JPH08335139A - 座標検出装置 - Google Patents

座標検出装置

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JPH08335139A
JPH08335139A JP14213495A JP14213495A JPH08335139A JP H08335139 A JPH08335139 A JP H08335139A JP 14213495 A JP14213495 A JP 14213495A JP 14213495 A JP14213495 A JP 14213495A JP H08335139 A JPH08335139 A JP H08335139A
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JP
Japan
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electrode
electrodes
coordinate
circuit
electrode group
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JP14213495A
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English (en)
Inventor
Hitoshi Koino
仁 濃野
Yasuhiro Yoshida
育弘 吉田
Kengo Takahama
健吾 高濱
Kosei Tagawa
孝生 田川
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Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 指示具によって指示されるパネル上の座標位
置の検出精度が高い座標検出装置を提供する。 【構成】 座標検出装置における液晶パネル12は、基
板31bに設けられるコモン電極Cにおいて定められる
第1電極群の中心と第2電極群の中心との第1距離N
と、コモン電極Cと指示電極22の先端部22aとの第
2距離Hとが 0.4≦N/H≦1.1となるように構
成されているので、指示電極22によって指し示される
液晶パネル12の座標位置を精度よく検出することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電界発生手段を用いて
発生させた電界を、液晶パネルにおける電極に作用させ
たときに電極に発生する誘導電圧を検出して、電界発生
手段の液晶パネルにおける座標を得ることができる座標
検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図45は、典型的な従来例である表示一
体型の座標検出装置901の構成を示すブロック図であ
る。電子ペン908が示す座標位置の検出と画像の表示
とを行う座標検出装置901において切換え回路912
は、制御回路906から与えられる制御信号に従って、
画像を表示する際の制御を行う表示制御回路910と、
座標位置を検出する際の制御を行う検出制御回路911
との出力を切換えて受取る。座標検出装置901では、
画像表示を行う表示期間と座標位置検出を行う座標検出
期間とが時分割で割り当てられている。
【0003】座標検出期間においては、検出制御回路9
11が選択され、検出制御回路911から与えられる各
信号に基づいて、セグメント駆動回路904はセグメン
ト電極走査信号を生成して、液晶表示パネル902のセ
グメント電極Sを順次走査する。前記座標検出期間にお
いて、セグメント電極Sの走査が終了した後、検出制御
回路911から与えられる各信号に基づいて、コモン駆
動回路903はコモン電極走査信号を生成してコモン電
極Cを順次走査する。
【0004】電子ペン908の先端部に設けられる電極
は、直下のセグメント電極Sあるいはコモン電極Cとほ
んのわずかの容量で結合しており、X座標検出回路90
7aおよびY座標検出回路907bは、電子ペン908
の先端電極に誘起された微小な誘導電圧に基づいて、電
子ペン908の先端部が位置する液晶パネル902のX
座標およびY座標を検出する。
【0005】また、表示期間においては、制御回路90
6の制御に従って切換え回路912は、表示制御回路9
10側の出力を受取り、コモン駆動回路903およびセ
グメント駆動回路904に出力する。
【0006】なお、表示期間において座標検出回路90
7a,907bで検出された電子ペン908の存在する
座標位置を示すデータを表示制御回路910に入力する
ことによって、検出された座標位置に表示を行うように
することができる。
【0007】コモン駆動回路903とセグメント駆動回
路904とは、切換回路912の出力に基づいて、電源
回路905から供給される複数の電圧を選択的に液晶パ
ネル902の各電極S,Cに印加する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記従来例は、電子ペ
ン908と各電極S,Cの間の微小な容量結合に基づく
誘導電圧を検出するものであるから、取り扱いやすい電
圧まで増幅するために多数の増幅器が必要となる上に、
S/N(Signal/Noise)比が悪く、電子ペン908の指
示する点と座標検出回路によって検出される座標点とに
ずれが生じることがある。また、多数の増幅器を用いる
ことにより装置全体の製造コストが増加する。さらに、
増幅器の数が多いので実装スペースが増加することとな
り、座標検出装置の小形化の障害となる。
【0009】本発明の目的は、指示具によって指示され
るパネル上の座標位置の検出精度が高い座標検出装置を
提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、複数の電極が
間隔をあけて予め定める配列方向に配列される座標検出
のためのパネルと、交流発振器と、前記交流発振器によ
って発生される交流電界が与えられ、前記電極との間で
静電的な結合を行うことによって、パネルに予め対応付
けられる座標位置を示す指示電極と、一方の入力が前記
電極の配列方向に隣接する1または複数の電極を含む第
1電極群と共通に接続され、第1電極群に対して配列方
向に隣接し、かつ第1電極群に含まれる電極数と同一数
の前記電極を含む第2電極群が他方の入力に共通に接続
され、一方および他方の入力から入力される前記静電的
な結合に基づく信号の差を出力する演算手段と、第1電
極群と第2電極群との配列方向に対する相対的な間隔を
変えることなく第1電極群と第2電極群とに含まれる各
電極を前記配列方向にずらして順次的に切換え接続を行
う切換え手段と、前記演算手段の出力と、前記切換え手
段によって演算手段に接続される電極の切換え接続状態
とに基づいて、前記指示電極が存在する前記パネルにお
ける座標位置を検出する座標検出手段とを含み、パネル
の前記電極と前記指示電極との第1距離をHとし、第1
電極群の配列方向に沿う幅の中央値と、第2電極群の前
記配列方向に沿う幅の中央値との第2距離をNとすると
き、前記第1距離であるHと前記第2距離であるNと
を、 0.4≦N/H≦1.1 と定めることを特徴とする座標検出装置である。また本
発明は、複数の電極が間隔をあけて予め定める配列方向
に配列される座標検出のためのパネルと、交流発振器
と、前記交流発振器によって発生される交流電界が与え
られ、前記電極との間で静電的な結合を行うことによっ
て、パネルに予め対応付けられる座標位置を示す指示電
極と、一方の入力が前記電極の配列方向に隣接する1ま
たは複数の電極を含む第1電極群と共通に接続され、第
1電極群に対して配列方向に隣接し、かつ第1電極群に
含まれる電極数と同一数の前記電極を含む第2電極群が
他方の入力に共通に接続され、一方および他方の入力か
ら入力される前記静電的な結合に基づく信号の差を出力
する演算手段と、第1電極群と第2電極群との配列方向
に対する相対的な間隔を変えることなく第1電極群と第
2電極群とに含まれる各電極を前記配列方向にずらして
順次的に切換え接続を行う切換え手段と、前記演算手段
の出力と、前記切換え手段によって演算手段に接続され
る電極の切換え接続状態とに基づいて、前記指示電極が
存在する前記パネルにおける座標位置を検出する座標検
出手段とを含み、パネルの前記電極と前記指示電極との
第1距離をHとし、前記第1および第2電極群の前記配
列方向に沿う幅である第3距離をBとするとき、前記第
1距離であるHと前記第3距離であるBとを、 0.3≦B/H≦0.7 と定めることを特徴とする座標検出装置である。
【0011】
【作用】本発明に従えば、複数の電極が予め定める間隔
をあけて予め定める配列方向に配列されるパネルにおい
て、前記電極の配列方向に対して隣接する1または複数
の電極を含む第1電極群と、前記第1電極群に対して配
列方向に隣接し、かつ第1電極群と同一本数の電極を含
む第2電極群とを定め、切換え手段によって各電極群の
電極を配列方向に、第1電極群と第2電極群との配列方
向に対する相対的な間隔を変えることなくずらして順次
的に切換えて、演算手段の一方の入力に第1電極群に含
まれる電極を共通に接続し、他方の入力に第2電極群に
含まれる電極を共通に接続する。交流発振器の出力が与
えられることで電界を発生する指示電極が存在するパネ
ルにおける座標位置を、前記演算手段の出力と、前記切
換え手段によって演算手段に接続される電極の切換え接
続状態とに基づいて座標検出手段で検出する。前記パネ
ルは、パネルに設けられる電極と前記指示電極との第1
距離をHとし、第1電極群の前記配列方向に沿う幅の中
央値と第2電極群の前記配列方向に沿う幅の中央値との
第2距離をNとするときに、N/Hが0.4以上1.1
以下の範囲内の値となるように形成される。したがっ
て、前記パネルにおける指示電極の存在する座標位置を
検出する際に、実際に指示電極が存在する座標と座標検
出手段によって検出された座標とのずれを小さくするこ
とができ、検出精度を高くすることができる。なお、前
記第1距離と第2距離との比であるN/Hが0.4未満
である場合、および1.1を超える場合には、実際に指
示電極が存在する座標と座標検出手段によって検出され
た座標とのずれが大きくなり、充分な検出精度を得るこ
とができない。
【0012】また本発明に従えば、複数の電極が予め定
める間隔をあけて予め定める配列方向に配列されるパネ
ルにおいて、前記電極の配列方向に対して隣接する1ま
たは複数の電極を含む第1電極群と、前記第1電極群に
対して配列方向に隣接し、かつ第1電極群と同一本数の
電極を含む第2電極群とを定め、切換え手段によって各
電極群の電極を配列方向に、第1電極群と第2電極群と
の配列方向に対する相対的な間隔を変えることなくずら
して順次的に切換えて、演算手段の一方の入力に第1電
極群に含まれる電極を共通に接続し、他方の入力に第2
電極群に含まれる電極を共通に接続する。交流発振器の
出力が与えられることで電界を発生する指示電極が存在
するパネルにおける座標位置を、前記演算手段の出力と
前記切換え手段によって演算手段に接続される電極の切
換え接続状態とに基づいて座標検出手段で検出する。前
記パネルは、パネルに設けられる電極と前記指示電極と
の第1距離をHとし、前記第1および第2電極群の前記
配列方向に沿う幅の第3距離をBとするときに、B/H
が0.3以上0.7以下の範囲内の値となるように形成
される。したがって、前記パネルにおける指示電極の存
在する座標位置を検出する際に、実際に指示電極が存在
する座標と座標検出手段によって検出された座標とのず
れを小さくすることができ、検出精度を高くすることが
できる。なお、前記第1距離と第3距離との比であるB
/Hが0.3未満である場合、および0.7を超える場
合には、実際に指示電極が存在する座標と座標検出手段
によって検出された座標とのずれが大きくなり、充分な
検出精度を得ることができない。
【0013】
【実施例】図1は本発明の第1実施例である座標検出装
置11の構成を示すブロック図であり、図2は座標検出
装置11の利用例を示す図であり、図3は座標検出装置
11に含まれる液晶パネル12周辺部のブロック図であ
る。
【0014】図1に示されるように座標検出装置11
は、液晶パネル12と、コモン駆動回路13と、セグメ
ント駆動回路14と、電源回路15と、制御回路16
と、検出回路17と、電子ペン18とを含んで構成され
る。
【0015】座標検出装置11は、従来の技術において
説明した座標検出装置901と同様に、電子ペン18が
示す座標位置の検出と画像の表示とを行うことができ
る。座標検出装置11では、座標検出期間と表示期間と
は制御回路16によって時分割で制御される。
【0016】座標検出期間においては、セグメント電極
Sおよびコモン電極Cに各電極毎に順次的に電圧を印加
して走査することによって得られる信号を、検出回路1
7に入力して電子ペン18の存在する座標位置を検出し
ている。
【0017】表示期間においては、制御回路16から与
えられる表示データに基づいてコモン電極13とセグメ
ント電極14とが電源回路15から供給される複数の電
圧を選択的にコモン電極Cおよびセグメント電極Sに印
加する。
【0018】座標検出装置11においては、図2に示す
ように使用者が電子ペン18をあたかも筆記用具のよう
に保持して、液晶パネル12の上をなぞるように動かす
ことによって電子ペン18の先端部の座標が検出され
る。表示パネル12上に、前記検出された座標点を点灯
するようにすることによって、あたかも筆記用具で紙に
字などを書くように液晶パネル12に画像を表示させる
ことができる。なお、図2においては、他の構成要素と
の区別が容易となるように電子ペン18にハッチングを
施した。
【0019】液晶パネル12は、たとえばデューティ駆
動方式の液晶表示パネルであり、本実施例においては座
標入力に兼用して用いている。図3に示す液晶パネル1
2は、説明を容易にするためにX軸方向およびY軸方向
いずれも画素数が8個ずつ、すなわち総画素数が64個
としている。なお、液晶パネル12において、コモン電
極Cおよびセグメント電極Sと他の構成要素との区別を
容易にするために、コモン電極Cおよびセグメント電極
Sにハッチングを施した。また、画素表示駆動回路19
は図1に示すコモン駆動回路13とセグメント駆動回路
14とを1つの回路に構成したものであり、液晶パネル
12の駆動方式の違いによって異なる構成となる。電子
ペン18は、交流発振器21と電極22a,23aとを
含んで構成され、交流電界を発生する。制御回路16に
よって制御されることで液晶パネル12において座標入
力機能と画像表示機能とが行われる。
【0020】前記座標検出機能とは、本実施例において
は液晶パネル12上での電子ペン18の存在する位置を
座標として検出することであり、図2に示す液晶パネル
12の画像表示部分20に水平方向にX軸、垂直方向に
Y軸をとったときに、電子ペン18がいずれの座標
(X,Y)に置かれているか検出しようというものであ
る。すなわち、電子ペン18において発生された電界を
液晶パネル12に作用させ、液晶パネル12のセグメン
ト電極Sおよびコモン電極Cに生じた電気的な変化を座
標検出回路17で検出して電子ペン18の置かれた座標
位置を検出する。
【0021】図4は液晶パネル12におけるコモン電極
Cの構成を示す図であり、図5は液晶パネル12および
電子ペン18の断面図であり、図6は図1に示す切断面
線VI−VIから見た断面図である。
【0022】本実施例においては、コモン電極Cを用い
て説明を行うがセグメント電極Sについても同様であ
る。図3に示す座標軸に従うとコモン電極CはY軸方向
に配列されている。図4において、たとえば理解を容易
にするためにハッチングを施した斜線で示す電極である
コモン電極C3,C4を1組として第1電極群51を形
成し、第1電極群51と同一本数であるコモン電極C
9,C10を1組として第2電極群52を形成する。第
1電極群51と第2電極群52との間には、4本のコモ
ン電極C5〜C8が存在する。
【0023】第1電極群51の中心点と第2電極群52
の中心点とのY軸方向の距離を第2距離Nとする。ま
た、第1電極群51および第2電極群52のY軸方向の
幅を第3距離Bとする。なお、第1電極群51および第
2電極群52に含まれる電極本数ならびに、第1電極群
51および第2電極群52の間に存在する電極の本数は
図4に示す例に限らない。
【0024】図6に示すように、液晶パネル部34はセ
グメント電極Sが形成される基板31aと、コモン電極
Cが形成される基板31bとを各電極S,Cが対向する
ように貼合わせ、周辺部を封止部材32で封止し、封止
部材32によって形成される基板31aと基板31bと
の間の空間に液晶層33となる液晶を注入して形成され
ている。
【0025】液晶パネル12においては、液晶パネル部
34を覆うようにアクリルなどによって形成される防護
板35を設ける。防護板35と基板31aとの間には、
液晶パネル部34の周辺部に設けられるスペーサ36に
よって形成されるエアギャップ37が存在する。エアギ
ャップ37が存在することによって、防護板35がたわ
んだ場合であっても防護板35が基板31aに接触する
ことを防止することができる。電子ペン18の先端部に
おいては、指示電極22の先端部22aを包み込むよう
に樹脂39が形成される。本実施例においては、指示電
極22の直径は0.8〜1.0mmである。電子ペン1
8の詳しい構造については後述する。
【0026】基板31aの厚みを距離L1とし、エアギ
ャップ37の厚みを距離L2とし、防護板35の厚みを
距離L3とし、指示電極22の先端部22aから防護板
35の一方表面35aまでを距離L4とする。たとえば
本実施例においては、距離L1は1.1mmであり、距
離L2は1.7mmであり、距離L3は1.0mmであ
り、距離L4は0.5mmである。距離L1、L2、L
3、L4をそれぞれ足し合わせた距離を第1距離Hとす
る。すなわち、本実施例において第1距離Hは4.3m
mとなる。本実施例において示す各距離の値および指示
電極の直径は、前述した各数値に限るものではない。
【0027】図7は、電子ペン18の構成を示す概略的
な断面図である。図7(1)に示す電子ペン18は、交
流発振器21と、指示電極22と、外側電極23とを含
んで構成される。外側電極23は、指示電極22を取り
囲むように形成されており、指示電極22と外側電極2
3とが同軸状の電極となっている。指示電極22と外側
電極23とには、交流発振器21の2つの出力がそれぞ
れ接続されている。前記外側電極23は、電子ペン18
の先端部18aから電子ペン18の内部に行くにしたが
って円周が広くなるように、いわゆるテーパー状に形成
される。交流発振器21の発振周波数は100kHzで
あり、指示電極22の先端部22aと外側電極23の先
端部23aとの間の電圧は100Vである。
【0028】図7(2)は、電子ペン18の他の構成例
を示す図である。図7(2)に示す電子ペン18は、指
示電極22を取り囲むように形成される外側電極24の
先端部24aが指示電極22の先端部22a近傍でのみ
同軸状となるように形成されている。他の構成について
は図7(1)に示す電子ペン18と同一の構成であるの
で同一の参照符を付して説明を省略する。
【0029】ここで、同軸状電極という特殊な形状をし
た電極を用いる理由を説明する。本発明では、電子ペン
18の指示電極22と、液晶パネル12の各電極S,C
との静電容量結合を用い、電子ペン18から発生する電
界によって液晶パネル12の各電極S,Cに起こる電気
的な変化を液晶パネル12において検出して電子ペン1
8の存在する座標位置を特定する。一般に電子ペン18
は、図2に示すようにペン状になっているので転がりや
すく通常のペンと同様に扱うことができ扱いが容易であ
る。
【0030】しかし、電子ペン18の指示電極22と液
晶パネル12の各電極S,Cとの静電容量結合を用いる
という観点からは、電子ペン18が転がり電子ペン18
の先端部18aと液晶パネル12との位置関係などが変
化しても発生する静電容量が変化しないような構成とす
ることが不可欠となる。図7(1)に示される電子ペン
18のように各電極22,23が形成されることによっ
て、電子ペン18の方向および角度に影響されることな
く、液晶パネル12の電極と常に一定の静電容量で結合
することになり、電子ペン18から発生する電界によっ
て液晶パネル12の各電極S,Cに起こる電気的な変化
を一定とすることができる。
【0031】同軸状に形成される電極である電子ペン1
8の先端部18aは、液晶パネル12に設けられる各電
極S,Cの電極幅および各電極群51,52を何本の電
極で構成するかなどに応じて指示電極22の先端部22
aと外側電極23の先端部23aとの間隔を決定する。
たとえば、液晶パネル12の電極ピッチを100μm〜
300μm程度とし、各電極群51,52を1本の電極
で構成し、各電極群51,52を互いに隣接するような
構成とするときは、指示電極22の先端部22aと外側
電極23の先端部23aの断面との間の距離が概ね電極
ピッチと等しい数百μmとなるように電子ペン18の先
端部18aを形成する。また、各電極群51,52の間
に電極が2本あるいは3本存在するように定められると
きには前記距離が1mm程度となるように電子ペン18
の先端部18aを形成する。
【0032】電子ペン18の先端部18aを上述のよう
に形成することができるように、外側電極23の先端部
23aの半径と、指示電極22の先端部22aの形状を
適切に加工することが必要となる。たとえば、指示電極
22の先端部22aを先鋭に加工することが望ましい。
【0033】電子ペン18が、図7に示すように形成さ
れることによって、図8に示すように電子ペン18の指
示電極22と外側電極23とが、防護板35などを介し
て液晶パネル12に設けられる電極29aと電極29b
の直上に位置することができる。指示電極22と防護板
35などと電極29aとによってコンデンサ30aが形
成され、外側電極23と防護板35などと電極29bと
によってコンデンサ30bが形成される。指示電極22
と外側電極23とが電極29a,29bの直上に位置す
るときコンデンサ30a,30bを通じて指示電極22
と外側電極23とが電極29a,29bに最も強く結合
することとなる。電子ペン18において、先端部22と
外側電極23とに供給される電界は互いに逆位相であ
り、かつ液晶パネル12の電極29a,29bは差動増
幅器242の逆相の入力端子に接続されている。したが
って、コンデンサ30a,30bを通じて、差動増幅器
242から最も効率よく出力を取り出すことができる。
差動増幅器242から出力される信号の処理については
後述する。
【0034】図8に示すように液晶パネル12上に電子
ペン18が接触された際の電気的な等価回路を図9に示
す。電子ペン18に備えられる交流発振器21はコンデ
ンサ30a,30bを通じて差動増幅器242に接続さ
れる。
【0035】図10は、本発明の基本的な原理を説明す
るために行われた第1の実験に用いられた座標検出装置
11の構成を示す平面図である。図10に示される液晶
パネル12には、X軸方向、Y軸方向に8本ずつの電極
S,Cが設けられる。液晶パネル12は、たとえばST
N(Super Twisted Nematic)液晶を用いたドットマトリ
クスタイプのデューティ駆動方式の液晶パネルである。
液晶パネル12における各電極S,Cのピッチは概ね3
60μmであり、各電極S,Cの幅は約330μmであ
る。液晶パネル12上に示した座標軸の原点からX軸方
向には電極S1,S2,…,S8が配列され、Y軸方向
には電極C1,C2,…,C8が配列される。なお、図
10に示す液晶パネル12においては、理解を容易にす
るために各電極S,Cにハッチングを施した。
【0036】また、基板31a,bの間隔は約7μmで
あり、基板31a,bの間に液晶層33を形成する液晶
物質が挟み込まれている。電極Sは基板31a上に設け
られたコネクタ20aを通じて図示しない外部の回路と
接続され、電極Cは基板31b上に設けられたコネクタ
20bを通じて図示しない外部の回路と接続される。上
述のように構成される液晶パネル12の電極Cを共通に
接続して接地し、電極Sはすべて開放とした。
【0037】本実験においては、電子ペン18における
交流発振器21の出力端子のうち一方の端子を接地し、
他方の端子を指示電極22へと接続した。なお、交流発
振器21の発振周波数を100kHzとし、各出力端子
の間の電圧を20Vとした。上述のように、電子ペン1
8の交流発振器21と液晶パネル12の電極Cとはいず
れも接地されているので、共通の電極に接続されている
と考えることができる。電子ペン18を図10に示すよ
うに液晶パネル12に近づけると、指示電極22と電極
S6との間に強い電界が発生する。前記電界による電位
差は交流的なものであり交流発振器21の発振周波数に
一致している。
【0038】図10に示すように座標軸X,Yをとっ
て、指示電極22を(X,Y)=(3,5),(10,
5),(13,5)に配置したとき、X=Xs(cm)
に存在する電極Sとグランド電位との間に生じる電圧V
1の測定を行った。
【0039】図11は、図10に示すようにして行われ
た第1の実験の結果を示すグラフである。図11は、前
記実験によって測定された交流的な電圧である電圧V1
の実効値を示すグラフであり、測定された交流信号の周
波数は、交流発振器21の発振周波数に一致していた。
図11に示すグラフにおいて、縦軸は検出電圧を示し単
位はmVであり、横軸は指示電極22が存在する座標位
置を示し単位はcmである。
【0040】図11を参照すると、グランド電位と電極
Sにおいて検出された電位との電位差は、電子ペン18
における指示電極22の直下に位置する電極においてピ
ークを形成する。また、当該ピークが存在しているX座
標の位置から離れるにしたがって検出される電位差が急
峻に減少していることがわかる。また、前記ピーク付近
での電位差は急峻に減少するが、ピーク位置付近から離
れるにしたがって電位差はなだらかに減少する。このよ
うなグラフの特徴は、指示電極22を配置した3点(X
=3cm,10cm,13cm)について座標位置に関
係なく現れる。
【0041】検出された電位差は、指示電極22の存在
する位置に依存するので、指示電極22の存在する位置
を示す信号と考えることができる。したがって、たとえ
ば振幅の変化に着目するか、位相の変化に着目するかし
て信号がピークとなる位置Xsを検出することによっ
て、指示電極22の存在する位置のX座標が判明するこ
とになる。
【0042】上述の実験は、電極Cをすべて接地し、電
極Sとグランド電位との電位差を検出するようにした
が、電極Sをすべて接地し、電極Cとグランド電位との
電位差を検出することも可能である。検出結果の図示は
省略するが、図11に示すグラフの特性と同一の結果を
得ることができる。
【0043】上述した図10、図11に示す実験をふま
えて、さらに図12に示す第2の実験を行った。図12
は、第2の実験で用いられた座標検出装置11の構成を
示す平面図である。図12に示される液晶パネル12に
おいては、電極Cを前述した第1の実験と同様に共通に
接続して接地し、電極Sはたとえば電極S5,S6を一
対として差動増幅器242の非反転入力端子と反転入力
端子とにそれぞれ接続した。差動増幅器242の出力と
グランド電位との間に生じる電圧V2の測定を行った。
本実験において用いられた電子ペン18は、前述した図
7に示すように交流発振器21の一方の出力が指示電極
22に接続され、他方の出力が外側電極23に接続され
ている。なお、図12に示す液晶パネル12において
は、理解を容易にするために各電極S,Cにハッチング
を施した。
【0044】図13は、前記第2の実験の結果を示すグ
ラフである。図13は、前述した図11に示すグラフと
同様に、交流発振器21の発振周波数において測定され
る電圧V2の実効値を示している。図13に示すグラフ
において縦軸は検出電圧を示し単位はVであり、横軸は
指示電極22が存在する座標位置を示し単位はcmであ
る。図13において示されるグラフは、双峰性形状とな
っており、双峰性形状の出力の谷にあたる座標位置に指
示電極22および外側電極23が存在することがわかっ
た。また、図13には図示されていないが検出された交
流的な電圧は、最低点である谷部の左右に存在する山部
では、互いに位相が180度異なっていた。
【0045】本実験においても、前述の第1の実験の場
合と同様に、接地する電極と出力電圧を検出する電極と
を入換えることによって指示電極22の存在する液晶パ
ネル12の座標(X,Y)を特定することが可能であ
る。
【0046】上述のように、差動増幅器242に接続さ
れる2本の電極は近接しており、外部から受けるノイズ
成分はほぼ同等とすることができる。したがって、差動
増幅器242においては、隣接する2本の電極からの出
力の差分をとるので、共通のノイズ成分が除去されるこ
ととなり、信号に対するノイズ成分の比率が低くなり電
子ペン18の存在する座標位置を検出する際の精度を向
上させることができる。なお、上述の各実験において
は、電界発生器として交流発振器21を用いたが、たと
えばペルチェ素子などとLC並列または直列共振回路な
どとを組合わせた構成を用いて電界を発生させるように
してもよい。
【0047】また、本実験においては信号を検出しない
側の電極は接地されてグランド電位となっているが、所
定の基準電位となるようにしてもよい。
【0048】図14は、座標検出装置11における座標
検出回路17の構成を示すブロック図である。図14に
示す液晶パネル12においては、理解を容易にするため
に各電極S,Cにハッチングを施した。図14におい
て、液晶パネル12に設けられる各電極S,Cは各スイ
ッチ回路249,250,251を介して差動増幅器2
42に接続される。
【0049】座標検出回路17は、第1スイッチ回路2
49a〜249h、第2スイッチ回路250a〜250
d、第3スイッチ回路251a,251b、座標変換回
路175、およびタイミング制御回路174を含んで構
成される。
【0050】第1スイッチ回路249a〜249hを総
称するときは参照符249を用い、第2スイッチ回路2
50a〜250dを総称するときは参照符250を用
い、第3スイッチ回路251a、251bを総称すると
きは参照符251を用いる。
【0051】第1スイッチ回路249a〜249dは電
極S4〜S1に順番にそれぞれ接続され、セグメント
「S」側の出力が第2スイッチ回路250a,250b
に与えられ、コモン「C」側は接地されている。第2ス
イッチ回路250a,250bは、6つの入力端子Z1
〜Z6をそれぞれ備えており、第2スイッチ回路250
aと第2スイッチ回路250bとは各入力端子に接続さ
れる第1スイッチ回路249a〜249dの出力がそれ
ぞれ異なる。第2スイッチ回路250aの出力は第3ス
イッチ回路251aのセグメント「S」端子に接続さ
れ、第2スイッチ回路250bの出力は第3スイッチ回
路251bのセグメント「S」端子に接続される。
【0052】第1スイッチ回路249e〜249hは電
極C1〜C4に順番にそれぞれ接続され、コモン「C」
側の出力が第2スイッチ回路250c,250dに与え
られ、セグメント「S」側は接地されている。第2スイ
ッチ回路250c,250dは、第2スイッチ回路25
0a,250bと同様に6つの入力端子Z1〜Z6をそ
れぞれ備えており、第2スイッチ回路250cと第2ス
イッチ回路250dとは各入力端子に接続される第1ス
イッチ回路249e〜249hの出力がそれぞれ異な
る。第2スイッチ回路250cの出力は第3スイッチ回
路251aのコモン「C」端子に接続され、第2スイッ
チ回路250dの出力は第3スイッチ回路251bのコ
モン「C」端子に接続される。
【0053】座標検出回路17において、第1スイッチ
回路249は、タイミング制御回路174によってコモ
ン「C」もしくはセグメント「S」側に接続される。第
1スイッチ回路249は、すべてのスイッチ回路249
が一方側か他方側かのいずれか一方の端子に接続され
る。また、第1スイッチ回路249と第3スイッチ回路
251とは連動して動作する。すなわち、第1スイッチ
回路249がコモン「C」側となっているときには、第
3スイッチ回路251もコモン「C」側となり、コモン
電極である電極Cに対応付けられるY座標の検出を行
い、第1スイッチ回路249がセグメント「S」側とな
ったときには、第3スイッチ回路251もセグメント
「S」側となり、セグメント電極である電極Sに対応付
けられるX座標の検出を行う。
【0054】図12、図13に示す第2の実験によっ
て、双峰性出力信号の谷が現れる電極付近に電子ペン1
8が存在することが確認されているので、差動増幅器2
42の出力が、図13に示す実験結果の横軸を時間軸で
置換えたような信号となるように各スイッチ回路249
〜251を制御し、双峰性出力信号が谷の部分となるタ
イミングを検出すれば電子ペン18の存在する位置を示
すことができる。座標変換回路175においては、前記
双峰性形状の出力信号のうち谷の部分を検出して電子ペ
ン18の存在する位置を示す。
【0055】図15は、座標変換回路175における信
号の処理される過程を示す図である。図14および図1
5を参照して座標変換回路175の構成および動作につ
いて説明する。座標変換回路175は、差動増幅器24
2、包絡線検波器186、比較器180、Tフリップフ
ロップ181、遅延回路182、NANDゲート18
3、カウンタ184およびラッチ回路185を含んで構
成される。
【0056】座標変換回路175に導かれた信号は、ま
ず差動増幅器242に入力される。差動増幅器242の
一方の入力端子には、第3スイッチ回路251aの出力
が与えられ、他方の入力端子には第3スイッチ回路25
1bの出力が与えられている。差動増幅器242におい
ては、第3スイッチ回路251a,251bの各出力の
差分をとり、この差分として得られる信号が予め定める
レベルまで増幅される。各スイッチ回路を順次的に切換
えることによって検出される信号は数mV程度であり、
差動増幅器242において数百倍〜千倍程度増幅される
ので、差動増幅器242から出力される際には数ボルト
オーダーの信号となり信号の扱いが容易となる。差動増
幅器242の出力は、包絡線検波器186に与えられ
る。
【0057】包絡線検波器186は、入力される信号の
包絡線186aを抽出して出力する。図15(1)は、
包絡線検波器186に入力される信号を示している。包
絡線検波器186の出力は、比較器180の一方の入力
端子に与えられる。比較器180の他方の入力端子には
基準電圧VCが入力されている。
【0058】比較器180においては、図15(2)に
示される包絡線186aと基準電圧VCとに基づいて2
値化を行う。時刻t51から時刻t52までの期間W1
と、時刻t53から時刻t54までの期間W2とにおい
て包絡線186aが基準電圧VC以上となることによっ
て、比較器180の出力は図15(3)に示すように期
間W1と期間W2とにおいてはハイ「H」レベルとな
り、他の期間ではロー「L」レベルとなる。
【0059】比較器180によって2値化されたパルス
信号は、Tフリップフロップ181のT入力に与えられ
る。Tフリップフロップ181は、T入力に与えられる
信号の立下がりタイミングで動作する。また、セット
「S」端子を有し、予め定めるタイミングでセットされ
るものとする。Tフリップフロップ181がセットされ
るタイミングについては後述する。Tフリップフロップ
181のQ出力は、時刻t52まではロー「L」レベル
であり、比較器180から供給されるパルス信号が立下
がる時刻t52以降はハイ「H」レベルとなる。時刻t
52から再び比較器180から供給される信号が立下が
る時刻t54までの期間W3においてハイ「H」レベル
となる。時刻t54以降はロー「L」レベルとなる。T
フリップフロップ181のQ出力は、図15(4)に示
すように双峰性形状をした信号の谷の部分にあたる時刻
t52に立上がりを有するパルス信号となる。
【0060】図15(4)に示されるTフリップフロッ
プ181のQ出力は、NANDゲート183の一方の入
力端子に入力され、反転Q出力は遅延回路182を経て
NANDゲート183の他方の入力端子に入力される。
遅延回路182は、入力される信号を予め定める遅延時
間だけ遅らせて出力する。本実施例においては、遅延回
路182における遅延時間を時刻t52から時刻t53
までの期間W4としている。図15(5)においては、
遅延回路182の出力信号の波形を実線で示し、遅延回
路182を経ずにNANDゲート183に入力信号の波
形を仮想線で示す。
【0061】NANDゲート183の出力は、図15
(6)に示されるようになり、遅延回路182の遅延時
間である期間W4の幅を有する負極性のパルス信号とな
る。前記NANDゲート183から出力されるパルス信
号のロー「L」レベルである部分は、図15(1)に示
す双峰性形状である信号における谷の部分に存在する。
NANDゲート183の出力は、後述するラッチ回路1
85のクロック端子に入力される。
【0062】カウンタ184のロード端子には、タイミ
ング制御回路174からロード信号が供給される。前記
ロード信号は、カウンタ184と同時にTフリップフロ
ップ181のセット「S」端子に供給される。カウンタ
184は、ロード信号が入力されてからタイミング制御
回路174からクロック端子に入力されるクロック信号
に従って計数動作を行う。
【0063】ラッチ回路185は、2つのDフリップフ
ロップを含んで構成されている。カウンタ184はそれ
ぞれが独立した2つの出力を備えており、各出力がラッ
チ回路185の2つのD入力に接続される。カウンタ1
84は、ロード信号が立下がるたびにいずれかの出力か
らカウント値を出力する。前記カウント値をラッチ回路
185を構成する1つのDフリップフロップの各D端子
に入力し、前記NANDゲート183の出力であるパル
ス信号をラッチ回路185のクロック端子に入力するこ
とによって、NANDゲート183からパルス信号が出
力されるタイミングに一致してカウンタ184から与え
られているカウント値が保持される。
【0064】図16は座標検出装置11において表示お
よび座標検出を行う際のタイミングチャートであり、図
17は座標検出装置11における座標検出回路17の動
作を説明するためのタイミングチャートである。
【0065】図16に示すように座標検出装置11にお
いては、時刻t0から時刻t1までの期間W11が画像
の表示を行う表示期間となっており、引き続く時刻t1
から時刻t3までの期間W12が電子ペン18の存在す
る位置を検出する座標検出期間となっている。座標検出
期間は、時刻t1からt2までの期間W13と、時刻t
2から時刻t3までの期間W14とに分けられる。期間
W13は、前記座標軸におけるX軸方向の座標位置を検
出する期間であり、期間W14はY軸方向の座標位置を
検出する期間である。液晶パネル12に、たとえばX軸
方向にセグメント電極Sがm本、Y軸方向にコモン電極
Cがn本設けられているとすると、期間W13にはセグ
メント電極S側に設けられる第3スイッチ回路250
a,250bを切換えるタイミング回路174からのク
ロック信号がm個入力され、期間W14にはコモン電極
C側に設けられる第3スイッチ回路250c,250d
を切換えるクロック信号がn個入力される。
【0066】図17(1)に示すタイミング信号は、制
御回路16から座標検出回路17へと供給される画像表
示期間と座標検出期間とを定める信号であり、時刻t1
0から時刻t11までの表示期間である期間W21にお
いてはハイ「H」レベルとなり、時刻t11から時刻t
17までの座標検出期間である期間W22においてはロ
ー「L」レベルとなる。図17(2)に示すクロック信
号は、タイミング回路174からカウンタ184へと供
給される信号である。前記クロック信号は、画像表示期
間であるか座標検出期間であるかに関係なく一定の間隔
で連続してタイミング制御回路174から供給される。
【0067】タイミング制御回路174では、制御回路
16から与えられる図17(1)に示すタイミング信号
に基づいて、第1スイッチ回路249に供給する各切換
制御信号を発生する。図17(3)に示す第1切換制御
信号は、第1スイッチ回路249a〜dに入力され、第
1切換制御信号がロー「L」レベルであるときにはセグ
メント「S」側に接続され、ハイ「H」レベルであると
きにはコモン「C」側に接続される。図17(4)に示
す第2切換制御信号は、第1スイッチ回路249e〜h
に入力され、第2切換制御信号がロー「L」レベルであ
るときにはコモン「C」側に接続され、ハイ「H」レベ
ルであるときにはセグメント「S」側に接続される。前
記第1および第2切換制御信号によって前述した図16
に示すセグメント検出期間とコモン検出期間とが切換え
られる。
【0068】タイミング制御回路174から第1スイッ
チ回路249へ与えられる2つの切換制御信号は、座標
検出期間中において各スイッチ回路249をセグメント
「S」側、コモン「C」側のいずれかに切換える。時刻
t11から時刻t14までの期間W23においては、第
1スイッチ回路249a〜249dはセグメント「S」
側に接続されているので、各第1スイッチ回路249a
〜249dに入力される信号は第2スイッチ回路250
a,bに与えられる。第1スイッチ回路249e〜24
9hは、接地されているセグメント「S」側に接続され
る。時刻t14から時刻t17までの期間W24におい
ては、第1スイッチ回路249a〜249dは接地され
ているコモン「C」側に接続されている。第1スイッチ
回路249e〜249hがコモン「C」側に接続されて
いるので、各第1スイッチ回路249e〜249hに入
力される信号は第2スイッチ回路250c,dに与えら
れる。
【0069】表示期間中は、図17(3)に示す第1切
換制御信号は第1スイッチ回路249a〜dをセグメン
ト「S」側に接続し、図17(4)に示した第2切換制
御信号は第1スイッチ回路249e〜249hをコモン
「C」側に接続する。
【0070】図17(5)に示す第3切換制御信号は、
表示期間中においては第3スイッチ回路250a,25
0bを常に入力端子Z6に接続し、第3スイッチ回路2
50c,250dを常に入力端子Z1に接続する。座標
検出期間中では、第3切換制御信号によって第3スイッ
チ回路250bは入力端子Z1から入力端子Z4まで、
第3スイッチ回路250cは入力端子Z3から入力端子
Z6までを順次的に切換えて接続する。また、第3スイ
ッチ回路250a,250dは入力端子Z2から入力端
子Z5までを順次的に切換えて接続する。
【0071】タイミング制御回路174では、制御回路
16から与えられるタイミング信号に基づいて図17
(6)に示すロード信号を発生する。ロード信号は、セ
グメント電極側検出、コモン電極側検出の各検出開始時
に立上がる。前記ロード信号は、座標検出期間の開始時
刻である時刻t11から時刻t12までハイ「H」レベ
ルとなり、カウンタ184にクロック信号の計数動作の
開始を指示する。ロード信号が立上がる時刻t11から
再びロード信号が立上がる時刻t14までがセグメント
電極側の検出期間となり、時刻t14から座標検出期間
の終了する時刻t17までがコモン電極側の検出期間と
なる。
【0072】図17(7)に示すカウント値は、図17
(6)に示すロード信号が立下がる時刻t12からカウ
ントが開始される。カウンタ184では、次にロード信
号が立下がる時刻t15までタイミング回路174から
供給されるクロック信号に基づいてクロック信号数をカ
ウントし、時刻t15からは再び1からカウントを行
う。
【0073】電子ペン18が、セグメント電極S3、コ
モン電極C4付近、すなわち座標(x,y)=(3,
4)付近に存在したとすると、Tフリップフロップ18
1から図17(8)に示す波形が出力され、セグメント
電極S3,コモン電極C4を第2スイッチ回路250が
切換え接続したときに、図17(9)に示すNANDゲ
ート183の出力である負極性のパルスが得られる。
【0074】前記負極性のパルスがラッチ回路185に
入力されることによって図17(10)に示すようにカ
ウンタ184のカウント値(3,4)が保持される。図
17(8)に示すTフリップフロップ181の出力は、
X軸方向において電子ペン18が存在する位置を示す時
刻t13において立上がりTフリップフロップ181の
セット「S」端子に入力される前記ロード信号が立上が
る時刻t14までハイ「H」レベルとなる。
【0075】上述のように、電子ペン18が存在してい
るX座標およびY座標は、図16に示した各検出期間に
おいて、NANDゲート183から負極性のパルス信号
が立下がるタイミングで、ラッチ回路185に含まれる
Dフリップフロップにそれぞれ保持されるカウント値に
基づいて判断される。
【0076】前記電子ペン18の座標位置を示すデータ
を、たとえば図1に示す制御回路16が画像表示を行う
ように指定している期間に、直前に検出した座標を点灯
させることを繰返し行えば、あたかも筆記具で紙に字な
どを書くように電子ペン18を用いて液晶パネル12の
上に所望する表示を行うことができる。また、同時に検
出した座標データを図示しない他の装置に取り込み、文
字認識など所望の処理を行わせることも可能である。
【0077】図18は、座標変換回路175の他の構成
例である第2座標変換回路275の構成を示すブロック
図である。第2座標変換回路275において、座標変換
回路175と同一の構成要素には同一の参照符を付して
説明を省略する。第2座標変換回路275の特徴は、時
定数が小さく定められる第1包絡線検波器191と、時
定数が大きく定められる第2包絡線検波器192との並
列接続を有していることである。
【0078】差動増幅器242では、反転入力端子に入
力される信号と非反転入力端子に入力される信号との差
分をとった信号が、予め定めるレベルまで増幅される。
増幅された信号は、第1包絡線検波器191と、第2包
絡線検波器192とに入力される。図19(1)に示す
信号は、第1包絡線検波器191と第2包絡線検波器1
92とに入力される信号である。第2包絡線検波器19
2からは、図19(3)に示すような双峰性形状をした
信号の谷の部分が埋まったような信号が出力され、第1
包絡線検波器191からは、図19(2)に示すような
入力された信号のエンベロープの形が信号として出力さ
れる。
【0079】差分回路193は、第1および第2包絡線
検波器191,192の出力に基づいて、図19(4)
に示す信号を出力し2値化回路194の一方の入力端子
に与える。比較器194の他方の入力端子には、予め定
める比較参照電圧VDが入力されており、差分回路19
3の出力が比較参照電圧VD以上となる期間ロー「L」
レベルの信号を出力する。
【0080】2値化回路194は、図19(5)に示す
ように入力される信号が比較参照電圧VD以上となる時
刻t61から時刻t62までロー「L」レベルとなる負
極性のパルス信号を出力する。図19(5)に示す信号
の波形図は、図19(1)に示す双峰性形状をした信号
の谷の部分に立下がりを有する。2値化回路194で2
値化され、2値化回路194の出力はラッチ回路のクロ
ック端子に接続されている。カウンタ184およびラッ
チ回路185における信号の処理については、図14に
示す座標変換回路175と同一である。
【0081】なお、第2座標検出回路275において
は、第1包絡線検波器191と第2包絡線検波器192
との出力の差を演算したが、各検波器191,192の
出力の積演算などを行って出力に大きな差が発生する部
分である谷の部分を検出するようにしてもよい。
【0082】なお、上述の説明においては差動増幅器2
42の出力を包絡線検波器を用いて検波し、入力された
信号のエンベロープを抽出しているが、図11に示す第
1の実験結果のように信号のピーク値を検出する手段を
用いてもよい。
【0083】再び図14を参照して、第1スイッチ回路
249ならびに第3スイッチ回路251、およびタイミ
ング制御回路174の動作について説明する。タイミン
グ制御回路174は、主として各スイッチ回路249,
250,251の動作を司り、またカウンタ184のク
ロック信号などの信号を発生する。
【0084】図12に示す第2の実験によると、セグメ
ント電極Sから座標を示す信号の検出を行うときはコモ
ン電極Cをすべて接地する必要がある。また、コモン電
極Cから検出を行うときはセグメント電極Sはすべて接
地する必要がある。すなわち、セグメント電極S側から
座標の検出を行うときには、セグメント電極Sに対応付
けられて設けられた第1スイッチ回路249a〜249
dは、すべてセグメント「S」側に接続され順次的に第
2スイッチ回路250a,250bに信号を伝達する。
コモン電極C側に設けられた第1スイッチ回路249e
〜249hは、すべてセグメント「S」側に接続され、
接地されている。また、検出された信号を第2スイッチ
回路250a,250bを経て差動増幅器242に入力
するために、第3スイッチ回路251a,251bはセ
グメント「S」側に接続される。
【0085】逆に、コモン電極Cから座標を示す信号を
検出するときには、コモン電極Cに対応付けて設けられ
た第1スイッチ回路249e〜249hは、すべてコモ
ン「C」側に接続され順次的に第2スイッチ回路250
c,250dに信号を伝達する。またセグメント電極S
に接続された第1スイッチ回路249a〜249dは、
すべてコモン「C」側に接続され、接地されている。ま
た、検出された信号を第2スイッチ回路250c,25
0dを経て差動増幅器242に入力するために第3スイ
ッチ回路251a,251bはコモン「C」側に接続さ
れる。
【0086】図14においては、図中に記載した原点側
の各電極S,Cから順次的に走査するようになってい
る。図14に示した第2スイッチ回路250a,250
bの接続の状態は、第1スイッチ回路249と第3スイ
ッチ回路251とがセグメント「S」側に接続されてい
るとすると、差動増幅器242の非反転入力端子が図示
した座標軸で第1本目に位置するセグメント電極S1に
接続され、反転入力端子が第2本目に位置するセグメン
ト電極S2に接続される。前記状態から1段階走査され
ると、差動増幅器242の非反転入力端子が図示した座
標軸で第2本目に位置するセグメント電極S2に接続さ
れ、反転入力端子が第3本目に位置するセグメント電極
S3に接続される。
【0087】上述のように、2本の電極を1対として組
合わせ状態を順次変化させながら電極1本ずつの走査を
行う。したがって、図12の実験の結果である図13
は、横軸を時間軸として差動増幅器242の入力端子に
再現されることとなる。
【0088】図14に示す第2スイッチ回路250a〜
250dが順次的に切換わって、各電極S,Cを走査す
るタイミングと、カウンタ184が1カウントづつ計数
動作を行うタイミングとを一致させることによって、現
在走査されている電極の位置をカウンタ184のカウン
ト値で知ることができる。
【0089】上述した説明においては、1対のセグメン
ト電極Sあるいはコモン電極Cを差動増幅器242の反
転入力および非反転入力に接続される電極の本数は1本
ずつであった。電子ペン18の指示電極22と、1本の
セグメント電極Sあるいはコモン電極Cとの容量結合は
非常に微小であり誘導される電圧も微小なものである。
したがって、増幅後の信号に比べて外来ノイズのうち差
動によって除去しきれなかったノイズ、および回路内部
で発生するノイズなどが大きくなり、信号とノイズの比
であるS/N比が低くなり検出精度が低くなる。
【0090】図14において、包絡線検波器186から
信号のエンベロープが出力されるが、ノイズが信号に重
畳された場合、前記エンベロープはノイズの影響によっ
て安定せず、比較器180における基準電圧VCで参照
されるレベルの位置がずれてしまう。これはすなわち検
出する座標点のずれとなり、座標点を液晶パネル12に
表示する場合には、電子ペン18で指示した点を中心に
数画素の範囲で検出された表示点が移動するという現象
となって現れるようになり操作者の使い勝手が悪化す
る。
【0091】図20は、座標検出装置11を用いて行わ
れた第3の実験を説明するための平面図である。図20
に示される液晶パネル12は、前述の図12に示す実験
において用いられた液晶パネル12と同一の液晶パネル
である。図20に示す液晶パネル12においては、理解
を容易にするために各電極S,Cにハッチングを施し
た。また、電子ペン18の構造は前述の各実験において
用いられた電子ペン18と同一である。なお、交流発振
器21の発振周波数を780kHzとし、出力端子の両
端の電圧を140Vとした。また、液晶パネル12の各
電極S,Cから電子ペン18の指示電極22までの高さ
である第1距離Hを4.3mmになるように設定した。
【0092】図20では、セグメント電極S6,S7を
共通に接続して非反転入力電極群として差動増幅器24
2の非反転入力端子に接続し、セグメント電極S4,S
5を共通に接続して反転入力電極群として差動増幅器2
42の反転入力端子に接続している。本実験では、差動
増幅器242の出力とグランド電位との間に生じる電圧
V3の測定を行う。本実験においては、非反転入力電極
群と反転入力電極群とによって誘導される電圧の対称性
を保つため、それぞれ等しい本数のセグメント電極Sを
接続することとし、接続するセグメント電極Sの本数を
変えて測定を行った。
【0093】また実際には、非反転入力電極群と反転入
力電極群との間にいずれの入力端子にも接続されない電
極が存在するが、その電極本数と一方の入力電極群の本
数との和が常に8本となるようにした。つまり非反転も
しくは反転入力電極群がそれぞれ2本で構成される場合
は、両電極群の間には6本の開放されたセグメント電極
Sが存在し、非反転もしくは反転入力電極群がそれぞれ
4本で形成される場合は、両電極群の間には4本の開放
されたセグメント電極Sが存在する。上述のように各入
力電極群を設定することによって、非反転入力電極群と
反転入力電極群との中心間距離である第2距離Nが一定
となる。本実施例においては、前記第2距離Nは2.8
8mmとしている。
【0094】第3の実験の測定結果を図21〜図24に
示す。図21〜図24において横軸はすべて入力電極本
数を示し単位は本である。図21は、入力電極本数と検
出電圧との関係を示す図であり、縦軸は検出電圧を示し
単位はmVである。図22は、入力電極本数とノイズレ
ベルの関係を示す図であり、縦軸はノイズレベルを示し
単位はmVである。図23は、入力電極本数と双峰性信
号のピーク間距離との関係を示す図であり、縦軸はピー
ク間距離を示し単位はmmである。図24は、入力電極
本数と検出精度の関係を示す図であり、縦軸は検出精度
を示す。
【0095】図21に示すように、入力電極群の本数が
増加するに従って検出電圧が増加するが、入力電極本数
が4本になるまでの検出電圧の増加する割合に対して、
4本を超えてからの検出電圧の増加する割合は小さくな
る。なお、図21における検出電圧は、双峰性信号の一
方のピークにおける電圧値の絶対値と他方のピークにお
ける電圧値の絶対値とを足し合わせた値である。
【0096】図22に示すように、入力電極群の本数が
増加するに伴ってノイズレベルが増加してゆく。入力電
極本数が4本になるまでのノイズレベルの増加する割合
に対して4本を超えてからのノイズレベルの増加する割
合は小さくなる。
【0097】図23に示すように、各電極群のピッチが
一定であるにもかかわらず入力電極群に含まれる電極本
数の増加に伴ってピーク間距離が増加している。ピーク
間距離が増加すると双峰性信号の山部の急峻度が減少
し、検出される座標位置の精度が悪化することになる。
入力電極本数が4本になるまでのピーク間距離が長くな
る割合に対して4本を超えてからのピーク間距離が長く
なる割合は大きくなる。
【0098】図21〜図23に示す結果に基づいて、図
24に示す電極群本数と検出精度との関係を示す図を得
ることができる。検出精度は標準偏差をとることによっ
て求めているので、
【0099】
【数1】
【0100】と示される。式(1)において、Nはノイ
ズレベルの実効値の平均値であり、単位はmVである。
Pは検出された電圧値であり、単位はmVである。hは
検出された信号の一方のピークと他方のピークとの距離
であり、単位はmmである。hは、たとえば図13に示
すグラフにおける双峰性信号の一方のピークと他方のピ
ークとの距離を測ることによって求められる。またBW
は、本実験においては1本の電極で電極群を構成したと
きの電極群幅であり、0.36mmとなっている。
【0101】前記検出精度は、検出電圧、ノイズレベ
ル、ピーク間距離を基に算出され、前述の検出座標から
のずれ量を画素数で示したものであり、統計的な数値で
ある。検出精度が1であるときには、電子ペン8が示し
た座標から検出された座標までのずれ量が1画素であ
る。検出精度の値が小さいほど座標のずれが小さく精度
がよいことを示している。前記画素数として示される範
囲内に検出された座標が入る確率は99.7%である。
【0102】以下に示す表1に電極群幅と検出精度との
関係を示す。
【0103】
【表1】
【0104】表1において先端電極高さは、前述の第1
距離Hであり、本実験においては4.3mmである。
【0105】図24および表1においては省略したが、
電極群に含まれる電極本数が8本を越えて増加するに従
って検出精度は次第に悪化することが本件出願人によっ
て確認されている。
【0106】これらの結果から、検出精度は入力電極群
の電極本数に対して最小値をもっており、検出精度の面
から考慮して最適な入力電極群の電極本数が存在するこ
とを示している。さらに、最適電極群本数は前記第1距
離Hである先端電極高さに影響されると考えられ、電極
群本数を幅で表し、先端電極高さとの比で見た場合、そ
の比がおよそ0.3〜0.7の範囲内にあるときには検
出精度が1画素以下となり、充分良好な精度が得られて
いることがわかる。なお本実験の結果として、先端電極
高さとして第1距離Hが4.3mmの場合についてのみ
示したが、先端電極高さを変化させた場合であっても中
心間距離と先端電極高さとの比を本実験の結果と等しく
することによって同様の結果を得ることができる。
【0107】次に、第4の実験について説明する。本実
験は座標検出装置11を用いて行われており、液晶パネ
ル12、電子ペン18、差動増幅器242などは前述し
た第3の実験と同一のものである。本実験においては、
コモン電極Cをすべて接地し、前述の各入力電極群にお
ける電極本数をそれぞれ1本として、入力電極群間ピッ
チpをp=2〜20本の範囲で変化させ、検出電圧その
他を測定した。入力電極群間ピッチpは各入力電極群の
中心間距離を電極の本数に換算した値である。
【0108】本実験の結果を図25〜図27に示す。図
25〜図27において横軸はすべて入力電極間ピッチを
示し単位は本である。図25は、前記ピッチと検出電圧
との関係を示す図であり、縦軸は検出電圧を示し単位は
mVである。図26はピッチと双峰性信号のピーク間距
離との関係を示す図であり、縦軸はピーク間距離を示し
単位はmmである。図27はピッチと検出精度との関係
を示す図であり、縦軸は検出精度を示す。本実験におい
ては、ピッチを変化させてもノイズレベルに変化は生じ
なかった。
【0109】図25に示すように、ピッチが増加するに
従って検出電圧が増加するが、ピッチの増加に伴って検
出電圧の増加する割合が鈍り、検出電圧は一定の値に近
づく。図26に示すように、ピッチの増加に伴って双峰
性信号のピーク間距離が増加する。前述の図25,26
に示す結果とノズルレベルを定めることで式(1)を用
いて図27に示すピッチと検出精度との関係を示す図を
得ることができる。
【0110】以下に示す表2にピッチ間隔と検出精度と
の関係を示す。
【0111】
【表2】
【0112】表2に示す先端電極高さは前記第1距離H
である。
【0113】これらの測定結果から検出精度は、入力電
極のピッチに対して最小値をもっており、このことは検
出精度の面から考慮して最適な入力電極のピッチが存在
することを示している。さらに、最適な入力電極ピッチ
は先端電極高さに影響されると考えられるので、ピッチ
を中心間距離で表し、先端電極高さとの比で見た場合、
その比がおよそ0.4〜1.1の範囲内にあるときには
検出精度が2画素以下となり、充分良好な精度が得られ
ていることがわかる。
【0114】なお、本実験において求められる検出精度
は、前述した第3の実験によって求められる検出精度よ
りも全体的に検出精度が低いが、これは入力電極群の電
極本数を1本ずつにしたためである。前述した第3の実
験においては、反転入力電極群と非反転入力電極群との
中心間距離を2.88mmにしたが、この中心間距離は
本実験において検出精度が最も小さくなったときの中心
間距離である。したがって、前述の第3の実験の結果と
第4の実験の結果とに示される数値を単独で用いて液晶
パネル12を形成してもよいが、組合わせて用いること
によってさらに検出精度を向上させることができる。
【0115】本実験の結果として、先端電極高さとして
第1距離Hが4.3mmの場合についてのみ示したが、
先端電極高さを変化させた場合であっても中心間距離と
先端電極高さとの比を本実験の結果と等しくすることに
よって同様の結果が得られることが確認された。
【0116】以上に示す第3および第4の実験では、コ
モン電極Cをすべてグランド電位に落とし、セグメント
電極Sからグランド電位との電位差を検出するようにし
たが、セグメント電極Sをすべてグランド電位に落と
し、コモン電極Cからグランド電位との電位差を検出す
ることも可能である。
【0117】以上に示す第4の実験の結果から、最適な
入力電極のピッチが存在することが判明したので、当該
ピッチで入力電極群を差動増幅器242に接続すること
により座標検出の精度が向上した良好な装置を提供する
ことが可能である。したがって、図1に示す座標検出装
置11において、予め最適な差動増幅器242に入力す
る電極ピッチを電極本数として求めておき、電極本数分
の間隔をあけて走査するようにすればよい。走査のため
の手法については、図20を用いて説明した走査の手法
と同一であるので説明を省略する。
【0118】図14では、入力電極を1本ずつ走査する
方法についての例を示したが、入力電極本数および電極
群間の接地本数を任意に設定して走査することも図12
に示す方法を基にして可能である。図28に入力電極群
の電極本数を2本ずつとし、電極群間のピッチ本数を3
本とした場合の例を示す。
【0119】図28に示す座標検出装置11において、
前述の図14に示す座標検出装置11と同一の構成要素
には同一の参照符を付して説明を省略する。図28に示
す座標検出装置11においては、差動増幅器242に検
出信号を入力するために第4スイッチ回路349と、第
5スイッチ回路350と、第6スイッチ回路359と、
第7スイッチ回路360とが設けられる。なお、図28
に示す第4スイッチ回路349と第6スイッチ回路35
9とは、図14においては第1スイッチ回路249に対
応しており、図28に示される第5スイッチ回路350
と第7スイッチ回路360とは、図14においては第2
スイッチ回路250に対応する。なお、図28に示す液
晶パネル12においては、理解を容易にするために各電
極S,Cにハッチングを施した。
【0120】図29は、本発明の第2実施例である座標
検出装置111に含まれる複数電極同時走査方式パネル
と称される液晶パネル112の平面図である。液晶パネ
ル112は、液晶パネル12を各セグメント電極Sが対
向するようにつなぎ合わせた構造となっており、表示容
量が増加されている。
【0121】液晶パネル112には、図29において液
晶パネル112の上方部112a側に位置する第1セグ
メント電極Su1,Su2,…,Su5と、下方部11
2b側に位置する第2セグメント電極Sd1,Sd2,
…,Sd5とが設けられている。第1セグメント電極S
u1,Su2,…,Su5を総称する際には参照符Su
を用い、第2セグメント電極Sd1,Sd2,…,Sd
5を総称する際には参照符Sdを用いる。第1セグメン
ト電極Suはセグメント電極コネクタ114aにそれぞ
れ接続され、第2セグメント電極Sdはセグメント電極
コネクタ114bにそれぞれ接続される。セグメント電
極コネクタ114a,114bを介して各セグメント電
極Su,Sdに信号が供給される。なお、図29に示す
液晶パネル112においては、理解を容易にするために
各電極Su,Sd,Cu,Cdにハッチングを施した。
【0122】また液晶パネル112には、図29におい
て上方部112a側に位置する第1コモン電極Cu1,
Cu2と、下方部112b側に位置する第2コモン電極
Cd1,Cd2とが設けられている。第1コモン電極C
u1,Cu2を総称する際には参照符Cuを用い、第2
コモン電極Cd1,Cd2を総称する際には参照符Cd
を用いる。第1コモン電極Cu1,Cu2はコモン電極
コネクタ115aに接続され、第2コモン電極Cd1,
Cd2はコモン電極コネクタ115bに接続される。コ
モン電極コネクタ115a,115bを介して各コモン
電極Cu,Cdに信号が供給される。なお、図29に示
す液晶パネル112においては、各セグメント電極S
u,Sdに含まれる電極数が5本ずつであり、各コモン
電極Cu,Cdに含まれる電極数が2本ずつであるが、
液晶パネル112に配列される電極数については限定さ
れるものではない。
【0123】前述のように構成される液晶パネル112
は、既にワードプロセッサなどで広く実用されており参
考文献書籍などは多数入手することができる。たとえ
ば、参考書籍として「液晶=応用編」(岡野、小林共
編、培風館刊、1992第7刷)の99ページを参照す
ることができる。言うまでもなく、このような液晶パネ
ルは従来は表示専用に用いられてきたので、表示のため
に用いる周辺回路などは全く既知のものである。
【0124】座標検出装置111においては、図30に
示すように前述の第2の実験で用いた図12に示される
構成を少なくとも2組有し、第1セグメント電極Suは
差動増幅器142を介して信号を検出しており、第2セ
グメント電極Sdは差動増幅器143を介して信号を検
出している。図30においては、コモン電極Cu,Cd
は接地されているが前述のようなスイッチ回路を有する
構造にすることによって、セグメント電極Su,Sdを
接地し、コモン電極Cu,Cdから信号を検出するよう
にすることもできる。なお、図30に示す液晶パネル1
12においては、理解を容易にするために各電極Su,
Sd,Cu,Cdにハッチングを施した。
【0125】図31を用いて、本実施例の座標検出装置
111の動作について説明する。図31は、前述の図1
4に対応する図であり、図14に示される座標検出装置
11と同一の構成要素には同一の参照符を付して説明を
省略する。なお、図31に示す液晶パネル112におい
ては、理解を容易にするために各電極Su,Sd,C
u,Cdにハッチングを施した。液晶パネル112にお
いて第1セグメント電極Su、第2セグメント電極Sd
はそれぞれ2本の電極を1組として、一方の端部が開放
され、かつ他方の端部がそれぞれ差動増幅器142,1
43に接続されている。差動増幅器142,143の出
力は、加算器145に接続されている。加算器145の
出力が与えられる座標変換回路175aは、前述の第1
実施例における座標変換回路175から差動増幅器24
2を除いたものである。
【0126】本発明の基となる実験は、前述した図12
に示したとおりであって、電子ペン18を液晶パネル1
12に近づけた際に、図13に示す出力と同様の出力を
得ることができた。図13に示す結果においては、各電
極を走査することによって検出される双峰性出力信号が
谷となる付近に電子ペン18が存在することが確認され
ているので、差動増幅器142,143の出力が、第1
実施例と同様に図13に示す実験結果の横軸を時間軸で
置換えたような信号であると考えると、谷となる部分が
出力されるタイミングを検出することによって電子ペン
18の存在する位置を検出することができる。
【0127】液晶パネル112は、第1セグメント電極
Suと第2セグメント電極Sdとが接続されていないの
で、2つの液晶パネルに分離されていると考えることが
でき、電子ペン18が液晶パネル112の上方部112
a側にあるときに検出された信号は差動増幅器142に
よって増幅され、また下方部112b側にあるときに検
出された信号は差動増幅器143によって増幅される。
したがって、各差動増幅器142,143からの出力を
加算器145で加算することによって、液晶パネル11
2の全面で電子ペン18の位置を検出することができ
る。
【0128】次に、図32を参照して座標検出装置11
1における各スイッチ回路の動作について説明する。な
お、図32に示す液晶パネル112においては、理解を
容易にするために各電極Su,Sd,Cu,Cdにハッ
チングを施した。座標検出装置111においては、第1
セグメント電極Suと差動増幅器142との間にスイッ
チ回路291とスイッチ回路292とが設けられてい
る。スイッチ回路291は、4つのスイッチ回路291
a,291b,291c,291dを含んで構成されて
おり、スイッチ回路291a〜291dが第1セグメン
ト電極Suにそれぞれ接続される。スイッチ回路291
は、図14に示す第1スイッチ回路249a〜dと同一
の構成であり、かつ同一の動作を行うので説明を省略す
る。スイッチ回路292は、図14に示す第2スイッチ
回路250a,bと同一の構成であり、スイッチ回路2
91と順次的に切換え接続することによってスイッチ回
路291の出力を差動増幅器142へと入力する。
【0129】また、第2セグメント電極Sdと差動増幅
器143との間にはスイッチ回路293とスイッチ回路
294とが設けられている。スイッチ回路293は、ス
イッチ回路291と同様に4つのスイッチ回路293
a,293b,293c,293dを含んで構成されて
おり、各スイッチ回路291a〜291dが第2セグメ
ント電極Suにそれぞれ接続される。スイッチ回路29
3はスイッチ回路291と同一の動作を行うので説明を
省略する。スイッチ回路294は、スイッチ回路292
と同一の構成であり、スイッチ回路293と順次的に切
換え接続することによってスイッチ回路293の出力を
差動増幅器143へと入力する。
【0130】コモン電極Cu,Cdと差動増幅器144
との間にはスイッチ回路295とスイッチ回路296と
が設けられている。スイッチ回路295は、図14に示
す第1スイッチ回路249e〜hと同様に4つのスイッ
チ回路295a,295b,295c,295dを含ん
で構成されている。スイッチ回路295a,295bは
第1コモン電極Cuと接続され、スイッチ回路245
c,295dは第2コモン電極Cdと接続される。スイ
ッチ回路295は、第1コモン電極Cuに接続されてい
るか第2コモン電極Cdに接続されているかに関係な
く、スイッチ回路249e〜hと同一の動作を行うので
説明を省略する。スイッチ回路296は、図14に示す
第2スイッチ回路250c,dと同一の構成であり、ス
イッチ回路295と順次的に切換え接続することによっ
てスイッチ回路295の出力を差動増幅器144へと入
力する。前記各スイッチ回路の動作とタイミング制御回
路174の動作について説明を行う。
【0131】図32に示すように、座標検出装置111
で用いるスイッチ回路291などの構造は、使用する増
幅器が差動増幅器143,142となっているので、各
差動増幅器143,142に2つの入力を与える必要が
あり、2本の電極において検出された信号を同時に切換
え接続することができるような構造となっている。ま
た、座標検出装置111においては、セグメント電極S
u,Sd側の座標を検出するために同一の構成であるス
イッチ回路を2組用いている。
【0132】前述の第1の実験によると、セグメント電
極Su,Sdを走査して座標の検出を行うときはコモン
電極Cu,Cdはすべて接地する必要がある。また、コ
モン電極Cu,Cdを走査して座標の検出を行うとき
は、セグメント電極Su,Sdを接地する必要がある。
すなわち、セグメント電極Su,Sdに対応付けられた
座標の検出を行うときには、セグメント電極Su側に接
続されているスイッチ回路291が次段に接続されてい
るスイッチ回路292a,bに信号を伝達し、同時にセ
グメント電極Sd側に接続されたスイッチ回路293が
次段に接続されているスイッチ回路294a,bに信号
を伝達する。コモン電極Cu,Cd側に接続されている
各スイッチ回路295a〜dはすべて接地される。
【0133】スイッチ回路292a,bから出力された
信号は、差動増幅器142および加算器145を経てセ
グメント「S」側に接続されているスイッチ回路297
へと与えられる。また、スイッチ回路294a,bから
出力された信号は、差動増幅器143を経て加算器14
5に入力される。スイッチ回路297がセグメント
「S」側に接続されることによって加算器145からの
出力が包絡線検波器186に入力される。
【0134】コモン電極Cu,Cdに対応付けられた座
標の検出を行うときには、スイッチ回路295a〜dが
次段に接続されているスイッチ回路296a,bに信号
を伝達し、スイッチ回路291,293はすべて接地さ
れる。スイッチ回路296a,bから出力された信号
は、差動増幅器144を経てコモン「C」側へと接続さ
れたスイッチ回路297へと与えられ、包絡線検波器1
86に入力される。包絡線検波器186に入力された信
号の処理については、前述の図15の説明において述べ
たとおりであるので、説明を省略する。
【0135】スイッチ回路292,294,296は、
各セグメント電極Su,Sdまたはコモン電極Cu,C
dからどの程度の電圧が出力されているかを検出するた
めに各セグメント電極Su,Sdおよびコモン電極C
u,Cdを順次的に走査するように切換え接続される。
図32に示す座標検出装置111では、図中に記載した
それぞれの座標軸の原点側に存在する電極から順次的に
切換え接続を行う。
【0136】各接点接続の状態は、たとえば各スイッチ
回路が図14と同じように接続されているとすると、ま
ず差動増幅器142の非反転入力端子には、原点から第
1本目に存在する第1セグメント電極Su1が接続さ
れ、反転入力端子には同じく第2本目に存在する第1セ
グメント電極Su2が接続される。続いてクロック信号
の入力などによって各電極との接続状態の切換えが指示
されると、差動増幅器142の非反転入力端子には原点
から第2本目に存在する第1セグメント電極Su2が接
続され、反転入力端子には同じく第3本目に存在する第
1セグメント電極Su3が接続される。
【0137】また、差動増幅器143の非反転入力端子
には、原点から第1本目に存在する第2セグメント電極
Sd1が接続され、反転入力端子には同じく第2本目に
存在する第2セグメント電極Sd2に接続される。さら
に前述の差動増幅器142の場合と同様に、各電極との
接続状態の切換えが指示されると、差動増幅器143の
非反転入力端子には、原点から第2本目に存在する第2
セグメント電極Sd2が接続され、反転入力端子には同
じく第3本目に存在する第2セグメント電極Sd3が接
続される。
【0138】上述のように2つの差動増幅器142,1
43に対して、上方部112a側および下方部112b
側に設けられる電極から各々2本の電極を1対として、
電極の組合わせ状態を順次変化させながら原点側から順
番に電極1本ずつの走査を行う。
【0139】差動増幅器144の非反転入力端子には、
原点から第1本目に存在する第2コモン電極Cd1が接
続され、反転入力端子には同じく第2本目に存在する第
2コモン電極Cd2が接続される。前述の各差動増幅器
142,143と同様に、各電極との接続状態の切換え
が指示されると、差動増幅器144の非反転入力端子に
は、前記第2コモン電極Cd2が接続され、反転入力端
子には、原点から第3本目に存在する第1コモン電極C
u2が接続される。上述のように差動増幅器144に対
して、原点側から電極1本ずつ順番に2本の電極を1対
として、電極の組合せ状態を変化させながら走査を行
う。
【0140】上述のように各スイッチ回路を切換えるこ
とによって図13に示すように横軸を時間軸として差動
増幅器144または加算器145の出力端子に再現され
ることとなる。なお、本実施例においては、差動増幅器
142,143に入力されるセグメント電極Su,Sd
は隣接した2本の電極としたが、共通に入力する電極の
本数および差動増幅器に入力される電極間に存在する電
極数については前述の実験に基づいた構成とすることが
できる。
【0141】続いて本発明の第3実施例である座標検出
装置211について説明を行う。座標検出装置211の
構成要素は、図32に示す座標検出装置111と同一で
あるので同一の参照符を付して説明を省略する。座標検
出装置211においては、前述の座標検出装置111に
おけるスイッチ回路291,293,295とスイッチ
回路292,294,296との切換え接続を行う電極
のピッチ本数を前述の第3の実験に示すよう変化させて
接続する。上述のような構成で検出される電圧を測定す
ることによって前述の第3の実験の結果である図27に
示すグラフと同様の結果を得ることができた。
【0142】座標位置を検出する際の精度は、入力電極
のピッチに対して最小値をもっており、検出精度の面か
ら考慮して最適な入力電極のピッチが存在することを示
している。前記最適ピッチは、画素のピッチおよび幅、
あるいは電子ペン18と液晶パネル112の距離、入力
電極群を形成する電極本数などの条件によって変化する
と考えられる。
【0143】以上の結果から、最適な入力電極ピッチが
存在することがわかったので、前記最適ピッチで入力電
極群を差動増幅器142,143,144に接続するこ
とにより座標検出の精度が向上した使い勝手が良好な装
置を提供することが可能となる。
【0144】したがって、図32に示す座標検出装置2
11において、差動増幅器142,143,144に入
力する電極ピッチを予め最適な電極本数として求めてお
き、電極本数分の間隔をあけて順次走査するようにすれ
ば検出精度の向上した使い勝手のよい座標検出装置21
1を提供することが可能である。
【0145】図33は、本発明の第4実施例である座標
検出装置311に含まれるTFT(Thin Film Transist
or)型の液晶パネル312の平面図である。本実施例に
おいては、TFT型の液晶パネル312を用いて電子ペ
ン18によって示される座標の検出を行う。
【0146】液晶パネル312には、図33に示す座標
軸の原点側から順番にX軸方向にソース電極p1,p
2,…,p6が設けられ、各ソース電極pと直交するよ
うにY軸方向にゲート電極g1,g2,…,g5が設け
られる。ソース電極p1,p2,…,p6を総称すると
きは参照符pを用い、ゲート電極g1,g2,…,g5
を総称するときは参照符gを用いる。液晶パネル312
においては、ソース電極p2,p4,p6は、ソース電
極コネクタ314aに接続され、ソース電極p1,p
3,p5はソース電極コネクタ314bに接続される。
ソース電極コネクタ314a,bを介してソース電極p
に映像を表示するための信号が供給される。また、ゲー
ト電極gにはゲート電極コネクタ315を介して信号が
与えられる。なお、図33に示す液晶パネル312にお
いては、理解を容易にするために各電極p,gにハッチ
ングを施した。
【0147】前述のように構成される液晶パネル312
は、既にワードプロセッサなどに広く実用されているの
で、参考文献書籍などは多数入手することができる。た
とえば、参考書籍として「液晶=応用編」(岡野、小林
共編、培風館刊、1992年第7刷)の104ページを
参照することができる。前記書籍に示されるような液晶
パネル312は、従来表示専用に用いられてきたので、
表示のために用いる周辺回路などは全く既知のものであ
る。
【0148】図34は、液晶パネル312を用いて行わ
れた第5の実験を説明するための図である。図34に示
す液晶パネル312においては、ソース電極pを4本設
け、ゲート電極gを4本設けた。なお、図34に示す液
晶パネル312においては、理解を容易にするために各
電極p,gにハッチングを施した。図34に示されるよ
うに、ソース電極p2,p4をソース電極コネクタ31
4aを介して差動増幅器343の各入力端子に接続し、
ソース電極p1,p3をソース電極コネクタ314bを
介して差動増幅器342の各入力端子に接続する。な
お、本実験においては、ゲート電極gはすべて接地され
ている。上述のようにソース電極pと差動増幅器34
2,343とが接続された液晶パネル312に対して、
電子ペン18を近づけることによって各ソース電極pか
ら検出される出力電圧を測定した。
【0149】図35は、第5の実験の結果を示すグラフ
である。図35に示すグラフにおいては、図13に示し
たグラフと同様の傾向を示す結果を得ることができた。
すなわち、包絡線が双峰形状をした交流出力電圧が得ら
れ、交流出力電圧の谷の位置が電子ペン18の存在する
位置に関係することが判明した。したがって、液晶パネ
ル312を用いた場合であっても前述の各実施例と同様
に電子ペン18の存在する座標位置を求めることができ
る。
【0150】以下に図36を用いて座標検出装置311
の動作について説明する。なお、図36に示す液晶パネ
ル312においては、理解を容易にするために各電極
p,gにハッチングを施した。まず、差動増幅器34
2,343からは、電子ペン18の存在する位置に応じ
て図35に示す出力電圧が供給される。差動増幅器34
2,343の出力を加算器345において加算し、座標
検出回路175aに入力する。座標検出回路175aに
おいて行われる処理については前述の各実施例と同一で
あるので説明を省略する。
【0151】次に図37を参照して、座標検出装置31
1における各スイッチ回路とタイミング制御回路174
の動作を説明する。なお、図37に示す液晶パネル31
2においては、理解を容易にするために各電極p,gに
ハッチングを施した。
【0152】座標検出装置311においては、ソース電
極p1,p3,p5と差動増幅器342との間にスイッ
チ回路391とスイッチ回路392とが設けられてい
る。スイッチ回路391は、3つのスイッチ回路391
a,391b,391cを含んで構成されており、各ス
イッチ回路391a〜cは第1スイッチ回路249と同
一の構成であり、ソース電極p1,p3,p5にそれぞ
れ接続される。スイッチ回路392は、図14に示す第
2スイッチ回路250a,bと同一の構成であり、スイ
ッチ回路391と順次的に切換え接続することによって
スイッチ回路391の出力を差動増幅器342に与え
る。
【0153】また、ソース電極p2,p4,p6と差動
増幅器343との間にはスイッチ回路393とスイッチ
回路394とが設けられている。スイッチ回路393
は、スイッチ回路391と同様に3つのスイッチ回路3
93a,393b,393cを含んで構成されており、
各スイッチ回路393がソース電極p2,p4,p6に
それぞれ接続される。スイッチ回路393は、スイッチ
回路391と同一の動作を行うので動作についての説明
を省略する。スイッチ回路394は、スイッチ回路39
2と同一の構成であり、スイッチ回路393と順次的に
切換え接続することによってスイッチ回路393の出力
を差動増幅器343に与える。
【0154】ゲート電極gと差動増幅器344との間に
はスイッチ回路395とスイッチ回路396とが設けら
れている。スイッチ回路395は、図14に示す第1ス
イッチ回路249e〜hと同様に4つのスイッチ回路3
95a,395b,395c,395dを含んで構成さ
れている。各スイッチ回路395は、ゲート電極gとそ
れぞれ接続される。スイッチ回路395は、第1スイッ
チ回路249e〜hと同一の動作を行うので動作につい
ての説明を省略する。スイッチ回路396は、図14に
示す第2スイッチ回路250c,dと同一の構成であ
り、スイッチ回路295と順次的に切換え接続すること
によってスイッチ回路395の出力を差動増幅器344
に与える。座標検出装置311におけるスイッチ回路
は、図37においては詳細に示していないが、たとえ
ば、図37のスイッチ回路391a,b,c、およびス
イッチ回路391d,e,fは、図14に示す第1スイ
ッチ回路291a,b,cに対応しており置換えて考え
ることができる。同様に図37のスイッチ回路391
g,h,iは図14の第1スイッチ回路291e,f,
gに対応しており置換えて考えることができる。
【0155】また、図37のスイッチ回路392a,
b、およびスイッチ回路392c,dは図14の第2ス
イッチ回路292a,bに置換えて考えることができ、
同様に図37のスイッチ回路392e,fは図14の第
2スイッチ回路292c,dに置換えて考えることがで
きる。
【0156】前述の実験の説明で述べたように、ゲート
電極gをすべて接地し、ソース電極pから出力電圧を検
出するようにすることも、またソース電極pをすべて接
地し、ゲート電極gから出力電圧を検出するようにする
ことも可能である。前述の図36に示す実験の結果のグ
ラフでは、電子ペン18が存在する位置に対して双峰性
の形状を有した信号が検出され、信号の谷となる部分が
電子ペン18の存在する位置であったから、同様の検出
動作をソース電極p側からとゲート電極g側からと2回
行うことによって電子ペン18の存在する座標位置を特
定することが可能である。
【0157】座標を検出するタイミングとしては図16
に示すタイミングチャートにおいて、セグメント電極検
出期間をソース電極検出期間とし、コモン電極検出期間
をゲート電極検出期間と考えることによって前述の各実
施例と同様に検出することができる。
【0158】前述の実験によるとソース電極pに対応付
けられた座標の検出を行うときは、ゲート電極gはすべ
て接地する必要がある。また逆に、ゲート電極gに対応
付けられた座標の検出を行うときは、ソース電極sをす
べて接地する必要がある。各電極p,gの接続状況など
を考慮してタイミング回路174は、各スイッチ回路を
切換え制御する。
【0159】すなわち、まずソース電極pに対応付けら
れた座標位置を検出するときには、ソース電極pに接続
されるそれぞれのスイッチ回路391,393は次段に
接続されているスイッチ回路392,394に信号を伝
達する。ゲート「g」側に接続されたスイッチ回路39
5は接地される。そのため、信号はスイッチ回路39
2,394を経てそれぞれ差動増幅器342,343に
導かれ、差動増幅器342,343の出力が加算器34
5で加算される。また、加算器345の出力は、スイッ
チ回路293がソース「p」側に接続されることで包絡
線検波器186へと与えられる。包絡線検波器186に
入力された後の信号の処理については前述したとおりで
ある。
【0160】逆に、ゲート電極gに対応付けられた座標
位置を検出するときには、ゲート電極gに接続されるス
イッチ回路395が次段に接続されているスイッチ回路
396に信号を伝達する。ソース電極pに接続されたス
イッチ回路391,393は接地される。ゲート電極g
側に設けられたスイッチ回路396から出力された信号
は、差動増幅器344を経てゲート電極gであるゲート
「g」端子に接続されたスイッチ回路293へと与えら
れる。
【0161】座標検出装置311においては、図中に記
載した座標軸の原点側に存在する電極から順番に走査さ
れる。各スイッチ回路の動作は、以下のように示され
る。差動増幅器342の反転入力端子には図示した座標
軸で原点から第1本目に存在するソース電極p1が接続
され、また非反転入力端子には同じく第3本目に存在す
るソース電極p3が接続される。同時に、差動増幅器3
43の反転入力端子には図示した座標軸で原点から第2
本目に存在するソース電極p2が接続され、非反転入力
端子には同じく第4本目に存在するソース電極p4が接
続される。
【0162】クロック信号の入力などによって各スイッ
チ回路391,393にソース電極pとの接続状態の切
換えが指示されると、差動増幅器342の反転入力端子
には、図示した座標軸で原点から第3本目に存在するソ
ース電極p3が接続され、また非反転入力端子には同じ
く第5本目に存在するソース電極p5が接続される。差
動増幅器343の反転入力端子は、図示した座標軸で原
点から第4本目に存在するソース電極p4が接続され、
非反転入力端子には同じく第6本目に存在するソース電
極p6が接続される。
【0163】上述のように、2つの差動増幅器342,
343に対して各々2本の電極を一対として組合わせ状
態を順次変化させながら原点側から順番に電極1本ずつ
走査を行う。なお、スイッチ回路391とスイッチ回路
393とが順次各電極との接続状態を切換え、ゲート電
極sを走査してゆくタイミングと、カウンタ184が1
カウントずつ進んでいくタイミングは一致させる必要が
ある。前記タイミングを一致させることによって、現在
走査されているパネルにおける座標位置をカウンタ18
4のカウント値で知ることができる。このためには、カ
ウンタ184に入力されるクロック信号を用いてスイッ
チ回路391とスイッチ回路393との切換制御信号を
発生させるようにすればよい。
【0164】差動増幅器344の非反転入力端子には原
点から第1本目に存在するゲート電極g5が接続され、
反転入力端子には同じく第2本目に存在するゲート電極
g4が接続される。前述の差動増幅器342,343と
同様に、クロック信号の入力などによってゲート電極g
との接続状態の切換えが指示されると、差動増幅器34
4の非反転入力端子には前記ゲート電極g3が接続され
る。
【0165】スイッチ回路395が、ソース電極pを走
査してゆくタイミングを前述のスイッチ回路391,3
93の場合と同様にカウンタ184が1カウントずつ進
むタイミングと一致させることによって座標位置を検出
することができる。
【0166】なお、本実施例においては、液晶パネル3
12の一方端部312a側と他方端部312b側とから
それぞれ座標位置を示す信号の検出を行ったが、一方端
部312a側および他方端部312b側のいずれか一方
のみにソース電極pを接続して信号の検出を行うように
してもよい。検出方法として、たとえば図12に示すよ
うにソース電極pを1本ずつ差動増幅器の各入力端子に
入力してもよいし、図20に示すように2本ずつ入力す
るようにしてもよい。また、液晶パネル312の表示容
量を増加させるために液晶パネル112に示すような構
造となる場合であっても、一方端部312aおよび他方
端部312bの両端部から、たとえば図30に示すよう
にして信号の検出を行うことができる。なお、上述の例
はすべてソース電極pについて述べたが、ゲート電極g
についても同様である。
【0167】図38は、上述の各実施例において用いら
れる電子ペン18に置換えて用いることができる電子ペ
ン118の先端部の構成を示す図である。電子ペン11
8は、先端部118aの形状を除けば前述の電子ペン1
8と同一であるので、先端部118aの構造について説
明を行い、電子ペン18と同一の構成要素は同一の参照
符を付して説明を省略する。
【0168】電子ペン118の先端部118aには、複
数の電極k1,k2,…,k6が円周状になるように配
置されている。電極k1,k3,k5が共通に交流発振
器21の一方の出力端子に接続され、電極k2,k4,
k6が共通に交流発振器21の他方の出力端子に接続さ
れる。
【0169】上述のように各電極を配置することによっ
て、先端部118aに環状の電界を発生させることがで
き、電子ペン118と座標検出のためのパネルとの接す
る角度が変化しても電極k1〜k6とパネルの電極との
間に発生する静電容量が変化しない。
【0170】図39は、上述の各実施例において用いら
れる第3座標検出回路375の構成を示すブロック図で
ある。第3座標検出回路375において、前述の座標検
出回路175と同一の構成要素には同一の参照符を付し
て説明を省略する。
【0171】第3座標検出回路375は、差動増幅器2
42、遅延回路376と減算器377と包絡線検波器3
78と2値化回路379とカウンタ184とラッチ回路
185とを含んで構成される。第3座標検出回路375
においては、前述の座標検出回路175とは異なり、双
峰性形状の出力信号の谷部における信号の振幅ではなく
信号の位相によって前記双峰性の出力信号の谷部を検出
するようにしている。すなわち、第3座標検出回路37
5は、前記双峰性出力信号における谷部以前の信号部分
は、前記谷部以後の信号部分とは位相が180度異なっ
ているという位相反転特性を利用して、前記双峰性出力
信号における谷部の位置を検出するものである。
【0172】第3座標検出回路375の動作について説
明する。第3座標検出回路375においては、前述のス
イッチ回路と同一のスイッチ回路に各入力端子が接続さ
れている差動増幅器242からの出力が、減算器377
の反転入力端子に入力される。また同時に差動増幅器2
42の出力は遅延回路376を介して減算器377の非
反転入力端子へと入力される。減算器377において
は、各入力端子に入力される信号の演算が行われ、包絡
線検波器378へと出力される。包絡線検波器378
は、2値化回路379に接続されており、包絡線検波器
378の出力が2値化回路379に入力される予め定め
る比較参照値と比較され、比較参照値以上か未満かによ
って2値化される。2値化回路379の出力は、前述し
たラッチ回路185のクロック端子へと入力される。カ
ウンタ184およびラッチ回路185の動作について
は、前述の座標検出回路175と同一であるので説明を
省略する。
【0173】図40は、第3座標検出回路375におけ
る信号の波形を示す波形図である。図40(1)に示さ
れるような差動増幅器242の出力信号は、減算器37
7の反転入力端子へと入力される。図40(2)に示す
信号は、遅延回路376によって予め定める時間、たと
えば時刻t61から時刻t63までの期間W11だけ図
40(1)に示す差動増幅器242の出力信号を遅らさ
れた信号である。図40(3)に示される減算器377
の出力は、図40(1)に示す信号の波形と、図40
(2)に示す信号の波形とを減算した波形となる。
【0174】図40(3)に示される出力信号波形は、
包絡線検波器378において当該出力信号波形の包絡線
が検出され、図40(4)に示される信号波形となって
2値化回路379へと入力される。2値化回路379に
おいては、前述のように比較参照電圧に基づいて比較を
行い、入力サレル信号波形が比較参照電圧以上となる時
刻t62から時刻t64までの期間W12をロー「L」
とし、期間W12以外の期間をハイ「H」とする。
【0175】図40(5)に示すように2値化回路37
9の出力パルスは、差動増幅器242の出力信号の谷の
部分と比べて、前記出力パルスと双峰性出力信号の谷の
部分とがずれているために、前記遅延回路376の遅延
時間だけ出力時間が遅れる。そのために、検出される座
標と実際に電子ペン18の存在する座標とがずれてしま
う。しかし、遅延回路376の遅延時間は常に一定であ
るために予め前記遅延時間が同程度の座標のずれ値に相
当するのかを計測しておいて、ラッチ回路185に保持
された座標データから前記計測されたずれ値を差し引く
ことによって、座標検出の際の誤差発生を防ぐことがで
きる。
【0176】前記遅延回路376における遅延時間は、
前記スイッチ回路の切換え速度に関連している。すなわ
ち、前記遅延時間は図40(1)に示した2つの山の間
の時間間隔と同程度かあるいは同程度以下であることが
望ましい。したがって、前記スイッチ回路の切換え速度
が遅いほど前記遅延時間を長く設定することになる。そ
のため前記切換え速度は、遅延回路376の実現性を考
慮して設定する必要がある。なお、図40に示す例は、
遅延回路376の遅延時間が2つの山の頂点間の時間に
等しい場合の例である。
【0177】図40(1)に示した双峰性形状を有する
差動増幅器242の出力信号と、図40(2)に示した
双峰性形状を有する遅延回路376の出力信号とは減算
器377に入力されて減算される。双峰性の入力信号の
谷の前後では信号の位相が180度反転しているため、
減算器377の2つの入力に同時に信号が入ったときに
信号自体は減算されるが、信号波形つまり信号の振幅
は、図40(3)に示すように加算される。したがっ
て、前記減算器376の出力波形は、図40(3)に示
すように最も高い山と、この高い山を挟んだ2つの低い
山を有する波形となる。
【0178】以上のように第3座標検出回路375にお
いては、信号の位相の変化に着目した座標検出を行って
いるので、検出した信号に混入する雑音であって信号の
振幅変化をきたすものに影響されにくいという特徴があ
り、座標検出の精度を向上させることができる。
【0179】図41は、図1に示した座標検出回路17
の入力端子に接続されるバンドパスフィルタ380の構
成を示す図である。バンドパスフィルタ380は、具体
的には図14を参照した場合、差動増幅器242の入力
端子およびスイッチ回路249a〜hの入力側端子に接
続される。前記バンドパスフィルタ380は、コンデン
サ381と、コンデンサ381の出力端子に一方が接続
され他方が接地された抵抗382とを備えている。バン
ドパスフィルタ380は、前記電子ペン18が発生する
交流電界の周波数付近の周波数成分だけを選択して通過
させる。したがって、前記バンドパスフィルタ380を
設けることよって、座標検出に必要な周波数成分だけを
良好に通過させることができるとともに、前記バンドパ
スフィルタ380の遮断周波数領域に属する、たとえば
ハム雑音などの不要な雑音を有効に低減することができ
る。
【0180】図42は、差動増幅器242に帰還回路3
90,396を設けた場合の回路図である。差動増幅器
242の出力端子と反転入力端子の間に、図42に示す
帰還回路390を接続することによって差動増幅器24
2の周波数特性を最適化することができる。前記帰還回
路390は、インダクタンス391とコンデンサ392
と抵抗393の並列回路によって構成されており、帰還
素子としては前記交流電界の周波数に共振するように構
成されるインダクタンス391とコンデンサ392とに
よる共振回路を有している。前記共振回路においては、
共振点付近でインピーダンスが最大になるため、帰還率
が最低になる。その結果、共振周波数付近のみで大きな
利得を得ることができる。なお、抵抗393は最大利得
を調整するために使用している。
【0181】また、図42に示す回路においては、差動
増幅器242の非反転入力端子とグランド電位との間に
抵抗397とコンデンサ398とインダクタンス399
とによって構成される並列共振回路である帰還回路39
6が接続されている。帰還回路396は、前記交流電界
の周波数において共振し、前記共振周波数付近でインピ
ーダンスが最大となるので共振周波数付近のみで大きな
利得を得ることができる。
【0182】なお上述の各実施例においては、包絡線検
波器186,378を用いた実施例について示している
が、図43に示す同期検波器401に置換えてもよい。
図43に示される同期検波器401は、PLL(位相同
期ループ周波数復調)402と、乗算回路403と、ロ
ーパスフィルタ404とを含んで構成される。
【0183】同期検波器401において入力された信号
は、乗算回路403とPLL402とに入力される。P
LL402では、入力された信号のキャリア成分に位相
同期した連続信号が作成される。PLL402から出力
される連続信号と前記入力信号とが乗算回路403にお
いて乗算される。乗算回路403の出力は、ローパスフ
ィルタ404へと入力され低域成分のみが通過させられ
信号の輪郭が抜き出される。同期検波器401の出力
は、たとえば2値化回路180に入力される。同期検波
器401を用いた場合、包絡線検波器186,378を
用いた場合よりも抽出される信号の輪郭のひずみを低減
させることができるので電子ペン18の存在する座標位
置の検出精度を向上させることができる。
【0184】また上述の各実施例においては、2値化し
たパルスを用いて電子ペン18の位置を決定しているが
2値化したパルス信号を用いずに図44に示すようにx
座標の点x1と点x2と点x3と、対応する電圧値を検
出し、当該検出された電圧値に基づいて回帰分析などを
行って多項式を当てはめ、電子ペン18が存在する位置
に対応する目的とする点xxの座標を検出するようにし
てもよい。
【0185】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、交流発振
器の出力が与えられることで電界を発生する指示電極の
存在する位置を検出するパネルにおいて、パネルに設け
られる電極と指示電極との第1距離をHとして、第1電
極群の配列方向に沿う幅の中央値と第2電極群の配列方
向に沿う幅の中央値との第2距離をNとした場合に、
0.4≦N/H≦1.1となるようにパネルを形成して
いるので、パネルにおける指示電極の存在する座標を検
出する際の検出精度を高くすることができる。
【0186】また本発明によれば、交流発振器の出力が
与えられることで電界を発生する指示電極の存在する位
置を検出するパネルにおいて、パネルに設けられる電極
と指示電極との第1距離をHとして、第1および第2電
極群の配列方向に沿う幅の第3距離をBとした場合に、
0.3≦B/H≦0.7となるようにパネルを形成して
いるので、パネルにおける指示電極の存在する座標を検
出する際の検出精度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例である座標検出装置11の
構成を示すブロック図である。
【図2】座標検出装置11の使用例を示す図である。
【図3】座標検出装置11における液晶パネル12周辺
のブロック図である。
【図4】液晶パネル12におけるセグメント電極Sの構
成を示す図である。
【図5】液晶パネル12および電子ペン18の断面図で
ある。
【図6】液晶パネル12における液晶層33周辺の断面
図である。
【図7】電子ペン18の概略的な断面図である。
【図8】液晶パネル12と電子ペン18との間で発生す
る静電的な結合について模式的に示す図である。
【図9】座標検出装置11の交流発振器21と差動増幅
器242とを用いた等価回路図である。
【図10】座標検出装置11を用いて行われた第1の実
験の構成を示す平面図である。
【図11】第1の実験の結果を示すグラフである。
【図12】座標検出装置11を用いて行われた第2の実
験の構成を示す平面図である。
【図13】第2の実験の結果を示すグラフである。
【図14】座標検出回路17の構成を示すブロック図で
ある。
【図15】座標検出回路17において行われる信号の処
理を示す図である。
【図16】座標検出装置11において表示および座標検
出を行う際のタイミングチャートである。
【図17】座標検出回路17におけるタイミングチャー
トである。
【図18】第2座標変換回路275の構成を示すブロッ
ク図である。
【図19】第2座標変換回路275において行われる信
号の処理を示す図である。
【図20】座標検出装置11を用いて行われた第3の実
験の構成を示す平面図である。
【図21】第3の実験の結果において、入力電極本数と
検出電圧との関係を示す図である。
【図22】第3の実験の結果において、入力電極本数と
ノイズレベルとの関係を示す図である。
【図23】第3の実験の結果において、入力電極本数と
双峰性性信号のピーク間距離との関係を示す図である。
【図24】第3の実験の結果において、入力電極本数と
検出精度との関係を示す図である。
【図25】第4の実験の結果において、電極ピッチと検
出電圧との関係を示す図である。
【図26】第4の実験の結果において、電極ピッチと双
峰性信号のピーク間距離との関係を示す図である。
【図27】第4の実験の結果において、電極ピッチと検
出精度との関係を示す図である。
【図28】第3の実験に基づく座標検出装置11の構成
を示すブロック図である。
【図29】本発明の第2実施例である座標検出装置11
1および第3実施例である座標検出装置211に含まれ
る表示容量を増加させた液晶パネル112の平面図であ
る。
【図30】液晶パネル112を用いて座標の検出を行う
際の構成を示す図である。
【図31】座標検出装置111,211において座標を
検出するための構成を示す図である。
【図32】座標検出装置111,211の構成を示すブ
ロック図である。
【図33】本発明の第4実施例である座標検出装置31
1に含まれるTFT型液晶パネル312の平面図であ
る。
【図34】TFT型液晶パネル312を用いて行われた
第5の実験の構成を示す平面図である。
【図35】液晶パネル312を用いて行われた第5の実
験の結果を示すグラフである。
【図36】液晶パネル312を用いて電子ペン18の存
在する座標の検出を行う際の構成を示すブロック図であ
る。
【図37】座標検出装置311の構成を示すブロック図
である。
【図38】電子ペン118の先端部の概略的な構造を示
す断面図である。
【図39】座標変換回路375の構成を示すブロック図
である。
【図40】座標変換回路375において行われる信号の
処理を示す図である。
【図41】バンドパスフィルタ380の回路図である。
【図42】差動増幅器242に設けられる帰還回路39
0,396の回路図である。
【図43】同期検波器401の構成を示すブロック図で
ある。
【図44】座標の検出方法の1例を示すための図であ
る。
【図45】従来の座標検出装置901の構成を示すブロ
ック図である。
【符号の説明】
11 座標検出装置 12 液晶パネル 13 コモン駆動回路 14 セグメント駆動回路 15 電源回路 16 制御回路 17 検出回路 18 電子ペン 19 画素表示駆動回路 20 コネクタ 21 交流発振器 22 指示電極 23 外側電極 26 第1電極群 27 第2電極群 31 基板
フロントページの続き (72)発明者 田川 孝生 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の電極が間隔をあけて予め定める配
    列方向に配列される座標検出のためのパネルと、 交流発振器と、 前記交流発振器によって発生される交流電界が与えら
    れ、前記電極との間で静電的な結合を行うことによっ
    て、パネルに予め対応付けられる座標位置を示す指示電
    極と、 一方の入力が前記電極の配列方向に隣接する1または複
    数の電極を含む第1電極群と共通に接続され、第1電極
    群に対して配列方向に隣接し、かつ第1電極群に含まれ
    る電極数と同一数の前記電極を含む第2電極群が他方の
    入力に共通に接続され、一方および他方の入力から入力
    される前記静電的な結合に基づく信号の差を出力する演
    算手段と、 第1電極群と第2電極群との配列方向に対する相対的な
    間隔を変えることなく第1電極群と第2電極群とに含ま
    れる各電極を前記配列方向にずらして順次的に切換え接
    続を行う切換え手段と、 前記演算手段の出力と、前記切換え手段によって演算手
    段に接続される電極の切換え接続状態とに基づいて、前
    記指示電極が存在する前記パネルにおける座標位置を検
    出する座標検出手段とを含み、 パネルの前記電極と前記指示電極との第1距離をHと
    し、第1電極群の配列方向に沿う幅の中央値と、第2電
    極群の前記配列方向に沿う幅の中央値との第2距離をN
    とするとき、前記第1距離であるHと前記第2距離であ
    るNとを、 0.4≦N/H≦1.1 と定めることを特徴とする座標検出装置。
  2. 【請求項2】 複数の電極が間隔をあけて予め定める配
    列方向に配列される座標検出のためのパネルと、 交流発振器と、 前記交流発振器によって発生される交流電界が与えら
    れ、前記電極との間で静電的な結合を行うことによっ
    て、パネルに予め対応付けられる座標位置を示す指示電
    極と、 一方の入力が前記電極の配列方向に隣接する1または複
    数の電極を含む第1電極群と共通に接続され、第1電極
    群に対して配列方向に隣接し、かつ第1電極群に含まれ
    る電極数と同一数の前記電極を含む第2電極群が他方の
    入力に共通に接続され、一方および他方の入力から入力
    される前記静電的な結合に基づく信号の差を出力する演
    算手段と、 第1電極群と第2電極群との配列方向に対する相対的な
    間隔を変えることなく第1電極群と第2電極群とに含ま
    れる各電極を前記配列方向にずらして順次的に切換え接
    続を行う切換え手段と、 前記演算手段の出力と、前記切換え手段によって演算手
    段に接続される電極の切換え接続状態とに基づいて、前
    記指示電極が存在する前記パネルにおける座標位置を検
    出する座標検出手段とを含み、 パネルの前記電極と前記指示電極との第1距離をHと
    し、前記第1および第2電極群の前記配列方向に沿う幅
    である第3距離をBとするとき、前記第1距離であるH
    と前記第3距離であるBとを、 0.3≦B/H≦0.7 と定めることを特徴とする座標検出装置。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005531423A (ja) * 2001-10-16 2005-10-20 ヒューレット・パッカード・カンパニー 電子筆記および字消しペンシル
JP2010160604A (ja) * 2009-01-07 2010-07-22 Rohm Co Ltd 入力装置
JP2011053865A (ja) * 2009-09-01 2011-03-17 Seiko Epson Corp センシング装置および電子機器
JP2011081767A (ja) * 2009-10-12 2011-04-21 Renei Kagi Kofun Yugenkoshi タッチ検出方法、タッチ検出装置、及びタッチ表示装置
JP2012168747A (ja) * 2011-02-15 2012-09-06 Nippon Soken Inc 操作検出装置
KR20170127991A (ko) * 2016-05-13 2017-11-22 엘지디스플레이 주식회사 터치 스크린 장치 및 그의 구동 방법

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