JPH08299425A - 香料収納体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、香料液体をジェル化し収納体に密封
するとともに、開封を容易にし、この香料を手に取って
肌等に着けて試すことができるようにして、香りの移り
変わり（トップ、ミドル、ラストノート）を楽しめるよ
うにした香料収納体を提供することにある。 【構成】ガスバリヤー性を有する下層シートと上層シー
トとを重ね合わせその周縁に僅かな余白を残して枠状に
ヒートシールした収納体であって、この上層と下層シー
トとの間にジェル状の香料を収納した香料収納体であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、香水、乳液、ファンデ
ーション等の化粧品、整髪料、シャンプー、リンス等の
トイレタリー商品等のキャンペーン用のサンプルの収納
体に関するもので、特にジェル状の香料を収納する香料
収納体である。

【０００２】

【従来の技術】従来より、宣伝、キャンペーン用の香料
や化粧品類のサンプルを収めた収納体が数多く知られて
いる。特に、化粧品等に香りを付与する花や香水等の香
料サンプルについては、下記の方法が一般的である。

【０００３】例えば、香料をマイクロカプセルに詰め印
刷インキ化し、スクリーン、オフセット印刷法等により
フィルムや紙基材に塗工し乾燥させた後、この香料塗工
紙による収納体の表面を指等で擦り、マイクロカプセル
を破壊することにより香りを発散させるようにした収納
体である。他例においては、紙基材を２つ折りして、折
られた内側面に接着剤成分を加えてマイクロカプセル化
した香料インキを、印刷等により塗工し接着させた香料
収納体で、この２つ折りした収納体を剥すことにより、
塗工されたマイクロカプセルが破壊され香りが発散する
ようにしたものである。さらに、香料液体をマイクロカ
プセル化せずに、直接印刷インキに混合して紙等に印刷
したもので、常に香りを発散させるシート、或いは香料
を添加混練りした樹脂フィルムにより、常に香りを発散
させる方法も特開平１−９７２７５号公報で提案されて
いる。

【０００４】また、香料マイクロカプセルインキにパウ
ダーを混合し、そのマイクロカプセルを指などで破壊す
ると、壊れたマイクロカプセルから出てくる香料液体を
パウダーが吸着し、それを手に取り体に着けて香りの移
り変わりを楽しむことができるものがある。しかし、そ
れは香りがするパウダーということで、それを肌に着け
ることに抵抗を持ったり、用紙等に塗布されたパウダー
は体裁も良くない。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】すなわち、香料液体を
マイクロカプセル化したものは、印刷などによる塗工の
際、或いは雑誌等に閉じ込める加工の際に、多少なりと
もカプセルが破壊されてしまい、雑誌自体だけでなく、
強いては書店内に香りが発散されて、香りによっては人
に不快感を与えてしまう。また、ダイレクトメール（Ｄ
Ｍ）として郵送する場合も、他の郵便物に香りが着いて
しまう等の問題がある。従って、これらのタイプは市場
に多く出回っているが、問題も多く抱えているために使
用される回数も少なくなっている。また、前記収納体に
よる香料は、いずれも香りのする部分に鼻を近くに寄せ
る行為を行わなければならない。すなわち、直接体に着
けることができないため、香りが体温によって発散する
独特のトップノート、ミドルノート、ラストノート（香
水は体温によって揮発して、香りを感じることができ
る。一つの香水の香りは１種類ではなく、揮発性の違い
から着けた直後に香りがして、しばらくするとまた別の
香りがして、さらに数時間すると最後の別な香りがする
のが一般的である。これを順番にトップノート、ミドル
ノート、ラストノートと言う）を味わうことができな
い。そこで本発明は、香料液体をジェル化して収納体に
密封するとともに、開封を容易にし、この香料を手に取
って肌等に着けて試すことができるようにして、香りの
移り変わり（トップ、ミドル、ラストノート）を楽しめ
るようにした香料収納体を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項１によれば、ガスバリヤー性を有する下層シー
トと上層シートとを重ね合わせ、その周縁の僅かに余白
を設けた内側に、枠状のヒートシールを施してなる収納
体であって、前記下層シートと上層シートとの間に、ジ
ェル状の香料を収納したことを特徴とする香料収納体で
ある。

【０００７】請求項２によれば、上層シートが、ポリエ
チレンとアルミニウム層とポリウレタン樹脂層との積層
シートで、下層シートが、ポリエチレンテレフタレート
とポリエチレンとの積層シートからなることを特徴とす
る。

【０００８】請求項３によれば、下層シートのポリエチ
レンテレフタレートとポリエチレンとの間に、アルミニ
ウム層を設けたことを特徴とする。

【０００９】請求項４によれば、上層シートの香料収納
部分のアルミニウム層を除き、透明な窓部を設けたこと
を特徴とする。

【００１０】請求項５によれば、上層シートの表面に
は、ボトル形状等の絵柄層を設けたことを特徴とする。

【００１１】請求項６によれば、香料収納体を、ボトル
等の容器形状としたことを特徴とする。

【００１２】本発明を図に基づき詳細に説明する。図１
に示すように、本発明の香料収納体は、ガスバリヤー性
を有する下層シート（Ｂ）として、ポリエチレンテレフ
タレートフィルム（Ｂ１）上に熱接着性樹脂として、ポ
リエチレン（Ｂ２）或いはスチレン−ブタジエン共重合
体（Ｂ２）を溶融押出しラミネーションにより積層し、
ガスバリヤー性を有するシートとした。一方、上層シー
ト（Ａ）としては、ポリエチレンフィルム（Ａ１）の片
面に真空蒸着により、厚さ５００〜１０００Åのアルミ
ニウム層（Ａ２）を設け、この上にポリエチレン（Ａ
３）、或いはポリウレタン樹脂（Ａ３）を溶融押出しラ
ミネーションにより積層し、ガスバリヤー性を有するシ
ートとしたものである。なお、この下層、上層シートの
構成は、ガスバリヤー性やヒートシールにより密封でき
る構成であれば特に限定はしないが、下層シート（Ｂ）
のポリエチレンテレフタレートフィルム（Ｂ１）上に、
上層シートと同様に、厚さ５００〜１０００Åのアルミ
ニウム層を設けることにより、一層のガスバリヤー性が
向上するとともに、熱や紫外線などによるジェル状の香
料の変質を防止する。また、上層シート面に絵柄を設け
る場合には、印刷適性がよいポリウレタン樹脂を積層す
ることが好適である。

【００１３】図２（ｂ）に示すように、上記構成の下層
シート（Ｂ）上に、ジェル状とした香料を置き、その上
から上層シート（Ａ）のポリエチレン層（Ａ１）と下層
シート（Ｂ）のポリエチレン層（Ｂ２）を合わせるよう
に被せて、周縁をヒートシール（１１）により密封す
る。このヒートシール部（１１）は、図２（ａ）に示す
ように、ジェル状の香料を取り出し易い接着強度にする
とともに、ヒートシールは最外周縁でなく、僅かに余白
を残して内側の周縁に設け、さらに周縁の１ヵ所にはピ
ールオフ部（Ｐ）を設けるとよい。

【００１４】また、ジェル状の香料収納部分に該当する
上層シート（Ａ）の中央部近傍に、アルミニウム層（Ａ
２）を除いて透明とした窓部（１２）を設けることで、
内容物が良く見えるようになる。なお、上層シート
（Ａ）にはアルミニウム層（Ａ２）を設けなくとも、ガ
スバリヤー性に影響はなく、全てが透明な香料収納体に
することも可能である。

【００１５】また、図２（ａ）に示すように、透明な窓
部（１２）を囲むように、例えばボトル等の絵柄層（１
３）を印刷しておくと、あたかもその容器に香料が入っ
ているように見えて、意匠性の優れた収納体となる。

【００１６】香料収納体の形状は方形状ばかりでなく、
図３に示すように、例えば収納体全体をボトル形状にす
ることにより一層意匠性が向上する。この場合には上層
シート（Ａ）に透明な窓部（１２）を設けなくとも、あ
たかも容器から香料を取り出す感じになり、興味ある収
納体の形態となる。

【００１７】本発明に係わるジェル状の香料（１５）の
成分は、例えば、香料原液に粉末シリカを０．１〜１０
重量％加えたもの、香料原液に７％アルギン酸ナトリゥ
ム等の増粘剤を１〜１０重量％を加えたもの、香料原液
にスチレンと脱水ひまし油の共重合体、或いはポリスチ
レンと脱水ひまし油の混合物を加えてジェル状にしたも
ので、いずれも、ジェル状香料の粘度は常温で１０〜１
０００ｃｐｓの範囲に調整したものである。

【００１８】また、この収納体の下層シート（Ｂ）にア
クリル樹脂等の接着剤を介して、カード状の台紙を接着
することにより香料収納体付のサンプルカードとなり、
或いは雑誌等に香料収納体を直接貼り着ければ、香料サ
ンプル付の雑誌となる等、この香料収納体を用いた各種
アプリケーションが考えられる。

【００１９】

【作用】本発明の香料収納体は、ガスバリヤー性を有す
る上層シート（Ａ）と下層シート（Ｂ）とによりジェル
状の香料を完全密封することにより、雑誌等に綴じ込ん
で販売したり、台紙に貼り付け郵送することが可能とな
り、香りが漏れることがないので、他の本や郵便物に香
りが染みたりしない。また、従来の香料サンプルは、ト
ツプノートの香りを嗅ぐことしかできなかったが、本発
明の香料収納体は、完全密封により香りを逃さず、しか
も、容易にジェル状の香料を取り出し、直接肌などに着
けて試すことができるのでトップノート、ミドルノー
ト、ラストノートと香りの変化を判定することが可能と
なる。

【００２０】

【実施例】以下に具体的実施例を詳細に説明する。

【００２１】＜実施例１＞図１及び図２に基づき実施例
１を説明する。厚さ２６μｍのポリエチレンテレフタレ
ートフィルム（Ｂ１）の上面に、ポリエチレン樹脂（Ｂ
２）を溶融押出しラミネーションにより積層し、ガスバ
リヤー性を有する下層シート（Ｂ）とした。一方、ポリ
エチレンフィルム（Ａ１）の片面に、部分的に水溶性樹
脂を塗布し、この上から真空蒸着により厚さ８００Åの
アルミニウム層（Ａ２）を設け、水洗により水溶性樹脂
層を洗い落とすことにより透明な窓部（１２）を形成し
た。さらにこの蒸着フィルム上に、ポリウレタン樹脂
（Ａ３）を溶融押出しラミネーションにより積層し、ガ
スバリヤー性を有する上層シート（Ａ）とした。また、
この上層シート（Ａ）上のポリウレタン層に透明な窓部
（１２）を囲むように、ボトル形状の絵柄層（１３）を
印刷した。

【００２２】前記下層シート（Ｂ）上にジェル状の香料
（１５）を置き、上から上層シート（Ａ）の透明な窓部
（１２）からジェル状の香料が見えるように覆って、周
縁をヒートシール（１１）する。この際ヒートシール
は、外側に僅かな余白を残して行い、また、周縁の１ヵ
所にピールオフ部（Ｐ）を設けて、周辺を打ち抜くこと
で方形状の香料収納体を得た。この香料収納体は、透明
な窓部からジェル状の香料が見えるとともに、ボトル形
状に印刷した絵柄層により、あたかもボトルに香料が入
っているように見える意匠性が高い収納体である。ま
た、香料の取り出しは、ピールオフ部より上層シートを
上方に引くと、ヒートシール部分に沿って容易に開ける
ことができ、香料を取り出すことができる。

【００２３】＜実施例２＞厚さ２６μｍのポリエチレン
テレフタレートフィルム（Ｂ１）の上面に、厚さ８００
Åのアルミニウム蒸着層設け、その上に溶融押出しラミ
ネーションによりポリエチレン樹脂を積層して下層シー
ト（Ｂ）としたもので、他は実施例１と同様にして作製
し、全体が不透明な収納体となりジェル状の香料を保護
する。

【００２４】＜実施例３＞厚さ２６μｍのポリエチレン
テレフタレートフィルム（Ｂ１）の上面に、ポリエチレ
ン樹脂（Ｂ２）を溶融押出しラミネーションにより積層
し、ガスバリヤー性を有する下層シート（Ｂ）とした。
一方、ポリエチレンフィルム層（Ａ１）にポエチレン樹
脂（Ａ２）を溶融押出しラミネーションして、ガスバリ
ヤー性を有する上層シート（Ａ）を得た。前記下層シー
ト（Ｂ）にジェル状の香料（１５）を置き、上から上層
シート（Ａ）を被せてヒートシール（１１）を行った。
他は実施例１と同様にして製造し、全体が透明で内容物
がよく見える香料収納体を得た。

【００２５】＜実施例４＞図３に基づき実施例４を説明
する。厚さ２６μｍのポリエチレンテレフタレートフィ
ルム（Ｂ１）の上面に、ポリエチレン樹脂（Ｂ２）を溶
融押出しラミネーションにより積層し、ガスバリヤー性
を有する下層シート（Ｂ）とした。一方、ポリエチレン
フィルム層（Ａ１）にポリウレタン樹脂（Ａ３）を溶融
押出しラミネーションして、ガスバリヤー性を有する上
層シート（Ａ）を得た。この上層シート上に中央部を透
明としたボトル形状の絵柄層（１３）を設け、ジェル状
の香料（１５）を収納した後に、下層シートと上層シー
トを僅かに余白を残してボトル形状にヒートシール（１
１）して、さらに、その周縁をボトル形状に打ち抜い
て、あたかもボトル形状の容器に香料が収納された状態
の香料収納体を得た。この場合においても、上方の一部
にピールオフ部（Ｐ）を設けた。

【００２６】

【発明の効果】本発明は以上の構成であるから、下記に
示す如き効果がある。すなわち、完全密封の香料収納体
により、本、雑誌に綴じ込んでも香りが漏れることがな
いので本や雑誌に香りが付着せず、強いては他の本や雑
誌に香りが染み着いたりしない。又はＤＭ等の葉書に、
この香料収納体を貼り込み郵送しても、他の郵便物に香
りが移ることがない。また、香料収納体の全体又は一部
を透明にして、そこにボトル等の絵柄層を設けるか、ま
た、ボトル形状に打ち抜いた収納体とすることで、あた
かも香料容器に香料が入っている感じを与え、さらにそ
の一部を開封することで香料容器から香料を取り出して
いる感じになり、消費者に興味をもたせるので宣伝、販
売等に大いに活用することが可能となる。また、従来の
香料収納体は、トップノートの香りしか確認することが
できなかったが、本発明の香料収納体は、ジェル状の香
料を取り出し実際に肌等に着けて試すことができるの
で、トップノート、ミドルノート、ラストノートと順次
香りの変化を試すことが可能となる等、意匠性の優れた
香料収納体である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の香料収納体を構成する、上層シートと
下層シートの積層構成の一例を示す断面図である。

【図２】本発明の一実施例における香料収納体（ａ）
と、この収納体の断面図（ｂ）である。

【図３】本発明の他の実施例における香料収納体の説明
図である。

【符号の説明】

１１…ヒートシール部 １２…透明な窓部 １３…絵柄層 １５…ジェル状の香料 Ａ …上層シート Ａ１…ポリエチレンフィルム Ａ２…アルミニウム層 Ａ３…ポリエチレン又はポリウレタン樹脂層 Ｂ …下層シート Ｂ１…ポリエチレンテレフタレート Ｂ２…ポリエチレン樹脂層 Ｐ …ピールオフ部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 // Ｂ６５Ｄ 85/00 0333−3Ｅ Ｂ６５Ｄ 85/00 Ａ

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ガスバリヤー性を有する下層シートと上層
   シートとを重ね合わせ、その周縁の僅かに余白を設けた
   内側に、枠状のヒートシールを施してなる収納体であっ
   て、前記下層シートと上層シートとの間に、ジェル状の
   香料を収納したことを特徴とする香料収納体。
2. 【請求項２】前記上層シートが、ポリエチレンとアルミ
   ニウム層とポリウレタン樹脂層との積層シートとして、
   下層シートが、ポリエチレンテレフタレートとポリエチ
   レンとの積層シートからなることを特徴とするを特徴と
   する請求項１に記載の香料収納体。
3. 【請求項３】前記下層シートのポリエチレンテレフタレ
   ートとポリエチレンとの間に、アルミニウム層を設けた
   ことを特徴とする請求項２に記載の香料収納体。
4. 【請求項４】前記上層シートの香料収納部分に、透明な
   窓部を設けたことを特徴とする請求項１に記載の香料収
   納体。
5. 【請求項５】前記上層シートの表面には、ボトル形状等
   の絵柄層を設けたことを特徴とする請求項１に記載の香
   料収納体。
6. 【請求項６】前記香料収納体を、ボトル等の容器形状と
   したことを特徴とする請求項１に記載の香料収納体。