JPH0830462B2 - 可変速のポンプ水車またはポンプの揚水起動方法 - Google Patents

可変速のポンプ水車またはポンプの揚水起動方法

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JPH0830462B2
JPH0830462B2 JP62111777A JP11177787A JPH0830462B2 JP H0830462 B2 JPH0830462 B2 JP H0830462B2 JP 62111777 A JP62111777 A JP 62111777A JP 11177787 A JP11177787 A JP 11177787A JP H0830462 B2 JPH0830462 B2 JP H0830462B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は、揚水発電所において可変速運転されるポン
プ水車またはポンプの揚水起動方法に関する。
(従来の技術) 近年、電力需要の昼夜間格差の増大に伴ない、深夜時
における発電所の停止や出力制限により、夜間電力の調
整能力が不足しつつある。このため系統のAFC(自動周
波数制御)容量が不足する傾向が見られるが、今後は原
子力発電の構成比率が一層増大するところから経済的な
AFC容量の確保がされに困難になるものと予想される。
このAFC容量を確保するための手段として、夜間に運
転している揚水発電所の入力を系統の周波数に応じて変
化させる、いわゆる可変速揚水発電システムが実用に供
されつつある。
この可変速揚水発電システムは、例えば特開昭59−72
998号「可変速水車発電機器の運転方法」に示されてい
るように、発電機の回転速度に応じてその二次巻線に所
定の周波数の交流を与え、出力周波数を一定に保つよう
にしている。
すなわち、この種の発電システムでは発電機として交
流励磁発電電動機が用いられ、この発電電動機は回転子
に機械的に直結されたポンプ水車によって駆動され、ま
た二次巻線はサイクロコンバータによって励磁され、可
変速運転が行われる。その際、系統からの有効電力およ
び無効電力の要求を満足するように、系統位相検出器、
速度検出器、位相検出器、水位測定器の出力に基づいて
最適な励磁電流と回転速度を決定し、サイクロコンバー
タとガイドベーンを制御する。この場合、発電電動機の
回転速度は速度制御装置によりサイクロコンバータを制
御して励磁量を変えることにより、調整される。
これに対して一定回転速度の揚水発電所は、ポンプ水
車またはポンプを一定回転速度で揚水起動するため、第
5図に示すように、流量零のガイドベーン締切り状態
(T=to)においても、ポンプ入力は定常入力に比較す
るとかなりの大きさを持っている。また、ポンプ入力は
揚水量に支配され、ガイドベーン開度の影響はあまり受
けないため、揚水開始後、ポンプ入力が急激に増大する
傾向があり、これが電力系統の安定性に大きな悪影響を
及ぼしていた。
また、従来の定速度機では、第6図に示すように、締
切り状態からガイドベーンを開口すると入力が急増する
が、この急増の変化の度合いは静落差Hstが低い時ほど
大きくなり、電力系統に与える影響も大きくなる。
また、定速度機の場合には、第7図に示すように、ポ
ンプ入力Pは低静落差Hst minの時の方が高落差時Hst m
axの時よりも大きくなる。すなわち効率をη、流量を
Q、揚程をPstとした場合、ポンプ入力Pは P=(1/η)9.8QPst で表される。この場合、第7図にも示されているよう
に、Pst minの時はP st maxの時に比して、1/η→微
増、Q→急増、Pst→減少となり、その結果、P→増加
となるが、揚程Pstと、静落差Hstとの間には比例関係が
あるので、ポンプ入力Pは低静落差Hst minの時の方が
大きくなるのである。
上述の揚水運転起動時の欠点、すなわち、 ポンプ締切り入力が比較的大きいこと ポンプ入力がガイドベーン開度に対して鈍感なこと ガイドベーン開度が極端に小さい時の運転状態が悪い
こと 等を解決するための方法として、可変速のポンプ水車ま
たはポンプの起動時に、ガイドベーンまたは入口弁の開
口を開始する時点における発電電動機または発電機の回
転数を、少なくともそれらの固有最低回転数よりも大き
く、かつポンプ水車またはポンプの逆流域に至らない回
転数および速度制御装置で制御し得る最低回転数とし、
ガイドベーンの開口度を増加させるとともに、発電電動
機または発電機の回転数を上昇させる方法が考えられて
いる(特開昭61−149583号「可変速のポンプ水車または
ポンプの起動方法」参照)。
この方法は、ポンプ入力がその回転数の3乗に比例
し、回転数が低ければ低いほどポンプ入力が小さいこ
と、および締切り運転後逆流を生じることなく揚水可能
な回転数は定常安定運転状態における回転数より小さい
ことに鑑み、定常回転数より低く、かつ逆流を生じるこ
とがない回転数において水中締切り運転を行った後、発
電電動機または発電機の回転数を上昇させながらガイド
ベーンを開いて行くものである。
第8図はこの方法における起動時のガイドベーン開
度、回転数およびポンプ入力の特性を示すもので、ポン
プ起動の際(T=to)、最小起動回転数N2にて水中締切
り運転状態を実現した後、回転数N2でガイドベーンを零
から開き始め、回転数N1まで上昇させ、ガイドベーンを
安定起動開度VGO1まで開く(T=t1)。この時点ではポ
ンプ水車またはポンプは定常安定状態にあるので、その
後は通常の可変速ポンプの速度、開度制御方法により指
定された回転数No、ガイドベーン開度GVOo(100%)に
移行するので、前述の従来方法に比較すれば低いポンプ
軸入力で起動することができる。
(発明が解決しようとする問題点) ところで、揚水発電所では上池と下池の水位差(静落
差)を検出し、ポンプ揚水運転時の適正ガイドベーン開
度の制御や、水車発電運転時の上限ガイドベーン開度、
下限ガイドベーン開度あるいは適正ガイドベーン開度の
制御に利用するのが一般的である。
このように、ポンプ水車またはポンプは静落差に応じ
て制御されるのが通常であるが、上述の従来例のような
回転速度にてガイドベーンや入口弁(吐出弁)の水口を
開口するまで締切り運転状態を続け、その後、水口を開
口させる場合には、次のような問題点が生ずる。
すなわち、下池の水位が変化し、その結果として静落
差が変化した場合、水口を開口するまでの締切り回転速
度が一定であると、締切り水圧の大きさも変化する。従
って、締切り時の水圧が設定圧力に達したときに締切り
確立条件とする圧力検出方式では、静落差の変化時に不
完全か、あるいは苛酷な圧力状態でも締切り確定として
検出される場合があり、その結果、安定した締切り状態
が得られず、円滑な制御を行なえないという欠点があ
る。
一方、上池水位が変化して静落差が変化する場合、水
口を開口するまで締切り回転速度が一定であると、ガイ
ドベーン内側の締切り水圧が一定であってもガイドベー
ンの外側静水圧が変化し、ガイドベーンの内外静水圧が
必要以上に大きくなることがある。この場合、締切り運
転状態からガイドベーンを開口するとポンプ水車または
ポンプには過渡的に大きな水圧変動が発生し、その結
果、不安定な運転状態に陥り、電力系統への入力も変動
して系統に動揺を与えるという問題がある。
第9図はガイドベーンを開く時の締切り圧とガイドベ
ーン下流側の静水圧の関係を例示するもので、締切り圧
が揚程Pstよりも高く、かつL1>L2の場合、ガイドベー
ンは閉方向の力を受けているが、この状態からガイドベ
ーンを開こうとして少し開くと、隣接ガイドベーンの間
隙に水が流れるため、矢符A付近の圧力が低下してガイ
ドベーンを閉じる方向に強い力が作用し、ガイドベーン
はその弾性変形によって閉じてしまう。一方、開方向の
力もガイドベーン操作機構により作用しているため、ガ
イドベーンは開閉動作を繰返すことになり、しわゆる自
励振動が発生して機器を破壊させる危険性が著しく高ま
る。
また、第4図に示すように静落差Hstが高い時(例え
ばHst min)に円滑な運転を行なえるように設定した適
正回転速度N1のままで水口を開口し、その後、適正速度
に増速させようとする場合には、静落差が低い時(例え
ばHst max)にガイドベーン開度aを大きくすると締切
り水圧確立時のポンプ入力が大きくなる上、途中でポン
プ入力P1を通過する急増変化を伴うという欠点がある。
(発明の目的) 本発明は従来技術における上述のごとき欠点を解決す
べくなされたもので、安定な起動制御が可能なポンプ水
車またはポンプの揚水起動方法を提することを目的とす
る。
〔発明の構成〕
(問題点を解決するための手段) 本発明の揚水起動方法は、落差変化時の静落差に応じ
て選定した適正回転速度のもとで、ポンプ水車またはポ
ンプの締切運転が円滑に行なえるように予め静落差と前
記適正回転速度の関係を設定しておき、発電電動機また
は電動機を電力系統に並列した後、前記ポンプ水車また
はポンプのガイドベーンもしくは吐出弁の水口を開口す
る前記静落差を検出し、得られた静落差信号に基づいて
前記発電電動機または電動機の回転速度をその時の静落
差における適正回転速度に制御し、次いで前記ポンプ水
車またはポンプを締切り運転に至らしめたところで前記
ガイドベーンもしくは吐出弁の水口を開口し、しかる
後、前記発電電動機または電動機の運転負荷あるいは前
記水口の開度が予め設定しておいた目標の負荷あるいは
開度に達するまで前記発電電動機または電動機の回転速
度をそのまま前記適正回転速度に保持することを特徴と
するものである。
(作 用) 上述のように構成した本発明の方法によれば、静落差
の変動に伴って変化する締切り水圧、ガイドベーン内外
の水圧差、およびガイドベーン開口直後の入力急増など
の問題点を解消でき、円滑な制御が可能となる。
(実施例) 以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。な
お、以下の説明では1本の水圧鉄管に1組のポンプ水
車、発電電動機および入口弁を備えた揚水発電所を例に
とって説明する。
第3図は揚水発電所における水路系の概略構成を示す
もので、ポンプ水車1はケーシング内にランナ2を回転
自在に収納するとともに、その周囲に水口開度可変のガ
イドベーン3を円環状に配設して構成されており、ラン
ナ2には伝達軸4を介して発電電動機5が直結されてい
る。
ポンプ水車1と上池6との間は入口弁(吐出弁)7お
よび水圧鉄管8を介して接続されており、またポンプ水
車1の吸出管9は放水路10を介して下池11に接続されて
いる。
発電電動機5は入出力切換えスイッチ(図示せず)お
よびローカルライン12を介して電力系統13に接続され、
また、発電電動機5の出力はサイクロコンバータ14を介
して電力系統13に供給される。
発電電動機5には、その回転子15の回転速度を検出す
る速度検出器16と、励磁電流の位相を検出する位相検出
器17が取付けられている。電力系統13には、その位相を
検出する系統位相検出器18が取付けられ、またローカル
ライン12には電力系統13と発電電動機15との間の電力授
受を検出する電力検出器19が取付けられている。
ポンプ水車1には、ガイドベーン3の開度を検出する
開度検出器20と、締切り運転時のガイドベーン3の内側
および外側の水圧を検出するための圧力センサー21a,21
bが取付けられている。また、上池6と下池11にはそれ
ぞれ水位測定器22,23が取付けられている。
第1図は本発明方法の実施例を示すもので、水位測定
器22,23の出力は静落差測定装置30に導かれ、それらの
差分が静落差信号として比較演算装置31に入力されると
ともに、ガイドベーン開度設定用の関数発生器32に入力
される。また、比較演算装置31からは適正回転速度信号
が出力され、回転速度設定用関数発生器33に入力され
る。
一方、電力系統13からの要求電力と、AFC運転により
定まる入力目標値が合せ部34にて合算され、それらの偏
差信号が入出力設定用関数発生器35に入力される。この
関数発生器35からの信号は回転速度設定用関数発生器33
および開度設定用関数発生器32にも入力され、回転速度
およびガイドベーン開度設定の初期値データとなる。
電力検出器19からの信号は比較演算装置36を通して関
数発生器33に入力される。また、開度検出器20からの信
号は比較演算装置37を介して関数発生器33に入力され
る。
関数発生器33からの適正開度信号は合せ部38において
速度検出器16からの信号および系統周波数と合算され、
回転速度制御装置39に入力される。位相検出装置17およ
び系統位相検出装置18の出力信号は合せ部40において合
算され、それらの偏差信号は回転速度制御装置39に入力
される。
回転速度制御装置39の出力はサイクロコンバータ14に
入力され、発電電動機5の交流励磁周波数を回転速度に
応じて調整するとともに、固定予側の電圧を制御する。
一方、関数発生器32の信号は開度検出器20からの信号
とともに合せ部41に導かれ、それらの偏差信号は圧力セ
ンサー21a,21bからの信号とともに開度制御装置42に入
力される。この開度制御装置42はPID演算器、増幅器、
ガバナー、サーボモーター等からなり、ポンプ水車1の
ガイドベーン開度を制御する。
上述のように構成した揚水発電所の制御装置におい
て、電力系統13からの要求にもとずいて揚水運転を開始
する場合、入口弁7とガイドベーン3を全閉し、ランナ
2廻りの水を圧縮空気により押し下げ、次に発電電動機
5によりランナ2を回転させ、その回転速度が静落差に
対応した適正回転速度になると、入口弁7を開いてラン
ナ2の回りの圧縮空気を排除し、ランナ2の回転によっ
て得られた吐出部の締切り圧を圧力センサー21a,21bに
よって検出し、それが規定値に達した段階でガイドベー
ン3を開方向に動作させ、ガイドベーン3が規定開度に
達するか、発電電動機5が規定負荷に達した後、回転速
度を増速させるとともにガイドベーンを適正開度まで持
っていくことになる。
その詳細を第1図につき説明すると、回転速度および
ガイドベーン開度設定の初期条件として系統13からの要
求電力とAFC運転により定まる負荷を加味した偏差信号
が合せ部34から入出力設定用関数発生器35へ入力され、
そこから出力される信号が回転速度設定用関数発生器33
およびガイドベーン開度設定用関数発生器32に入力され
て初期値となり、これらの信号と静落差信号を加味して
回転速度とガイドベーン開度が決定される。
即ち、上池と下池の水位がそれぞれ水位測定器22,23
によって測定されると、それらの偏差信号が静落差測定
装置30から回転速度設定用の比較演算装置31およびガイ
ドベーン開度設定用の関数発生器32に向けて出力され
る。
比較演算装置31には静落差と回転速度の関係が予め記
憶されており、その時の静落差に対応した回転速度信号
を回転速度設定用関数発生器33に向けて出力する。即
ち、第3図に示すように、静落差が高い(例えば、Hst
max)時は揚程も高い(Pst max)ので回転速度も大き
く、それと反対に静落差が低い(例えば、Hst min)時
には揚程も低い(Pst min)ので、回転速度も低くなる
よう設定してある。
この場合、下池11の高水位により静落差が低い時は適
正回転速度を低速とし、下池の低水位により静落差が高
い時は適正回転速度が高速になるように静落差に応じて
適正回転速度を選定しておくことにより、静落差の変化
に対して圧力一様の締切り状態を確保することができ
る。
一方、上池低水位により静落差が低い時は、締切り水
圧が低くなるように適正回転速度を低速とし、逆に上池
高水位により静落差が高いときは締切り水圧が高くなる
よう適正回転速度を高速にそれぞれ選定しておくことに
より、ガイドベーン内外の水圧差を一様に確保できるの
で、ガイドベーン開口に伴う水圧変動を抑制して安定し
た運転を行うことができる。
上記回転速度設定用関数発生器33からの出力信号は合
せ部38において実回転速度および系統周波数との偏差を
加味して回転速度制御装置39に伝達され、この回転速度
制御装置からの信号を受けたサイクロコンバータ14が発
電電動機5の回転子に信号に対応する励磁電流を通じる
ことにより回転子の回転速度を増減制御する。この静落
差に応じた適正回転速度で締切り運転が行われ、圧力セ
ンサー21a、21bにより検出したガイドベーン内外の圧力
差が設定値に達したことを条件としてガイドベーンが開
制御され、揚水運転が開始される。
一方、発電電動機5の負荷が電力検出器19で検出さ
れ、この検出器からの信号が比較演算装置36に記憶され
た負荷に達するか、またはポンプ水車1のガイドベーン
開度が比較演算装置37に記憶された開度に達すると、こ
れらの比較演算装置36,37からの信号が回転速度設定用
関数発生器33に向けて出力される。これにより関数発生
器33は回転速度増速の信号を出力するので、サイクロコ
ンバータ14により回転子は締切り運転時の適正回転速度
から揚水運転時の規定回転速度に増速制御される。な
お、上記回転速度の増速制御に並行して締切り確立後、
ガイドベーン3の開制御が開始され、最終的には静落差
を入力された開度設定用関数発生切32により設定される
ガイドベーン開度まで開制御される。
これを第4図を参照して説明すると、静落差が高い時
(例えば、Hst max)に円滑な運転を行えるように設定
した適正回転速度のままで水口を開口すると静落差が低
い時(例えばHst min)には水口開度aを大きくするに
つれて入力Pは途中P1を通過する急増変化をともなう
が、静落差が低いHst minの時ににはHst maxにおける場
合と同様にPoを通過するようHst minにおける適正回転
速度Noを選定することにより実線で示すような締切り運
転から揚水運転への移行時の円滑な入力変化が可能とな
る。
上述のように本発明の方法においては、静落差が変化
して低い時は締切り時およびその近傍の運転を低速に、
また静落差が高いときは相対的に高速になるよう、静落
差に応じた適正回転速度に設定しておき、水口開口後も
負荷または水口開度が目標の負荷Poあるいは開度aoに達
するまでは回転速度を前記回転速度に保持することによ
り、締切り運転から揚水運転への移行を円滑に行なうこ
とができる。
(他の実施例) 次に、第2図を参照して本発明の他の実施例を説明す
る。なお、以下の3例は、ある静落差とそれに伴う適正
回転速度を設定しておき、実落差と設定落差の偏差分に
相当して回転速度を適正回転速度から相対的に増速また
は減速したものを締切り運転時の回転速度として設定す
るもので、第1図における同一部分には同一の符号を付
してある。
第2図において、静落差測定装置30からの実落差信号
は静落差設定装置50からの設定信号とともに合せ部51に
て比較され、それらの偏差に相当する信号が正負符号を
付加され関数発生器33に入力される。これにより関数発
生装置33は設定回転速度に偏差信号に対応する回転速度
だけ増速または減速したものを適正回転速度として回転
速度制御装置39へ出力する。
第1例は設定落差として最低落差を選択するもので、
前述のごとく最低静落差での締切り運転の回転速度は最
も低いので、実落差が最低落差を上回る時は実落差と設
定落差の差分に相当する回転数だけ、高速側に回転速度
を設定して締切り運転を行うものである。
第2例は設定落差として最高静落差を選択するもの
で、最高静落差での締切り運転の回転速度は最も高いの
で、実落差が最高静落差を下回る時は実落差と設定落差
の差分に相当する回転数だけ、低速側に回転速度を設定
して締切り運転を行うものである。
第3例は設定落差として最低静落差と最高静落差の中
間に定めた基準落差を選択するもので、実落差が基準落
差以上の時は基準落差時の設定回転速度にて締切り運転
を行い、しかし実落差が基準静落差より小さい時は実落
差と設定落差の差分に相当する回転数だけ低速側に回転
速度を設定して締切り運転を行うものである。ここで、
実落差が基準落差を上回る時に回転速度を増速制御しな
いのは、回転速度を増速しないと締切り圧は揚程より小
さいという場合も起こり得るが、かえってこの状態の方
が前述のガイドベーンの自励震動の防止も可能であり、
好都合だからである。
〔発明の効果〕
上述のように、本発明においては、可変速のポンプ水
車またはポンプを起動する際、締切りおよびその近傍の
運転を静落差が変化して低い時は低速に、しかし、静落
差が高い時は相対的に高速になるよう静落差に応じた適
正回転速度に設定しておき、水口開度後も負荷あるいは
水口開度が目標の負荷あるいは水口開度に達するまで
は、回転速度を適正開度に保持するようにしたので、変
落差に伴うガイドベーン内外の水圧差を安定制御でき、
水口開度後の入力の円滑制御も可能であり、水力機械の
破損等の危険もなくしかも、電力系統の動揺も少なく、
締切り運転から揚水運転への移行を安定して実施するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
第1図と第2図はそれぞれ本発明方法の実施例を示す制
御ブロック図、第3図は本発明が適用される揚水発電所
の構成例を示す模式図、第4図は本発明による起動時の
ガイドベーン開度、回転速度及びポンプ軸入力の特性
図、第5図および第8図は従来の起動時のガイドベーン
開度、回転速度およびポンプ軸入力の特性図、第6図は
ポンプの定常回転数における静落差とガイドベーン開度
によるポンプ軸入力の変化を説明する特性図、第7図は
従来の定回転機のポンプ入力、流量および効率と静落差
との関係を示す特性図、第9図はガイドベーンの自励振
動の発生メカニズムを示す模式図である。 1……ポンプ水車、2……ランナ、3……ガイドベー
ン、4……伝達軸、5……発電電動機、6……上池、7
……入口弁、8……水圧鉄管、9……吸出管、10……放
水路、11……下池、12……ローカルライン、13……電力
系統、14……サイクロコンバータ、15……回転子、16…
…速度検出器、17……位相検出器、18……系統位相検出
器、19……電力検出器、20……開度検出器、21a,21b…
…圧力センサー、22,23……水位測定器。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】速度制御装置を有する可変速の発電電動機
    または電動機にランナを直結させて回転駆動する可変速
    のポンプ水車またはポンプの揚水起動方法において、落
    差変化時の静落差に応じて選定した適正回転速度のもと
    で、前記ポンプ水車またはポンプの締切運転が円滑に行
    なえるように予め静落差と前記適正回転速度の関係を設
    定しておき、前記発電電動機または電動機を電力系統に
    並列した後、前記ポンプ水車またはポンプのガイドベー
    ンもしくは吐出弁の水口を開口する前に前記静落差を検
    出し、得られた静落差信号に基づいて前記発電電動機ま
    たは電動機の回転速度をその時の静落差における適正回
    転速度に制御し、次いで前記ポンプ水車またはポンプを
    締切り運転に至らしめたところで前記ガイドベーンもし
    くは吐出弁の水口を開口し、しかる後、前記発電電動機
    または電動機の運転負荷あるいは前記水口の開度が予め
    設定しておいた目標の負荷あるいは開度に達するまで前
    記発電電動機または電動機の回転速度をそのまま前記適
    正回転速度に保持することを特徴とする可変速のポンプ
    水車またはポンプの揚水起動方法。
  2. 【請求項2】静落差が最低静落差を上回るものであると
    き、この最低静落差における締切り運転の適正回転速度
    よりも高速側に設定した適正回転速度のもとで前記ポン
    プ水車またはポンプの締切り運転が円滑に行なえるよう
    前記静落差と適正回転速度の関係を予め設定しておくこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の可変速ポン
    プ水車またはポンプの揚水起動方法。
  3. 【請求項3】静落差が最高静落差を下回るものであると
    き、この最高静落差における締切り運転の適正回転速度
    よりも低速側に設定した適正回転速度のもとで前記ポン
    プ水車またはポンプの締切り運転が円滑に行なえるよう
    前記静落差と適正回転速度の関係を予め設定しておくこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の可変速ポン
    プ水車またはポンプの揚水起動方法。
  4. 【請求項4】静落差が最低静落差と最高静落差の中間の
    基準静落差を上回るときは、この基準静落差における締
    切り運転の適正回転速度のもとで、また、前記静落差が
    前記基準静落差を下回るときは、この基準静落差におけ
    る締切り運転の適正回転速度よりも低速側に設定した適
    正回転速度のもとで前記ポンプ水車またはポンプの締切
    り運転が円滑に行なえるよう前記静落差と適正回転速度
    の関係を予め設定しておくことを特徴とする特許請求の
    範囲第1項記載の可変速ポンプ水車またはポンプの揚水
    起動方法。
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