JPH08327417A - カルマン渦を使用したガス流速計 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガス流速の測定可能範囲の下限を下げること
ができる、したがって、低流速域でも測定精度の高いカ
ルマン渦を使用したガス流速計を図る。 【構成】 測定管０２の軸線部にこれを横切る支柱０１
を介して支持され中心孔が入口部と渦発生体０４が架設
された喉部と超音波発信器０５及び超音波受信器０６が
互いに対向的に凹設された出口部とで構成されたハウジ
ングと、超音波発信器０５，超音波受信器０６とそれぞ
れ電気的に接続され測定管０２の外部に配設された超音
波信号処理器０８とを有するカルマン渦を使用したガス
流速計において、ハウジング１の入口部２が絞り状に，
出口部４が拡大状にそれぞれ形成されたこと。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はカルマン渦を使用したガ
ス流速計に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば、ボイラの燃焼空気ダクト内の流
速を測定するためのカルマン渦を使用したガス流速計
（以下ガス流速計という）としては、従来、図４(A) 縦
断面図に示すように、支柱０１を介して測定管０２の軸
線部に支持されるとともに入口部がベルマウス状に縮径
しこれに続く喉部断面が矩形のハウジング０３と、上記
喉部の流れを横切って架設された三角柱状のカルマン渦
発生体０４と、ハウジング０３の喉部下流側に渦発生体
０４に対して立体交叉的に凹設された１対の超音波発信
器０５とこれに対向する超音波受信器０６と、これら超
音波発信器０５，超音波受信器０６とそれぞれリード線
０７を介して接続されるとともに測定管０２の外部に配
設された超音波信号処理器０８とから形成されるものが
知られている。なお、渦発生体０４の形状は逆三角柱，
円柱，角柱等であってもよい。

【０００３】このような装置において、渦発生体０４の
下流位置に２列の渦が規則的に交互に発生し、いわゆる
カルマン渦列を形成するが、ハウジング０３の喉部の流
路面積が下流側に向かって一定なので、ここの流速は測
定管０２内の流速より速くならず、例えば、図４(B) 線
図の円柱状渦発生体のストロハル数とレイノルズ数の関
係に示すように、カルマン渦数のストロハル数の一定限
界値により、同図(C)線図のガス流速計の特性実験結果
に鎖線で示すように、流速の測定可能範囲は約１．５ｍ
／ｓ以上に限定される。

【０００４】図４(B) で、ストロハル数は渦発生体の形
状によって固有の値を有する無次元値で、レイノルズ数
によって一定値になる領域と変化する領域とがある。そ
して、ガス流速計で使用するレイノルズ数の領域は、渦
周波数ｆと管内流速Ｖがリニヤに比例するストロハル数
Ｓ_t が一定値域の範囲のみである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に鑑みて提案されたもので、ガス流速の測定可能範
囲の下限を下げることができる、したがって、低流速域
でも測定精度の高いカルマン渦を使用したガス流速計を
提供することを目的とする。

【０００６】また、ガス流速の測定可能範囲の下限をさ
らに下げることができる、したがって、低流速域でも測
定精度の高いカルマン渦を使用したガス流速計を提供す
ることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】そのために、請求項１の
発明は測定管の軸線部にこれを横切る支柱を介して支持
され中心孔が入口部と渦発生体が架設された喉部と超音
波発信器及び超音波受信器が互いに対向的に凹設された
出口部とで構成されたハウジングと、上記超音波発信
器，上記超音波受信器とそれぞれ電気的に接続され上記
測定管の外部に配設された超音波信号処理器とを有する
カルマン渦を使用したガス流速計において、上記ハウジ
ングの入口部が絞り状に，出口部が拡大状にそれぞれ形
成されたことを特徴とする。

【０００８】また、請求項２の発明は請求項１のカルマ
ン渦を使用したガス流速計において、ハウジングの後端
にフランジ状感度調節アダプタが突設されたことを特徴
とする。

【０００９】

【作用】このような構成によれば、下記の作用が行われ
る。 (1) 請求項１の発明によれば、ハウジングの入口部が絞
り状に，出口部が拡大状にそれぞれ形成されているの
で、ハウジングの喉部の流速が増大する結果、流速に比
例して発生するカルマン渦数が増加する。

【００１０】(2) 請求項２の発明によれば、上記(1) の
構成要件のほかに、さらにハウジングの後端にフランジ
状感度調節アダプタが突設されているので、ハウジング
の喉部の流速がさらに増大する結果、流速に比例して発
生するカルマン渦数がさらに増加する。

【００１１】

【実施例】本発明を図４(A) に示すガス流速計に適用し
た実施例を図面について説明すると、同図と同一の符号
はそれぞれ同図と同一の部材を示し、まず、第１実施例
の図１(A) 縦断面図及び同図(B) 正面図において、１は
外部形状が直立方体状で支柱０１を介して測定管０２の
軸線部に支持されたハウジングで、その内部形状は絞り
角筒状の入口部２と角筒状の喉部３と拡大角筒状の出口
部４とから構成されている。

【００１２】このような装置において、図１(A) に示す
ように、測定管０２の上流側の軸線部の流れはガス流速
計のハウジング１の入口部２から吸い込まれ、同部の絞
り形状により流速を増し喉部３に導かれる。喉部３には
渦発生体０４が架設されているので、この下流にカルマ
ン渦５が発生し、これが出口部４へ流れてゆく。出口部
４の内面には、超音波発信器０５及び超音波受信器０６
が対向的に凹設されているので、流れを乱さずにカルマ
ン渦５の数を検出することができ、そして、超音波発信
器０５及び超音波受信器０６の信号は、超音波信号処理
器０８により流速信号に変換される。

【００１３】なお、ガス流速計６が測定管０２内の流速
にほとんど影響を与えないようにするため、図２(A) 横
断面図において、測定管０２の断面積に対して流れに直
角なガス流速計６の投影面積は通常約５％以下になるよ
うにして使用される。したがって、測定管０２が円形管
であっても、ガス流速計６のハウジング１等の横断面形
状は円形にする必要はなく、矩形でもよい。

【００１４】また、ガス流速計のカルマン渦の周波数
は、渦発生体の側面の流速により決まるので、ハウジン
グの内部流路が円形の場合、渦発生体の側面の流速は、
図２(B) 横断面図において、上部，央部，下部の流路面
積をそれぞれＡ，Ｂ，Ｃ、上部，央部，下部の渦発生体
面積をそれぞれａ，ｂ，ｃとすると、上部，央部，下部
の絞り面積比＝（渦発生体面積）／（流路面積）をそれ
ぞれ（ａ／Ａ），（ｂ／Ｂ），（ｃ／Ｃ）とすると、
（ａ／Ａ）＝（ｃ／Ｃ）＞（ｂ／Ｂ）の関係があり、ま
た、上部，央部，下部の流速をそれぞれｖ_A ，ｖ_B ，ｖ
_C とすると、 ｖ_A ＝ｖ_C ＞ｖ_B の関係もあり、したが
って、渦発生体下流のカルマン渦は、図２(C) 縦断面図
に示すように、いろいろな流速による渦が寄り集まって
作られるので、カルマン渦の強度は大きいものではな
い。

【００１５】これに対し、ハウジングの内部流路が矩形
の場合、渦発生体０４の側面の流速は、図２(D) 横断面
図において、流路面積をＡ_r 、渦発生体面積をａ_r とす
ると、絞り面積比＝（ａ_r ／Ａ_r ）は全断面で一定であ
り、流速も一定である。したがって、一つの流速により
発生したカルマン渦５は、渦の強度も大きくなり安定し
た良好な渦検出信号を得ることができる。

【００１６】次に、第２実施例の図３(A) 縦断面図及び
同図(B) 正面図において、７はハウジング１の後端に矩
形フランジ状に突設された感度調節アダプタ８を有する
ガス流速計である。

【００１７】このような装置において、図３(A) に示す
ように、ガス流速計７の外側の流れは感度調整アダプタ
８の端面のエッジで剥離し、ガス流速計７の下流に剥離
渦９が発生し、この位置での静圧が低下し、ガス流速計
７の内側の流体を吸引するので、この通過流量が増大
し、その結果カルマン渦５の数がさらに増える。

【００１８】(1) 第１実施例の装置によれば、ハウジン
グの入口部が絞り状に，出口部が拡大状にそれぞれ形成
されているので、ハウジングの喉部の流速が増大する結
果、流速に比例して発生するカルマン渦数が増加し、し
たがって、低流速での高精度な測定が可能になる。ちな
みに、図４(C) に実線で示すように、流速０．５ｍ／ｓ
程度における測定も実用化される。

【００１９】(2) 第２実施例の装置によれば、上記(1)
の構成要件のほかに、さらにハウジングの後端にフラン
ジ状感度調節アダプタが突設されているので、ハウジン
グの喉部の流速がさらに増大する結果、流速に比例して
発生するカルマン渦数がさらに増加し、したがって、さ
らに低速での高精度な測定が可能になる。

【００２０】

【発明の効果】要するに請求項１の発明によれば、測定
管の軸線部にこれを横切る支柱を介して支持され中心孔
が入口部と渦発生体が架設された喉部と超音波発信器及
び超音波受信器が互いに対向的に凹設された出口部とで
構成されたハウジングと、上記超音波発信器，上記超音
波受信器とそれぞれ電気的に接続され上記測定管の外部
に配設された超音波信号処理器とを有するカルマン渦を
使用したガス流速計において、上記ハウジングの入口部
が絞り状に，出口部が拡大状にそれぞれ形成されたこと
により、ガス流速の測定可能範囲の下限を下げることが
できる、したがって、低流速域でも測定精度の高いカル
マン渦を使用したガス流速計を得るから、本発明は産業
上極めて有益なものである。

【００２１】また、請求項２の発明によれば、請求項１
のカルマン渦を使用したガス流速計において、ハウジン
グの後端にフランジ状感度調節アダプタが突設されたこ
とにより、ガス流速の測定可能範囲の下限をさらに下げ
ることができる、したがって、低流速域でも測定精度の
高いカルマン渦を使用したガス流速計を得るから、本発
明は産業上極めて有益なものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を図４(A) に示すガス流速計に適用した
第１実施例を示し、(A) ，(B)はそれぞれ縦断面図，部
分正面図である。

【図２】図１の装置を示し、(A) ，(B) ，(C) ，(D) は
それぞれ横断面図，円形流路に架設された渦発生体の正
面図，同じく縦断面図，矩形流路に架設された渦発生体
の正面図である。

【図３】本発明を図４(A) に示すガス流速計に適用した
第２実施例を示し、(A) ，(B)はそれぞれ縦断面図，部
分正面図である。

【図４】公知のガス流速計を示し、(A) ，(B) ，(C) は
それぞれ縦断面図，レイノルズ数とストロハル数の相関
線図，カルマン渦周波数と管内流速の相関線図である。

【符号の説明】

１ ハウジング ２ 入口部 ３ 喉部 ４ 出口部 ５ カルマン渦 ６ ガス流速計 ７ ガス流速計 ８ 感度調節アダプタ ９ 剥離渦 ０１ 支柱 ０２ 測定管 ０４ 渦発生体 ０５ 超音波発信器 ０６ 超音波受信器 ０７ リード線 ０８ 超音波信号処理器 Ａ 流路面積 Ａ_r 流路面積 Ｂ 流路面積 Ｃ 流路面積 ａ 渦発生体面積 ａ_r 渦発生体面積 ｂ 渦発生体面積 ｃ 渦発生体面積

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡邉 久男 長崎市大谷町３番５号 株式会社菱研テッ ク内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 測定管の軸線部にこれを横切る支柱を介
   して支持され中心孔が入口部と渦発生体が架設された喉
   部と超音波発信器及び超音波受信器が互いに対向的に凹
   設された出口部とで構成されたハウジングと、上記超音
   波発信器，上記超音波受信器とそれぞれ電気的に接続さ
   れ上記測定管の外部に配設された超音波信号処理器とを
   有するカルマン渦を使用したガス流速計において、上記
   ハウジングの入口部が絞り状に，出口部が拡大状にそれ
   ぞれ形成されたことを特徴とするカルマン渦を使用した
   ガス流速計。
2. 【請求項２】 請求項１のカルマン渦を使用したガス流
   速計において、ハウジングの後端にフランジ状感度調節
   アダプタが突設されたことを特徴とするカルマン渦を使
   用したガス流速計。