JPH08283977A - 活性陰極およびその製造方法 - Google Patents

活性陰極およびその製造方法

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JPH08283977A
JPH08283977A JP7089199A JP8919995A JPH08283977A JP H08283977 A JPH08283977 A JP H08283977A JP 7089199 A JP7089199 A JP 7089199A JP 8919995 A JP8919995 A JP 8919995A JP H08283977 A JPH08283977 A JP H08283977A
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nickel
silver
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active cathode
active
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JP7089199A
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English (en)
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Takemichi Kishi
剛陸 岸
Osamu Arimoto
修 有元
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ThyssenKrupp Uhde Chlorine Engineers Japan Ltd
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Chlorine Engineers Corp Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 活性、耐食性が大きな活性陰極を得る。 【構成】 導電性基体上に、ニッケルを含有する比表面
積の大きな低水素過電圧の電極触媒層を形成した後に銀
を含有する溶液によって処理し、電極触媒上に銀を被
覆、通電停止時の逆電流による劣化、あるいは電解槽か
ら取り出した場合の空気による劣化を防止した活性陰極
の製造および運転中の電解槽の陰極室に銀含有溶液を添
加し、活性陰極の劣化を防止する。 【効果】 活性の低下の少ない低水素過電圧の活性陰極
が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルカリ金属ハロゲン
化物、アルカリ金属水酸化物水溶液を長期間低水素過電
圧で電気分解できる陰極およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水溶液の電気分解では、一般に陰極では
水素が発生する。アルカリ金属ハロゲン化物水溶液の隔
膜法、イオン交換膜法による電気分解では、従来は陰極
には軟鉄を主体とする材料が使用されていた。しかし、
軟鉄は水素過電圧が高いという欠点があり、水素過電圧
の低い種々の電極が活性陰極として提案されている。活
性陰極とは従来使用されてきた軟鉄を主体とする材料よ
りも低い水素過電圧を示す陰極を意味している。活性陰
極には、ニッケル、コバルト、白金族元素、それらの混
合物の金属又は酸化物が電極触媒物質として使用され
る。また陰極基体へのこれらの電極触媒物質の形成方法
としては、電気めっき法、無電解めっき法、分散電気め
っき法、溶射法、浸漬法等が提案されている。
【0003】活性陰極には、水素過電圧が低く、電解槽
の運転停止時やイオン交換膜等の交換のために電解槽か
ら取り出した際に劣化しないことが要求され、また、イ
オン交換膜法電解槽でイオン交換膜に密着して使用した
場合にも電極触媒物質によってイオン交換膜の汚染が起
こらず、しかも製造コストが安価なことが要求されてい
る。
【0004】これまでに提案されている活性陰極として
は、ラネーニッケル単体またはラネーニッケルと水素吸
蔵合金を複合めっきした活性陰極(特公昭61−120
32号、特公昭61−36590号)は低水素過電圧で
あるという特長はあるが、イオン交換膜のニッケルによ
る汚染がおこり、電解槽から取り出した場合には、活性
陰極が空気と接触すると酸化反応がおこり発火したり劣
化するという欠点がある。ニッケルとすずの合金を電気
めっきしたもの(特公昭63−4920号、特開昭62
−253791号)やニッケルとクロムの合金を電気め
っきしたもの(特開昭62−284094号)は、イオ
ン交換膜がニッケルにより汚染されるとか水素過電圧が
やや高いという欠点がある。電気めっき法で硫黄を含む
ニッケル金属層を製造したもの(特公昭25−2305
号、特公平2−60759号、特開昭62−93389
号)や電気めっき法で活性炭と硫黄を含むニッケルを共
析したもの(特開昭57−35689号、特開昭57−
89491号)は、活性陰極を電解槽から取り出した場
合に活性陰極が空気と接触しても酸化が起こり難く劣化
し難いという特長はあるが、水素過電圧がラネーニッケ
ル単体又はラネーニッケルと水素吸蔵合金を複合メッキ
した活性陰極の水素過電圧より高く、イオン交換膜がニ
ッケルで汚染され得るという欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の活性
陰極にみられるような、活性陰極を電解槽から取り出し
た際の発火あるいは活性陰極の劣化、イオン交換膜と接
触して使用した場合におけるニッケル等の金属によるイ
オン交換膜の汚染等を防止し、従来のものに比べて水素
過電圧を低下させるとともに水素過電圧の経時的上昇を
防止することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すベく鋭意研究の結果、本発明に到達したもので
ある。本発明は、水素過電圧の低い活性陰極において、
基体上に比表面積が大きなニッケル含有層を有し、ニッ
ケル含有層上には、銀層を有している活性陰極である。
また、水素過電圧の低い活性陰極の製造方法におい
て、基体上に比表面積が大きなニッケル含有層を形成し
た後に、銀イオン含有液中に浸漬し、無電解あるいは電
気めっきによって銀の析出層を形成する活性陰極の製造
方法である。水素過電圧の低い活性電極の製造方法にお
いて、基体上に比表面積が大きなニッケル含有層を有す
る活性陰極を電解槽の陰極室に取り付けて電気分解中に
陰極室に銀含有化合物を添加する活性陰極の製造方法で
ある。活性陰極は、水素過電圧を低下することによっ
て、電気分解に要する消費電力を低下させることを大き
な特徴としている。したがって、活性陰極の製造費用が
あまりにも大きくなり、電解電圧の低下による消費電力
の低下を上回ることとなると、工業的な電気分解におい
て活性陰極を採用する利点は事実上なくなってしまうこ
ととなる。
【0007】そこで、本発明者等は、安価な活性陰極と
して、電極触媒層には高価な貴金属を多量にせず、また
電解槽停止時や活性陰極を取り出した場合に劣化しない
ようにするために、化学的に安定な物質、仮に劣化して
も容易に回復できる物質を使用し、実質的な電極面積を
大きくし、さらにイオン交換膜が金属によって汚染され
ないようにすることを考慮した。
【0008】そこで、電極触媒層として従来から活性陰
極に用いられている比較的安価なニッケルを主成分とす
る面積の大きな電極触媒層を形成し、次いでニッケルを
含有する触媒層上に銀を析出させてニッケルからなる電
極触媒層を安定化したものであり、本発明の活性陰極
は、活性は大きいが不安定であるラネーニッケルのよう
な電極触媒層上に被覆層を形成することにより、活性を
保持しつつ従来の活性陰極が有する問題点を解消するも
のであり、とくにニッケルを含有する電極触媒層上に従
来検討されていなかった銀を被覆することによって、電
極活性および陰極の安定性を同時に維持するものであ
る。
【0009】本発明の活性陰極において、ニッケル含有
の電極触媒層は、ニッケル−アルミニウム合金粉末をニ
ッケルめっき浴に分散させて基体上に電気めっきした後
に、アルミニウムを溶解処理する方法、ニッケルと2価
のすずの両イオンを含有するめっき浴を使用して基体上
に電気めっきする方法、ニッケルと3価のクロムの両イ
オンを含有するめっき浴を使用し基体上に電気めっきす
る方法、活性炭粉末を分散させた硫黄化合物含有ニッケ
ルめっき浴から基体上に電気めっきする方法で形成され
たものである。
【0010】また、形成するニッケル含有電極触媒層の
表面積は、陰極の投影面積の30〜300倍が好まし
く、表面積を大きくすることによって、電極触媒の性能
を高めるとともに、通電面積の増大によって実質的な陰
極電流密度が低下し、その結果水素過電圧を下げること
ができる。
【0011】ニッケル含有層上に形成する銀の層は、電
極基体上にニッケル含有層を形成した後に銀塩溶液に浸
漬する方法、銀塩溶液に浸漬してニッケル含有層を陰極
として電気めっきする方法等を適用することができる。
本発明で使用する銀塩としては、硝酸銀、塩素酸銀、硫
酸銀、過塩素酸銀、酸化銀、亜硫銀銀、亜硝酸銀、酒石
酸銀、硝酸ジアンミン銀等が使用できる。
【0012】そして、これらの銀塩を純水、酸、アルカ
リ等の溶媒に溶かし、銀塩溶液を調製する。銀塩溶液の
濃度は、析出方法によって異なるが、10-6モル/リッ
トル以上1モル/リットル以下、好ましくは10-5モル
/リットル以上10-1モル/リットル以下がよい。銀塩
溶液の濃度が10-6モル/リットルより薄い場合は、ニ
ッケル含有電極触媒層の処理に時間を要し、また大量の
溶液を使用しなくてはならない等の問題があり好ましく
なく、銀塩溶液の濃度が1モル/リットルより濃い場合
は、銀処理速度が速くなり、所定の厚みの銀層を得るの
が困難となり好ましくない。
【0013】また、既に電極基体上にニッケル含有電極
触媒層を形成した電極を電解槽において使用している場
合には、陰極液中に銀を含有する塩類を溶解し、電解槽
を運転しながらニッケル含有電極触媒層上に銀を析出す
ることによって水素過電圧の低下が可能となる。さら
に、電極触媒層の劣化によって水素過電圧が上昇した場
合には、陰極液中に銀を含有する塩類を添加することに
よって電極の性能を回復し、水素過電圧の保持を行うこ
ともできる。
【0014】本発明の陰極に使用される銀の量は、陰極
の投影面積1平方メートル当たり1グラム以上100グ
ラム以下であり、より好ましくは10グラム以上50グ
ラム以下である。電極触媒層上の銀量が陰極の投影面積
1平方メートル当たり1グラム未満の場合は、水素過電
圧の改良効果が発揮されず、イオン交換膜のニッケルに
よる汚染防止の効果が不十分であるので好ましくなく、
100グラムより多い場合は、使用する銀量に見合うだ
けの水素過電圧の低下が得られず好ましくない。 本発
明の活性陰極の電極基体には、軟鋼、ステンレス、ニッ
ケルあるいは軟鋼にニッケルやコバルトをめっきしたも
の等が使用できる。また、基体の構造としては、エキス
パンデッドメタル、穿孔板、網等の多孔性の基体、平
板、棒状等の任意の形状のものを使用することできる。
【0015】また、本発明の活性陰極は表面に銀を有し
ているので、ラネーニッケルが空気と直接接触せず空気
中で劣化する現象が抑制される。さらに、電解槽の運転
停止時に電解槽内に生成した物質によって電池が形成さ
れる結果、逆電流が流れ、電極に形成した電極触媒が損
傷を受けることがあったが、陰極が陽分極し銀が酸化さ
れた場合でも、再通電により容易に銀に戻り、活性が損
なわれない。また、本発明の電極触媒層からは、金属イ
オンが溶出してイオン交換膜が汚染されることもない。
【0016】
【作用】本発明の活性陰極は、ラネーニッケルのような
表面積が大きなニッケル含有電極触媒層を電極基体上に
形成した後に、銀を含有した処理液中において処理し、
ニッケル含有層の表面に銀を被覆したので、銀はニッケ
ル含有層に強固に付着し、ラネーニッケル層の活性を低
下させることなく、電極活性物質の空気中での劣化を防
止するものであり、通電停止時の逆電流による劣化、空
気中での劣化を防止することができる。
【0017】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を説明する。 実施例1 ニッケル製エキスパンデッドメタル(20mm×20m
m)を水酸化ナトリウム水溶液で脱脂後、水洗しさらに
濃塩酸を等量の水で希釈した液でエッチングした。水洗
後、以下の組成の粒径6μmのニッケル−アルミニウム
合金を分散したニッケルめっき浴を用いてニッケル基体
上にニッケル−アルミニウム合金粒子を含有したニッケ
ルを含有する電極触媒層を形成した。
【0018】 めっき液組成:塩化ニッケル 300g/l 塩化アルミニウム 50g/l ホウ酸 38g/l Ni−Al合金(50:50) 0.9g/l めっき液pH :2.25〜2.30に保持 めっき液温度 :45〜50℃に保持 めっき電流密度:3A/dm2 めっき時間 :90分 ニッケルめっきを形成した電極基体を水洗後、温度を7
0〜80℃に保持した20重量%の水酸化ナトリウム水
溶液中に2時間浸漬し、アルミニウム分を除去した。こ
のようにして得られた10個の試料について試料の表面
粗度を二重層容量法で測定したところ、平均1320m
2/m2であった。測定は、カレントパルスジェネレータ
ー(北斗電工製 HC−113)を使用してカレントイ
ンタラプター法によって測定した。カレントインターラ
プター法で求めた二重層容量(F/cm2−投影面積)
を基準値の20(μF/cm2)で除算して表面粗度を
求めた。
【0019】次いで、20重量%水酸化ナトリウム水溶
液中に0.1規定の硝酸銀溶液を電解液中に添加する硝
酸銀の量をそれぞれ3.2mg、6.3mg、18.9
mg、31.5mgと変えて電流密度30A/dm
2 で、ニッケル板を陽極、試料を陰極とし、温度を20
〜25℃の範囲に保持し、電流密度30A/dm2 で2
0分間電解し、銀の付着量が5、10、30、50g/
2 の電極を作製した。
【0020】得られた陰極の水素過電圧を、温度80℃
において、32重量%水酸化ナトリウム水溶液を電解液
として電流密度30A/dm2 の条件において、参照電
極として水銀/酸化水銀電極を用いて測定した。銀の付
着量の異なる試料の水素過電圧を表1に示す。また、空
気中に室温で12時間放置した後に水素過電圧を測定
し、その結果も同様に表1に示す。
【0021】比較例1 銀を付着させなかった点を除き、実施例1と同様にして
作製した活性陰極を実施例1と同様にして試験を行い、
その結果を試料番号1として表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】実施例2 実施例1と同様に試料を作製し、水素過電圧を測定した
後に、ニッケル板を陽極、試料を陰極として温度80℃
の32重量%水酸化ナトリウム中において、電流密度5
0A/dm2 で30分間の電気分解を行った後に、電流
密度2.5A/dm2 として9分間逆に通電し、さらに
再度正規の通電と逆通電を行った後に、同様に水素過電
圧を測定しその結果を表2に示す。
【0024】比較例2 銀を付着させなかった点を除き、実施例2と同様にして
活性陰極を作製し試験を行い、その結果を試料番号6と
して表2に示す。
【0025】
【表2】
【0026】実施例3 ニッケル製エキスパンデッドメタル(100mm×10
0mm)をニッケル製の陰極室枠体に取り付け、枠体の
外面を合成樹脂製のテープで被覆して、実施例1と同様
の方法でニッケル含有電極触媒層を形成した後に、20
重量%水酸化ナトリウム3.0リットルに硝酸銀204
mgを加えた溶液に60分間浸漬することによってイオ
ン化傾向の差による銀処理を行い銀を析出させた。陰極
には、液中の銀濃度の分析から10g/m2 の銀が付着
していた。得られた陰極を陰極室枠体に取り付けた。
【0027】陰極室枠体を乾燥させることなく、陰極室
を下側とし、ポリフッ化ビニリデン製ガスケット、2%
炭酸水素ナトリウム水溶液で処理した陽イオン交換膜
(デュポン社製 ナフィオン962)、ガスケット、食
塩電解用不溶性陽極(ペルメレック社製)を取り付けた
陽極室を積層し、密封状態にして7日間放置した。放置
後、温度80℃、電流密度50A/dm2 で陰極室から
32重量%水酸化ナトリウム水溶液を得るとともに、陽
極室から流出する淡塩水を濃度200g/lとし、食塩
水の電気分解を3日間連続して行った。電解終了後電解
槽を解体し、イオン交換膜を観察したところ、イオン交
換膜に変化はなかった。
【0028】比較例3 ニッケル含有電極触媒層を銀含有溶液によって処理しな
かった点を除き、実施例3と同様にして電気分解を行
い、電解終了後電解槽を解体し、イオン交換膜を観察し
たところ、陰極室側には、エキスパンデッドメタルとの
接触部には黒色部分が形成されていた。
【0029】実施例4 ステンレス製エキスパンドメタル(100mm×100
mm)をステンレス製枠体に溶接し、枠の外面を合成樹
脂製テープで被覆した後に、電解エッチング、水
洗、ストライクめっき、水洗、分散めっき、水
洗、分散めっき、水洗の工程で、活性炭を分散した
硫黄を含有するニッケルめっき層よりなる活性陰極を作
製した。各工程のめっき浴とめっき条件を以下に示す。
【0030】 電解エッチング エッチング液 硫酸 300g/l 界面活性剤 1g/l エッチング条件 温度 20℃ 電流密度 3A/dm2 使用陰極 鉛板 時間 6分 ストライクめっき めっき液 塩化ニッケル 100g/l 塩酸 100g/l めっき条件 温度 20℃ 電流密度 3A/dm2 使用陽極 ニッケル板 時間 3分 、分散めっき めっき液 硫酸ニッケル 84g/l 塩化ニッケル 30g/l 塩化アンモニウム 4.5g/l 塩化カリウム 6g/l ホウ酸 30g/l 硫酸銅 0.4g/l 活性炭 15g/l めっき条件 温度 40℃ 電流密度 20A/dm2 使用陽極 ニッケル板 時間 10分
【0031】得られた陰極室を、陽イオン交換膜(旭硝
子製 フレミオン893)、食塩電解用不溶性陽極(ペ
ルメレック社製)を使用し、電極間距離を2mmとし
て、3個の電解槽を組み立てた。それぞれの電解槽を温
度85℃、電流密度30A/dm2 、陰極液として32
重量%水酸化ナトリウム水溶液、陽極室から流出する淡
塩水濃度200グラム/リットルの条件で、食塩水の電
気分解を180日間連続して行った。 運転日数が18
1日目に各電解槽の陰極室の注水管から硝酸銀水溶液
(Agとして11.1g/l)をそれぞれ0.6、1.
5、3.0ml加えた。同量の硝酸銀水溶液を運転日数
182日目と183日目にも加えた。その結果、電極の
みかけの面積当たりの銀の添加量は表3に示す量となっ
た。それぞれの添加量に対する電解電圧を表に示す。
【0032】
【表3】
【0033】実施例5 ニッケル製エキスパンデッドメタル(100mm×10
0mm)をニッケル製の陰極室枠体に溶接し、枠体の外
面を合成樹脂製テープで被覆し、ニッケル製エキスパン
ドメタル部を、下記のめっき液を用いて、温度50℃、
電流密度10A/dm2 、陽極として1dm2 の白金め
っきチタン電極を使用し、1分間めっきを行いニッケ
ル、すずよりなる活性層を形成した活性陰極を作製し
た。
【0034】めっき液 塩化ニッケル6水塩 30g/l 塩化すず2水塩 7g/l ピロリン酸カリウム 200g/l グリシン 20g/l pH 8.8 得られた陰極室を、陽イオン交換膜(デュポン社製 ナ
フィオン962)、食塩電解用不溶性陽極(ペルメレッ
ク社製)を使用し、電極間距離を2mmとした電解槽を
3個組み立てた。それぞれの電解槽を温度85℃、電流
密度30A/dm2 、陰極液として32重量%水酸化ナ
トリウム水溶液、陽極室から流出する淡塩水濃度200
グラム/リットルとし、30日間連続して食塩水の電気
分解を行った。運転日数が31日目に運転を停止し、各
電解槽の陰極室の注水管から硝酸銀水溶液(Agとして
11.1g/l)をそれぞれ0.6、1.5、3.0m
l加えた。同量の硝酸銀水溶液を運転日数32日目と3
3日目にも加えた。その結果、電極のみかけの面積当た
りの銀の添加量は表4に示す量となった。次いで、陽極
と陰極とを銅線で導電接続する短絡試験を1時間毎に1
0回実施し電解電圧を測定し、その結果を表4に示す。
【0035】
【表4】
【0036】比較例4 ニッケル製エキスパンデッドメタル(20mm×20m
m)を水酸化ナトリウム水溶液で脱脂後、水洗しさらに
濃塩酸を等量の水で希釈した塩酸(1+1)でエッチン
グした。水洗後、得られた試料の表面粗度を実施例1と
同様に二重層容量法で測定したところ、平均13m2
2であった。
【0037】試料を銀イオンとしてそれぞれ、27、3
0mg/lを含む20重量%水酸化ナトリウム水溶液に
浸して陰極とし、ニッケル板を陽極とし、温度を20〜
25℃に保持し、電流密度30A/dm2 、電解時間を
20分間とし、銀付着量が10、30g/m2 の試料を
作製した。得られた試料を陰極とし、実施例3と同様に
して3日間電気分解を行った。電解時の水素過電圧は、
それぞれ270mV、230mVであり、さらに電気分
解の後に陰極を観察すると双方のサンプルとも銀が一部
剥離し、基体が見える状態であった。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、活性の低下した陰極を
運転中に再生でき、ラネーニッケル等のニッケル含有電
極触媒層等の活性陰極の電解停止時における逆電流によ
る劣化、あるいは陰極を取り出した際の劣化を防止し、
さらにニッケルを含有する活性陰極をイオン交換膜に接
触して使用する際に問題となっていたイオン交換膜のニ
ッケルによる汚染も防止できるという効果がある。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素過電圧の低い活性陰極において、基
    体上に比表面積が大きなニッケル含有層を有し、ニッケ
    ル含有層上には、銀層を有していることを特徴とする活
    性陰極。
  2. 【請求項2】 水素過電圧の低い活性陰極の製造方法に
    おいて、基体上に比表面積が大きなニッケル含有層を形
    成した後に、銀イオン含有液中に浸漬し、無電解あるい
    は電気めっきによって銀の析出層を形成することを特徴
    とする活性陰極の製造方法。
  3. 【請求項3】 水素過電圧の低い活性陰極の製造方法に
    おいて、基体上に比表面積が大きなニッケル含有層を有
    する活性陰極を電解槽の陰極室に取り付けて電気分解中
    に陰極室に銀含有化合物を添加することを特徴とする活
    性陰極の製造方法。
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