JPH08334926A - 静電像現像用トナー及びトナー画像定着方法 - Google Patents

静電像現像用トナー及びトナー画像定着方法

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JPH08334926A
JPH08334926A JP7139245A JP13924595A JPH08334926A JP H08334926 A JPH08334926 A JP H08334926A JP 7139245 A JP7139245 A JP 7139245A JP 13924595 A JP13924595 A JP 13924595A JP H08334926 A JPH08334926 A JP H08334926A
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JP
Japan
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toner
temperature
fixing
molecular weight
weight
Prior art date
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Application number
JP7139245A
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English (en)
Inventor
Kunio Akimoto
国夫 秋本
Takeshi Uchida
剛 内田
Hiroyuki Kozuru
浩之 小鶴
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Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低温定着可能で、定着性、耐オフセット性が
良好で、定着フィルムの耐久性を向上させるトナーの提
供。また、巻き付きの発生することのない熱ロールによ
る定着方法の提供。 【構成】 バインダー樹脂と着色剤とからなるトナーに
おいて、該バインダー樹脂が高分子量成分と低分子量成
分との混合物からなり、高分子量成分と低分子量が高成
分の見かけの粘度の常用対数(logη′)を温度に対
してプロットした際に、そのグラフの傾きの絶対値を規
定し、かつ高分子量成分と低分子量成分の混合割合が5
/95〜50/50で、樹脂混合物のグラフの傾きの絶
対値を規定したバインダー樹脂を用いた事を特徴とする
静電像現像用トナー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、静電像現像用トナー及
びトナー画像定着方法に関し、詳しくは低温定着が可能
で、かつ定着領域が広く、定着性が良好なトナーの提供
ならびに巻き付きの発生することのない熱ロールによる
トナー画像定着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真複写機には安全性、信頼性の観
点から乾式現像方式が広く用いられている。近年、複写
機技術の発展にともない、より高生産性、高信頼性の複
写機が開発されてきた。これら高生産性、高信頼性の追
求には、機械としての複写機の高性能化だけでなく、資
材、特にトナーの高性能化が不可欠である。トナーサイ
ドからの高生産性に対するアプローチとしては、トナー
による高速・低温定着化が試みられてきた。トナーによ
り高速・低温定着化を図る手段としては、結着樹脂の溶
融粘度を低下させる、つまり結着樹脂のガラス転移点を
下げる組成にしたり、結着樹脂の分子量を小さくするこ
とが挙げられる。しかしこれらの手段を用いるとトナー
保存性が低下したり、現像器内での過粉砕とそれに伴う
画質の劣化や、ホットオフセットの発生による画像汚れ
が発生する。これに対し現在までに結着樹脂の流動特性
に対する様々な最適化が試みられてきた。
【0003】例えば特開昭61−17068号には流動
点が70〜110℃の範囲にあり、流動直線の勾配(1
×102)が−2.0〜−6.0の範囲にある樹脂
(A)と、流動直線の勾配(1×102)が−7.0〜
−10.0の範囲にある樹脂(B)とからなる混合物を
主成分とする結着樹脂を含有する電子写真用トナーの技
術が開示されている。しかしながら、このトナーは、高
分子量成分の(A)樹脂の流動直線の勾配が大きいた
め、溶融粘度の温度依存性が大きくなり、弾性が低下し
てトナーの耐オフセット性が低下する。また流動点(流
出開始温度)が70〜105℃と低いために溶融状態の
粘弾性が小さくなって、耐巻き付き性も低下する。
【0004】また特開昭61−21557号には、結着
樹脂と着色剤を主成分とする現像剤組成物において、結
着樹脂の主成分がビニル系重合体よりなり、結着樹脂が
高架式フローテスターを用い、6℃/minの等速昇温
下、20Kg/cm2荷重で結着樹脂1cm3を、直径1
mm、長さ1mmのノズルより押しだして測定した流れ
値より測定した見かけ粘度の自然対数を温度に対してプ
ロットした際のグラフの傾きの絶対値が0.15ln
(poise)/℃以下である物性を有するものである
ことを特徴とする現像剤組成物が開示されている。本発
明の技術によればオフセットが防止でき、またより低い
定着温度を付与することができる。しかしながらグラフ
の傾きが前記範囲であっても、実質的に1山分布のバイ
ンダー樹脂を使用するため、定着性、耐オフセット性、
過粉砕性、耐巻き付き性等のバランスの取れたトナーを
得ることは出来ない。
【0005】特開平3−122659号には熱高架式フ
ローテスター測定による流出開始温度(Tfb)が75
〜105℃、及び溶融粘度(η′)の常用対数log
η′を温度に対してプロットした際の、Tfb+20℃
におけるグラフの傾きの絶対値が0.12log(po
ise)/℃以上であり、Tfb+40℃におけるグラ
フの傾きの絶対値が0.04log(poise)/℃
以下、かつ、Tfb+40℃における溶融粘度の常用対
数が4.4log(poise)以上である樹脂を主結
着樹脂とする加熱定着用トナーが開示されている。この
トナーではTfb+20℃におけるグラフの傾きの絶対
値が大きく、定着性は非常に良好になるものの、溶融粘
度の温度依存性が大きくなり、弾性が低下してトナーの
耐オフセット性が低下する。
【0006】特開平4−68360号には定着樹脂は重
量平均分子量(Mw)が5万乃至500万の範囲を満た
し、かつ温度100乃至150℃の範囲におけるトナー
の粘度勾配(絶対値)が0.030/℃以下である領域
が少なくとも1以上存在することを特徴とするトナー技
術が開示されている。このトナーは、粘度勾配の絶対値
が0.030/℃以下の領域が少なくとも1つ以上存在
するトナーであり、このことはトナー粒子中に温度依存
性の異なる成分が存在するか、または温度依存性の異な
る粒子同士が混合されていることを示しており、トナー
の熱的特性が不均一となり、定着性や耐オフセット性の
ばらつきが多くなり、安定した定着性能、耐巻き付き
性、耐過粉砕性を得ることは出来ない。
【0007】特開平4−68361号には定着樹脂は重
量平均分子量(Mw)が5万乃至500万の範囲を満た
し、かつ温度100乃至150℃の範囲におけるトナー
の平均粘度勾配(絶対値)が0.02乃至0.07/℃
の範囲を満たし、かつ該温度領域においてのトナーの平
均粘度勾配よりその粘度勾配が緩慢となる領域を10%
以上有してなることを特徴とするトナー技術が開示され
ている。このトナーにおいても、粘度勾配が緩慢と成る
領域を有しており、前記技術と同様にトナー粒子中に温
度依存性の異なる成分が存在するか、または温度依存性
の異なる粒子同士が混合されていることを示しており、
トナーの熱的特性が不均一となって、定着性や、耐オフ
セット性のばらつきが多くなり、安定した定着性能、耐
巻き付き性、耐過粉砕性を得ることは出来ない。
【0008】特開昭63−58356号には結着樹脂と
結着樹脂中に分散した顔料からなるトナーにおいて、結
着樹脂が(I)スチレン、(II)アクリル酸エステル
またはメタクリル酸エステル及び、(III)エチレン
系不飽和カルボン酸またはその無水物を構成単量体とし
且つ酸価が0.2〜30の範囲にあるスチレン−アクリ
ル系樹脂から成るもので、結着樹脂と顔料との組成物の
110〜130℃でのフローテスター測定による溶融粘
度−温度特性が下記式 logη≦−0.074T+14.93 及び logη≧−0.061T+12.40 を満足することを特徴とする高速複写用熱定着トナー技
術が開示されている。このトナーは、溶融粘度の温度依
存性が大きく、トナーの定着性は良好であるものの耐オ
フセット性に劣るという欠点を有している。
【0009】以上示したように、種々流動特性を改良し
た技術が開示されているが、低温定着が可能で、かつ定
着領域の広いトナーは得られていない。また、現像器中
での過粉砕性が小さく、キャリアへのスペントが無く、
カブリやトナー飛散のないトナーや、保存性が良好で現
像器や感光体へのフィルミングが発生しないトナーも得
られていないのが現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記のような問題に対
して、本発明の課題は、低温定着が可能で、かつ定着領
域が広く、特に剥離、折り曲げに対して定着性が良好で
あり、また現像器中での過粉砕性が小さく、キャリアへ
のスペントが無く、カブリやトナー飛散がなく、さらに
保存性が良好で、現像器や感光体へのフィルミングが発
生しないトナーを提供することにある。さらに別の課題
は固定支持された加熱体と該加熱体に対向圧接し、かつ
フィルムを介して該加熱体に密着させる加圧部材とによ
り、トナーの顕画像を記録材加熱定着させる定着方法に
おいて、定着性、耐オフセット性が良好で、フィルムへ
のトナー固着がなく、定着フィルムの耐久性を向上させ
るトナーの提供である。
【0011】また、巻き付きの発生することのない熱ロ
ールによる定着方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、下
記手段により達成される。
【0013】(1) 少なくともバインダー樹脂と着色
剤とからなるトナーにおいて、該バインダー樹脂が高分
子量成分と低分子量成分との混合物からなり、高分子量
成分が高架式フローテスターを用いて得られる見かけの
粘度の常用対数(logη′)を温度に対してプロット
した際に、そのグラフの傾きの絶対値(kHP)が0.
003≦(kHP)≦0.02log(poise)/
℃であり、低分子量成分のグラフの傾きの絶対値(kL
P)が0.07≦(kLP)≦0.1log(pois
e)/℃であり、かつ高分子量成分と低分子量成分の混
合割合が5/95〜50/50で、樹脂混合物のグラフ
の傾きの絶対値(kバインダー)が0.03≦(kバイ
ンダー)≦0.06log(poise)/℃であるバ
インダー樹脂を用いた事を特徴とする静電像現像用トナ
ー。
【0014】(2) 加熱ローラーと圧着ローラーとを
有してなる熱ローラー定着器に、上記(1)に記載され
たトナーによる顕画像を挟圧搬送し、熱ローラーに接触
させて記録材に加圧加熱定着させることを特徴とするト
ナー画像定着方法。
【0015】(3) 固定支持された加熱体と、該加熱
体に対向圧接しかつフィルムを介して該加熱体に密着さ
せる加圧部材とにより、上記(1)に記載されたトナー
による顕画像を記録材に加圧加熱定着させることを特徴
とするトナー画像定着方法。
【0016】以下、本発明について具体的に説明する。
【0017】 少なくともバインダー樹脂と着色剤と
からなるトナーにおいて、該バインダー樹脂が高分子量
成分と低分子量成分との混合物からなる。該高分子量成
分が、高架式フローテスターを用いて得られる見かけの
粘度の常用対数(logη′)を温度に対してプロット
した際に、そのグラフの傾きの絶対値(kHP)が0.
003≦(kHP)≦0.02log(poise)/
℃である事が必要である。高架式フローテスターを用い
て得られる見かけの粘度の常用対数(logη′)を温
度に対してプロットした際の傾きの絶対値(k)は、樹
脂の溶融状態の温度依存性を表し、その傾きの絶対値
(k)が小さいほど粘弾性特性の温度依存性が小さく、
変化しない事を示す。またその傾きの絶対値(k)が大
きいと温度依存性が大きく、容易に粘度変化が生じる事
を示す。
【0018】高分子量成分がこの領域であると耐オフセ
ット性が向上し、かつ定着ロールやフィルム材への耐巻
き付き性が向上する。傾きの絶対値(kHP)が0.0
2より大きいと溶融粘度の温度依存性が大きくなり、弾
性が低下してトナーの耐オフセット性が低下する。一
方、傾きの絶対値(kHP)が0.003log(po
ise)/℃より小さい場合には、樹脂が溶融しにくく
なり、定着性に劣るという欠点がある。
【0019】バインダー樹脂の高架式フローテスターを
用いて得られる見かけの粘度の常用対数(logη′)
を温度に対してプロットした際のグラフの傾きの絶対値
(k)は、高架式フローテスター「CFT−500C」
(島津製作所製)を用いて以下に示す方法によって算出
する事ができる。
【0020】具体的には、1cm3の試料を計り取り、
荷重200kg/cm2を1分間加え、直径1cmのペ
レット状に成型する。このペレットを80℃に下げ、予
熱時間300秒で保持した後、ダイスの細孔の径1m
m、長さ1mm、荷重20kg/cm2、昇温速度6℃
/minの条件下で溶融流出させる。この時プランジャ
ー降下量−温度曲線を求め、装置に内蔵された自動計測
器により3℃間隔で見かけ粘度(η′)を測定する。こ
の見かけ粘度の常用対数(logη′)を温度に対して
プロットすると直線関係が得られ、その傾きの絶対値
(k)を求める。またプランジャー降下の開始点を流出
開始温度(Ti)とする。
【0021】高分子量成分は、高架式フローテスターを
用いた時の流出開始温度(TiHP)が、160℃≦
(TiHP)≦250℃であることが好ましい。流出開
始温度(TiHP)が160℃より小さいと溶融状態の
粘弾性が小さくなって、耐巻き付き性、耐オフセット性
が低下する。一方、流出開始温度(TiHP)が250
℃を超える場合には、樹脂が溶融しにくくなり、定着性
が悪くなるという欠点がある。
【0022】さらに、高分子量成分のテトラヒドロフラ
ン(THF)可溶分のゲル・パーミエイション・クロマ
トグラフィー(GPC)による分子量分布において、ピ
ーク分子量が40万〜100万、重量平均分子量Mwが
50万〜130万、Mw/Mn≦3である事が好まし
い。前記範囲の高分子量成分を使用することで耐オフセ
ット性が向上できる。
【0023】分子量の測定は、GPC「HLC−802
0」(東ソー社製)を用いて以下に示す方法によって算
出する事ができる。具体的には、樹脂の濃度が0.05
〜0.6重量%のTHF溶液を調製する。40℃のヒー
トチャンバー中でカラムを安定させ、この温度における
カラムに、溶媒としてTHFを1ml/毎分の流速で流
し、前記THF試料溶液100μlを注入する。試料の
分子量測定は、数種の単分散ポリスチレン標準試料によ
り作成された検量線(分子量の対数値と流出カウント数
が直線となる範囲)から算出する。検量線作成用の標準
ポリスチレン試料としては、例えば東ソー社製の分子量
2.7×102〜6.2×106の範囲の標準ポリスチレ
ン試料を少なくとも10点程度用いるのが適当である。
また検出器は屈折率(RI)検出器を使用する。またカ
ラムとしては、分子量1×102〜7×106の範囲を的
確に測定するために、例えば東ソー社製のTSKgel
G1000H、G2000H、G2500H、G300
0H、G4000H、G5000H、G6000H、G
7000H、GMHを組み合わせて使用することが好ま
しい。
【0024】また高分子量成分のガラス転移温度(T
g)は、45℃以上60℃未満が好ましく、45℃未満
では熱的な保存性が悪くなる。特に分子量が1万を越え
る範囲においては、Tgの分子量依存性が無く、しかも
分子鎖間の絡み合いが生じるためにブロッキングしにく
くなり、45℃以上であれば保存性が確保できる。60
℃以上では保存性が向上するものの同時に樹脂の流出開
始温度が高くなり、定着性が劣るという欠点がある。
【0025】ガラス転移温度(Tg)は示差走査熱量計
(DSC)「DSC−7」(パーキンエルマー社製)に
より測定できる。具体的には、5mgの試料を計りと
り、アルミ製の試料パンに封入する。この試料パンを0
℃から100℃まで昇温速度10℃/minで昇温し、
その温度にて3分間放置した後、降下温度10℃/mi
nで0℃まで冷却する。ついでこのサンプルを再度昇温
速度10℃/minで100℃まで昇温する。第2回目
の昇温時の熱量変化の曲線のベースラインの延長線と、
吸熱ピークの立ち上がり部分からピークまでの間での最
大傾斜を示す接線との交点をガラス転移点とする。
【0026】高分子量成分を構成する樹脂としては、ビ
ニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン−ブタジエ
ン系樹脂、エポキシ系樹脂等が好ましく、特にビニル系
樹脂のスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−ア
クリル系樹脂とポリエステル系樹脂のウレタン変性ポリ
エステル樹脂が好ましい。
【0027】ビニル系樹脂を構成するビニル系単量体と
しては、スチレン系単量体、アクリル酸エステル系単量
体、メタアクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル
系単量体等を使用するのが好ましい。その他の単量体と
して多官能性の単量体を架橋剤として使用してもよい。
多官能性の架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニ
ルナフタレン、エチレングリコールジメタクリレート、
エチレングリコールジアクリレート、トリアリルシアヌ
レート等が挙げられる。架橋剤の使用により分子構造に
架橋構造を導入でき、溶融時の粘弾性特性が向上して耐
オフセット性が向上する。架橋剤の使用は高分子量成分
に導入することが好ましい。多官能性単量体は単量体の
うち0〜25重量%使用することが好ましい。25重量
%を越える場合には架橋反応が進行し過ぎ、トナーの軟
化温度が上昇して定着性が低下する。
【0028】ポリエステル樹脂を構成する成分として
は、公知のジカルボン酸とグリコールを使用する事がで
きる。さらにジイソシアナートを添加してウレタン変性
させることが好ましい。その他の成分として多官能性の
カルボン酸またはアルコールを架橋剤として使用しても
よい。多官能性のカルボン酸としてはトリメリット酸
が、アルコールとしてはグリセリン、トリメチロールプ
ロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。多官能
成分の使用により分子構造に架橋構造を導入でき、溶融
時の粘弾性特性が向上して耐オフセット性が向上する。
多官能性成分はカルボン酸またはアルコール成分のうち
0〜25重量%使用することが好ましい。25重量%を
越える場合には架橋反応が進行し過ぎ、トナーの軟化温
度が上昇して定着性が低下する。
【0029】 低分子量成分は、グラフの傾きの絶対
値(kLP)が0.07≦(kLP)≦0.1log
(poise)/℃であり、低分子量成分がこの領域で
あると溶融粘度が低くなって定着性が向上する。かつ高
分子量成分との相溶性が良く、添加剤の分散が向上す
る。傾きの絶対値(kLP)が0.07log(poi
se)/℃より小さいと溶融粘度が小さくなり、低温で
の定着性が低下する。一方、傾きの絶対値(kLP)が
0.01log(poise)/℃を超える場合には、
溶融時の粘度が低すぎて、定着には有利であるものの、
定着用部材との接着力が増し、オフセット現象が発生し
易くなる。また現像器中での過粉砕が生じ易くなり、キ
ャリアへのスペントやかぶりが発生するという欠点があ
る。
【0030】また低分子量成分の流出開始温度(TiL
P)は、85℃≦TiLP≦115℃であることが好ま
しい。流出開始温度(TiLP)が85℃より小さいと
溶融粘度が小さすぎ、耐オフセット性が低下する。一
方、流出開始温度(TiLP)が115℃を超える場合
には、樹脂が溶融しにくくなり、定着性が悪くなるとい
う欠点がある。
【0031】低分子量成分のピーク分子量は3,000
〜1万、重量平均分子量(Mw)が3000〜1.5
万、Mw/Mn≦3であることが好ましい。ピーク分子
量が3000未満では樹脂が脆くなり、現像器中での過
粉砕が生じやすく、キャリアへのスペントが生じてかぶ
りや飛散となり、画質が低下する。また低分子量成分は
低温度定着性を向上させるために非常に低分子量化して
おり、トナーの保存性に影響するため、分子量1000
以下のオリゴマーを含まないことが必要である。ピーク
分子量が1万を越える場合には低温定着性が劣る。
【0032】オリゴマー除去の方法としては、再沈法ま
たは分取法を用いて分別するのがよい。オリゴマーを確
実に除去するにはカラムを使用して分取する方法がより
好ましい。
【0033】また低分子量成分のガラス転移温度(T
g)は、50℃以上60℃未満が好ましく、50℃未満
では保存性が悪くなる。特に分子量1万以下では分子量
依存性が大きく、50℃以上であることが必要である。
60℃以上では保存性が向上するものの、樹脂の溶融粘
度および流出開始温度が高くなって定着性が劣るという
欠点がある。
【0034】低分子量成分を構成する樹脂としては、ビ
ニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン−ブタジエ
ン系樹脂、エポキシ系樹脂等が好ましい。
【0035】 高分子量成分と低分子量成分の混合割
合が5/95〜50/50、該樹脂混合物の高架式フロ
ーテスターを用いて得られる見かけの粘度の常用対数
(logη′)を温度に対してプロットした際のグラフ
の傾きの絶対値(kバインダー)が0.03≦(kバイ
ンダー)≦0.06log(poise)/℃であるこ
とが必要である。バインダー樹脂のグラフの傾きの絶対
値が前記範囲であっても、高分子量成分、低分子量成分
それぞれが前記特性を満たさないと、定着性、耐オフセ
ット性、過粉砕性、耐巻き付き性等のバランスの取れた
トナーを得ることは出来ない。
【0036】また該樹脂混合物の流出開始温度(Tiバ
インダー)が90℃≦Tiバインダー≦120℃、該樹
脂混合物の重量平均分子量(Mw)が15万〜50万、
重量平均分子量と数平均分子量との比が100≧Mw/
Mn≧20であるバインダー樹脂を用いる事により、さ
らに低温定着性、耐オフセット性、耐過粉砕性、耐スペ
ント性のバランスの良いトナーが得られる。
【0037】 本発明のバインダー樹脂は前記の特性
を有していればどのような製造法によって得られるもの
でも良い。具体的には塊状重合法、溶液重合法、懸濁重
合法、乳化重合法等が挙げられ、2種以上の重合法を組
み合わせて合成しても良い。上記重合法の中でも特に合
成のしやすさ、分子量分布のコントロールの観点から溶
液重合法、懸濁重合法、乳化重合法が好ましい。具体的
には、例えば懸濁重合によって高分子量成分を得、高分
子量成分の重合体に低分子量成分のモノマーおよび溶媒
を混合して、溶液重合を行うことにより得られる。ある
いは別々に重合した後、乾式法または溶剤を用いた湿式
法で均一に混合する事により得られる。
【0038】 本発明のトナーに使用される着色剤と
しては、例えばカーボンブラック、ニグロシン染料、ア
ニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウ
ルトラマリンブルー、キノリンイエロー、デュポンオイ
ルレッド、メチレンブルークロライド、フタロシアニン
ブルー、マラカイトグリーン、ランプブラック、ローズ
ベンガル、マグネタイト等が挙げられ、これらの混合物
も使用できる。これらの着色剤の含有量は、トナー中に
0.5〜20重量%であることが好ましい。
【0039】 必要に応じて離型剤、磁性体、荷電制
御剤、流動化剤等のトナー成分を含有しても良い。離型
剤としては従来使用されているものが全て使用できる。
具体的には、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエ
チレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフ
ィン類、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワッ
クス、サゾールワックス、パラフィンワックス等が挙げ
られ、2種類以上の離型剤を併用しても良い。これらの
添加量はトナー中に1〜10重量%添加することが好ま
しい。
【0040】磁性粉としては従来使用されているものが
全て使用できる。具体的には、強磁性の元素あるいはこ
れらを含む合金または化合物であり、マグネタイト、フ
ェライト等の化合物や鉄、コバルト、ニッケル、マンガ
ン等の金属やこれらの合金が挙げられ、2種類以上の磁
性粉を併用しても良い。磁性粉の含有量はトナー中に2
0〜60重量%添加することができる。
【0041】荷電制御剤としてはサリチル酸誘導体、ア
ゾ系金属錯体等が挙げられる。これらの添加量はトナー
中に0.01〜10重量%添加することが好ましい。
【0042】流動化剤としては、シリカ、チタニア、ア
ルミナ等の無機酸化微粒子が挙げられる。さらにこれら
の無機微粒子はシランカップリング剤、チタンカップリ
ング剤等により疎水化処理されていることが好ましい。
これらの添加量はトナー中に0.01〜10重量%添加
することが好ましい。
【0043】 トナーはキャリアと混合され、二成分
現像剤として使用されるか、或いは磁性トナーである場
合は当該磁性トナーのみにより一成分現像剤として使用
される。二成分現像剤を構成するキャリアとしては、
鉄、フェライト、マグネタイト等の磁性材料粒子のみで
構成される非被覆キャリア、磁性材料粒子表面を樹脂等
によって被覆した樹脂被覆キャリアのいずれを使用して
も良い。このキャリアの平均粒径は、体積平均粒径で3
0〜150μmが好ましい。
【0044】 本発明に使用される好適な定着方法
は、熱ロール定着方式及び固定設置された加熱体と、該
加熱体に対向して圧接かつ、回転し、フィルム材を介し
て記録材を該加熱体に圧着させる加圧部材によりトナー
像を記録材上に加熱定着する定着方法をあげることがで
きる。本発明のトナーは低温での定着性、耐オフセット
性、耐フィルミング性に優れるので、この定着方法に本
発明のトナーを用いれば、熱ロール定着器または定着フ
ィルムの寿命を短縮すること無く、長期に渡って優れた
品位の画像を得ることができる。
【0045】図1はこのような前者の熱ロール定着方式
の1例を示す説明図である。同図において、表面にポリ
テトラフルオロエチレンやポリテトラフルオロエチレン
−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等を被
覆した鉄やアルミニウム等で構成される金属シリンダー
内部に熱源を有する上ローラー1とシリコンゴム等で形
成された下ローラー2とから形成されているものであ
る。詳しくは、熱源として線状のヒーター3を有し、上
ローラー1の表面温度を約100〜200℃程度に加熱
するものである。定着部に於いては上ローラー1と下ロ
ーラー2の間に圧力を加え、下ローラーを変形させ、い
わゆるニップを形成する。ニップ幅としては1〜10m
m、好ましくは1.5〜7mmである。定着線速は40
mm/sec〜4000mm/secが好ましい。ニッ
プが狭い場合には熱を均一にトナーに付与することがで
きなくなり、定着のムラを発生する。一方でニップ幅が
広い場合には樹脂の溶融が促進され、定着オフセットが
過多となる問題を発生する。
【0046】また、後者の固定設置された加熱体を有す
る定着方法としては図2にその1例の説明図を示す。同
図において、装置に固定支持された低熱容量のライン状
態加熱体21は、厚さにして0.2mm〜5.0mm更
に好ましくは0.5mm〜3.5mm、幅10mm〜1
5mm、長手方向の長さ240〜400mmのアルミナ
基盤に抵抗材料を1.0〜2.5mmに塗布したもので
両端より通電される。通電はDC100Vの周期25m
secのパルス波形で温度センサーにより制御された温
度・エネルギー放出量に応じたパルス幅に変化させて与
える。低熱容量ライン状加熱体21において温度センサ
ーで検出された温度T1の場合、抵抗材料に対向するフ
ィルム材の表面温度T2はT1よりも低い温度となる。
ここで、T1は120℃〜220℃が好ましく、T2の
温度はT1の温度と比較して0.5℃〜10℃低いこと
が好ましい。また、フィルム材がトナー定着表面より剥
離する部分におけるフィルム材表面温度T3はT2とほ
ぼ同等である。
【0047】この様にエネルギー制御・温度制御された
加熱体に当接して図2の矢印方向に定着フィルム22は
移動する。この定着フィルム22としてあげられるの
は、厚みにして10μm〜35μmの耐熱フィルム、例
えば、ポリエステル、ポリパーフルオロアルキルビニル
エーテル、ポリイミド、ポリエーテルイミド等に少なく
ともポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂に導電
材を添加した離型材層を5〜15μm被覆させたエンド
レスフィルムである。一般的には総圧10μm〜100
μm、フィルム材駆動は駆動ローラーと従動ローラーに
よる駆動とテンションにより矢印方向へシワ・ヨレがな
く搬送される。定着線速は40mm/sec〜400m
m/secが好ましい。加圧ローラーはシリコンゴム等
の離型性の高いゴム弾性層を有し、総圧2〜30kgで
フィルム材を介して加熱体と加圧し、圧接回転する。
【0048】また、図2はエンドレスシートを用いた説
明であるが、図3の様にシート送り出し軸32及び巻き
取り軸33に有端フィルム材34を巻きつけ、定着毎に
少しずつフィルム材を矢印方向へ移動させる。この有端
フィルム材と加圧ローラ35との間をトナー像を担持し
た記録媒体を通過させ、加熱体31を通過させることに
よってトナー像を記録媒体に溶融固着させる。
【0049】
【実施例】以下、実施例により本発明の効果を例証す
る。
【0050】実施例1 (1)樹脂の合成 [高分子量成分の製造] 重合体−1 蒸留塔、撹拌機並びに温度計を備えた反応容器に、蒸留
水800重量部にポリビニルアルコール6.4重量部と
硫酸ナトリウム8重量部とを溶解したものを投入した。
次いでスチレン75重量部、アクリル酸ブチル25重量
部を反応容器に投入し、撹拌回転数を300rpm、容
器内温度40℃で約1時間撹拌混合を行った後、1,1
−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチル
シクロヘキサン0.5重量部を投入し、容器内温度を9
0℃まで昇温し、懸濁重合を3時間行った。その後リー
ビッヒ冷却管を取付、シリコーン系消泡剤を添加し、容
器内温度を100℃まで上昇させ、残存モノマーを除去
した。その後容器内温度を90℃まで冷却し、苛性ソー
ダ16重量部を容器に投入し、約30分間保持した。さ
らに室温まで冷却して樹脂を取り出し、真空恒温乾燥機
にて50℃で24時間乾燥してスチレン−アクリル樹脂
の重合体−1を得た。
【0051】 重合体−2 蒸留塔、撹拌機並びに温度計を備えた反応容器に、テレ
フタル酸166重量部、コハク酸58重量部、ビスフェ
ノールAプロピレンオキサイド348重量部、ビスフェ
ノールAエチレンオキサイド114重量部とジブチルス
ズオキサイド3.4重量部を入れ、窒素ガスを導入して
不活性雰囲気に保った状態で容器内温度を200℃に保
ち、水の流出がなくなるまで反応させ、分子末端に水酸
基を有するポリエステルを合成した。次にトルエン60
0重量部を加えて前記ポリエステル樹脂を溶解し、十分
溶解した後にトルエン還流下でヘキサメチレンジイソシ
アナート5重量部とトルエン5重量部からなる溶液を
0.5時間かけて滴下した。更に3時間反応させた後ト
ルエンを留去してウレタン変性ポリエステル樹脂の重合
体−2を得た。
【0052】 重合体−3(比較用) 蒸留塔、撹拌機並びに温度計を備えた反応容器に、蒸留
水800重量部にポリビニルアルコール6.4重量部と
硫酸ナトリウム8重量部とを溶解したものを投入した。
次いでスチレン75重量部、メタクリル酸メチル25重
量部、ジビニルベンゼン5重量部を反応容器に投入し、
撹拌回転数を300rpm、容器内温度40℃で約1時
間撹拌混合を行った後、過酸化ベンゾイル0.15重量
部を投入し、容器内温度を90℃まで昇温し、懸濁重合
を3時間行った。その後リービッヒ冷却管を取付、シリ
コーン系消泡剤を添加し、容器内温度を100℃まで上
昇させ、残存モノマーを除去した。その後容器内温度を
90℃まで冷却し、苛性ソーダ16重量部を容器に投入
し、約30分間保持した。さらに室温まで冷却して樹脂
を取り出し、真空恒温乾燥機にて50℃で24時間乾燥
してスチレン−アクリル樹脂の重合体−3を得た。
【0053】 重合体−4(比較用) 蒸留塔、撹拌機並びに温度計を備えた反応容器に、蒸留
水800重量部にポリビニルアルコール6.4重量部と
硫酸ナトリウム8重量部とを溶解したものを投入した。
次いでスチレン75重量部、メタクリル酸メチル10重
量部、アクリル酸ブチル15重量部を反応容器に投入
し、撹拌回転数を300rpm、容器内温度40℃で約
1時間撹拌混合を行った後、過酸化ベンゾイル0.2重
量部を投入し、容器内温度を90℃まで昇温し、懸濁重
合を3時間行った。その後リービッヒ冷却管を取付、シ
リコーン系消泡剤を添加し、容器内温度を100℃まで
上昇させ、残存モノマーを除去した。その後容器内温度
を90℃まで冷却し、苛性ソーダ16重量部を容器に投
入し、約30分間保持した。さらに室温まで冷却して樹
脂を取り出し、真空恒温乾燥機にて50℃で24時間乾
燥してスチレン−アクリル樹脂の重合体−4を得た。
【0054】
【表1】
【0055】[低分子量成分の製造] 重合体−a 5リットルのセパラブルフラスコに、スチレン70重量
部とアクリル酸メチル30重量部、トルエン100重量
部、過酸化ベンゾイル4.0重量部を入れ、トルエン還
流下で2時間重合反応を行った。トルエンを留去した
後、クロロホルムを加えて濃度0.1%のクロロホルム
溶液を調製した。TOSO−G2000H6カラムを装
着したGPCにより分子量1000以下のオリゴマーを
分取・除去してスチレン−アクリル樹脂の重合体−aを
得た。
【0056】 重合体−b 5リットルのセパラブルフラスコに、フマル酸116重
量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド174重
量部、ビスフェノールAエチレンオキサイド158重量
部とジブチルスズオキサイド2.2重量部を入れ、窒素
ガスを導入して不活性雰囲気に保った状態で容器内温度
を200℃に保ち、流出する水を除去しながら約1時間
反応を行った。その後、クロロホルムを加えて濃度0.
1%のクロロホルム溶液を調製した。TOSO−G20
00H6カラムを装着したGPCにより分子量1000
以下のオリゴマーを分取・除去してポリエステル樹脂の
重合体−bを得た。
【0057】 重合体−c 20リットルのオートクレーブ中に、水180重量部、
ブタジエン10重量部、スチレン90重量部、脂肪酸カ
リウム塩2.2重量部、不均化ロジン酸カリウム塩2.
2重量部、燐酸カリウム0.4重量部、硫酸第1鉄0.
1重量部、パラメンタンハイドロパーオキサイド0.4
重量部、t−ドデシルメルカプタン10重量部に入れ、
窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保った状態で反応温
度を80℃に保ち、約5時間反応を行った。転化率70
%に達した段階で重合停止剤N,N′−ジエチルヒドロ
キシアミン0.2重量部を添加して反応を停止し、安定
剤1部を添加した後、塩化カルシウムを投入して重合体
を凝固させ、脱水、乾燥した。その後、前記重合体にク
ロロホルムを加えて濃度0.1%のクロロホルム溶液を
調製した。TOSO−G2000H6カラムを装着した
GPCにより分子量1000以下のオリゴマーを分取・
除去してスチレン−ブタジエン樹脂の重合体−cを得
た。
【0058】 重合体−d 5リットルのセパラブルフラスコに、エピコート834
(油化シェルエポキシ(株)社製)100重量部、ビス
フェノールA560重量部、水酸化ナトリウム20重量
部を入れ、氷水浴で容器内温度を130℃に保つように
調節する。温度が100℃になったら水酸化ナトリウム
20重量部を更に加え、130℃を超えないように保持
する。この作業を水酸化ナトリウムの総量が80重量部
になるまで繰り返して行う。その後、クロロホルムを加
えて濃度0.1%のクロロホルム溶液を調製した。TO
SO−G2000H6カラムを装着したGPCにより分
子量1000以下のオリゴマーを分取・除去してエポキ
シ樹脂の重合体−dを得た。
【0059】 重合体−e(比較用) 5リットルのセパラブルフラスコに、スチレン70重量
部とメタクリル酸メチル30重量部、トルエン100重
量部、過酸化ベンゾイル2.0重量部を入れ、トルエン
還流下で2時間重合反応を行った。トルエンを留去して
比較用のスチレン−アクリル樹脂の重合体−eを得た。
【0060】 重合体−f(比較用) 5リットルのセパラブルフラスコに、セバシン酸202
重量部、ヘキサメチレングリコール130重量部とp−
トルエンスルホン酸1.7重量部を入れ、窒素ガスを導
入して不活性雰囲気に保った状態で容器内温度を200
℃に保ち、流出する水を除去しながら約1時間反応を行
った後、取り出して比較用のポリエステル樹脂の重合体
−fを得た。
【0061】
【表2】
【0062】[バインダー樹脂の製造]高分子量成分と
低分子量成分とを、表3に示す組み合わせおよび混合割
合で、下記に示す溶液混合法により本発明のバインダー
樹脂1〜8、比較用バインダー樹脂1〜4を得た。
【0063】蒸留塔、撹拌機並びに温度計を備えた反応
容器に、高分子量重合体と低分子量重合体とを100重
量部となるように入れ、さらにトルエン100重量部を
投入した。次いで撹拌回転数を300rpm、トルエン
還流下で約1時間撹拌混合を行った後、トルエンを留去
して樹脂を取り出た。
【0064】
【表3】
【0065】(2)トナーの製造 バインダー樹脂100重量部、カーボンブラック10重
量部、低分子量ポリプロピレン3重量部とをV型混合器
に入れ、20分間混合した。この混合物を2軸式押し出
し機PCM−30(池貝鉄鋼所製)によりシリンダー温
度の設定温度をC1=50℃、C2=130℃、C3=
130℃、CH=130℃とし、スクリュー回転数20
0rpm、フィーダー回転数10rpmで溶融混練し
た。冷却後ウイレーミルにより粗粉砕して2mmメッシ
ュパス品とし、さらに超音速ジェットミルにより微粉砕
し、次いで風力分級機により粒径5μm以下の微粉を除
去して平均粒径8.5μmの着色粒子を得た。
【0066】この着色粒子100重量部に対して疎水性
シリカ微粒子0.9重量部、ステアリン酸亜鉛0.05
重量部添加し、これらをV型混合機により混合して本発
明のトナー1〜8、比較用トナー1〜4を得た。
【0067】(3)現像剤の調製 本発明トナー1〜8及び比較用トナー1〜4の各トナー
と、銅−亜鉛フェライトよりなる磁性体粒子にフッ素樹
脂を被覆した平均粒径80μmのキャリアとを混合し
て、トナー濃度が5重量%の各2成分現像剤を調製し
た。
【0068】(4)評価 トナー保存性 トナーを2gをサンプル管に取り、タッピングデンサー
で500回タッピングした後、60℃、20%RH下で
2時間放置する。これを48メッシュの篩いに入れ、一
定の振動を与えて篩い、メッシュ上に残留したトナー量
の割合を測定し、トナー凝集率とした。凝集率が15w
t%未満を◎(非常に良好)、15〜45wt%を○
(良好)、45〜60wt%を△(使用可能)、60w
t%を超える場合を×(使用不可)とする。
【0069】
【表4】
【0070】表4の結果から本発明によるトナーはトナ
ー保存性が良好であることがわかる。
【0071】 熱ロール定着器による評価 ・トナーの低温定着性 有機感光体よりなる潜像担持体、2成分現像剤用の現像
器、加熱ローラー定着器を備え、加熱ローラーの設定温
度を可変調整できるように改造した電子写真複写機「K
ONICA 3035」(コニカ(株)製)改造機によ
り、加熱ローラーの線速度を230mm/秒(35cp
m)に設定する。
【0072】加熱ローラーの設定温度を100〜240
℃の範囲で5℃ごとに変化させ、上記現像剤によりオリ
ジナル濃度1.3のベタ黒チャートを用い、コピー濃度
1.3以上となるように定着トナー画像を普通紙上に形
成する。なお、この時圧着ローラーは通紙前には室温状
態に保ち、定着時に圧着させる、いわゆる朝一条件で定
着画像を形成させる。得られた定着トナー画像の端部を
指で強く折まげ、この部分を擦り試験機により一定荷重
を掛けて擦ったのち、マイクロデンシトメーターで該端
部の画像の残存率を測定し、残存率80%以上を示す最
低の設定温度(最低定着温度)を求めた。
【0073】なお、上記加熱ローラー定着器は、表層が
パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体よりなる
直径40mmの加熱ローラーと、表層がパーフルオロア
ルキルビニルエーテル共重合体により被覆されたシリコ
ーンゴムよりなる直径40mmの圧着ローラーとを有し
てなり、線圧が1.61kg/cm、ニップ幅が4.5
mmで、シリコーンオイル等の離型剤の塗布機構は備え
ていないものである。
【0074】・トナーのホットオフセット性 圧着ローラーを加熱ローラーに圧着回転させ、加熱ロー
ラーの設定温度に近い温度に保った状態としたほかは上
記と同様にして定着トナー画像を形成し、その直後に白
紙の記録材を同様の条件下で加熱ローラーに送ってこれ
にトナーの汚れが生じるか否かを目視により観察する操
作を、加熱ローラーの各設定温度において行い、トナー
汚れが生じない最高の設定温度を求めた。
【0075】・定着領域 トナー汚れが生じない最高の設定温度から残存率80%
以上を示す最低定着温度を引いた値を定着領域とする。
【0076】・トナー巻き付き性 先端部から1mmの位置に幅40mmのベタ黒画像を印
字し、定着上ローラーに対する巻き付き状態を評価し
た。定着の温度を110℃より5℃単位で上昇させ、巻
き付きが発生しなくなる温度を評価した。
【0077】・実写テスト 上記現像剤を用い、加熱ローラーの設定温度を160℃
に設定した電子写真複写機「KONICA3035」
(コニカ(株)製)改造機により、温度20℃、60%
RHの環境条件下で複写画像を2万回繰り返して形成す
る実写テストを行い、その後33℃、80%RHの高温
高湿下で2万回、さらに10℃、20%RHの低温低湿
下で2万回繰り返して形成する実写テストを行い、下記
の項目について評価した。
【0078】・フィルミング 実写テスト終了後の現像スリーブ及び感光体表面のトナ
ー、離型剤のフィルミングの様子を目視で評価した。フ
ィルミング発生がない非常に良好な場合を◎、ほとんど
発生の無い良好な場合を○、フィルミングはわずかにあ
るが実用可能な場合を△、実用不可の場合を×とした。
【0079】・画質 実写テスト終了後の画質を目視で評価した。
【0080】・微粉量 初期現像剤及び実写テスト後の現像剤中のトナーの粒度
分布をコールターカウンター(日科機社製)により測定
し、5μm以下の個数分率を算出した。
【0081】・スペント 6万回の実写テスト後の現像剤から洗浄剤を用いてトナ
ーを分離し、キャリアのみを取り出す。この洗浄キャリ
ア20gに20ccのメチルエチルケトンにより被覆し
たフッ素樹脂とスペントしたトナー成分を抽出する。こ
の液を100mlとなるように希釈し、分光光度計を用
いて500nmで透過率を測定した。透過率80%を超
える場合は非常に良好、80〜60%は良好、60%未
満は劣化キャリアと判断する。
【0082】
【表5】
【0083】
【表6】
【0084】
【表7】
【0085】表5〜7の結果から、本発明のトナーは、
低温定着性、ホットオフセット性、定着領域が良好で、
巻き付き性の発生も無く、さらに実写テストにおけるフ
ィルミングの発生がなく実写性能も各環境において良好
であった。また、微粉量も少なく、スペントも少なかっ
た。
【0086】 フィルム材定着器による評価 ・トナーの低温定着性 有機感光体よりなる潜像担持体、2成分現像剤用の現像
器、定着器をフィルム材定着器に改造した電子写真複写
機「KONICA 3035」(コニカ(株)製)改造
機により、設定温度を100〜240℃の範囲で5℃ご
とに変化させ、上記現像剤によりオリジナル濃度1.3
のベタ黒チャートを用い、コピー濃度1.3以上となる
ように定着トナー画像を普通紙上に形成する。得られた
定着トナー画像の端部を指で強く折まげ、この部分を擦
り試験機により一定荷重を掛けて擦ったのち、マイクロ
デンシトメーターで該端部の画像の残存率を測定し、残
存率80%以上を示す最低の設定温度(最低定着温度)
を求めた。
【0087】フィルム状定着条件 定着装置を図2に示す、エンドレスシート定着器を用
い、定着の条件を下記に設定した。
【0088】 定着条件:加熱体温度T1=110〜220℃ フィルム材速度=250mm/sec 加熱体・加圧ロール間総圧=15kg 加圧ローラー・フィルム材間ニップ=3mm フィルム材:表面に導電性物質を分散したポリテトラフ
ルオロエチレンを被覆した厚みが15μmのポリイミド
フィルム材 ・耐オフセット性 以上の設定条件で、連続10000枚にわたり画像を形
成する実写テストを常温常湿(20℃、60%RH)で
行い、画像上の汚れの程度を目視により評価した。未発
生を◎、わずかに発生(実用可)を○、発生(実用不
可)を×とした。 ・画像濃度 終了時の画像濃度維持により評価した。画像濃度1.4
以上を◎(優)、1.2〜1.4を○(良)、1.0〜
1.2を△(可)、1.0未満を×(不可)とした。
【0089】・画像品質 トナーの飛散、カブリ、ガサツキ等を目視で評価した。
非常に良好な場合を◎、良好な場合を○、実用可能な場
合を△、実用不可の場合を×とした。
【0090】・定着フィルムの耐久性 実写テスト後の定着フィルム表面の傷や削れの様子およ
びトナーの固着状況を目視で評価した。傷、削れまたは
トナー固着の発生がない非常に良好な場合を◎、ほとん
ど発生の無い良好な場合を○、わずかにあるが実用可能
な場合を△、実用不可の場合を×とした。結果を表8に
示す。
【0091】
【表8】
【0092】表8により、本発明の現像性剤をフィルム
材定着器により評価した結果、プリントアウト画像が良
好で、定着フィルムの耐久性も良好であることがわか
る。
【0093】
【発明の効果】本発明により、低温定着が可能で、かつ
定着領域が広く、特に剥離、折り曲げに対して定着性が
良好であり、また現像器中での過粉砕性が小さく、キャ
リアへのスペントが無く、カブリやトナー飛散がなく、
さらに保存性が良好で、現像器や感光体へのフィルミン
グが発生しないトナーを提供することができた。さらに
固定支持された加熱体と該加熱体に対向圧接し、かつフ
ィルムを介して該加熱体に密着させる加圧部材とによ
り、トナーの顕画像を記録材加熱定着させる定着方法に
おいて、定着性、耐オフセット性が良好で、フィルムへ
のトナー固着がなく、定着フィルムの耐久性を向上させ
るトナーを提供することができた。
【0094】また、巻き付きの発生することのない熱ロ
ールによる定着方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱ロール定着方式による定着方法の1例を示す
説明図。
【図2】固定設置された加熱体による定着方法の1例を
示す説明図(エンドレスシート使用)
【図3】固定設置された加熱体による定着方法の1例を
示す説明図(有端フィルム使用)。
【符号の説明】
1 定着上ローラ 2 定着下ローラ 3 加熱ローラ 21 加熱体 22 フィルム材 23 加圧ローラ 31 加熱体 32 送り出し軸 33 巻き取り軸 34 有端フィルム 35 加圧ローラ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともバインダー樹脂と着色剤とか
    らなるトナーにおいて、該バインダー樹脂が高分子量成
    分と低分子量成分との混合物からなり、高分子量成分が
    高架式フローテスターを用いて得られる見かけの粘度の
    常用対数(logη′)を温度に対してプロットした際
    に、そのグラフの傾きの絶対値(kHP)が0.003
    ≦(kHP)≦0.02log(poise)/℃であ
    り、低分子量成分のグラフの傾きの絶対値(kLP)が
    0.07≦(kLP)≦0.1log(poise)/
    ℃であり、かつ高分子量成分と低分子量成分の混合割合
    が5/95〜50/50で、樹脂混合物のグラフの傾き
    の絶対値(kバインダー)が0.03≦(kバインダ
    ー)≦0.06log(poise)/℃であるバイン
    ダー樹脂を用いた事を特徴とする静電像現像用トナー。
  2. 【請求項2】 加熱ローラーと圧着ローラーとを有して
    なる熱ローラー定着器に、請求項1に記載されたトナー
    による顕画像を挟圧搬送し、熱ローラーに接触させて記
    録材に加圧加熱定着させることを特徴とするトナー画像
    定着方法。
  3. 【請求項3】 固定支持された加熱体と、該加熱体に対
    向圧接しかつフィルムを介して該加熱体に密着させる加
    圧部材とにより、請求項1に記載されたトナーによる顕
    画像を記録材に加圧加熱定着させることを特徴とするト
    ナー画像定着方法。
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Cited By (4)

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