JPH0838191A - プロテア−ゼインヒビタ−ssiと異種蛋白質との融合蛋白質の製造方法 - Google Patents

プロテア−ゼインヒビタ−ssiと異種蛋白質との融合蛋白質の製造方法

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JPH0838191A
JPH0838191A JP6304180A JP30418094A JPH0838191A JP H0838191 A JPH0838191 A JP H0838191A JP 6304180 A JP6304180 A JP 6304180A JP 30418094 A JP30418094 A JP 30418094A JP H0838191 A JPH0838191 A JP H0838191A
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ssi
dna
derived
fusion protein
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JP6304180A
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Seiichi Taguchi
精一 田口
Yasuto Yoshida
康人 吉田
Haruo Momose
春生 百瀬
Izumi Kumagai
泉 熊谷
Kinichiro Miura
謹一郎 三浦
Satoru Misawa
悟 三沢
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Eneos Corp
Original Assignee
Japan Energy Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 Streptomyces属放線菌に属する株に由来する
プロテア−ゼインヒビタ− SS I と異種蛋白質との融合
蛋白質の製造方法の提供。 【構成】 プロテア−ゼインヒビタ− SS I の遺伝子 D
NA に、その両端が制限酵素 EcoR I 及び BamH I によ
りそれぞれ切断してなる非放線菌由来の分泌性蛋白質で
ある異種蛋白質をコ−ドする DNA 配列を挿入すること
で、 SS I アミノ酸配列のC末に、前記異種蛋白質のア
ミノ酸配列を連結してなる融合遺伝子 DNA となし、該
融合遺伝子 DNA の制限酵素 Sph I 及び Sac I により
切断した断片をプラスミド pIJ702 の制限酵素 Sph I及
び Sac I により切断した部分に挿入してなる環状の DN
A からなるプラスミドベクタ−を放線菌に導入して形質
転換してなる微生物を培養して、該プロテア−ゼインヒ
ビタ− SS I と該異種蛋白質との融合蛋白質を当該形質
転換してなる微生物の細胞外に分泌生産させる融合蛋白
質の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プロテア−ゼインヒビ
タ−SSI(Streptomyces subtilisin inhibitor)と
異種蛋白質との融合蛋白質の製造方法に関する。より詳
細には、本発明は、放線菌由来SSIのC末領域に非放
線菌由来の異種蛋白質を融合した融合蛋白質を、該放線
菌由来のSSI分泌ベクタ−上において、該SSIをコ
−ドするDNAの占める領域を当該融合蛋白質をコ−ド
するDNAにより置換してなるベクタ−を用い、前記ベ
クタ−により形質転換してなる放線菌等の原核微生物を
培養し、培養液中に融合蛋白質を分泌生産させる方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】プロテア−ゼインヒビタ−SSI(Stre
ptomyces subtilisin inhibitor)は、Streptomyces
放線菌由来の蛋白質であり、枯草菌由来のセリンプロテ
ア−ゼサブチリシン(subtilisin BPN')に対して、特
異的且つ強い阻害活性を示すことが報告されている(Pro
tein Protease Inhibitor - The Case of Streptomyces
subtilisin inhibitor(SSI), Elsevier, Amsterdam (19
85) を参照)。SSIは、Streptomyces属放線菌に属す
S. albogriseolus S-3253 株が、その菌体外に分泌
生産している蛋白質である。更に、多くのStreptomyces
属放線菌も、該SSIと極めて類似する蛋白質(SSI-lik
e proteins)をそれぞれ菌体外に分泌生産しているこ
と、及びこのSSI-like proteinsも、上記サブチリシン
に対して、特異的且つ強い阻害活性を示すことが報告さ
れている(FEMS Microbiol. lett. 99,293-298 (199
2))。
【0003】本発明者らは、該SSIの天然の遺伝子を
S. albogriseolus S-3253 より単離し、該SSIの天
然の遺伝子を制限酵素 Sph I 及び Sac I により切断し
た DNA 断片を、プラスミド pIJ702の Sph I 及び Sac
I により切断した部分に挿入して得られるプラスミドベ
クタ− pJS84 を構築した(Gene 84, 279-286 (1989)を
参照)。更には、前記プラスミドベクタ− pJS84 におい
て、該SSIのポリペプチドC末端終端コドン直後に位
置する制限酵素 Xba I による切断部位と前記の制限酵
素 Sph I よる切断部位との間を大部分除去して得られ
るプラスミドベクタ− pJS53 、該制限酵素 Xba I によ
る切断部位と制限酵素 Nco I よる切断部位との間を除
去して得られるプラスミドベクタ− pJSt2 、該制限酵
素 Nco Iよる切断部位と制限酵素 Pst I よる切断部位
との間を除去して得られるプラスミドベクタ− pJSt1
のプラスミドベクタ−3種類を構築した(FEMS Microbio
logy Letters 107, 185-190 (1993)を参照)。図1に、
上記する4種類のプラスミドベクタ−、 pJS84 、 pJS5
3 、 pJSt2 及び pJSt1 、の特徴となるDNA構造を比
較して示す。なお、図11に示す S. albogriseolus S-
3253 より単離されたSSIの天然の遺伝子の核酸配列
は、本発明者らにより既に報告されている(J.Bioche
m., 105, 367-371 (1989) を参照)。また、図11に示
すSSIの天然の遺伝子中には、既に報告されている図
12に示す天然の分泌されるSSIのアミノ酸配列(J.
Biochem., 76, 1191-1209 (1974) を参照)及びそのN
末側にシグナルアミノ酸配列とされるペプチド鎖がコ−
ドされている。
【0004】本発明者らは、前記4種のプラスミドベク
タ−pJS84、pJS53、pJSt2、及びpJSt1をそれぞれStrept
omyces属放線菌のS. lividans 66 株に導入して得られ
る4種の形質転換株を創製し、それらの形質転換株を培
養したところ、該SSIが菌体外に分泌生産されている
ことを見い出し、既に報告している(蛋白質 核酸 酵素
, vol. 37(3) 245-257 (1992) を参照)。即ち、上記
の4種のプラスミドベクタ−pJS84、pJS53、pJSt2、及
びpJSt1に含まれる制限酵素 Sph I 及び Sac Iにより切
断される DNA 断片は、何れもSSIの天然の遺伝子と
同じく、SSIの遺伝子として働くことが判った。更
に、分泌生産量はpJS84で形質転換した株を1とする
と、pJSt2で形質転換した株では3.5、pJSt1で形質転
換した株では3.1、pJS53で形質転換した株では2.
5となることを見い出した。また、SSIのmRNAの
発現量をNorthern blot 法により評価したところ、pJSt
1で形質転換した株、pJSt2で形質転換した株、pJS53で
形質転換した株、及びpJS84で形質転換した株の順で少
なくなっていた(図10を参照)。
【0005】更に、本発明者らは、該SSI遺伝子中の
SSI蛋白質をコ−ドするDNA断片とEnterococus fa
ecalis より単離される性フェロモンペプチド(アミノ酸
配列L-F-S-L-V-L-A-G )のcAD1 をコ−ドするDNA断片
とを制限酵素 EcoRI の切断部位を介して接続し、 プラ
スミド pIJ702の Sph I 及び Sac I により切断した部
分に挿入して得られるプラスミドベクタ−pJS205△EcA
(BIO/TECHNOLOGY vol.7, 1063-1066 (1989) を参照)
と、SSI蛋白質をコ−ドするDNA断片とミツバチ(A
pis mellifera)由来の18アミノ酸残基から成り、グラ
ム陰性菌に対する抗菌活性を示すアピデシン(AP1)をコ
−ドするDNA断片とを血液凝固因子Xaの切断認識部位
(アミノ酸配列)をコ−ドするDNA断片を介して接続
し、 プラスミド pIJ702の SphI 及び SacI により切断
した部分に挿入して得られるプラスミドベクタ−pJS205
△EAP (Applied Microbiology and Biotechnology 36,
749-753 (1992) を参照)とをそれぞれ作製し、上記のプ
ラスミドベクタ−pJS84と同様に、前記2種のプラスミ
ドベクタ−pJS205△EcA 及びpJS205△EAP をそれぞれ S.
lividans 66 株に導入して得られる2種の形質転換株
を創製した。この2種の形質転換株を培養したところ、
該SSIとcAD1との異種融合蛋白質(SSI-cAD1)とS
SIとAP1との異種融合蛋白質(SSI-AP1)がそれぞれ
の形質転換株の菌体外に分泌生産されていることを見い
出した。また、生産されるSSI-cAD1は、SSIの生
物活性及びcAD1の生物活性をともに示す融合蛋白質であ
り、又SSI-AP1は、SSIの生物活性及びAP1の生物
活性をともに示す融合蛋白質であることを見い出し、報
告している(蛋白質 核酸 酵素 , vol. 37(3) 245-257
(1992) を参照)。
【0006】一般に、放線菌は原核生物の中で最も複雑
な生活環を有し、且つグラム陽性の膜構造を持ち、その
特徴である形態分化の時期に同期して当該菌由来の抗生
物質や酵素蛋白質などの多種多様な二次代謝産物を活発
に菌体外に分泌生産する能力を有している。かかる観点
から、上述するような放線菌を宿主とする宿主−ベクタ
−系のプラスミドベクタ−を利用して、非放線菌由来の
蛋白質或はアミノ酸残基数の大きなペプチドを放線菌由
来の蛋白質のC末端部に接続してなる異種融合蛋白質
を、宿主放線菌の形質転換株より菌体外に分泌生産させ
て製造する新たな方法の開発が望まれている。しかしな
がら、既に報告されている例においては、非放線菌由来
の蛋白質としてアミノ酸残基数が18を超えるものにつ
いて、異種融合蛋白質を宿主放線菌の形質転換株より菌
体外に分泌生産させて製造する技術は、未だ報告されて
いなかった。特には、前記の非放線菌由来の蛋白質或は
アミノ酸残基数の大きなペプチドとして、真核生物由来
の分泌性蛋白質、例えばヒトTGF-α(Transforming g
rowth factor α)などを選択し、それと放線菌由来の蛋
白質とからなる異種融合蛋白質が、該分泌性蛋白質の有
する生理活性を示すものとして効率的に分泌生産させる
方法は、開発が強く望まれているが、未だ成功例は報告
されていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の課題を
解決したものである。すなわち、本発明の目的は、薬理
的に有用な蛋白質を、融合蛋白質として遺伝子工学的手
法を用い、効率的且つ分泌性蛋白質として製造する新た
な方法を提供することにある。特には、真核生物由来の
分泌性蛋白質、例えばヒトTGF-α(Transforming gro
wth factor α)などを、融合蛋白質として遺伝子工学的
手法により製造するに好適な方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述する
S. albogriseolus S-3253 より単離したSSIの天然の
遺伝子の DNA 断片をプラスミド pIJ702に挿入して得ら
れるプラスミドベクタ− pJS84を利用して、遺伝子工学
的手法により、SSIのアミノ酸残基をコ−ドするDN
A部分を異種融合蛋白質のSSI-cAD1及びSSI-AP1
のアミノ酸残基をコ−ドするDNA部分にそれぞれ置き
換えて得られるプラスミドベクタ−pJS205△EcA 並びに
pJS205△EAP によりS. lividans 66 株に導入して得ら
れる2種の形質転換株を創製し、それぞれ目的の異種融
合蛋白質のSSI-cAD1及びSSI-AP1を菌体外に分泌
生産させることができることを見い出し、既に報告し
た。
【0009】本発明者らは、更に鋭意研究を行い、上記
のベクタ− pJS84を利用して、該プラスミドベクタ− p
JS84を形成する環状のDNA配列中のSSIのアミノ酸
残基をコ−ドするDNA部分を、SSIのC末端部に非
放線菌由来の分泌性蛋白質である異種蛋白質のアミノ酸
残基を接続してなるSSIと該異種蛋白質との融合蛋白
質のアミノ酸残基をコ−ドするDNA断片により置き換
えて得られる環状のDNAからなるプラスミドベクタ
−、即ち遺伝子工学的手法によりベクタ− pJS84を改変
したベクタ−を用い、宿主を形質転換した微生物を培養
することにより、SSIと該異種蛋白質との融合蛋白質
を該形質転換した微生物の細胞外に分泌生産させること
ができることを見い出した。更に、SSIの天然の遺伝
子の DNA断片から、一部DNAを除去したSSIの人工
の遺伝子を利用して、具体的には前記のベクタ− pJS84
を改変して得られる3種のプラスミドベクタ−pJS53、p
JSt2、及びpJSt1を利用して、SSIのアミノ酸残基を
コ−ドするDNA部分を、SSIと該異種蛋白質との融
合蛋白質のアミノ酸残基をコ−ドするDNAにより置き
換えて得られる環状のDNAからなるプラスミドベクタ
−を用い、宿主を形質転換した微生物を培養することに
より、SSIと該異種蛋白質との融合蛋白質を該形質転
換した微生物の細胞外により効率よく分泌生産させるこ
とができることを見い出し、本発明を完成するに至っ
た。即ち、上述する少なくとも113のアミノ酸残基か
らなるSSIのC末端部に僅か8のアミノ酸残基からな
るペプチドcAD1を接合してなる異種融合蛋白質のSSI
-cAD1、或は僅か18のアミノ酸残基からなるペプチドA
P1を接続してなる異種融合蛋白質のSSI-AP1の如く、
SSIのC末端部に、例えばα−ヘリックス構造或はβ
−シ−トなど顕著な2次元的、或は3次元的な立体構造
を持たない低分子量のペプチド鎖が延長したSSIのC
末端改変体と見做せる蛋白質のみでなく、SSIのC末
端部に、それ自体のペプチド鎖のみで顕著な2次元的、
或は3次元的な立体構造を持つより分子量の高い異種蛋
白質を接続してなる融合蛋白質、即ち複数のドメインか
らなる融合蛋白質を、該形質転換した微生物の細胞外に
分泌生産させることができることを見い出し、本発明を
完成するに至った。
【0010】本発明のプロテア−ゼインヒビタ−SSI
と異種蛋白質との融合蛋白質の製造方法は、Streptomyc
es属放線菌に属する S. albogriseolus S-3253 株に由
来するプロテア−ゼインヒビタ−SSI(Streptomyces
subtilisin inhibitor)のC末に非放線菌由来の分泌
性蛋白質である異種蛋白質を連結してなる融合蛋白質を
コ−ドする DNA 配列を、放線菌由来の環状のDNAか
らなるプラスミドに組み込んでなる該融合蛋白質の蛋白
質翻訳が可能なプラスミドベクタ−を放線菌に導入して
形質転換してなる微生物を培養して、該プロテア−ゼイ
ンヒビタ−SSIと該異種蛋白質との融合蛋白質を当該
形質転換してなる微生物の細胞外に分泌生産させ、該融
合蛋白質を分取することからなる。
【0011】本発明の融合蛋白質の製造方法を具体的な
一態様にて述べるならば、Streptomyces属放線菌に属す
S. albogriseolus S-3253 株に由来するプロテア−
ゼインヒビタ−SSI(Streptomyces subtilisin inhi
bitor)の遺伝子DNAを制限酵素 Sph I 及び Sac I
により切断される DNA 断片に含まれる配列番号2に示
す部分核酸配列を配列番号1に示す部分核酸配列に部位
特異的変異により変換してなる変異 DNA 断片と、非放
線菌由来の分泌性蛋白質である異種蛋白質をコ−ドする
DNA 配列を含み、その両端が制限酵素 EcoR I 及び Ba
mH I によりそれぞれ切断してなる異種蛋白質の DNA 断
片とから、該変異 DNA 断片を制限酵素EcoRI 及び BamH
I により切断した部分に前記異種蛋白質の DNA 断片を
挿入してなる融合遺伝子DNA断片となし、該融合遺伝
子DNA断片をプラスミド pIJ702の制限酵素 Sph I 及
び Sac I により切断した部分に挿入してなる環状のD
NAからなるプラスミドベクタ−を放線菌に導入して形
質転換してなる微生物を培養して、該プロテア−ゼイン
ヒビタ−SSIと該異種蛋白質との融合蛋白質を当該形
質転換してなる微生物の細胞外に分泌生産させ、該融合
蛋白質を分取することからなる方法である。
【0012】本発明においては、プロテア−ゼインヒビ
タ−SSIと異種蛋白質との融合蛋白質をコ−ドする D
NA 配列を含む該融合遺伝子DNA断片は上記の手段に
より調製した後、プラスミド pIJ702 に限らず、その他
の放線菌由来の環状のDNAからなるプラスミドに組み
込んでなる該融合蛋白質の蛋白質翻訳が可能なプラスミ
ドベクタ−を構築することができる。このプラスミドベ
クタ−を用い、該プラスミドベクタ−を宿主微生物の放
線菌に導入して形質転換してなる微生物を培養して、該
プロテア−ゼインヒビタ−SSIと該異種蛋白質との融
合蛋白質を形質転換してなる微生物の細胞外に分泌生産
させ、該融合蛋白質を分取することからなる他の具体的
な態様の方法とすることができる。
【0013】本発明において、プラスミドベクタ−を構
築する際に利用されるプラスミド pIJ702 は、その構造
は環状のDNAであり、既に報告されている制限酵素地
図(J. Gen. Microbiol., 129, 2703 (1983) を参照)を
図13に示す。なお、図13に示す制限酵素切断部位に
加えて、プラスミド pIJ702 が内在する選択マ−カ−遺
伝子、チロシナ−ゼ遺伝子(mel)及びチオストレプトン
耐性遺伝子(tsr)のうち、チロシナ−ゼ遺伝子(mel)の領
域に、制限酵素 Sac I の切断部位が一つ存在する。こ
れらチロシナ−ゼ遺伝子(mel)の領域に位置する制限酵
素切断部位、Sph I、Sac I 、Bgl II などの切断部位
は、挿入によりチロシナ−ゼ産出を失活させるクロ−ニ
ング部位となるものである(蛋白質 核酸 酵素 , vol.
37(3) 245-257 (1992) を参照)。
【0014】本発明に述べるプロテア−ゼインヒビタ−
SSIは、天然に見出されるプロテア−ゼインヒビタ−
SSI、即ち S. albogriseolus S-3253 がその菌体外
に分泌生産する113のアミノ酸残基からなる蛋白質、
或はそのアミノ酸残基配列と実質的に同一なアミノ酸残
基配列からなるSSI変異体を意味する( Mol. Gen.Ge
net., 226, 328-331 (1991) を参照)。なお、分泌型の
SSIは、そのN末端に28〜34のアミノ酸残基から
なる「シグナルペプチド」と称される部分を持つ前駆体
ペプチドとして、そのmRNAからペプチド鎖に一旦翻
訳され、その後、該「シグナルペプチド」を利用して菌
体外に分泌される際に、N末端の該「シグナルペプチ
ド」部分の切断を受けると報告されている( Mol. Gen.
Genet.,226, 328-331 (1991) を参照)。また、本発明
に述べるSSIの遺伝子DNAは、 S. albogriseolus
S-3253 株に由来するSSIの天然の遺伝子DNAのみ
でなく、図1に例示する如く、該SSIのポリペプチド
C末端終端コドン(TAG)直後に位置する制限酵素 Xba I
による切断部位と前記の制限酵素 Sph I よる切断部位
との間を大部分除去して得られるDNA、該制限酵素 X
ba I による切断部位と制限酵素 Nco I よる切断部位と
の間を除去して得られるDNA、或は該制限酵素 Nco I
よる切断部位と制限酵素 Pst I よる切断部位との間を
除去して得られるDNA、これらの3種のDNA、即ち
天然の遺伝子DNAより人工的に調製されたSSIの遺
伝子DNAをも意味する。
【0015】また、本発明に述べる S. albogriseolus
S-3253 株に由来するSSIの天然の遺伝子DNAは、
図2に示す DNA 配列の構造を持っており、既に、J. Bi
ochem., 105, 367-371 (1989) に報告されている。ま
た、このSSIの天然の遺伝子DNAを制限酵素 Sph I
及び Sac I により切断される DNA 断片は、上記の
「シグナルペプチド」と分泌型のSSIとからなる前駆
体ペプチドをコ−ドする DNA 配列を含む。また、該 DN
A 配列の上流側(DNA(+)鎖の5’方向)にmRN
Aへの転写を司る2種のプロモ−タ−領域と、該 DNA
配列の下流側(DNA(+)鎖の3’方向)に大腸菌で
見出されるρ因子非依存型タ−ミメ−タ−構造と類似す
るGCに富む2種の領域とを含んでいる。即ち、 S. al
bogriseolusS-3253 株に由来するSSIの構造遺伝子D
NAを制限酵素 Sph I 及び Sac Iにより切断して得ら
れる DNA 断片は、図2に示す DNA 配列からなり、その
DNA(+)鎖の3’端が制限酵素 Sac I による切断
端であり、そのDNA(+)鎖の5’端が制限酵素 Sph
I による切断端となっている。図2に示す DNA 配列の
部分 DNA 配列のみを図3に示す。逆位反復配列からな
る2種のプロモ−タ−領域はP1及びP2で表現する部
位である。また、該2種のプロモ−タ−領域、P1及び
P2に対応する2点のmRNAへの転写開始点が存在す
ることが報告されている。図3のBに示す部分におい
て、同じく逆位反復配列からなるGCに富む2種の領域
はT1及びT2で表現する部位である。該GCに富む2
種の領域、T1及びT2の直後の下流側に転写終結点が
存在することが報告されている。なお、前記転写開始点
の下流側にペプチド鎖への翻訳の際に開始コドンとなる
2種のATGコドン、ATG1及びATG2(図2にお
いて、アミノ酸配列の最初に位置する Met に対応)が
近接して存在しており、該「シグナルペプチド」部分は
このATG1或はATG2から翻訳される2種が存在
し、それに伴い分泌型のSSIとして、そのN末端の切
断部分のみが異なり、実質的に同一なアミノ酸残基配列
からなるSSI変異体が2種以上存在すると報告されて
いる(蛋白質 核酸 酵素 , vol. 37(3) 245-257 (1992)
を参照)。これらのSSI変異体は、何れも本発明で
述べるSSIに含まれる。
【0016】上記の2種のプロモ−タ−領域、P1及び
P2に、それぞれ対応する2点のmRNAへの転写開始
点は、図2においてP1及びP2の直後に矢印により示
される(Gene, 84, 279-286 (1989) を参照)。なお、
プロモ−タ−領域P2に付随する転写開始点は、主要な
転写開始点、更にはその下流側の直後に副次的な転写開
始点として作用するものが存在することが示唆されてい
る。一方、mRNAへの転写終結点は、唯一つ存在して
おり、図2において楔印で表記する。なお、図4に、m
RNAへの転写終結点の近傍において、上記する逆位反
復配列からなるGCに富む2種の領域、T1及びT2が
取り得る二次元的構造を予測した結果を示す。
【0017】本発明に述べる非放線菌由来の分泌性蛋白
質である異種蛋白質は、放線菌に分類される微生物に由
来する蛋白質でなく、即ち「放線菌由来の蛋白質」に非
ずして、放線菌以外に分類される生物に由来しており、
且つその生物の細胞外に分泌される蛋白質「分泌性蛋白
質」を意味する。なお、上記する分泌型のSSIと同様
に、細胞内において、シグナルペプチドと解される複数
のアミノ酸残基からなるペプチド部分を含む前駆体ペプ
チドとして、そのmRNAからペプチド鎖に一端翻訳さ
れ、細胞外に分泌される際に切断を受ける蛋白質におい
ては、その細胞外に分泌されている形態のペプチド鎖部
分を「分泌性蛋白質」の定義とする。従って、該分泌性
蛋白質をコ−ドする DNA 配列とは、その細胞外に分泌
されている形態のペプチド鎖部分に対応するアミノ酸残
基配列をコ−ドする DNA 配列を意味する。なお、該分
泌性蛋白質をコ−ドする DNA 配列は、その由来する生
物が有する天然の DNA 配列のみでなく、その天然の DN
A 配列のコドンを同一のアミノ酸残基をコ−ドする等価
のコドンに改変することで得られる人工の DNA 配列を
も包含する。更に、天然に得られる該分泌性蛋白質をコ
−ドする DNA 配列の両端に、制限酵素 EcoR I 及び Ba
mH I で切断される DNA 配列を有さ無い場合、人工的に
部位特異的変異を行い核酸配列を変更する、或は予め合
成した核酸配列を連結することにより容易に制限酵素 E
coR I 及び BamH I で切断される DNA 配列を付与、形
成することができる。
【0018】加えて、本発明に述べる非放線菌由来の分
泌性蛋白質である異種蛋白質は、天然に見い出される当
該異種蛋白質のアミノ酸配列の一部が人為的に変更され
てなる変異体蛋白質をも意味する。即ち、当該異種蛋白
質の生理活性を保持する範囲で、アミノ酸配列の一部を
欠損するもの、アミノ酸配列の一部が他のアミノ酸で置
き換えられるもの、アミノ酸配列に余剰のアミノ酸又は
ペプチド鎖が付加或は挿入されたもの等のアナログ蛋白
質をも意味する。これらの人為的なアミノ酸配列の改変
により得られる当該異種蛋白質の変異体をコ−ドする D
NA 配列は、所望のアミノ酸配列に対する改変に対応す
る核酸配列の改変又は合成を行うことで得られる。
【0019】更には、本発明に述べる分泌性蛋白質は、
天然においてはそれを構成するアミノ酸残基が糖鎖の付
加、リン酸化、硫酸化などの修飾を受けてなる形態を示
すことがあるが、本発明に述べる該SSIと異種蛋白質
との融合蛋白質、即ち該SSIと非放線菌由来の分泌性
蛋白質との融合蛋白質は、該融合蛋白質に含まれる該分
泌性蛋白質に対応するペプチド部分は、前記するアミノ
酸残基に修飾を受けていない形態であるものを意味す
る。但し、該分泌性蛋白質に含まれるシステイン(Cy
s)が互いに分子内ジスルフィド結合を形成する場合、
該分子内ジスルフィド結合を形成した形態であるものを
意味する。
【0020】また、該SSIのアミノ酸残基配列をコ−
ドする DNA 配列に導入される、配列番号2に示す部分
核酸配列から配列番号1に示す部分核酸配列への部位特
異的変異により、該SSIアミノ酸残基配列のC末端は
Ala(112)-Phe(113) から Glu(112)-Phe(113) に変換さ
れ、それに続くMetのアミノ酸残基以降に、当該分泌性
蛋白質のアミノ酸残基配列が接続される融合蛋白質とな
る。
【0021】なお、上記の非放線菌由来の分泌性蛋白質
としては、20以上のアミノ酸残基からなる蛋白質を選
択することができる。下記する真核生物由来の分泌性蛋
白質に代表されるように、分泌性蛋白質は独立して蛋白
ホ−ルディングされ、構造的安定化を果たすため、分子
内ジスルフィド結合、或はαヘリックス構造などの2次
元的な立体構造をとることが好ましく、20に満たない
のアミノ酸残基では、例えば18のアミノ酸残基からな
るペプチドAP1の如く、独立して蛋白ホ−ルディングが
形成されず多くは好ましくない。更には、本発明が解決
する課題に鑑み、TGF-α(Transforming growth fact
or α)などの如く20以上のアミノ酸残基からなる分泌
性蛋白質において、融合蛋白質の形態においても該SS
Iと当該分泌性蛋白質がそれぞれ独立した3次元的な立
体構造を持ち産出される点に、特筆すべき利点が有る。
【0022】また、真核生物由来の分泌性蛋白質であ
る、真核生物由来の成長因子蛋白質、ペプチド性ホルモ
ン及びペプチド性フェロモンとからなる群より選択され
る蛋白質が好ましい蛋白質であり、更に、真核生物由来
の分泌性蛋白質である、真核生物由来の受容体蛋白質の
ペプチド性基質蛋白質及び当該真核生物由来の細胞外酵
素蛋白質に対してその酵素と結合し酵素活性を阻害する
ペプチド性阻害因子蛋白質とからなる群より選択される
蛋白質もまた好ましい蛋白質として例示できる。これら
例示する分泌性蛋白質は、それ自体のペプチド鎖部分の
みで安定な2次元的、或は3次元的な立体構造を持つ故
に、そのN末に位置する該SSIと独立して蛋白ホ−ル
ディングされて、且つ該SSI部分及び分泌性蛋白質部
分がともに生理活性を示す形態を保つ融合蛋白質となり
好ましい。前述する好適な非放線菌由来の分泌性蛋白質
の一例として、SSIと同様にヒトTGF-α(Transfor
minggrowth factor α)、ヒルジン、ソマトスタチン−
28などの分子内ジスルフィド結合を形成して構造的安
定化を果たす分泌性蛋白質を具体例として挙げることが
できる。これらの分子内ジスルフィド結合を有する分泌
性蛋白質は、SSIがその分子内にジスルフィド結合を
形成する過程と類似した過程により、分子内ジスルフィ
ド結合が形成されて、SSI部分と該分泌性蛋白質部分
とがそれぞれ独立した構造となるので好適である。
【0023】また、本発明において、宿主微生物とする
放線菌として好適な菌として、Streptomyces属に属する
放線菌が成す群より選択される放線菌を例示でき、特に
は、該 S. albogriseolus S-3253 株に由来するSSI
と類似するSSI-like プロテア−ゼインヒビタ−蛋白
質を産出するStreptomyces属に属する放線菌が好適であ
り、更には、具体的な菌株名を用い、 S. lividans 66
株、その近縁種であるS. coelicolor A3(2) を例示する
ことができる。これらのStreptomyces属に属する放線菌
では、上記するSSIの構造遺伝子DNAに付随する2
種のプロモ−タ−領域、P1又はP2、を用いて、P1
又はP2に対応するmRNAへの転写開始点より、当該
SSI及びそれに続く該分泌性蛋白質のアミノ酸残基配
列をコ−ドするmRNAへの転写発現が効果的に行え、
更にはそのmRNAから翻訳されるペプチド鎖を分子内
ジスルフィド結合を形成して構造的安定化された形態で
菌体外に分泌するに要する酵素等が存在し且つ効果的に
作用し得るので好適である。
【0024】更には、本発明において利用されるプラス
ミドベクタ−は、 pJS84 と同様に、前記SSIの天然
の遺伝子DNAに付随するGCに富む2種の領域、T1
及びT2、とその直後の下流側に位置する転写終結点の
何れもが具備されているDNA(+)鎖の3’端構造の
プラスミドベクタ−のみでなく、 pJSt1 と同様に、T
1が欠損し、T2とその直後の下流側に位置する転写終
結点が具備されている3’端構造のプラスミドベクタ
−、 pJSt2 と同様に、T2とその直後の下流側に位置
する転写終結点が欠損し、T1が具備されている3’端
構造のプラスミドベクタ−、及び pJS53 と同様に、T
1及びT2とその直後の下流側に位置する転写終結点の
何れもが欠損している3’端構造のプラスミドベクタ−
も用いることができる。中でも、前記する pJSt1 と同
様に、T1が欠損し、T2とその直後の下流側に位置す
る転写終結点が具備されている3’端構造のプラスミド
ベクタ−、及び pJSt2 と同様に、T2とその直後の下
流側に位置する転写終結点が欠損し、T1が具備されて
いる3’端構造のプラスミドベクタ−とは、好適な構造
のプラスミドベクタ−である。この2種の好適な構造の
プラスミドベクタ−では、他の2種 T1及びT2、と
その直後の下流側に位置する転写終結点の何れもが具備
されている3’端構造のプラスミドベクタ−或はT1及
びT2とその直後の下流側に位置する転写終結点の何れ
もが欠損している3’端構造のプラスミドベクタ−に較
べ、mRNAへの転写発現がより効果的に行えるととも
に、そのmRNAからペプチド鎖への翻訳もより効果的
に行われる。
【0025】本発明においては、プラスミドベクタ−は
下記の方法により構築することができる。 (プラスミドベクタ−の構築手順)予め、宿主とするSt
reptomyces属に属する放線菌におけるコドンの使用頻度
を考慮して、目的とする非放線菌由来の分泌性蛋白質で
ある異種蛋白質のアミノ酸配列をコ−ドするDNAの各
コドン及び対応するアンチコドンを使用頻度の高いもの
に置き換えた人工のDNAを用いると好ましい。また、
天然の非放線菌由来の分泌性蛋白質のアミノ酸配列を、
その本質を損なわない範囲で一部改変してなる人工変異
体を用いても良い。これらの分泌性蛋白質のアミノ酸配
列をコ−ドするDNAは大腸菌由来のプラスミドに組込
み、サブクロ−ニングし、予め大量に調製する。例え
ば、ヒトTGF-α合成遺伝子(特願平1−271250
号明細書等を参照)を、その分泌されるアミノ酸配列の
N末端にメチオニン(Met)を付加したアミノ酸配列をコ
−ドするものとして調製する。このサブクロ−ニングし
たDNAは、図5の(A)に示す両端を制限酵素 EcoR I
及び BamH I により切断し、単離する。なお、図5の
(A)に示すヒトTGF-α合成遺伝子において例示され
る如く、非放線菌由来の分泌性蛋白質のアミノ酸配列の
N末端に付加される Met及び制限酵素 EcoR I の切断部
位の間に存在するDNAがコ−ドするアミノ酸残基が余
剰のアミノ酸配列として翻訳される。この部分アミノ酸
配列からなるペプチド鎖は、目的とする融合蛋白質にお
いてSSIと異種蛋白質をそれぞれ独立した蛋白ホ−ル
ディングを形成する時、両者を連結する容易に変位可能
な架橋ペプチド鎖となる。
【0026】一方、本発明に述べる S. albogriseolus
S-3253 株に由来するSSIの構造遺伝子DNAを制限
酵素 Sph I 及び Sac I により切断される DNA 断片、
即ち上記の「シグナルペプチド」と分泌型のSSIとか
らなる前駆体ペプチドをコ−ドする DNA 配列を含み、
該 DNA 配列の上流側(DNA(+)鎖の5’方向)に
mRNAへの転写を司る2種のプロモ−タ−領域と、該
DNA 配列の下流側(DNA(+)鎖の3’方向)に大
腸菌で見出されるρ因子非依存型タ−ミメ−タ−構造と
類似するGCに富む2種の領域とを含んでいる DNA 断
片は、予め該SSIのアミノ酸残基配列をコ−ドする D
NA 配列に導入される、配列番号2に示す部分核酸配列
から配列番号1に示す部分核酸配列への部位特異的変異
により、該SSIアミノ酸残基配列のC末端をGlu(112)
-Phe(113) に変換しすることにより、新たに制限酵素 E
coR I による切断部位を導入する。例えば、この制限酵
素 EcoR I による切断部位と、それに続く制限酵素 Bam
H I による切断部位の間に、分泌性蛋白質cAD1のMetの
アミノ酸残基配列をコ−ドする DNA 配列を挿入してな
る DNA 断片として、大腸菌由来のプラスミドに組込
み、サブクロ−ニングし、予め大量に調製する。例え
ば、前記するSSI-cAD1融合蛋白質をコ−ドする DNA配列
を含む遺伝子は、大腸菌プラスミド pSI205△EcA とし
て報告されている(Bio/Technology 7, 1063-1066 (198
9) 或は 蛋白質 核酸 酵素 , vol. 37(3) 245-257 (199
2) を参照)。予め該大腸菌プラスミド pSI205△EcA を
導入した大腸菌を培養することにより大量に調製した当
該プラスミド pSI205△EcA を、制限酵素 EcoR I 及び
BamH I により消化してSSIの構造遺伝子DNAを制
限酵素 Sph I 及び Sac I により切断される DNA 断片
を含むプラスミドの断片を得る。
【0027】このプラスミドの断片と上記するヒトTG
F-α合成遺伝子のDNA断片とを、両端の制限酵素 Ec
oR I 及び BamH I による切断部位を互いに接続するこ
とにより、図5の(B)に示すプラスミド pSIF1 を得
る。得られるプラスミド pSIF1 は、SSIのアミノ酸
残基配列をコ−ドする DNA 配列に導入される、配列番
号2に示す部分核酸配列から配列番号1に示す部分核酸
配列への部位特異的変異により、該SSIアミノ酸残基
配列のC末端はGlu(112)-Phe(113) に変換したC末にヒ
トTGF-αのアミノ酸残基配列が連結される融合蛋白
質をコ−ドする DNA 配列を有するものとなる。また、
該プラスミド pSIF1 は、大腸菌プラスミドであるの
で、それを導入した大腸菌を培養することにより大量に
調製することができる。
【0028】次に、調製したプラスミド pSIF1 を制限
酵素 Sph I 及び Sac I により切断される DNA 断片を
得る。このSSI-TGF-α融合蛋白質をコ−ドする DNA 配
列を含む DNA 断片を、プラスミドベクタ− pIJ702 (J.
Gen. Microbiol. 129, 2703-2714 (1983) を参照)に含
まれるチロシナ−ゼ遺伝子(mel)の制限酵素 SphI 及びS
acI により切断される部位に挿入する。得られるプラス
ミドベクタ−は、プラスミドベクタ− pIJ702 に内在す
る複製開始点を保存し、且つSSI-TGF-α融合蛋白質をコ
−ドする DNA 配列を含む DNA 断片をチロシナ−ゼ遺伝
子(mel) DNA 中に挿入するものであり、本発明者らは、
プラスミドベクタ− pJSF1 の呼称を付与した。なお、
このプラスミドベクタ− pJSF1 は、用いたプラスミド
ベクタ−pIJ702 が広い宿主域、特に放線菌に広い宿主
域を有し、又高いコピ−数を示すので(Bio/Technology
7, 1063-1066 (1989) 或は 蛋白質 核酸 酵素 , vol. 3
7(3) 245-257 (1992) を参照)、放線菌、特には S. liv
idans に導入して形質転換することができる。また、プ
ラスミドベクタ− pJSF1 では、 pIJ702 に内在される
選択マ−カ−、チロシナ−ゼ遺伝子(mel)及びチオスト
レプトン耐性遺伝子(tsr)、の内、チロシナ−ゼ遺伝子
(mel)は挿入により失活しており、チオストレプトン耐
性遺伝子のみが活性を保持している。
【0029】なお、上記の「シグナルペプチド」と分泌
型のSSIとからなる前駆体ペプチドをコ−ドする DNA
配列の下流側(DNA(+)鎖の3’方向)に大腸菌
で見出されるρ因子非依存型タ−ミメ−タ−構造と類似
するGCに富む2種の領域(T1及びT2)とその直後の下流
側に位置する転写終結点(X)を含んでいる DNA 断片に換
えて、例えば、図1に例示する如く、2種の領域(T1及
びT2)とその直後の下流側に位置する転写終結点(X)の
内、 T1 を欠損する DNA 断片、 T2 及び転写終結点(X)
を欠損する DNA 断片、或は T1 、 T2 及び転写終結点
(X)を全て欠損するDNA 断片を用いて、上記のプラスミ
ドベクタ−の構築手順に準じて、SSI-TGF-α融合蛋白質
をコ−ドする DNA 配列を含む DNA 断片を調製し、プラ
スミドベクタ− pIJ702 に含まれるチロシナ−ゼ遺伝子
(mel)の制限酵素 Sph I 及び Sac Iにより切断される部
位に挿入することにより新たなプラスミドベクタ−を構
築することができる。
【0030】また、上記の方法により構築されるプラス
ミドベクタ−は下記の方法により、宿主微生物とする放
線菌に導入して、形質転換してなる微生物を創製するこ
とができる。
【0031】(形質転換手順)例えば S. lividans 66
などのStreptomyces属に属する放線菌を宿主として用
い、Hunter の方法("DNA Cloning", A Practical Appro
ach, 2, D.M.Glover Ed.IRL Press (1985) を参照)に準
じて、下記の手順により上記の方法で構築するプラスミ
ドベクタ−による形質転換株を得ることができる。
【0032】例えば S. lividans 66 の胞子を 50 ml
のYEME培地に接種し、振盪培養して得られる培養液を遠
心分離し、培養上清と菌体とに分ける。分取した菌体を
サッカロ−ス溶液等で洗浄後、集菌する。この菌体をリ
ゾチ−ム溶液に懸濁し、更にリゾチ−ム加え、37℃等
の温度においてリゾチ−ムを反応させ、菌細胞膜のペプ
チドグリカン層を破壊し、プロトプラストとする。この
プロトプラスト化した菌体をP溶液に懸濁し、氷冷下で
所定量のプラスミドDNAを加え、更にT溶液(例えば、25
% PEG1000 を含有する)を加え、氷冷下に放置する。該
プラスミドDNAが導入された菌体を回収し、例えば、R2
寒天培地上に接種培養して、細胞膜を再生させる。前記
のR2寒天培地上に、チオストレプトン 1 mgを含む上
層軟寒天培地を重層し、菌を培養した。当該チオストレ
プトンに耐性を有する菌株を選別する。この選別した菌
株は、当該チオストレプトン耐性遺伝子を内在する該プ
ラスミドベクタ−を保持する形質転換株である。なお、
この形質転換株を胞子形成プレ−ト上に植菌し、胞子を
形成させることができる。得られる S. lividans 66形
質転換株の胞子は、10%グリセロ−ル液に懸濁した状
態で、−20℃で保存する。また、胞子形成プレ−ト上
に保持した状態で、4℃で保存することもできる。
【0033】本発明の製造方法は、非放線菌由来の異種
蛋白質、特に真核生物由来の分泌性蛋白質、例えばヒト
TGF-α(Transforming growth factor α)などを、該
SSIとの融合蛋白質として遺伝子工学的手法により製
造する際に、適用できる。本発明のプロテア−ゼインヒ
ビタ−SSIと異種蛋白質との融合蛋白質の製造方法
を、具体例により以下に説明する。
【0034】
【実施例1】 〔プラスミドベクタ− pJSF1 の構築〕SSIのアミノ
酸残基配列をコ−ドするDNA配列が、SSIと異種蛋
白質ヒトTGF-αとの融合蛋白質をコ−ドするDNA
配列に置き換えたプラスミドベクタ− pJSF1 を下記の
作製法に従い構築した。
【0035】予め、目的とする非放線菌由来の分泌性蛋
白質であるヒトTGF-αのアミノ酸配列を基に、図5
の(A)に核酸配列を示す人工のDNAを合成した。この
ヒトTGF-α合成遺伝子(特願平1−271250号明
細書、及び対応する特開平3−133383号公報等を
参照)では、その分泌されるアミノ酸配列のN末端にメ
チオニン(Met)を付加したアミノ酸配列をコ−ドするも
のとして調製した。なお、このヒトTGF-α合成遺伝
子DNAは大腸菌由来のプラスミドに組込み、サブクロ
−ニングし、予め大量に調製した。次にサブクロ−ニン
グしたDNAは、図5の(A)に示す両端を制限酵素 Eco
R I 及び BamH I により切断し、単離した。
【0036】一方、 S. albogriseolus S-3253 株に由
来するSSIの天然の遺伝子DNAを制限酵素 Sph I
及び Sac I により切断される DNA 断片を、該SSIア
ミノ酸残基配列のC末端をGlu(112)-Phe(113) に変換す
ることに対応する部分核酸配列の部位特異的変異を施
し、新たに制限酵素 EcoR I による切断部位を導入し
た。更に、この制限酵素 EcoR I による切断部位と、そ
れに続く制限酵素 BamH Iによる切断部位の間に、分泌
性蛋白質cAD1のMetのアミノ酸残基配列をコ−ドする DN
A 配列を挿入してなる DNA 断片として、大腸菌由来の
プラスミドに組込み、サブクロ−ニングし、予め大量に
調製した。即ち、前記するSSI-cAD1融合蛋白質をコ−ド
する DNA 配列を含む遺伝子をサブクロ−ニングした、
図5に示す大腸菌プラスミド pSI205△EcA (Bio/Techno
logy 7, 1063-1066 (1989) 或は 蛋白質 核酸 酵素 , v
ol. 37(3) 245-257 (1992) を参照)を、予め大腸菌に導
入し、該大腸菌を培養することにより大量に調製した。
当該プラスミド pSI205△EcAを、制限酵素 EcoR I 及び
BamH I により消化してSSIの構造遺伝子DNAを制
限酵素 Sph I 及び Sac I により切断される DNA 断片
を含むプラスミドの断片を得た。
【0037】このプラスミドの断片と上記するヒトTG
F-α合成遺伝子のDNA断片とを、両端の制限酵素 Ec
oR I 及び BamH I による切断部位を互いに接続するこ
とにより、図9の(A)に示すプラスミド pSIF1 を得
る。得られるプラスミド pSIF1 は、SSIのアミノ酸
残基配列をコ−ドする DNA 配列に導入される部位特異
的変異により、該SSIアミノ酸残基配列のC末端はGl
u(112)-Phe(113) に変換したC末にヒトTGF-αのア
ミノ酸残基配列が連結される融合蛋白質をコ−ドする D
NA 配列を有するものである。また、該プラスミド pSIF
1 は大腸菌プラスミドであるので、それを導入した大腸
菌を培養して、大量に調製した。
【0038】次に、調製したプラスミド pSIF1 から制
限酵素 SphI 及び SacI により切断される DNA 断片を
得た。このSSI-TGF-α融合蛋白質をコ−ドする DNA 配
列を含む DNA 断片を、プラスミドベクタ− pIJ702 (J.
Gen. Microbiol. 129, 2703-2714 (1983) を参照)に含
まれるチロシナ−ゼ遺伝子(mel)の制限酵素 SphI 及びS
acI により切断される部位に挿入した。得られるプラス
ミドベクタ−は、図5に示すように、プラスミドベクタ
− pIJ702 に内在する複製開始点を保存し、且つSSI-TG
F-α融合蛋白質をコ−ドする DNA 配列を含む DNA 断片
をチロシナ−ゼ遺伝子(mel) DNA 中に挿入するものであ
り、本発明者らは、プラスミドベクタ−pJSF1 の呼称を
付与した。なお、図9に示すプラスミドベクタ− pJSF1
は、用いたプラスミドベクタ− pIJ702 に内在される
選択マ−カ−、チロシナ−ゼ遺伝子(mel)及びチオスト
レプトン耐性遺伝子(tsr)、の内、チロシナ−ゼ遺伝子
(mel)は挿入により失活しており、チオストレプトン耐
性遺伝子のみが活性を保持している。
【0039】〔プラスミドベクタ− pJSF1 による S. l
ividans 66 の形質転換〕宿主として S. lividans 66
を用い、Hunter の方法("DNA Cloning", A Practical A
pproach, 2, D.M.Glover Ed. IRL Press (1985) を参
照)に準じて、下記の手順によりプラスミドベクタ− pJ
SF1 による形質転換株を得た。
【0040】S. lividans 66 の胞子を 50 mlのYEME
培地に接種し、30℃で3日間振盪培養した。得られる
培養液を遠心分離(5,500 rpm , 5 min ,室温)し、培
養上清と菌体とに分け、菌体を 20 mlの 0.3 M サッ
カロ−スで洗浄後、集菌した。この菌体を 8 mlのリ
ゾチ−ム溶液に懸濁し、更に 8 mg のリゾチ−ム加え、
37℃で30分間反応させ、菌のペプチドグリカン層を
破壊した。10 mlのP溶液を加え脱脂綿で濾過した後、
遠心分離(3,000 rpm , 10 min ,室温)し、菌体を分取
した。このプロトプラスト化した菌体を、10 mlのP溶
液で洗浄した後、 4 mlのP溶液に懸濁した。
【0041】得られたプロトプラストの懸濁液 50 μl
に、氷冷下でプラスミドDNA( 1 μg/5 μl)を加え
た。10 秒後に、 250 μlのT溶液(25 % PEG1000 を含
有する)を加え、氷冷下に約1分間放置した。次いで、1
mlのP溶液を加え、氷冷下に約10分間放置した。こ
の液から遠心分離(5,000 rpm , 3 min ,室温)により
菌体を回収し、R2寒天培地上に接種した。その後、20
〜24時間かけて細胞膜を再生させた。前記のR2寒天培
地上に、チオストレプトン 1 mgを含む上層軟寒天培
地を重層し、菌を培養した。当該チオストレプトンに耐
性を有する菌株を選別した。この選別した菌株は、該プ
ラスミドベクタ− pJSF1 を保持する形質転換株であ
る。なお、この形質転換株を胞子形成プレ−ト上に植菌
し、胞子を形成させた。得られた S. lividans 66 形質
転換株の胞子は、10%グリセロ−ル液に懸濁した状態
で、−20℃で保存した。
【0042】また、得られた S. lividans 66 形質転換
株を 5 mlのTSB( Trypton Soya Broth, Oxoid : チオ
ストレプトン 1 μg/ml 含有)培地に植菌し、30℃
で3日間振盪培養した。培養液を遠心分離(6,500 rpm
, 10 min)し、培養上清と菌体とに分けた。この培養
中、培養上清を経時的に採取して、SDS-ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)に供した後、Coomassie Br
illiant Blue を用いてゲル上の蛋白質バンドを染色し
たところ、図6に示すように、分子量約 18 kDaの位置
S. lividans 66 に由来しない蛋白質がメインバンド
として見い出された。この形質転換株が分泌生産する分
子量約 18 kDa の蛋白質は、ウサギ抗SSI抗体と反応
する(図6を参照)ことから、融合蛋白質 SSI-TG
F-α であることが判る。更に、この融合蛋白質は、ヤ
ギ抗TGF-α抗体とも反応し、SSIに相当する部分
とTGF-αに相当する部分はともに、それぞれ独立に
本来の三次元構造を取って分泌されていることが判る。
上記の培養により培養上清中に分泌される融合蛋白質
SSI-TGF-α は、SDS-PAGE上のバンドの濃さ(den
sity)を参照とする標準濃度SSIを内部標準にして、
デンシトメ−タ−を用いて定量評価し、培養上清中の該
融合蛋白質濃度は凡そ 30 mg/l と見積もられた。
【0043】〔融合蛋白質 SSI-TGF-α の分泌生
産〕得られるプラスミドベクタ− pJSF1 により形質転
換した S. lividans 66 形質転換株 の胞子を、 5 ml
のTSB(チオストレプトン 1 μg/ml 含有)培地2本に
植菌し、30℃で3日間培養し、菌体を発芽させた。該
菌体を培養したTSB培地 計10mlを、各1mlずつ分
取し、100mlのTSB(チオストレプトン1 μg/ml
含有)培地を入れた坂口フラスコ 10本に加え、30℃
で3日間振盪培養した。得られる培養液を遠心分離(6,
500 rpm , 15 min)し、培養上清と菌体とに分けた。分
取した培養上清に、80 % 飽和となる量の硫酸アンモニ
ウムを加え、該培養上清に含まれる蛋白質を沈殿させ
た。沈殿した蛋白質を分取した後、20 mM Tris-HCl ,
pH 7.5 水溶液に懸濁させ、DEAE-Cellulose カラム(径
2.5 cm × 長さ 40 cm)を用い、0から0.5MのNaCl
濃度勾配を設け、融合蛋白質を溶出させた。溶出した融
合蛋白質は、抗SSI抗体を用いたマイクロオクタロニ
−法(Bio/Technology 7, 1063-1066 (1989) を参照)
により、SSIのアミノ酸配列を含む融合蛋白質として
検出した。この融合蛋白質を含む溶出画分を、更にC18
カラムを用いた逆相HPLC法による精製を施した。なお、
該逆相HPLCでは、0.1 %(v/v) トリフルオロ酢酸水溶液
を用い、0〜80%(v/v) のアセトニトリル濃度勾配を
設け、目的の融合蛋白質を溶出した。前記する各精製過
程において、SDS-PAGEパタ−ンを測定した結果を、図7
に示す。最終の逆相HPLC精製後、約18 kDa に目的の
融合蛋白質 SSI-TGF-α が単離されている。上記
する図7の結果より、SSI-TGF-αが培養上清中に
分泌生産されていることが分かる。
【0044】〔融合蛋白質 SSI-TGF-αの活性測
定〕単離精製した融合蛋白質 SSI-TGF-α が、S
SIに相当する部分とTGF-αに相当する部分はとも
に、それぞれ独立に本来の三次元構造を保つことを検証
するため、SSI活性を下記の方法により評価した。S
SI活性は、カゼインを基質に用い、サブチシンBPN'に
対する阻害活性の測定を、佐藤らの方法(Arg. Biol. Ch
em., 36, 1737-1744 (1972) を参照)に準じ行なった。
【0045】サブチシンBPN' 4 μg(145 pmol に相当)
と該融合蛋白質の諸量を、100 μlの 0.1 M 硼酸緩衝液
(pH 9.5)中、37℃で10分間インキュベ−ションし、
複合体の形成を行なう。次に、300 μl の 1.33 % カ
ゼイン/ 0.1 M 硼酸緩衝液(pH 9.5)を添加し、37℃で
10分間インキュベ−ションする。この間に、複合体を
形成ぜず、残留しているサブチシンBPN' により、基質
のカゼインが消化される。次いで、未消化のカゼインを
変性沈殿するため、400 μl の 0.44 M TCAを加え、3
7℃で20分間インキュベ−ションした後、遠心(12,00
0 rpm, 5 min)し、カゼインの消化物が含まれる上清を
分取する。分取された上清 200 μl当り 0.44 M Na2CO3
溶液 1 ml を加え、更に 1 N フェノ−ル試薬 200 μl
を加え混合する。カゼインの消化物は、前記のフェノ
−ル試薬により発色を呈するが、37℃で20分間イン
キュベ−ションした後、その発色を660 nm の吸光度を
測定し評価する。なお、測定される660 nm の吸光度
は、カゼインの消化物の濃度と比例し、又複合体を形成
ぜず、残留しているサブチシンBPN' による活性に比例
する。
【0046】上記の方法で、単離精製した融合蛋白質
SSI-TGF-αの有するSSI活性を評価したとこ
ろ、サブチシンBPN' に対して、等モル量を超えると
き、阻害活性は 100 %と算出された。即ち、SSIと
同じく、サブチシンBPN' と当量的に複合体を形成し、
酵素活性を阻害していることが判る。更には、単離精製
した融合蛋白質 SSI-TGF-α が、SSIに相当す
る部分とTGF-αに相当する部分はともに、それぞれ
独立に本来の三次元構造を保つので、かかるSSI活性
が保たれることが判る。
【0047】〔融合蛋白質 SSI-TGF-αの細胞増
殖活性測定〕単離精製した融合蛋白質 SSI-TGF-
α が、SSIに相当する部分とTGF-αに相当する部
分はともに、それぞれ独立に本来の三次元構造を保つこ
とを更に検証するため、TGF-αに相当する部分に起
因する細胞増殖活性を下記の方法により評価した。
【0048】対象とする細胞として、動物細胞であるラ
ット・正常繊維芽細胞 NRK−49F細胞(大日本製薬
(株)にて市販)を用いた。 NRK−49F細胞を予め
10%子牛血清(CS)を含むD−MEM培地で培養
し、該細胞の懸濁液を調製する。96ウエルプレ−ト
に、1ウエル当りNRK−49F細胞 5×103
(培地200μl)を接種し、5%CO2存在下、37
℃で24時間培養する。次いで、培地を除き、細胞をP
BSで洗浄した後、各ウエルに0.5%CSを含むD−
MEM培地 100μlを加え、5%CO2存在下、37
℃で24時間培養して、無血清化処理をする。
【0049】SSI-TGF-αを0.5%CSを含むD
−MEM培地に溶解希釈し、所定濃度の2倍濃度の液を
調製し、各ウエルに100μlを添加する。なお、各ウ
エル中に添加されるSSI-TGF-αの濃度は、所定濃
度となる。5%CO2存在下、37℃で20時間培養
し、各ウエルに1μCiの3H−チミジン(20μl)
を加えて、更に4時間培養する。この間に、分裂増殖す
る細胞の染色体DNAに3H−チミジンが取り込まれ
る。その後、トリプシン処理し細胞を剥離し、セルハ−
ベスタ−を用い細胞を破砕しガラスフィルタ−に細胞破
砕物を採取する。シンチレ−タ−を加えた後、染色体D
NAに取り込まれた3H−チミジンの量を液体シンチレ
−ションカウンタ−で測定する。なお、組み換え型ヒト
TGF-α(R&D社にて市販)を用いて、同じ操作を
行い陽性対照とした。測定される3H−チミジンの取り
込み量は、細胞増殖量に比例する。
【0050】上記の方法で細胞増殖活性を評価したとこ
ろ、図14に示す細胞増殖活性の培地中濃度依存性を有
することが判った。陽性対照のヒトTGF-αでは、約
10ng/mlで最大の活性が見られるが、SSI-T
GF-αにおいては、約100ng/mlで最大の活性
が見られ、又その最大増殖活性は等しいことが判る。な
お、評価法に因る誤差、及びSSI-TGF-αの分子量
はTGF-αの約3倍であることを考慮すると、1モル
当りの比活性は比較し得るものであることが判る。即
ち、本発明の方法により放線菌から分泌生産される融合
蛋白質 SSI-TGF-αは、SSIに相当する部分と
TGF-αに相当する部分はともに、それぞれ独立に本
来の三次元構造を保つので、かかるTGF-αに相当す
る部分に起因する細胞増殖活性が保たれることが判る。
【0051】
【実施例2】 〔プラスミドベクタ− pJSF1t2 の構築〕SSIのアミ
ノ酸残基配列をコ−ドするDNA配列が、SSIと異種
蛋白質ヒトTGF-αとの融合蛋白質をコ−ドするDN
A配列に置き換えたプラスミドベクタ− pJSF1t2 を下
記の作製法に従い構築した。
【0052】上記する実施例1の作製法に従い、予めヒ
トTGF-α合成遺伝子DNAは大腸菌由来のプラスミ
ドに組込み、サブクロ−ニングし、予め大量に調製し
た。次にサブクロ−ニングしたDNAは、図5の(A)に
示す両端を制限酵素 EcoR I 及び BamH I により切断
し、単離した。
【0053】一方、予め大量に調製した前記する大腸菌
プラスミド pSI205△EcA を、制限酵素 Xba I 及び Nco
I により消化し、次いで、切断された DNA 端部を T4
DNAポリメラ−ゼで平滑末端化し、 T4 DNA リカ−ゼに
より連結した。得られるプラスミドは、図1に示すプラ
スミド pJSt2 と同様に、上記のプラスミド pSI205△Ec
A 内のペプチドをコ−ドする DNA 配列の下流側(DN
A(+)鎖の3’方向)に存在する大腸菌で見出される
ρ因子非依存型タ−ミメ−タ−構造と類似するGCに富
む2種の領域(T1及びT2)とその直後の下流側に位置する
転写終結点(X)を含んでいる DNA 断片に換えて、 T1 を
欠損する DNA 断片を有するものである。このプラスミ
ドに、本発明者らは、プラスミドベクタ− pSI205△EcA
t2 の呼称を付与した。当該プラスミド pSI205△EcAt2
を、大腸菌に導入し、該大腸菌を培養することにより大
量に調製した。該プラスミド pSI205△EcAt2 を、制限
酵素 EcoR I 及び BamH I により消化して、SSIのア
ミノ酸残基配列をコ−ドするDNA配列を含むプラスミ
ドの断片を得た。以降の手順は実施例1に記す手順に準
じて、プラスミドベクタ− pJSF1t2 を構築した。
【0054】このプラスミドの断片と上記するヒトTG
F-α合成遺伝子のDNA断片とを、両端の制限酵素 Ec
oR I 及び BamH I による切断部位を互いに接続するこ
とにより、プラスミド pSIF1t2 を得る。得られるプラ
スミド pSIF1 は、SSIのアミノ酸残基配列をコ−ド
する DNA 配列に導入される部位特異的変異により、該
SSIアミノ酸残基配列のC末端はGlu(112)-Phe(113)
に変換したC末にヒトTGF-αのアミノ酸残基配列が
連結される融合蛋白質をコ−ドする DNA 配列を有する
ものである。また、該プラスミド pSIF1t2 は大腸菌プ
ラスミドであるので、それを導入した大腸菌を培養し
て、大量に調製した。
【0055】次に、調製したプラスミド pSIF1t2 から
制限酵素 SphI 及び SacI により切断される DNA 断片
を得た。このSSI-TGF-α融合蛋白質をコ−ドする DNA
配列を含む DNA 断片を、プラスミドベクタ− pIJ702
(J. Gen. Microbiol. 129, 2703-2714 (1983) を参照)
に含まれるチロシナ−ゼ遺伝子(mel)の制限酵素 SphI
及び SacI により切断される部位に挿入した。得られる
プラスミドベクタ−は、実施例1のプラスミドベクタ−
pJSF1 と同様に、プラスミドベクタ− pIJ702 に内在
する複製開始点を保存し、且つSSI-TGF-α融合蛋白質を
コ−ドする DNA 配列を含む DNA 断片をチロシナ−ゼ遺
伝子(mel) DNA 中に挿入するものであり、本発明者ら
は、プラスミドベクタ− pJSF1t2 の呼称を付与した。
なお、図9の(B)に示すプラスミドベクタ− pJSF1t2
も、用いたプラスミドベクタ− pIJ702に内在される選
択マ−カ−、チロシナ−ゼ遺伝子(mel)及びチオストレ
プトン耐性遺伝子(tsr)、の内、チロシナ−ゼ遺伝子(me
l)は挿入により失活しており、チオストレプトン耐性遺
伝子のみが活性を保持している。
【0056】〔プラスミドベクタ− pJSF1t2 による S.
lividans 66 の形質転換〕宿主として S. lividans 66
を用い、上記する実施例1の手順に準じて、プラスミ
ドベクタ− pJSF1t2 による形質転換株を得た。即ち、
実施例1のプラスミドベクタ− pJSF1に換えて、上記の
方法で構築したプラスミドベクタ− pJSF1t2を用いて、
S. lividans 66 を形質転換した。また、得られた形質
転換株は、分子量約 18 kDa の S. lividans 66 に由来
しない蛋白質を分泌生産することを確認した。図8に、
実施例1のプラスミドベクタ− pJSF1 による形質転換
株と、本実施例2のプラスミドベクタ− pJSF1t2 によ
る形質転換株とが、それぞれ分泌生産する蛋白質のSDS-
PAGEパタ−ンを測定した結果を比較する。両者が同じ蛋
白質であることが判り、更に、ウサギ抗SSI抗体及び
ヤギ抗TGF-α抗体と反応することも確認した。加え
て、SSI活性も全く同じ結果が得られ、SSIに相当
する部分とTGF-αに相当する部分はともに、それぞ
れ独立に本来の三次元構造を保つ融合蛋白質 SSI-T
GF-α であることが判った。なお、単離される本実施
例2の融合蛋白質 SSI-TGF-αと上記する実施例
1の融合蛋白質 SSI-TGF-αとは同じアミノ酸配
列をもち、独立に本来の三次元構造を保つ融合蛋白質で
あるので、上記する実施例1と同じく、細胞増殖活性は
TGF-αに相当する部分による。
【0057】〔融合蛋白質 SSI-TGF-α の分泌生
産〕実施例1に記す方法に準じて、プラスミドベクタ−
pJSF1t2 による形質転換株を培養して、分泌生産され
た融合蛋白質 SSI-TGF-αを単離精製した。本実
施例2で得られた精製 SSI-TGF-αの量は、実施
例1の場合の 1.3 倍量であった。同時に、培養液から
分取した培養上清のSDS-PAGEパタ−ンを測定し比較した
ところ、図8に示す結果が得られた。また、分子量約 1
8 kDa のバンドから、菌体当りの分泌量を、SSIを内
部標準にして、デンシトメ−タ−を用いて定量評価し、
本実施例2の形質転換株は、実施例1の形質転換株より
1.3 倍分泌生産能が高いことが判った。
【0058】当該プラスミドベクタ− pJSF1t2 は、プ
ラスミドベクタ− pJSF1のSSIの構造遺伝子DNAに
付随するGCに富む2種の領域、T1及びT2、とその
直後の下流側に位置する転写終結点の内、T1の領域の
みが欠損したものである。この差違による分泌生産能の
違いは、図8に併せて示す、SSI-cAD1における
2.2倍、SSI-AP1における2.1倍、更には、
SSI自体の分泌生産能における3.5倍の差違ほど顕
著ではないが、T1の領域の除去により分泌生産能が明
確に高くなっている。
【0059】
【発明の効果】本発明のプロテア−ゼインヒビタ−SS
Iと異種蛋白質との融合蛋白質の製造方法においては、
該融合蛋白質をコ−ドするDNA遺伝子からのmRNA
の発現量を高くすることができ、またそのmRNAから
ペプチド鎖への翻訳も高い効率で行われ、更には翻訳さ
れるペプチド鎖のN末端領域に存在する当該SSIの細
胞外への分泌を司るシグナルペプチドを利用して、効率
よく当該融合蛋白質を細胞外へ分泌生産させることがで
きる。加えて、細胞外へ分泌される当該融合蛋白質は、
それを構成するSSI部分と異種蛋白質部分は、それぞ
れ独立して天然のSSI及び該異種蛋白質の示す立体構
造を採り、独立した複数のドメイン構造を形成した融合
蛋白質として分泌生産させることができる。この独立し
た複数のドメイン構造を形成した融合蛋白質は、そのS
SI部分と異種蛋白質部分とを接続するペプチド鎖部分
において、当該ペプチド鎖を選択的に切断する化学的処
理或は酵素反応により2つのペプチド鎖に分離すること
により、それぞれ天然のSSIと異種蛋白質と実質的に
同一のドメイン構造を有する蛋白質とすることができ
る。この切断して得られる2つの蛋白質(SSIと異種
蛋白質)は、そのドメイン構造、即ち3次元的立体構造
は天然の蛋白質と実質的に同一であるので、生理活性に
おいても実質的に同一となる利点を有する。
【0060】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:12 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 TTC GAA TTC TAG 12 AAG CTT AAG ATC Phe Glu Phe
【0061】配列番号:2 配列の長さ:12 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:他の核酸 遺伝子DNA断片 配列 TTC GCC TTC TAG 12 AAG CGG AAG ATC Phe Ala Phe
【図面の簡単な説明】
【図1】 ベクタ− pJS84、pJS53、pJSt2、及びpJSt1
の特徴となる部分DNA構造を示す。
【図2】 ベクタ− pJS84のSac I - Sph I 間の部分D
NA構造を示す。
【図3】 SSI遺伝子の翻訳開始領域及び転写開始点
と転写終結点を示す。
【図4】 SSI遺伝子の転写終結点近くの特異な核酸
配列に伴う構造を予測する図を示す。
【図5】 ヒトTGF-α合成遺伝子のDNA断片及び
プラスミドベクタ−pJSF1の構築方法を示す。
【図6】 プラスミドベクタ− pJSF1 を保持する形質
転換株 S. lividans66 分泌生産する蛋白質のSDS-PAGE
パタ−ンを示す。
【図7】 プラスミドベクタ− pJSF1 を保持する形質
転換株 S. lividans66 分泌生産する蛋白質の精製過程
及び抗SSI抗体との反応性を示す。
【図8】 実施例1、及び実施例2のSSI−TGF-
α融合蛋白質の分泌量を比較する結果を示す。
【図9】 プラスミドベクタ− pJSF1 及び pJSF1t2 の
DNA構造を比較する模式図を示す。
【図10】 ベクタ− pJS84、pJS53、pJSt2、及びpJSt
1よりのSSIのmRNAの発現量を比較する結果を示
す。
【図11】 S. albogriseolus S-3253 より単離された
SSIの天然の遺伝子の核酸配列を示す。
【図12】 天然の分泌されるSSIのアミノ酸配列を
示す。
【図13】 報告されたプラスミドベクタ− pIJ702 の
制限酵素地図を示す。
【図14】 SSI−TGF-α融合蛋白質の細胞増殖
活性とヒトTGF-αの細胞増殖活性を比較する結果を
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三浦 謹一郎 東京都文京区本駒込5−20−4−504 (72)発明者 三沢 悟 埼玉県戸田市新曽南三丁目17番35号 株式 会社ジャパンエナジ−内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Streptomyces属放線菌に属する S. albo
    griseolus S-3253株に由来するプロテア−ゼインヒビタ
    −SSI(Streptomyces subtilisin inhibitor)のC
    末に非放線菌由来の分泌性蛋白質である異種蛋白質を連
    結してなる融合蛋白質をコ−ドする DNA 配列を、放線
    菌由来の環状のDNAからなるプラスミドに組み込んで
    なる該融合蛋白質の蛋白質翻訳が可能なプラスミドベク
    タ−を放線菌に導入して形質転換してなる微生物を培養
    して、該プロテア−ゼインヒビタ−SSIと該異種蛋白
    質との融合蛋白質を当該形質転換してなる微生物の細胞
    外に分泌生産させ、該融合蛋白質を分取することを特徴
    とするプロテア−ゼインヒビタ−SSIと異種蛋白質と
    の融合蛋白質の製造方法。
  2. 【請求項2】 Streptomyces属放線菌に属する S. albo
    griseolus S-3253株に由来するプロテア−ゼインヒビタ
    −SSI(Streptomyces subtilisin inhibitor)の遺
    伝子DNAを制限酵素 Sph I 及び Sac I により切断さ
    れる DNA 断片に含まれる配列番号2に示す部分核酸配
    列を配列番号1に示す部分核酸配列に部位特異的変異に
    より変換してなる変異 DNA 断片と、非放線菌由来の分
    泌性蛋白質である異種蛋白質をコ−ドする DNA 配列を
    含み、その両端が制限酵素 EcoRI 及び BamH I により
    それぞれ切断してなる異種蛋白質の DNA 断片とから、
    該変異 DNA 断片を制限酵素 EcoR I 及び BamH I によ
    り切断した部分に前記異種蛋白質の DNA 断片を挿入し
    てなる融合遺伝子DNA断片となし、該融合遺伝子DN
    A断片をプラスミド pIJ702 の制限酵素 Sph I 及び Sa
    c I により切断した部分に挿入してなる環状のDNAか
    らなるプラスミドベクタ−を放線菌に導入して形質転換
    してなる微生物を培養して、該プロテア−ゼインヒビタ
    −SSIと該異種蛋白質との融合蛋白質を当該形質転換
    してなる微生物の細胞外に分泌生産させ、該融合蛋白質
    を分取することを特徴とするプロテア−ゼインヒビタ−
    SSIと異種蛋白質との融合蛋白質の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記の放線菌がStreptomyces 属に属す
    る放線菌が成す群より選択される放線菌であることを特
    徴とする請求項1又は2に記載のプロテア−ゼインヒビ
    タ−SSIと異種蛋白質との融合蛋白質の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記の非放線菌由来の分泌性蛋白質であ
    る異種蛋白質が20以上のアミノ酸残基からなることを
    特徴とする請求項1、2又は3に記載のプロテア−ゼイ
    ンヒビタ−SSIと異種蛋白質との融合蛋白質の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 上記の非放線菌由来の分泌性蛋白質であ
    る異種蛋白質が、真核生物由来の成長因子蛋白質、ペプ
    チド性ホルモン及びペプチド性フェロモンとからなる群
    より選択される蛋白質であることを特徴とする請求項
    1、2、3又は4に記載のプロテア−ゼインヒビタ−S
    SIと異種蛋白質との融合蛋白質の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記の非放線菌由来の分泌性蛋白質であ
    る異種蛋白質が、真核生物由来の受容体蛋白質のペプチ
    ド性基質蛋白質及び真核生物由来の細胞外酵素蛋白質に
    対してその酵素と結合し酵素活性を阻害するペプチド性
    阻害因子蛋白質とからなる群より選択される蛋白質であ
    ることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載のプ
    ロテア−ゼインヒビタ−SSIと異種蛋白質との融合蛋
    白質の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0915157A2 (de) * 1997-11-07 1999-05-12 Dade Behring Marburg GmbH Verfahren zur Herstellung von funktionalem rekombinantem Gewebsfaktor
US6579698B1 (en) 1996-09-24 2003-06-17 The Procter & Gamble Company Stabilized proteinaceous protease inhibitors and variants thereof

Cited By (3)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6579698B1 (en) 1996-09-24 2003-06-17 The Procter & Gamble Company Stabilized proteinaceous protease inhibitors and variants thereof
EP0915157A2 (de) * 1997-11-07 1999-05-12 Dade Behring Marburg GmbH Verfahren zur Herstellung von funktionalem rekombinantem Gewebsfaktor
EP0915157A3 (de) * 1997-11-07 2003-11-26 Dade Behring Marburg GmbH Verfahren zur Herstellung von funktionalem rekombinantem Gewebsfaktor

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