JPH08296678A - 摩擦材 - Google Patents

摩擦材

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JPH08296678A
JPH08296678A JP9818595A JP9818595A JPH08296678A JP H08296678 A JPH08296678 A JP H08296678A JP 9818595 A JP9818595 A JP 9818595A JP 9818595 A JP9818595 A JP 9818595A JP H08296678 A JPH08296678 A JP H08296678A
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JP
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fiber
fibers
friction
hard inorganic
abrasive
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JP9818595A
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English (en)
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Norio Misawa
紀雄 三澤
Toshihiko Yuasa
俊彦 湯浅
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Aisin Chemical Co Ltd
Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
Aisin Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い摩擦係数を確保すると共に、相手材の摩
耗を少なくする。 【構成】 研磨性硬質無機繊維を含む繊維基材と、樹脂
結合剤と、充填剤とを含む摩擦材において、その研磨性
硬質無機繊維として平均繊維径が1.0〜4.5μmの
ものを使用する。繊維径の小さい研磨性硬質無機繊維を
用いるため、高い摩擦係数を確保できる一方、相手材の
摩耗を少なくすることができる。この研磨性硬質無機繊
維としては、アルミナ系、シリカ系、またはシリカ−ア
ルミナ系等のセラミック繊維またはウィスカ等を用いる
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等のディスクブ
レーキパッド、ドラムブレーキライニング、またはクラ
ッチフェーシング等として使用される摩擦材に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】自動車のディスクブレーキパッド、ドラ
ムブレーキシュー等として使用される摩擦材は、その相
手材であるディスクロータ、ブレーキドラムと摩擦係合
し、運動エネルギーを熱エネルギーに変える重要な役割
を担っている。そのため、摩擦材は十分な摩擦係数を有
するだけでなく、高負荷にも耐えることができる高い強
度と、優れた耐熱性と耐摩耗性とを有することが必要で
ある。また、その摩擦係数は、制動時に発生する熱によ
る温度変化に対しても、変化が少なく安定したものであ
ることも要求される。更には、相手材に対する攻撃性が
少ないこと、ノイズ(ブレーキ鳴き)やジャダーの発生
が少ないこと等も重要であり、摩擦材に求められる特性
は多項目に亘っている。
【0003】そこで従来から、これらの各種の特性を満
足するために、摩擦材は複合材として構成されている。
即ち、摩擦材は、骨格を形成する繊維基材、この繊維基
材を結合保持する樹脂結合剤、及びこれらの繊維と結合
剤とのマトリックス中に分散して充填される各種の充填
剤から一般に形成されている。なお、この樹脂結合剤と
しては、一般にフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が使用
されている。また、充填剤としては、主に耐摩耗性と耐
熱性を向上するための硫酸バリウム、炭酸カルシウム等
の体質充填剤、摩擦係数を調整し安定化する黒鉛等の固
体潤滑剤、カシューダスト等の摩擦調整剤、アブレッシ
ブ剤等が使用されている。
【0004】ここで、骨格を形成し、摩擦材に適度な多
孔性を付与すると共に摩擦材全体の強度と弾性を与える
繊維基材は、摩擦材の基材としてその主要な特性を大き
く左右する最も重要な材料である。そして、このような
繊維基材としては、古くは石綿繊維(アスベスト)が用
いられていた。しかし、この石綿繊維は健康に良くない
ことが分かり、そのため、近年では、石綿繊維以外の繊
維材料が摩擦材の繊維基材として使用されている。
【0005】その例としては、繊維基材の主材としてス
チール(炭素鋼)繊維を用いた、所謂、セミメタリック
系摩擦材があり、例えば、特開平2−117985号公
報に開示されている。このようなセミメタリック系摩擦
材は耐熱性に優れるだけでなく、スチール繊維が硬度の
高いものであるため、耐摩耗性に優れ、また比較的高い
摩擦係数を得ることができる。しかし、その反面、重量
が重く、また錆びたり、更には同種のスチールからなる
相手材を損傷し、摩耗させ易いという不具合を有してい
る。なお、制動時の鳴きも発生し易いため、上記公報に
開示のものでは、黒鉛と金属硫化物とを特定の比率及び
割合で配合することにより、それの改善を図っている。
【0006】そのため、最近では、繊維基材としてスチ
ール繊維を用いないか、または用いてもその配合量が少
ない、所謂、非スチール系摩擦材が、セミメタリック系
摩擦材に代わりむしろ摩擦材の主流となっている。そし
て、この非スチール系摩擦材では、繊維基材としては、
アラミド繊維等の耐熱性有機繊維、ガラス繊維、チタン
酸カリウム繊維等の無機繊維またはウィスカ、銅繊維、
真鍮繊維等の非鉄金属繊維が主に用いられ、また、これ
らの1種類のみでは石綿繊維の代替となる性能が得られ
ないため、これらの繊維またはウィスカは、複数種を組
合わせて一般に使用されている。
【0007】また、これらの石綿繊維の代替繊維による
非スチール系摩擦材は、それらの繊維が軟質であり、ま
たは比較的硬度が低いために、摩擦係数が低い傾向にあ
る。そのため、繊維基材としては、それらの繊維または
ウィスカに加えて、更に研磨性硬質無機繊維を併用する
ことが一般的である。この研磨性硬質無機繊維は、モー
ス硬度において一般に4以上の硬度(ただし、モース硬
度4であるチタン酸カリウム繊維またはウイスカよりも
高い硬度)を有するものであり、具体的にはスラグウー
ル、ロックウールまたはセラミック繊維等である。
【0008】なお、このような研磨性硬質無機繊維を繊
維基材として含む摩擦材、特に、非スチール系摩擦材
は、例えば、特開平4−60225号公報、特開平4−
106183号公報、特開平4−304284号公報等
に開示されている。特に、特開平4−60225号公報
では、鱗片状フィラの配合と共に、繊維基材として、ア
ラミド繊維及びチタン酸カリウムウィスカに加えて、モ
ース硬度が4〜6であるセラミック繊維とロックウール
とが組合わせて用いられている。ただ、これらの研磨性
硬質無機繊維としては、繊維径が1〜500μm、繊維
長さが5〜500μmであり、比較的大径の繊維または
粒子が用いられている。また、スラグウールとロックウ
ールは、その製造上平均繊維径が5.0μm以下となる
ことはなく、それ以上の平均繊維径を有している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように、摩擦材、
特に非スチール系の繊維またはウィスカからなる繊維基
材を用いた非スチール系摩擦材においては、ロックウー
ル、スラグウール或いはセラミック繊維等の研磨性硬質
無機繊維が繊維基材の一部として併用されている。そし
て、これによれば、摩擦材全体の強度、耐熱性を高め、
耐摩耗性を向上することができるだけでなく、その研磨
性により摩擦材の摩擦係数を高め、特に高速制動時等の
高負荷時の高い摩擦係数を確保することができる。ま
た、相手材の摩擦係合面を常に清浄に保つことができる
ため、ノイズ(ブレーキ鳴き)やジャダの発生を抑制す
ることもできる。
【0010】しかしながら、このように研磨性硬質無機
繊維を配合することによって、摩擦材の摩擦係数を高
め、また他の諸性能を向上することができるが、同時に
不具合も生じる。即ち、その研磨性によって、ディスク
ロータ等の相手材に対する攻撃性も高められるため、そ
れの摩耗量が多くなることである。そして、この相手材
の摩耗は、研磨性硬質無機繊維の配合割合を多くするほ
ど、より増大するものである。つまり、摩擦係数等の向
上と相手材の摩耗の増大とは比例している。
【0011】なお、この相手材の摩耗は固体潤滑剤の配
合により軽減されるが、それにも限界があり、またその
配合が多すぎると逆に摩擦係数が低下する。ただ、この
研磨性硬質無機繊維の配合による相手材の摩耗量の増大
は、極端な場合を除いて、スチール繊維を繊維基材の主
材とするセミメタリック系摩擦材の場合ほど多いもので
はない。そこで、実際上は、摩擦係数の確保がより重要
であるため、相手材の摩耗は許容範囲として妥協されて
いるのが現状である。
【0012】しかし、相手材の摩耗が少ないほど好まし
いことは言うまでもないことである。また、特に最近で
は、自動車の高速化等によって制動条件もますます苛酷
となる傾向にあり、相手材の摩耗も重要な事項となって
きている。そのため、摩擦係数を確保するために研磨性
硬質無機繊維を配合した摩擦材においては、それに伴な
う相手材の摩耗の増大を抑制することが要望されてい
た。
【0013】そこで、本発明は、高い摩擦係数を確保す
ると共に相手材の摩耗を少なくすることができる摩擦材
の提供を課題とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、摩擦材の
摩擦係数と相手材の摩耗とは、配合する研磨性硬質無機
繊維自体の種類によって多少とも異なるのではないかと
想定し、その組成(成分)及び硬度、繊維径及び繊維長
さを種々に変えて試験した。その結果、摩擦係数は研磨
性硬質無機繊維の組成等を変えても余り変化がないこ
と、また、相手材の摩耗は、それの組成及び硬度、繊維
長さによっては余り影響されないが、特にそれの繊維径
によっては大きく左右されることが見出された。そこ
で、この知見に基づいて更に試験と検討を重ねた結果、
研磨性硬質無機繊維として従来一般に使用されていたも
のよりも更に繊維径の小さなものを用いることによっ
て、従来の摩擦係数を実質的に低下することなく、相手
材の摩耗を少なくできることを見出し、また確認した。
【0015】即ち、本発明にかかる摩擦材は、研磨性硬
質無機繊維を含む繊維基材と、樹脂結合剤と、充填剤と
を含む摩擦材において、その研磨性硬質無機繊維は、平
均繊維径が1.0〜4.5μmの繊維からなることを特
徴とするものである。
【0016】
【作用】研磨性硬質無機繊維を繊維基材の一部として含
む摩擦材においては、その繊維の研磨性によって摩擦係
数が高められるが、同時に、相手材に対する攻撃性も高
められ、相手材の摩耗が多くなる。
【0017】しかし、本発明においては、その研磨性硬
質無機繊維として、繊維径が小さく、平均繊維径が1.
0〜4.5μmのものを使用しているので、後述の実施
例及び比較例からも分かるように、摩擦係数を従来と同
レベルに維持することができる一方、相手材の摩耗を従
来よりもかなり少なくすることができる。即ち、高い摩
擦係数を確保することができると共に、相手材の摩耗を
少なくすることができる。
【0018】なお、この理由は必ずしも明らかではない
が、試験結果から次のように推測される。つまり、研磨
性硬質無機繊維の繊維径にかかわらず、その研磨性自体
は同じであるから、摩擦材の摩擦係数は同程度に高めら
れる。しかし、研磨性硬質無機繊維の繊維径が比較的大
きい場合は、それによる相手材の研磨が比較的粗くなさ
れるのに対し、その繊維径が上記のように小さい場合
は、その研磨がより均一に、滑らかになされる。そのた
め、相手材の摩耗量は実質的に少なくなると考えられ
る。
【0019】ここで、この研磨性硬質無機繊維について
更に詳細に説明する。
【0020】研磨性硬質無機繊維としては、モース硬度
において一般に4以上のものを使用することができる。
ただし、モース硬度が4であるチタン酸カリウム繊維ま
たはウィスカは、耐摩耗性には優れているが研磨性がな
いため、この研磨性硬質無機繊維には含まれない。した
がって、研磨性硬質無機繊維のモース硬度は、このチタ
ン酸カリウム繊維またはウィスカよりも高い4.5以上
が好ましい。また、その上限は特に限定されるものでは
ないが、硬度が余り高くても摩擦係数の向上には限度が
あるため、特に、高い硬度は必要ではない。そのため、
実用上においては、アルミナ繊維または炭化珪素繊維等
の超硬質繊維のモース硬度9を限度とすることが好まし
い。したがって、研磨性硬質無機繊維のモース硬度は、
一般に、4.5〜9が好ましく、また、5〜7程度がよ
り好ましい。
【0021】また、この研磨性硬質無機繊維の平均繊維
径は、上述のように、小さいほど好ましい。それによっ
て、相手材の摩耗をより少なくすることができる。その
ため、その平均繊維径は、従来最も一般に使用されてい
るスラグウールまたはロックウールの繊維径が5.0μ
m以上であることから、これよりも更に小さい4.5μ
m以下が好ましい。ただし、平均繊維径が1.0μm未
満の繊維は製造が困難であり、また高価ともなる。した
がって、その平均繊維径は、実用上1.0μmを下限と
する1.0〜4.5μmが好ましい。なお、その繊維長
さは特に限定されるものではないが、摩擦材中に他の成
分と共に良好に保持されるためにも、十分な長さである
ことが好ましい。そのため、その平均繊維長さは、平均
繊維径の少くとも10倍以上であることが好ましく、一
般に50〜500μm程度が好ましい。
【0022】このようなモース硬度と平均繊維径とを有
する研磨性硬質無機繊維としては、より具体的には、ア
ルミナ−シリカ系繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、或
いは炭化物繊維、窒化物繊維等のセラミック繊維または
ウィスカを挙げることができる。これらの中でも、アル
ミナ−シリカ系繊維は、それのモース硬度と平均繊維径
の点からも、最も好適に用いることができる。またこれ
らは、それぞれ単独で使用することができるが、2種以
上を組合わせて使用することもできる。ただし、鉱滓を
原料とするスラグウールと天然鉱物を原料とするロック
ウールは、平均繊維径が5.0μm以上であるため、こ
こでは併用としても用いられない。なお、それらのセラ
ミック繊維は一般にショット(粗大粒子)を含んだもの
として製造されるが、そのようなショットは相手材の摩
耗または損傷の原因となる可能性があるため、それを出
来るだけ除いて使用することが好ましい。
【0023】そして、この研磨性硬質無機繊維は、摩擦
材全体に対して、一般に4〜20体積%程度の割合で配
合することができる。この割合は、繊維基材全体の10
〜40体積%程度に相当する。しかし、これは限定的な
ものではなく、所望の摩擦性能を得るために、これより
少ない配合割合とすることも、また多い配合割合とする
ことも適宜に可能である。特に、研磨性硬質無機繊維の
平均繊維径は小さく、相手材に対する攻撃性が少ないた
め、比較的多く配合することが可能である。
【0024】なお、摩擦材のその他の成分、即ち、その
他の繊維基材、樹脂結合剤、及び充填剤については、従
来と基本的に同様である。
【0025】その他の繊維基材は、摩擦材の繊維基材と
して通常用いられるものであり、非研磨性(相手材攻撃
性が無いか、または少ない)であって、またモース硬度
が一般に4以下である繊維またはウィスカである。具体
的には、アラミド繊維、ノボロイド繊維、ナイロン繊
維、レーヨン繊維等の有機繊維、チタン酸カリウム繊維
またはウィスカ、カーボン繊維、ガラス繊維等の無機繊
維またはウィスカ、銅繊維、真鍮繊維等の非鉄金属繊維
等である。そして、これらの繊維またはウィスカは、一
般にこれらの2種以上を相互に組合わせて、上述の研磨
性硬質無機繊維と共に使用することができる。
【0026】なお、この繊維基材としては、スチール繊
維またはステンレススチール繊維も使用することができ
る。そして、このスチール繊維を繊維基材の主材として
用いた場合には摩擦材がセミメタリック系摩擦材として
形成されるが、この場合、スチール繊維と相手材との同
種金属同士の摩擦により摩擦係数が高められるため、繊
維基材の一部として含まれる研磨性硬質無機繊維は、摩
擦材の摩擦係数を高めると言うよりは、むしろスチール
繊維による相手材の攻撃性を抑え、相手材の摩耗を抑制
するように働く。
【0027】樹脂結合剤としては、フェノール樹脂、メ
ラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエ
ステル系樹脂、或いはSBR等のゴム等を使用すること
ができる。これらの中でも、フェノール樹脂またはその
変性物が最も一般に使用されるものでもあり、特に好ま
しい。なおこのフェノール樹脂は、一般に粉末(ノボラ
ック型)として用いられる。
【0028】また、充填剤としては、硫酸バリウム、炭
酸カルシウム等の体質充填剤、グラファイト(黒鉛)、
二硫化モリブデン、三硫化アンチモン等の固体潤滑剤、
カシューダスト或いは他の有機高分子粉体等の有機ダス
ト、主に熱伝導性を向上するための銅粉、亜鉛粉、真鍮
粉等の金属粉、或いはその他の添加剤等を使用すること
ができる。なお、摩擦係数を向上するためのシリカ粉末
等のアブレッシブ剤は、研磨性硬質無機繊維が配合され
ているために基本的には必要ではないが、場合によれば
更に添加することもできる。
【0029】そして、以上の研磨性硬質無機繊維を含む
繊維基材、樹脂結合材、及び充填剤を含む摩擦材は、こ
れらの成分を混合し、この混合物を予備成形した後、加
熱加圧成形する通常の熱成形方法によって製造すること
ができる。
【0030】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と共に説明す
る。
【0031】図1は本発明の実施例及び比較例の摩擦材
の配合組成を示す表図である。また、図2は本発明の実
施例及び比較例の摩擦材において使用した研磨性硬質無
機繊維の種類と、それらの摩擦材の評価試験の結果とを
示す表図である。
【0032】〔摩擦材(パッド)の作製〕図1に示す配
合組成(体積%)で、そしてその研磨性硬質無機繊維と
して図2に示す種々の種類のものを用いて、本発明の実
施例1〜5の摩擦材を作製した。また、これらの実施例
との対比のために、比較例1〜3の摩擦材も合わせて作
製した。なお、これらの実施例及び比較例の摩擦材は、
具体的には、自動車のディスクブレーキ用パッドとして
具体化したものである。
【0033】図1のように、本発明の実施例(及び比較
例)の摩擦材(ディスクブレーキパッド)は、繊維基材
と、樹脂結合剤と、充填剤とを含み形成されている。そ
して、摩擦材の骨格を形成する繊維基材は、主材として
のアラミド繊維15体積%と、主に耐熱強度と耐摩耗性
を確保するためのチタン酸カリウムウィスカ10体積%
と、更に研磨性硬質無機繊維10体積%及び銅繊維3体
積%とからなっている。ここで、研磨性硬質無機繊維は
摩擦材の強度、耐熱性、耐摩耗性を補うと共に、その研
磨性により摩擦材の摩擦係数を高める。また、銅繊維は
摩擦材の熱伝導性を適度に高め、耐フェード性を向上す
る。なお、繊維基材はこのように複数種の繊維材料から
なっているが、ここではスチール繊維は含まれていな
い。そのため、本実施例の摩擦材は非スチール系摩擦材
として形成されている。
【0034】また、樹脂結合剤は、ここではフェノール
樹脂(粉末)からなり、17体積%の割合で配合されて
いる。更に、充填剤として、カシューダスト17体積
%、グラファイト5体積%、硫酸バリウム20体積%、
及び消石灰3体積%が配合されている。なお、消石灰
は、摩擦材のアルカリ性を保持し、裏金との接合面の防
錆性を高めるために添加されている。
【0035】この配合組成のもとで、上記の研磨性硬質
無機繊維として、図2のように、A〜Fの種々の種類の
セラミック繊維を用意し、各実施例及び比較例において
使用した。
【0036】実施例1において使用した研磨性硬質無機
繊維Aは、シリカ−アルミナ系のセラミック繊維からな
り、そのモース硬度は6、また平均繊維径は2.1μm
(平均繊維長さ150μm)である。また、実施例2に
おいて使用した研磨性硬質無機繊維Bは、同様にシリカ
−アルミナ系のセラミック繊維からなり、そのモース硬
度は6、また平均繊維径は3.0μm(平均繊維長さ1
10μm)である。実施例3において使用した研磨性硬
質無機繊維Cは、アルミナ繊維からなり、そのモース硬
度は9(または8〜9)、また平均繊維径は3.0μm
(平均繊維長さ100μm)である。実施例4において
使用した研磨性硬質無機繊維Dは、繊維Bと同じ組成の
シリカ−アルミナ系のセラミック繊維であるが繊維径が
異なり、平均繊維径は4.0μm(平均繊維長さ220
μm)である。実施例5において使用した研磨性硬質無
機繊維Eは、シリカ繊維からなり、そのモース硬度は
7、また平均繊維径は4.5μm(平均繊維長さ170
μm)である。
【0037】これらの各種の研磨性硬質無機繊維A〜E
に対して、比較例1において使用した研磨性硬質無機繊
維Fは鉱滓を原料とするスラグウールであり、そのモー
ス硬度は4.5(4を越えるが5よりは小さい)であ
り、また平均繊維径は5.2μm(平均繊維長さ150
μm)である。また、比較例2においては、研磨性硬質
無機繊維の配合を省いたものとした。更に、比較例3に
おいては、研磨性硬質無機繊維として、実施例1で使用
したセラミック繊維A5体積%と比較例1で使用したス
ラグウールF5体積%との等量混合物を使用した。
【0038】そして、これらの配合組成からなる実施例
及び比較例の摩擦材(ディスクブレーキパッド)の作製
は、通常の熱成形による方法によって、具体的には次の
ように行った。即ち、研磨性硬質無機繊維を含む上記の
配合の摩擦材原料をV型ブレンダで十分均一に混合し、
次いで、この粉状混合物を予備成形金型に投入し、常温
下、200kg/cm2 の圧力で1分間加圧して予備成
形した。次いでこの摩擦材の予備成形物を、予め表面に
フェノール樹脂系接着剤を塗布した裏金と共に熱成形金
型にセットし、400kg/cm2 の加圧圧力、160
℃の温度で10分間熱成形した。そして、これを更に2
50℃で120分間熱処理して、裏金と一体になった摩
擦材、ディスクブレーキパッドを得た。
【0039】〔評価試験〕次に、作製したこれらの実施
例及び比較例の各摩擦材(ディスクブレーキパッド)に
ついて、それらの摩擦係数と相手材摩耗性に関する評価
試験を行った。
【0040】摩擦係数については、JASO−C406
−82に準じて、擦り合わせ後の第2効力時(安定期)
の制動試験を行い、その時の摩擦係数を測定した。試験
条件は次のとおりである。 使用キャリパブレーキ型式:PD51−18V(スチー
ル製)。 イナーシャ:5.0kgf・m・s2 。 初速度:50km/h,100km/h。 制動液圧:60kgf/cm2 。 また、相手材(厚さ18mmのベンチレーテッド型スチ
ール製ディスクロータ)の摩耗性に関しては、JASO
試験終了後のその相手材の摩耗量を測定した。
【0041】測定した車速50km/h制動時と車速1
00km/h制動時のそれぞれの摩擦係数と、相手材の
摩耗量(μm)とを図2に合わせて示す。
【0042】〔試験結果〕図2のように、比較例1の摩
擦材は従来技術に相当するものであるが、この比較例1
の摩擦材によれば、研磨性硬質無機繊維であるスラグウ
ールFが配合されていることによって、これが無配合で
ある比較例2よりも摩擦係数、特に高速制動時の摩擦係
数がかなり向上されている。しかし、これと同時に、こ
の研磨性硬質無機繊維によって相手材に対する攻撃性も
増大し、その摩耗量がかなり増加している。なお、研磨
性硬質無機繊維が無配合の比較例2の摩擦材において、
高速(100km/h)制動時の摩擦係数が低いのは、
比較的有機質成分が多いために、そのような高負荷の制
動条件下ではフェードに近い状態が生じるためであると
思われる。また、その有機質分の熱による相手材への凝
着も起因すると考えられる。
【0043】この比較例1に対して、平均繊維径がいず
れも4.5以下である研磨性硬質無機繊維を使用した実
施例1乃至実施例5の摩擦材では、摩擦係数は50km
/h制動時と100km/h制動時共に殆ど減少がな
く、高い値に維持される一方、相手材摩耗量にはかなり
の減少が見られる。また、これらの実施例の相互の対比
から、研磨性硬質無機繊維の平均繊維径が小さくなるほ
ど、相手材摩耗量が減少する傾向も見られる。なおこの
場合、研磨性硬質無機繊維の繊維長さと相手材摩耗量と
の間には殆ど相関性が見られず、また、それのモース硬
度も相手材摩耗量には余り大きな影響は見られない。
【0044】また、研磨性硬質無機繊維として平均繊維
径が2.1μmであるセラミック繊維Aと平均繊維径が
5.2μmであるスラグウールFとを併用した比較例3
の摩擦材においては、相手材摩耗量の減少は見られるも
のの、その減少量は僅かである。そこで、この評価試験
の結果からも、研磨性硬質無機繊維を繊維基材として含
む摩擦材において、その研磨性硬質無機繊維として平均
繊維径が4.5以下の繊維を使用することによって、摩
擦係数を実質的に低下させることなく、相手材摩耗量を
少なくすることができることが分かる。
【0045】なお、本発明の摩擦材について特にディス
クブレーキパッドを例として説明したが、本発明を実施
する場合はこれに限定されるものではなく、ドラムブレ
ーキのライニング、或いはクラッチフェーシング等、種
々の摩擦材に適用することができる。また、研磨性硬質
無機繊維自体も含めて、繊維基材等の種類と配合割合等
についても、この実施例に限定されることなく種々に変
更することができる。特に、ここでは摩擦材をスチール
繊維が完全に含まれない非スチール系摩擦材として形成
したが、必要に応じてスチール繊維を繊維基材として用
いることができる。
【0046】
【発明の効果】以上のように、本発明にかかる摩擦材
は、研磨性硬質無機繊維を含む繊維基材と、樹脂結合剤
と、充填剤とを含む摩擦材において、その研磨性硬質無
機繊維は平均繊維径が1.0〜4.5μmの繊維からな
るものである。
【0047】したがって、この摩擦材によれば、繊維基
材として研磨性硬質無機繊維を含み、またその研磨性硬
質無機繊維として平均繊維径が1.0〜4.5μmであ
る小さい繊維径の繊維を用いているので、その研磨性硬
質無機繊維の研磨性によって摩擦材の摩擦係数を高める
ことができる一方、相手材の摩耗を少なく抑制すること
ができる。即ち、本発明の摩擦材によれば、高い摩擦係
数を確保することができると共に、相手材の摩耗を少な
くすることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の実施例及び比較例の摩擦材の
配合組成を示す表図である。
【図2】 図2は本発明の実施例及び比較例の摩擦材に
使用した研磨性硬質無機繊維の種類と、それらの摩擦材
の評価試験の結果とを示す表図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 研磨性硬質無機繊維を含む繊維基材と、
    樹脂結合剤と、充填剤とを含む摩擦材において、 前記研磨性硬質無機繊維は、平均繊維径が1.0〜4.
    5μmの繊維からなることを特徴とする摩擦材。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016508171A (ja) * 2013-10-04 2016-03-17 クライマックス・エンジニアード・マテリアルズ・エルエルシー 改善された摩擦材料およびその生産方法
CN114835436A (zh) * 2022-06-06 2022-08-02 安徽飞鹰汽车零部件股份有限公司 以矿渣棉为填料的过水槽耐磨鼓式刹车片及制备方法

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