JPH08283894A - 耐摺動摩耗材料およびこの材料を用いた摺動部品,封水装置 - Google Patents

耐摺動摩耗材料およびこの材料を用いた摺動部品,封水装置

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JPH08283894A
JPH08283894A JP7114119A JP11411995A JPH08283894A JP H08283894 A JPH08283894 A JP H08283894A JP 7114119 A JP7114119 A JP 7114119A JP 11411995 A JP11411995 A JP 11411995A JP H08283894 A JPH08283894 A JP H08283894A
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resistant material
seal ring
sliding wear
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JP7114119A
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English (en)
Inventor
Tatsuo Seguchi
立雄 瀬口
Taizo Inagaki
泰造 稲垣
Masami Watanabe
正巳 渡▲邉▼
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NIKKO YOUZAI KOGYO KK
Toshiba Corp
Original Assignee
NIKKO YOUZAI KOGYO KK
Toshiba Corp
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
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  • Hydraulic Turbines (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】より高いpv値で、且つ土砂が混入しても摺動
特性を長期間安定的に保持することが可能な耐摺動摩耗
材料を提供する。 【構成】重量%で5〜20%のNiと、Cr,Fe等の
不可避的不純物とを含有するCo基材料に、粒径50〜
150μmのバナジウムカーバイトの粉体を5〜35重
量%添加し、その粉体の粒子を分散析出させた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポンプ,発電用水車等
の水力機械における主軸封水装置のシール部等のよう
に、高速で摺動する部位に用いられる耐摺動摩耗材料お
よびこの材料を用いた摺動部品,封水装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ポンプや発電用水車等の水力機械は、図
4に示すように上カバー1で囲まれた圧力室内にランナ
2が配置され、このランナ2に主軸3が直結されてい
る。この主軸3と上カバー1との間には封水装置4が配
置され、この封水装置4により主軸3と上カバー1との
隙間からの圧力水の漏水を防止している。
【0003】封水装置には種々のものがあり、その一例
としては図4に示すものがある。すなわち、主軸3と上
カバー1との隙間からの漏水を防止するには、主軸3に
取り付けられたフランジ5にアダプタ6により回転側シ
ールリング7を固定する一方、静止側のシールケース8
に取り付けられた静止側シールリング9をスプリング1
0により回転側シールリング7に押圧し、これらを摺動
させることによっている。そして、シールケース8の可
動部にはOリング11が設けられ、封止作用を図ってい
る。
【0004】主軸3に取り付けられたフランジ5は、主
軸3から突出する一体の突起として作られることもある
が、通常は周方向に2個以上の複数に分割されて別途製
作され、ボルトで固定される。また、回転側シールリン
グ7も周方向に2〜8分割で製作され、同様に分割で製
作されたアダプタ6によりボルトで締付け固定される。
静止側シールリング9も2個以上の複数に分割されて製
作され、シールケース8にボルト等の締結部材で固定さ
れる。
【0005】封水装置4による封水の効果は、回転側シ
ールリング7と静止側シールリング9との間の密着度合
によって決定され、上記のように各構成部品が分割組立
品であることから、各部品の加工および組立においては
高い精度が要求される。
【0006】水力機械の運転に際しては、回転側シール
リング7に静止側シールリング9を圧力水に抗する圧力
値で押し当てる必要があるとともに、フランジ5が主軸
3とともに回転することから、回転側シールリング7と
静止側シールリング9との間には過酷な摺動作用が働く
ことになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】回転側シールリング7
と静止側シールリング9との摺動特性は、一般にpv値
で表され、圧力水の圧力をpkgf/cm2 、回転側シールリ
ング7と静止側シールリング9との間の相対速度をvm/
sec とし、またシール面中央部の直径をφm、回転数を
nrpm とすると、上記pv値は次の式で表される。
【0008】
【数1】 pv値=p・nπφ/60(kgf/cm2 ・m/sec ) 水頭100m、シール面中央部の直径1000mm、主軸
回転数500rpm の水力機械では、
【数2】pv値=10・500 ・3.14・0.50/60 =130.90 (kgf/cm2 ・m/sec )程度となる。
【0009】さらに摺動面には、現実の水力機械におい
ては、主軸3の上下振動による押し当て圧力の変動、主
軸回転中心の振れによる振動等が加わるとともに、圧力
水中には砂粒、土砂の混入があり、摺動条件はより過酷
な状態にある。
【0010】従来においては、以上のような過酷な摺動
部の構成材料として、表1の組み合せが多く使用されて
いる。
【0011】
【表1】
【0012】これらの材料の組み合せにおいては、次の
ような問題点がある。
【0013】すなわち、表1中のケース1において、カ
ーボン焼結材料は摺動特性が良好であるものの、土砂に
よる摩耗に対して弱く、且つ脆性材料であるため衝撃に
も弱く破損し易いものである。したがって、上記pv値
程度の摺動特性においても、3〜6年程度で封水特性は
大幅に低下する。特に、土砂含有量が多い河川水の場合
には、短時間で異常摩耗を生じるため、摺動面に清水を
供給して土砂の混入を防止する必要がある。
【0014】一方、ケース2におけるフェノール樹脂材
料は、破損に強く、摺動特性は上記カーボン焼結材料と
ほぼ同等程度であるが、熱伝導率が悪く摺動面の発熱を
抑えるためにも清水の供給が必要となる。
【0015】通常の水力機械においては、上記ケース1
および2の組み合せで使用されることが多いが、近年、
電力の逼迫により、土砂の多い状態でも運転することが
多くなるとともに、水力機械の高効率化の傾向から、よ
り水頭が高く、回転数の高い大型機械に移行しつつあ
る。特に、揚水発電所におけるポンプ水車では、その傾
向が顕著となっている。すなわち、pv値でいうと、上
記の2〜6倍程度となり、従来のカーボンあるいは樹脂
系統の材料では充分耐久性を有する封水効果は得られな
くなりつつある。
【0016】その対策として、セラミックス材料の応用
が検討され、適用され始めている。前記表1におけるケ
ース3からケース6がその例である。
【0017】炭化珪素焼結材料やタングステンカーバイ
ト焼結材料等のセラミックス材料は、摺動特性に優れ、
摺動部材として適しているが、表中ケース3およびケー
ス4のように、回転側シールリング7と静止側シールリ
ング9の両方をセラミックス材料で作成した場合、セラ
ミックス材料は脆性材料で脆いため、摺動時の片当りや
急激な振動等による衝撃力で損傷のおそれがある。特
に、コーナー部に損壊を生じ易い。また、摺動特性に優
れる反面、摩耗量が少ないために摺動面全体が均一に当
接せず、結果的に局部面圧の増大によって損傷する可能
性があり、その加工や組立精度をより高くする必要があ
る等の問題があり、実用的ではない。
【0018】そのため、従来から表1のケース5および
ケース6に示すように、一方をステンレス鋼あるいはス
テンレス鋼にステライトをコーティングしたものが一部
で用いられている。しかし、pv値がより高く、且つ土
砂の混入の可能性のある過酷な場合には摩耗が激しく、
時には摺動面の面荒れや焼付きを起こす等の問題点があ
った。
【0019】本発明は上記事情に基づいてなされたもの
で、より高いpv値で、且つ土砂が混入しても摺動特性
を長期間安定的に保持することが可能な耐摺動摩耗材料
およびこの材料を用いた摺動部品,封水装置を提供する
ことを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めには、金属材料の強靭性とセラミックス材料の耐摩耗
性を兼ね備えた材料が望ましいこととなる。これは金属
マトリクス中にセラミックスの粒子を分散複合化するこ
とにより得られる。すなわち、Co基材料に固溶あるい
は金属間化合物の作りづらいバナジウムカーバイトの粉
体を混合することによって得ることができる。ここで、
純Co、純バナジウムカーバイトよりも、金属マトリク
ス中により安定的にバナジウムカーバイトの粒子を分散
させるためには、Cr,Fe等の不可避的不純物とを含
有するCo基材料にNiを添加する必要がある。
【0021】つまり、請求項1記載の耐摺動摩耗材料
は、重量%で5〜20%のNiと、Cr,Fe等の不可
避的不純物とを含有するCo基材料に、粒径50〜15
0μmのバナジウムカーバイトの粉体を5〜35重量%
添加し、その粉体の粒子を分散析出させたことを特徴と
する。
【0022】混合の方法は、Co基材料にバナジウムカ
ーバイトの粉体を混合し、Co金属が溶融する温度に急
加熱、急冷することによって、またはCo金属帯板にバ
ナジウムカーバイトの粉体を包み込んだコードワイヤー
を溶融、冷却することによって得ることができる。
【0023】また、金属マトリクスの硬さを調整するた
めには、タングステンカーバイト(WC),クロムカー
バイト(Crx y )を添加する必要がある。すなわ
ち、請求項2記載の耐摺動摩耗材料は、請求項1記載の
耐摺動摩耗材料において、バナジウムカーバイトの一部
を、3〜20重量%のタングステンカーバイト,クロム
カーバイトの少なくとも一方の粉体に置き換えたことを
特徴とする。
【0024】次に、析出バナジウムカーバイト以外の金
属マトリクスをCo基材料とした理由を説明する。Co
基材料は、ほとんどの金属とぬれ性(親和性)があり、
金属材料としての延性により、緩衝性を有する。また、
溶接熱により溶融した金属がCo固溶体組織を作り、脆
弱な金属間化合物,炭化物を作りにくい。そして、Co
自体の融点がFeと遜色がなく、溶接作業が容易であ
る。
【0025】また、析出バナジウムカーバイトの特徴
は、耐摺動摩耗材料に有効な材料であり、割れ欠陥を助
長する脆弱な金属間化合物を作りにくい。そして、溶融
金属に球状に分散し、摺動相手材に擦過傷等の損傷が発
生するのを抑え、融点が高いため溶融熱によってCo基
材料へ溶融分解せず、分散析出して歩留まる。
【0026】Niを添加することによる効果は、Co基
材料の靭性を向上させ、特にタングステンカーバイト,
クロムカーバイトを添加した場合には効果的である。ま
た、溶融金属中の析出粒状炭化物、すなわちバナジウム
カーバイトを安定析出させ、その面積%を増加させる。
【0027】タングステンカーバイト,クロムカーバイ
トを添加することによる効果は、Co基固溶体に共晶炭
化物,針状炭化物を析出し、Co基金属を強化し、硬度
の調整,耐摩耗性を向上させる。
【0028】さらに、請求項3記載の摺動部品は、請求
項1または請求項2記載の材料を機械部材の少なくとも
一部に溶着したことを特徴とする。
【0029】請求項4記載の封水装置は、回転軸に取り
付けられた回転側シールリングと、静止側のシールケー
スに取り付けられた静止側シールリングとを摺動させ
て、回転軸からの封水を行う封水装置において、前記回
転側シールリングおよび静止側シールリングの少なくと
も一方の摺動部に、請求項1または2記載の耐摺動摩耗
材料を被着したことを特徴とする。
【0030】
【作用】本発明に係る耐摺動摩耗材料においては、コバ
ルト(Co)基金属材料の中にバナジウムカーバイト
(VC)の粒子が球状に分散する。
【0031】そのために、摺動相手材が炭化珪素焼結材
料のようなセラミックス材料であっても、基本的にはセ
ラミックス材料同士の摺動となり、且つ分散セラミック
スが球状であることから、摺動相手材への擦過傷等との
損傷をより少なく抑えることが可能である。
【0032】摩耗材料をセラミックスと金属との摺動摩
耗に対し著しく改善することができるとともに、金属マ
トリックスの硬さを調整することによって、材料の機械
加工性をも確保することが可能である。
【0033】また、本発明の材料はコアードワイヤーの
溶融といった製造方法がとれることから、TIG溶接あ
るいは粉体プラズマ溶接(PTA溶接)が可能であり、
従来の溶接コーティング方法により目的の部位のみに取
り付けることが可能である。
【0034】さらに、封水装置においては、静止側シー
ルリングの摺動部に、請求項1または2記載の耐摺動摩
耗材料を被着することで、その効果が得られ、複雑な構
造,高い加工精度,高い組立精度は不要となる。この場
合、回転側シールリングの摺動部に、請求項1または2
記載の耐摺動摩耗材料を被着してもよいが、摺動相手材
に炭化珪素焼結材料を用いた場合には、請求項1または
2記載の耐摺動摩耗材料の方が摩耗するので、交換が容
易な静止側シールリングの摺動部に被着することが好ま
しい。
【0035】
【実施例】本発明の実施例を図表をもって説明する。
【0036】表2には本発明に供した耐摺動摩耗材料の
混合割合を示す。
【0037】ここで、基材料のコバルト(Co)合金に
ついては、純Coあるいはステライトと呼称されている
クロム(Cr)、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)等の
不可避的不純物をそれぞれ数%含むものでもよく、ニッ
ケル(Ni)はインコネル等の合金よりも純Niが好ま
しい。
【0038】
【表2】
【0039】添加する炭化物は粉体であり、その粒径が
63〜149μmのものを使用した。これは、充填され
る粉体の粒度が50μm未満と細か過ぎると、十分な充
填が不可能であり、また逆に150μmを越えて粗いと
粉体自体の融点が高いため、未溶融を起こし、溶融金属
に均一に分散しないで、偏析を生じることによる。
【0040】なお、これらの粉体は上記Co基合金の帯
板に包み、コアードワイヤーとして、TIG溶接法によ
り溶融硬化させたものである。
【0041】得られた材料の主な特性は表3に示す。
【0042】目的とする炭化物の粒子は図1に示すよう
に、溶接後には球状の形態で分布しており、その量はバ
ナジウムカーバイト(VC)の量に比例し、材料の断面
面積率でバナジウムカーバイトが30%のレベルで10
〜20%、20%で約10%、10%で4〜5%であっ
た。
【0043】但し、バナジウムカーバイトの添加におい
て、上限があり、35%を超えると割れ状欠陥が発生
し、品質の面で問題が発生する。したがって、発明の仮
定で炭化物の添加限界は概ね総量で35%程度が限度と
評価された。
【0044】
【表3】
【0045】なお、クロム炭化物(Crx y )、タン
グステンカーバイト(WC)は図2に示すように遊離炭
化物の形成量は少なく、金属組織中に溶け込み、デンド
ライト状態となる傾向がある。
【0046】硬さについては、炭化物を添加しないもの
で350〜450Hvであり炭化物添加の場合には概ね
500〜600Hv程度である。これらの中でも、Ni
を添加したものは値が多少低く、WC、Crx y を添
加したものは値が多少高くなる。
【0047】以上の材料において、摺動摩耗試験を実施
しその性能を調べた。
【0048】試験方法はASTM G65−80 ラバ
ーホイール・ドライサンド・アレーション方法に則り、
図3に示す装置にて比較試験を実施した。
【0049】この比較試験は、図3に示すように本実施
例による試験片12を治具13に取り付け、回転中のラ
バーホイール14に所定の荷重で押し付け、それらの摺
動部にホッパー15から砂粒(SiO2 等)を流し込
み、規定の回転数を経過後、試験片11の摩耗減量を測
定する材料評価方法である。
【0050】なお、この度の試験条件は次の通りであ
る。
【0051】 ・ 試験荷重 :8.8kg ・ 摩耗粉体 :珪砂(75〜355μm) ・ 砂落下流量 :300g/min ・ 回転数 :120rpm ・ 総回転数 :3000回 上記条件におけるpv値は11.05である。
【0052】
【表4】
【0053】以上13種類の材料の中で、表中試料N
o.8は従来のステライト材料であり、耐摩耗特性が優
れている材料として知られているものである。他の12
種類は炭化物を混合したものである。
【0054】従来のステライト材料では上記試験条件で
1gを超える摩耗が発生するのに対し、炭化物混合材料
では、表中試料No.6の場合を除きその半分程度とな
る。但し、試料No.6の場合でも従来のステライト材
料に対する耐摩耗特性が向上していることが判る。
【0055】上記13種類の材料の組合わせにおいて、
摩耗損量が最も少なかったのは、試料No.7のバナジ
ウムカーバイトの添加しない重量%で7%のWC,20
%のCrx y の材料であり、硬さも最大のものであっ
た。但し、この材料には粒状炭化物は少なく、WC,C
x y のデンドライト組織になっており、欠陥が発生
し易い。したがって、バナジウムカーバイトと置換え炭
化物は、重量%で20%以下が適当と考えられる。
【0056】試料No.1において、バナジウムカーバ
イトが40重量%の場合には、欠陥の発生が見られたた
め、欠陥の発生のなかった試料No.2のバナジウムカ
ーバイトが30重量%との比較において、バナジウムカ
ーバイトの最大混合割合は35重量%が妥当と考えられ
る。
【0057】逆に、試料No.6において、バナジウム
カーバイトを5重量%添加することにより、従来のステ
ライト材料(試料No.8)の場合より、摩耗損量が向
上していることから、バナジウムカーバイトの混合割合
は、5〜35重量%の範囲が好ましいと判断される。
【0058】また、Niの添加については、試料No.
6に見られるように、5重量%の混合割合により、溶接
金属にバナジウムカーバイトの粒状炭化物の面積%の増
加が確認され、耐摺動摩耗特性が向上する一方、試料N
o.3cに見られるように25重量%添加したものは試
料No.3〜試料No.3bとの比較において、硬さの
低下による耐摺動摩耗特性が低下することから、Niの
含有割合は5〜20重量%が適当であると判断される。
【0059】上記のように構成した耐摺動摩耗材料を摺
動部品に適用するには、機械部材の一部に耐摺動摩耗材
料を溶着または肉盛溶接することで、耐摺動摩耗特性を
局部的に向上させた摺動部品を提供することができる。
この場合、機械部材全体を耐摺動摩耗材料で構成しても
よく、要するに機械部材の少なくとも一部であればよ
い。
【0060】また、上記のように構成した耐摺動摩耗材
料を図4に示す封水装置に適用するには、回転軸として
の主軸3に取り付けられた回転側シールリング7と、静
止側のシールケース8に取り付けられた静止側シールリ
ング9とを摺動させて、主軸3からの封水を行う封水装
置において、回転側シールリング7および静止側シール
リング9の少なくとも一方の摺動部に上記耐摺動摩耗材
料を被着すればよい。これにより、過酷な条件下での長
期間の封水特性を確保することができる。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
水力機械の主軸封水装置等の過酷な摺動特性の要求され
る部品の構成材料として、それ自身の耐摺動摺動摩耗の
高いことから、より過酷な条件下での長期間の封水特性
を確保することができるとともに、摺動相手側材料をセ
ラミックスとした場合においても、耐摺動摩耗特性が高
く、土砂の混入においても急激な封水特性の低下には至
らず、且つ摺動相手材の破損に対し金属材料としての緩
衝性を持つ材料として、最適な材料の提供が可能となっ
た。
【0062】また、本材料は溶接可能材料とのことで、
一部分のみに溶接コーティングすることによって、局部
的に本発明の効果を得ることが可能であり、機械の製
造、組立性能に寄与するところが大きい。
【0063】さらに、摩耗時における再溶接による補修
も可能であり、従来のセラミックス材料のような使い捨
てがなくなる特徴を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の材料の金属組織を示す走査型電子顕微
鏡写真。
【図2】本発明の材料の金属組織を示す走査型電子顕微
鏡写真。
【図3】本発明の材料評価試験に使用した装置の概略
図。
【図4】本発明の対象としている封水装置を示す断面
図。
【符号の説明】
1 上カバー 2 ランナ 3 主軸(回転軸) 4 封水装置 5 フランジ 6 アダプタ 7 回転側シールリング 8 シールケース 9 静止側シールリング 10 スプリング 11 Oリング 12 試験片 13 治具 14 ラバーホイール 15 ホッパー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡▲邉▼ 正巳 大阪府交野市私部南4丁目10番1号 ニツ コー熔材工業株式会社交野工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で5〜20%のNiと、Cr,F
    e等の不可避的不純物とを含有するCo基材料に、粒径
    50〜150μmのバナジウムカーバイトの粉体を5〜
    35重量%添加し、その粉体の粒子を分散析出させたこ
    とを特徴とする耐摺動摩耗材料。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の耐摺動摩耗材料におい
    て、バナジウムカーバイトの一部を、3〜20重量%の
    タングステンカーバイト,クロムカーバイトの少なくと
    も一方の粉体に置き換えたことを特徴とする耐摺動摩耗
    材料。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の耐摺動摩耗材料
    を機械部材の少なくとも一部に溶着したことを特徴とす
    る摺動部品。
  4. 【請求項4】 回転軸に取り付けられた回転側シールリ
    ングと、静止側のシールケースに取り付けられた静止側
    シールリングとを摺動させて、回転軸からの封水を行う
    封水装置において、前記回転側シールリングおよび静止
    側シールリングの少なくとも一方の摺動部に、請求項1
    または2記載の耐摺動摩耗材料を被着したことを特徴と
    する封水装置。
JP7114119A 1995-04-17 1995-04-17 耐摺動摩耗材料およびこの材料を用いた摺動部品,封水装置 Pending JPH08283894A (ja)

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