JPH08300167A - 厚肉部を有する金属条材の製造方法 - Google Patents

厚肉部を有する金属条材の製造方法

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JPH08300167A
JPH08300167A JP13270595A JP13270595A JPH08300167A JP H08300167 A JPH08300167 A JP H08300167A JP 13270595 A JP13270595 A JP 13270595A JP 13270595 A JP13270595 A JP 13270595A JP H08300167 A JPH08300167 A JP H08300167A
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章 福田
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易之 谷口
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 長手方向の一部の領域に厚肉部を有するが、
応力集中を生じるノッチの無い金属条材を安価に製造す
る方法を提供する。 【構成】 肉厚の異なる金属条材1、2を用意し、その
端面同士を突合わせ、その接合部を液相拡散接合法によ
って接合することで、高強度に接合した且つ熱歪、加工
歪等のあまり無い金属条材接合体を作り、更に、その接
合中若しくは接合後に、赤熱状態とした接合部に軸方向
の圧縮力を加えて該接合部を増肉させ、その両側に盛り
上がり4A、5Aを生じさせ、金属条材の端面同士を突
合わせて接合した際に生じる側面段差に由来する直角状
の鋭い内コーナーをこの盛り上がり4A、5Aで消滅さ
せ、前記内コーナーに起因するノッチを無くす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一定断面の鋼材等の金
属条材(H形鋼、I形鋼、丸形鋼管、角形鋼管等)の長
手方向の少なくとも一部の領域が、強度を上げるために
厚肉化されている金属条材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、建築構造物の柱や梁等として、
長手方向に一定断面を有する鋼材等の金属条材が広く用
いられている。これらの条材を柱として使用する場合、
梁を取り付ける部分には強度確保のために各種の補強部
材を設けている。例えば、柱が角形鋼管であって、梁が
H形鋼からなる場合は、梁の上下フランジの高さ位置で
柱の内部に補強用のダイヤフラムを設けたり、補強金物
を柱の外周に重ねる構造が一般に採られる。また、柱の
梁接合部をジョイントボックスで構成する場合もある。
柱がH形鋼からなる場合は、梁の上下フランジの高さ位
置で、柱の両フランジ間に補強プレートやアングル材等
の金物を介在させている。
【0003】しかし、このように補強部材を設けること
は作業工数を増大させるという問題を有していた。ま
た、柱の内部にダイヤフラムを設ける場合には、そのダ
イヤフラムは柱の端部にしか設けることができないた
め、建物の各階毎に区切られた柱を使用しなければなら
ず、通し柱を使用するということが出来なかった。
【0004】そこで、これらの問題点を解決する方法と
して、あらかじめ長手方向の一部の領域に厚肉化された
部分を備えた金属条材を用意し、その厚肉化した部分を
梁の取付け部分とすることにより、従来行っていた補強
部材の使用を省略する方法が考えられる。ところで、こ
のような局部的に厚肉化された金属条材を製造する方法
としては、肉厚の異なる金属条材を溶接又は圧接でつな
ぎ合わせる方式、及び金属条材の長手方向の一部領域を
塑性加工によって増肉させる方式が知られており、前者
では、量産資材の利用による低コスト化を期待できる点
が、後者では、接合部がなく強度面での信頼感が極めて
高いという点が特徴であると言える。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た局部的に厚肉化された金属条材を製造する従来の方法
には、いずれも問題点があった。すなわち、肉厚の異な
る金属条材を溶接でつなぎ合わせる方式では、接合部に
不定型のビードが形成されるため、外観が悪くなり、ま
た、圧接法によってつなぎ合わせる方式では、母材の融
点近く迄温度を上げるため、多量に酸化物が形成されて
しまい、その酸化物を系外に押し出すために接合部には
み出し代(ばり)を生じさせる必要があってやはり外観
が悪くなり、しかも、熱歪や加工歪による形状の狂いが
大きいという問題があった。一方、金属条材の長手方向
の一部領域を塑性加工によって増肉させる方式では、金
属条材端部であれば鍛造を利用した増肉加工によって比
較的容易に実施できるが、金属条材の中間部分では鍛造
の利用が困難であり、その部分を増肉させるための塑性
加工にはコストがかかり、高価になるという問題があっ
た。
【0006】本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなさ
れたもので、長手方向の一部の領域に厚肉部を有する金
属条材を、強度上の優れた信頼感と良好な外観を備えさ
せると共に形状の狂いをあまり生じさせることなく、し
かも低コストで製造できる、新規な技術の提供を目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく為
された本願第一の発明は、肉厚の異なる金属条材の端面
同士を突合わせ接合して、長手方向の少なくとも一部の
領域に厚肉部を有する金属条材を製造する方法であっ
て、上記突合わせ接合を、接合すべき金属条材より融点
の低いインサート金属材を接合すべき面間に介在させ
て、上記インサート金属材を含む接合に関わる部分をイ
ンサート金属材の融点以上に加熱し、インサート金属材
の成分を両側の金属条材中に拡散させて接合する液相拡
散接合法によって行い、その液相拡散接合工程中若しく
はその後に、突合わせ接合部を赤熱下で金属条材軸方向
に圧縮して増肉させることにより、上記突合わせ接合部
の側面段差に由来する直角状の鋭い内コーナーを増肉変
形を以て消滅させることを特徴とする厚肉部を有する金
属条材の製造方法を要旨とする。
【0008】以下、図面を参照してこの発明を更に詳細
に説明する。本発明の金属条材の製造方法は、上記した
ように、肉厚の異なる金属条材の端面同士を突合わせ接
合して、長手方向に厚肉部を有する金属条材を製造する
ことを基本としている。すなわち、本発明は図1に1例
を示すように、薄肉の金属条材1と厚肉の金属条材2と
を、端面同士を突合わせ接合して一体化し、長手方向の
一部に厚肉部3aを有する金属条材3を製造するもので
ある。ここで、金属条材3に形成する厚肉部3aの位
置、個数等は、必要に応じて適宜定められるもので、図
示したように金属条材3の中間位置の一部のみに形成し
ても良いし、複数箇所に形成してもよいし、また、金属
条材3の端部に形成してもよい。また、その厚肉部3a
の長さや肉厚も必要に応じ、適宜定めればよい。
【0009】本発明の対象とする金属条材の形態は、H
形鋼、I形鋼、丸形鋼管、角形鋼管等任意であり、ま
た、その材質は、通常は鋼材であるが、その他の金属材
料であってもよい。
【0010】本発明において突合わせ接合する肉厚の異
なる金属条材の断面形状は、肉厚は異なるが全体として
はほぼ同一断面のものであり、端面同士を突合わせた場
合に、薄肉側の金属条材端面のほぼ全面を厚肉側の金属
条材端面に当接させることができるように定められる。
この際、突合わせ接合する二つの金属条材の断面寸法
は、両者の外形が一致する寸法でも、両者の内形が一致
する寸法でも、或いはその中間の寸法でもよい。例え
ば、鋼管を例にとって説明すると、図1に示すように外
形が一致する寸法の金属条材1、2、図2(a)に示す
ように内形が一致する寸法の金属条材1A、2A、図2
(b)に示すようにこれらの中間的な寸法の金属条材1
B、2Bのいずれを選択してもよい。しかしながら、一
般に鋼材では外形寸法を基準として規格が定められ、量
産されているので、これらの量産資材を用いることがで
きるよう、図1に示す金属条材1、2のように、肉厚は
異なるが外形が一致する金属条材を採用することが好ま
しい。また、この場合には、得られた厚肉部を有する金
属条材3は、厚肉部も薄肉部も同じ外形寸法であるの
で、外観が良いという利点も得られる。
【0011】金属条材としてH形鋼を用いる場合には、
図3に示すように、薄肉側の金属条材1D(ハッチング
で示す部分)と厚肉側の金属条材2Dとして、両者のフ
ランジ部の外面1a、2aが一致するように外形寸法
A、Bが等しい条材を用いることが好ましい。また、角
形鋼管を用いる場合には、図4に示すように、薄肉側の
金属条材1E(ハッチングで示す部分)と厚肉側の金属
条材2Eとして、両者の外周の平坦面1c、2c及び1
d、2dが一致するように外形寸法C、Dが等しい条材
を用いることが好ましい。なお、角形鋼管の場合、JI
Sで規格が定められている量産資材では同一外形寸法の
ものであっても、肉厚が異なると角部の円弧の半径が異
なり、端面同士を突合わせた時に角部がわずかにずれる
(図4の破線参照)。そこで、接合に先立って、一方の
金属条材1D又は2Dの端部の外面形状を、他方の金属
条材の外面形状に一致するように整形しておいてもよ
い。
【0012】次に、本発明は、肉厚の異なる金属条材の
端面同士を突合わせ接合する方法として、液相拡散接合
法を採用したことを特徴としている。液相拡散接合法
は、鋼材を例にとれば、融点が1000°C前後の鉄系
あるいはニッケル系アモルファス材料などのインサート
金属材を、たとえば、数10μm厚さのシートの形で接
合面間に介在させ、この接合部をインサート金属材の融
点以上、望ましくは拡散の進みやすい1100〜130
0°C程度の温度迄加熱して保持し、溶融したインサー
ト金属材の成分を両側にある被接合部材中に拡散させて
接合する接合手法である。
【0013】即ち、接合される母材との材質偏倚の少な
い、即ち、より一体化した接合部が得られると共に、接
合のための加熱温度が、絶対温度比で母材の融点の80
%程度と低くて済むことから、酸化物の生成が少なく、
あるいは酸化防止措置が講じやすいという特徴を有す
る。このため、溶加材を用いた溶接法のような不定型の
ビードの形成がなく、又、母材の融点近く迄温度を上げ
て行う圧接法のように、多量に成形する酸化物を系外に
押し出すために接合部にはみ出し代(ばり)を生じさせ
る必要もなく、仕上がりは総じて端正である。加工温度
が低く且つ上記はみ出し代を生じさせる程の加圧を要し
ないことから熱歪や加工歪による形状の狂いも少ない。
【0014】液相拡散接合法の上記特徴は、強度や真直
性の重視される建築用材にきわめて好適なものである。
ところが、本発明では肉厚の異なる部材を突合わせ接合
するものであるので、図5(a)に拡大して示すよう
に、薄肉の金属条材1と厚肉の金属条材2とを、側面
(通常は外面)1e、2eをほぼ一致させるようにして
突合わせ接合した場合、他方の側面1f、2f間には大
きい段差が生じており、その段差に由来する内コーナー
4が必然的に生じている。また、一致させるように突合
わせた側面1e、2e間においても目違いが生じ、微小
ながら(例えば、0.5mm〜1mm程度の)側面段差
が生じ、内コーナー5を生じる。液相拡散接合法で接合
した突合わせ接合部は、仕上がりが上述のように端正な
るが故に、そこに上記内コーナー4、5が鋭く残り、こ
の内コーナー4、5が応力集中を招くノッチとなりやす
いことに本発明者らは気付いた。
【0015】そこで、本発明では、上記突合わせ接合部
を赤熱下で金属条材軸方向に圧縮して増肉させることに
より、突合わせ部の側面段差に由来する直角状の鋭い内
コーナーを増肉変形を以て消滅させることも特徴とす
る。
【0016】上記増肉操作は、接合部を誘導加熱法など
によって狭幅の環状に赤熱した状態で、その接合部を条
材の軸方向に圧縮して行うことができる。ここで赤熱し
た状態を採用したのは、赤熱によって材料の変形抵抗が
下がり、過大でない圧縮力による増肉が可能になるため
である。赤熱状態は通常600°C程度以上で得られる
が、高温となるほど変形抵抗が小さいことから、鋼材の
場合、圧縮を行う時の温度を1100〜1300°Cと
することが望ましい。このレベル迄昇温させることによ
り、10〜50MPa程度の圧縮力を数秒の間負荷する
ことにより、増肉率(肉厚増加量/元の肉厚)数10%
のオーダーの増肉を行うことができる。
【0017】上記増肉の大きさは、ノッチを解消すると
いう目的と、外観を大きくは変化させないという現実的
要請との兼ね合いによって適宜定めれば良い。たとえ
ば、増肉率を10〜30%程度とし、且つ、増肉による
盛り上がり高さ1〜3mmの絶対値下限を設けておくと
いう仕様を例示できる。上記レベルの増肉加工によっ
て、図5(a)に示す鋭い内コーナー4及び5は、図5
(b)に示すように、この部位に夫々生じた、溶接ビー
ドよりも滑らかな表面を有する盛り上がり4A、5Aに
それぞれ変化して消滅する。このように、鋭い内コーナ
ー4、5は、増肉加工後の表面に盛り上がり4A、5A
として形跡は残すものの、増肉変形に伴う三軸方向の塑
性流動によって揉まれて鋭利なものではなくなってお
り、ノッチとして作用する懸念は解消されている。
【0018】上記した増肉操作は、二つの金属条材を突
合わせ液相拡散接合法によって接合している途中に行っ
てもよいし、或いは液相拡散接合法による接合終了後に
行ってもよい。上記したように液相拡散接合を行うには
突合わせ接合部を、インサート金属材の融点以上に、例
えば1100〜1300°C程度にまで加熱昇温してお
り、その温度では変形抵抗が小さくなっていて増肉加工
が容易であるので、液相拡散接合工程中の適当なタイミ
ングで圧縮力を短時間作用させて増肉を行うことができ
る。この場合、接合部は完全に接合した状態とはなって
いないが、この状態での増肉によっても鋭い内コーナー
4、5を支障なく消滅させることができる。また、液相
拡散接合終了後に増肉加工を行う場合においても、接合
部の温度が低下する前に圧縮を加えて増肉させることが
好ましい。このように液相拡散接合途中或いは終了直後
の温度があまり低下しない内に増肉加工を行うと、あら
ためて接合部を加熱昇温する必要がなく、熱効率の面か
ら好ましい。
【0019】本発明方法の実施に当たって、異なる肉厚
の金属条材の端部同士を突合わせ接合するに先立って、
両金属条材の少なくとも一方の端部を、端面接合に適し
た形状に、熱間鍛造、切削等によって整形しておくこと
ができる。端面接合に適した形状としては、例えば、突
合わせるべき二つの金属条材の端面形状がほぼ一致し且
つ端面に向かってなだらかに肉厚が変化するような形
状、突合わせるべき二つの金属条材の端面の外形形状或
いは内形形状がほぼ一致するような形状等を挙げること
ができる。
【0020】以下、両金属条材の一方の端部を、端面接
合に適した形状に整形する動作を伴った本発明方法の実
施態様を説明する。図6(a)に示すように、肉厚の異
なる金属条材1、2を用意し、端面同士を突合わせ接合
するに先立って、図6(b)に示すように、薄肉側の金
属条材1の端部を、熱間鍛造などの手段によって変形さ
せ、その端面1gが他方の金属条材2の端面2gと同一
形状となるように、且つ端面に向かってなだらかに肉厚
が変化するように加工しておく。この状態で、金属条材
1、2の端面1g、2gを突合わせ、液相拡散接合を行
う。この場合にも、図6(c)に示すように、金属条材
1、2の端面同士を突合わせて接合する際の目違いによ
って、内外両側に鋭い内コーナー5、6が生じることが
多いが、この液相拡散接合途中で或いは終了後に接合部
を増肉加工することにより、図6(d)に示すように、
内コーナー5、6があった部分になだらかな盛り上がり
5A、6Aが形成され、ノッチとして作用しなくなる。
かくして得られた金属条材3は厚肉部3aを有すると共
に、肉厚が厚肉部3aに向かってなだらかに増加してお
り、図1、図5に示すような段部が形成されておらず、
このため、応力集中が生じにくい利点が得られる。更
に、この金属条材3では厚肉部3a内に接合面7が位置
している。この構造は、後述するように、強度上も有利
である。
【0021】また、図7(a)に示すように、肉厚の異
なる金属条材1、2を用意し、端面同士を突合わせ接合
するに先立って、図7(b)に示すように、厚肉側の金
属条材2の端部を、熱間鍛造、切削などの手段によって
変形させ、その端面2hが薄肉側の金属条材1の端面1
hと同一形状となり且つ端面に向かってなだらかに肉厚
が変化するように加工しておく。この状態で、金属条材
1、2の端面1h、2hを突合わせ、液相拡散接合を行
う。この場合にも、図7(c)に示すように、金属条材
1、2の端面同士を突合わせて接合する際の目違いによ
って、内外両側に鋭い内コーナー5、6が生じることが
多いが、この液相拡散接合途中で或いは終了後に接合部
を増肉加工することにより、図7(d)に示すように、
内コーナー5、6があった部分になだらかな盛り上がり
5A、6Aが形成され、ノッチとして作用しなくなる。
かくして得られた金属条材3も厚肉部3aを有すると共
に、肉厚が厚肉部3aに向かってなだらかに増加してお
り、図1、図5に示すような段部が形成されておらず、
このため、応力集中が生じにくい利点が得られる。
【0022】上記したように本発明は、液相拡散接合法
によって突合わせ接合した接合部を圧縮増肉させること
により、突合わせ部の側面段差に由来する直角状の鋭い
内コーナーを消滅させることを特徴とするが、その増肉
を行う領域及び増肉の大きさは、内コーナーを消滅させ
るのに必要な程度に限らず、それより大きくすることも
可能である。例えば、図8(a)に示す肉厚の異なる金
属条材1、2のうち、厚肉側の金属条材2の端部を、図
8(b)に示すように薄肉側の金属条材1の端面に揃う
ように加工した後、図8(c)に示すように突合わせ接
合する場合においては、接合面8の両側の比較的長い領
域L(例えば、各側に各肉厚の3倍程度の領域)を増肉
加工し、図8(d)に示すように、接合面8が厚肉側の
金属条材2の肉厚にほぼ等しくなるように増肉させるこ
とができる。この構成とすると、側面段差に起因する鋭
い内コーナー5、6を上記増肉変形を以て消滅させるの
みならず、接合部を厚肉化し、接合面8を厚肉部3a内
に位置させることができる。この構造は、図6(d)に
示す場合と同様に、強度上も有利である。
【0023】ここで、図8(c)に示す領域Lの増肉加
工を行うには、この領域L全体を同時に赤熱状態とし、
この領域に圧縮力を加えることにより実施可能な場合も
ある。しかしながら、やや長い領域Lを一度に増肉させ
ようとすると変形が不安定となり、所望パターンへの増
肉が困難である。そこで、図9に示すように、ハッチン
グで示す狭い区間10を赤熱させ且つその区間10に軸
方向の圧縮力Pを加えてその区間10を増肉させるとい
う操作を、その赤熱区間を軸方向に順次移動させて行う
方式を採用することが好ましい。この方式では、対象を
制約されることがなく、又、上記移動の間に増肉率を変
化させることが可能であることから、所望のパターンの
増肉を達成でき、図8(d)に示すような増肉を容易に
実現できる。この増肉加工のための赤熱の条件も前記し
た場合と同様に、1100°C〜1300°Cが望まし
い加熱温度である。なお、図9に示すように順次加熱増
肉を行う方法を採用する場合には、液相拡散接合を終了
した後、ある程度温度が低下した後、増肉操作を行うこ
ととなる。
【0024】以上に、厚さの異なる金属条材の端部同士
を接合して一体化することにより、厚肉部を有する金属
条材を製造する方法を説明したが、本願はこの発明に限
らず、同一厚さの金属条材を用いても厚肉部を有する金
属条材を製造しうる第二の発明も提供する。すなわち、
本願第二の発明は、二つの金属条材の端部にそれぞれ増
肉加工を施し、その金属条材の増肉加工した端部同士を
突合わせ接合して、少なくとも長手方向の中間部分の領
域に厚肉部を有する金属条材を製造する方法であって、
上記突合わせ接合を、接合すべき金属条材より融点の低
いインサート金属材を接合すべき面間に介在させて、上
記インサート金属材を含む接合に関わる部分をインサー
ト金属材の融点以上に加熱し、インサート金属材の成分
を両側の金属条材中に拡散させて接合する液相拡散接合
法によって行い、その液相拡散接合工程中若しくはその
後に、突合わせ接合部を赤熱下で金属条材軸方向に圧縮
して増肉させることにより、上記突合わせ接合部の側面
段差に由来する直角状の鋭い内コーナーを増肉変形を以
て消滅させることを特徴とする厚肉部を有する金属条材
の製造方法を要旨とする。
【0025】以下、この第二の発明を鋼管を例にとって
説明する。まず、図10(a)に示すように、鋼管であ
る金属条材1の端部に増肉加工を施し、増肉部1jを形
成する。この増肉加工には公知の方法を使用できるが、
鍛造を利用した方法とすることが好ましい。すなわち、
金属条材1の端部を赤熱し、その外周を外ダイスで拘束
し、端面にクランクプレス等によって瞬間的な打撃を加
え、増肉成形する。通常、ワンショットにより金属条材
1の厚さの5〜10倍位の長さの領域を、約倍の厚さに
まで容易に増肉加工できる。更に長い領域を増肉加工す
る必要がある場合には、増肉した部分の隣接領域を赤熱
し、同様な動作を繰り返す。この際は、内面にもダイス
があった方が良い。これにより必要な長さの領域を増肉
加工できる。また、増肉厚さを更に厚くしたい場合に
は、同じ増肉動作を繰り返せばよい。かくして、この方
法により、金属条材1の端部の所望長さに対して比較的
簡単に増肉加工を行うことができ、且つ良好な外面形状
が得られる。
【0026】次に、金属条材1の増肉加工した端部の端
面近傍を切断、研削して、接合に適した端面を形成す
る。また、必要に応じ、内面も所望の内径に研削精整す
る。この内径研削位置は、金属条材1の端部であるの
で、容易に実施可能である。
【0027】次に、図10(b)に示すように、端部を
増肉加工した2個の金属条材1、1を、増肉側の端部1
j、1jをインサート金属材を介して突合わせ、上述し
た第一の発明と同様に、液相拡散接合を行う。この際、
使用する2個の金属条材1、1は、通常、同じ厚さの金
属条材の端部を同じ厚さに増肉したものを用いるが、必
要に応じ、異なる厚さの金属条材を用いてもよい。ま
た、突合わせる増肉端部の厚さも異なる厚さであってよ
い。図10(b)は、同じ厚さの金属条材の端部を同じ
厚さに増肉したものを突合わせ接合する場合を示してい
るが、この場合でも金属条材1、1の端面同士を突合わ
せて接合する際の目違いによって、内外両側に鋭い内コ
ーナー5、6が生じることが多い。そこで、この液相拡
散接合途中で或いは終了後に、上述した第一の発明と同
様に接合部を増肉加工する。これにより、図10(c)
に示すように、内コーナー5、6があった部分になだら
かな盛り上がり5A、6Aが形成され、ノッチとして作
用しなくなる。かくして得られた金属条材3は、金属条
材の中間部分に厚肉部3aを有する構成となっており、
且つ接合部には側面段差に由来する直角状の鋭い内コー
ナーが増肉変形を以て消滅しており、応力集中を生じる
恐れはない。なお、この方法は、金属条材の端部の増肉
加工が必要であることから、増肉部の長さが短い場合に
適する。
【0028】
【作用】本発明は、先ず肉厚の異なる金属条材の端面同
士を液相拡散接合法により突合わせ接合する方法によっ
て(本願第一の発明)、或いは、端部を増肉加工した金
属条材の端面同士を液相拡散接合法により突合わせ接合
する方法によって(本願第二の発明)、局部厚肉化金属
条材を製造することとしたことにより、接合部の材質の
母材材質からの偏倚の殆どない、且つ熱歪みや加工歪み
による形状の狂いの少ない製品を、量産資材を活用して
低コストで製造することを可能にした。
【0029】次いで、本発明は、上記液相拡散接合法に
よる突合わせ接合部に、突合わせ時の側面段差に由来し
て生じる鋭い内コーナーを、上記接合部に据え込み増肉
加工を行うことによって消滅させるようにした。この結
果、上記鋭い内コーナーが応力を集中させるノッチとし
て作用する懸念が払拭された。上記増肉加工は、前記突
合わせ接合操作と同一の加熱チャンス内で、一連の操作
として行うことが可能であり、コスト負荷は小さい。ま
た、上記増肉加工を突合わせ接合操作の終了後に行う場
合であっても、単に接合部の狭い領域を環状に赤熱すれ
ばよいので、コスト負荷はさほど大きくならない。
【0030】このように、本発明方法によれば、上記二
つの基本構成、すなわち液相拡散接合による突合わせ接
合と、その突合わせ接合部の増肉加工とを組み合わせた
ことにより、信頼性の大な局部厚肉化金属条材製品が低
コストで得られる。
【0031】更に、本願第一の発明において、異なる肉
厚の金属条材の端部同士を突合わせ接合するに先立っ
て、両金属条材の少なくとも一方の端部を、突合わせる
べき二つの金属条材の端面形状がほぼ一致し且つ端面に
向かってなだらかに肉厚が変化するような形状に整形し
ておくと、この金属条材の端面同士を突合わせ接合して
得られた厚肉部を有する金属条材は、図6(d)、図7
(d)に示すように、薄肉部から厚肉部への肉厚変化が
なだらかとなり、段部が存在しないので、応力集中を一
層防止でき、曲げに対する強度が一層大きくなる。
【0032】ここで、薄肉側の金属条材の端部を図6
(b)に示すように増肉させておくと、得られた金属条
材3において接合面7は増肉部3a内に位置することと
なり、図7(d)に示す金属条材3に比べて、強度的に
より信頼感の高いものとなる。その根拠としては、接
合面積が大である、接合面が厚肉部内にある、の2点
を挙げることができる。特に、の接合面を厚肉部内に
配置した点は、単に接合面積の増大に寄与するのみでな
く、外力により生じる撓み等の弾性変形が小さい部位に
接合面を位置させた点に意義があるものである。即ち、
厚肉部を有する金属条材において、例えば厚肉部(厚さ
2 )と薄肉部(厚さt1 )に同じ曲げモーメントが加
えられた場合の両者の撓み量の比は、条材の断面形状に
応じて概ね、(t2 /t1 1 〜(t2 /t1 3 の範
囲にあって、厚肉部の弾性変形が顕著に小さい。このた
め、この厚肉部に接合面を位置させることにより、その
接合面に生じる弾性変形はきわめて小さく、従って、製
品の信頼感が格段に向上するのである。
【0033】更に、本願第一の発明方法では、図8で説
明したように、肉厚の異なる二つの金属条材の接合後に
おいて、大きい増肉を行うことにより、接合面を増肉部
内に位置させることも可能であり、この方法を採用する
ことにより、図6(d)に示す製品と同様に、強度的に
信頼感の高い製品を得ることができる。
【0034】本願第一の発明方法によって製造される最
も好ましい製品である、図6(d)或いは図8(d)に
示す構成の接合部を有する局部厚肉化金属条材は、金属
条材の長手方向の一部を塑性加工のみによって増肉し厚
肉部とした製品(従って接合面を有しない製品)と比べ
ても、信頼感において何ら遜色のない製品となってい
る。
【0035】
【実施例】
〔実施例1〕図11(a)に示すように、薄肉側金属条
材として、JISのSS400製で50(幅)×100
(長さ)mm×8mm(厚さ)の鋼片11を、厚肉側金
属条材として、同材質、同寸法で厚さのみを16mmと
した鋼片12を用意し、これらの鋼片11、12を、鉄
系アモルファスインサート金属材13(厚さ25μm)
を介して、短辺同士を、鋼辺の片面側に0.5mmの側
面段差が生じるように突き合わせ、この突合わせ部を誘
導加熱法で1250°Cまで急速加熱し、この温度に2
分間保持して液相拡散接合させた。また、この昇温過程
の途中で、上記突合わせ部が1100°Cに達した段階
で突合わせ部に8MPaの長手方向の圧縮力を3秒の間
加えて、増肉させた。なお、その前後には突合わせ部を
密着状態に保つため、4MPa程度の圧縮力を加えてお
いた。
【0036】この結果、図11(b)に示すように、鋼
片11、12が接合された接合体14が得られた。その
接合体14における接合面15の両側には、上記増肉加
工によりビード16、17が生じており、そのビード1
6、17は高さが約1mmであり、その表面には、突合
わせ接合に由来する内コーナーラインの形跡が淡く認め
られたが、凹凸の無い滑らかな外観を呈していた。
【0037】〔比較例1〕実施例1において実施した圧
縮増肉加工(8MPaの加圧操作)を行わなかった他
は、実施例1と同一仕様、条件で突合わせ接合を行い、
接合体を得た。この接合体は図11(a)に示した形状
と同様であり、鋼片11の両側に直角の鋭い内コーナー
が残っていた。
【0038】上記実施例1の接合体14と比較例1の接
合体の強度を図12に示す曲げ試験により比較評価し
た。この試験においては、図11に示す上記接合体14
(及び比較例1の接合体)を、厚肉側金属条材12を図
12中の19の位置にて切断し、その外側の部分20を
取り除き、1mm強の側面段差21を残して板厚をほぼ
揃えて供試品14Aとした。この際、接合部の精整は一
切行わなかった。
【0039】この供試材14Aを一対の支持棒23上に
乗せ、上方から半径12mmの半円頭ポンチ24を用い
て180°曲げ試験を行った結果、実施例1の接合体の
接合部には損傷が全く認められなかったのに対し、比較
例1の接合体の接合部には内コーナー部21に1mm以
下の割れを生じることがあった。これは、接合部にノッ
チを消滅させる措置を施した実施例1の接合体14の信
頼感の裏付けとなるものである。
【0040】〔実施例2〕図4に断面を示すように、薄
肉側金属条材1Eとして、JISのSTKR400角形
鋼管(外寸200mm角、肉厚6mm)を、厚肉側金属
条材2Eとして、同材質の角形鋼管(外寸200mm
角、肉厚12mm)を用意した。
【0041】まず、金属条材1Eの一端を赤熱し、外周
部を外ダイスで拘束した状態で鍛造加工して、その内周
側の最小輪郭が、金属条材2Eの内周部輪郭と概ね一致
するよう端部を増肉成形して、図13(a)に示す形状
とし、次いで最小輪郭部を線26で示す位置で切断し、
図13(b)に示す金属条材1E′を得た。
【0042】次に、金属条材1E′と金属条材2Eとを
軸線を揃え、インサート金属材を介在させて突き合わ
せ、実施例1と同じ条件で液相拡散接合を行い、この途
中で、圧縮力を20MPaとした他は、実施例1と同様
に増肉加工を行い、接合体を得た。この接合体の突合わ
せ接合部外周には、約2mm高さの増肉ビードが生じて
いた。
【0043】上記ビードの外観は、実施例1の場合と同
様であり、内コーナーラインの形跡は実施例1の場合よ
り更に淡くなっていた。又、200角の鋼管に対して、
上記2mm高さのビードは何ら外観を損なうものではな
かった。なお、本実施例のようにして製造した建築用の
柱材の厚肉部に梁材を溶接などにより接続する場合に
は、当該部分のビードを研削し平坦化すればよく、これ
によって新たなノッチが生成することはない。
【0044】〔実施例3〕薄肉側金属条材として、JI
SのSTK400鋼管(一般構造用炭素鋼管、外径21
6.3mm、肉厚6mm)を、厚肉側金属条材として、
JISのSTKM14A鋼管(機械構造用炭素鋼管、外
径216.3mm、肉厚12mm)を用意した。
【0045】まず、厚肉側金属条材の端から20mmの
内面を約17°のテーパー状に切削し、端面の形状、寸
法を薄肉側金属条材の端面に概略一致させた。次に、そ
のテーパー加工した厚肉側金属条材と薄肉側金属条材と
を軸線を揃え、インサート金属材を介在させて突き合わ
せ、実施例1と同じ条件で液相拡散接合を行った。ま
た、この液相拡散接合のための昇温時において、125
0°Cに達した時点で10MPaの圧縮力を3秒間加え
て増肉加工を行った。これらの操作の結果得た接合体で
は、突合わせ部外周に、約2mm高さの滑らかな増肉ビ
ードが生じており、内コーナーラインの形跡はほとんど
見られなかった。
【0046】〔実施例4〕図3に断面を示すように、薄
肉側金属条材1Dとして、JISのSWH400軽量H
形鋼〔外寸250mm(高さ)×150mm幅、ウェブ
肉厚3.2mm、フランジ肉厚4.5mm〕を、厚肉側
金属条材2Dとして、同材質、同外寸で肉厚の異なるの
軽量H形鋼(ウェブ肉厚4.5mm、フランジ肉厚9.
0mm)を用意した。
【0047】まず、上記厚肉側金属条材1Dの一端の約
10mm区間を、フランジは内面側のみをテーパー状
に、ウェブは両面をテーパー状に切削して、端面の形
状、寸法を薄肉側金属条材2Dに概略一致させた。
【0048】次に、この金属条材1Dと2Dとを軸線を
揃え、インサート金属材を介在させて突き合わせ、実施
例1と同じ条件で液相拡散接合を行った。次いで、上記
操作によって得られた接合体の接合面の両側の夫々10
mmに亘る領域(図9の領域L参照)に、狭幅の赤熱部
を移動させながら長手方向の圧縮力を負荷して行う移動
増肉操作を、赤熱温度を1250°Cとし、厚肉側から
開始する形で、圧縮力を20MPaをピークとして前半
は漸増、後半は漸減する形で付加する条件で実施して、
図8(d)に示すような増肉部を形成させた。
【0049】上記工程にて得られた製品では、接合面に
おける肉厚が、フランジでは約10mm、ウェブでは約
7mmに増加しており、且つ接合面の外周には内コーナ
ーラインの形跡はほとんど見られなかった。
【0050】
【発明の効果】本願第一の発明は、肉厚の異なる金属条
材を突合わせ接合することによって、長手方向の少なく
とも一部に厚肉部を有する金属条材を製造するものであ
り、しかも、その接合を液相拡散接合法によって行うと
共に、突合わせ接合部に増肉加工を施すことを特徴とし
ているので、量産規格材を利用して厚肉部を有する金属
条材を安価に製造することが可能であり、しかも、接合
が確実であると共に熱劣化、熱歪みの発生が少なく、形
状に狂いの少ない金属条材を製造でき、更に、液相拡散
接合によって生じ勝ちな鋭い内コーナーノッチは局部増
肉加工によって消滅しており、応力集中の生じにくい形
状の、厚肉部を有する金属条材を製造できるという効果
を有している。また、使用する厚肉側の金属条材の長さ
や肉厚を適当に選択することにより、種々な仕様の厚肉
部を有する金属条材を容易に製造可能であるという効果
も有している。
【0051】ここで、異なる肉厚の金属条材の端部同士
を突合わせ接合するに先立って、両金属条材の少なくと
も一方の端部を、突合わせるべき二つの金属条材の端面
形状がほぼ一致し且つ端面に向かってなだらかに肉厚が
変化するような形状に整形しておくと、薄肉部と増肉部
との間で肉厚がなだらかに変化した金属条材を製造する
ことができ、一層応力集中を生じにくい金属条材を得る
ことができるという効果が得られる。
【0052】その際、薄肉側の金属条材の端部を、増肉
側金属条材の端面に揃うように増肉整形しておくと、得
られた厚肉部を有する金属条材において接合面が厚肉部
内に位置することとなり、強度が一層向上し、増肉加工
のみによって厚肉部を一体的に形成させた製品に匹敵す
るような、高度の信頼感を備えた製品を製造できるとい
う効果が得られる。
【0053】また、厚肉側の金属条材の端部を、薄肉側
金属条材の端面に揃うように増肉整形して接合した場合
であっても、その接合面を含む領域を大きく増肉加工す
る構成とすると、得られた厚肉部を有する金属条材にお
いて接合面が厚肉部内に位置することとなり、上記の場
合と同様に強度が一層向上し、増肉加工のみによって厚
肉部を一体的に形成させた製品に匹敵するような、高度
の信頼感を備えた製品を製造できるという効果が得られ
る。
【0054】本願第二の発明は、二つの金属条材の端部
をそれぞれ増肉加工し、その増肉加工した端部同士を突
合わせ接合することによって、長手方向の中間領域に厚
肉部を有する金属条材を製造するものであり、しかも、
その接合を液相拡散接合法によって行うと共に、突合わ
せ接合部に増肉加工を施すことを特徴としているので、
この場合にも量産規格材を利用して厚肉部を有する金属
条材を安価に製造することが可能であり、しかも、接合
が確実であると共に熱劣化、熱歪みの発生が少なく、形
状に狂いの少ない金属条材を製造でき、更に、液相拡散
接合によって生じ勝ちな鋭い内コーナーノッチは局部増
肉加工によって消滅しており、応力集中の生じにくい形
状の、厚肉部を有する金属条材を製造できるという効果
を有している。
【0055】このように、本発明方法は、種々な仕様の
厚肉部を有する金属条材を安価に製造可能であるので、
製造された厚肉部を有する金属条材を建築物の柱や梁等
として利用しやすくなり、建築等の仕様ならびに作業工
程が改善される。かくして、本発明は建築業界等にとっ
ても極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明方法に用いる肉厚の異なる金属
条材の1例を示す概略断面図 (b)は本発明方法によって製造した厚肉部を有する金
属条材の概略断面図
【図2】(a)、(b)はそれぞれ、本発明方法に用い
る金属条材の例を示す概略断面図
【図3】肉厚の異なるH形鋼からなる金属条材の端面同
士を突合わせた状態で示す概略断面図
【図4】肉厚の異なる角形鋼管からなる金属条材の端面
同士を突合わせた状態で示す概略断面図
【図5】(a)は肉厚の異なる金属条材を突合わせ接合
する状態を示す概略断面図 (b)は金属条材を突合わせ接合し且つ増肉加工した後
の状態を示す概略断面図
【図6】(a)、(b)、(c)、(d)は本発明の一
実施態様によって厚肉部を有する金属条材を製造する工
程を示す概略断面図
【図7】(a)、(b)、(c)、(d)は本発明の他
の実施態様によって厚肉部を有する金属条材を製造する
工程を示す概略断面図
【図8】(a)、(b)、(c)、(d)は本発明の更
に他の実施態様によって厚肉部を有する金属条材を製造
する工程を示す概略断面図
【図9】金属条材間の接合部分に増肉加工を施す状態を
説明する概略断面図
【図10】(a)、(b)、(c)は本発明の他の実施
態様によって厚肉部を有する金属条材を製造する工程を
示す概略断面図
【図11】(a)、(b)は実施例1を説明する概略断
面図
【図12】接合体に対する曲げ試験を行う状態を示す概
略側面図
【図13】(a)、(b)は実施例2において、金属条
材の一端を増肉成形する動作を説明する概略断面図
【符号の説明】
1、1A、1B、1D、1E 金属条材 2、2A、2B、2D、2E 金属条材 3 金属条材 3a 増肉部 4、5、6 内コーナー 4A、5A、6A 盛り上がり

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 肉厚の異なる金属条材の端面同士を突合
    わせ接合して、長手方向の少なくとも一部の領域に厚肉
    部を有する金属条材を製造する方法であって、上記突合
    わせ接合を、接合すべき金属条材より融点の低いインサ
    ート金属材を接合すべき面間に介在させて、上記インサ
    ート金属材を含む接合に関わる部分をインサート金属材
    の融点以上に加熱し、インサート金属材の成分を両側の
    金属条材中に拡散させて接合する液相拡散接合法によっ
    て行い、その液相拡散接合工程中若しくはその後に、突
    合わせ接合部を赤熱下で金属条材軸方向に圧縮して増肉
    させることにより、上記突合わせ接合部の側面段差に由
    来する直角状の鋭い内コーナーを増肉変形を以て消滅さ
    せることを特徴とする厚肉部を有する金属条材の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の金属条材の製造方法に
    おいて、肉厚の異なる金属条材の端部同士を突合わせ接
    合するに先立って、両金属条材の少なくとも一方の端部
    を、その端面形状が他方の金属条材の端面形状にほぼ一
    致し且つ端面に向かってなだらかに肉厚が変化するよう
    に整形しておくことを特徴とする厚肉部を有する金属条
    材の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の金属条材の製造方法に
    おいて、肉厚の異なる金属条材の端部同士を突合わせ接
    合するに先立って、肉厚の小さい方の金属条材の端部
    を、その端面の形状が肉厚の大きい方の金属条材の端面
    形状に揃うよう、増肉成形しておくことを特徴とする厚
    肉部を有する金属条材の製造方法。
  4. 【請求項4】 肉厚の異なる金属条材の端面同士を突合
    わせ接合して、長手方向の少なくとも一部の領域に厚肉
    部を有する金属条材を製造する方法であって、接合に先
    立って肉厚の大きい方の金属条材の端部を、その端面の
    形状が肉厚の小さい方の金属条材の端面形状に揃うよう
    に且つ端面に向かってなだらかに肉厚が変化するように
    整形しておき、上記突合わせ接合を、接合すべき金属条
    材より融点の低いインサート金属材を接合すべき面間に
    介在させて、上記インサート金属材を含む接合に関わる
    部分をインサート金属材の融点以上に加熱し、インサー
    ト金属材の成分を両側の金属条材中に拡散させて接合す
    る液相拡散接合法によって行い、その後、突合わせ接合
    部を含む領域を赤熱下で条材の軸方向に圧縮して、その
    突合わせ接合部の厚さを厚肉側の金属条材の肉厚にほぼ
    等しくなるよう増肉させることを特徴とする厚肉部を有
    する金属条材の製造方法。
  5. 【請求項5】 二つの金属条材の端部にそれぞれ増肉加
    工を施し、その金属条材の増肉加工した端部同士を突合
    わせ接合して、少なくとも長手方向の中間部分の領域に
    厚肉部を有する金属条材を製造する方法であって、上記
    突合わせ接合を、接合すべき金属条材より融点の低いイ
    ンサート金属材を接合すべき面間に介在させて、上記イ
    ンサート金属材を含む接合に関わる部分をインサート金
    属材の融点以上に加熱し、インサート金属材の成分を両
    側の金属条材中に拡散させて接合する液相拡散接合法に
    よって行い、その液相拡散接合工程中若しくはその後
    に、突合わせ接合部を赤熱下で金属条材軸方向に圧縮し
    て増肉させることにより、上記突合わせ接合部の側面段
    差に由来する直角状の鋭い内コーナーを増肉変形を以て
    消滅させることを特徴とする厚肉部を有する金属条材の
    製造方法。
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