JPH08277778A - 可変容量式斜板圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ハウジング固定ボルトの折損防止、及び耐久
性の向上することができること。 【構成】 ハウジング固定ボルト３１は、雄ネジ部３１
ａと該雄ネジ部３１ａに引き続き該雄ネジ部３１ａの外
径寸法よりも大径の外径寸法に形成したボルトストレー
ト部３１ｂとを有し、シリンダーブロック２には前記雄
ネジ部３１ａを嵌合する雌ネジ部３３ａと前記ボルトス
トレート部３１ｂを嵌合するへこみ部３３ｂが形成さ
れ、それぞれの部位を嵌合させて前記フロントハウジン
グ３と前記シリンダーブロック２とが締め付けられてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、冷凍機などに用いられ
る斜板式の圧縮機、特に、容量可変型の圧縮機に可変容
量式斜板圧縮機関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の可変容量式斜板圧縮機は、図２及
び図３に示すように、シリンダーケーシング１と、シリ
ンダーケーシング１の一端側に形成されているシリンダ
ーブロック２と、シリンダーケーシング１の他端の開口
部に配置、固着されているフロントハウジング３とを有
している。シリンダーブロック２には、ピストン２１を
収容したシリンダーボア２ａが形成されている。

【０００３】フロントハウジング３の中央部にはシャフ
ト軸４を挿入するための貫通孔３ａが穿設されている。
シリンダーケーシング１内には、シリンダーケーシング
１とフロントハウジング３とによって囲まれている空間
部分にクランク室１ａが形成されている。クランク室１
ａには、シャフト軸４の回転によって回転する斜板１０
が配置されている。

【０００４】斜板１０の両面には、スライディングシュ
ー１９がその球面を外側にして斜板１０の円周に沿って
摺動可能な状態に、しかも一対のスライディングシュー
１９が当接されている。ピストン２１の一端は一対のス
ライディングシュー１９を狭持するよう配置されること
によって連結機構が構成されている。

【０００５】シリンダーボア２ａの一端面には流体を吸
入するための吸入孔２２、吐出孔２３が穿設され、吸入
孔２２、吐出孔２３への流体の流通を制御するように吸
入弁及び吐出弁が連接されている弁板２４をシリンダー
ブロック２に接続している。またシリンダーヘッド２６
によって吸入室２７及び吐出室２８が形成されるよう
に、シリンダーヘッド２６を弁板２４の一端面に配置し
ている。弁板２４及びシリンダーヘッド２６はシリンダ
ーブロック２に固定し、シリンダーケーシング１を閉塞
している（例えば、特公昭６４−１６６８号公報を参
照）。

【０００６】さらに、ピストン２１は、図３にも示され
ているように、複数のシリンダボア（図３では６つのシ
リンダボアを示す）２ａのそれぞれに一対一に摺動可能
に嵌め込まれている。ピストン２１の回転及び傾斜を防
止する構造として、ピストン２１にはピストンロッド２
０に接続されている回転傾斜防止部３０を有している。
回転傾斜防止部３０はシリンダーケーシング１の周方向
で相互に対向している。またフロントハウジング３とシ
リンダーブロック２とはハウジング固定ボルト３１によ
って一体的に締め付けられている。ハウジング固定ボル
ト３１は、６つの回転傾斜防止部３０の間のそれぞれに
挿通されている。ハウジング固定ボルト３１はフロント
ハウジング３とシリンダーブロック２とを一体的に締め
付ける回転傾斜防止部材としての役目を果たす。

【０００７】ハウジング固定ボルト３１は、雄ネジ部３
１ａと、ストレート部３１ｂとを有している。シリンダ
ーブロック２には雄ネジ部３１ａを嵌合する雌ネジ部３
３ａが形成されている。

【０００８】ハウジング固定ボルト３１の雄ネジ部３１
ａとシリンダーブロック２の雌ネジ部３３ａとは、雄ネ
ジ部３１ａ側に噛み合わない余裕の雄ネジ部３１ａを残
して相互に締結されている。即ち、雄ネジ部３１ａは、
クランク室１ａに一部を露出した状態で締結されてい
る。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ハウジ
ング固定ボルト３１の雄ネジ部３１ａとシリンダーブロ
ック２の雌ネジ部３３ａとはその締結状態で、雄ネジ部
３１ａ側に噛み合わない余裕の雄ネジ部を有しているた
め、噛み合い終了部位でネジ底に応力集中が発生し、ハ
ウジング固定ボルト３１が折損してしまうという問題が
ある。

【００１０】それ故に本発明の課題は、ハウジング固定
ボルトの折損を防止し、かつ耐久性の向上を図ることが
できる可変容量式斜板圧縮機を提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、シリン
ダーケーシングと、該シリンダーケーシングの一端側に
形成したシリンダーブロックと、該シリンダーケーシン
グの他端側の開口部に配置したフロントハウジングと、
前記シリンダーケーシング内に形成したクランク室と、
該クランク室に配置された斜板と、シャフト軸の回転に
よって前記斜板が回転すると往復運動を行う複数のピス
トンと、該ピストンを前記斜板の円周に沿って摺動可能
に前記斜板に連結するための連結機構と、前記斜板の傾
斜角が予め定められた範囲で変化できるように前記斜板
を前記シャフト軸に支持するためのヒンジ機構とを有
し、前記ピストンの回転及び傾斜を防止する構成とし
て、前記ピストンは周方向で対向した回転傾斜防止部を
有し、該回転傾斜防止部の間に挿通され、かつ前記フロ
ントハウジングと前記シリンダーブロックとを一体的に
締め付けるハウジング固定ボルトを有している可変容量
式斜板圧縮機において、前記ハウジング固定ボルトは、
先端部に形成した雄ネジ部と該雄ネジ部に引き続き該雄
ネジ部の外径寸法よりも大径の外径寸法に形成したスト
レート部とを有し、シリンダーブロックには前記雄ネジ
部を嵌合する雌ネジ部と前記ストレート部を嵌合するへ
こみ部が形成され、それぞれの部位を嵌合させて前記フ
ロントハウジングと前記シリンダーブロックとが相互に
締め付けられていることを特徴とする可変容量式斜板圧
縮機が得られる。

【００１２】

【作用】ハウジング固定ボルトのストレート部とシリン
ダーブロックのへこみ部とを噛み合わせたことによっ
て、ハウジング固定ボルト全体に加わる加重を受けるよ
うにしたので、ネジ底に発生した応力集中がなくなりハ
ウジング固定ボルトの折損が発生しない。

【００１３】

【実施例】図１は本発明の可変容量式斜板圧縮機の一実
施例を示している。なお、この実施例において、図２及
び図３に示した可変容量式斜板圧縮機の構成と同じ部分
には同じ符号を付して説明する。

【００１４】図１を参照して、可変容量式斜板圧縮機
は、シリンダーケーシング１と、シリンダーケーシング
１の一端側に構成されているシリンダーブロック２と、
シリンダーケーシング１の他端の開口部に配置、固着さ
れているフロントハウジング３とを有している。シリン
ダーブロック２には、シリンダーケーシング１の一端側
にはシリンダーボア２ａが形成されている。フロントハ
ウジング３には、中央部にシャフト軸４を挿入するため
の貫通孔３ａが穿設されている。貫通孔３ａには、シャ
フト軸４を回転可能に支持するためのラジアルベアリン
グ５が圧入されている。

【００１５】シリンダーケーシング１内には、クランク
室１ａと、クランク室１ａに配置された斜板１０と、シ
ャフト軸４の回転によって斜板１０が回転すると往復運
動を行う複数のピストン２１と、ピストン２１を斜板１
０の円周に沿って摺動可能に斜板１０に連結するための
連結機構と、斜板１０の傾斜角が予め定められた範囲で
変化できるように斜板１０をシャフト軸４に支持するた
めのヒンジ機構とを有している。

【００１６】斜板１０の両面には、球面を有するスライ
ディングシュー１９をその球面を外側にして斜板１０の
円周に沿って摺動可能な状態に、しかも一対のスライデ
ィングシュー１９が実質的に球体を形成するように斜板
１０両面に当接している。ピストン２１の一端は一対の
スライディングシュー１９を狭持するよう配置されてい
る。

【００１７】可変容量式斜板圧縮機では、クランク室１
ａの圧力を調整することによって斜板１０の角度を変化
させ、これによって容量を変化させるようにしている。

【００１８】さらに、ピストン２１は、図３に示したよ
うに、６つのシリンダボア２ａのそれぞれに一対一に摺
動可能に嵌め込まれている。

【００１９】ピストン２１の回転及び傾斜を防止する構
造として、ピストン２１には回転傾斜防止部３０が設け
られている。回転傾斜防止部３０はシリンダーケーシン
グ１の周方向で相互に対向している。フロントハウジン
グ３とシリンダーブロック２とはハウジング固定ボルト
３１によって一体的に締め付けられている。ハウジング
固定ボルト３１は、回転傾斜防止部３０の間に挿通され
ている。さらにハウジング固定ボルト３１はフロントハ
ウジング３とシリンダーブロック２とを一体的に締め付
けることによってピストン２１の回転傾斜防止部材とし
ての役目を果たす。

【００２０】ハウジング固定ボルト３１には、雄ネジ部
３１ａと、雄ネジ部３１ａの外径寸法よりも大径寸法の
ストレート部３１ｂとが形成されている。シリンダーブ
ロック２にはハウジング固定ボルト３１の雄ネジ部３１
ａを嵌合する雌ネジ部３３ａとストレート部３１ｂを嵌
合するへこみ部３３ｂとが形成されている。フロントハ
ウジング３とシリンダーブロック２とは、ハウジング固
定ボルト３１によって相互に締め付けられている。複数
のハウジング固定ボルト３１は望ましくはシリンダーブ
ロック２に圧入するとよい。また、ハウジング固定ボル
ト３１とへこみ部３３ｂとの間には微少なクリアランス
があってもよい。

【００２１】ハウジング固定ボルト３１のストレート部
３１ｂとシリンダーブロック２のへこみ部３３ｂとを噛
み合わせるようにして、ハウジング固定ボルト３１全体
に加わる加重を受けるようにすると、ネジ底に発生した
応力集中が少なくなる。

【００２２】貫通孔３ａの外端部には、シャフト軸４を
内包するように突出するシャフト軸導出筒３ｂが設けら
れ、シャフト軸４とシャフト軸導出筒３ｂの内壁によっ
て形成される空間をシール室６としてメカニカルシール
７が配置されている。

【００２３】またフロントハウジング３の内壁とシリン
ダーブロック２の一端面間には、クランク室１ａが形成
され、クランク室１ａ内のシャフト軸４の側端部には、
ロータ８が嵌着されている。ロータ８の一端部は、シャ
フト軸４の方向に折り曲げられ、耳状に形成された耳部
８ａを有している。そしてこの耳部８ａには長孔８ｂが
設けられている。

【００２４】シャフト軸４には、ロータ８と間隔を置い
て、球面ブッシュ９がシャフト軸４上に滑動可能に配置
されており、球面ブッシュ９の球面上には円板形状の斜
板１０が球面上を滑動可能に設けられている。さらに斜
板１０の一端面上にはロータ８の耳部８ａに向かって耳
状に形成された耳部１０ａが設けられており、長孔８ｂ
に対応して孔１０ｂを通してピン状部材１１が長孔８
ｂ、孔１０ｂを通してピン状部材１１が長孔８ｂ内を滑
動可能に挿入されて、いわゆるヒンジ機構を構成してい
る。

【００２５】またロータ８と球面ブッシュ９はシャフト
軸４と平行に配置されたスプリング１２によって連結さ
れている。なお、フロントハウジング３の壁面とロータ
８間にはスラストレース１３が配置され、このスラスト
レース１３間にはスラストニードルベアリング１４が狭
持されている。

【００２６】シャフト軸４の他方端はシリンダーブロッ
ク２において、ラジアルベアリング１５に回転可能に支
持され、さらにシャフト軸４の端面に配置されたスラス
トニードルベアリング１６及び皿バネ１７を介して、ア
ジャストスクリュー１８で回転可能に支持されている。

【００２７】斜板１０の両面には斜板１０を挟むように
して球面が形成されたスライディングシュー１９が外側
にして当接している。このスライディングシュー１９は
斜板１０の円周に沿って摺動可能になっている。また、
図示のように一対のスライディングシュー１９は例えば
半径Ｒの実質的に球体を形成するように配設されてい
る。このスライディングシュー１９には、ピストンロッ
ド２０がスライディングシュー１９を狭持するように配
設されており、ピストンロッド２０はスライディングシ
ュー１９上を摺動可能な状態となっている。ピストンロ
ッド２０の他端部にはシリンダーボア２ａ内で滑動可能
にピストン２１が設けられている。なお、斜板１０上に
は上述した構造のピストン２１が複数設けられている。

【００２８】シリンダーボア２ａの一端面には流体を吸
入するための吸入孔２２、吐出孔２３が穿設され、吸入
孔２２、吐出孔２３への流体の流通を制御するように吸
入弁及び吐出弁が連接されている弁板２４をガスケット
２５を介してシリンダーブロック２に接続し、隔壁２６
ａを有するシリンダーヘッド２６によって吸入室２７及
び吐出室２８が形成されるように、シリンダーヘッド２
６をガスケット２９を介して弁板２４の一端面に配置
し、弁板２４及びシリンダーヘッド２６をシリンダーブ
ロック２上に固定し、シリンダーケーシング１を閉塞す
る。なお吸入室２８には吐出口２８ａが設けられてい
る。吸入室２７はシリンダーヘッド２６に形成されてい
る吸入ポート２７ａに連通されている。

【００２９】次に、可変容量斜板式圧縮機の動作につい
て説明する。シャフト軸４に回転力を与えると、この回
転力はロータ８、上述したヒンジ機構（長孔８ｂに対応
して孔１０ｂを通してピン状部材１１が長孔８ｂ、孔１
０ｂを通してピン状部材１１が長孔８ｂ内を滑動可能に
挿入されて）を経て斜板１０へ伝達され、斜板１０が回
転する。斜板１０の回転に伴ってスライディングシュー
１９が斜板１０の円周上を摺動するから、スライディン
グシュー１９に連結しているピストンロッド２０には回
転力が伝達されることはない。即ちピストン２１は実質
的に図中上下方向への移動がない。

【００３０】したがって斜板１０の回転力はピストン２
１の往復運動（図中左右方向）に変換される。そしてピ
ストン２１の往復運動によって、吸入孔２２からシリン
ダボア２ａに吸入された流体（冷媒）は圧縮された後、
吐出孔２３を通って吐出室２８に吐出される。

【００３１】一方、斜板１０上の等角度間隔で配置され
たピストン２１によって圧縮工程中に、ガス圧縮の反作
用が斜板１０に加わっている。そして、この反作用の合
力は上述したヒンジ部を受け止められることになる。各
ピストン２１に作用する反力によるヒンジ部回りのモー
メントは、斜板１０の下端に位置するピストン（図示せ
ず）によるモーメントのほうが大きいから、結局、斜板
１０を図１の平面内において、右方向へ回転させるモー
メントがヒンジ部に作用することになる。

【００３２】

【発明の効果】本発明の可変容量式斜板圧縮機による
と、ハウジング固定ボルトの雄ネジ部と、この雄ネジ部
の外径寸法よりも大径寸法のストレート部とが形成し、
シリンダーブロックの雌ネジ部にハウジング固定ボルト
の雄ネジ部を嵌合し、ストレート部をシリンダーブロッ
クのへこみ部に嵌合することによって、ハウジング固定
ボルトの折損の防止ができ、耐久性が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の可変容量式斜板圧縮機の一実施例を示
す断面図である。

【図２】従来の可変容量式斜板圧縮機を示す断面図であ
る。

【図３】図２の可変容量式斜板圧縮機のシリンダーブロ
ック及びハウジング固定ボルトの位置関係を示す横断面
図である。

【符号の説明】

１ シリンダーケーシング ２ シリンダーブロック ３ フロントハウジング ４ シャフト軸 ５ ラジアルベアリング ６ シール室 ７ メカニカルシール ８ ロータ ９ 球面ブッシュ １０ 斜板 １１ ピン状部材 １２ スプリング １３ スラストレース １４ ニードルベアリング １５ ラジアルベアリング １６ スラストニードルベアリング １７ 皿バネ １８ アジャストスクリュー １９ スライディングシュー ２０ ピストンロッド ２１ ピストン ２２ 吸入孔 ２３ 吐出孔 ２５、２９ ガスケット ２６ シリンダーヘッド ２７ 吸入室 ２８ 吐出室 ３１ ハウジング固定ボルト ３１ａ 雄ネジ部 ３１ｂ ストレート部 ３３ａ 雌ネジ部 ３３ｂ へこみ部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シリンダーケーシングと、該シリンダー
   ケーシングの一端側に形成したシリンダーブロックと、
   該シリンダーケーシングの他端側の開口部に配置したフ
   ロントハウジングと、前記シリンダーケーシング内に形
   成したクランク室と、該クランク室に配置された斜板
   と、シャフト軸の回転によって前記斜板が回転すると往
   復運動を行う複数のピストンと、該ピストンを前記斜板
   の円周に沿って摺動可能に前記斜板に連結するための連
   結機構と、前記斜板の傾斜角が予め定められた範囲で変
   化できるように前記斜板を前記シャフト軸に支持するた
   めのヒンジ機構とを有し、前記ピストンの回転及び傾斜
   を防止する構成として、前記ピストンは周方向で対向し
   た回転傾斜防止部を有し、該回転傾斜防止部の間に挿通
   され、かつ前記フロントハウジングと前記シリンダーブ
   ロックとを一体的に締め付けるハウジング固定ボルトを
   有している可変容量式斜板圧縮機において、前記ハウジ
   ング固定ボルトは、先端部に形成した雄ネジ部と該雄ネ
   ジ部に引き続き該雄ネジ部の外径寸法よりも大径の外径
   寸法に形成したストレート部とを有し、シリンダーブロ
   ックには前記雄ネジ部を嵌合する雌ネジ部と前記ストレ
   ート部を嵌合するへこみ部が形成され、それぞれの部位
   を嵌合させて前記フロントハウジングと前記シリンダー
   ブロックとが相互に締め付けられていることを特徴とす
   る可変容量式斜板圧縮機。