘み２
１，２２の小さい回動力によって確実に固定することが
できる。

【００１４】尚、前記実施例の説明ではカメラ取付ブロ
ック１２に対して着脱自在になるワンタッチプレート３
０を介してカメラａを固定する構造のものを示したが、
該構造はカメラをカメラ取付ブロックに対して直接固着
する構造であっても差し支えないことは勿論である。

【００１５】

【考案の効果】以上述べたように本考案に係る三脚用雲
台は、登載したカメラを鉛直面を回転面として回動変位
させるカメラ取付ブロックをパンタグラフ式角度調節機
構を介して角度調節自在に枢着したことにより、カメラ
取付ブロックが急激に反転することがなくなり、僅かな
力で確実に任意の角度に傾斜固定することができると共
に、固定時の安定性に優れる特徴を有するものであり、
本考案実施後の実用的効果は極めて大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す一部切欠した正面図で
ある。

【図２】同側面図である。

【図３】カメラ取付ブロックとワンタッチ取付プレート
の分解斜視図である。

【図４】パンタグラフ式角度調節機構の作動を示すカメ
ラの姿勢を変換した状態の略正面図である。

【図５】従来の雲台を示す一部切欠した正面図である。

【符号の説明】

１ 本体ブロック ２ ジャーナル軸受 ４ 揺動旋回締結ハンドル ６ 支持ブロック ７ ジャーナル突起 １１ 支持軸 １２ カメラ取付ブロック １３ パンタグラフ式角度調節機構 １５ 第一連桿 １８ 第二連桿 １９ 第一締結軸 ２０ 第二締結軸 ２１，２２ 回動摘み ３０ 取付プレート ａ カメラ ｂ 三脚

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 三脚の雲台受けに固着する螺子固着手段
   を底面に構成した支持ブロックと、 該支持ブロックの上面に突設したジャーナル突起と回動
   自在に嵌合するジャーナル軸受を底面に構成すると共
   に、該ジャーナル軸受に構成したすり割を揺動旋回締結
   ハンドルに構成した締結軸のボルト部によって拡縮して
   回動固定または釈放する構成になる本体ブロックと、 前記本体ブロックの一端に横架設した支持軸を介して鉛
   直方向回動自在に枢着すると共に、上面にカメラ取付手
   段を構成してなるカメラ取付ブロックと、 前記本体ブロックの端部に第一連桿の一端を回動自在に
   枢着し、また前記カメラ取付ブロックの端部に突設した
   軸受突起に第二連桿の一端を第一締結軸を介して回動自
   在に枢着すると共に、両各連桿の他端部を第二締結軸に
   よって連結し、該第一締結軸と第二締結軸の螺子作用に
   より枢着部を緊締または釈放して両連桿の連結角度を変
   更調節する構造になるパンタグラフ式角度調節機構、 とから構成したことを特徴とする三脚用雲台。
2. 【請求項２】 前記パンタグラフ式角度調節機構の第一
   連桿と第二連桿が各複数枚構成してあり、両部材の連結
   枢着部において、端部が交互に積層連結してなることを
   特徴とする請求項１記載の三脚用雲台。