JPH08318377A - 抵抗スポット溶接方法 - Google Patents

抵抗スポット溶接方法

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JPH08318377A
JPH08318377A JP7151087A JP15108795A JPH08318377A JP H08318377 A JPH08318377 A JP H08318377A JP 7151087 A JP7151087 A JP 7151087A JP 15108795 A JP15108795 A JP 15108795A JP H08318377 A JPH08318377 A JP H08318377A
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welding
resistance
value
electrode
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Tsuguhiko Sato
佐藤次彦
Hiroshi Abe
阿部博司
Keiji Suzuyama
鈴山恵史
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 散りの発生を予防しながら所定のナゲット径
を確保し,すなわちスポット溶接の品質を保証するとと
もに電極磨耗を最小限に抑えることが可能となるスポッ
ト溶接方法を提供する。 【構成】 あらかじめ溶接実験により所定のパラメータ
を検出しながら各種溶接条件における散りの有無,電極
先端径,ナゲット径を観察して,その結果をニューラル
ネットワークに学習させて入出力パターンの相関式を求
め,以後実際の溶接作業において実験と同様の検出項目
を検出して,それらの検出値を前記相関式を用いて演算
し,散りの有無,電極先端径,ナゲット径を判定する抵
抗スポット溶接方法,および前記相関式によって求めら
れた各種溶接条件下での散り発生サイクル数,電極先端
径,予測ナゲット径を入力とし,溶接電流値の操作量を
出力としてパラメータの自動チューニングを行う学習型
のファジイ推論モデルにより最適溶接電流操作量を求
め,以後実際の溶接作業においてその溶接電流値をもっ
て溶接を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,あらかじめ溶接実験に
より所定のパラメータを検出しながら各種溶接条件にお
ける散りの有無,電極先端径,ナゲット径を観察して,
その結果をニューラルネットワークに学習させて入出力
パターンの相関式を求め,以後実際の溶接作業において
実験と同様の検出項目を検出して,それらの検出値を前
記相関式を用いて演算し,散りの有無,電極先端径,ナ
ゲット径を判定する抵抗スポット溶接方法,および前記
相関式によって求められた各種溶接条件下での散り発生
サイクル数,電極先端径,予測ナゲット径を入力とし,
溶接電流値の操作量を出力としてパラメータの自動チュ
ーニングを行う学習型のファジイ推論モデルにより最適
溶接電流操作量を求め,以後実際の溶接作業においてそ
の溶接電流値をもって溶接を行う抵抗スポット溶接方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】抵抗スポット溶接における電極先端部
は,自動車業界で行われるような高速打点の状況下で
は,その変形が累積して急激に先端径が拡大する。その
状態で同一溶接電流値をもって溶接を行うと溶接部の電
流密度が低下し,所定の最低許容限度のナゲット径ある
いは溶接部強度が得られなくなる。すなわちスポット溶
接部の品質を保証するためには消耗した電極の交換もし
くはドレッシングを行う必要があるが,通常それらは余
裕をみて電極磨耗が限界に達するより早期に行われるた
め無駄があり,かつまた生産ラインの一時停止を伴うた
めに生産性を阻害する要因となっていた。
【0003】従来,電極の交換もしくはドレッシング期
間の延長方法の一つとしてステップアップ電流制御方式
があった。この方式では溶接打点数をカウンタなどで計
数し,その打点数に関連させて溶接電流値をあらかじめ
設定した比率でステップアップさせることにより溶接部
の電流密度の低下を補償する。しかしステップアップ電
流値の設定は作業者の経験的な知識,すなわち連続打点
での電極先端径拡大の予測によって決定されており,必
ずしも常に実際の電極先端径拡大に適切に対応している
とは言い難い。またその設定値はスポット溶接部のナゲ
ット径を十分保証するために余裕をみて,散り限界電流
値より大きめの電流値,すなわち過大溶接条件ぎみに設
定されることが多く,これは散りの発生を増加させると
ともに電極磨耗の度合いを加速させていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記のような観点から
電極寿命の予測や長寿命化が可能となれば,生産性の向
上やコスト削減に効果的なばかりでなく,スポット溶接
の品質保証に大きく貢献できる。そのためには溶接性に
関連する情報を取得することが必要である。たとえば,
連続打点中に電極先端径の判定ができれば,適切な時期
に無駄なく電極の交換,またはドレッシングを行える。
また実際の電極先端径にしたがってステップアップ電流
値を最適に自動設定することができれば,散りの発生を
予防しながら所定のナゲット径を確保し,すなわちスポ
ット溶接の品質を保証するとともに電極磨耗を最小限に
抑えることが可能となる。
【0005】従来,スポット溶接部のナゲット形成や品
質保証に対していろいろなモニタ方式や保証方式が提案
されているが,本発明は新たに電極寿命に関連させてニ
ューラルネットワークやファジイ推論を適用し,スポッ
ト溶接部の品質保証を行なうことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明では電極寿命に伴うスポット溶接部の品質保
証についてニューラルネットワークを適用した品質保証
モデルを作成した。すなわちスポット溶接部の品質に影
響を及ぼすとみられる散り,電極先端径,ナゲット径の
3つについて,散り判定モデル,電極先端径判定モデ
ル,ナゲット径予測モデルの作成を行った。そのために
まず,それぞれの事象に関係するモニタリング・パラメ
ータを選定し,各パラメータ値を検出しながら溶接実験
を行って,溶接品質,すなわち散りの有無,電極先端
径,ナゲット径を観測し,ニューラルネットワークに学
習させる入出力パターンを作成した。これらのパターン
は必ずしも線形的な関係になく,複雑な相関関係を持っ
ている。ニューラルネットワークは定式化の困難な入出
力特性を事例学習させることにより,非線形性を含む予
測や直感の必要な診断などが効果的適用対象とされてい
る。
【0007】
【作 用】上記のようにして作成された入出力パターン
をニューラルネットワークに学習させることで,実際の
溶接時には溶接品質,すなわち散り,電極先端径,ナゲ
ット径を直接観測しないでも,上記パラメータ値の検出
だけで,それらの判定が可能となる。さらに溶接部の品
質改善方法として前記3つのモデルで得られた情報をも
とに最適溶接電流を設定するファジイ推論モデルも採用
したことによって,散りの発生を抑制し,所定のナゲッ
ト径を確保しながら電極摩耗を最小限に抑えることがで
きる。
【0008】
【実施例】一例として,以下に本発明を単相交流溶接機
を用いて軟鋼板の溶接に適用した場合の実施例を示す。
なお,本発明の適用範囲は単相交流ばかりでなく,単相
整流,3相整流,3相低周波,インバータなどの各種溶
接機に適用できるのはもちろん,適用ワークについて
も,各種メッキ鋼板,ステンレス,アルミニウム,およ
び各種合金材の溶接にも同様に適用できることはいうま
でもない。ただし溶接機やワークの材質が異なる場合に
は,検出するパラメータについては各々の状況に適合し
たもの,たとえば通電中の溶接部の熱膨張による電極移
動量,加圧力,アコースティックエミッションなどを検
出して本実施例のパラメータに加える,あるいは置き換
えたりする必要がある。また,操作量についても溶接電
流のほかに加圧力や通電時間等も操作した方がよりよい
結果が得られる場合もある。
【0009】図1はあらかじめ溶接実験を行うための装
置一式で,1はスポット溶接機,2は電極間電圧検出リ
ード線,3は電極間電圧を測定する電圧計,4は溶接電
流を検出するトロイダルコイル,5はトロイダルコイル
の電圧波形を整形する波形復元回路,6は溶接電流計,
7は電極間電圧波形と溶接電流波形を記憶する波形記憶
装置,8はニューラルネットワークおよびファジイ推論
を実行するコンピュータである。
【0010】この波形記憶装置により,図2(a)(b)のよ
うな溶接電流と電極間電圧の波形が得られる。各半サイ
クルごとに,この電流波形を横軸にとり,電圧波形を縦
軸にとった波形を図2(c)にv-i波形として示している。
このv-i波形観察においては,図3のようにそれを横切
る一定電圧のしきい値を設定して,その電圧以上での波
形先端面積Sに注目する。次に電極間電圧を溶接電流で
除することにより各半サイクルにおける電極間抵抗を求
めるが,電極間電圧信号の検出は構造上,その検出リー
ド線が溶接機の二次回路に近接して設置されるため,二
次回路に流れる溶接電流による誘導の影響を受ける。そ
の影響を避けるため,電極間抵抗については,通電各半
サイクル中の電流変化がゼロとなる極大点での溶接電流
と電極間電圧を検出して,その点での瞬時抵抗をその半
サイクルの電極間抵抗Rとして代表させる。図4は通電
中の波形先端面積Sと電極間抵抗Rの推移の一例であ
る。なお,ここでは第1サイクル目の前半の半サイクル
を0番,後半の半サイクルを1番として順次,通電の各
半サイクルに対応した時系列番号(Wt)を与えている。
【0011】まず各モニタリング・パラメータと溶接品
質の関係を調べるために連続打点での溶接性実験,ない
しシミュレーションを行う。すなわち,各種溶接条件に
おいて,それぞれの打点における溶接電流値および通電
中の各パラメータを検出しながら,散りの有無,電極先
端径の拡大,ナゲット径を観測して,ニューラルネット
ワークに学習させる入出力パターンを作成した。
【0012】次に上記のようにして作成された入出力パ
ターンをニューラルネットワークに学習させる。本実施
例において用いられたニューラルネットワークは3層の
階層型ニューラルネットワークで,学習方法はバックプ
ロパゲーション学習法とした。
【0013】図5に散り判定に用いたパラメータを示
す。散り判定においては,通電時間中の電極間抵抗の最
高値MaxRと通電終了時の電極間抵抗値Reとの差分ΔR
ueを,通電時間前半中の電極間抵抗の最低値MinRで除
した値ΔRue/MinRと,通電の隣接各半サイクルごと
の,抵抗値変化量の最大値MaxΔRをMinRで除した値Ma
xΔR/MinRと,通電の隣接各半サイクルごとの溶接電
流値変化量の最大値MaxΔIとをパラメータとして使用
する。これらは散りが発生した場合にその影響を示す値
である。この他に図6のような,通電開始後の第2サイ
クル前半の溶接電流波形と電極間電圧波形をそれぞれ横
軸と縦軸にとった2次元のグラフv-i波形の電極間電圧
が0.8V以上の部分の波形先端面積S2に注目する。図6
に示すように溶接電流値が大きくなるほどv-i波形には
ねじれを生ずる。電極先端径によってS2の大きさは異
なり,また散りが発生した場合には若干の影響がある。
【0014】以上からΔRue/MinRと,ΔR/MinR
と,MaxΔIと,S2の4つの値を入力値とし,出力値は
散りの発生があった場合を1,なかった場合を0として
7.0から10.6kAの各種溶接電流値で電極先端径を4.0, 4.
5, 5.0, 5.5, 6.0mmの範囲で変えたときの溶接性実験に
おけるデータからニューラルネットワークに学習させる
入出力パターンを作成した。
【0015】
【表1】散り判定モデルに使用した,ニューラルネット
ワークの構造と学習設定値。
【0016】
【表2】散り判定モデルでの,ニューラルネットワーク
の学習結果。
【0017】表1に散り判定に用いたニューラルネット
ワークの構造と学習設定値を示す。また表2に学習回数
と学習収束値を示す。学習を済ませたニューラルネット
ワークの性能の検証を行うため,ニューラルネットワー
クの出力と実際の散りの有無とを観測しながら,さらに
溶接性実験を行った。図7に示すように,学習を済ませ
たニューラルネットワークは散りの有無を十分正確に判
定していることが分かる。なお,この検証実験におい
て,学習に用いた電流値以外でも十分正確な判定を行な
っていることを確認している。
【0018】図8に電極先端径の判定に用いたパラメー
タの一部を示す。電極先端径の判定においては,その影
響を示す因子が溶接の前半部にあるとみなされるため,
パラメータとしては,通電開始から,通電時間前半中の
電極間抵抗の最低値MinRに至るまでの電極間抵抗波形
の,MinR以上の部分の面積SumR01と,MinRの時点か
ら以降の3半サイクル間の電極間抵抗波形の,MinR以
上の部分の面積SumR14と,通電開始から第2サイクル
前半までの電極間抵抗波形のMinR以上の部分の面積Sum
02と,第2サイクル前半以降の3半サイクル間の電極
間抵抗波形のMinR以上の部分の面積SumR25と,第1サ
イクル前半の電極間抵抗値R0と後半の電極間抵抗値R1
の差分ΔR01をMinRで除した値ΔR01/MinRと,Min
Rの検出時点から3半サイクル後の電極間抵抗値とMin
Rとの差分ΔR14をMinRで除した値ΔR14/MinRと,
0と第2サイクル前半の電極間抵抗値R2の差分ΔR02
をMinRで除した値ΔR02/MinRと,通電開始後の第3
サイクル後半の電極間抵抗値R5とR2との差分ΔR25
MinRで除した値ΔR25/MinRと,通電中の各半サイク
ルの溶接電流波形と電極間電圧波形をそれぞれ横軸と縦
軸にとった2次元のグラフv-i波形の,電極間電圧が0.8
V以上の部分の波形先端面積の最小値MinSとの計10個
の,それぞれ連続した3打点の溶接で得られた値の平均
値を入力パラメータ値とし,出力値は電極先端径とす
る。図9に示されるように,このMinSは同一溶接電流
において電極先端径が大きくなるほど大きくなってお
り,これはすなわちMinSが電極先端径と所定の相関を
持っていることを表している。なお,電極先端径の観測
については別途その信頼性を確認した電極寿命シミュレ
ーション実験の結果を実際の計測に代用させ,以上のデ
ータにより入出力パターンを作成した。このパターンは
各種溶接電流,すなわち7.4,7.8,8.2kAと,各種電極
先端径,すなわち4.0,4.5,5.0,5.5,6.0mmの組み合
わせごとに作成し,ニューラルネットワークに学習させ
た。
【0019】
【表3】電極先端径判定モデルに使用した,ニューラル
ネットワークの構造と学習設定値。
【0020】
【表4】電極先端径判定モデルでの,ニューラルネット
ワークの学習結果。
【0021】表3に電極先端径の判定に用いたニューラ
ルネットワークの構造と学習設定値を示す。また表4に
学習回数と学習収束値を示す。さらに図10に学習データ
におけるニューラルネットワークの判定値と電極先端径
との比較を示す。この結果から学習を済ませたニューラ
ルネットワークが電極先端径を十分正確に判定している
ことが分かる。さらにニューラルネットワークの学習経
験外における性能検証を行うために,学習に用いた電極
先端径の範囲内で学習に用いていない電極先端径,すな
わち4.75,5.75mmの2種類も含めて検証実験を行った。
図11にその検証実験の結果を示す。これにより学習を済
ませたニューラルネットワークは学習経験外の電極先端
径についても十分正確な判定を行っていることが分か
る。
【0022】図12にナゲット径の判定に用いたパラメー
タの一部を示す。ナゲット径の判定においては,通電時
間中の電極間抵抗の最高値MaxRを通電時間中前半の最
低抵抗値MinRで除した値MaxR/MinRと,MaxRとMin
Rとの差分ΔRluをMinRで除した値ΔRlu/MinRと,
MaxRと通電終了時の電極間抵抗との差分ΔRueをMinR
で除した値ΔRue/MinRと,MinRの検出時点からMax
Rの時点までの電極間抵抗波形のMinR以上の部分の面
積SumRluと,MinRの検出時点から通電終了までの電極
間抵抗波形のMinR以上の部分の面積SumRleと,通電の
隣接各半サイクルごとの抵抗値変化量の最大値MaxΔR
をMinRで除した値MaxΔR/MinRと,MaxΔRが検出さ
れた時点の通電開始からの半サイクル時間WtMaxΔ
R と,第2サイクル前半以降の3半サイクル間の電極間
抵抗波形のMinR以上の部分の面積SumR25と,通電中の
各半サイクルの溶接電流波形と電極間電圧波形をそれぞ
れ横軸と縦軸にとった2次元のグラフv-i波形の,電極
間電圧が0.8V以上の部分の波形先端面積の最小値MinS
と,溶接電流値との計10個の,それぞれ連続した3打点
の溶接で得られた値の平均値を入力パラメータ値とし,
出力値は3打点の平均ナゲット径とする。以上のデータ
により入出力パターンを作成した。
【0023】
【表5】
【0024】
【表6】ナゲット径判定モデルでの,ニューラルネット
ワークの学習結果。
【0025】表5にナゲット径の判定に用いたニューラ
ルネットワークの構造と学習設定値を示す。また表6に
学習回数と学習収束値を示す。さらに図13に学習データ
におけるニューラルネットワークの判定値とナゲット径
との比較を示す。この結果から学習を済ませたニューラ
ルネットワークがナゲット径を十分正確に判定している
ことが分かる。さらにニューラルネットワークの学習経
験外における性能検証を行うために,学習に用いた溶接
電流範囲内で学習に用いていない電流値も含ませて検証
実験を行う。図14にその検証実験の結果を示す。これに
より学習を済ませたニューラルネットワークは学習経験
外の溶接電流値でも,また散りが発生した場合において
も十分正確にナゲット径を判定していることが分かる。
【0026】前記のようにして作成された散りの有無,
電極先端径,ナゲット径の判定モデルによりそれぞれの
モニタリング・パラメータから溶接部の情報を取得する
ことができ,その情報をもとにすれば,経験的に最適な
溶接電流値を設定することが可能となる。そこで前記3
つの判定モデルによる情報と,各電極先端径などに対応
した経験的な溶接電流値の操作量を知識データベースと
してファジイ推論モデルを作成する。
【0027】この最適電流値設定モデルに用いられたフ
ァジイ推論はパラメータの自動チューニングを行う学習
型のファジイ推論である。入力値として採用したのは先
の3つのモデルで求められた各々の結果と,散りの発生
時間とみなされるWtMaxΔRの4つである。ただし,Wt
MaxΔRについては,散りの発生がなかった場合には通電
終了の次の半サイクルを示す値の16とする。また出力値
は溶接電流値の操作量として,これは各溶接性実験のデ
ータと,従来から使用されている標準スポット溶接条件
表を参考にしながら決定し,知識データベースを作成し
た。
【0028】
【表7】
【0029】
【表8】最適電流値設定モデルにおいて,知識データベ
ースをファジィ推論に学習させた結果。
【0030】
【表9】
【0031】表7にこの最適電流値設定モデルに用いら
れたファジイ推論構造を示し,表8に前記知識データベ
ースをファジイ推論に学習させた結果を示す。また表9
に溶接実験中の実際の電極先端径と本モデルがその最適
電流値の演算過程中に判定した電極先端径との比較を示
す。さらに図15にこのファジイ推論による最適電流値設
定モデルの検証実験結果を示す。そこに示されるよう
に,溶接打点が進行するとともに電極先端径は4.5から
6.0mmまで徐々に拡大変化するが,それに伴い溶接電流
値が自動的に適正値にステップアップないしステップダ
ウンされてナゲット径をほぼ一定に保つとともに,散り
の発生頻度もきわめて低く抑制されていることが分か
る。
【0032】
【発明の効果】以上で説明したように,本発明にかかる
電流制御法によれば,常に,溶接状況下において散りの
有無,電極先端径,ナゲット径の判定が可能となり,さ
らに最適の溶接電流で溶接を行うことができ,所望のナ
ゲット径を確保しながら,過大電流による電極先端の磨
耗を抑制して電極寿命の延長がはかれ,さらに散りの発
生も防止できるので,抵抗スポット溶接の品質保証と生
産コストの低減を同時に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ニューラルネットワークに学習させるモニタリ
ング・パラメータを測定し,かつその判定結果の検証実
験を行う測定機構の概略図。
【図2】通電中の溶接電流波形と,電極間電圧波形と,
溶接電流波形と電極間電圧波形とをそれぞれ横軸と縦軸
にとった2次元のグラフv-i波形。
【図3】各モデルのパラメータの算出に使用する,v-i
波形における電極間電圧が0.8V以上の部分の波形先端面
積Swt 。添字のwt は各通電サイクルにおける各パラメ
ータ値を意味する。
【図4】各モデルのパラメータおよびその算出に使用す
る,通電時間中の電極間抵抗および波形先端面積の推移
と,電極間抵抗の最低値MinRおよび最高値MaxRと,波
形先端面積の最小値MinS。
【図5】散り判定モデルのパラメータおよびその算出に
使用する,通電の隣接各半サイクルごとの抵抗値変化量
の最大値MaxΔRと,通電時間中の電極間抵抗の最高値M
axRと通電終了時の電極間抵抗値Reとの差分ΔR
ueと,通電の隣接各半サイMaxクルごとの溶接電流値変
化量の最大値MaxΔI。ここで Wt=4→15はWtが4から15
までの間の最高値を意味する。
【図6】散り判定モデルのパラメータとして使用する,
通電第2サイクル前半の,各溶接電流におけるv-i波
形。
【図7】散り判定モデルでの,ニューラルネットワーク
の散り判定値と実験結果との比較。
【図8】電極先端径判定モデルのパラメータとして使用
する,通電開始から,通電時間前半中の電極間抵抗の最
低値MinRに至るまでの電極間抵抗波形の,MinR以上の
部分の面積SumR01と,MinRの時点から以降の3半サイ
クル間の電極間抵抗波形の,MinR以上の部分の面積Sum
14 ,通電開始から第2サイクル前半までの電極間抵
抗波形のMinR以上の部分の面積SumR02と,第2サイク
ル前半以降の3半サイクル間の電極間抵抗波形のMinR
以上の部分の面積SumR25
【図9】電極先端径モデルのパラメータとして使用す
る,各種電極先端径における波形先端面積の最小値Min
Sの変化。
【図10】電極先端径判定モデルでの,学習に使用したパ
ラメータにおけるニューラルネットワークの散り判定値
と実験結果との比較。
【図11】電極先端径判定モデルでの,学習に使用した値
以外も含ませたパラメータにおけるニューラルネットワ
ークの散り判定値と実験結果との比較。
【図12】ナゲット径判定モデルのパラメータおよびその
算出に使用する, MaxRとMinRとの差分ΔRluをMinR
で除した値ΔRlu/MinRと,MaxRと通電終了時の電極
間抵抗との差分ΔRueをMinRで除した値ΔRue/MinR
と,MinRの検出時点からMaxRの時点までの電極間抵抗
波形のMinR以上の部分の面積SumRluと,MinRの検出
時点から通電終了までの電極間抵抗波形のMinR以上の
部分の面積SumRle
【図13】電極先端径判定モデルでの,学習に使用したパ
ラメータにおけるニューラルネットワークの散り判定値
と実験結果との比較。
【図14】電極先端径判定モデルでの,学習に使用した値
以外も含ませたパラメータにおけるニューラルネットワ
ークの散り判定値と実験結果との比較。
【図15】ファジィ推論による最適電流値設定モデルお検
証実験結果。
【符号の説明】
1はスポット溶接機,2は電極間電圧検出リード線,3
は電極間電圧を測定する電圧計,4は溶接電流を検出す
るトロイダルコイル,5はトロイダルコイルの電圧波形
を整形する波形復元回路,6は溶接電流計,7は電極間
電圧波形と溶接電流波形を記憶する波形記憶装置,8は
ニューラルネットワークおよびファジイ推論を実行する
コンピュータである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抵抗スポット溶接法において,通電時間
    中の電極間抵抗の最高値MaxRと通電終了時の電極間抵
    抗値Reとの差分ΔRueを,通電時間前半中の電極間抵
    抗の最低値MinRで除した値ΔRue/MinRと,通電の隣
    接各半サイクルごとの抵抗値変化量の最大値MaxΔRをM
    inRで除した値MaxΔR/MinRと,通電の隣接各半サイ
    クルごとの溶接電流値変化量の最大値MaxΔIと,通電
    開始後の第2サイクル前半の溶接電流波形と電極間電圧
    波形をそれぞれ横軸と縦軸にとった2次元のグラフの,
    電極間電圧が0.8V以上の部分の波形先端面積S2との4
    個のパラメータを検出しながら溶接実験を行なって,各
    種の溶接条件において各々散り発生の有無を観測し,そ
    れらの4個の検出値を入力値とし,散り発生の有無を出
    力値としてニューラルネットワークに学習させて入出力
    パターンの相関式を求め,以後実際の溶接作業において
    実験と同様のパラメータを検出して,それらの検出値を
    あらかじめ求めた前記の相関式を用いて演算し,散り発
    生の有無を判定することを特徴とした抵抗スポット溶接
    方法。
  2. 【請求項2】 抵抗スポット溶接法において,通電開始
    から,通電時間前半中の電極間抵抗の最低値MinRに至
    るまでの電極間抵抗波形の,MinR以上の部分の面積Sum
    01と,MinRの時点から以降の3半サイクル間の電極
    間抵抗波形の,MinR以上の部分の面積SumR14と,通電
    開始から第2サイクル前半までの電極間抵抗波形のMin
    R以上の部分の面積SumR02と,第2サイクル前半以降
    の3半サイクル間の電極間抵抗波形のMinR以上の部分
    の面積SumR25と,第1サイクル前半の電極間抵抗値R0
    と後半の電極間抵抗値R1の差分ΔR01をMinRで除した
    値ΔR01/MinRと,MinRの検出時点から3半サイクル
    後の電極間抵抗値とMinRとの差分ΔR14をMinRで除し
    た値ΔR14/MinRと,R0と第2サイクル前半の電極間
    抵抗値R2の差分ΔR02をMinRで除した値ΔR02/ Mi
    nRと,通電開始後の第3サイクル後半の電極間抵抗値
    5とR2との差分ΔR25をMinRで除した値ΔR25/Min
    Rと,通電中の各半サイクルの溶接電流波形と電極間電
    圧波形をそれぞれ横軸と縦軸にとった2次元のグラフ
    の,電極間電圧が0.8V以上の部分の波形先端面積の最小
    値MinSとの10個のパラメータを検出しながら溶接実
    験,ないし電極寿命シミュレーションを行なって,各種
    の溶接条件において各々電極先端径を観測し,それらの
    10個の検出値を入力値とし,電極先端径を出力値として
    ニューラルネットワークに学習させて入出力パターンの
    相関式を求め,以後実際の溶接作業において実験と同様
    のパラメータを検出して,それらの検出値をあらかじめ
    求めた前記の相関式を用いて演算し,電極先端径を判定
    することを特徴とした抵抗スポット溶接方法。
  3. 【請求項3】 抵抗スポット溶接において,通電時間中
    の電極間抵抗の最高値MaxRを通電時間中前半の最低抵
    抗値MinRで除した値MaxR/MinRと,MaxRとMinRと
    の差分ΔRluをMinRで除した値ΔRlu/MinRと,Max
    Rと通電終了時の電極間抵抗との差分ΔRueをMinRで
    除した値ΔRue/MinRと,MinRの検出時点からMaxR
    の時点までの電極間抵抗波形のMinR以上の部分の面積S
    umRluと,MinRの検出時点から通電終了までの電極間
    抵抗波形のMinR以上の部分の面積SumRleと,通電の隣
    接各半サイクルごとの抵抗値変化量の最大値MaxΔRをM
    inRで除した値MaxΔR/MinRと,MaxΔRが検出され
    た時点の通電開始からの半サイクル時間WtMaxΔRと,第
    2サイクル前半以降の3半サイクル間の電極間抵抗波形
    の,MinR以上の部分の面積SumR25と,通電中の各半サ
    イクルの溶接電流波形と電極間電圧波形をそれぞれ横軸
    と縦軸にとった2次元のグラフの,電極間電圧が0.8V以
    上の部分の波形先端面積の最小値MinSと,溶接電流値
    との10個のパラメータを検出しながら溶接実験を行なっ
    て,各種の溶接条件において各々ナゲット径を観測し,
    それらの10個の検出値および溶接電流値を入力値,ナゲ
    ット径を出力値としてニューラルネットワークに学習さ
    せて入出力パターンの相関式を求め,以後実際の溶接作
    業において実験と同様のパラメータを検出して,それら
    の検出値をあらかじめ求めた前記の相関式を用いて演算
    し,ナゲット径を判定することを特徴とした抵抗スポッ
    ト溶接方法。
  4. 【請求項4】 前記請求項1,2および3項のニューラ
    ルネットワークの演算結果をもとに,各々の相関式によ
    って求められた各溶接条件下での散り発生の有無,電極
    先端径,予測ナゲット径,および散りがある場合には通
    電の隣接各半サイクルごとの抵抗値変化量の最大値Max
    ΔRが検出された時点の通電開始からの半サイクル時
    間,散りがない場合には通電終了時点の次の半サイクル
    時間を入力とし,溶接電流値の操作量を出力としてパラ
    メータの自動チューニングを行う学習型のファジイ推論
    モデルにより最適溶接電流操作量を求め,以後実際の溶
    接作業においてその溶接電流値をもって溶接することを
    特徴とした抵抗スポット溶接方法。
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