JPH08291452A - 積層不織布およびその製造方法 - Google Patents

積層不織布およびその製造方法

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JPH08291452A
JPH08291452A JP7093617A JP9361795A JPH08291452A JP H08291452 A JPH08291452 A JP H08291452A JP 7093617 A JP7093617 A JP 7093617A JP 9361795 A JP9361795 A JP 9361795A JP H08291452 A JPH08291452 A JP H08291452A
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roll pair
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nonwoven
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JP7093617A
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English (en)
Inventor
Nobuo Noguchi
信夫 野口
Yasuhiro Yonezawa
安広 米沢
Michiyo Iimi
美智代 飯見
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 少なくとも30重量%の天然繊維からなる不
織ウェブと多くとも70重量%の合成重合体よりなる短
繊維からなる不織ウェブとが積層されてなる積層不織布
であって、嵩密度が0.1〜0.7g/ccであり、か
つ構成繊維間が三次元交絡を有する、緻密に一体化した
不織布構造となっており、表面が平滑で、かつ圧縮剛軟
度が60g以下である不織布。 【効果】 衣料用、医療用、日用品、産業資材用等の用
途に好適に使用することができる、嵩密度の高い、平滑
性を有する、柔軟な不織布を得ることができた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高圧柱状液体流処理を
施すことにより交絡せしめたいわゆるスパンレース不織
布において、平滑性・柔軟性に富むスパンレース不織布
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、表面平滑で、かつ嵩密度の高
い不織布としてはスパンボンド不織布が知られている。
スパンボンド不織布は、一般に圧接面積比が大きくかつ
圧接点密度の多い彫刻ロールないしは表面平滑なフラッ
トロールによる熱融着処理が施されているので、平滑性
の面で優れているが、一方柔軟性に乏しい欠点をもつも
のである。このため、スパンボンド不織布に柔軟性を付
与する手段として、低目付にする方法がある。しかしこ
の方法では、不織布の機械的特性等が劣るという問題が
ある。また、例えば衣服に加工されても、着用した際、
肌が透けてしまうという問題がある。
【0003】一方、柔軟性に富む不織布としては、スパ
ンレース不織布が挙げられる。スパンレース不織布は、
柱状液体流がウエブを構成している繊維を引き込む力に
より繊維の周りの他の繊維をねじり、曲げ、回わして交
絡をつくることにより布としたものである。
【0004】しかしながら、上記スパンレース不織布
は、柱状液体流を施すに際して、不織布表面に凹凸が生
ずるため表面の平滑性に欠けるものであり、嵩密度が低
いものであった。よって、例えば衣料用用途として用い
ると、緻密な構造の欠如による毛羽立ちによる単糸繊維
の抜け、手触りの粗さ等の問題があり不適切であった。
近年、スパンレース不織布の用途の拡大に伴い、衣料用
・医療用・日用生活品への適用が行われるようになり、
毛羽立ちのない、表面平滑な不織布が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状を
鑑みて行われたもので、平滑性、柔軟性に富み、衣料用
素材、医療用素材、日用生活品等の素材として好適なス
パンレース不織布を得ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するもので次の構成よりなるものである。
【0007】すなわち、本発明は、不織布が少なくとも
30重量%の天然繊維からなる不織ウエブと多くとも7
0重量%の合成重合体からなる繊維からなる不織ウエブ
との積層体であって、嵩密度が0.1〜0.7g/cc
であって、かつ構成繊維間が三次元交絡を有する、緻密
に一体化した不織布構造となっており、表面が平滑で、
かつ圧縮剛軟度が60g以下であることを特徴とする積
層不織布を要旨とするものである。
【0008】また本発明は、少なくとも30重量%の天
然繊維からなる不織ウエブと多くとも70重量%の合成
重合体からなる繊維からなる不織ウエブとの積層不織ウ
エブに予備交絡を施した後、下記式(1)を満足する条
件で高圧柱状液体流処理を施し、次いで水分を除去した
後、一対のロールからなる第1ロール対の前記不織ウエ
ブをとおして下記式(2)を満足する条件で圧延し、連
続して第1ロール対と第1ロール対の下流に配された一
対のロールからなる第2ロール対との間で下記式(3)
を満足する条件で延伸することを特徴とする積層不織布
の製造方法。 (1) P≧50kg/cm2 G (2) 10 ≦ P1 ≦ 150 kg/cm (3) 1.01 ≦ V2 /V1 ≦1+0.5×E
/100 P :高圧柱状液体流処理における水圧 P1 :第1ロール対のロール間にかかる線圧 V1 :第1ロール対の周速度 V2 :第2ロール対の周速度 E :不織布の破断伸度 。
【0009】次に、本発明を詳細に説明する。本発明の
不織布は、少なくとも30重量%の天然繊維からなる不
織ウェブと、多くとも70重量%の合成重合体からなる
繊維からなる不織ウェブが積層されてなる複合不織ウエ
ブで構成される。本発明において、複合不織ウエブを構
成する天然繊維が重量比で少なくとも30%含まれるこ
とが肝要である。天然繊維の量が30重量%未満である
と、加圧・延伸処理を施しても本発明の目的とする嵩高
の積層不織布を得ることができないので好ましくない。
【0010】用いられる天然繊維としては、コットンに
代表されるセルロース系繊維、あるいはラミー、また、
短繊維状に裁断が施されたシルク繊維も使用することが
可能である。
【0011】本発明に用いられるコットン繊維として
は、晒加工の施されていないコーマ糸、晒加工された晒
綿、また、織物・編物から得られた反毛繊維であっても
よい。本発明で効果的に用いることができる反毛繊維を
得ることができる反毛機は、ラツグ・マシン、ノツト・
ブレーカー、ガーネツト・マシン、廻切機等である。用
いる反毛機の種類や組合せは、反毛される布帛の形状や
構成する糸の太さ、撚の強さにもよるが、同一の反毛機
を複数台直列に連結させたり、2種以上の反毛機を組み
合わせて用いたりすると効果的である。
【0012】この反毛機による解繊率は30〜95%の
範囲が好ましい。解繊率が30%未満であるとカードウ
エブ中に、未解繊繊維が存在し、不織布表面のザラツキ
が生じるのみでなく、未解繊繊維部分を液体柱状流が十
分貫通せず、また、解繊率が95%を超えると、十分な
表面摩擦強度が得られない。なお、解繊率は、下記に示
す式により求められる。 A(%)=(B−未開繊繊維重量)×100/B 上式において、Aは解繊率、Bは反毛重量とする。
【0013】また、本発明の不織布は多くとも70重量
%の合成重合体からなる繊維からなる不織ウェブからな
る。本発明で用いられる合成重合体としては、ポリオレ
フィン系重合体、ポリエステル系重合体、ポリアミド系
重合体、アクリル系重合体、ポリビニルアルコール系重
合体およびそれらを主成分とした共重合体が挙げられ、
これらの重合体の単独よりなる繊維、またはこれらの重
合体の組合せからなる複合繊維等を使用することができ
る。
【0014】本発明の不織布は、前記天然繊維からなる
不織ウェブと合成重合体から得られる繊維からなる不織
ウェブとが、積層された積層不織ウエブからなるもので
あり、天然繊維からなる不織布ウェブが積層不織ウエブ
中に30重量%以上含まれる構成である。この天然繊維
の含まれる比率は、不織布に要求される吸湿性等の特性
を勘案し、適宜選択することができる。
【0015】本発明の不織布の目付は、40〜150g
/m2 であることが好ましい。目付が40g/m2 未満
であると、高圧柱状液体流処理を施した際に生じる孔形
状が圧延・延伸処理を施しても鮮明に残り、不織布表面
に凹凸のある手触りの粗い不織布となり、本発明の目的
とする表面平滑な不織布が得られないので好ましくな
い。また、不織布に十分な機械的特性が得られず好まし
くない。一方、目付が150g/m2 を超えると高圧柱
状液体流処理を施す際の加工エネルギーが大きくなり、
場合によっては不織ウエブの内層において繊維相互に十
分な交絡がなされず機械的強度の低い不織布となるので
好ましくない。
【0016】次に本発明の不織布の製造方法に関して説
明する。本発明の方法では、まず、少なくとも30重量
%の前記天然繊維の短繊維と、多くとも70重量%の合
成重合体よりなる短繊維とを、それぞれカード機により
カーディングして所定目付の不織ウエブを作成し、積層
することにより、積層不織ウエブとする。この積層不織
ウエブは、構成繊維の配列度合によってカード機の進行
方向に配列したパラレルウエブ、パラレルウエブのクロ
スレイドされたウエブ、ランダムに配列したランダムウ
エブ、あるいは両者の中程度に配列したセミランダムウ
エブのいずれであってもよく、用途等によって適宜選択
すればよい。例えば、衣料用として用いる場合には、不
織布としての強力において、縦/横の強力比が概ね1:
1となる不織ウエブを用いるとよい。
【0017】本発明の三次元的に交絡を施す手段として
は、高圧柱状液体流により繊維を交絡せしめるスパンレ
ース法を適用する。スパンレース法を適用することによ
り、積層不織ウエブを構成する天然繊維および合成繊維
が相互に一体化した三次元的に交絡を有する積層不織布
の作成が可能である。
【0018】ここでいう三次元交絡とは、積層不織ウエ
ブを形成している天然繊維不織ウエブを構成する繊維同
士が三次元交絡を有し、かつ合成繊維不織ウェブを構成
する繊維同士が三次元交絡を有すとともに、天然繊維不
織ウエブの構成繊維と合成重合体よりなる繊維不織ウエ
ブの構成繊維間が相互に交絡した構造であり、さらには
不織布の縦/横の方向のみでなく不織布の厚み方向に対
しても交絡し、一体化した構造を有していることをい
う。
【0019】次に、前記積層不織ウエブにスパンレース
法、すなわち高圧柱状液体流処理を施す方法について説
明する。本発明でいう交絡処理とは、例えば孔径が0.
05〜1.5mmの噴射孔を噴射孔間隔0.05〜5m
mで1列ないしは複数列に複数個配設されたオリフイス
ヘッドより高速で柱状に噴射される流体により、多孔性
支持部材上に載置した積層不織ウエブに衝突せしめる。
積層不織ウエブを構成している繊維を引き込む力によ
り、繊維の周りの他の繊維をねじり、曲げ、回して繊維
相互を交絡せしめ一体化させるものである。
【0020】流体としては、常温の水あるいは熱水を使
用することができる。流体噴射を前記不織ウエブに衝突
させるに際しては、前記噴射孔が配設されたオリフイス
ヘッドを、多孔性支持部材上に載置された前記積層不織
ウエブの進行方向に対し直角をなす方向に噴射孔間隔と
同一間隔で振幅させ、柱状液体噴射を均一に衝突させる
とよい。
【0021】この高圧柱状液体噴射の際に用いられる多
孔性支持部材の材質としては、積層不織ウエブと支持部
材との積層された部分を高圧柱状液体流が通過しうる構
成のものであれば、金属製・ポリエステル製あるいはそ
の他の材質のいずれでもよい。
【0022】多孔性支持部材の網目としては、高圧柱状
液体流の噴射により交絡処理の施された積層不織ウエブ
に網目跡が明確に残らない網目状が好ましく、その網目
の範囲は、30本〜200本/25mm(30〜200
メッシュ)の範囲が好ましく、さらに好ましくは、50
〜150本/25mm(50〜150メッシュ)の範囲
である。網目の範囲が30本/25mm未満では、柱状
液体噴射が該不織ウエブに衝突後不織ウエブを貫き、鮮
明な開孔径状が付与された孔あき状態の不織ウエブを形
成し、後述のロールによる加圧処理を施した後も、積層
不織布にその鮮明な開孔形状が付与されたままとなり、
得られた積層不織布にはザラツキ感があり手触りの粗い
ものとなり好ましくない。また、網目の範囲が200本
/25mmを超えると、不織ウエブと支持部材との積層
された部分を高圧柱状液体流が通過するのに要するエネ
ルギー量が多大になり、生産コスト上好ましくない。
【0023】この高圧柱状液体流による交絡処理は、ま
ず予備交絡として、前記積層不織ウエブに水圧40kg
/cm2 G未満の柱状液体流を施す。この予備交絡にお
ける柱状液体流の水圧が40kg/cm2 G以上では、
柱状液体噴射により発生する随伴気流により前記ウエブ
の乱れが生じ、目付ムラとなり、不織布の品位上好まし
くない。
【0024】引き続き、水圧50kg/cm2 G以上の
柱状液体流の噴射により交絡処理を行う。水圧は50k
g/cm2 Gであると、圧延・延伸処理を施した後得ら
れた不織布の引張強力等の機械的強力が低下するため好
ましくない。水圧50kg/cm2 G以上の柱状液体流
の噴射により交絡処理を行うことによって、前記予備交
絡処理の施された積層不織ウエブを構成する短繊維を相
互に三次元的に交絡させ一体化せしめ、いわゆるスパン
レース不織布とする。
【0025】また、積層不織ウエブの目付により、前記
方法を施した後、積層不織ウエブをさらに反転し、第3
回目の交絡処理として、第2回目で適用した水圧により
交絡処理を施すことにより、表裏ともに交絡したスパン
レース不織布とすることができる。
【0026】次に、交絡した不織ウエブの余分な水を既
知の水分除去装置であるマングル等により除去し、さら
に、サクシヨンバンド方式の熱風循環式乾燥機により乾
燥処理を行う。
【0027】次いで、一対のロールからなる第1ロール
対ロール間に前記積層不織ウエブをとおして圧延し、連
続して第1ロール対と第1ロール対に下流に配設された
一対のロールからなる第2ロール対との間で延伸する。
【0028】本発明において用いる第1ロール対は、上
下2本のロールからなるものであり、第1ロール対のロ
ール間に前記不織ウェブをとおして圧延する際のロール
間にかかる線圧は、10〜150kg/cmの範囲とす
る。好ましくは20〜100kg/cmの範囲である。
この2本の第1ロール対の間に積層不織ウェブが挟まれ
て圧延されることにより、積層不織ウェブに平滑性が付
与される。ロール間にかかる線圧が10kg/cm未満
であると、ロール間の加圧が不十分であるので、交絡処
理を施した際に積層不織ウェブの表面に付与された凹凸
模様が残り、得られた積層不織ウェブは表面にザラツキ
感があり手触りの粗いものとなって、積層不織ウェブに
十分な平滑性が付与されず好ましくない。一方、150
kg/cmを超えると、得られる積層不織ウェブは、厚
みのない紙状の積層不織布となるのみでなく、柔軟性の
有する積層不織布が得られず好ましくない。
【0029】第1ロール対の間にかかる線圧も変更でき
るものが好ましく、この線圧は、積層不織ウェブの目付
により適宜選択すればよい。
【0030】本発明で用いる上下2本のロールからなる
第1ロール対は、その少なくとも1本が表面平滑な金属
製ロールからなることが好ましい。他の1本のロール
は、金属製ロール、コットンロール、ペーパーロールあ
るいは一定の硬度を有するものであれば、その他の素材
であってもよい。
【0031】金属ロールを使用するにあたっては、該金
属ロールは加熱を行い得るタイプであることが好まし
い。金属ロールの加熱される温度範囲は、天然繊維の際
には、室温を基準とする常温から150℃の範囲、好ま
しくは常温より100℃の範囲であり、合成繊維を構成
する合成重合体成分の低融点重合体の融点より−20〜
−50℃の範囲で、加熱状態にて圧延処理を施すとよ
い。合成繊維を構成する合成重合体成分の低融点重合体
の融点以下の温度で圧延処理を施すことにより、嵩密度
を特定の範囲にするとともに、積層不織布の構成繊維の
毛羽立ちや脱落を防止することができる。
【0032】本発明において連続的に一定の嵩密度を有
する積層不織布とするには、第1ロール対の間に一定の
間隙を保持し得る機構を有することが好ましい。この間
隙は積層不織ウェブの目付により変更されるものである
が、2本のロールが圧着された状態から概ね500μの
間隙を確保し得るものであればよい。
【0033】次に、本発明における加圧処理と延伸処理
について図面を用いて説明する。図1は、不織布に圧延
処理と延伸処理を施すための第1ロール対と第2ロール
対を示す側面図である。図1において、少なくとも30
重量%の天然繊維からなる不織ウェブと多くとも70重
量%の合成重合体からなる繊維不織ウェブとが積層され
た積層不織ウエブに高圧柱状液体流処理を施し、次いで
水分を除去した後、一対のロールからなる第1ロール対
3のロール間に前記不織ウェブ2をとおして、ロール間
にかかる線圧5〜150kg/cmの範囲で圧延し、連
続して第1ロール対3と第1ロール対3の下流に配設さ
れた一対のロールからなる第2ロール対4との間で下記
式を満足する条件で延伸することで本発明の積層不織布
1が得られる。 1.01≦V2 /V1 ≦1+0.5×E/100 上式において、V1 は第1ロール対の周速度、V2 は第
2ロール対に周速度として、V2 /V1 は第1ロール対
と第2ロール対との周速比すなわち延伸倍率、Eを不織
布の破断伸度(%)とする。
【0034】第1ロール対と第2ロール対の周速比(V
2 /V1 )が1.01未満では、積層不織布に与える延
伸効果が希薄なものとなり、積層不織布に十分な柔軟性
が付与されず好ましくない。一方、周速比(V2
1 )が(1+0.5×E/100)を超えると、すな
わち、不織布の破断伸度の50%すなわち0.5倍を超
えて延伸すると、高圧液体流処理による積層不織ウェブ
の構成繊維間の交絡が解除され、不織布の機械的強度が
低下し、また極端な場合には不織布の破断伸度を超えて
不織布が切断されてしまうので好ましくない。
【0035】本発明において延伸処理を施す第2ロール
対もまた、上下2本のロールにより構成されるものであ
り、柔軟性を損なわないために非金属製ロールにより構
成されることが好ましい。
【0036】また、第2ロール対の間の線圧は、柔軟性
を損なわない範囲であることが好ましく、その範囲は5
〜50kg/cm、さらに好ましくは10〜30kg/
cmである。
【0037】第1ロール対による圧延処理により平滑化
された積層不織ウエブに対し、この第2ロール対は、第
1ロール対と第2ロール対との間で積層不織ウエブを上
記の条件を満足する延伸処理を行うことにより、柔軟性
を付与するものである。
【0038】このようにして得られた積層不織布は、嵩
密度が0.1〜0.7g/ccの範囲にあり、構成繊維
間が三次元交絡を有する、緻密に一体化した不織布構造
となっており、表面が平滑で、かつ圧縮剛軟度が60g
以下である不織布である。この嵩密度の範囲は、より好
ましくは0.2〜0.5g/ccの範囲である。0.1
g/cc以下では、不織布は圧延処理が不足した嵩密度
の低い不織布となり、表面に凹凸が存在する平滑性の足
りないザラツキを有したものとなる。また、0.7g/
cc以上では、紙状の硬さを有した柔軟性に乏しい不織
布となり、好ましくない。
【0039】不織布の柔軟性は、圧縮剛軟度の測定によ
り示される。圧縮剛軟度の測定は、試料幅5cm、試料
長10cmの試料片を5個準備し、個々の試料片を長手
方向に曲げ、その両端を接合し、円筒状の試料を作成す
る。この試料を定速伸長式テンシロンにより試料の高さ
方向より5cm/分の速度で圧縮し、その最大荷重時の
応力を測定し、その平均値を圧縮剛軟度としてgで表す
ものである。この圧縮剛軟度の測定値は、不織布の柔軟
性を示すものであり、測定値の範囲は60g以下である
と、その不織布は柔軟性を有するといえる。
【0040】この圧縮剛軟度の測定値が60gを超える
と、不織布は柔軟性を有するとはいえず、衣料用等の柔
軟性を求められる日用品として不適当なものである。
【0041】
【作用】本発明によると、高圧柱状液体流処理を施して
得られた三次元交絡を有する積層不織布に圧延処理を施
すことによって、嵩密度が高くなり緻密に一体化した不
織布構造となり表面平滑な毛羽立ちのない不織布とな
る。さらに、延伸処理を施すことにより、不織布に柔軟
性を付与させることができる。
【0042】また、本発明は天然繊維からなるウェブと
合成重合体からなる繊維からなるウェブとが積層された
不織布である。本発明の不織布を衣料品や日用品等に用
い、肌に接して用いる際、例えば親水性に乏しい合成重
合体からなる繊維からなるウェブ側が肌に接するように
用いることにより、合成繊維ウェブ面と肌との間の水分
が親水性、保水性の高い天然繊維ウェブ側に移行しやす
くなり肌をさらっとした状態に保つことができる。また
本発明の不織布を農業資材用、例えば農業用トンネルシ
ートに用いる際、合成繊維ウェブ側を外気側、天然繊維
を内側に張設することにより、夜露のシートへの付着防
止や気温上昇によるシート内部の水分蒸発防止効果が期
待できる。
【0043】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を説明する。本
発明における不織布の性能の測定は、以下の方法により
実施した。 (1)不織布の目付:試料幅10cm、試料長10cm
の試料片を5個作成し、その重量を測定し、平均値を目
付(g/m2 )とした。
【0044】(2)不織布の引張強度及び破断伸度:試
料幅5cm、試料長15cmの試料片を10個作成し、
各試料片を東洋ボールドウイン社製テンシロンUTM−
4−1−100を用いて、掴み間隔10cm、引張速度
10cm/分の条件で最大引張強力を個々に測定し、そ
の平均値(kg/5cm幅)を不織布の引張強度とし、
切断時伸長率の平均値を不織布の破断伸度(%)とし
た。
【0045】(3)不織布の嵩密度: 嵩密度(g/cc)=(目付)/(厚さ)/1000 試料幅10cm、試料長10cmの試料片を5個作成
し、大栄科学精機製作所株式会社製の厚み測定器によ
り、4.5g/cm2 Ggの荷重の印可により個々の不
織布の厚みを測定して平均値を厚みとし、上式の計算方
法により得られる値を不織布の嵩密度とした。
【0046】(4)不織布圧縮剛軟度:試料幅5cm、
試料長10cmの試料片を5個作成し、各試料を試料の
長手方向に曲げ、その両端を接着して円筒状にしたもの
を測定用試料とし、東洋ボールドウイン社製テンシロン
UTM−4−1−100を用い、5cm/分の速度で試
料を圧縮し、その最大荷重時の応力を測定値とし、その
平均値(g)を圧縮剛軟度とした。
【0047】実施例1 1.5デニールの平均繊度、平均繊維長25mmのコッ
トンの晒綿と、日本エステル株式会社製ポリエステル繊
維(商品名101、繊度2デニール、繊維長51mm)
を用い、ランダムカード機により前記繊維の配合比5
0:50の割合で、配列が一様でない目付85g/m2
の積層不織ウエブを作成した。この積層不織ウエブを2
0m/分で移動する70メッシュのネット上に載置し、
積層不織ウエブ上方50mmの位置より、噴射孔経0.
1mm、噴射孔間隔0.6mmで一列に配置された噴射
孔から、予備交絡として水圧30kg/cm2 Gの常温
の水により予備交絡を施し、引き続き、高圧柱状液体流
による交絡処理を、前記と同一ネットおよび噴射孔を用
い、水圧70kg/cm2 Gの水圧により4回の交絡処
理を施した。さらに、第3回目の交絡処理として、前記
と同一のネットおよび噴射孔を用い、交絡処理の施され
た不織ウエブを反転し、第2回目と同一水圧条件にて5
回の交絡処理を施し、表裏ともに緻密に交絡の施された
積層不織ウエブを得た。得られた積層不織ウエブを、マ
ングルにより余剰の水分を除去した後、110℃の温度
の乾燥機により乾燥処理を行った。得られた積層不織ウ
ェブの破断伸度が43%であった。
【0048】この乾燥処理の施された積層不織ウエブ
を、20m/分の速度で回転する2本ともに表面平滑な
金属からなる第1ロール対に導き、続いて23.01m
/分の速度で回転する表面平滑なコットンロールと金属
ロールからなる第2ロール対に導き、圧延・延伸処理を
施して、実施例1の積層不織布を得た。圧延条件として
は、第1ロール対温度を常温(28℃)とし、線圧50
kg/cm、第1ロール間対の間の隙間を60μとし、
第2ロール対の線圧を10kg/cmとした。延伸条件
としては、周速比(V2 / V1 )を1.15倍(=1
+0.35×43/100)、すなわち破断伸度の0.
35倍延伸した。
【0049】実施例2 実施例1において用いたコットンの晒し綿に替え、平均
繊度1.7デニール、平均繊維長18.5mmの解繊率
90%の反毛を用いた以外は、実施例1と同一条件にて
破断伸度42%の積層不織ウェブを得た。次に、23.
00m/分の速度で回転する第2ロール対を用いて、第
1ロール対の速度に対する第2ロール対の周速比(V2
/V1 )を1.15倍(=1+0.35×42/10
0)、すなわち破断伸度の0.35倍延伸した以外は実
施例1と同様にして実施例2の不織布を得た。
【0050】実施例3 実施例1において、実施例1で用いたコットン晒綿とポ
リエステル短繊維(日本エステル株式会社製101、繊
度2デニール、繊維長51mm)とが70:30の割合
で積層されてなる目付85g/m2 のランダムカードウ
エブを用いた以外は、実施例1と同一条件にて破断伸度
38%の積層不織ウェブを得た。次に、22.66m/
分の速度で回転する第2ロール対を用いて、第1ロール
対の速度に対する第2ロール対の周速比(V2 /V1
を1.13倍(=1+0.35×38/100)、すな
わち破断伸度の0.35倍延伸した以外は実施例1と同
様にして実施例3の不織布を得た。
【0051】実施例4 実施例1において、実施例1で用いたコットン晒綿とポ
リエステル短繊維(日本エステル株式会社製101、繊
度2デニール、繊維長51mm)とが70:30の割合
で積層されてなる目付85g/m2 のランダムカードウ
エブを用い、予備交絡を施した後、水圧50kg/cm
2 Gで交絡処理を行った以外は、実施例1と同一条件に
て破断伸度42%の積層不織ウェブを得た。次に、2
1.68m/分の速度で回転する第2ロール対を用い
て、第1ロール対の速度に対する第2ロール対の周速比
(V2 /V1 )を1.08倍(=1+0.2×42/1
00)、すなわち破断伸度の0.20倍延伸した以外は
実施例1と同様にして実施例4の不織布を得た。
【0052】実施例5 実施例1において、実施例1で用いたコットン晒綿とポ
リエステル短繊維(日本エステル株式会社製101、繊
度2デニール、繊維長51mm)とが30:70の割合
で積層されてなる目付85g/m2 のランダムカードウ
エブを用いた以外は、実施例1と同一条件にて破断伸度
47%の積層不織ウェブを得た。次に、24.23m/
分の速度で回転する第2ロール対を用いて、第1ロール
対の速度に対する第2ロール対の周速比(V2 /V1
を1.21倍(=1+0.45×47/100)、すな
わち破断伸度の0.45倍延伸した以外は実施例1と同
様にして実施例5の不織布を得た。
【0053】実施例6 実施例1において、実施例1で用いたコットン晒綿とポ
リエステル短繊維(日本エステル株式会社製101、繊
度2デニール、繊維長51mm)とが70:30の割合
で積層されてなる目付85g/m2 のランダムカードウ
エブを用いた以外は、実施例1と同一条件にて破断伸度
38%の積層不織ウェブを得た。次に、23.8m/分
の速度で回転する第2ロール対を用いて、第1ロール対
の速度に対する第2ロール対の周速比(V2 /V1 )を
1.19倍(=1+0.50×38/100)、すなわ
ち破断伸度の0.50倍延伸した以外は実施例1と同様
にして実施例6の不織布を得た。
【0054】実施例7 実施例1において、実施例1で用いたコットン晒綿とポ
リエステル短繊維(日本エステル株式会社製101、繊
度2デニール、繊維長51mm、融点256℃)とが7
0:30の割合で積層されてなる目付85g/m2 のラ
ンダムカードウエブを用いた以外は、実施例1と同一条
件にて破断伸度38%の積層不織ウェブを得た。次に、
20.2m/分の速度で回転する第2ロール対を用い
て、第1ロール対の速度に対する第2ロール対の周速比
(V2 /V1 )を1.01倍とした以外は実施例1と同
様にして実施例7の不織布を得た。
【0055】実施例8 実施例1において、実施例1で用いたコットン晒綿とポ
リエステル短繊維(日本エステル株式会社製101、繊
度2デニール、繊維長51mm)とが50:50の割合
で積層されてなる目付85g/m2 のランダムカードウ
エブを用いた以外は、実施例1と同一条件にて破断伸度
43%の積層不織ウェブを得た。次に、第1ロール対の
線圧を10kg/cmとし、23.01m/分の速度で
回転する第2ロール対を用いて、第1ロール対の速度に
対する第2ロール対の周速比(V2 /V1 )を1.15
倍(=1+0.35×43/100)、すなわち破断伸
度の0.35倍延伸した以外は実施例1と同様にして実
施例8の不織布を得た。
【0056】実施例9 実施例1において、実施例1で用いたコットン晒綿とポ
リエステル短繊維(日本エステル株式会社製101、繊
度2デニール、繊維長51mm)とが50:50の割合
で積層されてなる目付85g/m2 のランダムカードウ
エブを用いた以外は、実施例1と同一条件にて破断伸度
43%の積層不織ウェブを得た。次に、第1ロール対の
線圧を150kg/cmとし、23.01m/分の速度
で回転する第2ロール対を用いて、第1ロール対の速度
に対する第2ロール対の周速比(V2 /V1 )を1.1
5倍(=1+0.35×43/100)、すなわち破断
伸度の0.35倍延伸した以外は実施例1と同様にして
実施例9の不織布を得た。
【0057】比較例1 ポリエステル短繊維(日本エステル株式会社製101、
繊度2デニール、繊維長51mm)100%により目付
85g/m2 のランダムカードウエブを用いた以外は、
実施例1と同一条件にて破断伸度74%の不織ウェブを
得た。次に、25.2m/分の速度で回転する第2ロー
ル対を用いて、第1ロール対の速度に対する第2ロール
対の周速比(V2 /V1 )を1.26倍(=1+0.3
5×74/100)、すなわち破断伸度の0.35倍延
伸した以外は実施例1と同様にして比較例1の不織布を
得た。
【0058】比較例2 実施例1において、実施例1で用いたコットン晒綿とポ
リエステル短繊維(日本エステル株式会社製101、繊
度2デニール、繊維長51mm)とが20:80の割合
で積層されてなる目付85g/m2 のランダムカードウ
エブを用いた以外は、実施例1と同一条件にて破断伸度
58%の積層不織ウェブを得た。次に、25.80m/
分の速度で回転する第2ロール対を用いて、第1ロール
対の速度に対する第2ロール対の周速比(V2 /V1
を1.29倍(=1+0.50×58/100)、すな
わち破断伸度の0.50倍延伸した以外は実施例1と同
様にして比較例2の不織布を得た。
【0059】比較例3 実施例1において、実施例1で用いたコットン晒綿とポ
リエステル短繊維(日本エステル株式会社製101、繊
度2デニール、繊維長51mm)とが70:30の割合
で積層されてなる目付85g/m2 のランダムカードウ
エブを用いた以外は、実施例1と同一条件にて破断伸度
38%の積層不織ウェブを得た。次に、24.18m/
分の速度で回転する第2ロール対を用いて、第1ロール
対の速度に対する第2ロール対の周速比(V2 /V1
を1.21倍(=1+0.55×38/100)、すな
わち破断伸度の0.55倍延伸し以外は実施例1と同様
にしたところ、不織布に亀裂が発生し、不織布の形態を
保持出来ないものであった。
【0060】比較例4 実施例1において、実施例1で用いたコットン晒綿とポ
リエステル短繊維(日本エステル株式会社製101、繊
度2デニール、繊維長51mm)とが70:30の割合
で積層されてなる目付85g/m2 のランダムカードウ
エブを用いた以外は、実施例1と同一条件にて破断伸度
38%の積層不織ウェブを得た。次に、19.6m/分
の速度で回転する第2ロール対を用いて、第1ロール対
の速度に対する第2ロール対の周速比(V2 /V1 )を
0.98倍とした以外は実施例1と同様にして比較例4
の不織布を得た。
【0061】比較例5 実施例1において用いたコットン晒綿と日本エステル株
式会社製の芯鞘複合繊維(商品名6080、繊度2デニ
ール、繊維長51mmのポリエステルを芯成分、ポリエ
チレンを鞘成分とし、鞘成分のポリエチレンの融点12
8℃)を70:30の割合としてランダムカードウエブ
を用いた以外は、実施例1と同一条件にて破断伸度38
%の積層不織ウェブを得た。次に、第1ロール対のロー
ルの表面温度を2本ともに125℃とし、22.66m
/分の速度で回転する第2ロール対を用いて、第1ロー
ル対の速度に対する第2ロール対の周速比(V2
1 )を1.13倍(=1+0.35×38/10
0)、すなわち破断伸度の0.35倍延伸した以外は実
施例1と同様にして比較例5の積層不織布を得た。
【0062】比較例6 実施例1において、実施例1で用いたコットン晒綿とポ
リエステル短繊維(日本エステル株式会社製101、繊
度2デニール、繊維長51mm)とが70:30の割合
で積層されてなる目付85g/m2 のランダムカードウ
エブとし、予備交絡を施した後、水圧40kg/cm2
Gで交絡処理を行った以外は、実施例1と同一条件にて
破断伸度57%の積層不織ウェブを得た。次に、22.
28m/分の速度で回転する第2ロール対を用いて、第
1ロール対の速度に対する第2ロール対の周速比(V2
/V1 )を1.11倍(=1+0.2×57/10
0)、すなわち破断伸度の0.20倍延伸した以外は実
施例1と同様にして比較例6の不織布を得た。
【0063】比較例7 実施例1において、実施例1で用いたコットン晒綿とポ
リエステル短繊維(日本エステル株式会社製101、繊
度2デニール、繊維長51mm)とが70:30の割合
で積層されてなる目付85g/m2 のランダムカードウ
エブとし、第1ロール対と第2ロール対のロールの間に
とおさなかった以外は実施例1と同様にして比較例7の
積層不織布を得た。
【0064】比較例8 実施例1において、実施例1で用いたコットン晒綿とポ
リエステル短繊維(日本エステル株式会社製101、繊
度2デニール、繊維長51mm)とが50:50の割合
で積層されてなる目付85g/m2 のランダムカードウ
エブを用いた以外は、実施例1と同一条件にて破断伸度
43%の積層不織ウェブを得た。次に、第1ロール対の
ロール間線圧を5kg/cmとし、23.01m/分の
速度で回転する第2ロール対を用いて、第1ロール対の
速度に対する第2ロール対の周速比(V2 /V1 )を
1.15倍(=1+0.35×43/100)、すなわ
ち破断伸度の0.35倍延伸した以外は実施例1と同様
にして比較例8の不織布を得た。
【0065】比較例9 実施例1において、実施例1で用いたコットン晒綿とポ
リエステル短繊維(日本エステル株式会社製101、繊
度2デニール、繊維長51mm)とが50:50の割合
で積層されてなる目付85g/m2 のランダムカードウ
エブを用いた以外は、実施例1と同一条件にて破断伸度
43%の積層不織ウェブを得た。次に、第1ロール対の
ロール間線圧を170kg/cmとし、23.01m/
分の速度で回転する第2ロール対を用いて、第1ロール
対の速度に対する第2ロール対の周速比(V2 /V1
を1.15倍(=1+0.35×43/100)、すな
わち破断伸度の0.35倍延伸した以外は実施例1と同
様にして比較例9の不織布を得た。
【0066】得られた実施例1〜9、比較例1〜9の積
層不織布の特性を表1に示した。
【0067】
【表1】
【0068】表1において、実施例1〜9で得られた積
層不織布は、表面が平滑であり手触りの感触の良いもの
であり、かつ柔軟性を有する上、実用に耐え得る不織布
強力を備えたものであった。
【0069】一方、比較例1の積層不織布は、柔軟性と
不織布強力は有するものの、表面が平滑でなく手触りの
粗いものであり、また嵩密度の低いものであり、衣料用
途等には不適当なものであった。
【0070】比較例2の積層不織布は、実用に耐えうる
不織布強力を有し、かつ柔軟性には優れるものの、表面
が平滑でなく手触りの粗いものであった。
【0071】比較例3は、圧延・延伸処理の際、第1ロ
ール対と第2ロール対の周速度比V2 /V1 が大きく、
すなわち破断伸度に対し50%を超える条件で延伸した
ため不織布に一部亀裂が生じて積層不織布を得ることが
できなかった。
【0072】比較例4の積層不織布は、不織布強力は有
するものの、第1ロール対と第2ロール対との間での周
速度比V2 /V1 が0.98であって、延伸処理が施さ
れていないので柔軟性にかけるものであった。
【0073】比較例5の積層不織布は、不織布強力およ
び平滑性は有するものの、圧延処理を施す際に、合成繊
維を構成する合成重合体の低融点重合体の融点に近い温
度での加熱状態にて行ったので、柔軟性に欠ける積層不
織布となり、衣料等の日用品として用いるには不適当な
ものとなった。
【0074】比較例6の積層不織布は、交絡処理におけ
る高圧柱状液体流の水圧が小さかったので、不織布を構
成する繊維同志の交絡が十分になされていないので不織
布強力が不十分であり、実用性に乏しいものであった。
【0075】比較例7の積層不織布は、高圧液体柱状流
処理の作用により構成繊維間に交絡を有する一体化した
不織布であるが、実用に耐えうる不織布強力は有するも
のの、圧延、延伸処理を施していないため、柔軟性に乏
しく、柱状液体流を施すに際して付与された孔形状の跡
が不織布表面に凹凸として残っており、平滑性に欠ける
ものであり手触りの粗いものであった。また、緻密な構
造の欠如による毛羽立ちによる単糸繊維の抜けがあり、
嵩密度が低いものであった。
【0076】比較例8の積層不織布は、第1ロール対の
ロール間にかかる線圧が10kg/cm未満であったた
め、柱状液体流を施すに際して付与された孔形状の跡が
不織布表面に凹凸として残っており、不織布の平滑性に
欠けるものであり手触りの粗いものであった。また、緻
密な構造の欠如による毛羽立ちによる単糸繊維の抜けが
あり、嵩密度の低いものであった。
【0077】比較例9の積層不織布は、第1ロール対の
ロール間にかかる線圧が150kg/cmを超える圧延
処理を施したため、厚みのない紙状のものとなり、柔軟
性の乏しいものであった。
【0078】
【発明の効果】本発明によると、高圧柱状液体流処理を
施して得られた三次元交絡を有する不織布に圧延・延伸
処理を施すことにより、構成繊維間に三次元交絡を有す
る緻密に一体化した不織布構造となっており、嵩密度の
高い、表面が平滑性を有する、柔軟な不織布を得ること
ができた。すなわち、本発明の不織布は、衣料用、医療
用、日用品、産業資材用等の用途に好適に使用すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】不織布に加圧処理と延伸処理を施すための第1
ロール対と第2ロール対を示す側面図である。
【符号の説明】
1 積層不織布 2 積層不織ウエブ 3 第1ロール対 4 第2ロール対 5 巻き取り
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D04H 1/42 D04H 1/42 J P

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不織布が少なくとも30重量%の天然繊
    維からなる不織ウエブと多くとも70重量%の合成重合
    体からなる繊維からなる不織ウエブとの積層体であっ
    て、嵩密度が0.1〜0.7g/ccであって、かつ構
    成繊維間が三次元交絡を有する、緻密に一体化した不織
    布構造となっており、表面が平滑で、かつ圧縮剛軟度が
    60g以下であることを特徴とする積層不織布。
  2. 【請求項2】 少なくとも30重量%の天然繊維からな
    る不織ウエブと多くとも70重量%の合成重合体からな
    る繊維からなる不織ウエブとの積層不織ウエブに予備交
    絡を施した後、下記式(1)を満足する条件で高圧柱状
    液体流処理を施し、次いで水分を除去した後、一対のロ
    ールからなる第1ロール対の前記不織ウエブをとおして
    下記式(2)を満足する条件で圧延し、連続して第1ロ
    ール対と第1ロール対の下流に配された一対のロールか
    らなる第2ロール対との間で下記式(3)を満足する条
    件で延伸することを特徴とする積層不織布の製造方法。 (1) P≧50kg/cm2 G (2) 10 ≦ P1 ≦ 150 kg/cm (3) 1.01 ≦ V2 /V1 ≦1+0.5×E
    /100 P :高圧柱状液体流処理における水圧 P1 :第1ロール対のロール間にかかる線圧 V1 :第1ロール対の周速度 V2 :第2ロール対の周速度 E :不織布の破断伸度
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