JPH08283294A - 抗菌性蛋白、その製造法および用途 - Google Patents

抗菌性蛋白、その製造法および用途

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JPH08283294A
JPH08283294A JP7088388A JP8838895A JPH08283294A JP H08283294 A JPH08283294 A JP H08283294A JP 7088388 A JP7088388 A JP 7088388A JP 8838895 A JP8838895 A JP 8838895A JP H08283294 A JPH08283294 A JP H08283294A
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眞則 山本
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NORIN SUISANSYO SANSHI KONCHU
NORIN SUISANSYO SANSHI KONCHU NOGYO GIJUTSU KENKYUSHO
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NORIN SUISANSYO SANSHI KONCHU
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鞘翅目に属する昆虫の幼虫由来の抗菌性蛋
白、その製造法および用途を提供する。 【構成】 鞘翅目に属する昆虫の幼虫の体表傷害時にそ
の幼虫の体液中に誘導される、N末端アミノ酸配列がH
2N−Ala−Leu−Ser−Pro−Gly−Ala−Pro−As
n−Phe−Pro−Asn−Pro−Gly−であり、下記の性
質を有する抗菌性蛋白、またはこれと免疫学的に共通抗
原性を有する抗菌性蛋白。 (i)分子量約7,300〜7,800 (ii)熱安定性(5〜10分間、100℃) 【効果】 鞘翅目に属する昆虫の幼虫由来の抗菌性蛋
白、その製造法およびそれを有効成分とする可食性抗菌
剤が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鞘翅目に属する昆虫の
幼虫体表傷害時にその幼虫の体液中に誘導される抗菌性
蛋白類およびその製造法ならびにその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】細菌や異種の血球を昆虫に接種したり、
単に体表に傷をつけるといった刺激を与えると体液中に
数々の抗菌性蛋白が誘導されることが知られている。こ
れらの物質は、抗体産生能をもたない動物の生体防御に
とって重要な関わりがあるものと考えられる。これらの
うちで、例えばゴミムシダマシ科の一種(Zophobas at
ratus)幼虫体液中に誘導される活性蛋白として、抗菌活
性をもつ蛋白(J.Boil.Chem.、266巻、245
20−24525頁(1991))などが固定されてい
る。その抗菌活性をもつ蛋白としては、コレオプテリシ
ン(Coleoptericin)と命名され、その理化学的性質も明
らかにされている蛋白、および同じくゴミムシダマシ科
の一種(Zophobas atratus)の幼虫体液から得られ、デ
ィフェンシングループに属し、その理化学的性質も明ら
かにされている蛋白等が知られている。これらは幅広い
抗菌スペクトルを有することから、生体防御物質と考え
られ、さらにこれらの抗菌性蛋白は、特にクラム陰性菌
の大腸菌およびグラム陽性菌のミクロコッカスに対して
強い抗菌力を有している。
【0003】一方、近年、高等哺乳動物でも、精液中や
血清中に、抗菌力が強くて幅広いスペクトルをもつ抗菌
性蛋白の存在が明らかとなり、一般の動物体液中の抗菌
性蛋白が重要視されている。
【0004】しかしながら、他の鞘翅目に属する昆虫の
抗菌性蛋白については、ほとんど精製・分離がなされて
おらず、物質の性状等の理化学的性状は明らかにされて
いない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】かかる事情に鑑み、本
発明は、鞘翅目に属するタイワンカブトムシの抗菌性蛋
白について精製・分離方法を確立し、物質の性状、N末
端アミノ酸配列等の理化学性状を明らかにすることを目
的とする。したがって、この蛋白性物質が単一なまでに
精製・分離でき、そのアミノ酸配列が決定され、さらに
これら昆虫由来の蛋白がヒトなどの脊椎動物の生体防御
機構に働くとなれば、例えば医学・薬学的見地からも寄
与するところは大きい。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、意外にも、鞘翅目に属する昆虫、とりわ
けタイワンカブトムシ幼虫の体表傷害時にその体液中に
抗菌性蛋白が誘導されることを見いだし、その精製・分
離に成功し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、 (1) 鞘翅目に属する昆虫の幼虫の体表傷害時にその
幼虫の体液中に誘導される、N末端アミノ酸配列がH2
N−Ala−Leu−Ser−Pro−Gly−Ala−Pro-Asn−
Phe−Pro−Asn−Pro−Gly−であり、下記の性質を
有する抗菌性蛋白、またはこれと免疫学的に共通抗原性
を有する抗菌性蛋白 (i)分子量約7,300〜7,800 (ii)熱安定性(5〜10分間、100℃) (2) 鞘翅目に属する昆虫がタイワンカブトムシ(Or
yctes rhinoceros)である、(1)記載の抗菌性蛋白 (3) 幼虫が三令幼虫である、(1)または(2)に
記載の抗菌性蛋白 (4) 幼虫の体液が体表傷害後0〜10日経過後のも
のである、(1)ないし(3)のいずれか1に記載の抗
菌性蛋白、および、
【0008】(5) 鞘翅目に属する昆虫の幼虫の体表
に傷害を与え、その後得られる体液より体液細胞および
脂肪体を除去したものから、N末端アミノ酸配列がH2
N−Ala−Leu−Ser−Pro−Gly−Ala−Pro−Asn
−Phe−Pro−Asn−Pro−Gly−であり、下記の性質
を有する抗菌性蛋白、またはこれと免疫学的に共通抗原
性を有する抗菌性蛋白を取得することを特徴とする、抗
菌性蛋白の製造法 (i)分子量約7,300〜7,800 (ii)熱安定性(5〜10分間、100℃) (6) 鞘翅目に属する昆虫がタイワンカブトムシ(Or
yctes rhinoceros)である、(5)記載の製造法 (7) 幼虫が三令幼虫である、(5)または(6)に
記載の製造法 (8) 幼虫の体液が体表傷害後0〜10日経過後のも
のである、(5)ないし(7)のいずれか1に記載の製
造法、ならびに、
【0009】(9) 鞘翅目に属する昆虫の幼虫の体表
傷害時にその幼虫の体液中に誘導される、N末端アミノ
酸配列がH2N−Ala−Leu−Ser−Pro−Gly−Ala
−Pro−Asn−Phe−Pro−Asn−Pro−Gly−であ
り、下記の性質を有する抗菌性蛋白、またはこれと免疫
学的に共通抗原性を有する抗菌性蛋白を有効成分とする
可食性抗菌剤 (i)分子量約7,300〜7,800 (ii)熱安定性(5〜10分間、100℃) (10) 鞘翅目に属する昆虫がタイワンカブトムシ
(Oryctes rhinoceros)である、(9)記載の可食性抗
菌剤 (11) 幼虫が三令幼虫である、(9)または(1
0)に記載の可食性抗菌剤 (12) 幼虫の体液が体表傷害後0〜10日経過後の
ものである、(9)ないし(11)のいずれか1に記載
の可食性抗菌剤を提供するものである。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて、「免疫学的に共通抗原性を有する抗菌性蛋白」
とは、1個またはそれ以上のアミノ酸を置換または削除
した抗菌性蛋白であって、共通の抗原性を有する抗菌性
蛋白をいう。
【0011】本発明で対象とする昆虫は鞘翅目に属する
昆虫である。具体的には、コガネムシ、ゴミムシダマシ
などがある。これらのうちでは、コガネムシ科のコカブ
トムシ、特にタイワンカブトムシが好ましい。
【0012】対象昆虫は、幼虫でなければならない。こ
こで「幼虫」とは、昆虫の完全変態の過程において、孵化
後、蛹化前のものをいう。本発明で適当なものは、三令
に同調してある幼虫、特に三令に同調してあるタイワン
カブトムシ幼虫である。
【0013】抗菌性ペプチドを誘導すべく昆虫体液に傷
害を与える操作は、結果的に感染の危険を増大させる任
意の方法が可能である。「体表」といっても体表のみを意
味するものではなく、注射針の貫通のように体内にも傷
害を与える操作をも包含することは言うまでもない。傷
害を与えるべき体表は、昆虫の体のどこであってもよい
が、通常は頭部を除く部分である。
【0014】傷害を与えて0〜10日後、望ましくは約
1日後、体液をしぼり出し、遠心分離により体液細胞を
除き、出発材料とする。
【0015】本発明抗菌性蛋白の分離・精製には、一般
の蛋白類の分画と精製に常用される様々な方法が適用で
きる。本発明において、特にタイワンカブトムシ幼虫を
用いる場合、上記で得られた遠心上清を逆相クロマトグ
ラフィーで分画し、各画分について後に述べる抗菌活性
の測定法に従って有意な活性を示す画分を分取し、さら
に逆相クロマトグラフィーを繰り返し単一のピークにま
で精製できる。
【0016】該遠心画分から本発明の単一な物質まで精
製する場合、上記以外にも様々な方法が考えられ、例え
ばイオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフ
ィー、電気泳動などを適宜用いて目的を達することが可
能である。
【0017】このようにして得られた抗菌性物質はトリ
プシン処理によって失活することから、蛋白性物質であ
ることが明らかである。この抗菌性蛋白は、凍結乾燥を
行なうと白色粉末として得られる。
【0018】また、本発明の抗菌性蛋白は耐熱性が良好
であるので、粗標品を加熱することによって純化して比
活性を高めることができる。すなわち、粗標品を80〜
120℃、好ましくは100℃前後で10〜60分程度
の熱処理に付すと好都合である。
【0019】本発明による抗菌性蛋白の抗菌活性の測定
法は、例えば、グラム陽性菌の場合は、黄色ブドウ球菌
(Staphylococcus aureus)または溶血レンサ球菌(Str
eptococcus pyogenes)を、グラム陰性菌の場合は大腸
菌(Escherichia coli K12)を用いて、その増殖阻
止率を指標として測定できる。
【0020】本発明による抗菌性蛋白は、上記のごとく
抗菌スペクトルが広く、グラム陽性および陰性双方に及
ぶので、その抗菌性を生かして抗菌剤として有用であ
る。すなわち、それ単独で、あるいは適当な液体、固体
または気体の担体ないし希釈剤と組み合わせた形態で、
あるいは他の薬剤と組み合わせた形態で、外用あるいは
内用の抗菌剤として使用することができる。
【0021】したがって、本発明の抗菌性ペプチドは、
例えば、細菌性疾患に対する薬剤として使用することが
できる。その場合は、投与の剤型およびその投与量につ
いては、患者および疾患の種類、症状等を勘案して、本
発明による抗菌効果が認められる限り任意の選択が可能
である。
【0022】本発明の抗菌性蛋白は蛋白質そのものであ
るので、少なくとも結果的に経口にて接種されるときに
は、その毒性はほとんどないと考えられる。したがっ
て、この抗菌性ペプチドは、ヒトおよび動物用の薬剤お
よび食品ないし飼料添加物として利用することができ
る。例えば、本発明による抗菌性蛋白は食品添加物とし
ての抗菌剤、換言すれば可食性抗菌剤として有用であ
る。
【0023】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、本発明はこの実施例に限定されるものではな
い。
【0024】1)材料および測定法 (1)出発材料 タイワンカブトムシ幼虫は、三令幼虫を用いた。体表に
傷害を与える操作は、幼虫を氷上に数分間置いて動きを
鈍くしてから皮下針を貫通させるという方法を用いた。
傷害を与えた幼虫を腐葉土の入った容器中、25℃にて
24〜48時間飼育した。その後、幼虫脚部を切断し、
腹部を押さえてしぼり出すことにより、氷上のチューブ
中に体液滴を採取した。通常1匹の幼虫から約1.5ml
の体液が得られた。得られた体液を39,000×g/5
0分間の遠心分離に付して血球成分を除き、澄明な上清
を−20℃で保存した。
【0025】(2)体液の分画 約10匹の幼虫から採取した体液(約15ml)を溶媒A
(20%アセトニトリル/0.05%トリフルオロ酢酸)
で平衡化しておいたSep−Pak C18カートリッジ(Wa
ters Associates社製)にアプライした。溶媒Aでカラ
ムを洗浄後、60%アセトニトリル/0.05%トリフ
ルオロ酢酸で抗菌活性を溶出させた。この活性画分につ
いて、アセトニトリルを除去するために、凍結乾燥を行
なった。この乾燥粉末を0.05%トリフルオロ酢酸に
溶解し、0.05%トリフルオロ酢酸で平衡化しておい
たProRPC HR5/10 C8カラム(Pharmacia社
製,5×100mm)にアプライした。0.05%トリフル
オロ酢酸でカラムを洗浄後、0%→50%アセトニトリ
ル/0.05%トリフルオロ酢酸(75分間)の条件でグ
ラジェント溶出を行なった。この段階で、抗菌活性はア
セトニトリル26〜31%画分に溶出された。この活性
画分について、アセトニトリルを除去するために、凍結
乾燥を行なった。さらに、この乾燥粉末を溶媒Aに溶解
し、溶媒Aで平衡化しておいたProRPC HR5/1
0 C8カラム(Pharmacia社製,5×100mm)にアプラ
イした。溶媒Aでカラムを洗浄後、20%→40%アセ
トニトリル/0.05%トリフルオロ酢酸(120分間)
という緩やかなグラジェント条件で溶出を行なった。こ
の段階で、抗菌活性はアセトニトリル22〜24%画分
(B画分)およびアセトニトリル24〜27%(C画分)の
二つの画分に分離された。これらの活性画分について、
アセトニトリルを除去するために、凍結乾燥を行なっ
た。本発明はC画分から抗菌性蛋白類(ライナサラシン)
を精製してなされたものである。
【0026】(3)抗菌活性の測定 黄色ブドウ球菌(Stapylococcus aureus)、溶血レンサ
球菌(Streptococcuspyogenes)または大腸菌(Escheric
hia coli K12)を培養し、指数増殖期の細胞を選択
し、60mM NaCl含有の30mMリン酸緩衝液(Na2
HPO4/NaH2PO4,pH7.0)中に懸濁させた(Bec
kman社製 DU−650分光計でA550,0.1(1.5
×107細胞数/ml))。試料(50μl)、ミューラー・ヒ
ントン培地(40μl,Difco社製)および細菌懸濁液(1
0μl)をマイクロチューブ中に混合し、振盪しながら3
7℃、20時間インキュベートした。その後その混合物
を急冷してA550を測定した。
【0027】(4)トリシン−SDS−ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動 スラブ式トリシン−SDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動は、SchaggerおよびJagowの方法(Anal.Bioc
hem.、166巻、368−379頁(1987))に従っ
て行なった。蛋白試料をSDSゲル−ローディング緩衝
液(50mMTris−HCl(pH6.8),10%β−メルカ
プトエタノール,2% SDS(ドデシル硫酸ナトリウ
ム),0.1%プロモフェノール・ブルー,10%グリセ
ロール)に溶解し、100℃、5分間加熱処理後、トリ
シン−SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ
た。ゲルのアクリルアミド含量は16.2%であった。
電気泳動後、ゲルをフェアバンクスらの方法(Biochemi
stry、10巻、2606−2617頁(1971))によ
ってクマシブリリアントブルーR−250で染色した。
【0028】2)ライナサラシンの精製 約10匹の幼虫から得られた約140μgのC画分は、
130mM NaCl含有の10mMリン酸緩衝液(Na2
PO4/NaH2PO4,pH6.0)に溶解し、熱沈澱性蛋
白を完全に除去するため、100℃で5分間加熱処理し
た。そして、その調製物を10分間/39,000×gの
遠心分離に付し、得られた上清を最終的に30%アセト
ニトリル/0.05%トリフルオロ酢酸が含まれるよう
に調製し、溶媒B(30%アセトニトリル/0.05%
トリフルオロ酢酸)で平衡化しておいた逆相カラム(2.
1×100mm,Pharmacia社製 μRPC C2/C1
8)にアプライした。この逆相カラムはファルマシア社
製SMARTシステムに連結させて用いた。溶媒Bでカ
ラムを洗浄後、30%→40%アセトニトリル/0.0
5%トリフルオロ酢酸(60分間)という緩やかなグラジ
ェント条件で溶出を行なった。200μlずつ分画し、
アセトニトリルを除去するために、凍結乾燥を行ない、
各々の画分について測定した。抗菌活性は、第1図に示
すように蛋白のピークに一致する単一なピークとして溶
出した。活性画分はトリシン−SDS−ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動で単一蛋白バンド(分子量約7,30
0〜7,800)を与え、ライナサラシンと命名した。
精製されたライナサラシンの電気泳動図を第2図に示
す。図中、矢印は指標蛋白(ミオグロビンI&II(1
4.1kDa)、ミオグロビンI(8.2kDa)、ミオグロ
ビンII(6.2kDa)およびミオグロビンIII(2.
5kDa))の位置を示す。蛋白量はローリーの方法(J.
Biol.Chem.、193巻、265−275頁(195
1))により、スタンダードとして合成カイコ・セクロピ
ンBを用いて測定した。精製された本発明の生理活性蛋
白ライナサラシンをエドマン分解し、PTH−アミノ酸
を分析したところ、N末端の13個のアミノ酸配列(配
列番号:1)が決定された。
【0029】3)ライナサラシン濃度と抗菌活性の測定 2)で精製され得られた抗菌性蛋白ライナサラシンを用
いて測定した。なお、1)−(3)の抗菌活性の測定にお
いて被検液50μl中の蛋白量を0〜10μg/mlと変化
させて測定した。その結果を第3図に示す。この結果よ
り、本発明の生理活性蛋白ライナサラシンの抗菌活性
は、グラム陽性菌および陰性菌の両方に対して強く認め
られた。
【0030】また、本発明の生理活性蛋白ライナサラシ
ンは、100℃で5〜10分間熱処理した後であって
も、もとの抗菌活性を保持していた。
【0031】
【発明の効果】本発明による抗菌性ペプチドはそれ自体
抗菌性を有し、しかも毒性はほとんどない。したがっ
て、この性質を利用できる種々の用途が考えられるが、
特にこれらの物質を有効成分とする医薬品製剤としての
応用、あるいは食品添加物としての利用が期待できる。
とりわけ、タイワンカブトムシ幼虫より取得した抗菌性
ペプチドは、熱安定性であり、熱による加工工程を含む
用途には特に利用が期待できるものである。
【0032】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:13 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列: Ala Leu Ser Pro Gly Ala Pro Asn Phe Pro Asn Pro Gly 1 5 10
【図面の簡単な説明】
【図1】 精製ライナサラシンの逆相SMART分析結
果を示す説明図である。
【図2】 ライナサラシンの電気泳動図を模写した図で
ある。
【図3】 本発明のライナサラシンの抗菌作用を示す図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07K 7/08 ZNA A61K 37/02 ADZ

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鞘翅目に属する昆虫の幼虫の体表傷害時
    にその幼虫の体液中に誘導される、N末端アミノ酸配列
    がH2N−Ala−Leu−Ser−Pro−Gly−Ala−Pro
    −Asn−Phe−Pro−Asn−Pro−Gly−であり、下記
    の性質を有する抗菌性蛋白、またはこれと免疫学的に共
    通抗原性を有する抗菌性蛋白。 (i)分子量約7,300〜7,800 (ii)熱安定性(5〜10分間、100℃)
  2. 【請求項2】 鞘翅目に属する昆虫がタイワンカブトム
    シ(Oryctes rhinoceros)である、請求項1記載の抗菌
    性蛋白。
  3. 【請求項3】 幼虫が三令幼虫である、請求項1または
    2に記載の抗菌性蛋白。
  4. 【請求項4】 幼虫の体液が体表傷害後0〜10日経過
    後のものである、請求項1ないし3のいずれか1に記載
    の抗菌性蛋白。
  5. 【請求項5】 鞘翅目に属する昆虫の幼虫の体表に傷害
    を与え、その後得られる体液より体液細胞および脂肪体
    を除去したものから、N末端アミノ酸配列がH2N−Al
    a−Leu−Ser−Pro−Gly−Ala−Pro−Asn−Phe
    −Pro−Asn−Pro−Gly−であり、下記の性質を有す
    る抗菌性蛋白、またはこれと免疫学的に共通抗原性を有
    する抗菌性蛋白を取得することを特徴とする、抗菌性蛋
    白の製造法。 (i)分子量約7,300〜7,800 (ii)熱安定性(5〜10分間、100℃)
  6. 【請求項6】 鞘翅目に属する昆虫がタイワンカブトム
    シ(Oryctes rhinoceros)である、請求項5記載の製造
    法。
  7. 【請求項7】 幼虫が三令幼虫である、請求項5または
    6に記載の製造法。
  8. 【請求項8】 幼虫の体液が体表傷害後0〜10日経過
    後のものである、請求項5ないし7のいずれか1に記載
    の製造法。
  9. 【請求項9】 鞘翅目に属する昆虫の幼虫の体表傷害時
    にその幼虫の体液中に誘導される、N末端アミノ酸配列
    がH2N−Ala−Leu−Ser−Pro−Gly−Ala−Pro
    −Asn−Phe−Pro−Asn−Pro−Gly−であり、下記
    の性質を有する抗菌性蛋白、またはこれと免疫学的に共
    通抗原性を有する抗菌性蛋白を有効成分とする可食性抗
    菌剤。 (i)分子量約7,300〜7,800 (ii)熱安定性(5〜10分間、100℃)
  10. 【請求項10】 鞘翅目に属する昆虫がタイワンカブト
    ムシ(Oryctes rhinoceros)である、請求項9記載の可
    食性抗菌剤。
  11. 【請求項11】 幼虫が三令幼虫である、請求項9また
    は10に記載の可食性抗菌剤。
  12. 【請求項12】 幼虫の体液が体表傷害後0〜10日経
    過後のものである、請求項9ないし11のいずれか1に
    記載の可食性抗菌剤。
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