JPH0829160B2 - エラスチンをベ−スとする生成物、その製造方法並びに特に生体用補綴物質及び人工支持体としての生物学的適用 - Google Patents

エラスチンをベ−スとする生成物、その製造方法並びに特に生体用補綴物質及び人工支持体としての生物学的適用

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JPH0829160B2
JPH0829160B2 JP61501451A JP50145186A JPH0829160B2 JP H0829160 B2 JPH0829160 B2 JP H0829160B2 JP 61501451 A JP61501451 A JP 61501451A JP 50145186 A JP50145186 A JP 50145186A JP H0829160 B2 JPH0829160 B2 JP H0829160B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、特に弾性及び堅牢性を有するエラスチンを
ベースとする生成物に係る。
本発明は更に、該生成物の製造方法並びに生体用補綴
物質及び特に人工組織又は細胞培養用支持体として使用
可能な支持物質の製造用としての該生成物の生物学的適
用法に係る。
エラスチンは、生物の弾性要素、特に肺、皮膚、動脈
壁、靭帯及び臍帯における弾性要素の構成成分であるこ
とが知られている。
該当するタンパク質は、一般に酸、アルカリ及びエラ
スターゼ以外のタンパク質分解酵素の作用に対して抵抗
性を有する硬タンパク質型であり、このタンパク質はエ
ラスターゼに対して特異的な基質を構成し、エラスター
ゼにより分解される。
エラスチンは、in vivoにおいて特に血清中のエラス
ターゼ阻害剤複合体によりエラスターゼの作用から保護
される。しかしながら、肺気腫又はアテローム性動脈硬
化症のような炎症性起源又は年齢に関連する各種の病理
過程においては、病気の早期の段階から恐らくエラスタ
ーゼの作用によりエラスチンの分解が観察される。
従来の研究の過程で、本発明の発明者の何人かは、血
漿又は血清中でin vivoで形成された血清エラスターゼ
−阻害剤複合体をin vitroにおいて確証しており、該複
合体がエラスチンに固着する能力及びpHを6から8.6に
上昇させることにより生じるエラスチン分解活性につい
て検討している。
ヒト血漿及び血清中で場合によって生じるエラスチン
分解活性の研究時に、1mMの酢酸カルシウム、酢酸マグ
ネシウム及び酢酸マンガンを含むpH6の0.2M酢酸塩緩衝
液中で37℃のインキュベーション条件下でエラスチンに
血漿又は血清を吸着させた処、このタンパク質の様相が
明白に変化し、顆粒状の特徴を失って綿状になったとい
う事実が報告されている。
この現象を解明するべく研究した結果、発明者らは、
所定の条件下で操作することにより、顕著な堅牢性と弾
性とを同時に備えるエラスチンをベースとする新規生成
物を形成及び単離できることを確認した。他の特に有利
な特徴としては、可塑性が挙げられる。
従って本発明の目的は、各種の形態、特に膜、管又は
フィラメントの形態であり各種の生物学的用途に関して
満足できる品質を有する生体用補綴物質又は支持物質を
製造することが可能な特性、特に弾性及び堅牢性を有す
るエラスチンをベースとする新規生成物を提供すること
にある。
本発明の目的は更に、容易な実施条件下で要求される
特性を得ることが可能な前記生成物の製造方法を提供す
ることにある。
更に本発明の目的は、例えば組織形成又は細胞培養用
支持体形成のための重要な要件に適合する生体用補綴物
質及び支持物質の製造用として、前記生成物の品質を利
用することにある。
エラスチンをベースとする本発明の生成物は、エラス
チンと、トロンビンにより凝固可能及び/又は活性化可
能なタイプの少なくとも1種のタンパク質とを含むアダ
クトから構成されることを特徴とする。
当然のことながら、本発明の範囲においてエラスチン
なる用語は、天然又は熟成したエラスチン、その誘導
体、更には特に加水分解により変質したエラスチンを包
含する。
有利なことにこの型の生成物は、化学的耐性及び優れ
た弾性及び堅牢性を備えている。更に該生成物は、可塑
性及び可撓性が大きく、気密性があり、成形可能である
ため、特に生物学的用途において極めて有利である。
一態様によると、エラスチンをベースとする本発明の
生成物は、エラスチン及び可溶性フィブリンを含むアダ
クトから構成される。
可溶性フィブリンは、凝固過程の間に下記の図式に従
ってフィブリノーゲンから中間的に形成される。
好適な生成物は、フィブリノーゲン及びエラスチンか
ら生成されるアダクトを含んでいる。
他の好適な生成物は、血漿及びエラスチンから生成さ
れるアダクトを含んでいる 本発明の別の一態様によると、エラスチンをベースと
する生成物はフィブロネクチンも含有している。
フィブロネクチンは特異的な親和性によりエラスチン
と結合し、従って著しく改良された可塑性を有するアダ
クトの生成に関与することが立証されている。フィブロ
ネクチンは血液起源であり得、好ましくはN.Eng.J.Me
d.,465,273,1443−1447に記載されたPool J.G及びShann
on A.E.の方法に従って低温沈殿により得られる。更に
フィブロネクチンは、胎盤血液又は培養細胞画分から精
製した形態で添加してもよい。
フィブロネクチンを含む型のアダクトは、有利にはエ
ラスチン及びクリオグロブリンからも生成される。
好適なクリオグロブリンは、フィブリノーゲン及びフ
ィブロネクチンを各種の割合で含有している。例えば約
10〜15g/(即ち緩衝液中に再構成された生成物1リッ
トル当たりの値)のフィブリノーゲンと約2〜4g/の
フィブロネクチンとを含む冷凍乾燥した所謂抗血友病A
画分が使用される。
他の画分は、濃縮したVIII因子の抽出過程で得られ、
約9〜20g/のフィブリノーゲンと約10〜14g/のフィ
ブロネクチンとを含んでいる。
冷凍乾燥したタンパク質複合体から形成される更に別
の画分は、特に約50〜90g/のフィブリノーゲンと、8
〜15g/のフィブロネクチンとを含んでいる。
Transglutine(特に1982年9月11日発行Nouvelle Pre
sse Medicale、35号538頁にThiebaut他により記載され
ている)と呼称されるこの複合体は更に、590±250u/ml
のXIII因子と、約95±35g/の全タンパク質、及びトロ
ンビンにより凝固可能なタンパク質約35〜90%を含んで
いる。
可溶性フィブリン又は可溶性フィブリンを生成する起
源としての誘導体及びエラスチンは、動物又はヒト起源
である。特に、エラスチンはウシ項靭帯又はヒト大動脈
又は臍帯から取り出す。
本発明の生成物のアダクトは、極めて安定である。窒
化ナトリウム又はエチルメルクリルチオサリチル酸ナト
リウムのような従来の生物学的保存剤上で数箇月間保存
することが可能である。
該生成物に強化又は付随すべき特性によって、形成さ
れたアダクト中のエラスチンに対する可溶性フィブリン
の親和性及び添加後の品質を変化させないような添加剤
であれば、各種の適当な添加剤を配合することができ
る。こうして得られる生成物を、以下の文中では特に生
物学的パッチと呼称する。
有利な添加剤は、コラーゲン又はセルロース誘導体又
はアルギン酸カルシウムのように、機械的品質を強化す
るための化合物から構成される。
加硫作用を有する化合物を添加することにより、弾性
を改良することができる。これらの化合物は、特に上記
エチルメルクリルチオサリチル酸ナトリウム又は好まし
くは水銀を含まないチオ尿素のような型の硫化化合物か
ら構成される。他方、γ線による滅菌は、一次格子に平
行な網状化(架橋)をもたらすのみならず、生成物の品
質を変えずに加硫剤の添加に無関係な加硫プロセスをも
たらす。
生体用補綴物質の機械的品質、弾性及び接着性を改良
するためには、複合体FVIII(抗血友病A)、von Wille
brand因子、トロンボスポンジン、ラミニン等のように
血液、動脈壁、胎盤又は培養細胞画分に由来する他の粘
着性タンパク質を更に添加してもよい。
上記エラスチンをベースとする生成物を製造するため
に使用される本発明の方法は、Ca++イオンにより活性化
されたトロンビンの作用下でフィブリノーゲンが可溶性
フィブリンに転換し、反応混合物中に綿状又は小繊維状
の生成物が現れるように、有利には特に温度及びpHに関
して実質的に生理学的な条件下で、トロンビン及びCa++
イオンの存在下に、フィブリノーゲン又はフィブリノー
ゲンを含む媒体、特に血漿とエラスチンとをインキュベ
ートする段階を含んでいる。
温度、Ca++イオン濃度及びpHは、主要な要素であるこ
とが分かっており、これは酵素系の介入を意味してい
る。
インキュベーション段階は有利には約37℃で実施され
る。
使用される生成物は好ましくは約pH7.4に平衡化され
る。
遊離状態のCa++の含有量は、有利にはin vivoの含有
量、即ち2mMのオーダーに相当する。
使用されるエラスチンは動物又はヒト起源であり、上
記器官から取り出される。
フィブリノーゲンソースとして血漿を使用する変形例
では、一般にエチレンジアミン四酢酸(EDTA)のクエン
酸塩緩衝液を含む抗凝血剤上で収集された血液から取り
出した血漿が使用され、従って、Ca++イオンあるいはヘ
パリンの複合化がもたらされる。
フィブリノーゲンを所望通りに転換するためにトロン
ビンの活性化を目的としてCa++イオンを遊離させるため
には、有利には透析により血漿を予処理する。
透析操作は、上記要件に適合するpH及びCa++濃度を有
する特に生理学的媒質に似た特徴を有する緩衝液を使用
して実施する。
特に好適なこの型の緩衝液として、リン酸塩1mM、NaC
l150mM、Ca++2mM、Mg1mMの組成を有するpH7.4のリン酸
塩緩衝液が挙げられる。
透析時に、Ca++イオンの複合化剤は透析室から除去さ
れ、フィブリノーゲンは上記図式に従って可溶性フィブ
リンに転換し、次いで不溶性フィブリンに転換する。
透析時間は有利には少なくとも60分程度とする。
上記条件で実施されるインキュベーション段階の直
後、即ち数分以内には、エラスチンが物理的に転換され
る。すなわち顆粒粉末状態から結合組織の分裂状態であ
る小繊維状態に移行する。
反応混合物の撹拌により繊維が形成され、この繊維を
例えば遠心分離により分離する。
後述する用途に使用可能な生体用補綴物質を得るため
には、次のように操作することが有利である。
−特に所望の生成物の機械的特性、弾性及び網状化(架
橋)を改良することの可能な添加剤、次いでフィブリン
又はフィブリンの起源となる化合物又は組成物をエラス
チンに順次添加する。フィブリンの起源としてフィブリ
ノーゲン又はこれを含有する化合物を使用する場合、フ
ィブリノーゲンからフィブリンへの転換を得るべく反応
混合物にトロンビンを加える。次に、生物学的パッチが
形成されるまで混合物を37℃程度の温度でインキュベー
トする。混合物に添加した各成分を十分に分散させるた
めには、VORTEX型の混合機を使用する。
弾性及び機械的特性の結果として生物学的パッチは成
形可能となり、従って所与の用途に望まれる形態及び寸
法を有する膜表面を得ることが可能になる。
チューブ、フィラメントあるいは膜形態の生物学的パ
ッチ、又はこれらの製造に使用される鋳型の形態を有す
る材料を得ることも可能である。
得られた生物学的パッチを型から外し、場合によって
は標本から過剰の水を除去するために例えば紙上で乾
燥させ、そのまま使用する。
保存のためには、バッチをアルコール、特にエタノー
ル中に置き、窒素のような不活性ガス下の密閉エンベロ
ープ中に封入する。有利にはパッチを滅菌するためのこ
の保存用エンベロープに放射線を照射するが、この処理
は加硫及び網状化を改良する効果もある。
細胞培養用の支持膜としてパッチを使用する場合、パ
ッチを含んでいる標本から予め水を除去せずに保存及び
滅菌することが好ましい。
生体用補綴物質、人工組織、組織再生又は同様の要素
として適用するためには、パッチをアルコール中に保存
すると有利である。この場合、使用時に例えば紙によ
り過剰のアルコールを除去し、次に数個の生理的血清浴
にパッチを浸漬させる。
更に注目すべき点として、本発明のパッチは細胞培養
に使用される媒体中in situで形成することも可能であ
る。
本発明のエラスチンをベースとする生成物の特性に関
する研究の結果、優れた安定性も明らかになった。堅牢
性及び弾性、更に有利なことに生体適合性及び気密性を
有しているため、本発明のエラスチンをベースとする生
成物は特に生体用補綴物質として有用である。
従って、本発明はアダクトを含む新規生体用補綴物質
又は上記のようなエラスチンをベースとする生物学的パ
ッチに係る。
本発明の好適な生物学的パッチとしては、本質的にエ
ラスチン、フィブリン、フィブロネクチン及びコラーゲ
ンを含むパッチ、更にはこれらの4種類の成分に加えて
チオ尿素を含むパッチが挙げられる。
これらの生体用補綴物質、「人工皮膚」又は「人工結
合組織」として最も有用である。
これらの生体用補綴物質は特に、生体適合性接着剤及
び/又は特に費用のかかる外科的縫合と組み合わせて使
用される支持、強化又は充填部分から構成される。
生体適合性接着剤としては、特に粘着性を兼備するTr
ansglutineが挙げられる。
これらの生体用補綴物質の凝塊形成特性は、組織損傷
再生手段としての使用を助長するという点を明記すべき
である。実際に、血液及び生物学的パッチの界面のレベ
ルにおける血液成分、即ち血小板と凝固タンパクとの反
応は、血小板の活性化、その粘着及び顆粒の内容物の分
泌を可能にし、こうして血小板凝塊を形成し、組織損傷
レベルにおけるアダクトの固定を助長する。
本発明の生成物は、まず組織再生プロセスを開始し、
次いで該プロセスを案内する一時的支持組織の役割を果
たす。これらの特性により、あらゆる外科分野に該生成
物を適用することができ、特に消化器、血管、泌尿器、
生殖器及び産科、上顎顔面及び成形外科、皮膚科、胎児
及び新生児並びに獣医学の外科手術に適用できる。
本発明の生成物は、所定の組織の欠損を補整すること
ができ、特に火傷の治療が可能である。
他の一態様によると、本発明の生成物は細胞培養用の
支持体として特に有用な支持物質を構成する。
滑約筋細胞、フィブロブラスト、上皮細胞及び内皮細
胞の培養を高い収率で実施することができる。
本発明の生成物は培養移植組織としても使用可能であ
り、表皮を形成するために高い収率で増殖する上皮細胞
が植込まれる真皮台座を構成する。これらの移植組織は
生体適合性であるため、受容体の生物に移植可能であ
る。
支持体として本発明の生成物は、酵素、又は特にエラ
スチン、コラーゲン、フィブリノーゲン及びフィブロネ
クチンの分解に関係する酵素の特異的又は一般的阻害剤
のような生物学的生成物の移植(greffage,グラフト固
定化)にも使用可能である。
この型の支持体では、エラスチンをベースとする生成
物中に、例えばαマクログロブリン、アプロチニン、
α−1−アンチトリプシン又はアンチプラスミンのよう
な酵素が含有されている。
別の態様によると、本発明は細胞培養又は組織再生を
実施するために必要な要素を含むキットにも係る。
好適なキットの型は、例えば実施すべき細胞培養に従
って可変な厚さを有する生物学的パッチを含むペトリ皿
型の容器から構成される。
別の型のキットは、有利には保存用エンベロープに封
入されたパッチ及び生物学的接着剤特にTransglutineを
含むフラスコから構成される。
本発明の他の特徴及び利点については、本発明の生成
物の製造及び「人工組織」としての適用に関する以下の
実施例中で説明する。
これらの実施例は第1図から第5図を参考とするもの
であり、これらの図面は夫々、 −エラスチンおよびフィブリンを含むアダクトの形成を
示す写真(第1a図〜第1d図)、 −リン酸塩緩衝液による透析時におけるCa++,Mg++の含
有量の変化を時間の関数(第2図)及び透析用緩衝液中
のCa++含有量の関数(第3図)として示した曲線、 −フィブリノペプチドAの形成及びフィブリノーゲンの
含有量の減少を時間の関数として示した曲線(第4
図)、及び −トロンビンの添加量の関数としてアダクトの形成時間
(第5図)を示すものである。
使用した材料の出所を以下に述べる。
ウシ項靭帯のエラスチンは、Worthington系パリEUROB
IOから入手した。
ヒト大動脈のエラスチンは、LEPPERTによりArch.Bioc
hem.Biophys.1983;222:53−58中に記載されているLANSI
NGの方法に従って準備した。エラスチンを強く洗浄後、
使用直前に37℃の適当な緩衝液で膨張させた。
ヒト血漿のサンプルはクエン酸塩上で得、−40℃に維
持した。
ヒトフィブリノーゲン(品質L)は、スウェーデン、
ストックホルムKABI DIAGNOSTIC社から入手した。放射
性標識は、Biochem.J.1963;39:114−123に記載のGREENW
OOD他の方法に従って実施した。0.1M、pH7.5のPBS1ml中
に10mgのフィブリノーゲンを溶解させた。500μCiのヨ
ウ素125でフィブリノーゲンを標識した。メタ重亜硫酸
塩により標識したフィブリノーゲンの還元を避けるため
に、還元段階は実施せず、I-からI+への酸化直後に粗生
成物を直接且つ迅速にゲル過用カラム(セファデック
スG50)に当てた。5×106cpm/mgのフィブリノーゲン
-125Iが得られた。
ヒトトロンビンとしては、Ortho Diagnostic systems
Incから入手した生成物を50μ/mlの割合で使用した。
ヒルジンは、Sigma系パリOSIから入手した生成物であ
る。
Ca++及びPg++の割合は、原子吸収により決定した。
血漿中のフィブリノーゲン濃度は、Acta Hemat.1957;
17:237−247に記載のVon Clauss他の方法に従って測定
し、クエン酸塩の含有量は、ZENDER他の酵素方法(Cli
n.Chim. Acta 1969;24:335−340)により測定した。
ヒトフィブリノペプチドAは、SORIA他によりThromb.
Research 1980;20:425−435中に記載されている固相免
疫−酵素試験を使用して測定した。
実施例1:ウシ項靭帯のエラスチン及びクリオグロブリン
のVIII因子画分に由来する可溶性フィブリンをベースと
するアダクトの調製 5mlの溶血管中で、pH7.4のリン酸塩緩衝液(リン酸塩
1mM、NaCl150mM、Ca++2mM、Mg1mM)によりエラスチン50
mlを注意深く洗った。遠心分離により洗浄用緩衝液を除
去した。
1.5mlのリン酸塩緩衝液中にエラスチンをおいた。保
存剤(例えば200mg/の割合の窒化ナトリウム)を添加
した。
Vortexによりエラスチンを分散させ、次に0.5mlのVII
I因子(同様に窒化ナトリウムを含有する1.5mlのリン酸
塩緩衝液中に15mgのフィブリノーゲンと8mgのフィブロ
ネクチンとを含む)を加えた。
同様にVortexにより混合物を分散させた。
周囲温度で6単位のトロンビン(Thrombase500の溶液
50μ)を加えた。Vortexによる撹拌後、その後の型外
しを容易にするために予めトロンビンを塗布した型に混
合物を注入し、37℃で約30分間インキュベートした。生
成物を回収し、洗い、乾燥させた。
変形として、混合物を型に注入する代わりに、反応管
内でインキュベーションを実施し、形成された生成物を
遠心分離により分離してもよい。
実施例2:フィブリン及びクエン酸塩で処理したヒト血漿
に由来するエラスチン及びイト大動脈エラスチンのアダ
クトを含む生成物の調製 上述のpH7.4のリン酸塩緩衝液を30分毎に3回交換す
ることにより、クエン酸塩で処理したヒト血漿10mlを透
析した。
これらの操作の終了時に、透析室は最早フィブリノー
ゲンを含んでいないが、不溶性のフィブリンはまだ形成
されていなかった。
約1gのエラスチンを加え、洗浄し、膨張させ、37℃の
同一の緩衝液で平衡化させた。
緩衝液中に懸濁されたエラスチンに、最終容量10ml/g
の割合で手動式に弱く撹拌しながら透析済み血漿を加え
た。
直ぐに反応が生じたので、2分間3000t/mnで遠心分離
することにより反応を停止させた。
形成された生成物を不溶性フィブリン(凝塊)から分
離し、再び沈降させ、過剰のリン酸塩緩衝液で洗った。
懸濁液を手動式に弱く撹拌すると生成物はほぼ小繊維
状となり、反応を続行すると膜を形成した。
過剰の不溶性フィブリンは、コラーゲンと同様に生体
用補綴物質の最終凝集力に関与する。
第1図は、夫々 a)リン酸塩緩衝液中にエラスチンのみが懸濁している
状態、 b)フィブリンの凝塊形成初期状態、 c)エラスチン及び血漿の混合物の手動撹拌後のアダク
ト d)混合物を放置した時に形成されるアダクト を示す写真である。
実施例3: 1.エラスチンをベースとする生物学的パッチの機械的特
性及び走査型顕微鏡による分析 材料及び手法 1)ヒト血漿から単離したフィブロゲン及びフィブロネ
クチンとヒト又は子ウシのエラスチンとから新規人工結
合組織又はパッチを構成し、カルシウムの存在下でトロ
ンビンの作用下に全体を結合した。この標準標本に、コ
ラーゲン、アプロチニン、チオ尿素又はヘパリンを加え
た。チオ尿素及びヘパリンは網状化剤として作用する。
2)得られたパッチの各型のサンプルを走査型顕微鏡で
観察し、構造を検討した。
3)更に各サンプルの機械的強さに関する特性を試験し
た。
最も強靭なパッチを決定するために、破壊強さ及び弾
性率を検討した。
結果 1)化学的特徴 エラスチン、フィブロゲン及びフィブロネクチンから
誘導した生成物をトロンビンの存在下で結合することに
より、pH及びイオン濃度に関する生理学的条件下で安定
な新規組織基質(マトリックス)が形成された。
2)構造的特徴 走査型電子顕微鏡によると、パッチは網状繊維を呈し
ており、単離されたエラスチンは全く結合のない小繊維
形態であった。コラーゲン及びアプロチニンはパッチの
網状化を変化させず、繊維の目の間に残っていた。一
方、チオ尿素及びヘパリンは網状化を改良していた。こ
のような電子顕微鏡試験によると、血漿の小繊維状部分
はエラスチンと結合していた。エラスチンの全長に沿っ
てフィブリノーゲンの誘導体と共に非常に強く結合して
いることが観察された。
3)物理的特徴 伸び計によりパッチの機械的強さを測定した処、16.7
±2.32g/10mm2であった。ヒトエラスチンを使用すると6
3.6%(p〉0.05)増加し、チオ尿素を添加すると140%
(p〈0.001)増加した。パッチの弾性率は9.28±0.69
であった。弾性率は、ヒトエラスチン及びチオ尿素の存
在により272%増加した。
実施例4:本発明の生成物の形成条件に関する結果 1)Ca++含有量の影響の検討 a)クエン酸処理した血漿をリン酸塩緩衝液で透析する
ことにより、時間の関数として得られるクエン酸塩、フ
ィブリノーゲン及びCa++の含有量に関する結果を第2図
に示した。
この図面に示した4種類の曲線は夫々以下の測定に対
応する。
−曲線○…○…:透析用としてリン酸塩1mM、CaCl21m
M、MgCl21mM、NaCl150mM、pH7.4のリン酸塩緩衝液を使
用した場合のCa++含有量、 −曲線●…●…:CaCl2を2mMとした以外は前記と同様の
透析用緩衝液を使用した場合のCa++含有量、 −曲線△…△…:クエン酸塩含有量(gl-1)、 −曲線□…□…:フィブリノーゲン含有量(gl-1)。
正常なヒト血漿のCa++含有量は約2mM-1であるが、1mM
-1Ca++の透析用緩衝液を使用した場合、透析室中のCa++
含有量は変わらないことが確認された。
更に、同一の血漿を2mMl-1Ca++(即ちCa++濃度が透析
室の内外で等しい)のPO4緩衝液で透析すると、透析の
2時間後に血漿のCa++濃度が約3mM-1まで増加すること
が確認された。
この過程において、クエン酸塩は透析室から除去さ
れ、フィブリノーゲンは上記図式に従って可溶性フィブ
リン、次いで不溶性フィブリンに転換した。
b)第3図は、PO41mM、NaCl150mM、MgCl21mM、CaCl
20、0.1、0.5、1.0、1.5及び2mM、pH7.4の緩衝液で30分
間透析後、透析用緩衝液のCa++濃度の関数としてクエン
酸塩及びフィブリノーゲンの濃度の変化を表す曲線を示
した。
各測定を次の曲線により示した。
−Ca++:曲線○…○…、 −Mg++(mMl-1):曲線●…●…、 −クエン酸塩(gl-1):曲線△…△…、 −フィブリノーゲン(gl-1):曲線□…□…。
Mg++は別として、クエン酸塩及びフィブリノーゲンの
濃度の変化は透析用緩衝液のCa++濃度に依存することが
確認された。Ca++濃度は浴のCa++濃度がゼロの時やや減
少し、その後、浴のCa++濃度が増加すると増加してい
る。
2)フィブリノーゲンの転換に関する検討 第4図は、時間の関数として示した透析室内のフィブ
リノーゲン濃度(曲線□…□…)及びフィブリノペプチ
ドAの濃度(曲線●…●…)を表す。フィブリノーゲン
含有量は減少し、フィブリノペプチドA含有量は増加す
ることが明らかである。
3)アダクトの形成メカニズムの検討 エラスチン100mg及びpH7.4のリン酸塩緩衝液10ml(総
容量)中にフィブリノーゲン125Iアリコートを含むフィ
ブリノーゲン12mlに、透析済み血漿1、2又は3mlを加
えた。
真空凍結乾燥後、アダクトの品質を測定した。
得られた結果を下記の表に示す。
以上の結果から、放射能の大部分は形成された生成物
に留どまること、及びアダクトの形成には少量のフィブ
リンしか必要としないことがわかる。
4)トロンビンの影響 第5図は、pH9.4のリン酸塩緩衝液10ml中にエラスチ
ン100mgと125Iで標識したヒトフィブリノーゲン15mgと
を含む懸濁液に、増加量のトロンビン(uml-1、総容
量)を添加した場合の検討することにより得られた結果
を示す。アダクトは時間に反比例して形成されることが
確認される。
エラスチン(100mg)に、増加量のフィブリノーゲン
125Iと共に所与の量のトロンビン(0.1u/ml)を加える
と、アダクトの形成時間はフィブリノーゲンの濃度に依
存することが認められた。
更に、トロンビンの特異的阻害剤であるヒルジンをエ
ラスチン−血漿システムに予め加えると、何の効果も観
察されなかった。
実施例5:生物学的パッチの製造 上述のようにして準備し、pH7.4の過剰のリン酸塩緩
衝液で洗ったヒト大動脈のエラスチン500mgを使用し
た。
標本を遠心分離し、エラスチンを回収した。
pH7.4のリン酸塩緩衝液2ml、Speciaから商標Zymofr
neで市販されているようなアプロチニン0.3ml、pH7.4の
リン酸塩緩衝液ml当たり20mgの割合のチオ尿素溶液0.2m
lを順次添加した。VORTEX型の混合機により分散状態の
懸濁液を形成し、本質的にリン酸塩緩衝液中のフィブリ
ノーゲン(40g/)とフィブロネクチン(8〜10m/)
とから形成される低温沈降物3ml、2mg/mlの割合の水溶
性コラーゲン(I型)溶液2ml、トロンビン溶液200μ
(即ち商標Thrombase500で市販されているトロンビン25
単位)を順に加えた。
十分に分散した状態の懸濁液が得られるように、各添
加段階の間ではVOETEXにより混合物を激しく撹拌した。
有利には、標本を注入する型に等量、即ち25単位のト
ロンビンを加え、形成される生物学的パッチを後で剥離
し易くした。
全体を約30〜60分間37℃でインキュベートした。
次に生物学的パッチを型外しし、標本から過剰の水を
除去するべく紙にはさんで約1時間乾燥させた。パッ
チを細胞培養支持体として適用する場合、乾燥段階は実
施しない。
保存のために、パッチを窒素下の保存用エンベロープ
に封入し、生成物を再生用要素として使用する場合には
約6時間γ線に当て(0.5Mラドの放射線)、アルコール
の存在下で封入及び放射段階を実施し、この場合、使用
時には紙でアルコールを除去し、パッチを数個の生理
的血清浴に浸漬させる。
実施例6:「人工皮膚」としての適用、接着能力の検討 実験1 原則: 実施例1の生成物から形成された正方形の膜を実験用
マウスの背中と動物の正方形の皮膚片とに張り付け、剥
離に対する機械的強さの試験を実施した。
正方形の皮膚片に鉤を固定し、ビュレットで測定しな
がら増加量の水により加えられる力を伝達した。正方形
皮膚片の総剥離力は、グラムで表した最大引っ張り強さ
に対応する。使用した接着剤は、上述したTransglutine
なる製品に対応するクリオグロブリンにより構成した。
操作方法: エーテルを収容した容器内に約20gのマウスを閉じ込
めて殺した。
動物をプレートに固定し、背中を剥いだ。2cm/2cmの
正方形に切断し、更にこれを1cm/1cmの4個の正方形に
切断した。
製剤Transglutineにより構成される生物学的接着剤を
1cm2当たり0.05mlの割合で使用し、本発明の正方形の膜
を張り付けた。こうして準備した正方形の膜を、予めト
ロンビン(Thrombase500)を含浸させた背中に付着させ
た。
この正方形片にTransglutineを塗り、上記動物の正方
形皮膚片に張り付けた。
30分間放置後、正方形の中心に牽引装置を引っ掛け
た。正方形の皮膚片が完全に剥離するまでビュレットか
ら漸次注出した。測定した水の量は60gを下回らなかっ
た。
結果: 同一の動物に4回の測定を実施し、張り付けてから30
分後に得られた値を平均した。
得られた値は62〜116gであった。60gを下回る測定値
は認められなかった。
得られた結果は、本発明の膜の強さを示すものであ
り、この膜は剥離時に皮膚に張り付いたままであった。
生物適合性の検討: 張り付けた要素は元の位置に保たれ、数週間観察して
も不耐性は何ら認められなかった。
実験2 0〜10Nの力を測定するのに適した2個の牽引装置に
より、Transglutineの接着性を測定した。
新たに殺したマウスの皮膚に接着を実施した。
−装置1: マウスの背部内皮片を表面積1cm2の4個の正方形片に
切断した。動物の背中には、トロンビン500U及びCaCl24
0mMの溶液を含浸させた。各正方形皮膚片に50μのTra
nsglutineを塗り、直ぐにマウスの背中に張り付けた。4
0分間放置後、張り付けた正方形皮膚片に剥離装置を結
合し、皮膚が剥離するまで連続牽引を加えた。電力イン
ジケータにより、剥離に必要な力の値を測定した。試験
した70個のTransglutineロットの平均値は0.98±0.15N
(平均±標準偏差)であった。
−装置2: 即乾性シアノアクリル接着剤により、表面積1.6cm2
2個のシリンダの底部にマウスの正方形皮膚片を張り付
けた。次に2個の皮膚片間にTransglutineを予め付着さ
せ、シリンダの底部を40分間相互に押し付けた。次に連
続牽引を実施した。得られた値は第1の装置で得られた
値よりも高く、得られた剥離は弾性要素のない純粋な破
裂であった。試験した20個のTransglutineロットの平均
値は3±0.6Nであった。
これらの2個の装置を使用して、エラスチン及びフィ
ブリンをベースとする生物学的パッチの接着品質を測定
した。1cm2のパッチをマウスの皮膚片間に挿入し、トロ
ンビンの存在下で50μのTransglutineにより張り付け
た。10回の実験で剥離力の平均値は0.68±0.1Nであっ
た。
実施例7:消化器外科の適用 操作方法: Wistarラット又はニュージーランドウサギの盲腸壁
に、直径7又は10mmの組織欠損を形成した。こうして形
成した孔の2倍の直径のパッチを生物学的接着剤により
腸壁に張り付け、孔を塞いだ。動物を処置後20日目まで
5日毎に殺し、その後は、30日目、40日目及び80日目に
殺した。盲腸を取り出し、巨視的及び微視的に分析し
た。
結果:巨視的観点から見ると、処置後15日目から30日目
の間にウサギの腸損傷のほぼ完全な治癒が観察された。
走査型電子顕微鏡で分析した処、絨毛型のひだの存在に
よる粘膜肥大が観察された。光子型顕微鏡で観察した
処、この段階でこの粘膜は、結膜−血管軸を覆う正常な
様相の連続上皮から構成されていた。筋肉層の連続性は
後期の段階しか得られなかった。オルセインによるエラ
スチンの特異的染色の結果、この物質は漿液層のレベル
でしりぞけられ、処置後30日目を過ぎるとこのレベルで
繊維状物質に包囲されることがわかった。この物質は処
置後40日目のラットからは完全に消失していた。
このように本発明の生物学的パッチは、ウサギ及びラ
ットの結腸を治癒することが可能であった。粘膜層の回
復は筋肉組織の回復よりも早いので、この生体用補綴物
質は正常な治癒現象と逆である。これらの有望な結果か
ら、ヒトの全レベルの消化器瘻孔の治療の選択物質とし
てこの物質を提案することができる。
実施例8:ヒト血管内皮細胞の培養への適用 正常状態で血管内皮細胞(CE)は、内皮下細胞外結合
基質(MEC)に移植されることにより、心臓血管系の内
表面を覆う。血管内皮細胞は、接触により阻害される連
続単層を形成する。CEは分極し、その血管表面は凝塊形
成性でなく、還元するなら、生理学的に血小板の粘着及
び凝固の活性化のいずれも生じない。
コラゲナーゼで穏やかに消化させることにより臍帯の
血管からCEを単離し、本発明の生物学的パッチで覆った
直径35mmのポリスチレン製びんの表面に濃い密度で移植
し、上述の方法(Biol.Cell.1984,52,9−20)に従って3
0%のヒト血清を含む培地内でインキュベートした。細
胞は増殖し、5〜6日以内に集密状態に達した。染色
後、CEの集密性を光学顕微鏡及び電子顕微鏡で観察した
処、CEの形態学的特徴を示していた。内皮の性質は、特
異的指標であるvon Willebrand因子が細胞内に存在して
いることにより確認した。更に、ヒト血小板はその表面
に粘着していなかった。一方、CEに覆われていないアダ
クトの凝塊形成表面には血小板が強く粘着していた。
従ってこのアダクトは、非凝塊形成型のCE単層の増殖
を促進するMECとして機能する。従ってアダクトの特性
は、ヒトCEの培養を促進し、生体適合性の血管補綴物質
を開発するための選択MECを提供する。
実施例9:血液と、エラスチン及びフィブリンをベースと
する生物学的パッチとの界面における凝塊形成特性の検
討 血液と凝塊形成表面との反応は、血小板の粘着、その
顆粒内容物の分泌及び血小板凝集体の形成をもたらす。
凝固の活性化によりトロンビンが形成され、フィブリノ
ーゲンを重合してフィブリンに転換する。血管内に病理
的血栓形成をもたらすこれらの反応は、血管、消化器又
は皮膚外科で組織再生用として使用されるエラスチン、
フィブリン及び場合によって含まれるコラーゲンをベー
スとする生物学的パッチの固定に望ましい。
ヒト血液はACDから収集し、血小板を分離し、洗浄
し、111Iで標識し、ヒトアルブミンを含むTyrode型生理
学的媒体中に再懸濁させた。血小板の懸濁は、30分間安
定条件下でポリスチレン製のペトリ皿を既知の表面積の
パッチで包囲することにより実施した。パッチで覆われ
たポリスチレン表面に対する血小板の粘着性を、吸収後
又は非吸収後の各タンパク質のポリスチレンの粘着性と
比較した。
エラスチン、フィブリン、フィブリノーゲン及びコラ
ーゲンをベースとするパッチは最も凝塊形成性の表面を
有しており、mm2当たり42300±1600個(平均±ESM、n
=6)の血小板が認められた。タンパク質の予備吸収の
不在下では、mm2当たり1600±800個の血小板がポリスチ
レンに粘着した。ポリスチレンの表面を0.35%のアルブ
ミンで30分間処理した処、血小板の粘着個数をmm2当た
り4800±200個に減少させることができた。
粘着中、血小板は活性化し、形態を変化し、伸展し、
顆粒、セロトニン及び血小板4因子の内容物を細胞外媒
体に分泌した。
パッチは、凝固の固有経路を活性化することが可能で
ある。クエン酸塩で処理したヒト血漿をパッチの表面に
当てると、接触層のXII因子が活性化し、消費される。
これは、活性化したセファリンの時間的延長を意味し、
血漿の大規模な凝結を制限する。
従って、エラスチン、コラーゲン、フィブリン及びフ
ィブロネクチンから構成される人工結合組織用パッチの
表面で、血液成分である血小板及びタンパク質が反応す
ると、血小板の活性化及び凝固が可能になる。このパッ
チの凝塊形成特性は、組織損傷の再生用手段としての使
用を助長するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ブリコー,アンリ フランス国、33880・カンブ、シヤトー・ ルブリツク(番地なし) (72)発明者 シユミドトスレール・ローラン フランス国、67400・イルキルシユ‐グラ フアンスタダン、ケ・ドウ・リル、36 (56)参考文献 特表 昭60−501540(JP,A) Chemical Abstract s,Volume90,No.11,12Mar ch1979page384[Fibrin a dherence to biologi c tissues]column2ab stract No.84529y

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Ca++の存在下でフィブリノーゲンにトロン
    ビンを作用させることによって生成するフィブリン単量
    体とエラスチンとを反応させて得られる合成化合物を含
    むことを特徴とするエラスチン含有生成物。
  2. 【請求項2】フィブリン単量体が、Ca++の存在下で血漿
    にトロンビンを作用させることによって生成される請求
    の範囲第1項に記載の生成物。
  3. 【請求項3】さらにフィブロネクチンも含んでいる請求
    の範囲第1項または第2項に記載の生成物。
  4. 【請求項4】エラスチンとクリオグロブリンとから形成
    される請求の範囲第3項に記載の生成物。
  5. 【請求項5】クリオグロブリンが、 −約10〜15g/のフィブリノーゲンと約2〜4g/のフ
    ィブロネクチンとを含む凍結乾燥画分に対応する所謂抗
    血友病A型クリオグロブリン、 −濃縮された第VIII因子の単離時に得られ、約9〜20g/
    のフィブリノーゲンと約10〜14g/のフィブロネクチ
    ンとを含むクリオグロブリン、および −所謂トランスグルチンと呼称される凍結乾燥タンパク
    複合体から成り、約50〜90g/のフィブリノーゲンと約
    8〜15g/のフィブロネクチンとを含むクリオグロブリ
    ン、 から選択される請求の範囲第4項に記載の生成物。
  6. 【請求項6】さらに、所望の生成物の機械的特性および
    弾性特性並びに網状化を強化するための1種以上の添加
    剤、たとえばコラーゲン、チオ尿素、セルロース誘導
    体、アルギン酸カルシウム、エチルメルクリルチオサリ
    チル酸ナトリウム、(抗血友病A)F VIII複合体も含ん
    でいる請求の範囲第1項〜第5項のいずれかに記載の生
    成物。
  7. 【請求項7】架橋した網状組織の形態にあることを特徴
    とする請求の範囲第6項に記載の生成物。
  8. 【請求項8】フィブリン単量体またはそれを生成するた
    めの誘導体およびエラスチンがヒト由来である請求の範
    囲第1項〜第7項のいずれかに記載の生成物。
  9. 【請求項9】フィブリン単量体またはそれを生成するた
    めの誘導体およびエラスチンが動物由来である請求の範
    囲第1項〜第7項のいずれかに記載の生成物。
  10. 【請求項10】Ca++の存在下でフィブリノーゲンにトロ
    ンビンを作用させることによって生成するフィブリン単
    量体とエラスチンとを反応させて得られる合成化合物を
    含むエラスチン含有生成物の製造方法であって、 フィブリノーゲンまたはそれを含む媒質を、Ca++イオン
    の存在下でエラスチン懸濁物に接触させ、 得られた混合物にトロンビンを添加し、 生成した合成化合物をインキュベートし分離する ことを特徴とする前記方法。
  11. 【請求項11】フィブリノーゲンを含む媒質が血漿また
    はクリオグロブリンである請求の範囲第10項に記載の方
    法。
  12. 【請求項12】前記インキュベーション段階を、約37℃
    において、pHが約7.4でCa++含量が約2mMの緩衝液中で実
    施する請求の範囲第10項または第11項に記載の方法。
  13. 【請求項13】所望の生成物の機械的特性および弾性特
    性並びに網状化を強化するための1種以上の添加剤、た
    とえばコラーゲン、チオ尿素、セルロース誘導体、アル
    ギン酸カルシウム、エチルメルクリルチオサリチル酸ナ
    トリウム、(抗血友病A)F VIII複合体、次にフィブリ
    ンまたはフィブリンを生成する化合物もしくは組成物を
    エラスチンに順次添加する請求の範囲第10項〜第12項の
    いずれかに記載の方法。
  14. 【請求項14】Ca++の存在下でフィブリノーゲンにトロ
    ンビンを作用させることによって生成するフィブリン単
    量体とエラスチンとを反応させて得られる合成化合物を
    含むエラスチン含有生成物からなることを特徴とする人
    工結合組織。
  15. 【請求項15】Ca++の存在下でフィブリノーゲンにトロ
    ンビンを作用させることによって生成するフィブリン単
    量体とエラスチンとを反応させて得られる合成化合物を
    含むエラスチン含有生成物を使用することを特徴とする
    人工結合組織の製造方法。
  16. 【請求項16】Ca++の存在下でフィブリノーゲンにトロ
    ンビンを作用させることによって生成するフィブリン単
    量体とエラスチンとを反応させて得られる合成化合物を
    含むエラスチン含有生成物からなることを特徴とする細
    胞培養用支持体。
  17. 【請求項17】Ca++の存在下でフィブリノーゲンにトロ
    ンビンを作用させることによって生成するフィブリン単
    量体とエラスチンとを反応させて得られる合成化合物を
    含むエラスチン含有生成物からなることを特徴とする酵
    素または酵素阻害剤の固定化用支持体。
  18. 【請求項18】Ca++の存在下でフィブリノーゲンにトロ
    ンビンを作用させることによって生成するフィブリン単
    量体とエラスチンとを反応させて得られる合成化合物を
    含むエラスチン含有生成物を容器または保存用エンベロ
    ープ、場合によっては生物学的接着剤を含むフラスコに
    収容されていることを特徴とする細胞培養または組織修
    復用キット。
JP61501451A 1985-03-01 1986-03-03 エラスチンをベ−スとする生成物、その製造方法並びに特に生体用補綴物質及び人工支持体としての生物学的適用 Expired - Lifetime JPH0829160B2 (ja)

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