JPH08319539A - 高強度高靭性制振合金及びその製造方法 - Google Patents
高強度高靭性制振合金及びその製造方法Info
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- JPH08319539A JPH08319539A JP13156195A JP13156195A JPH08319539A JP H08319539 A JPH08319539 A JP H08319539A JP 13156195 A JP13156195 A JP 13156195A JP 13156195 A JP13156195 A JP 13156195A JP H08319539 A JPH08319539 A JP H08319539A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 強度、靭性、制振性が同時に優れた構造材料
用制振合金。 【構成】 重量%で、C:0.02%以下、Si:0.
5〜3%、Mn:0.2%以下、Cr:1〜5%、P:
0.010%以下、S:0.005%以下、Al:0.
005〜5%、必要に応じP、Cu、Ni、Mo、N
b、V、Ti、B、N、Ca、REMを適切な範囲に添
加し、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼におい
て、(200)回折強度比が2.5〜15.0の高強度
高靭性制振合金。上記成分を有する鋳片を加熱温度10
00〜1150℃、1000℃以下の圧下率30〜70
%、圧延仕上温度750〜900℃、より制振性向上の
ため圧延仕上温度がAr1 +50℃〜Ar1 −20℃
で、圧延後に700〜1000℃の焼戻し、または、焼
きなましを行うことを特徴とする高強度高靭性制振合金
の製造方法。 【効果】引張強度≧370MPa 、0℃の吸収エネルギー
≧80Jで制振性が良好。
用制振合金。 【構成】 重量%で、C:0.02%以下、Si:0.
5〜3%、Mn:0.2%以下、Cr:1〜5%、P:
0.010%以下、S:0.005%以下、Al:0.
005〜5%、必要に応じP、Cu、Ni、Mo、N
b、V、Ti、B、N、Ca、REMを適切な範囲に添
加し、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼におい
て、(200)回折強度比が2.5〜15.0の高強度
高靭性制振合金。上記成分を有する鋳片を加熱温度10
00〜1150℃、1000℃以下の圧下率30〜70
%、圧延仕上温度750〜900℃、より制振性向上の
ため圧延仕上温度がAr1 +50℃〜Ar1 −20℃
で、圧延後に700〜1000℃の焼戻し、または、焼
きなましを行うことを特徴とする高強度高靭性制振合金
の製造方法。 【効果】引張強度≧370MPa 、0℃の吸収エネルギー
≧80Jで制振性が良好。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、船舶、橋梁、産業機
械、建築用構造材料としての強度と靭性を満足し、同時
に高い制振性を有する制振合金及びその製造方法に係わ
るものである。
械、建築用構造材料としての強度と靭性を満足し、同時
に高い制振性を有する制振合金及びその製造方法に係わ
るものである。
【0002】
【従来の技術】最近、船舶、橋梁、産業機械、建築物は
その材料には、構造材料の基本特性である強度に加え高
い制振性と靭性が同時に要求される傾向にある。すなわ
ち、たとえば、橋梁上の高速鉄道走行時や大規模土木、
建築作業時の騒音、振動を構造材料そのものの制振効果
で抑え、かつ、構造部材として十分な強度と靭性を有す
るという課題を解決しようとするものである。
その材料には、構造材料の基本特性である強度に加え高
い制振性と靭性が同時に要求される傾向にある。すなわ
ち、たとえば、橋梁上の高速鉄道走行時や大規模土木、
建築作業時の騒音、振動を構造材料そのものの制振効果
で抑え、かつ、構造部材として十分な強度と靭性を有す
るという課題を解決しようとするものである。
【0003】樹脂サンドイッチ型制振鋼板に代わる制振
性を目的とした部材に供される従来の鉄系材料は、振動
による交番応力作用下での磁壁移動の非可逆運動による
ヒステリシスに起因した高い制振特性を得るため、フェ
ライトフォーマーを添加して組織をフェライト単相化す
ることをねらい、Al及びSiを添加した材料と、Cr
を積極的に添加した材料との2種類に分けられる。前者
の例としては、特開平4−99148号公報に記載され
るように、Alを最高7.05%及びSiを最高4.5
%まで添加した強磁性型制振合金があり、後者の例とし
ては、特開昭52−73118号公報に記載されるよう
に、Crを8〜30%添加した強磁性制振合金などがあ
る。さらに、特開平6−220583号公報及び特開平
5−302148号公報で、Mnが0.1または0.2
%以下で、Crを1〜5%添加した強磁性制振合金があ
る。また、発明者らが提出した特願平6−258982
号はMnが0.2〜2.5%、Crを1〜5%添加した
強磁性制振合金がある。
性を目的とした部材に供される従来の鉄系材料は、振動
による交番応力作用下での磁壁移動の非可逆運動による
ヒステリシスに起因した高い制振特性を得るため、フェ
ライトフォーマーを添加して組織をフェライト単相化す
ることをねらい、Al及びSiを添加した材料と、Cr
を積極的に添加した材料との2種類に分けられる。前者
の例としては、特開平4−99148号公報に記載され
るように、Alを最高7.05%及びSiを最高4.5
%まで添加した強磁性型制振合金があり、後者の例とし
ては、特開昭52−73118号公報に記載されるよう
に、Crを8〜30%添加した強磁性制振合金などがあ
る。さらに、特開平6−220583号公報及び特開平
5−302148号公報で、Mnが0.1または0.2
%以下で、Crを1〜5%添加した強磁性制振合金があ
る。また、発明者らが提出した特願平6−258982
号はMnが0.2〜2.5%、Crを1〜5%添加した
強磁性制振合金がある。
【0004】次に、田中良平、制振材料<その機能と応
用>広済堂1992年3月発行p192〜197に強磁
性型合金として、外部応力が磁区壁の移動を引き起こし
それによるヒステリシス損で振動エネルギーが吸収され
ることが記述されている。
用>広済堂1992年3月発行p192〜197に強磁
性型合金として、外部応力が磁区壁の移動を引き起こし
それによるヒステリシス損で振動エネルギーが吸収され
ることが記述されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の合金のうち特開平4−99148号公報記載の合金は
Al及びSi添加量の上限規制が不適当であるため、粗
大なAl系及びSi系介在物の生成をまねき、これが破
壊の発生点として作用するため靭性が低下する。
の合金のうち特開平4−99148号公報記載の合金は
Al及びSi添加量の上限規制が不適当であるため、粗
大なAl系及びSi系介在物の生成をまねき、これが破
壊の発生点として作用するため靭性が低下する。
【0006】また、特開昭52−73118号公報記載
の合金はCr添加が過剰なため、上記同様Cr系介在物
の靭性低下をまねく。さらに、特開平6−220583
号公報及び特開平5−302148号公報は、強度上昇
元素が添加されていないため、強度が低い。また、特開
平6−258982号公報は製造方法が適切でないた
め、制振性が低い。制振材料の文献では、制振合金の機
構を書いたもので、その向上策や具体的な成分系・製造
方法あるいは制振性に加えて強度と靭性を同時に満足す
る方法に関する記述はない。
の合金はCr添加が過剰なため、上記同様Cr系介在物
の靭性低下をまねく。さらに、特開平6−220583
号公報及び特開平5−302148号公報は、強度上昇
元素が添加されていないため、強度が低い。また、特開
平6−258982号公報は製造方法が適切でないた
め、制振性が低い。制振材料の文献では、制振合金の機
構を書いたもので、その向上策や具体的な成分系・製造
方法あるいは制振性に加えて強度と靭性を同時に満足す
る方法に関する記述はない。
【0007】本発明は優れた制振性に加えて強度と靭性
を同時に満足する合金とその製造方法を提供することを
目的とする。
を同時に満足する合金とその製造方法を提供することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、 (1)重量%で、C :0.02%以下、Si:0.5
〜3%、Mn:0.2%以下、P :0.010%以
下、S :0.005%以下、Cr:1〜5%、Al:
0.005〜5%、N :0.006%以下を含有し、
残部Fe及び不可避的不純物からなり、(200)回折
強度比が2.5〜15.0を特徴とする0℃でのシャル
ピー吸収エネルギー≧80J、引張強さ≧370MPa の
高強度高靭性制振合金。
〜3%、Mn:0.2%以下、P :0.010%以
下、S :0.005%以下、Cr:1〜5%、Al:
0.005〜5%、N :0.006%以下を含有し、
残部Fe及び不可避的不純物からなり、(200)回折
強度比が2.5〜15.0を特徴とする0℃でのシャル
ピー吸収エネルギー≧80J、引張強さ≧370MPa の
高強度高靭性制振合金。
【0009】(2)(1)記載の合金と同一組成を有す
る鋼に、さらに、重量%で、Cu:0.05〜2.5
%、Ni:0.05〜2.5%、Mo:0.05〜4.
5%、Nb:0.005〜0.2%、V :0.005
〜0.2%、Ti:0.005〜0.1%、B :0.
0003〜0.005%を1種または2種以上含み、
(200)回折強度比が2.5〜15.0を特徴とする
0℃でのシャルピー吸収エネルギー≧80J、引張強さ
≧400MPa の高強度高靭性制振合金。
る鋼に、さらに、重量%で、Cu:0.05〜2.5
%、Ni:0.05〜2.5%、Mo:0.05〜4.
5%、Nb:0.005〜0.2%、V :0.005
〜0.2%、Ti:0.005〜0.1%、B :0.
0003〜0.005%を1種または2種以上含み、
(200)回折強度比が2.5〜15.0を特徴とする
0℃でのシャルピー吸収エネルギー≧80J、引張強さ
≧400MPa の高強度高靭性制振合金。
【0010】(3)(1)または、(2)記載の合金と
同一組成を有する鋼に、さらに、重量%で、Ca:0.
001〜0.05%、REM:0.001〜0.1%を
1種または2種含み、(200)回折強度比が2.5〜
15.0を特徴とする0℃でのシャルピー吸収エネルギ
ー≧100J、引張強さ≧370MPa の高強度高靭性制
振合金。
同一組成を有する鋼に、さらに、重量%で、Ca:0.
001〜0.05%、REM:0.001〜0.1%を
1種または2種含み、(200)回折強度比が2.5〜
15.0を特徴とする0℃でのシャルピー吸収エネルギ
ー≧100J、引張強さ≧370MPa の高強度高靭性制
振合金。
【0011】(4)重量%で、C :0.02%以下、
Si:0.5〜3%、Mn:0.2%以下、P :0.
010%以下、S :0.005%以下、Cr:1〜5
%、Al:0.005〜5%、N :0.006%以下
を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼を、
加熱温度が1000〜1150℃、1000℃以下の圧
下率が30〜70%で、圧延仕上温度が750〜900
℃で、熱間圧延後室温まで冷却した後、700℃〜10
00℃で焼戻しまたは焼きなまし熱処理することを特徴
とする0℃でのシャルピー吸収エネルギー≧80J、引
張強さ≧370MPa の高強度高靭性制振合金の製造方
法。
Si:0.5〜3%、Mn:0.2%以下、P :0.
010%以下、S :0.005%以下、Cr:1〜5
%、Al:0.005〜5%、N :0.006%以下
を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼を、
加熱温度が1000〜1150℃、1000℃以下の圧
下率が30〜70%で、圧延仕上温度が750〜900
℃で、熱間圧延後室温まで冷却した後、700℃〜10
00℃で焼戻しまたは焼きなまし熱処理することを特徴
とする0℃でのシャルピー吸収エネルギー≧80J、引
張強さ≧370MPa の高強度高靭性制振合金の製造方
法。
【0012】(5)(4)記載の合金と同一組成を有す
る鋼に、さらに、重量%で、Cu:0.05〜2.5
%、Ni:0.05〜2.5%、Mo:0.05〜4.
5%、Nb:0.005〜0.2%、V :0.005
〜0.2%、Ti:0.005〜0.1%、B :0.
0003〜0.005%を1種または2種以上含み、加
熱温度が1000〜1150℃、1000℃以下の圧下
率が30〜70%で、圧延仕上温度が750〜900℃
で、熱間圧延後室温まで冷却した後、700℃〜100
0℃で焼戻しまたは焼きなまし熱処理することを特徴と
する0℃でのシャルピー吸収エネルギー≧80J、引張
強さ≧400MPa の高強度高靭性制振合金の製造方法。
る鋼に、さらに、重量%で、Cu:0.05〜2.5
%、Ni:0.05〜2.5%、Mo:0.05〜4.
5%、Nb:0.005〜0.2%、V :0.005
〜0.2%、Ti:0.005〜0.1%、B :0.
0003〜0.005%を1種または2種以上含み、加
熱温度が1000〜1150℃、1000℃以下の圧下
率が30〜70%で、圧延仕上温度が750〜900℃
で、熱間圧延後室温まで冷却した後、700℃〜100
0℃で焼戻しまたは焼きなまし熱処理することを特徴と
する0℃でのシャルピー吸収エネルギー≧80J、引張
強さ≧400MPa の高強度高靭性制振合金の製造方法。
【0013】(6)(4)または、(5)記載の合金と
同一組成を有する鋼に、さらに、重量%で、Ca:0.
001〜0.05%、REM:0.001〜0.1%を
1種または2種含み、加熱温度が1000〜1150
℃、1000℃以下の圧下率が30〜70%で、圧延仕
上温度が750〜900℃で、熱間圧延後室温まで冷却
した後、700℃〜1000℃で焼戻しまたは焼きなま
し熱処理することを特徴とする0℃でのシャルピー吸収
エネルギー≧100J、引張強さ≧370MPa の高強度
高靭性制振合金の製造方法にある。
同一組成を有する鋼に、さらに、重量%で、Ca:0.
001〜0.05%、REM:0.001〜0.1%を
1種または2種含み、加熱温度が1000〜1150
℃、1000℃以下の圧下率が30〜70%で、圧延仕
上温度が750〜900℃で、熱間圧延後室温まで冷却
した後、700℃〜1000℃で焼戻しまたは焼きなま
し熱処理することを特徴とする0℃でのシャルピー吸収
エネルギー≧100J、引張強さ≧370MPa の高強度
高靭性制振合金の製造方法にある。
【0014】(7)重量%で、C :0.02%以下、
Si:0.5〜3%、Mn:0.2%以下、P :0.
010%以下、S :0.005%以下、Cr:1〜5
%、Al:0.005〜5%、N :0.006%以下
を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼を、
加熱温度が1000〜1150℃、1000℃以下の圧
下率が30〜70%で、圧延仕上温度がAr1 −20℃
〜Ar1 +50℃で、熱間圧延後室温まで冷却した後、
700℃〜1000℃で焼戻しまたは焼きなまし熱処理
することを特徴とする0℃でのシャルピー吸収エネルギ
ー≧80J、引張強さ≧370MPa の高強度高靭性制振
合金の製造方法。
Si:0.5〜3%、Mn:0.2%以下、P :0.
010%以下、S :0.005%以下、Cr:1〜5
%、Al:0.005〜5%、N :0.006%以下
を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼を、
加熱温度が1000〜1150℃、1000℃以下の圧
下率が30〜70%で、圧延仕上温度がAr1 −20℃
〜Ar1 +50℃で、熱間圧延後室温まで冷却した後、
700℃〜1000℃で焼戻しまたは焼きなまし熱処理
することを特徴とする0℃でのシャルピー吸収エネルギ
ー≧80J、引張強さ≧370MPa の高強度高靭性制振
合金の製造方法。
【0015】(8)(7)記載の合金と同一組成を有す
る鋼に、さらに、重量%で、Cu:0.05〜2.5
%、Ni:0.05〜2.5%、Mo:0.05〜4.
5%、Nb:0.005〜0.2%、V :0.005
〜0.2%、Ti:0.005〜0.1%、B :0.
0003〜0.005%を1種または2種以上含み、加
熱温度が1000〜1150℃、1000℃以下の圧下
率が30〜70%で、圧延仕上温度がAr1 −20℃〜
Ar1 +50℃で、熱間圧延後室温まで冷却した後、7
00℃〜1000℃で焼戻しまたは焼きなまし熱処理す
ることを特徴とする0℃でのシャルピー吸収エネルギー
≧80J、引張強さ≧400MPa の高強度高靭性制振合
金の製造方法。
る鋼に、さらに、重量%で、Cu:0.05〜2.5
%、Ni:0.05〜2.5%、Mo:0.05〜4.
5%、Nb:0.005〜0.2%、V :0.005
〜0.2%、Ti:0.005〜0.1%、B :0.
0003〜0.005%を1種または2種以上含み、加
熱温度が1000〜1150℃、1000℃以下の圧下
率が30〜70%で、圧延仕上温度がAr1 −20℃〜
Ar1 +50℃で、熱間圧延後室温まで冷却した後、7
00℃〜1000℃で焼戻しまたは焼きなまし熱処理す
ることを特徴とする0℃でのシャルピー吸収エネルギー
≧80J、引張強さ≧400MPa の高強度高靭性制振合
金の製造方法。
【0016】(9)(7)または(8)記載の合金と同
一組成を有する鋼に、さらに、重量%で、Ca:0.0
01〜0.05%、REM:0.001〜0.1%を1
種または2種含み、加熱温度が1000〜1150℃、
1000℃以下の圧下率が30〜70%で、圧延仕上温
度がAr1 −20℃〜Ar1 +50℃で、熱間圧延後室
温まで冷却した後、700℃〜1000℃で焼戻しまた
は焼きなまし熱処理することを特徴とする0℃でのシャ
ルピー吸収エネルギー≧100J、引張強さ≧370MP
a の高強度高靭性制振合金の製造方法。
一組成を有する鋼に、さらに、重量%で、Ca:0.0
01〜0.05%、REM:0.001〜0.1%を1
種または2種含み、加熱温度が1000〜1150℃、
1000℃以下の圧下率が30〜70%で、圧延仕上温
度がAr1 −20℃〜Ar1 +50℃で、熱間圧延後室
温まで冷却した後、700℃〜1000℃で焼戻しまた
は焼きなまし熱処理することを特徴とする0℃でのシャ
ルピー吸収エネルギー≧100J、引張強さ≧370MP
a の高強度高靭性制振合金の製造方法。
【0017】
【作用】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、強磁
性型の鉄系フェライト合金に、耐食性向上に不可欠で、
かつ、フェライトフォーマーであり固溶体強化に有効な
Crを適切な範囲で添加し、さらに、強度上昇に不可欠
な固溶体強化元素のMnとフェライトフォーマーであり
かつ固溶体強化に有効なSi、Alを同時添加すること
により、優れた制振性に加えて強度と靭性を一度に有す
る合金を得ることに成功した。
性型の鉄系フェライト合金に、耐食性向上に不可欠で、
かつ、フェライトフォーマーであり固溶体強化に有効な
Crを適切な範囲で添加し、さらに、強度上昇に不可欠
な固溶体強化元素のMnとフェライトフォーマーであり
かつ固溶体強化に有効なSi、Alを同時添加すること
により、優れた制振性に加えて強度と靭性を一度に有す
る合金を得ることに成功した。
【0018】本発明は、振動による交番応力作用下での
磁壁移動の非可逆運動によるヒステリシスに起因した高
い制振特性を得るために適度のフェライトフォーマーを
有するフェライト相を基本とし、フェライトフォーマー
及び固溶体強化元素であり耐食性に有効なCr、フェラ
イトフォーマー及び固溶体強化元素であるSiとAl、
大幅な強度上昇をもたらす固溶体強化元素であるMnの
添加によって、制振性と強度を同時に満足させる。
磁壁移動の非可逆運動によるヒステリシスに起因した高
い制振特性を得るために適度のフェライトフォーマーを
有するフェライト相を基本とし、フェライトフォーマー
及び固溶体強化元素であり耐食性に有効なCr、フェラ
イトフォーマー及び固溶体強化元素であるSiとAl、
大幅な強度上昇をもたらす固溶体強化元素であるMnの
添加によって、制振性と強度を同時に満足させる。
【0019】本発明合金は、マトリックスの磁性向上と
強度向上のためフェライトフォーマーを添加するが、過
剰の添加は介在物や析出物の生成を招き、磁壁移動を防
げ、制振性を大きく損なうため上限がある。
強度向上のためフェライトフォーマーを添加するが、過
剰の添加は介在物や析出物の生成を招き、磁壁移動を防
げ、制振性を大きく損なうため上限がある。
【0020】さらに、発明者らは細粒でも制振性向上が
図れる方法を見出した。従来は結晶粒界が磁壁移動を阻
害するため、もっぱらそ粗粒化することで制振性を向上
させていたが、粗粒では靭性が低下する。ここで、粗粒
化による制振性向上の方法に替わる方法として、(20
0)回折強度を高くすることで、大幅に制振性が向上す
ることを知見した。(200)回折強度を高くすること
で、鋼板表面に平行な方向の<110>方位が強化され
る。つまり、磁化容易方向が鋼板表面に平行な方向に強
化される。磁化容易方向を強化することで制振性が向上
することは新たな知見である。種々の検討の結果、(2
00)回折強度比を2.5以上にすることで制振性が向
上することを見出した。また、(200)回折強度比が
15以上になると逆に制振性が低下するため、この値を
上限とする。ここで、(200)回折強度比は、X線で
の板厚方向の(200)回折強度を測定し、ランダムサ
ンプル材の(200)回折強度に対する比を求めた。
図れる方法を見出した。従来は結晶粒界が磁壁移動を阻
害するため、もっぱらそ粗粒化することで制振性を向上
させていたが、粗粒では靭性が低下する。ここで、粗粒
化による制振性向上の方法に替わる方法として、(20
0)回折強度を高くすることで、大幅に制振性が向上す
ることを知見した。(200)回折強度を高くすること
で、鋼板表面に平行な方向の<110>方位が強化され
る。つまり、磁化容易方向が鋼板表面に平行な方向に強
化される。磁化容易方向を強化することで制振性が向上
することは新たな知見である。種々の検討の結果、(2
00)回折強度比を2.5以上にすることで制振性が向
上することを見出した。また、(200)回折強度比が
15以上になると逆に制振性が低下するため、この値を
上限とする。ここで、(200)回折強度比は、X線で
の板厚方向の(200)回折強度を測定し、ランダムサ
ンプル材の(200)回折強度に対する比を求めた。
【0021】この(200)回折強度比を高くするため
には、低温圧延を行うことが必要で、検討の結果、10
00℃以下の圧下率を30%以上にすることで達成でき
る。さらに、制振性向上のため詳細に検討した結果、圧
延仕上温度をAr1 −20℃〜Ar1 +50℃にするこ
とで(200)回折強度比がさらに向上し、制振特性が
一層向上することを見い出した。
には、低温圧延を行うことが必要で、検討の結果、10
00℃以下の圧下率を30%以上にすることで達成でき
る。さらに、制振性向上のため詳細に検討した結果、圧
延仕上温度をAr1 −20℃〜Ar1 +50℃にするこ
とで(200)回折強度比がさらに向上し、制振特性が
一層向上することを見い出した。
【0022】熱間圧延後、圧延によって鋼板中に導入さ
れた歪みを減少するために、焼戻し、または、焼きなま
し熱処理が必要であるが、集合組織は高温で熱処理する
と弱くなるため、上限温度は1000℃である。
れた歪みを減少するために、焼戻し、または、焼きなま
し熱処理が必要であるが、集合組織は高温で熱処理する
と弱くなるため、上限温度は1000℃である。
【0023】次に、本発明の限定理由を説明する。Cは
固溶状態でも炭化物として析出しても磁壁移動の障害と
して作用して制振性を低下させるため低いほど好まし
く、上限を0.02%とする。
固溶状態でも炭化物として析出しても磁壁移動の障害と
して作用して制振性を低下させるため低いほど好まし
く、上限を0.02%とする。
【0024】Siは脱酸材として重要である以外に、重
要なフェライトフォーマー且つ固溶体強化元素であるた
め制振性及び強度確保上不可欠であり、0.5%以上の
添加が必要である。一方、3%を超えて添加するとSi
O2 などの介在物の生成をまねき、破壊の発生点として
作用するため靭性を著しく低下させる。従ってSiの添
加範囲は0.5〜3%とする。
要なフェライトフォーマー且つ固溶体強化元素であるた
め制振性及び強度確保上不可欠であり、0.5%以上の
添加が必要である。一方、3%を超えて添加するとSi
O2 などの介在物の生成をまねき、破壊の発生点として
作用するため靭性を著しく低下させる。従ってSiの添
加範囲は0.5〜3%とする。
【0025】Mnは固溶体強化元素であり、制振性及び
靭性向上に効果がなく、添加することでコストアップと
なるため、0.2%以下に限定する。
靭性向上に効果がなく、添加することでコストアップと
なるため、0.2%以下に限定する。
【0026】P、Sは鋼中において非金属介在物を形成
し、かつ、偏析することにより磁壁の移動を妨げる害を
及ぼし制振性を低下させるので少ないほどよい。このた
め、Pは0.010%以下、Sは0.005%以下とす
る。
し、かつ、偏析することにより磁壁の移動を妨げる害を
及ぼし制振性を低下させるので少ないほどよい。このた
め、Pは0.010%以下、Sは0.005%以下とす
る。
【0027】Crは重要な元素である。Crは重要なフ
ェライトフォーマーであり、制振性向上及び強化元素と
して不可欠である。そのため最低1%必要であるが、5
%を超えるとCr2 Nなどの析出物が生じ、破壊の発生
点として作用するため靭性を著しく低下させる。従って
Cr量は1〜5%とする。
ェライトフォーマーであり、制振性向上及び強化元素と
して不可欠である。そのため最低1%必要であるが、5
%を超えるとCr2 Nなどの析出物が生じ、破壊の発生
点として作用するため靭性を著しく低下させる。従って
Cr量は1〜5%とする。
【0028】AlはSiやMnと同様に脱酸材として重
要であるほか、制振性と強度を向上させる重要な元素で
ある。最低0.005%を確保する必要があるが、過剰
添加によりAl2 O3 などの介在物のほか、Nと化合し
てAlNなどの析出物を生成し、著しい靭性の低下をま
ねくため上限を5%に制限する。さらに、制振性向上の
観点からは望ましくは0.2〜0.4%である。
要であるほか、制振性と強度を向上させる重要な元素で
ある。最低0.005%を確保する必要があるが、過剰
添加によりAl2 O3 などの介在物のほか、Nと化合し
てAlNなどの析出物を生成し、著しい靭性の低下をま
ねくため上限を5%に制限する。さらに、制振性向上の
観点からは望ましくは0.2〜0.4%である。
【0029】Nは固溶状態でも窒化物として析出しても
磁壁移動の障害として作用して制振性を低下させるため
低いほど好ましく、上限を0.006%とする。
磁壁移動の障害として作用して制振性を低下させるため
低いほど好ましく、上限を0.006%とする。
【0030】さらに、必要に応じて添加されるCu、N
i、Mo、Nb、V、Ti、Bは強度上昇に有効な元素
であり、その効果が不足しない範囲として前記の量を下
限とし、また制振性及び靭性が劣化しない範囲として、
前記の量を上限とした。
i、Mo、Nb、V、Ti、Bは強度上昇に有効な元素
であり、その効果が不足しない範囲として前記の量を下
限とし、また制振性及び靭性が劣化しない範囲として、
前記の量を上限とした。
【0031】さらに、必要に応じて添加されるCa、R
EMは靭性向上に有効な元素であり、その効果が不足し
ない範囲として前記の量を下限とし、また靭性がむしろ
低下し制振性が劣化しない範囲として、前記の量を上限
とした。
EMは靭性向上に有効な元素であり、その効果が不足し
ない範囲として前記の量を下限とし、また靭性がむしろ
低下し制振性が劣化しない範囲として、前記の量を上限
とした。
【0032】製造条件については、加熱温度は加熱オー
ステナイト粒を微細にし、(200)回折強度比を高く
するため、1150℃以下とし、さらに、加熱時の鋼板
内温度偏差をなくすため、1000℃以上とする。
ステナイト粒を微細にし、(200)回折強度比を高く
するため、1150℃以下とし、さらに、加熱時の鋼板
内温度偏差をなくすため、1000℃以上とする。
【0033】圧延条件に関しては、(200)回折強度
比を高くするため1000℃以下で30%以上の圧延が
必要であるが、圧下率が70%を超えると、結晶粒が細
粒になりすぎ制振性が低下する。
比を高くするため1000℃以下で30%以上の圧延が
必要であるが、圧下率が70%を超えると、結晶粒が細
粒になりすぎ制振性が低下する。
【0034】圧延仕上温度は1000℃以下で30%以
上の圧延を行うため、900℃以下となるが、750℃
未満ではフェライト域圧延となり靭性が低下するため、
下限は750℃とする。さらに、圧延仕上温度をAr1
−20℃〜Ar1 +50℃にすることで、(200)回
折強度比がさらに向上し制振特性が一層向上する。熱間
圧延後室温まで冷却した後、圧延によって鋼板中に導入
された歪を減少するために、焼戻し、または、焼きなま
し熱処理が必要であり、700℃以上の熱処理を行なう
が、集合組織は高温で熱処理すると弱くなるため、上限
温度は1000℃とする。
上の圧延を行うため、900℃以下となるが、750℃
未満ではフェライト域圧延となり靭性が低下するため、
下限は750℃とする。さらに、圧延仕上温度をAr1
−20℃〜Ar1 +50℃にすることで、(200)回
折強度比がさらに向上し制振特性が一層向上する。熱間
圧延後室温まで冷却した後、圧延によって鋼板中に導入
された歪を減少するために、焼戻し、または、焼きなま
し熱処理が必要であり、700℃以上の熱処理を行なう
が、集合組織は高温で熱処理すると弱くなるため、上限
温度は1000℃とする。
【0035】
【実施例】まず表1に示す成分範囲の供試合金を作製
し、これより元厚×40mm幅×200mm長さの板状試験
片を加工し、機械インピーダンス法による制振性測定を
行なった。
し、これより元厚×40mm幅×200mm長さの板状試験
片を加工し、機械インピーダンス法による制振性測定を
行なった。
【0036】表1に示す合金のうち鋼A〜Eは本発明の
成分範囲の合金であり、鋼F〜Nは本発明の成分範囲外
の合金である。これらの鋼について、表2に示す製造条
件で製造したものの各種特性を合わせて表に示す。な
お、各鋼板は熱間圧延後室温まで冷却した後熱処理し
た。例1〜5は本発明例であり、例6〜19は比較例で
ある。例1、2、6〜12は板厚25mm、例3は板厚
1.5mm、例4、5は板厚80mm、例13〜19は板厚
50mmである。
成分範囲の合金であり、鋼F〜Nは本発明の成分範囲外
の合金である。これらの鋼について、表2に示す製造条
件で製造したものの各種特性を合わせて表に示す。な
お、各鋼板は熱間圧延後室温まで冷却した後熱処理し
た。例1〜5は本発明例であり、例6〜19は比較例で
ある。例1、2、6〜12は板厚25mm、例3は板厚
1.5mm、例4、5は板厚80mm、例13〜19は板厚
50mmである。
【0037】例1の本発明例は(200)回折強度比が
2.5以上で、良好な制振性能(η≧0.04)、高強
度(≧370MPa )、高靭性(≧80J)を有するが例
2、3は、強度上昇に有効な選択元素を含有するため、
さらに高強度(≧400MPa)で、かつ、例2はAlが
さらに望ましい範囲にあるため制振性能がさらに高い。
例4、5は靭性上昇に有効な選択元素を含有するため、
さらに高靭性(≧100J)である。比較例6はCが高
く、制振性能が低い。例7はSiが低く、制振性能、強
度が低い。例8はSiが高く、靭性が低い。例9はPが
高く、例10はSが高く、制振性能が低い。例11はC
rが低く、制振性能が低い。例12はCrが高く、靭性
が低い。例13はAlが高く、靭性が低い。例14はN
が高く、制振性能が低い。例15は加熱温度が高く、例
16は1000℃以下の圧下率が低く、(200)回折
強度比が低く、制振性能が低い。例17は圧延仕上温度
が低く、靭性が低い。例18は熱処理温度が低く、制振
性能が低い。例19は熱処理温度が高く、(200)回
折強度比が低く、制振性能が低い。
2.5以上で、良好な制振性能(η≧0.04)、高強
度(≧370MPa )、高靭性(≧80J)を有するが例
2、3は、強度上昇に有効な選択元素を含有するため、
さらに高強度(≧400MPa)で、かつ、例2はAlが
さらに望ましい範囲にあるため制振性能がさらに高い。
例4、5は靭性上昇に有効な選択元素を含有するため、
さらに高靭性(≧100J)である。比較例6はCが高
く、制振性能が低い。例7はSiが低く、制振性能、強
度が低い。例8はSiが高く、靭性が低い。例9はPが
高く、例10はSが高く、制振性能が低い。例11はC
rが低く、制振性能が低い。例12はCrが高く、靭性
が低い。例13はAlが高く、靭性が低い。例14はN
が高く、制振性能が低い。例15は加熱温度が高く、例
16は1000℃以下の圧下率が低く、(200)回折
強度比が低く、制振性能が低い。例17は圧延仕上温度
が低く、靭性が低い。例18は熱処理温度が低く、制振
性能が低い。例19は熱処理温度が高く、(200)回
折強度比が低く、制振性能が低い。
【0038】次に、表3に示す本発明の成分範囲の合金
の鋼P、Q、Rについて表4に示す製造条件で製造した
ものの各種特性を合わせて示す。例1、2、3は本発明
例であり、例4〜7は比較例である。板厚は全て25mm
である。鋼P、Q、RのAr1 はそれぞれ775℃、7
80℃、840℃である。
の鋼P、Q、Rについて表4に示す製造条件で製造した
ものの各種特性を合わせて示す。例1、2、3は本発明
例であり、例4〜7は比較例である。板厚は全て25mm
である。鋼P、Q、RのAr1 はそれぞれ775℃、7
80℃、840℃である。
【0039】例1、2、3の本発明例は圧延仕上温度が
Ar1 +50℃〜Ar1 −20℃で、(200)回折強
度比が4以上で、さらに良好な制振性能(η≧0.0
5)、高強度(≧370MPa )、高靭性(≧80J)を
有する。比較例4、6は圧延仕上温度がAr1 +50℃
を超え、比較例5、7は圧延仕上温度がAr1 −20℃
未満で、(200)回折強度比が低く、制振性能が低
い。
Ar1 +50℃〜Ar1 −20℃で、(200)回折強
度比が4以上で、さらに良好な制振性能(η≧0.0
5)、高強度(≧370MPa )、高靭性(≧80J)を
有する。比較例4、6は圧延仕上温度がAr1 +50℃
を超え、比較例5、7は圧延仕上温度がAr1 −20℃
未満で、(200)回折強度比が低く、制振性能が低
い。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【発明の効果】本発明により、強度、靭性、制振性能、
が同時に要求される船舶、橋梁、産業機械、建設用構造
材料の供給が可能となり、工業界に与える効果は極めて
大きい。
が同時に要求される船舶、橋梁、産業機械、建設用構造
材料の供給が可能となり、工業界に与える効果は極めて
大きい。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年6月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】さらに、発明者らは細粒でも制振性向上が
図れる方法を見出した。従来は結晶粒界が磁壁移動を阻
害するため、もっぱらそ粗粒化することで制振性を向上
させていたが、粗粒では靭性が低下する。ここで、粗粒
化による制振性向上の方法に替わる方法として、(20
0)回折強度を高くすることで、大幅に制振性が向上す
ることを知見した。(200)回折強度を高くすること
で、鋼板表面に平行な方向の<100>方位が強化され
る。つまり、磁化容易方向が鋼板表面に平行な方向に強
化される。磁化容易方向を強化することで制振性が向上
することは新たな知見である。種々の検討の結果、(2
00)回折強度比を2.5以上にすることで制振性が向
上することを見出した。また、(200)回折強度比が
15以上になると逆に制振性が低下するため、この値を
上限とする。ここで、(200)回折強度比は、X線で
の板厚方向の(200)回折強度を測定し、ランダムサ
ンプル材の(200)回折強度に対する比を求めた。
図れる方法を見出した。従来は結晶粒界が磁壁移動を阻
害するため、もっぱらそ粗粒化することで制振性を向上
させていたが、粗粒では靭性が低下する。ここで、粗粒
化による制振性向上の方法に替わる方法として、(20
0)回折強度を高くすることで、大幅に制振性が向上す
ることを知見した。(200)回折強度を高くすること
で、鋼板表面に平行な方向の<100>方位が強化され
る。つまり、磁化容易方向が鋼板表面に平行な方向に強
化される。磁化容易方向を強化することで制振性が向上
することは新たな知見である。種々の検討の結果、(2
00)回折強度比を2.5以上にすることで制振性が向
上することを見出した。また、(200)回折強度比が
15以上になると逆に制振性が低下するため、この値を
上限とする。ここで、(200)回折強度比は、X線で
の板厚方向の(200)回折強度を測定し、ランダムサ
ンプル材の(200)回折強度に対する比を求めた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F16F 15/02 8917−3J F16F 15/02 Q
Claims (9)
- 【請求項1】 重量%で、 C :0.02%以下、 Si:0.5〜3%、 Mn:0.2%以下、 P :0.010%以下、 S :0.005%以下、 Cr:1〜5%、 Al:0.005〜5%、 N :0.006%以下 を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、(2
00)回折強度比が2.5〜15.0であることを特徴
とする0℃でのシャルピー吸収エネルギー≧80J、引
張強さ≧370MPa の高強度高靭性制振合金。 - 【請求項2】 請求項1記載の合金と同一組成を有する
鋼に、さらに、重量%で、 Cu:0.05〜2.5%、 Ni:0.05〜2.5%、 Mo:0.05〜4.5%、 Nb:0.005〜0.2%、 V :0.005〜0.2%、 Ti:0.005〜0.1%、 B :0.0003〜0.005% を1種または2種以上含み、(200)回折強度比が
2.5〜15.0であることを特徴とする0℃でのシャ
ルピー吸収エネルギー≧80J、引張強さ≧400MPa
の高強度高靭性制振合金。 - 【請求項3】 請求項1または2記載の合金と同一組成
を有する鋼に、さらに、重量%で、 Ca:0.001〜0.05%、 REM:0.001〜0.1% を1種または2種含み、(200)回折強度比が2.5
〜15.0であることを特徴とする0℃でのシャルピー
吸収エネルギー≧100J、引張強さ≧370MPa の高
強度高靭性制振合金。 - 【請求項4】 重量%で、 C :0.02%以下、 Si:0.5〜3%、 Mn:0.2%以下、 P :0.010%以下、 S :0.005%以下、 Cr:1〜5%、 Al:0.005〜5%、 N :0.006%以下 を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼を、
加熱温度が1000〜1150℃、1000℃以下の圧
下率が30〜70%で、圧延仕上温度が750〜900
℃で、熱間圧延後室温まで冷却した後、700℃〜10
00℃で焼戻しまたは焼きなまし熱処理することを特徴
とする0℃でのシャルピー吸収エネルギー≧80J、引
張強さ≧370MPa の高強度高靭性制振合金の製造方
法。 - 【請求項5】 請求項4記載の合金と同一組成を有する
鋼に、さらに、重量%で、 Cu:0.05〜2.5%、 Ni:0.05〜2.5%、 Mo:0.05〜4.5%、 Nb:0.005〜0.2%、 V :0.005〜0.2%、 Ti:0.005〜0.1%、 B :0.0003〜0.005% を1種または2種以上含み、加熱温度が1000〜11
50℃、1000℃以下の圧下率が30〜70%で、圧
延仕上温度が750〜900℃で、熱間圧延後室温まで
冷却した後、700℃〜1000℃で焼戻しまたは焼き
なまし熱処理することを特徴とする0℃でのシャルピー
吸収エネルギー≧80J、引張強さ≧400MPa の高強
度高靭性制振合金の製造方法。 - 【請求項6】 請求項4または5記載の合金と同一組成
を有する鋼に、さらに、重量%で、 Ca:0.001〜0.05%、 REM:0.001〜0.1% を1種または2種含み、加熱温度が1000〜1150
℃、1000℃以下の圧下率が30〜70%で、圧延仕
上温度が750〜900℃で、熱間圧延後室温まで冷却
した後、700℃〜1000℃で焼戻しまたは焼きなま
し熱処理することを特徴とする0℃でのシャルピー吸収
エネルギー≧100J、引張強さ≧370MPa の高強度
高靭性制振合金の製造方法。 - 【請求項7】 重量%で、 C :0.02%以下、 Si:0.5〜3%、 Mn:0.2%以下、 P :0.010%以下、 S :0.005%以下、 Cr:1〜5%、 Al:0.005〜5%、 N :0.006%以下 を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼を、
加熱温度が1000〜1150℃、1000℃以下の圧
下率が30〜70%で、圧延仕上温度がAr1 −20℃
〜Ar1 +50℃で、熱間圧延後室温まで冷却した後、
700℃〜1000℃で焼戻しまたは焼きなまし熱処理
することを特徴とする0℃でのシャルピー吸収エネルギ
ー≧80J、引張強さ≧370MPa の高強度高靭性制振
合金の製造方法。 - 【請求項8】 請求項7記載の合金と同一組成を有する
鋼に、さらに、重量%で、 Cu:0.05〜2.5%、 Ni:0.05〜2.5%、 Mo:0.05〜4.5%、 Nb:0.005〜0.2%、 V :0.005〜0.2%、 Ti:0.005〜0.1%、 B :0.0003〜0.005% を1種または2種以上含み、加熱温度が1000〜11
50℃、1000℃以下の圧下率が30〜70%で、圧
延仕上温度がAr1 −20℃〜Ar1 +50℃で、熱間
圧延後室温まで冷却した後、700℃〜1000℃で焼
戻しまたは焼きなまし熱処理することを特徴とする0℃
でのシャルピー吸収エネルギー≧80J、引張強さ≧4
00MPa の高強度高靭性制振合金の製造方法。 - 【請求項9】 請求項7または8記載の合金と同一組成
を有する鋼に、さらに、重量%で、 Ca:0.001〜0.05%、 REM:0.001〜0.1% を1種または2種含み、加熱温度が1000〜1150
℃、1000℃以下の圧下率が30〜70%で、圧延仕
上温度がAr1 −20℃〜Ar1 +50℃で、熱間圧延
後室温まで冷却した後、700℃〜1000℃で焼戻し
または焼きなまし熱処理することを特徴とする0℃での
シャルピー吸収エネルギー≧100J、引張強さ≧37
0MPa の高強度高靭性制振合金の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13156195A JPH08319539A (ja) | 1995-03-22 | 1995-05-30 | 高強度高靭性制振合金及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6240295 | 1995-03-22 | ||
JP7-62402 | 1995-03-22 | ||
JP13156195A JPH08319539A (ja) | 1995-03-22 | 1995-05-30 | 高強度高靭性制振合金及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08319539A true JPH08319539A (ja) | 1996-12-03 |
Family
ID=26403457
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13156195A Withdrawn JPH08319539A (ja) | 1995-03-22 | 1995-05-30 | 高強度高靭性制振合金及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08319539A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013117184A1 (de) * | 2012-02-08 | 2013-08-15 | Salzgitter Flachstahl Gmbh | Warmband zur herstellung eines elektroblechs und verfahren hierzu |
-
1995
- 1995-05-30 JP JP13156195A patent/JPH08319539A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013117184A1 (de) * | 2012-02-08 | 2013-08-15 | Salzgitter Flachstahl Gmbh | Warmband zur herstellung eines elektroblechs und verfahren hierzu |
CN104204237A (zh) * | 2012-02-08 | 2014-12-10 | 萨尔茨吉特法特尔有限公司 | 用于制造电工钢片的热轧带材及其制造方法 |
RU2615423C2 (ru) * | 2012-02-08 | 2017-04-04 | Зальцгиттер Флахшталь Гмбх | Горячекатаная полоса для изготовления электротехнической листовой стали и способ изготовления горячекатаной полосы |
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