JPH08286129A - 光ファイバの切替接続方法及びその方法を用いた光スイッチ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 小型で光線路の高速切替が可能で、接続に伴
う光ファイバの損傷がなく、光ファイバ相互間の角度ず
れを抑制しうる光ファイバの切替接続方法及びその方法
を用いた光スイッチ装置を提供する。 【構成】 所定ピッチで複数配列された光ファイバに、
マスタファイバを順次切り替えて光線路を切り替える光
ファイバの切替接続方法とその方法を用いた光スイッチ
装置１。所定ピッチで複数配列された光ファイバ、複数
の光ファイバと対向配置されたマスタファイバ４、マス
タファイバを複数の光ファイバのそれぞれに対して位置
決めする位置決め溝５ａを有する位置決め基板５、マス
タファイバを複数の光ファイバの配列方向に移動させる
と共に、先端側を位置決め溝に位置決めする駆動手段10
を備え、マスタファイバを駆動手段によって所望の光フ
ァイバに切替接続して光線路を切り替える。マスタファ
イバ側には、マスタファイバの先端側を位置決め溝に押
圧して位置決めし、各光ファイバとマスタファイバとの
間に所定の隙間を介して接続させる押圧手段15が設けら
れている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、光線路の切替接続の際
に使用する光ファイバの切替接続方法及びその方法を用
いた光スイッチ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】光線路の切替接続に際しては、例えば、
光ファイバの端部にフェルールを取り付けた光コネクタ
相互を突き合わせてピン嵌合することにより光ファイバ
相互を接続し、光線路を切り替えるときは光コネクタ相
互を外して、異なる光線路を構成する光コネクタとピン
嵌合することにより光線路の切替を行っている。

【０００３】しかしながら、光コネクタの着脱によって
光線路を切り替える場合には、切替装置が大型化するう
え、光コネクタの着脱に伴う切替時間が掛かりタイムロ
スが大きいという問題があった。このため、光ファイバ
を移動させることによって光線路を切り替える小型で高
速切替が可能な光スイッチ装置が提案されている。

【０００４】このような光スイッチ装置としては、例え
ば、光線路を構成する複数の光ファイバを、Ｖ溝基板上
に形成した複数のＶ溝に位置決めすると共に、切替用の
光ファイバ（以下、「マスタファイバ」という）を前記
いずれかのＶ溝で所望の光ファイバと接続する。そし
て、マスタファイバを移動手段によって前記複数のＶ溝
の配列方向へ移動し、接続すべき光ファイバを変更する
ことによって光線路を切り替える光スイッチ装置（以
下、「Ｆ−Ｆタイプ」という）が知られている。

【０００５】また、光線路を構成する複数の光ファイバ
の端部に取り付けた光コネクタを、前記光ファイバの配
列ピッチと等しいピッチのＶ溝が形成されたＶ溝基板と
突き合わせ、対応するそれぞれの光ファイバとＶ溝とを
対向させ、前記Ｖ溝でマスタファイバを位置決めして所
望の光ファイバと接続する。そして、マスタファイバを
移動手段によって前記複数のＶ溝の配列方向へ移動し、
接続すべき光ファイバを変更することによって光線路を
切り替えるＣ−Ｆタイプの光スイッチ装置も知られてい
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記Ｆ−Ｆ
タイプやＣ−Ｆタイプの光スイッチ装置においては、マ
スタファイバの端面が相手方の光ファイバの端面や光コ
ネクタと干渉するため、切替移動されるマスタファイバ
の端面が欠けたり傷等が発生する可能性があり、信頼性
に問題があった。

【０００７】また、マスタファイバは先端が自由端とな
っていることから光ファイバとの接続に際して先端側が
動き易く、接続される光ファイバ相互間に角度ずれに伴
う接続損失を生じ易いという問題があった。本発明は上
記の点に鑑みてなされたもので、小型で光線路の高速切
替が可能で、接続に伴う光ファイバの損傷がなく、光フ
ァイバ相互間の角度ずれを抑制しうる光ファイバの切替
接続方法及びその方法を用いた光スイッチ装置を提供す
ることを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の光ファイバの切替接続方法によれば、所定ピッ
チで複数配列された光ファイバに、マスタファイバを順
次切り替えて光線路を切り替える光ファイバの切替接続
方法において、前記光ファイバに前記マスタファイバを
切替接続する際に、前記マスタファイバの先端側を押圧
しながら位置決めし、前記光ファイバとの間に所定の隙
間を介して接続する構成としたものである。

【０００９】また、上記目的を達成するため本発明の光
スイッチ装置によれば、所定ピッチで複数配列された光
ファイバ、前記複数の光ファイバと対向配置されたマス
タファイバ、前記マスタファイバを前記複数の光ファイ
バのそれぞれに対して位置決めする位置決め溝を有する
位置決め基板、前記マスタファイバを前記複数の光ファ
イバの配列方向に移動させると共に、先端側を前記位置
決め溝に位置決めする駆動手段を備え、前記マスタファ
イバを前記駆動手段によって所望の光ファイバに切替接
続して光線路を切り替える光スイッチ装置において、前
記マスタファイバ側に、当該マスタファイバの先端側を
前記位置決め溝に押圧して位置決めし、前記各光ファイ
バとマスタファイバとの間に所定の隙間を介して接続さ
せる押圧手段を設けたものである。

【００１０】

【作用】マスタファイバを光ファイバに切替接続する際
に、マスタファイバの先端側を位置決めし、光ファイバ
との間に所定の隙間を介して接続すると、マスタファイ
バは光ファイバと干渉しない。また、マスタファイバの
先端側を押圧手段で位置決め溝に押圧して位置決めする
と、マスタファイバは先端側が動かないので、接続され
る相手方の光ファイバとの間に角度ずれを生ずることが
ない。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の光ファイバの切替接続方法と
その方法を用いた光スイッチ装置に係る一実施例を図１
乃至図３に基づいて詳細に説明する。光スイッチ装置１
は、図１に示すように、光コネクタ２、マスタファイバ
４、Ｖ溝基板５、駆動装置１０及びファイバ押え１５を
備えており、図１は光線路の切替中における状態を示し
ている。

【００１２】光コネクタ２は、複数のテープファイバ３
の端部に取り付けられている。各テープファイバ３は、
光線路を構成する複数心の光ファイバ３ａ（図２及び図
３参照）を所定ピッチで平行に配列して被覆したテープ
状の多心ファイバである。マスタファイバ４は、駆動装
置１０で切替駆動され、複数のテープファイバ３の任意
の光ファイバ３ａに切替接続される。マスタファイバ４
は、先端を光コネクタ２の端面近傍に位置させて駆動装
置１０に支持されている。

【００１３】Ｖ溝基板５は、上面に複数のＶ溝５ａが形
成された板状の部材で、それぞれのＶ溝５ａは各テープ
ファイバ３と対応する位置に複数心の光ファイバ３ａと
等しい配列ピッチで同数形成されている。Ｖ溝５ａは、
マスタファイバ４の先端側を光ファイバ３ａとの間に角
度ずれを生ずることなく位置決めする。駆動装置１０
は、ヘッド１１、送りねじ１２、回動軸１３及び固定部
材１４を有している。ヘッド１１は、幅方向に貫通する
送りねじ１２及び回動軸１３によって支持されている。
ヘッド１１は、送りねじ１２の回転によって軸方向に移
動されると共に、回動軸１３の回動により、回動軸１３
を中心として起倒される。送りねじ１２は、ボールねじ
等を使用することによってヘッド１１を高速移動させ
る。固定部材１４は、先端側をＶ溝基板５上へ延出させ
て、マスタファイバ４をヘッド１１に固定する。

【００１４】ファイバ押え１５は、ヘッド１１の上面に
取り付けられた板ばね状の部材で、先端下面には半球状
の突起１５ａが設けられている。本発明の光スイッチ１
は、以上のように構成されており、光線路を切り替える
ときには、以下に述べる切替接続方法によってマスタフ
ァイバ４を所望の光ファイバ３ａに切り替える。

【００１５】ここで、マスタファイバ４は、通常は、ヘ
ッド１１が傾倒することによって先端側が所定のＶ溝５
ａ内で撓むと共に、ファイバ押え１５によってＶ溝５ａ
に押圧されて位置決めされ、所望の光ファイバ３ａとの
間に所定の隙間を介して接続されている。そして、光線
路を切り替えるときは、先ず、駆動装置１０を作動させ
て回動軸１３を所定量回動させ、図２に示すように、水
平位置までヘッド１１を引き起こす。これにより、マス
タファイバ４と元の光ファイバ３ａとの接続を解除す
る。このとき、回動軸１３は、ヘッド１１が所定範囲内
を起倒するように、予め回動量を測定しておく。

【００１６】次に、送りねじ１２を回転させ、切り替え
るべき所望の光ファイバ３ａの位置までヘッド１１を光
ファイバ３ａの配列方向に高速で移動させる。この場合
にも、送りねじ１２のピッチからヘッド１１の移動量を
予め測定しておく。次いで、回動軸１３を逆方向に所定
量回動させ、ヘッド１１を回動軸１３を中心として傾倒
させる。

【００１７】すると、マスタファイバ４は、先端が略垂
直に下降し、先端がＶ溝基板５のＶ溝５ａに当接する
と、以後は撓みながら先端が僅かに後退する。これと並
行してマスタファイバ４は、先端近傍がファイバ押え１
５に設けた突起１５ａでＶ溝５ａ内に押圧されて位置決
めされる。この結果、回動軸１３の所定量の回動が終了
すると、マスタファイバ４は、図３に示すように、所定
の隙間を介して所望の光ファイバ３ａと接続される。但
し、マスタファイバ４は、先端が略垂直に下降して僅か
に後退するが、光ファイバ３ａとの間に形成される前記
所定の隙間は、実際には非常に僅かなものである。従っ
て、光ファイバ３ａとマスタファイバ４との間に、例え
ば、マッチングオイル等の屈折率整合剤を滴下すれば、
前記所定の隙間に起因する接続損失は殆ど無視すること
ができる。

【００１８】このとき、本発明の光ファイバの切替接続
方法を用いると、マスタファイバ４は、先端が略垂直に
下降し、光コネクタ２の端面と干渉することがない。従
って、マスタファイバ４は、端面が欠けたり傷等が発生
することはない。また、ファイバ押え１５は板ばね状の
部材であるので、マスタファイバ４は、自由端である先
端側がＶ溝５ａ内に弾性的に押圧されて位置決めされ
る。このため、マスタファイバ４は、先端側が対向する
光ファイバ３ａと適切に接続され、光ファイバ３ａとの
間に角度ずれを生ずることがなく、角度ずれに伴う接続
損失の発生も抑制される。

【００１９】尚、上記実施例は、光コネクタ２と突き合
わせたＶ溝基板５の上でマスタファイバ４をテープファ
イバ３の各光ファイバ３ａに切替接続するＣ−Ｆタイプ
の光スイッチ装置１とした場合について説明したが、Ｖ
溝基板上でマスタファイバと光ファイバとを切替接続す
るＦ−Ｆタイプの光スイッチ装置であっても良いことは
言うまでもない。

【００２０】

【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
光ファイバの切替接続方法及びその方法を用いた光スイ
ッチ装置によれば、光コネクタ相互の着脱によって光線
路を切り替える構成ではないので、光線路の切替に要す
る切替時間が短時間で、装置自体を小型化できるという
効果に加え、以下のような優れた効果を奏する。

【００２１】先ず、切替移動されるマスタファイバの先
端側を押圧しながら撓ませ、接続される相手方の光ファ
イバとの間に所定の隙間を介して接続するので、マスタ
ファイバの端面が相手方の光ファイバの端面や光コネク
タと干渉することがなく、切替移動されるマスタファイ
バの端面が欠けたり傷等が発生することを防止でき、光
スイッチ装置の信頼性が向上する。

【００２２】また、マスタファイバは先端側が押圧手段
によって位置決め溝に押圧されて撓むので、光ファイバ
との接続に際して先端側が動かず、接続される相手方の
光ファイバとの間に角度ずれが発生しないので、角度ず
れに伴う接続損失の発生も抑えられる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示すもので、光ファイバの
切替接続方法を適用した光スイッチ装置の概略構成図で
ある。

【図２】マスタファイバを他の光ファイバに切り替えて
いる中間状態を部分的に断面にして示した光スイッチ装
置の側面図である。

【図３】マスタファイバの他の光ファイバへの切替完了
時の状態を部分的に断面にして示した光スイッチ装置の
側面図である。

【符号の説明】

１ 光スイッチ装置 ２ 光コネクタ ３ テープファイバ ３ａ 光ファイバ ４ マスタファイバ ５ Ｖ溝基板（位置決め基板） ５ａ Ｖ溝（位置決め溝） １０ 駆動装置 １１ ヘッド １２ 送りねじ １３ 回動軸 １４ 固定部材 １５ ファイバ押え（押圧手段） １５ａ 突起

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大水 清納 東京都千代田区丸の内２丁目６番１号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 川添 英世 東京都千代田区丸の内２丁目６番１号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 富田 信夫 東京都千代田区内幸町一丁目１番６号 日 本電信電話株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定ピッチで複数配列された光ファイバ
   に、マスタファイバを順次切り替えて光線路を切り替え
   る光ファイバの切替接続方法において、前記光ファイバ
   に前記マスタファイバを切替接続する際に、前記マスタ
   ファイバの先端側を押圧しながら位置決めし、前記光フ
   ァイバとの間に所定の隙間を介して接続することを特徴
   とする光ファイバの切替接続方法。
2. 【請求項２】 所定ピッチで複数配列された光ファイ
   バ、前記複数の光ファイバと対向配置されたマスタファ
   イバ、前記マスタファイバを前記複数の光ファイバのそ
   れぞれに対して位置決めする位置決め溝を有する位置決
   め基板、前記マスタファイバを前記複数の光ファイバの
   配列方向に移動させると共に、先端側を前記位置決め溝
   に位置決めする駆動手段を備え、前記マスタファイバを
   前記駆動手段によって所望の光ファイバに切替接続して
   光線路を切り替える光スイッチ装置において、 前記マスタファイバ側に、当該マスタファイバの先端側
   を前記位置決め溝に押圧して位置決めし、前記各光ファ
   イバとマスタファイバとの間に所定の隙間を介して接続
   させる押圧手段を設けたことを特徴とする光スイッチ装
   置。