JPH0833372B2 - 荷電物質の分離方法及び装置 - Google Patents

荷電物質の分離方法及び装置

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JPH0833372B2
JPH0833372B2 JP62165341A JP16534187A JPH0833372B2 JP H0833372 B2 JPH0833372 B2 JP H0833372B2 JP 62165341 A JP62165341 A JP 62165341A JP 16534187 A JP16534187 A JP 16534187A JP H0833372 B2 JPH0833372 B2 JP H0833372B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、荷電物質の分離方法及び装置に係り、特に
電気泳動により荷電物質を分離し回収するのに好適な荷
電物質の分離方法及び装置に関するものである。
〔従来の技術〕
水溶液中に含まれる荷電物質の分離法の一つに、この
荷電物質が正又は負に帯電している性質を利用し直流電
圧を印加して分離する方法がある。バイオプラントで生
成される有効成分はたんぱく質からなり、該たんぱく質
は両性荷電物質であるため、その分離には、上記のよう
な分離法が適用されている。
たんぱく質のように荷電物質であって分離し回収され
るべき物質(以下、目的回収物と略)は、従来、泳動室
内に供給され該泳動室内を一方向に向って流れる目的回
収物を含む処理液に直流電界を印加して目的回収物を分
離し泳動室内を流れる処理液とは分離膜で仕切られて分
離受室内を流れる分離受液に分離された目的回収物を分
離膜を介して移動させ、目的回収物が移動した分離受液
を分離受室外へ抜き出して目的回収物を回収するように
している。
尚、この種の技術として関連するものには、例えば、
米国特許第3989613号が挙げられる。
〔発明が解決しようとする問題点〕
上記従来技術では、目的回収物を含む処理液が泳動室
内を単に一方向に流れ、泳動室内で目的回収物が分離さ
れると共に分離受液へ移動する機会が少ないため、目的
回収物の回収率が低いといった問題がある。
このような問題を解決し目的回収物の回収率を向上さ
せる対策としては、目的回収物の回収率に見合って泳動
室の処理液の流れ方向の長さを長くすることが考えられ
る。しかし、このようにした場合、ジュール熱による対
流混合を処理液が受け易くなり、目的回収物を良好に分
離できなくなり、結果として目的回収物の回収率を向上
させることができなくなる。更に、ジュール熱による発
熱等のため電位方向に対し断面積当りの電流をある一定
の値で設計するので、泳動室の長さを長くした場合、断
面積が多くなり、それに応じて電流も多く必要となる。
本発明の目的は、泳動室の処理液の流れ方向の長さを
長くすることなしに目的回収物の分離、分離受液への移
動の機会を多くすることで、目的回収物の回収率を向上
できる荷電物質の分離方法及び装置を提供することにあ
る。
〔問題点を解決するための手段〕
上記目的は、荷電物質の分離方法を、目的回収物を含
む処理液を繰り返し電気泳動し前記目的回収物を分離す
る工程と、該分離された目的回収物を低分子イオン,高
分子イオンを通す膜を介して分離受液へ移動させる工程
とを有する方法とし、荷電物質の分離装置を、目的回収
物を含む処理液を泳動室内で繰り返し流動させる手段
と、前記泳動室内の前記処理液に電界を印加する手段
と、分離され低分子イオン,高分子イオンを通す分離膜
を介し分離受液に移動させられた前記目的回収物を回収
する手段とを具備したものとすることにより、達成され
る。
〔作用〕
目的回収物を含む処理液は泳動室内に供給され繰返し
流動化手段により泳動室内で混合を生じることなしに繰
り返し流動させられる。このように流動させられている
処理液には、電界印加手段により電界が印加され、これ
により目的回収物は分離される。分離された目的回収物
は、低分子イオン,高分子イオンを通す膜を介して分離
受液へ移動させられる。分離受液へ移動させられた目的
回収物は、目的回収物回収手段により回収される。
このように、目的回収物を含む処理液を繰り返し電気
泳動することで、泳動室の処理液の流れ方向の長さを長
くすることなしに目的回収物の分離、分離受液への移動
の機会が多くなり、目的回収物の回収率を向上させるこ
とができる。
〔実施例〕
以下、処理液の流動を繰り返すようにした基本構成例
を第1図,第2図により説明する。
第1図,第2図で、側壁10〜13、頂壁14、底壁15の形
状は、略方形である。側壁10は、略垂直に配置され、側
壁11は、側壁12,13の幅に対応する間隔を有し側壁10に
対向して配置されている。側壁10,11の一端部には、側
壁12が配置され、側壁10,11の他端部には、側壁12と対
向して側壁13が配置されている。側壁10〜13の頂部に
は、頂壁14が配置され、側壁10〜13の底部には、頂壁14
と対向して底壁15が配置されている。側壁10〜13、頂壁
14、底壁15で形成された空間は、水密を保持された空間
となっている。この場合、空間の横断面形状は、側壁1
0,11の幅が、側壁12,13の幅よりも広い矩形形状となっ
ている。側壁12に対向し所定間隔を有して隔離膜20が空
間内に設けられている。側壁12、隔離膜20と対向しそれ
らと所定間隔を有し隔離膜21が空間内に設けられてい
る。隔離膜20,21としては、水素イオンやナトリウムイ
オンのような低分子イオンは通すが、たんぱく質のよう
な高分子イオンを通さない膜が使用され、例えば、イオ
ン交換膜や逆浸透膜が適している。隔離膜20,21と対向
しそれらと所定間隔を有して分離膜30が空間内に設けら
れている。分離膜30としては、上記のような低分子イオ
ン,高分子イオンを通す膜が使用され、例えば、ろ過膜
が適している。側壁10,11、頂壁14、底壁15のそれぞれ
の一端部側と側壁12と隔離膜20とでなる空間が電極室40
となる。側壁10,11、頂壁14、底壁15のそれぞれの他端
部側と側壁13と隔離膜21とでなる空間がもう一方の電極
室50となる。側壁10,11、頂壁14、底壁15のそれぞれの
他端部寄り側と隔離膜21と分離膜30とでなる空間が分離
受室60となる。側壁10,11、頂壁14、底壁15の残り部分
と隔離膜20と分離膜30とでなる空間が泳動室70となる。
第1図,第2図で、泳動室70内には、この場合、隔離
膜20、分離膜30と略同じ間隔を有し整流膜80が配置され
ている。つまり、整流膜80は、その下端部を底壁15の内
面に設けられ、その上端部を頂壁14の内面と離して設け
られている。整流膜80としては、分離膜30と同様のもの
が使用される。分離膜30と整流膜80との間に対応する底
壁15には、泳動室70内と連通して処理液の供給口90が設
けられている。供給口90には、処理液の供給ライン100
が連結されている。隔離膜20と整流膜80との間に対応す
る底壁15には、泳動室70内と連通して処理液の取出口91
が設けられている。取出口91には、処理液の取出ライン
101が連結されている。分離受室60と対応する底壁15に
は、分離受室60内と連通して分離受液の供給口92が設け
られている。供給口92には、分離受液の供給ライン102
が連結されている。分離受室60と対応する頂壁14には、
分離受液の取出口93が分離受室60内と連通して設けられ
ている。取出口93には、分離受液の取出ライン103が連
結されている。電極室40と対応する底壁15には、電極室
40内と連通して電極液の供給口94が設けられている。供
給口94には、電極液の供給ライン104が連結されてい
る。電極室40と対応する頂壁14には、電極室40内と連通
して電極液の取出口95が設けられている。取出口95に
は、電極液の取出ライン105が連結されている。電極室5
0と対応する底壁15には、電極室50内と連通して電極液
の供給口96が設けられている。供給口96には、電極液の
供給ライン106が連結されている。電極室50と対応する
頂壁14には、電極室50内と連通して電極液の取出口97が
設けられている。取出口97には、電極液の取出ライン10
7が連結されている。供給ライン104,106は、例えば、途
中で合流連結され該合流供給ライン(図示省略)は、例
えば、電極液冷却手段(図示省略)の出口に連結されて
いる。取出ライン105,107は、例えば、途中で合流連結
され該合流取出ライン(図示省略)は、例えば、電極液
冷却手段の入口に連結されている。供給ライン100は、
例えば、処理液貯槽(図示省略)に連結されている。取
出ライン101は、例えば、後処理手段(図示省略)を介
し廃棄路(図示省略)に開口させられている。供給ライ
ン102は、例えば、分離受液貯槽(図示省略)に連結さ
れている。取出ライン103は、例えば、濃縮手段(図示
省略)に連結されている。濃縮手段には、濃縮液の取出
ライン(図示省略)と目的回収物を除去された分離受液
を分離受液貯槽に戻すライン(図示省略)とがそれぞれ
連結されている。電極室40,50には、それぞれ電極110,1
11が内設されている。電極110,111は互いに対向した状
態に配置されている。電源、例えば、直流電源(図示省
略)の正極には電極110が接続され、負極には電極111が
接続されている。
第1図,第2図で、電極液冷却手段から合流供給ライ
ン、供給ライン104、供給口94を介して電極室40内には
電極液が供給される。電極液は電極室40内を、この場
合、上昇流となって流れた後、取出口95、取出ライン10
5、合流取出ラインを介して電極液冷却手段へ戻され循
環させられる。また、電極液冷却手段から合流供給ライ
ン、供給ライン106、供給口96を介して電極室50内には
電極液が供給される。電極液は電極室50内を、この場
合、上昇流となって流れた後、取出口97、取出ライン10
7、合流取出ラインを介して電極液冷却手段へ戻され循
環させられる。一方、分離受液は、分離受液貯槽から供
給ライン102、供給口92を介して分離受室60内に供給さ
れ、分離受室60内を、この場合、上昇流となって流され
る。
この状態で、正に帯電している目的回収物を含む処理
液は、処理液貯槽から供給ライン100、供給口92を介し
て泳動室70内に供給される。泳動室70内に供給された処
理液は、整流膜80の一方の面(第1図では、右側面)に
沿って上昇流となって流され、整流膜80の上端部と頂壁
14の内面との間を通ってUターンし、整流膜80の他方の
面(第1図では、左側面)に沿って下降流となって流さ
れる。このように、泳動室70内を一回繰り返して流され
る処理液には、直流電源を作動させ電極110,111に直流
電圧を印加することで電極110,111間に生成される直流
電界が印加される。整流膜80の一方の面に沿って上昇流
となって流される処理液に含まれる目的回収物は、この
間に直流電界の印加で部分的に分離され、また、整流膜
80の他方の面に沿って下降流となって流される処理液に
含まれている残りの目的回収物は、この間に直流電界の
印加で分離される。整流膜80の一方の面に沿って上昇流
となって流される処理液から分離された目的回収物は、
分離膜30を通って分離受液へ移動させられ、また、整流
膜80の他方の面に沿って下降流となって流される処理液
から分離された目的回収物は、整流膜80、分離膜30を通
って分離受液へ移動させられる。このようにして目的回
収物が移動させられた分離受液は、取出口93、取出ライ
ン103を介して濃縮手段へ供給され、ここで、目的回収
物が濃縮状態になるように処理される。この濃縮液は、
濃縮液の取出ラインを介して系外、例えば、次工程へ送
給される。目的回収物を除去された分離受液は、濃縮手
段からラインを介し分離受液貯槽に戻される。一方、取
出口91より取り出された処理液は、取出ライン101、後
処理手段を介し清浄化されて廃棄路に排出される。
本基本構成例では、次のような効果が得られる。
(1)目的回収物を含む処理液を泳動室内で1回繰り返
して流すようにしているので、泳動室の処理液の流れ方
向の長さ、この場合、高さ方向の高さを高くすることな
しに目的回収物の分離、分離受液への移動の機会を多く
することができるので、その分、目的回収物を回収率を
向上できる。
(2)この場合の分離は、目的回収物の電気泳動によっ
て生じる。従って、泳動室内での処理液の滞在時間が長
い程、分離は進み、目的回収物の回収率は高くなる。即
ち、このことは、泳動室内に供給される処理液の液量が
少ない方が良いことを示しているが、しかし、次の理由
により泳動室内への処理液の供給量には下限が存在す
る。即ち、泳動室内の目的回収物(正に帯電していると
仮定)の動きを見ると、処理液が泳動室の取出口へ向う
に従い、目的回収物は泳動室内の負側へ集まり、分離膜
を経て分離受室へ入る。従って、泳動室内で処理液に乱
れが起こると目的回収物は泳動室内の左右に混合されて
目的回収物の回収率が極端に悪くなる。泳動室内は電流
が流れるため発熱し、これによって対流が生じて混合が
起こる。そこで、目的回収物の回収率を保つためには、
泳動室内の処理液流量を多くし発熱によって生じる対流
を抑制する必要がある。このため、泳動室内の処理液流
量つまり泳動室内への処理液の供給量には下限が存在す
ることとなる。上記従来技術では、泳動室の処理液の流
れ方向の長さ、例えば、装置が縦型の場合、高さを高く
すると泳動室内での処理液の滞在時間は長くなるが、し
かし、泳動室の高さが高くなるにしたがって熱による対
流混合を受け易くなり、混合が起こり易い。更に、荷電
物質の分離装置では、発熱等のため電位方向に対し断面
積当りの電流をある一定の値で設計されるので、断面積
は多く電流も多く必要となる。これに対し、本基本構成
例では、泳動室の高さは高くならず、このため、上記し
たように熱による対流混合を受け難くなり、電流も多く
することなく(従来程度)経済的に目的回収物の回収率
を向させることができる。
実験例1 PH5.2に調整した酢酸バッファにたんぱく質の一種で
あるミオグロビン(正に帯電)と同じくたんぱく質の一
種であるアルブミン(負に帯電)とをそれぞれ濃度0.25
gr/lとなるように溶解した処理液よりミオグロビンのみ
を回収する実験を実施した。装置としては、高さ1000m
m、奥行35mm、泳動室及び分離受室の幅をいずれも10mm
とした従来型の装置と第1図,第2図に示す装置の2機
種を用いた。尚、供給液温度4℃、電流はいずれの装置
でも3A、供給液量は、いずれの装置でも泳動室16ml/mi
n、分離受室16ml/minとした。実験の結果、ミオグロビ
ンの回収率は、従来型の装置を用いた場合、60%であっ
たのに対し、76%となり、大幅に向上できた。
実験例2 実験例1において第1図,第2図に示す装置のみを用
い、分離受室への供給量を8ml/minと半分にして実験を
実施した。尚、本実験では、たんぱく質が隔離膜へ付着
する現象がみられたので、直流電源からの電極への直流
電圧の印加は、「15分印加−30秒停止」を繰り返す方式
を採用した。他の条件は、実験例1での場合と同じであ
る。実験の結果、分離受室の取出口から取り出された分
離受液中のミオグロミン濃度は、0.4gr/l程度になり、
回収率は、約80%となった。また、濃縮率は、(0.4/0.
25)×100=160%となり、本基本構成例の装置は、濃縮
も可能であることが解った。更に、隔離膜へのたんぱく
質の付着も見られず、電極への電圧の印加−停止を繰り
返し行う効果が大きいことも解った。
尚、本基本構成例では、泳動室、分離受室、電極室の
横断面形状を方形、縦型としているが、本発明は、これ
らに特に限定されるものではない。
第3図は、本発明の第1の実施例を示すもので、第1
図と異なる点は、電極室40と泳動室70との間にもう一室
の分離受室61を介設した点である。この場合、電極室40
と分離受室61とは隔離膜20で仕切られ、分離受室61と泳
動室70とは分離膜31で仕切られている。分離膜31として
は、分離膜30と同様のものが使用される。分離受室61に
対応する底壁15には、分離受液の供給口98が分離受室61
内と連通して設けられている。供給口98には、分離受液
の供給ライン108が連結されている。分離受室61に対応
する頂壁14には、分離受液の取出口99が分離受室61内と
連通して設けられている。取出口99には、分離受液の取
出ライン109が連結されている。供給ライン108は、例え
ば、分離受液貯槽(図示省略)に連結されている。取出
ライン109は、例えば、他の濃縮手段(図示省略)に連
結されている。他の濃縮手段には、濃縮液の取出ライン
(図示省略)と目的回収物を除去された分離受液を分離
受液貯槽に戻すライン(図示省略)とがそれぞれ連結さ
れている。尚、第3図で、その他第1図と同一部品等は
同一符号で示し説明を省略する。
第3図で、整流膜80の一方の面(第3図では、右側
面)に沿って上昇流となって処理液に含まれる、正及び
負にそれぞれ帯電している目的回収物は、この間に直流
電界の印加で部分的にそれぞれ分離され、また、整流膜
80の他方の面(第3図では、左側面)に沿って下降流と
なって流される処理液に含まれている残りの正及び負に
それぞれ帯電している目的回収物は、この間に直流電界
の印加でそれぞれ分離される。整流膜80の一方の面に沿
って上昇流となって流される処理液から分離された正に
帯電している目的回収物は分離膜30を通って分離受室60
の分離受液へ移動させられ、負に帯電している目的回収
物は整流膜80、分離膜31を通って分離受室61の分離受液
へ移動させられる。また、整流膜80の他方の面に沿って
下降流となって流される処理液から分離された正に帯電
している目的回収物は整流膜80、分離膜30を通って分離
受室60の分離受液へ移動させられ、負に帯電している目
的回収物は分離膜31を通って分離受室61の分離受液へ移
動させられる。このようにして正に帯電している目的回
収物が移動させられた分離受液は、上記基本構成例と同
様に処理される。一方、負に帯電している目的回収物が
移動させられた分離受液は、取出口99、取出ライン109
を介して他の濃縮手段へ供給され、ここで、目的回収物
が濃縮状態になるように処理される。この濃縮液は、濃
縮液の取出ラインを介して系外、例えば、次工程へ送給
される。また、目的回収物を除去された分離受液は、他
の濃縮手段からラインを介し分離受液貯槽に戻される。
本実施例では、上記基本構成例で得られた効果の他
に、正及び負にそれぞれ帯電した目的回収物を含む処理
液から正及び負にそれぞれ帯電した目的回収物を同時に
高い回収率で回収できるという効果がある。
第4図は、処理液流動の繰り返しを循環式にした例を
示すもので、第1図と異なる点は、取出ライン101の途
中から分岐した分岐ライン120が供給ライン100の途中に
合流連結された点である。尚、第4図で、その他第1図
と同一部品等は同一符号で示し説明を省略する。
第4図で、取出ライン101を後処理手段(図示省略)
へ向って流されている処理液は、部分的に分岐ライン12
0へ分流される。分流された処理液は、分岐ライン120を
流された後に、供給ライン100を流されている処理液に
合流させられて泳動室70内に再び供給される。尚、これ
以降の作用は上記基本構成例の場合と同様であり説明を
省略する。
本例では、上記基本構成例で得られた効果の他に、泳
動室から取り出される処理液に未だ残っている目的回収
物を該処理液を泳動室に再び供給し電気泳動することで
分離、回収できるので、目的回収物の回収率を更に向上
できるという効果がある。
尚、本例では、泳動室から取り出された処理液を部分
的に泳動室に再供給するようにしているが、この他に、
全量を泳動室に再供給するようにしても良い。また、本
例では、泳動室から取り出された処理液を泳動室に再供
給しているが、この他に、泳動室内で整流膜の他方の面
に沿って下降流となって流れてきた処理液を底壁内面付
近でUターンさせて整流膜の一方の面に沿って上昇流と
なって流される処理液に合流させるようにしても同様の
効果が得られる。この場合、装置的には、整流膜の下端
部と底壁内面との間に間隔を設けるか、または、整流膜
の下端部側に開口を形成するといった対策をとる必要が
ある。
第5図は、本発明の第2の実施例を説明するもので、
第1図と異なる点は、取出ライン103の途中から分岐さ
れた分岐ライン121が、供給ライン102の途中に合流連結
された点である。尚、第5図で、その他第1図と同一部
品等は同一符号で示し説明を省略する。
第5図で、分離受室60の取出口93から取り出され取出
ライン103を濃縮手段(図示省略)へ向って流される分
離受液は、部分的に分岐ライン121へ分流され、分流さ
れた分離受液は分岐ライン121を流された後に、供給ラ
イン102を流される分離受液に合流されて分離受室60へ
循環供給される。尚、その他の作用は、上記基本構成例
の場合と同様であり、よって説明を省略する。
本実施例では、上記基本構成例で得られた効果に加え
ると次のような効果が得られる。
つまり、分離受室内の分離受液の液温は、泳動室内の
処理液と同様に電流によって発熱し上昇する。分離受液
の液温が上昇すれば目的回収物の種類、特性によっては
不安定となり破壊されるものが、このような目的回収物
が移動させられる分離受液の液温上昇を抑制する必要が
ある。このような分離受液の温度上昇を抑制するために
は、分離受室内の分離受液流量としてある程度の量を確
保する必要がある。従って、本実施例では、分離受室か
ら取り出された分離受液を分離受室に供給される分離受
液に合流させて循環供給するようにしているので、上記
量を確保でき分離受室内での分離受液の温度上昇を抑制
できる。尚、第5図で、分岐ライン121の途中に冷却手
段を設けるようにすれば、分離受室内での分離受液の温
度上昇を更に効果的に抑制することができる。又、本実
施例では、分離受室から取り出された分離受液を分離受
室に循環供給するようにしているので、分離受液の目的
回収物の濃度を高めることができ、場合によっては、上
記基本構成例での濃縮手段を不用にできる。
尚、上記各実施例の内で、次のような組合せも可能で
ある。
(1)上記第1の実施例と上記循環式繰り返しの例 この組合せでは、正及び負に帯電している目的回収物
の回収率を更に向上できる。
(2)上記第1の実施例と上記第2の実施例 この組合せでは、正に帯電している目的回収物が移動
する分離受液の温度上昇を抑制できると共に、負に帯電
している目的回収物が移動する分離受液の温度上昇を抑
制できる。また、一方の分離液の正に帯電している目的
回収物の濃度を高めることができると共に、他方の分離
受液の負に帯電している目的回収物の濃度を高めること
ができる。
(3)上記循環式繰り返しの例と上記第2の実施例 この組合せでは、目的回収物の回収率を更に向上でき
ると共に、分離受液内の分離受液の温度上昇でき、更
に、分離受液の目的回収物の濃度を高めることができ
る。
以上の各実施例では、目的回収物を含む処理液が1回
繰り返して流されるように泳動室を構成しているが、し
かし、特にこれに限定されるものではない。つまり、目
的回収物を含む処理液を泳動室内で少なくとも1回繰り
返して流すようにすることが重要である。例えば、整流
膜を泳動室内の2ヶ所に配設し、泳動室内に供給された
処理液を一方の整流膜の一方の面に沿って上昇流となし
て流し、該流れてきた処理液を頂壁側でUターンさせて
一方の整流膜の他方の面並びに他方の整流膜の一方の面
に沿って下降流となして流し、該流れてきた処理液を底
壁側でUターンさせて他方の整流膜の他方の面に沿って
上昇流となして流し、該流れてきた処理液を頂壁に設け
られた取出口、該取出口に連結された取出ラインを介し
て取り出すように構成しても良い。勿論、この場合も泳
動室内で上記のように流されている処理液には、直流電
界が印加される。
また、泳動室内で流されている処理液には直流電界の
他に、直流バイアスの交流電界を印加しても良い。
〔発明の効果〕
本発明によれば、泳動室の処理液の流れ方向の長さを
長くすることなしに目的回収物の分離、分離受液への移
動の機会を多くでき、目的回収物の回収率を向上できる
という効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は、処理液の流動を繰り返すようにした基本構成
をもつ荷電物質分離装置の要部縦断面図、第2図は、第
1図のI-I視断面図、第3図は本発明の一実施例を示す
要部断面図、第4図は処理液流動の繰り返しを循環式に
した例を示す要部断面図、第5図は本発明の一実施例を
示す要部断面図である。 40,50……電極室、60ないし63……分離受室、70ないし7
2……泳動室、80……整流膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 健児 山口県下松市大字東豊井794番地 株式会 社日立製作所笠戸工場内 (56)参考文献 特開 昭62−70748(JP,A) 特開 昭61−215951(JP,A) 特開 昭61−215952(JP,A) 特開 昭61−290352(JP,A) 特開 昭62−59853(JP,A) 特開 昭47−33881(JP,A)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】正に帯電している目的回収物と負に帯電し
    ている目的回収物とを含む処理液を泳動室内で繰り返し
    電気泳動して前記正に帯電している目的回収物と前記負
    に帯電している目的回収物とを分離する工程と、該分離
    された目的回収物を低分子イオン、高分子イオンを通す
    膜で前記泳動室とそれぞれ仕切られた分離受室のそれぞ
    れの分離受液へ、分離された前記正に帯電している目的
    回収物と分離された前記負に帯電している目的回収物と
    を前記膜を介して移動させる工程とを有することを特徴
    とする荷電物質の分離方法。
  2. 【請求項2】前記泳動室内に設けられた低分子イオン、
    高分子イオンを通す整流膜の一方の面に沿って一方向に
    前記処理液を流し、該一方向に流れている前記処理液に
    電圧印加し、一方向に流れた前記処理液を前記整流膜の
    他方の面に沿って逆方向に流し、該逆方向に流れている
    前記処理液に電圧印加することを特徴とする特許請求の
    範囲第1項記載の荷電物質の分離方法。
  3. 【請求項3】一方向に流れている前記処理液に一方の前
    記目的回収物が前記膜を通り、かつ、他方の前記目的回
    収物が前記整流膜、前記膜を通ってそれぞれ前記分離受
    液に移動可能な電圧を印加し、逆方向に流れている前記
    処理液に他方の前記目的回収物が前記膜を通り、かつ、
    一方の前記目的回収物が前記整流膜、前記膜を通ってそ
    れぞれ前記分離受液に移動可能な電圧を印加することを
    特徴とする特許請求の範囲第2項記載の荷電物質の分離
    方法。
  4. 【請求項4】目的回収物を含む処理液を泳動室内で繰り
    返し電気泳動して前記目的回収物を分離する工程と、該
    目的回収物を低分子イオン、高分子イオンを通す膜で前
    記泳動室と仕切られた分離受室の分離受液へ前記膜を介
    して移動させる工程と、前記目的回収物が移動した前記
    分離受液を前記分離受室から抜き出す工程と、該抜き出
    された前記分離受液を前記分離受室へ供給する工程とを
    有することを特徴とする荷電物質の分離方法。
  5. 【請求項5】目的回収物を含む処理液を泳動室内で繰り
    返し流動させる手段と、前記泳動室内の前記処理液に電
    界を印加する手段と、分離され低分子イオン、高分子イ
    オンを通す分離膜を介し分離受液に移動させられた前記
    目的回収物を回収する手段とからなり、低分子イオン、
    高分子イオンを通す整流膜の一端部を前記泳動室の一方
    の内壁に設けると共に他端部を前記一方の内壁と対応す
    る他方の内壁と離して設け、前記整流膜の一方の面に沿
    って前記処理液が泳動可能に該処理液の供給口を前記一
    方の内壁に設け、前記整流膜の他方の面に沿って逆方向
    に流れてきた前記処理液の抜出口を前記一方の壁に設
    け、電源にそれぞれ接続された電極がそれぞれ内設され
    た電極室と前記泳動室との間に前記分離受液を内部に有
    する分離受室をそれぞれ設けたことを特徴とする荷電物
    質の分離装置。
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