JPH08283900A - 耐火用圧延形鋼およびその製造方法 - Google Patents
耐火用圧延形鋼およびその製造方法Info
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- JPH08283900A JPH08283900A JP8954695A JP8954695A JPH08283900A JP H08283900 A JPH08283900 A JP H08283900A JP 8954695 A JP8954695 A JP 8954695A JP 8954695 A JP8954695 A JP 8954695A JP H08283900 A JPH08283900 A JP H08283900A
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Abstract
れたフランジを有する形鋼、例えばH形鋼を微量BとN
bの添加に加えMg系酸化物を分散させた鋳片を素材と
し、これを加速冷却型制御圧延により製造する。 【構成】 低窒素化、Ti、B、Nb及びMg合金等の
添加と鋳込み後の冷却速度の制御により鋳片にMg系複
合酸化物を微細分散させることにより、圧延加熱時のγ
の細粒化と焼入性の上昇効果と、さらに加速冷却型制御
圧延の効果を高めることにより組織微細化を行い、耐火
性の優れた圧延形鋼を製造する。
Description
て用いられる耐火性、靭性の優れた圧延H形鋼等フラン
ジを有する圧延形鋼と制御圧延による圧延形鋼の製造方
法に係わるものである。
化などから耐火設計の見直しが建設省総合プロジェクト
により行われ、昭和62年3月に「新耐火設計法」が制
定された。この規定により、旧法令による火災時に鋼材
の温度を350℃以下にするように耐火被覆するとした
制限が解除され、鋼材の高温強度と建築物の実荷重との
かねあいにより、それに適合する耐火被覆方法を決定で
きるようになった。即ち600℃での設計高温強度を確
保できる場合はそれに見合い耐火被覆を削減できるよう
になった。
77523号公報の耐火性の優れた建築用低降伏比鋼お
よび鋼材並びにその製造方法が提案されている。この先
願発明の要旨は600℃での降伏点が常温時の70%以
上となるようにMo、Nbを添加し高温強度を向上させ
たものである。鋼材の設計高温強度を600℃に設定し
たのは、合金元素による鋼材費の上昇とそれによる耐火
被覆施工費との兼ね合いから最も経済的であるという知
見に基づいたものである。
期段階でAl添加され、溶鋼の脱酸と生成したAl2 O
3 を浮上分離し高清浄化することを目的にしていた。即
ち、如何に溶鋼の酸素濃度を下げ、鋼中の粗大な一次脱
酸酸化物個数を減らすかに主題がおかれていた。
願技術によって製造された鋼材を各種の形鋼、特に複雑
な形状から厳しい圧延造形上の制約を有するH形鋼の素
材に適用することを試みた結果、ウエブ、フランジ、フ
ィレットの各部位での圧延仕上げ温度、圧下率、冷却速
度に差が生じることから、部位により組織、特にベイナ
イト割合が著しく異なり、常温・高温強度、延性、靭性
がバラツキ、溶接構造用圧延鋼材(JIS G3106) 等の規準
に満たない部位が生じた。また、粒内フェライトの生成
による組織微細化では、フェライトの組織割合が比較的
高い成分では効果的であるが、ベイナイトの割合が高く
なると組織の微細化が困難となる欠点があった。
加熱温度1200〜1300℃でもγ粒径をASTM
No. で6番以上に細粒化ができればベイナイト割合の
高い組織でも組織微細化が可能となるので、このγ細粒
化法の開発が課題となる。この目的を達成するには高温
で分解せず安定に存在する、微細な析出物を分散分布さ
せ、これにより成長するγ粒界をピンニングし、γ粒成
長を抑制し細粒化する方法が考えられる。本発明はこの
析出物としてMg系酸化物が効果的であることを見出し
これらを微細晶出・析出させた鋼を開発することを指向
した。
る高温強度を保証していたが、本発明では、建築物の耐
火被覆の非被覆化の適用範囲を広げることを目的とし
て、より高温(700℃)での高温強度を保証できる耐
火鋼を開発することが課題である。本発明は従来の発想
とは異なり、製鋼過程における脱酸材の選択、その添加
順序及び凝固過程の冷却制御により酸化物の組成とサイ
ズ、分散密度を制御し、生成させた酸化物を異相析出の
優先析出サイトとし活用する点にある。本願出願人は先
に特願平6−11705号で、前記酸化物を粒内フェラ
イト変態核として機能させ、粒内フェライトの生成によ
り組織を微細し、H形鋼の部位間の材質特性の均質化と
高靭性化を達成した発明が記されている。本発明はこれ
とは異なり、高温安定性の高い微細なMg系酸化物(主
としてMgO)を高密度分散させ、これらの析出物を圧
延加熱時の1200〜1300℃でのγ粒の粒成長を抑
制するためのピンニングサイトととして機能させ、γ粒
の細粒化により組織を微細化することによりH形鋼の部
位間の材質特性の均質化と高靭性化を達成することと、
低窒素化と微量Nb、B添加により700℃での降伏強
度がJIS規格のSM490鋼での常温における降伏点
の下限値325Mpaの2/3の220Mpa以上とな
る高温高強度化を達成することを特徴としている。
鋼板で多く行われている低温・大圧下圧延とは異なり、
形鋼における軽圧下の熱間圧延においても効率的に組織
の細粒化が可能となるように圧延パス間で水冷し、水
冷、圧延、水冷とを繰り返す工程をとる方法にある。
することを目的とし、製鋼過程において適正な脱酸処
理を行い、溶鋼の高清浄化、溶存酸素濃度の規制、Ti添
加、最後にSi-Mg 合金及びNi-Mg 合金を添加する添加順
序とMg添加量の限定を行い、鋳片に微細なMg系酸化物を
微細分散させた鋳片を圧延しH形鋼としたものと、該鋳
片を素材として熱間圧延パス間で水冷することによ
り、H形鋼のフランジの表面と内部に温度差を与え、軽
圧下条件下においても、より高温の内部への圧下浸透を
高め、α生成核となる加工転位を導入し、板厚中央部で
の組織の微細化が達成できる圧延中水冷方法を開発し
た。加えて、圧延後のγ/α変態温度域を冷却制御する
ことにより、その核生成させたフェライトの粒成長を抑
制する方法によればミクロ組織の細粒化ができ、高能率
で製造コストの安価な耐火用圧延形鋼の生産が可能であ
ると言う知見に基づき前記課題を解決したもので、その
要旨とするところは、以下のとおりである。 (1) 重量% で、C:0.02〜0.10% 、Si:0.05 〜0.50% 、M
n:0.4〜1.8%、Mo:0.4〜1.0%、Nb:0.005〜0.05% 、N:0.0
04%以下、Al:0.004% 以下を含み、残部がFeおよび不可
避不純物からなる溶鋼を、予備脱酸処理によって、溶存
酸素を重量%で0.003 〜0.015%に調整後、Ti:0.005〜0.
025%、B:0.0005〜0.0030% 、およびMg:0.001〜0.005%を
順次添加して成分調整した該溶鋼を鋳込んだ鋳片内に大
きさ3μm 以下のMg系酸化物を50個/mm2以上含有する鋳
片を熱間圧延して製造した耐火用圧延形鋼。 (2) 重量% で、C:0.02〜0.10% 、Si:0.05 〜0.50% 、M
n:0.4〜1.8%、Mo:0.4〜1.0%、Nb:0.005〜0.05% 、N:0.0
04%以下、Al:0.004% 以下を含み、加えてCr:1.0%以下、
Cu:0.7% 以下、Ni:2.0% 以下、V:0.1%以下のいずれかの
1種または2種以上を含有し残部がFeおよび不可避不純
物からなる溶鋼を、予備脱酸処理によって、溶存酸素を
重量%で0.003 〜0.015%に調整後、Ti:0.005〜0.025%、
B:0.0005〜0.0030% およびMg:0.001〜0.005%を順次添加
して成分調整した該溶鋼を鋳込んだ鋳片内に大きさ3μ
m 以下のMg系酸化物を50個/mm2以上含有する鋳片を熱間
圧延して製造した耐火用圧延形鋼。 (3) 重量% で、C:0.02〜0.10% 、Si:0.05 〜0.50% 、M
n:0.4〜1.8%、Mo:0.4〜1.0%、Nb:0.005〜0.05% 、N:0.0
04%以下、Al:0.004% 以下を含み、残部がFeおよび不可
避不純物からなる溶鋼を、予備脱酸処理によって、溶存
酸素を重量%で0.003 〜0.015%に調整後、Ti:0.005〜0.
025%、B:0.0005〜0.0030% 、およびMg:0.001〜0.005%を
順次添加して成分調整した該溶鋼を鋳込んだ鋳片内に大
きさ3μm 以下のMg系酸化物を50個/mm2以上含有する鋳
片を1200〜1300℃の温度域に再加熱した後に圧延を開始
し、圧延工程で形鋼のフランジ表面温度を700 ℃以下に
水冷し、以降の圧延パス間の復熱過程で圧延する水冷・
圧延工程を一回以上繰り返し圧延し、圧延終了後に0.5
〜10℃/sの冷却速度で700 〜400 ℃まで冷却し放冷する
耐火用圧延形鋼の製造方法。 (4) 重量% で、C:0.02〜0.10% 、Si:0.05 〜0.50% 、M
n:0.4〜1.8%、Mo:0.4〜1.0%、Nb:0.005〜0.05% 、N:0.0
04%以下、Al:0.004% 以下を含み、加えてCr:1.0%以下、
Cu:0.7% 以下、Ni:2.0% 以下、V:0.1%以下のいずれかの
1種または2種以上を含有し残部がFeおよび不可避不純
物からなる溶鋼を、予備脱酸処理によって、溶存酸素を
重量%で0.003 〜0.015%に調整後、Ti:0.005〜0.025%、
B:0.0005〜0.0030% およびMg:0.001〜0.005%を順次添加
して成分調整した該溶鋼を鋳込んだ鋳片内に大きさ3μ
m 以下のMg系酸化物を50個/mm2以上含有する鋳片を1200
〜1300℃の温度域に再加熱した後に圧延を開始し、圧延
工程で形鋼のフランジ表面温度を700 ℃以下に水冷し、
以降の圧延パス間の復熱過程で圧延する水冷・圧延工程
を一回以上繰り返し圧延し、圧延終了後に0.5 〜10℃/s
の冷却速度で700 〜400 ℃まで冷却し放冷する耐火用圧
延形鋼の製造方法。
700 ℃以下では常温での強化機構とほぼ同様であり、
フェライト結晶粒径の微細化、合金元素による固溶体
強化、硬化相による分散強化 微細析出物による析
出強化等によって支配される。一般に高温強度の上昇に
はMo、Crの添加による析出強化と転位の消失抑制に
よる高温での軟化抵抗を高めることにより達成されてい
る。しかしMo、Crの添加は著しく焼き入れ性を上
げ、母材のフェライト+ パーライト組織をベイナイト組
織に変化させる。ベイナイト組織を生成し易い成分系鋼
を圧延H形鋼に適用した場合は、その特異な形状からウ
ェブ、フランジ、フィレットの各部位で、圧延仕上げ温
度、圧下率、冷却速度に差を生じるため、各部位により
ベイナイト組織割合が大きく変化する。その結果として
常温・高温強度、延性、靭性がバラツキ、規準に満たな
い部位が生じる。加えて、これらの元素の添加により溶
接部を著しく硬化させ、靭性を低下させる。
の制御、鋳込み後の冷却速度を規制し、鋳片内に多数の
微細なMg系酸化物を晶出・分散させた鋳片により、圧
延加熱時のγ粒径を細粒化した状態から圧延し、耐火性
・靭性に優れたH形鋼を得ることである。加えて本発明
では、熱間圧延工程において、熱間圧延パス間でフラン
ジ表面を水冷し、その復熱時に圧延することを繰り返す
ことによりフランジの板厚中心部に圧下浸透効果を付与
し、この部位においてもTMCPによる組織微細化効果
を高め、この組織微細化によりH形鋼の各部位における
母材の機械特性を向上するとともに均一化を達成するも
のである。
限定理由について述べる。まず、Cは鋼の強化するため
に添加するもので、0.02% 未満では構造用鋼として必要
な強度が得られず。また、0.10% を超える過剰の添加
は、母材靭性、耐溶接割れ性、溶接熱影響部(以下HA
Zと略記)靭性などを著しく低下させるので、下限を0.
02% 、上限を0.10% とした。
脱酸などに必要であるが、0.50% を超えるとHAZ組織
内に硬化組織の高炭素島状マルテンサイトを生成し、溶
接継手部靭性を著しく低下させる。また、0.05% 未満で
は必要な溶鋼の予備脱酸ができないためSi含有量を0.
05〜0.50% の範囲に限定した。Mnは母材の強度、靭性
の確保には0.4%以上の添加が必要であるが、溶接部の靭
性、割れ性などの許容できる範囲で上限を1.8%とした。
効な元素である。0.4%未満ではMo炭化物(Mo2 C)
の析出が不十分で強化作用を持たないため十分な高温強
度が確保できず、1.0%超では焼き入れ性が上昇しすぎ母
材及びHAZの靭性が劣化するため0.4 〜1.0%に制限し
た。NbはNb炭窒化物の析出による強化と固溶Nbと
Bの共存により著しく焼入性を上昇させ常温・高温強度
を増加させる目的で添加している。したがって、Nb:0.0
05% 未満ではNb炭窒化物の析出不足となるが、Nb:0.0
5%を超える添加では粗大なNb炭窒化物を生成し、母材
及び溶接部靭性を低下させるために 0.005〜0.05% に制
限した。
の制御作用を有するが、固溶Nはフェライトを強化し、
またベイナイト相のラス境界に高炭素島状マルテンサイ
トを形成させ靭性を劣化させるためN含有量0.004%以下
に制限した。Alを0.004%以下としたのは、Alは強力
な脱酸元素であり、0.004%超の含有ではAl含有量の多
い粒子径の大きなAlー Mg系複合酸化物を生成し、微
細な3μm以下のMg系酸化物が形成されず、高温再加
熱時においてのγ細粒化ができないためAlを0.004%以
下とした。
溶存酸素を重量%で0.003 〜0.015%に調整するのは、溶
鋼の高清浄化と同時に鋳片内に微細なMg系酸化物を晶
出させるために行うものである。予備脱酸後の[O] 濃度
が0.003%未満では微細な酸化物が減少し、細粒化できず
靭性を向上できない。一方、0.015%を超える場合は、他
の条件を満たしていても、酸化物が3μm以上の大きさ
に粗大化し脆性破壊の起点となり、靭性を低下させるた
めに予備脱酸後の[O] 濃度を重量%で0.003 〜0.015%に
限定した。
Mg脱酸により行った。その理由は真空脱ガス処理は直
接溶鋼中の酸素をガスおよびCOガスとして除去し、A
l、Si、Mgなどの強脱酸により生成する酸化物系介
在物は浮上、除去しやすく溶鋼の清浄化に有効なためで
ある。次に上述の溶鋼にTi、B、Mgと順次添加する
のは、Bは微量であり溶存酸素により容易に酸化されス
ラグに吸収されるため歩留まりが低下するため、予めT
i脱酸により溶存酸素量を低減した後に添加し歩留まり
を向上させるためである。また、Mgを最後に添加する
のは、Mgは強力脱酸元素であり、先に生成したTi酸
化物とMgを反応させ酸素を奪い微細なMgOを形成さ
せるためである。
0.001〜0.005%に調整した溶鋼を後述する一定の鋳造冷
却速度で鋳込む。TiはTiNの析出により固溶Nを低
減することにより、BNの析出を抑制し、固溶B量を増
加させBによる焼入性上昇効果を高めるために添加する
ものである。加えて、分散析出したTiNによりγ相を
細粒化するために添加するものである。これらの作用に
より常温・高温強度を上昇させる。従って、0.005%未満
ではTiNの析出量が不足し、これらの効果を発揮しな
いためTi量の下限値をO.005%とした。しかし0.025%を
超えると過剰なTiはTiCを析出し、その析出硬化に
より母材および溶接熱影響部の靭性を劣化させるため0.
025%以下に制限した。
に寄与する。ただし0.0005% 未満ではその効果は十分で
はなく、また0.0030% を超えると鉄ボロン化合物を生成
し焼入性を低減する。したがって、B含有量を0.0005〜
0.0030% に限定した。Mg添加に使用したMg合金はSi-M
g 及びNi-Mg である。Mg合金を用いた理由は合金化に
よりMgの濃度を低くし、Mg酸化物生成時の反応を抑
え、添加時の安全性確保とMgの歩留を上げるためであ
る。
gも強力な脱酸元素であり、晶出したMg酸化物は溶鋼
中で容易に浮上分離されるため0.005%を超えての添加は
歩留まらないためその上限を0.005%とした。また、0.00
1%未満では目的のMg系酸化物の分散密度が不足するた
め下限を0.001%とした。なお、ここでのMg系酸化物
は、主にMgOを表しているが、この酸化物はTi、微
量のAlおよび不純物として含まれているCaなどの酸
化物と複合化している場合が多いのでこのような表現を
用いた。
量について特に限定しないが凝固偏析による溶接割れ、
靭性の低下を生じるので、極力低減すべきであり、望ま
しくはP、S量はそれぞれ0.02% 未満である。以上の成
分に加えて、母材強度の上昇、および母材の靭性向上の
目的で、Cr、Cu、Ni、V、の1種または2種以上
を含有することができる。
化に有効である。しかし1.0%を超える過剰の添加は、靭
性および硬化性の観点から有害となるため、上限を1.0%
とした。Cuは母材の強化、耐候性に有効な元素である
が、応力除去焼鈍による焼き戻し脆性、溶接割れ性、熱
間加工割れを促進するため、上限を0.7%とした。
な元素であるが2.0%を超える添加は合金コストを増加さ
せ経済的でないので上限を2.0%とした。Vは微量添加に
より圧延組織を微細化でき、バナジン炭窒化物の析出に
より強化することから低合金化でき溶接特性を向上でき
る。しかしながら、Vの過剰な添加は溶接部の硬化や、
母材の高降伏点化をもたらすので、含有量の上限をV:0.
1%とした。
速度は、Mg系酸化物粒子の個数の増加とその大きさを
制御するため、鋳込み開始から900 ℃までの冷却速度を
0.5〜20℃/sで冷却するのが望ましい。すなわち、過冷
却により晶出する複合酸化物の核生成数を増加させると
同時に冷却中の粒子成長を抑制し、大きさ3μm以下に
した酸化物を鋳片に50個/mm2 以上含有させるため
に行うものである。この温度間の冷却速度が0.5℃/
s未満の緩冷却では複合酸化物は凝集粗大化し、50個
/mm2 未満となり靭性、延性を低下させ、一方、冷却
速度の上限は現状の鋳造技術での冷却速度の限界である
20℃/s以下とする。
以上含む必要がある理由について述べる。製品の材質特
性は製鋼、鋳造工程に支配される先天的因子の鋳片の凝
固組織、成分偏析、本発明の微細複合酸化物、析出物等
と圧延、TMCP、熱処理工程等により支配される後天
的因子のミクロ組織により決定される。当然、この先天
的因子である鋳片の性質は後の工程に継承される。本発
明の特徴は、この鋳片の先天的因子の1つを制御するこ
とにあり、鋳片中に高温でのγ粒成長の抑制機能を発揮
する微細なMg系酸化物を分散晶出させることにある。
この粒子の分散個数が50個/mm2 未満では、120
0〜1300℃加熱におけるγ粒径がASTM No.
6番以上の細粒をえることはできないため下限を50個
/mm2とした。
ナライザー(EPMA)で測定し決定したものである。
上記の処理を経た鋳片は次に1200〜1300℃の温
度域に再加熱する。この温度域に再加熱温度を限定した
のは、熱間加工による形鋼の製造には塑性変形を容易に
するため1200℃以上の加熱が必要であり、且つV、
Nbなどの元素を十分に固溶させる必要があるため再加
熱温度の下限を1200℃とした。その上限は加熱炉の
性能、経済性から1300℃とした。
以上、フランジ表面温度を700℃以下に冷却し、その
次の圧延パス間の復熱過程で圧延する水冷・圧延工程を
1回以上繰り返し行うとしたのは、圧延パス間の水冷に
より、フランジの表層部と内部とに温度差を付け、軽圧
下条件においても内部への加工を浸透させるためと、低
温圧延を短時間で効率的に行うためである.フランジ表
面温度を700℃以下に冷却した後、復熱過程で圧延す
るのは、仕上げ圧延後の加速冷却による表面の焼入れ硬
化を抑制し軟化させるために行うものである。その理由
はフランジ表面温度を700℃以下に冷却すれば一旦γ
/α変態温度を切り、次の圧延までに表層部は復熱昇温
し、圧延はγ/αの二相共存温度域での加工となり、γ
細粒化と加工された微細αとの混合組織を形成する。こ
れにより表層部の焼き入性を著しく低減でき、加速冷却
により生じる表面層の硬化を防止できるからである。
℃/Sの冷却速度で700〜400℃まで冷却し放冷す
るとしたのは、加速冷却によりフェライトの粒成長抑制
とベイナイト組織を微細化し高強度・高靭性を得るため
である。引き続く加速冷却を700〜400℃で停止す
るのは、700℃を超える温度で加速冷却を停止する
と、一部がAr1 点以上となりγ相を残存し、このγ相
が、共存するフェライトを核にフェライト変態し、さら
にフェライトが成長し粗粒化するために加速冷却の停止
温度を700℃以下とした。また、400℃未満の冷却
では、その後の放冷中にベイナイト相のラス間に生成す
る高炭素マルテンサイトが、冷却中にセメンタイトを析
出することにより分解できず、硬化相として存在するこ
とになる。これが脆性破壊の起点として作用し、靭性の
低下を招くために、この温度範囲に限定した。
脱酸処理を行い、溶鋼の酸素濃度を調整後、Ti、B、
次いでMg合金を添加し、連続鋳造により250 〜300mm 厚
鋳片に鋳造した。鋳片の冷却はモールド下方の二次冷却
帯の水量と鋳片の引き抜き速度の選択により制御した。
該鋳片を加熱し、粗圧延工程の図示は省略するが、図1
に示す、ユニバーサル圧延装置列でH形鋼に圧延した。
圧延パス間水冷は中間ユニバーサル圧延機4の前後に水
冷装置5aを設け、フランジ外側面のスプレー冷却とリ
バース圧延の繰り返しにより行い、圧延後の加速冷却は
仕上げユニバーサル圧延機6で圧延終了後にその後面に
設置した冷却装置5bでフランジ外側面をスプレー冷却
した。
t2 の中心部(1/2t2 )でフランジ幅全長(B) の1/4,1/
2 幅(1/4B,1/2B) から、採集した試験片を用い求めた。
なお、これらの箇所についての特性を求めたのは、フラ
ンジ1/4F部はH形鋼の平均的な機械特性を示し、フラン
ジ1/2F部はその特性が最も低下するので、これらの2箇
所によりH形鋼の機械試験特性を代表できると判断した
ためである。
学成分値を、表2、表4には、それらの鋼の鋳込み後の
冷却速度及び鋳片中のMg系酸化物の分散密度を示す。
表5、表6、表7および表8には、圧延加熱時のγ粒
度、圧延・加速冷却条件及び製品の機械試験特性値を示
す。なお、圧延加熱温度を1300℃に揃えたのは、一
般的に加熱温度の低下はγ粒を細粒化し機械試験特性を
向上させることは周知であり、高温加熱条件では機械特
性の最低値を示すと推定され、この値がそれ以下の加熱
温度での機械試験特性を代表できると判断したためであ
る。
明によるH形鋼1〜4、A1〜A3は目標の常温の降伏
点範囲がJIS規格の下限値+120N/mm2以内のSM490 で
はYP=325〜445N/mm2、SM520 ではYP=355〜475N/mm2、に
制御され、しかも、降伏比(YP/TS )も0.8 以下の低YR
値を満たし、抗張力(前記JISG3106)及び70
0℃での降伏強度がSM490 では220N/mm2以上、SM520 で
は240N/mm2以上を満たしている。−10℃でのシャルピ
ー衝撃値も47(J) 以上を十分に満たしている。一方、
比較鋼のH形鋼5では、Mo含有量が、H形鋼6では、
Nb含有量が下限値以下であり、700℃での高温強度
の目標値を満たさない。H形鋼7はAl、N含有量が本
発明の上限を超えるために組織の微細化ができず高温強
度及び−10℃でのシャルピー衝撃値が目標値以下とな
る。比較鋼のH形鋼8では、Ti添加前の溶鋼の酸素濃
度が本発明の下限値以下となっているためにMg系酸化
物の個数が不足し、それに反し、比較鋼のH形鋼9で
は、この酸素濃度の上限値を超えているために3μm以
上の大きさの粗大な酸化物が形成されるために、何れも
シャルピー衝撃値が開発目標の−10℃で47J以上を
達成できない。比較鋼のH形鋼10では、Ti含有量が
本発明の下限値未満となるためにTiNの析出量が不足
し、固溶Nを固定できず、BはこのNと化合しBNを生
成し、焼入性を低下させるため目標の高温強度を確保で
きない。同様にH形鋼11では、B量が本発明の下限値
以下となるため焼入性の低下をきたし目標の高温強度を
確保できない。H形鋼12では、凝固時の冷却速度が遅
く本発明の下限値を下回るために、Mg系酸化物は凝集
粗大化するため−10℃での目標のシャルピー衝撃値を
達成できない。H形鋼13には、Mgが添加されておら
ず、またH形鋼14ではMgは添加されているが圧延中
の水冷がなされいず、いずれのH形鋼も十分な組織微細
化がなされず、−10℃での目標のシャルピー衝撃値を
達成できない。
が、H形鋼A5はBが不足し、目標の高温強度を確保で
きない。即ち、本発明の製造法の要件が総て満たされた
時に、表5、6、7および8に示されるH形鋼1〜4、
A1〜A3のように、圧延形鋼の機械試験特性の最も保
証しにくいフランジ板厚1/2,幅1/2 部においても十分な
常温・高温強度、低温靭性を有する、耐火性及び靭性の
優れた圧延形鋼の生産が可能になる。なお、本発明が対
象とする圧延形鋼は上記実施例のH形鋼に限らずI形
鋼、山形鋼、溝形鋼、不等辺不等厚山形鋼等のフランジ
を有する形鋼にも適用できることは勿論である。
最も保証しにくいフランジ板厚1/2,幅1/2 部においても
十分な強度、靭性を有し、高温特性に優れ、耐火材の被
覆厚さが従来の20〜50%で耐火目的を達成できる、
優れた耐火性及び靭性を持つ形鋼が圧延ままで製造可能
になり、施工コスト低減、工期の短縮による大幅なコス
ト削減が図られ、大型建造物の信頼性向上、安全性の確
保、経済性等の産業上の効果は極めて顕著なものがあ
る。
を示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量% でC:0.02〜0.10% 、 Si:0.05 〜0.50% 、 Mn:0.4〜1.8%、 Mo:0.4〜1.0%、 Nb:0.005〜0.05% N:0.004%以下、 Al:0.004% 以下、 を含み、残部がFeおよび不可避不純物からなる溶鋼を、
予備脱酸処理によって、溶存酸素を重量%で0.003 〜0.
015%に調整後、Ti:0.005〜0.025%、B:0.0005〜0.0030%
、およびMg:0.001〜0.005%を順次添加して成分調整し
た該溶鋼を鋳込んだ鋳片内に大きさ3μm 以下のMg系酸
化物を50個/mm2以上含有する鋳片を熱間圧延して製造し
たことを特徴とする耐火用圧延形鋼。 - 【請求項2】 重量% でC:0.02〜0.10% 、 Si:0.05 〜0.50% 、 Mn:0.4〜1.8%、 Mo:0.4〜1.0%、 Nb:0.005〜0.05% N:0.004%以下、 Al:0.004% 以下、 を含み、加えてCr:1.0% 以下、Cu:0.7% 以下、Ni:2.0%
以下、V:0.1%以下のいずれかの1種または2種以上を含
有し残部がFeおよび不可避不純物からなる溶鋼を、予備
脱酸処理によって、溶存酸素を重量%で0.003 〜0.015%
に調整後、Ti:0.005〜0.025%、B:0.0005〜0.0030% およ
びMg:0.001〜0.005%を順次添加して成分調整した該溶鋼
を鋳込んだ鋳片内に大きさ3μm 以下のMg系酸化物を50
個/mm2以上含有する鋳片を熱間圧延して製造したことを
特徴とする耐火用圧延形鋼。 - 【請求項3】 重量% でC:0.02〜0.10% 、 Si:0.05 〜0.50% 、 Mn:0.4〜1.8%、 Mo:0.4〜1.0%、 Nb:0.005〜0.05% N:0.004%以下、 Al:0.004% 以下、 を含み、残部がFeおよび不可避不純物からなる溶鋼を、
予備脱酸処理によって、溶存酸素を重量%で0.003 〜0.
015%に調整後、Ti:0.005〜0.025%、B:0.0005〜0.0030%
、およびMg:0.001〜0.005%を順次添加して成分調整し
た該溶鋼を鋳込んだ鋳片内に大きさ3μm 以下のMg系酸
化物を50個/mm2以上含有する鋳片を1200〜1300℃の温度
域に再加熱した後に圧延を開始し、圧延工程で形鋼のフ
ランジ表面温度を700 ℃以下に水冷し、以降の圧延パス
間の復熱過程で圧延する水冷・圧延工程を一回以上繰り
返し圧延し、圧延終了後に0.5 〜10℃/sの冷却速度で70
0 〜400 ℃まで冷却し放冷することを特徴とする耐火用
圧延形鋼の製造方法。 - 【請求項4】 重量% でC:0.02〜0.10% 、 Si:0.05 〜0.50% 、 Mn:0.4〜1.8%、 Mo:0.4〜1.0%、 Nb:0.005〜0.05% N:0.004%以下、 Al:0.004% 以下、 を含み、加えてCr:1.0% 以下、Cu:0.7% 以下、Ni:2.0%
以下、V:0.1%以下のいずれかの1種または2種以上を含
有し残部がFeおよび不可避不純物からなる溶鋼を、予備
脱酸処理によって、溶存酸素を重量%で0.003 〜0.015%
に調整後、Ti:0.005〜0.025%、B:0.0005〜0.0030% およ
びMg:0.001〜0.005%を順次添加して成分調整した該溶鋼
を鋳込んだ鋳片内に大きさ3μm 以下のMg系酸化物を50
個/mm2以上含有する鋳片を1200〜1300℃の温度域に再加
熱した後に圧延を開始し、圧延工程で形鋼のフランジ表
面温度を700 ℃以下に水冷し、以降の圧延パス間の復熱
過程で圧延する水冷・圧延工程を一回以上繰り返し圧延
し、圧延終了後に0.5 〜10℃/sの冷却速度で700 〜400
℃まで冷却し放冷することを特徴とする耐火用圧延形鋼
の製造方法。
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JP08954695A JP3397271B2 (ja) | 1995-04-14 | 1995-04-14 | 耐火用圧延形鋼およびその製造方法 |
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JPH08283900A true JPH08283900A (ja) | 1996-10-29 |
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- 1995-04-14 JP JP08954695A patent/JP3397271B2/ja not_active Expired - Lifetime
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