JPH08271230A - 光学的隙間測定方法および装置 - Google Patents

光学的隙間測定方法および装置

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JPH08271230A
JPH08271230A JP8024243A JP2424396A JPH08271230A JP H08271230 A JPH08271230 A JP H08271230A JP 8024243 A JP8024243 A JP 8024243A JP 2424396 A JP2424396 A JP 2424396A JP H08271230 A JPH08271230 A JP H08271230A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一方が透明な2つの部材の隙間の距離を高速
度および高精度で測定する。 【解決手段】 偏光部材を通した偏光光ビームを透明な
部材の表面に斜角で向け、透明な部材を通過させて透明
な部材の表面からの反射と被験物体の表面からの反射の
組み合わせ効果によって偏光ビームを反射させ、反射ビ
ーム中における反射されたベクトルsとベクトルpの偏
光成分を互いに干渉させて、偏光感知強度計と位相検出
器で偏光成分の光強度と相対的位相を測定し、測定した
情報に基づいてコンピュータにより透明な部材の表面か
ら被験物体の表面までの距離を決定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、片方が実質的に
透明な部材である2つの部材の表面間(隙間)の距離を
測定する高速で高精度な方法および装置に関する。特に
偏光と干渉計測定法を用いてこの測定を行う方法および
装置に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】2つ
の部材の表面間(隙間)のわずかな距離の正確な測定方
法は、産業上の検査および品質管理の面で頻繁に問題に
なる。それは、例えば磁気データ記憶システムにおいて
スライダー装置の性能を確かめるため、高速回転してい
る硬質ディスクにほぼ接しているスライダー装置の浮上
高を測定するのに必要である。ここで用いる浮上高と
は、磁気ヘッドポールと回転硬質ディスクとの距離のこ
とである。例えば1974年12月17日発行のエム.
エフ.ガルニらの米国特許第3,855,625号を参
照。 この浮上は硬質ディスクの回転によって生じる空力
学的効果によって生じる。浮上高はスライダーの設計に
よるが、一般に250nm(10μインチ)未満で、わ
ずか数十ナノメートルのこともある。 この分野では浮上
高は非常に低く、すなわち25ナノメートル以下になる
傾向がある。スライダー製造業者1社で毎月20万から
50万のスライダー装置を生産するのが典型であること
から測定の速度と信頼性は特に重要である。
【0003】スライダー装置の浮上高を測定する従来の
装置と方法は、ビー.ブッシャンの「磁気記憶装置の摩
擦学と力学(Tribology and Mechanics of Magnetic St
orage Devices )」〔ニューヨーク:スプリンガー−バ
ーラグ(Springer-Verlag )、1990年〕の765〜
797頁に開示されている。最近の開発状況は「IDE
MAサブ2−マイクロインチワークショップ会報(Proc
eedings of the IDEMASub 2−micro inch Workshop
)」(1993年5月12日)に記載されている。
【0004】光学浮上高試験器(OFHT)はほぼ一様
に干渉計測定法が基本となっている。干渉計とは物体ま
での距離、物体の形状や物理的な長さに関係する物理的
パラメーターを測ることができるものである〔例えばダ
ニエル マラカラ編「光学工場試験法(Optical Shop T
esting)」第2版〔ウィリー(Wiley )、ニューヨー
ク、1992年〕の第1章を参照〕。光学技術の基本的
な問題点の1つはスライダーABSと実際のハードディ
スクとの境界の隙間(境界隙間)が直接に検査できない
ことである。したがって、基本的に2つの異なるタイプ
のOFHT、すなわち実際のディスク上に浮上している
スライダーの裏面を相対的に測定するものと、実際のハ
ードディスクの代用に透明なガラスを用いるものとがあ
る。
【0005】第一の種類のOFHTの例がエル.ワイ.
チュ、ケイ.エフ.ハラマセックおよびディー.ビー.
ボギーによる論文「レーザー干渉計によるヘッド/ディ
スク間隔の測定(Measurement of head/disk spacing w
ith a laser interferometer」(IEEE Tran.
Magn.,MAG−23,2739,1988年)に
提供されている。開示された装置はスライダーの裏面上
の複数の点、すなわちスライダーのディスクに近接しな
い側にある複数の点の物理的位置を測定できるヘテロダ
イン干渉計である。この装置の利点は実際の磁気ハード
ディスクで機能すること、浮上しているスライダーの高
さだけでなく配向(ピッチとロール)も測定できること
である。ゼロ浮上高の較正(calibration )はディスク
にスライダーを着地させて行う。この種のシステムの主
な欠点はスライダー/ディスクの境界の隙間を直接観測
せず浮上高をスライダーの裏面の位置から推測するしか
ないことである。そのためスライダーの厚さとABSの
形状が一定であると仮定しなければならないが、実際に
は浮上中の機械的応力や熱応力のためスライダーはかな
り歪むことがある。 もう一つの欠点は現在スライダー装
置の製造時において多くの場合スライダーの裏面に近づ
けないことである。
【0006】干渉計測定手段によるスライダー/ディス
クの境界の隙間を直接測定する方法は論文「潤滑におけ
る幾つかの問題を解決するための方法提案(A proposed
method for solving some problems in lubrication)
」「ザ コモンウェルス エンジニア(The Commonwea
lth Engineer )〔1921年11月および1921年
12月〕でダブリュー ストーンによって初めて報告さ
れた。ストーンが1921年に磁気記憶媒体を研究して
いなかったのは明らかであるが、本質的な概念は現在の
大多数のOFHTの基礎にある概念と同じである。スト
ーンの装置は水平面で回転するよう備え付けられた直径
約125mmのガラスディスクからなる。スライダーと
実質的に同じ機能をもつ15mm×15mmのブロック
を適切なローディング機構を用いてディスクの下面に押
し付ける。ディスクが透明なのでブロックの浮上中にデ
ィスクを通してブロックを見ることができる。ブロック
には、予定の目的のためにほぼ単色光、非偏光光源とし
て作用するナトリウム光をディスクを通して照射する。
反射光ビームは、ディスクの表面から反射する光ビーム
とブロックから反射する光ビームとの組み合わせで構成
されている。これらの2つの反射光ビームの組合せと同
時検光によってブロックのディスク上方の浮上高に関連
する干渉効果が生じる。ブロックとディスクとの間隔な
らびにブロックの配向をディスクの速度を変化させた時
の干渉縞の観察から推理する。
【0007】スライダー/ディスクの境界の隙間を直接
測定する現在市販されているOFHTはストーンが発明
した装置と同じ物理原理の多くに基づいていて、それら
の違いはおもに光源、検出器、データ処理手段の型にあ
る。透明な代用ディスクが磁気ハードディスクの代替と
なり、スライダーABSでの干渉効果によって浮上高情
報が得られる。従来のこのタイプのOFHTはすべて、
ディスクを通して実質的に垂直入射角でABSに照射
し、偏光に関係しない反射強度の変化を検出する。
【0008】ある型のOFHTは、例えばジー.エル.
ベスト、ディー.イー.ホーン、エイ.チウおよびエイ
チ.サスナーによって論文「スライダー動力学の高精度
光学測定(Precise optical measurement of slider dy
namics) 」〔IEEE Trans.Magn.MAG
−22,(1986)1017−1019〕に開示があ
るように、実質的に単色光である光源を用いる。反射光
はディスクとスライダーABS間の薄膜効果によって変
調される。この変調は浮上高について周期的で光源照明
の波長の2分の1に等しい周期をもつ。適切な検出およ
び分析手段を導入することで反射光の強度の変調を観察
し浮上高の変化を追うことができる。変調曲線のある部
分に対し反射強度を検出することによってABSとディ
スク間の隔たりを妥当な正確さで測定することができ
る。もともとはこのような装置は純粋に目に見える縞の
解析に関するものであった。ジェイ.エム.フライシャ
ーとシー.リンは論文「空気圧分離を測定する赤外線レ
ーザー干渉計(Intrared laser interferometer for me
asuring air-bearing separation) 」〔IBM研究開発
報(IBM Journal of Research and Development) 、
18(6)、1974年、529〜533頁〕という論
文で記載されたように、単色OFHTに光電センサーを
初めて使用した。さらに新しい単色光OFHTの例が、
ティ.オオクボとジェイ.キシガミによって論文「レー
ザー干渉計測定法を用いるガス潤滑スライダーベアリン
グ分離の正確な測定(Accurate Measurement of Gas- L
ubricated Slider Bearing Separation using Laser In
terferometry) 」〔Trans.ASME,110巻1
48〜155頁(1988年1月)〕に記載されてい
る。この論文は、プロクィップ社(ProQuip,Inc.) によ
って米国で販売されている浮上高試験器FM8801お
よびFM2000の操作の原理を記載したものである。
【0009】測定が周期現象に依存しているという点で
単色光OFHTの欠点はどの干渉サイクルが測定される
か明らかでないことにある。その結果、曖昧さが存在
し、浮上高測定は波長の4分の1に等しい範囲、すなわ
ち典型的には150nm未満の範囲に限られる。さらに
問題なのはかなりの範囲の浮上高で測定の感度がほぼゼ
ロになることである。測定方法のこの面はスライダーと
ディスク間の隔たりが25nm以下の場合、特に厄介な
ものである。最後に製品試験においてゼロ浮上高にシス
テムの較正をするためにスライダーごとに着地させる必
要があるかも知れない。
【0010】エイ.ナイアガムによる論文「サブミクロ
ン精度の空気圧分離測定のための可視レーザー干渉計
(A Visible Laser Interferometer of Air Bearing Se
paration measurement to Submicron Accuracy)」〔T
rans.ASME,104巻、60〜65頁(198
2年)〕に、干渉計の縞の順序を測定する追加手段も提
供する単色光に基づいたOFHTが記載されている。こ
の追加手段はキセノンランプおよび円形可変波長フィル
ターからなる。ランプと波長フィルターは共に400〜
700nmの範囲の同調型波長光源として機能する。波
長が変化するにつれて干渉パターンも変化し絶対浮上高
を表し、単色光測定のための縞の順序を表す。縞の順序
が測定されると次に測定は約2.5kHzの速度で単色
センサーの測定に進む。
【0011】その他の従来技術には多様な波長を含める
ことで単色光干渉測定法の曖昧性という問題点を避ける
ものが幾つかある。例えば、ディー.エイ.フリッジら
への米国特許第4,593,368号に示されるよう
に、照明の波長との干渉効果の変化に基づく一般型のO
FHTがある。この特許の装置はスライダー/ディスク
の境界の隙間から反射する白色光の波長依存変調を分析
するコンピュータ化した分光光度計からなる。この技術
はカリフォルニア州チャツワース(Chatsworth)のパシ
フィック プレシジョン ラボラトリーズ社が以前生産
していた自動デジタル浮上高試験器のような市販の製品
に組み込まれている。分光変調現象が浮上高について周
期的でないため、白色光干渉測定法には測定に曖昧性が
ないという重要な利点がある。しかしながら分光計に基
づいた白色光法には数多くの限界があり、最も厳しく手
に負えない限界は測定速度である。この問題は171も
の異なる波長について反射時の位相変化を埋め合わせる
必要によって倍加する〔例えばアール.パブラットによ
る論文「浮上高測定システムとスライダー吸収(Flying
height measuremnet systems and slider absorption
)」「IDEMA インサイト(Insight )7
(5)、1頁(1994年)参照。」最後に白色光技術
は使用される最低波長の2分の1より(すなわち約20
0ナノメートル)大きい隔たりに非常に効果的である
が、浮上高は25nm未満になる傾向がある。
【0012】上記の白色光干渉測定法の限界の幾つかを
克服するため少数の離散波長を用いて速度と性能を改善
した従来のOFHTがある。シー.レイシーへの米国特
許第5,280,340号には多様な波長を放射する高
強度の光源と高速分光分析のための検出装置とからな
る、わずかな間隔を光学的に分析する3波長方法が記載
されている。この検出装置には波長弁別ビームスプリッ
ター、測定する個々の波長のためのフィルター及び各波
長のための高速光検出器が含まれる。開示された装置に
は検出装置からヘッドをごくわずか、約0.25μm遠
ざけるために用いる機械装置も含まれる。この機構は装
置の較正のために必要で、各波長の最大および最小強度
測定のためにスライダーを部分的に降ろして2つ以上の
波長の強度測定をすることに関わる。システムの目盛り
ぎめを行えば、100kHz以上の速度で浮上高を測定
することができる。この特許に開示された装置はフェー
ズメトリックス(Phase Metrics )が製造している力学
的浮上高試験器の原理になっている。
【0013】3波長OFHTは古い白色光装置より格段
に早いが、多くの同じ限界を共通してもっている。その
最も重大ものは浮上高がゼロに近づくに従って測定感度
がゼロに近づくことである。これらの限界は主にいろい
ろな波長について垂直入射角での反射強度の変化に依存
していることに関連している。浮上高が小さい場合これ
らの変化を測定するのは極端に難しくなることがある。
したがって、垂直入射角での強度測定に対する依存が上
記の従来のOFHT技術すべてが持つ欠点になってい
る。
【0014】低浮上高での測定の難しさは、スライダー
ABSからの反射とディスク表面からの反射を何らかの
方法、偏光または光ビームの物理的分離、またはその両
方によって分けることができれば大きく避けられる。公
知のジー.ソマーグレンへの米国特許第4,606,6
38号に開示の装置は前面偏光子として透明ディスクを
用いてこの表面からの反射をABSからの反射から区別
する。開示されたこの装置の追加の利点は複数の検出器
を有するカメラによって隔たり全体を測定することによ
ってスライダーの形状と配向、並びに複数の測定点が必
要なその他の所要パーラメントを測定できることであ
る。しかしながら、ソマーグレン特許に示されているよ
うな偏光被覆を施した特殊透明ディスクの製造は非常に
経費がかかり表面に傷でもあれば低浮上高で問題を引き
起こすことがある。
【0015】光学浮上高試験器で干渉光ビームを分離す
る別の方法が公知のジー.ソマーグレンへの米国特許第
5,218,424号に開示されている。この装置は直
行偏光を有する2つの平行光線を用いるものである。こ
の2つの光線はガラスディスク表面にブルースター角で
入射し、一方の光線が反射せずにディスクを完全に通り
抜け、もう一方がディスクの表面から一部反射する。反
射せずにディスクを通り抜けた光線はABSに照射する
のに使われる。次に2つの光線を再結合させ浮上高に対
して正弦に(sinusoidally) 変化する干渉効果を生じ
る。この特許で示された装置は2光線干渉計であるか
ら、感度や精度を損なうことなく非常に小さい隔たりを
測定し、隔たり内の多数の反射光によって直接生ずる干
渉効果に依存するシステムの主な欠点の1つを除くこと
ができる。開示された装置はABS全体の像を撮るアレ
ーカメラも含んでいる。
【0016】これらの利点にかかわらず、公知の米国特
許第5,218,424号に開示された方法と装置は、
磁気記憶装置産業で用いられるスライダーの浮上特性の
自動検査として実用的でなく、以下のような重要な問題
がある。すなわち、高価で複雑な高速位相変調器を不可
欠の構成部品として使用すること、位相変調方法および
透明ディスクのフル回転中に統合する必要性が原因とな
っている約15Hzの非常に遅いデータ取得および処理
速度、すべての測定に全フレーム画像カメラを使用する
ことが原因となっているスライダーの力学的浮上特性測
定の遅さ、透明ディスクの不均一性や歪みに対する有害
な感受性、浮上高測定の実質的なエラーに通じるディス
クのチップ(tip )とチルト(tilt)に対する有害な感
受性、主に高速相変調器の存在が原因である曖昧な位相
のオフセットが生じる干渉相の全体的ドリフト(drift
)等である。
【0017】公知の米国特許第5,218,424号で
開示された装置の欠点の幾つかは、同時係属中の199
5年1月31日付米国特許出願第08/38,232号
「回転ディスク表面に対する物体の表面の距離を測定す
る干渉計と方法(Interferometer and Method for Meas
uring the Distance of an Object Surface with Respe
ct to the Surface of a Rotating Disk)」で扱ってい
る。この出願に示されている主な改良点は以下のとおり
である。 ディスクの量、表面構造および配向の変化に係
わる望ましくない細部に煩わされずに高速操作が可能な
補償(compensation) 光線の導入、高速の位相測定シス
テム、スライダー表面上の様々な点に対応する複数の点
における位相のサンプリングを超高速で効果的に行う方
法と手段を提供する。これらの利点にもかかわらず、こ
の米国特許出願第08/38,232号の装置は空気の
乱れや光学的構成部材の機械的な動きのような、位相デ
オリフトの原因の幾つかに対しまだ敏感である。最も深
刻なのは、非常に複雑で高価なことである。
【0018】公知の浮上高試験法についての前述した重
要な欠点に加えて、従来方法のすべてが有しているもう
一つの問題は、反射時にスライダーの表面に起こる位相
の変化である。この位相の変化は浮上高の変化と間違っ
て受け取られやすく、20nmに及ぶエラーを引き起こ
すこともある。この影響を訂正するために、材料の合成
屈折率についての理論的知識を用いてこの位相の変化を
正確に知る必要がある。OFHTが多数の波長を用いて
いる場合、これらの波長それぞれについて独立して合成
屈折率を測定する必要がある。例えば、シー.レイシ
ー、アール.シーラーおよびエイ.コーミアによる論文
「ディスク/スライダー間隔の干渉計による測定:反射
時の相シフトの影響(Interferometric measurement of
disk/slider spacing:The effect of phase shift on
reflection )」〔アイイーイーイー トランザクショ
ン オン マグネティックス(IEEE Transaction on Ma
gnetics )〕参照。屈折率を独立して測定する必要性
は、光学的浮上高試験の従来の方法と手段すべてに大き
な負担となる。
【0019】多くの場合、この屈折率はエリプソメータ
ー(楕円偏光計:ellipsometer)としてこの分野で公知
の独立した装置によって測定される。エリプソメーター
は試験対象の物質(被験物体)の表面から斜角で反射し
た光線の偏光の変化を分析するものである。この測定の
ジオメトリー(geometry) は従来のすべての浮上高測定
のジオメトリーとは大幅に異なっているので全く別の装
置が必要である。アール.エフ.スパニアによる論文
「エリプソメトリー、1世紀の歴史をもつ新しい技術
(ellipsometry, a century old new technique )」
〔インダストリアルリサーチ(Industrial Research
)、1975年9月〕によれば、エリプソメーターと
は、試験表面に斜角で入射する光線の偏光の変化を測定
するためにデザインされた偏光子、リターデーションプ
レート、検出器からなる装置である。エリプソメーター
は表面の合成屈折率についての情報を提供し、また基板
上に堆積した薄膜のような多層媒体についての情報も提
供できる。市販のエリプソメーターにはイリノイ州シカ
ゴのガートナー サイエンティフィック社(Gaertner S
cientific Corporation )が製造しているものがある。
従来例には、合成屈折率の高速測定のために設計された
ものを含む実験的なエリプソメーターの例が幾つかある
が、これらの装置のいずれも光学的浮上高試験や同様の
わずかな隔たりの測定のために設計されたものはない。
したがって、合成屈折率の測定は隔たりの測定とは別の
仕事になる。
【0020】例えば、ティー.スミスによる論文「自動
走査エリプソメーター(an automated scanning ellips
ometer) 」〔サーフィス サイエンス(Surface Scienc
e )56,212−220(1976年)」には、可動
部がないエリプソメーター装置が記載されている。光は
被験物体の表面に斜角で入射する。反射光線の空間的に
全く異なる部分のサンプルを取るため2つのビームスプ
リッターが備えられる。ビームスプリッターの一方は入
射平面に対し垂直および平行な偏光を分離し、他方は入
射平面に対し45°の角度に置かれる。様々な光線が光
検出器によって測定され、3つの数学的式からなる体系
に基づくデータ処理によって被験物体の表面の特徴を示
す、エリプソメーターによる適切なパラメーターが得ら
れる。開示された装置は高速度で働くが、光学的浮上高
試験のようなわずかな隔たりを測定するのには向いてい
ない。重要な問題は、光線の空間的なサンプリングであ
り、これはエラーの原因となり、追加レンズや同様の集
束部材を用いたとしても集束した光線には使用できな
い。さらにこの論文には片方が実質的に透明な2つの部
材の隙間の距離を高速度および高精度で測る方法につい
ての教示はない。最後に、透明ディスクに近接している
スライダーABSのように、ごくわずかな隔たりによっ
てもう一方から離れている表面の合成屈折率を測定する
方法については教示がない。したがって、スミスが記載
した装置は隔たりと合成屈折率を独立して測定する問題
を解決していない。
【0021】高速エリプソメーターには信号を生成する
ヘテロダイン干渉計を用いるものがある。エイチ.エ
フ.ヘイゼブルークとエイ.エイ.ホルシャーによる論
文「干渉計エリプソメトリー(interferometric ellips
ometry) 」〔J.Phys.E:Sci.Instru
m.6,822−6(1973年)〕には、ミシェルソ
ン(Michelson )干渉計と走査逆反射体に基づいた特殊
ダブルパスエリプソメーターが記載されている。試験表
面が平面反射鏡と共に干渉計の一方のアームに置かれ、
逆反射体は他方のアームに置かれる。走査逆反射体は干
渉計中の2つの直行する偏光についてうなり周波信号を
生成する。これらの信号は光電的に測定され、その相対
位相と振幅によって適切なエリプソメーター定数が得ら
れる。幾分異なる構造の干渉計エリプソメトリーがシ
ー.リン、シー.チューおよびケイ.チャンによる論文
「光学的ヘテロダインと位相ロックイン技術による実時
間干渉計エリプソメトリー(Real time interferometri
c ellipsometry with opticalheterodyne and phase lo
ck-in techniques )」に記載されている。この論文は
うなり周波信号を生成するために2つの音響光学変調器
とマッハツェンダージオメトリーを伴う光学的ヘテロダ
イン技術を開示している。しかし、これらのヘテロダイ
ンエリプソメーターのいずれも、一方が実質的に透明な
部材である2つの部材の隙間の距離を高速度、高精度で
測定するようには設計されていない。また、透明ディス
クに近接しているスライダーABSのようなごくわずか
な隔たりによってもう一方の表面から離れている表面の
合成屈折率を測定する方法について、これらの論文には
教示がない。したがって、ヘイゼブルークとホルシャー
記載の装置、リン記載の装置のいずれも隔たりと合成屈
折率の独立測定という問題を解決しない。
【0022】さらに別のタイプのゼーマンレザーを利用
する干渉計エリプソメーターがある。エル.シンガー、
エイ.ブランフェルド、ジェイ.シャーミアによる論文
「安定化ゼーマンレーザーを用いたエリプソメトリー
(ellipsometry with a stabilized Zeeman lase)」に
開示されたこのタイプは、分析器の手動回転を伴ってい
るので厳密には高速度装置とはいえない。ジー.グレゴ
ンへの米国特許第4,762,414号に開示のタイプ
はヘテロダイン信号を生成するが1回に1つの偏光を測
れるだけで、干渉計の基準支柱を機械的温度的影響から
保護する必要性というまた別の問題を抱える。これらの
装置は従って光学的浮上高試験で必要とされるような2
つの部材の隙間の距離の高速、高精度測定には適さな
い。
【0023】ディー.ピー.ピリプコとアイ.ピー.プ
ガックによる論文「干渉エリプソメーター(interferom
etric ellipsometer)」〔インストルメンツ アンド
イクスペリメンタル テクニックス 26(4) 95
1〜952(1984年)〕に、被験物体の表面に多数
パスを行う特に珍しい型の干渉計エリプソメーターの記
載がある。開示された装置は走査ファブリペロー干渉計
に基づいている。この珍しい多数パスジオメトリーはエ
リプソメーターによるデータを抽出するための信号処理
の段階を幾つか簡素化する。しかし、この装置と方法は
光学的浮上高試験で必要とされるような2つの部材の隙
間の測定には特には適さない。
【0024】エリプソメーターには特定の用途または特
殊な表面にしか適さない型がある。例えば、米国特許第
5,170,049号には基板上のクロム層の酸化クロ
ム被覆の厚さを測るためだけの特殊エリプソメーターの
開示がある。ジェイ.シー.チャスタン、ダブリュー.
ダブリュー.ヒルデンブランドおよびエム.レバノニへ
の欧州特許第EP0075684A1に別の特殊干渉計
エリプソメーターの例が開示されている。このシステム
は2つの直交する偏光の強さのみを測定するもので、そ
れ故わずかな測定エラーに非常に影響されやすく、入社
角が45°の場合全く機能しない。明らかにこれらの従
来技術のいずれからも光学的浮上高試験でのわずかな隔
たりという問題を解決する示唆はないし、また浮上高と
スライダーABSの合成屈折率との独立測定を避ける方
法も示唆しない。
【0025】したがって、従来技術は合成屈折率の独立
測定に頼らない浮上高測定の方法も手段も提供しないと
結論できるであろう。それ故、OFHTや同様の隔たり
測定装置における主な問題点は、合成屈折率の測定が隔
たり測定から独立した仕事であり、エリプソメーターま
たは同様の装置を必要とすることである。この必要性に
よって、わずかな隔たりの測定はかなり複雑かつ経費の
かかるものとなり、その一方で試験結果の信頼性のレベ
ルは落ちることになる。
【0026】したがって、光学的浮上高試験で必要とさ
れるような2つの部材の隙間の距離の高速、高精度測定
ための装置と方法の必要性はまだ満たされていない。従
来技術で起こった問題には、極端に狭い隔たりすなわち
近接近の測定ができないこと、多数の波長を用いる必要
があること、それに伴って光源や検出器部品が複雑にな
ること、いくつかの方法で空気の流れや機械的な歪みの
影響を受けやすいこと、エリプソメーターを用いて合成
屈折率を独立して測定する必要があること、等が含まれ
る。これらの欠点はこの発明によって克服される。
【0027】この発明は、このような事情を考慮してな
されたもので、2つの部材の隙間の距離を高速度および
高精度で測定する方法および装置を提供するものであ
る。
【0028】
【課題を解決するための手段】この発明は、実質的に透
明な部材の表面からそれに極めて近接した被験物体の表
面までの距離を測定する光学的隙間測定方法であって、
関連する直交基準ベクトルsを有する偏光基準ベクトル
pを形成する入射平面を有し、前記透明な部材の表面に
入射しかつs型およびp型の偏向が双方に存在するよう
な偏向を有する偏光ビームを前記透明な部材の表面に斜
めの角度で向ける工程と、前記透明な部材を通過させて
前記偏光ビームを反射させ、互いの相対的な位相とそれ
に関連する振幅とを有するベクトルsとベクトルpの偏
光成分からなる反射ビームを得る工程と、前記反射ビー
ム中における反射されたベクトルsとベクトルpの偏光
成分を互いに干渉させて前記相対的な位相とそれに関連
する振幅の情報を得る工程と、前記相対的な位相とそれ
に関連する振幅の情報に基づいて前記透明な部材の表面
から前記被験物体の表面までの距離を決定する工程とか
らなる光学的隙間測定方法である。
【0029】この発明において、2つの部材の表面の
内、第1表面と呼ぶ一方の表面は実質的に透明な部材の
表面であり、もう一方の表面は被験物体の表面である。
この2つの部材の表面は空気のような透明な媒体によっ
て分離されており、その間の隔たりは使用する光の波長
より短いのが典型である。被験物体の表面は透明な部材
の表面に極めて近接、例えば透明な部材の表面に接触す
るかまたはほぼ接することができる。また、被験物体の
表面は透明な部材の第1表面に対し静止していてもよい
し動いていてもよい。
【0030】この発明においては、透明な部材の第1表
面に斜めの角度で偏光光ビームが向けられる。光ビーム
の入射平面は偏光基準ベクトルpを規定し、このベクト
ルに直交基準ベクトルsが関連する。入射光ビームの偏
光はs型及びp型の両方の偏光が存在するものである。
【0031】光ビームは、透明な部材の第一表面からの
反射と被験物体の表面からの反射との組み合わせ効果に
よって透明な部材を通して反射される。次に反射光ビー
ムの2つの偏光であるsとpを、光検出器またはその幾
つかの組み合わせの上で互いに干渉させ、2つの反射偏
光成分の相対的な位相並びにその振幅についての情報を
得る。本発明の方法において、この情報は反射光線を2
つ以上の等しい光線に分け、各光線が偏光光学部材を通
って光検出器に達することによって得られる。次に、電
子工学処理手段が光検出器からの信号を用いてこの2つ
の偏光の振幅と相対的な位相を計算する。次いでコンピ
ューターが干渉計分析によって得られた情報を用いて2
つの部材の表面間の隔たりの大きさを計算する。
【0032】本発明は、また、被験物体の表面の合成屈
折率を測定する方法および装置を提供する。この方法は
透明な部材の第一表面と被験物体の表面との隔たりを光
源の波長にほぼ等しいか又はそれ以上の範囲にわたって
変化させることにより行う。この変化は被験物体の表面
の位置を調整する機械的手段または2表面間の隔たりの
大きさを規定するその他の物理的パラメーターの変更に
よって実行することができる。隔たりの大きさが変更さ
れている間に、干渉計データが高速で取得される。コン
ピューターは、振幅および位相情報についての最大値、
最小値のようなデータを記憶し、このデータを用いて被
験物体の表面の有効な合成屈折率を計算する。
【0033】本発明は、また、被験物体の表面の境界
(boundary)に対する測定ビームの被験物体の表面上で
の位置を測定する方法および装置を提供して、意味のあ
る繰り返し可能なギャップの測定を提供する。この装置
は、白熱球や光照射ダイオード等の光源と、光学システ
ムと、電子カメラと、その電子カメラの信号から画像を
形成する手段から構成される。光ビームは透明な部材を
通過して斜めの角度で向けられる。あるいは明視野顕微
鏡の分野における技術者にとっては公知の方法で、光ビ
ームを光学顕微鏡を通して透明な部材に実質的に垂直入
射で向けてもよい。光学顕微鏡を用いた場合、透明な部
材の表面と被験物体の表面との双方から反射してカメラ
上に像が形成されている光ビームを用いて、被験物体の
表面から反射した光の像をカメラ上に形成する。同時
に、被験物体の表面の境界(boundary)に対する測定点
の位置が可視的あるいは電子工学的に決定できるよう
に、前述の測定ビームの一部の画像もカメラ上に形成す
る。光学顕微鏡を用いた場合、斜角で入射する測定ビー
ムの位置は被験物体の表面によって散乱して顕微鏡にま
で達し、カメラ上に像を結ぶ。このようにして、この装
置は、被験物体の表面の境界(boundary)に対する測定
点の位置を示す。コンピューター処理を含む本発明の上
記およびその他の特徴、好ましい実施例の詳細、実行方
法は、下記の実施例を添付図面と共に読めばより明らか
になる。
【0034】また、この発明は、被験物体が透明な部材
からなる場合には、実質的に不透明な部材の表面からそ
れに極めて近接した実質的に透明な被験物体の表面まで
の距離を測定する光学的隙間測定方法であって、関連す
る直行基準ベクトルsを有する偏光基準ベクトルpを形
成する入射平面を有し、前記透明な被験物体の表面に入
射しかつs型およびp型の偏向が双方に存在するような
偏向を有する偏光ビームを前記透明な被験物体の表面に
斜めの角度で向ける工程と、前記透明な被験物体を通過
させて前記偏光ビームを反射させ、互いの相対的な位相
とそれに関連する振幅とを有するベクトルsとベクトル
pの偏光成分からなる反射ビームを得る工程と、前記反
射ビーム中における反射されたベクトルsとベクトルp
の偏光成分を互いに干渉させて前記相対的な位相とそれ
に関連する振幅の情報を得る工程と、前記相対的な位相
とそれに関連する振幅の情報に基づいて前記不透明な部
材の表面から前記透明な被験物体の表面までの距離を決
定する工程とからなる光学的隙間測定方法である。
【0035】さらに、この発明は、実質的に透明な部材
の表面からそれに極めて近接した被験物体の表面までの
距離を測定する光学的隙間測定装置であって、直行基準
ベクトルsに関連する偏光基準ベクトルpを形成する入
射平面を有する偏光された入射光ビームであり、前記s
型とp型との双方の偏向が存在し、前記透明な部材を通
過して反射されて、sとpの反射偏向成分からなる前記
透明な部材の表面と前記被験物体の表面との合成反射率
を有する反射ビームとなって、その合成反射率が偏向状
態に応じて変化し、前記sとpの偏向成分の相対的な位
相と各偏向成分の光量の変化が前記透明な部材の表面と
前記被験物体の表面間の距離の関数となるような偏光さ
れた入射光ビームを斜めの角度で前記透明な部材の表面
に向けて与える手段と、前記反射ビームの偏向成分を混
合してその偏向成分の相対的な強度と前記sとpの偏向
成分間の位相差との干渉効果特性を得ることで、前記s
とpの偏向成分の相対的な位相と各偏向成分の光量の変
化との情報を得る手段と、前記sとpの偏向成分の相対
的な位相と各偏向成分の光量の変化との情報に基づいて
前記透明な部材の表面と前記被験物体の表面間の距離を
決定し、それによって前記透明な部材の表面から前記被
験物体の表面までの距離を高速かつ正確に測定すること
を特徴とする光学的隙間測定装置である。
【0036】また、この発明は、被験物体が透明な部材
からなる場合には、実質的に不透明な部材の表面からそ
れに極めて近接した実質的に透明な被験物体の表面まで
の距離を測定する光学的隙間測定装置であって、直行基
準ベクトルsに関連する偏光基準ベクトルpを形成する
入射平面を有する偏光された入射光ビームであり、前記
s型とp型との双方の偏向が存在し、前記透明な被験物
体を通過して反射されて、sとpの反射偏向成分からな
る前記不透明な部材の表面と前記透明な被験物体の表面
との合成反射率を有する反射ビームとなって、その合成
反射率が偏向状態に応じて変化し、前記sとpの偏向成
分の相対的な位相と各偏向成分の光量の変化が前記不透
明な部材の表面と前記透明な被験物体の表面間の距離の
関数となるような偏光された入射光ビームを斜めの角度
で前記透明な被験物体の表面に向けて与える手段と、前
記反射ビームの偏向成分を混合してその偏向成分の相対
的な強度と前記sとpの偏向成分間の位相差との干渉効
果特性を得ることで、前記sとpの偏向成分の相対的な
位相と各偏向成分の光量の変化との情報を得る手段と、
前記sとpの偏向成分の相対的な位相と各偏向成分の光
量の変化との情報に基づいて前記不透明な部材の表面と
前記透明な被験物体の表面間の距離を決定し、それによ
って前記不透明な部材の表面から前記透明な被験物体の
表面までの距離を高速かつ正確に測定することを特徴と
する光学的隙間測定装置である。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、図面に示す実施例に基づい
てこの発明を詳述する。なお、これによってこの発明が
限定されるものではない。
【0038】図1は回転する透明なディスク20からそ
のディスク20にほぼ接している被験物体(以下単に
「物体」という)30までの距離を測定する干渉計機構
を用いたこの発明の実施に用いる装置の好ましい実施例
である。この実施例の装置は、回転する磁気記憶媒体の
ようなディスク20の表面におけるスライダーのような
被験物体30の空力フライト特性を決定するのに適して
いる。この装置は、回転する透明なディスク20の表面
25と被験物体30の表面35との表面間(隙間)の距
離を測定するようになっている。ディスク20は、図に
示すように、モータ22で駆動される軸21に取り付け
られていることが望ましく、隙間の距離がディスク20
の回転速度の関数として求められてもよい。被験物体3
0と軸21との位置関係については、ディスク20の上
面と被験物体30の位置とを示した図2によってさらに
詳細に示されている。図2においては、被験物体30
が、例えばスライダー11によって支持された磁気ヘッ
ド10から構成されている場合を示している。
【0039】図1に示すように、測定用照明としては光
源1を用いる。光源1には、発光ダイオード、気体レー
ザー、放電ランプ、その他の光源を用いてもよい。レン
ズ3は、偏光部材4の方向に光ビーム2を向ける。偏光
部材4には、ダイクロイック直線偏光子などを用いても
よい。偏光された光ビーム5は、ディスク20の第1面
(裏面)に斜めから入射することが好ましい。光ビーム
の入射面は、直行基準ベクトルsとそれに関連する偏光
基準ベクトルpを規定することが好ましい。光ビーム5
は、s型偏光ベクトルとp型偏光ベクトルがいずれも存
在するように偏光することが好ましい。
【0040】図1に示すように、光ビーム5は、ディス
ク20を介して光ビーム6として反射することが好まし
い。反射した光ビーム6は、ディスク20の表面25か
らの反射と物体30の表面35からの反射が組み合わさ
れて生じるものである。この2つの面25と面35から
の反射は、光ビーム5の偏光によって左右され、2つの
偏光sと偏光pの相対的な位相とそれぞれの偏光の光量
とが変化する。位相と光量のこうした変化は、部分的に
は、面25と面35との隔たりの関数となっている。こ
の発明の装置は、それぞれの偏光の光量を測定する偏光
感知強度メータ(以下単に「強度メータ」という)12
と、偏光sと偏光pとの位相差を求める位相検出器13
をさらに備えることが好ましい。この発明の好ましい実
施例では、レンズ7と、着脱可能な偏光部材14と、ビ
ームスプリッター8をさらに備えることが好ましい。こ
の偏光部材14は、図3に詳細に示すように、強度メー
タ12と位相検出器13の正確な操作を調整し確認する
ものであり、これには偏光子や波長板を用いてもよい。
【0041】図3に好ましい例として示すように、ビー
ムスプリッター101は、反射光ビーム6を、光ビーム
102と光ビーム103に分けるものである。強度メー
タ12は、ウォラストンプリズムや偏光ビームスプリッ
ターのような偏光部材110を備えることが好ましい。
この偏光部材110は、光ビーム102の偏光sと偏光
pを分離させて、光検出器111と光検出器112に照
射する。これらの光検出器により測定された光強度は、
コンピュータ99(図1参照)に電子的に伝達されるこ
とが好ましい。
【0042】図3に示すように、位相検出器13では、
光ビーム103は、さらに光ビーム104と光ビーム1
05とに分けられることが好ましい。ウォラストンプリ
ズムのような偏光部材120は、光ビーム104の2つ
の偏光sと偏光pを合わせて2つの光ビーム106と光
ビーム107を形成する。これらの光ビームは、互いに
直交するように偏光されている。こうして偏光部材12
0が2つの偏光を合せることによって、これらの偏光の
相対強度の干渉効果や偏光間における相対位相が生じる
とともに、偏光部材120が正確に配向するなどの結果
がもたらされることが好ましい。光ビーム106と光ビ
ーム107の強度は、2つの光検出器122と光検出器
121によってそれぞれ測定されて、その電気信号がコ
ンピュータ99(図1参照)に渡されることが好まし
い。
【0043】光ビーム105は、例えば4分の1波長板
であってもよい波長板123を通過することが好まし
い。波長板123は、2つの偏光sと偏光pの相対位相
をシフトする効果を有することが好ましい。ウォラスト
ンプリズムのような第3の偏光部材130は、光ビーム
105の2つの偏光sと偏光pを合わせて2つの光ビー
ム108と光ビーム109を形成する。これらの光ビー
ムは、互いに直交するように偏光されている。こうして
偏光部材130が2つの偏光を合せることによって、こ
れらの偏光の相対強度の干渉効果が生じることが好まし
い。光ビーム108と光ビーム109の強度は、2つの
光検出器132と光検出器131によってそれぞれ測定
されて、その電気信号がコンピュータ99(図1参照)
に渡されることが好ましい。
【0044】光検出器111,112,121,12
2,131,132には、それぞれ、個別検出器、直線
配列検出器または2次元配列検出器を用いてもよいこと
が、この分野の技術者であれば理解できるであろう。こ
の発明の範囲内で他の検出手段を用いてもよいことも、
この分野の技術者であれば理解できるであろう。例え
ば、この実施例では、偏光部材と多重検出器を備えた形
態の位相検出器を特に用いているが、他の形態の位相検
出器を用いてもよい。この方法に適した別の位相評価法
としては、ピ−. ハリハラン著の「干渉計の基礎(Basi
cs of Interferometry)」アカデミック プレス(Acad
emic Press)、ボストン、1992年の70、71、7
3および189頁に記載のヘテロダイン干渉計が挙げら
れる。
【0045】図4はこの発明の他の実施例を示すもので
ある。この実施例では、通常の入射システムにおいて被
試験面上で被験物体を観察し、測定点の位置を求めるた
めの顕微鏡200を設けているが、図8に示すこの発明
のもう1つの他の実施例では、図4の垂直入射システム
と反対のインライン光学システムにおいて被試験面上に
測定光ビームが照射される。図4において、光源201
からの光202は、顕微鏡200のビームスプリッター
203を介してレンズ204に照射されて、被験物体か
ら反射され、閉回路のテレビカメラ210の感光面に当
たることが好ましい。カメラ210からの電子画像は、
ビデオモニター220で観察するか、コンピュータ99
(図1参照)に渡しさらに処理してもよい。
【0046】図8はこの発明のもう1つの他の実施例を
示すものである。この実施例では、オンライン光学シス
テムにおいて被試験面上で被験物体を観察し、測定点の
位置を求めるための観察システムを設けている。図8で
は、そこに好ましい例として示したように、図4と同じ
構成要素には、「a」を後に付した以外は図4と同じ参
照番号を付している。この実施例では、拡散光源201
aには、白熱電球、発光ダイオードなどを用いてもよ
く、この拡散光源201aの光をビームスプリッター2
03aによって光源の光ビーム2aに合わせる。光源2
01aからの光は被験物体30aの表面35aを照射し
た後、ディスク20aを通過して反射される。光源20
1aから放出された光の一部は、ビームスプリッター2
04aに反射してカメラ210aに導かれる。同時に、
ビームスプリッター204aは、光源1aから放出され
た光ビームの一部も反射する。電子信号がカメラ210
aから渡されてビデオモニター220aに画像230a
として表示される。光源1aからの光ビームは面35a
に結像され、画像230aにおいて、面35a上の測定
位置に対応する明点が形成される。すなわち、拡散光源
201aからの光によって面35aの相当の面積が照明
されることにより、面35aの相当の部分が明瞭な画像
となる。この分野の技術者であれば、画像処理手段を設
け、面35a上の物理的特徴に基づいて点240aの位
置を自動的に求めることは理解できるであろう。
【0047】さらに、この分野の技術者であれば、他の
手段や方法を用いることによって、被試験面上で被験物
体を観察し、測定点の位置を求めることも可能なことが
理解できるであろう。なお、照明と電子撮像には、図4
に示すような顕微鏡などの、垂直入射角または斜角で動
作するほぼ独立した光学システムを用いてもよい。こう
した独立光学手段では、測定点を求めるととも、被験物
体30aのローディングを容易にする独立処理手段を設
けてもよい。さらに、この独立処理手段に、面35aと
面25aとの間の隔たりを分析する補足分析機能を持た
せ、隔たりについての測定を確認するか、その範囲を増
大するかできるようにしてもよい。独立光学手段は、前
述したような、干渉色を生じる先行技術の光源を用いた
顕微鏡で構成してもよい。
【0048】この発明の装置の好ましい実施例について
の記載は以上のとおりであり、以下に、この発明の好ま
しい測定方法について説明する。図1では、偏光光ビー
ム5は、ディスク20を通過して入射角φ≠0の角度で
被験物体30を照明することが好ましい。好ましくは、
光ビーム5は、2つの直交する偏光要素pと偏光要素s
(ただし、pは入射面と平行な要素を表す)に分けても
よい。このため、光ビーム5の電界ベクトルは次式で表
すことができる。
【数1】 式中、バーsおよびバーpは、2つの偏光の単位ベクト
ルである。
【0049】反射光ビーム6は次式で表すことができ
る。
【数2】 式中、zs ,zp はスライダー−グラス境界面の有効反
射率である。
【0050】電界要素as ″,ap ″は、スライダー−
グラスの上面を介したダブルパス伝導(double-pass tr
ansmission)の効果、および極性依存性である他のいず
れかの光学要素の効果を含む。有効反射率zp ,zs
次式で与えられる。
【数3】
【数4】 上記式中の位相項βは次式で与えられる。
【数5】
【0051】反射率rs ,rp はディスク20の表面2
5の反射率であり、反射率rs ′,rp ′は被験物体3
0の表面35の反射率を表す。位相βは、波数k=1/
λ、入射角φ、および表面25と表面35との距離hに
関連する。
【0052】図3では、反射光ビーム6は光強度メータ
12によって分析される。光検出器111および光検出
器112は次式で表すことが可能な光強度を測定する。
【数6】
【0053】上記式中において、
【数7】
【数8】
【0054】図5と図6のグラフは測定強度の変化をデ
ィスク20の表面25から被験物体30の表面35まで
の距離(高さ)の関数として示すものである。位相検出
器13によって、2つの偏光sと偏光pとの位相差を求
めることが好ましい。この位相差は次式で表すことがで
きる。
【数9】 上記式中において、
【数10】
【0055】図7のグラフは相対位相の変化をディスク
20の表面25から被験物体30の表面35までの距離
(高さ)の関数として示すものである。位相検出器13
は、図3に示した検出器121,122,131,13
2で測定した強度の数学解析によって機能することが好
ましい。この発明の好ましい位相測定法では、正確にπ
/2ラジアンだけ位相分離した4つの干渉信号の配列に
4つの強度が対応するように、偏光部材120、偏光部
材130、波長板123が好ましくは選択、配置される
必要がある。すなわち、偏光sと偏光pとの位相差を次
式で表すことができる。
【数11】
【0056】この式は、当該技術では、位相評価用の
「4段階アルゴリズム」(例えば、ダニエル マラカラ
著「光学工場試験法(Optical Shop Testing)」、第2
版、ワイリ(Wiley )、ニューヨーク、1992年の5
11頁参照)と称することも度々ある。この「光学工場
試験法」では、位相評価に用いる他の周知のアルゴリズ
ムについても取り挙げて詳細に記載している。
【0057】強度Is,p(β)と位相θ(β)(式
(9.)参照)を組合わせると、次式によって定義され
る範囲において、表面25と表面35との距離hを明確
に求めることのできる十分なデータが得られることが好
ましい。
【数12】
【0058】すなわち、コンピュータ99は、0≦β<
2πの範囲において、Is ,Ip およびθの測定値を理
論上の予測値(式(6.)および式(9.)参照)を比
較することが好ましい。理論と実験が最も整合するβ値
を用いて、距離h(式(5.)参照)を求めることが望
ましい。理論と実験をできるだけ整合させるための種々
の方法が当該技術において知られている。現在のとこ
ろ、この好ましい方法は、ダブリュー. プレス、エス.
ツーコルスキー、ダブリュー. ベターリング、ビー. フ
ラネリー著「Cにおける数値法(Numerical recipes in
C)」1992年ケンブリッジ大学出版、第2版の65
9頁〜661頁に記載のリースト−スクウェアズーフィ
ティング(least-squares fitting )である。この発明
の非常に有用な点は、接触に近い距離hを、誘電材料を
含む全ての材料について正確に測定することが可能であ
る点である。通常の入射角での多波長強度測定に基づく
先行技術では、特に誘電材料を用いて接触に近い距離を
測定した場合、正確さを非常に欠いてしまう。
【0059】この分野の技術者であれば、測定、分析の
際の主要パラメーターとして、強度Is,p(β)と位相
θ(β)に関連した他の測定パラメーターも用いられる
ことは理解できるであろう。例えば、位相検出器13の
干渉現象のコントラストは、強度Is,p(β)の積の平
方根の2倍に等しい。また、光検出器121,122,
131,132(図3参照)によって測定される強度の
平均は、2つの強度I s,p(β)の和に等しい。したが
って、この発明の他の実施例では、図1および図3に示
した強度メーター12は不要になり、位相検出器13に
よって得られたデータに全面的に基づくことが好まし
い。この他の実施例に用いられる主要な測定パラメータ
ーは、相対位相、平均強度、および、フリンジコントラ
ストである。
【0060】この分野の技術者であれば、ここに述べた
データ分析において、一連の光学要素、例えばレンズや
ビームスプリッターなどから構成されたこの装置自体
が、図1に示した光ビーム5および光ビーム6の偏光状
態を著しくは変更しないことを仮定していることが理解
できるであろう。仮に、実際、こうした光学要素が測定
光ビームの偏光状態を変更する場合には、光学要素が及
ぼす測定パラメーターへの影響は、必ず、最小限に抑え
るか、データ処理の過程で考慮しなければならない。例
えば、図1のレンズ7が応力複屈折の影響を完全には免
れていないとすると、それによって光ビーム6の偏光状
態が修正され、測定パラメーターIs,p(β)およびθ
(β)が影響されることになる。したがって、応力複屈
折を最小限に抑えることができるように、レンズ7を選
択、配置する必要がある。
【0061】この発明を実施する際にさらに配慮すべき
点としては、図1に示したディスク20の応力複屈折の
影響が挙げられる。ディスク20は、製造時の残留応
力、このディスク20を軸21にクランプ止めする際の
応力、または高速度回転による求心力によって複屈折を
有することがある。これらの原因より生じる影響は、最
小限にするか、データ処理時に考慮されなくてはならな
い。
【0062】この発明の好ましい実施例では、また、表
面35の合成屈折率を求めるための方法と手段が提供さ
れる。この方法では、少なくとも2ラジアンの量βの変
更に対応する範囲において、表面25と表面35の2つ
の表面間(隙間)の距離を変更することが含まれること
が好ましい。図1では、機械アーム31を用いて被験物
体30をディスク20に対して保持している。機械アー
ム31は、商業的浮上高試験システムに用いられるよう
なローディング機構32によって作動されることが好ま
しい。通常の使用では、ローディング機構32は、被験
物体30を、光源の1波長以上の距離から表面25に実
質的に垂直な方向に沿って徐々に移動させ、ディスク2
0にほぼ接触させる。この工程は、当該技術では通常、
「ローディング」と称されている。この発明の好ましい
方法は、被験物体30をディスク20にローディングす
る工程中に、以下の量、すなわち偏光pの強度、偏光s
の強度、これら2つの偏光の位相差θの最大値、最小値
を検出し、かつ記録することからなることが好ましい。
こうして得られた最大値、最小値は、符号Is,p ma x
s,p min,θmax ,θmin で表すことができる。これ
らの値を、図1のコンピュータ99で処理し、数学的手
順に基づいて合成屈折率を求めることが好ましい。その
数学的手順を以下に詳述する。
【0063】まず、次式のように2つの量us,pを定義
する。
【数13】
【0064】さらに、次式のように他の2つの量γs,p
を定義する。
【数14】 この式中、Rs,pは、表面25の既知の反射率である。
【0065】次に、表面35の反射率を次式から計算す
る。
【数15】
【0066】次いで、偏光sとpの位相差αΔを次式か
ら計算する。
【数16】
【0067】次に、次式によりそれに応じた量を定義す
る。
【数17】
【0068】そして、次式から合成反射率n′を計算す
る。
【数18】
【0069】以上の数学的手順は表面35の合成屈折率
n′を計算するためのものであり、図1の光ビーム5の
入射角φが、ディスク20のブルースター角に近似では
あるが等しくはないとみなしている。ディスクの屈折率
g の適切な角度としては、例えば、50゜にほぼ等し
いφであることが好ましい。
【0070】この分野の技術者であれば、ローディング
中に得られたデータを用いて合成屈折率n′を求める別
の処理方法も、この発明の精神から逸脱しない限り可能
であることは理解できるであろう。例えば、別の手順
は、浮上高の範囲に関して理論と実験が可能な限り整合
するまで、合成屈折率n′の値を増分調節することに基
づいていることが好ましい。さらに、他の実施例では、
浮上高の範囲に関して理論と実験が可能な限り整合する
まで、式(17.)の比√Rp ′/√Rs ′を調節する
ことが含まれることが好ましい。これら2つの他の実施
例では、合成屈折率n′の値のなんらかの初期評価が必
要とされる。初期評価は、上に概要を示した手順にした
がって、材料の公知の物性や最大値、最小値
s,p max,Is,p min,θmax ,θmin から得られる。
【0071】好ましくは、合成屈折率を一旦求めた後、
表面35の合成反射率rs,p′を以下に示すフレネルの
式から求める。
【数19】
【数20】 この式中、φは入射角であり、バーφは、以下に示すス
ネルの屈折法則から計算可能な(合成)屈折角である。
【数21】 合成反射率rs,p′は既知であるので、反射の位相変化
によって表面間距離の測定が誤ることはない。
【0072】この分野の技術者であれば、この発明の精
神から逸脱しない限り、この発明の実施例の態様におい
て、いくつかの変形例が可能であることは理解できるで
あろう。例えば、この発明の浮上高試験の例では、磁気
媒体で被覆された実際のディスク上を浮上する実質的に
透明なスライダーを用いることができる。他の態様とし
ては、透明部材を複数の表面で構成し、被験物体の非連
続的特徴を測定するようにしてもよい。さらに他の態様
としては、透明部材を、静止しているか透明部材に極め
て近接して移動している被験物体表面の外形を規定する
ための基準とするようにしてもよい。
【0073】以上述べられたこの発明の利点としては、
単波長光源を用いて広い範囲にわたって高感度で2つの
部材の隙間の距離を測定できること、実際の接触に近い
面と面との間の非常に小さい隔たりを測定できること、
被験物体の合成屈折率を測定しかつ補足できること、お
よび気流や小さな力学的歪みを無視できること等が挙げ
られる。
【0074】
【発明の効果】この発明によれば、反射された偏光ビー
ム中の2つの偏光成分を干渉させ、相対的な位相と振幅
の情報を得、それに基づいて透明な部材の表面から被験
物体の表面までの距離を決定するようにしたので、一方
が透明な2つの部材の表面間の距離を高速度および高精
度で測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の光学的隙間測定装置の好ましい一実
施例を示す説明図である。
【図2】実施例における透明ディスクの上面と被験物体
の位置との関係を示した説明図である。
【図3】実施例における光強度および位相検出装置の詳
細を示す説明図である。
【図4】この発明の光学的隙間測定装置の他の実施例を
示す説明図である。
【図5】光強度の変化をディスクの表面から被験物体の
表面までの距離の関数として示すグラフである。
【図6】光強度の変化をディスクの表面から被験物体の
表面までの距離の関数として示すグラフである。
【図7】干渉計測定した位相の変化をディスクの表面か
ら被験物体の表面までの距離の関数として示すグラフで
ある。
【図8】この発明の光学的隙間測定装置のもう1つの他
の実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
1,1a 光源 2 光ビーム 3,7 レンズ 4,14,110,120,130 偏光部材 5 偏光光ビーム 6 反射光ビーム 8,101 ビームスプリッター 10 磁気ヘッド 11 スライダー 12 強度メータ 13 位相検出器 20,20a ディスク 21 軸 22 モータ 25,25a ディスクの表面 30,30a 被験物体 31 機械アーム 32 ローディング機構 35,35a 被験物体の表面 99 コンピュータ 102,103,104,105,106,107,1
08,109 光ビーム 111,112,121,122,131,132 光
検出器 123 波長板 200 顕微鏡 201,201a 拡散光源 202 光ビーム 203,203a ビームスプリッター 204 レンズ 204a ビームスプリッター 210,210a テレビカメラ 220,220a ビデオモニター 230a 画像 240a 点

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に透明な部材の表面からそれに極
    めて近接した被験物体の表面までの距離を測定する光学
    的隙間測定方法であって、 関連する直交基準ベクトルsを有する偏光基準ベクトル
    pを形成する入射平面を有し、前記透明な部材の表面に
    入射しかつs型およびp型の偏向が双方に存在するよう
    な偏向を有する偏光ビームを前記透明な部材の表面に斜
    めの角度で向ける工程と、 前記透明な部材を通過させて前記偏光ビームを反射さ
    せ、互いの相対的な位相とそれに関連する振幅とを有す
    るベクトルsとベクトルpの偏光成分からなる反射ビー
    ムを得る工程と、 前記反射ビーム中における反射されたベクトルsとベク
    トルpの偏光成分を互いに干渉させて前記相対的な位相
    とそれに関連する振幅の情報を得る工程と、 前記相対的な位相とそれに関連する振幅の情報に基づい
    て前記透明な部材の表面から前記被験物体の表面までの
    距離を決定する工程とからなる光学的隙間測定方法。
  2. 【請求項2】 前記透明な部材の表面と前記被験物体の
    表面とが、実質的に透明な媒体によって分離されている
    請求項1記載の光学的隙間測定方法。
  3. 【請求項3】 前記透明な部材の表面から前記被験物体
    の表面までの測定距離が、前記光ビームの光の1波長よ
    りも短い請求項1記載の光学的隙間測定方法。
  4. 【請求項4】 前記偏光ビームを反射させる工程が、透
    明な部材の表面からの反射と被験物体の表面からの反射
    との組み合わせ効果によって前記偏光ビームを反射させ
    る工程からなる請求項3記載の光学的隙間測定方法。
  5. 【請求項5】 前記被験物体の表面が、前記透明な部材
    の表面に対して静止している請求項4記載の光学的隙間
    測定方法。
  6. 【請求項6】 前記被験物体の表面が、前記透明な部材
    の表面に対して動いている請求項4記載の光学的隙間測
    定方法。
  7. 【請求項7】 前記偏光ビームを反射させる工程が、透
    明な部材の表面からの反射と被験物体の表面からの反射
    との組み合わせ効果によって前記偏光ビームを反射させ
    る工程からなる請求項1記載の光学的隙間測定方法。
  8. 【請求項8】 前記被験物体の表面が、前記透明な部材
    の表面に対して静止している請求項1記載の光学的隙間
    測定方法。
  9. 【請求項9】 前記被験物体の表面が、前記透明な部材
    の表面に対して動いている請求項1記載の光学的隙間測
    定方法。
  10. 【請求項10】 前記光ビームの光の波長にほぼ等しい
    かあるいは光ビームの光の波長よりも実質的に大きい範
    囲にわたって前記透明な部材の表面と前記被験物体の表
    面間の距離を変化させる工程と、 前記相対的な位相とそれに関連する振幅の情報の最大値
    と最小値を得るために、前記透明な部材の表面と前記被
    験物体の表面間の距離が変化している間に前記相対的な
    位相とそれに関連する振幅の情報を得る工程と、 前記最大値と最小値とに基づいて前記被験物体の表面の
    有効な合成屈折率を決定する工程とをさらに備えてなる
    請求項1記載の光学的隙間測定方法。
  11. 【請求項11】 前記得られた最大値と最小値を記憶
    し、記憶した値から前記有効な合成屈折率を決定する工
    程をさらに備えてなる請求項10記載の光学的隙間測定
    方法。
  12. 【請求項12】 前記被験物体の表面の境界に対して、
    前記被験物体の表面上の入射光ビームの位置をモニター
    する工程をさらに備えてなる請求項1記載の光学的隙間
    測定方法。
  13. 【請求項13】 前記モニターする工程が、 垂直な入射角度で実質的に前記透明な部材の表面に顕微
    鏡を通して向けられた第2の光源を提供する工程と、 その顕微鏡を通して提供された光を前記透明な部材の表
    面と前記被験物体の表面から反射させ、その反射された
    光の像をカメラ手段上に形成して、前記被験物体の表面
    の境界を観察することを可能とする工程と、 前記顕微鏡を通して前記カメラ手段上に前記入射光ビー
    ムの少なくとも一部の像を形成して、前記被験物体の表
    面上の入射光ビームの位置を観察することを可能とする
    工程と、 前記被験物体の表面の境界に対して、前記画像化された
    入射光ビームの位置を観察する工程とからなる請求項1
    2記載の光学的隙間測定方法。
  14. 【請求項14】 前記相対的な位相の差が式 θ(β)=arg[zs(β)]−arg[zp(β)]+ξ 〔式中、zs(β),zp(β)はともに被験物体と透明
    な部材の表面とで得られた有効反射率、ξはξ=arg
    (as″)−arg(ap″)で表される値で、この
    s″,ap″はsおよびpの偏光についての入射光ビー
    ムの電場成分、βはβ=2khcos(φ)で表される
    値で、このkは光源の角波数、hは透明な部材の表面か
    ら被験物体の表面までの距離、φは光源の入射角であ
    る〕で表される請求項1記載の光学的隙間測定方法。
  15. 【請求項15】 実質的に不透明な部材の表面からそれ
    に極めて近接した実質的に透明な被験物体の表面までの
    距離を測定する光学的隙間測定方法であって、 関連する直行基準ベクトルsを有する偏光基準ベクトル
    pを形成する入射平面を有し、前記透明な被験物体の表
    面に入射しかつs型およびp型の偏向が双方に存在する
    ような偏向を有する偏光ビームを前記透明な被験物体の
    表面に斜めの角度で向ける工程と、 前記透明な被験物体を通過させて前記偏光ビームを反射
    させ、互いの相対的な位相とそれに関連する振幅とを有
    するベクトルsとベクトルpの偏光成分からなる反射ビ
    ームを得る工程と、 前記反射ビーム中における反射されたベクトルsとベク
    トルpの偏光成分を互いに干渉させて前記相対的な位相
    とそれに関連する振幅の情報を得る工程と、 前記相対的な位相とそれに関連する振幅の情報に基づい
    て前記不透明な部材の表面から前記透明な被験物体の表
    面までの距離を決定する工程とからなる光学的隙間測定
    方法。
  16. 【請求項16】 前記不透明な部材が、回転する磁気記
    憶媒体からなり、前記透明な被験物体が、前記回転する
    磁気記憶媒体の表面上にあるスライダーからなり、それ
    によって前記磁気記憶媒体の表面上におけるスライダー
    の空気力学的飛行特性を予測する請求項15記載の光学
    的隙間測定方法。
  17. 【請求項17】 前記不透明な部材の表面から前記透明
    な被験物体の表面までの測定距離が、前記光ビームの光
    の1波長よりも短い請求項15記載の光学的隙間測定方
    法。
  18. 【請求項18】 実質的に透明な部材の表面からそれに
    極めて近接した被験物体の表面までの距離を測定する光
    学的隙間測定装置であって、 直行基準ベクトルsに関連する偏光基準ベクトルpを形
    成する入射平面を有する偏光された入射光ビームであ
    り、前記s型とp型との双方の偏向が存在し、前記透明
    な部材を通過して反射されて、sとpの反射偏向成分か
    らなる前記透明な部材の表面と前記被験物体の表面との
    合成反射率を有する反射ビームとなって、その合成反射
    率が偏向状態に応じて変化し、前記sとpの偏向成分の
    相対的な位相と各偏向成分の光量の変化が前記透明な部
    材の表面と前記被験物体の表面間の距離の関数となるよ
    うな偏光された入射光ビームを斜めの角度で前記透明な
    部材の表面に向けて与える手段と、 前記反射ビームの偏向成分を混合してその偏向成分の相
    対的な強度と前記sとpの偏向成分間の位相差との干渉
    効果特性を得ることで、前記sとpの偏向成分の相対的
    な位相と各偏向成分の光量の変化との情報を得る手段
    と、 前記sとpの偏向成分の相対的な位相と各偏向成分の光
    量の変化との情報に基づいて前記透明な部材の表面と前
    記被験物体の表面間の距離を決定し、それによって前記
    透明な部材の表面から前記被験物体の表面までの距離を
    高速かつ正確に測定することを特徴とする光学的隙間測
    定装置。
  19. 【請求項19】 前記反射された光ビームの偏光成分を
    混合して前記位相差と強度の情報を得る手段が、前記偏
    光成分を混合する偏光部材を備えてなる請求項18記載
    の光学的隙間測定装置。
  20. 【請求項20】 前記偏光部材が、珪灰石プリズム(Wo
    llaston prism)状の手段からなる請求項19記載の光
    学的隙間測定装置。
  21. 【請求項21】 前記反射された光ビームの偏光成分を
    混合して前記位相差と強度の情報を得る手段が、前記強
    度を測定する光検出手段をさらに備えてなる請求項19
    記載の光学的隙間測定装置。
  22. 【請求項22】 前記反射された光ビームの偏光成分を
    混合して前記位相差と強度の情報を得る手段が、前記s
    及びpの偏光成分の相対的な位相をシフトさせる位相シ
    フト手段と、位相がシフトされた偏光成分を互いに垂直
    に偏光させた1組の光ビームに混合して2つの偏光の相
    対的な強度の干渉効果特性を得る手段とをさらに備えて
    なる請求項21記載の光学的隙間測定装置。
  23. 【請求項23】 前記反射された光ビームの偏光成分を
    混合して前記位相差と強度の情報を得る手段が、前記混
    合された位相シフト偏光成分の強度を測定する光検出手
    段をさらに備えてなる請求項22記載の光学的隙間測定
    装置。
  24. 【請求項24】 前記反射された光ビームの偏光成分を
    混合して前記位相差と強度の情報を得る手段が、前記反
    射された光ビームの各偏光の光量を測定する偏光感知強
    度計手段と、前記s及びpの偏光間の位相差を決定する
    位相検出手段と、前記反射された光ビームを偏光感知強
    度計手段と位相検出手段に向けた2つの光ビームに分割
    するビームスプリッター手段とからなる請求項18記載
    の光学的隙間測定装置。
  25. 【請求項25】 前記反射された光ビームの偏光成分を
    混合して前記位相差と強度の情報を得る手段が、前記反
    射された光ビームの各偏光の光量を測定する偏光感知強
    度計手段と、前記s及びpの偏光間の位相差を決定する
    位相検出手段と、前記反射された光ビームを偏光感知強
    度計手段と位相検出手段に向けた2つの光ビームに分割
    するビームスプリッター手段とからなり、 前記位相検出手段が、前記偏光部材と、前記光検出手段
    と、前記位相シフト手段とからなる請求項23記載の光
    学的隙間測定装置。
  26. 【請求項26】 前記被験物体の表面に対して配置さ
    れ、被験物体の表面上における測定点の位置を決定する
    顕微鏡手段をさらに備えてなる請求項18記載の光学的
    隙間測定装置。
  27. 【請求項27】 前記偏光された入射光ビームを得る手
    段が、光源と、その光源からの光が通過する偏光部材と
    からなる請求項18記載の光学的隙間測定装置。
  28. 【請求項28】 前記偏光部材が、ダイクロイック直線
    偏光子状の手段からなる請求項27記載の光学的隙間測
    定装置。
  29. 【請求項29】 前記光源が、レーザー手段からなる請
    求項27記載の光学的隙間測定装置。
  30. 【請求項30】 前記光源が、光照射ダイオード手段か
    らなる請求項27記載の光学的隙間測定装置。
  31. 【請求項31】 前記光源が、放電ランプ手段からなる
    請求項27記載の光学的隙間測定装置。
  32. 【請求項32】 実質的に不透明な部材の表面からそれ
    に極めて近接した実質的に透明な被験物体の表面までの
    距離を測定する光学的隙間測定装置であって、 直行基準ベクトルsに関連する偏光基準ベクトルpを形
    成する入射平面を有する偏光された入射光ビームであ
    り、前記s型とp型との双方の偏向が存在し、前記透明
    な被験物体を通過して反射されて、sとpの反射偏向成
    分からなる前記不透明な部材の表面と前記透明な被験物
    体の表面との合成反射率を有する反射ビームとなって、
    その合成反射率が偏向状態に応じて変化し、前記sとp
    の偏向成分の相対的な位相と各偏向成分の光量の変化が
    前記不透明な部材の表面と前記透明な被験物体の表面間
    の距離の関数となるような偏光された入射光ビームを斜
    めの角度で前記透明な被験物体の表面に向けて与える手
    段と、 前記反射ビームの偏向成分を混合してその偏向成分の相
    対的な強度と前記sとpの偏向成分間の位相差との干渉
    効果特性を得ることで、前記sとpの偏向成分の相対的
    な位相と各偏向成分の光量の変化との情報を得る手段
    と、 前記sとpの偏向成分の相対的な位相と各偏向成分の光
    量の変化との情報に基づいて前記不透明な部材の表面と
    前記透明な被験物体の表面間の距離を決定し、それによ
    って前記不透明な部材の表面から前記透明な被験物体の
    表面までの距離を高速かつ正確に測定することを特徴と
    する光学的隙間測定装置。
  33. 【請求項33】 前記不透明な部材が、回転する磁気記
    憶媒体からなり、前記透明な被験物体が、前記回転する
    磁気記憶媒体の表面上にあるスライダーからなる請求項
    32記載の光学的隙間測定装置。
  34. 【請求項34】 前記被験物体の表面を投光照明して、
    前記被験物体の表面の境界に対する測定点の正確な位置
    づけを可能にする工程をさらに備えてなる請求項1記載
    の光学的隙間測定方法。
  35. 【請求項35】 前記光ビームの光の波長にほぼ等しい
    かあるいは光ビームの光の波長よりも実質的に大きい範
    囲にわたって前記透明な部材の表面と前記被験物体の表
    面間の距離を変化させる工程と、 前記透明な部材の表面と前記被験物体の表面間の距離が
    変化している間に前記相対的な位相とそれに関連する振
    幅の情報を得る工程と、 前記相対的な位相とそれに関連する振幅の情報に基づい
    て前記被験物体の表面の有効な合成屈折率を決定する工
    程とをさらに備えてなる請求項1記載の光学的隙間測定
    方法。
  36. 【請求項36】 前記透明な被験物体の表面を投光照明
    して、前記透明な被験物体の表面の境界に対する測定点
    の正確な位置づけを可能にする工程をさらに備えてなる
    請求項15記載の光学的隙間測定方法。
  37. 【請求項37】 前記光ビームの光の波長にほぼ等しい
    かあるいは光ビームの光の波長よりも実質的に大きい範
    囲にわたって前記不透明な部材の表面と前記透明な被験
    物体の表面間の距離を変化させる工程と、 前記不透明な部材の表面と前記透明な被験物体の表面間
    の距離が変化している間に前記相対的な位相とそれに関
    連する振幅の情報を得る工程と、 前記相対的な位相とそれに関連する振幅の情報に基づい
    て前記透明な被験物体の表面の有効な合成屈折率を決定
    する工程とをさらに備えてなる請求項15記載の光学的
    隙間測定方法。
  38. 【請求項38】 前記透明な被験物体の表面を投光照明
    する工程が、インライン光学システムによって透明な被
    験物体の表面を投光照明する工程からなる請求項36記
    載の光学的隙間測定方法。
  39. 【請求項39】 前記被験物体の表面を投光照明する工
    程が、インライン光学システムによって被験物体の表面
    を投光照明する工程からなる請求項34記載の光学的隙
    間測定方法。
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