JPH08268901A - ヘルペスウイルスに起因するウイルス感染症再発予防剤 - Google Patents

ヘルペスウイルスに起因するウイルス感染症再発予防剤

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JPH08268901A
JPH08268901A JP8029926A JP2992696A JPH08268901A JP H08268901 A JPH08268901 A JP H08268901A JP 8029926 A JP8029926 A JP 8029926A JP 2992696 A JP2992696 A JP 2992696A JP H08268901 A JPH08268901 A JP H08268901A
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virus
recurrence
retzus
herpes
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Toyoji Hozumi
豊治 穂積
Haruo Oyama
晴生 大山
Kimiyasu Shiraki
公康 白木
Masahiko Kurokawa
昌彦 黒川
Michio Nakano
道夫 中野
Masaaki Morohashi
正昭 諸橋
Tsuneo Nanba
恒雄 難波
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Showa Shell Sekiyu KK
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Showa Shell Sekiyu KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の核酸誘導体よりなる抗ヘルペスウイル
ス剤の欠点である薬剤耐性株の出現や副作用がなく、長
期投与が可能な新規な生薬系のヘルペスウイルス感染症
再発予防剤の提供。 【解決手段】 ダイコンソウ(Geum japoni
cum Thunb.)抽出物、カシ(Termina
lia chebula Retzus)抽出物、ゴバ
イシ(Rhus javanica L.)抽出物のう
ち少なくとも一種類を有効成分として含有することを特
徴とするヘルペスウイルスに起因するウイルス感染症再
発予防剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヘルペスウイルスに起
因する各種ウイルス感染症の再発予防剤に関するもので
ある。
【0002】
【従来技術】ダイコンソウは、利尿剤や化膿症に、カシ
は収斂剤や鎮静剤に、ゴバイシは、収斂止瀉、鎮咳、止
血、止汗に用いられてきたが、ダイコンソウ、カシ、ゴ
バイシにヘルペス治療剤としての効果があることは本発
明者らがはじめて発見し、これに基づき特開平6−25
003号として出願している。
【0003】一方、抗ウイルス剤として使用されている
薬剤はインターフェロンを除けば全て核酸誘導体であ
る。特にウエルカム社の商品名アシクロビル、すなわ
ち、下記化学式(I)
【化2】 で示される9−(2−ヒドロキシエトキシメチル)グア
ニン〔9−(2−hydroxy−ethoxymet
hyl)guanine〕はヘルペス治療剤として広く
利用されている。
【0004】ヘルペスウイルス科のウイルスに共通した
最も大きな特徴は、潜伏感染と再発(回帰発症)であ
る。しかも、この再発は、おどろくべきことに抗体の存
在下においてさえも起こる。
【0005】単純ヘルペスウイルスは、体表面の初感染
−知覚神経−神経系への潜伏感染−知覚神経−神経支配
領域への病単形成という経路で再発することが知られて
いる。
【0006】人の場合、初感染により口内歯肉炎を起こ
した単純ヘルペス1型は三叉神経を通り、三叉神経節に
達し、ここで潜伏状態になる。何らかの起因により潜伏
状態のウイルスは神経節で増殖し、再び三叉神経を通り
体表面の細胞で増殖し、口唇ヘルペスを生じる。再発の
誘因となるのは人では発熱、長時間の日光(紫外線)、
ストレス、疲労、月経などがあり、頻繁な再発は大きな
問題となっている。
【0007】一方、単純ヘルペス2型ウイルスは、陰門
膣炎をおこす。この単純ヘルペス2型ウイルスは、腰仙
髄よりの知覚神経を上行して腰仙髄後根神経節に潜伏
し、何らかの誘因によりそこで増殖したのち、再び知覚
神経を下行し、回帰発症としての性器ヘルペスを生じ
る。再発の誘因となるのは、人では発熱、紫外線、スト
レス、疲労、月経などである点は、単純ヘルペス1型ウ
イルスと同じである。
【0008】妊娠と併合してこのような性器ヘルペスの
再発が起こった場合、2つの問題が生じる。1つは、ウ
イルスが子宮内の胎児に感染して胎児に奇形を発生させ
たり、流早死産を引き起こす可能性があること。もう1
つは、分娩時に産道内で胎児が感染し、新生児ヘルペス
の感染源となることである。
【0009】胎内感染による奇形児の出産は、症例数が
極めて少ないのでその影響ははっきりしないが、産道感
染による新生児ヘルペスは致命率が非常に高い疾患であ
り、発症してから確実に治療できる方法はないため、感
染予防が重要になる。
【0010】潜伏感染と再発の機構については、中和抗
体の存在下で回帰発症する機構、再発後にウイルスの増
殖はどのように抑制され治癒するのか、回帰発症が誘起
される機構、潜伏中のウイルスの存在状態などの問題が
存在している。これらの問題は未解決のものも多く、妊
娠との合併の問題から頻繁な再発は大きな問題となって
いる。
【0011】このようなヘルペスウイルスの回帰発症予
防のためには、潜伏状態にあるウイルスの増殖を抑制す
る必要がある。そのためには、ウイルスが活性化される
以前からウイルスの増殖を抑制する薬剤を投与する必要
がある。前記9−(2−ヒドロキシエトキシメチル)グ
アニンを単純ヘルペスウイルス2型の再発予防剤として
使用した報告としては、S.E.Strausら(N.
Engl.J.Med.,Vol.310,pp.15
45−1550,1984)、J.M.Douglas
ら(N.Engl.J.Med.,Vol.310,p
p.1551−1556,1984)、L.G.Kap
lowitzら(JAMA,Vol.265,pp.7
47−751,1991)などの例がある。しかし、前
記9−(2−ヒドロキシエトキシメチル)グアニンの投
与期間が長期に渡ると、薬剤耐性株の出現や副作用が現
れるなどの問題が生じ休薬を余儀なくされる。そのた
め、このような問題点のない新たな再発予防剤の開発が
望まれていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の核酸誘導体よりなる抗ヘルペスウイルス剤の欠点であ
る薬剤耐性株の出現や副作用がなく、長期投与が可能な
新規な生薬由来のヘルペスウイルス1型および2型感染
症再発予防剤を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以上の課
題を解決するために、従来より治療薬として使用され、
その使用量等が知られており、それらの副作用等も無い
か、あっても軽微である生薬について鋭意検討し、薬剤
耐性株の出現や副作用がなく、長期投与が可能な新規な
生薬系のヘルペスウイルス1型に起因するウイルス感染
症再発予防剤を見いだした。
【0014】茂田〔医学のあゆみ、Vol.142,N
o.9,pp.662−665(1987)〕によれ
ば、抗ヘルペスウイルス剤として使用されている薬剤ま
たは開発途上にある薬剤には、アシクロビルやガンシク
ロビルのように単純ヘルペスウイルス1型および2型に
対して同程度の活性を示すもののほか、BVaraU
〔5−(2−bromovinyl)arauridi
ne〕、BVDU(Bromovinyldeoxyu
ridine)のように1型または2型の一方に対して
強い活性を示すものもある。したがって、1型または2
型の一方に対して活性を示した薬剤が必ずしも双方に活
性を有するとは限らないことから、この生薬について更
に鋭意検討を進めた結果、この生薬はヘルペスウイルス
2型に対しても優れた感染症再発予防能力があることを
確認し、本発明を完成するに至った。
【0015】すなわち、本発明の第一は、ダイコンソウ
(Geum japonicumThunb.)抽出
物、カシ(Terminalia chebula R
etzus)抽出物、ゴバイシ(Rhus javan
ica L.)抽出物のうち少なくとも一種類を有効成
分として含有することを特徴とするヘルペスウイルスに
起因するウイルス感染症再発予防剤に関する。
【0016】本発明の第二は、ダイコンソウ(Geum
japonicum Thunb.)抽出物、カシ
(Terminalia chebula Retzu
s)抽出物、ゴバイシ(Rhus javanica
L.)抽出物のうち少なくとも一種類と下記化学式
(I)
【化3】 で示される9−(2−ヒドロキシエトキシメチル)グア
ニンとを有効成分として含有することを特徴とするヘル
ペスウイルスに起因するウイルス感染症再発予防剤に関
する。
【0017】これにより、9−(2−ヒドロキシエトキ
シメチル)グアニン単独で用いる場合より、その使用量
が少なくてすむので、単独で使用する場合に発生する薬
剤耐性株の出現や副作用等の問題を生じること無く再発
予防効果を上げることができた。なお、生薬と9−(2
−ヒドロキシエトキシメチル)グアニンとの混合割合は
とくに制限はないが、生薬の使用量に対し9−(2−ヒ
ドロキシエトキシメチル)グアニンを10重量%以下、
好ましくは5重量%以下、とくに好ましくは2重量%以
下とすることにより9−(2−ヒドロキシエトキシメチ
ル)グアニンの副作用を抑えることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の試験例について説明すれ
ば以下の通りである。各生薬としての各植物の使用部位
は、ダイコンソウは全草、カシは果実、ゴバイシは虫こ
ぶを用いた。また、各生薬は、全て市場品を用いた。
【0019】前記の各生薬の抽出方法は、蒸留水または
脱イオン水により還流抽出して抽出液を得た後、これら
の抽出液を凍結乾燥して生薬抽出物を得るものである。
【0020】試験例1 ダイコンソウを用いて抽出物を得た例を示すと、ダイコ
ンソウの乾燥した全草500gに脱イオン水5.4リッ
トルを加えて還流抽出し、抽出液4.2リットルを得
た。この抽出液の一部を凍結乾燥し、9.7gの抽出物
を得た。
【0021】一方、9−(2−ヒドロキシエトキシメチ
ル)グアニンとしては、ウエルカム社から市販されてい
るアシクロビル(以下ACVと表記する)錠剤を用い
た。
【0022】皮膚および脳におけるウイルス増殖に対す
る生薬抽出物、ACVまたはその混合物の効果について
は以下の方法により調べた。マウス(BALB/c、メ
ス、6週令)に単純ヘルペス1型(7401H株)を内
皮接種した。生薬抽出物、ACVまたはその混合物を脱
イオン水に溶解し、ウイルス接種から6日間、1日3回
(生薬抽出物は5mg/マウス/日、ACVは0.05
mg/マウス/日)経口投与した。感染から6日後に接
種部位周辺の皮膚および脳を取り出し、それぞれ、2m
lの生理食塩水を含むリン酸緩衝液を加えてすりつぶし
た。これを遠心し、上澄み液中のウイルス量をプラーク
形成試験法により測定した。
【0023】ウイルス量測定におけるプラーク形成試験
法は以下のように行った。60mmプラスチックシャー
レで単層培養したVero細胞に、上記上澄み液を10
〜1000倍に希釈した試料を0.2ml接種し、37
℃で1時間ウイルスを細胞に吸着させた。吸着後、0.
8%メチルセルロースを含む2%牛胎児血清添加MEM
培地5mlを加え、37℃で培養してプラーク形成を観
察した。プラーク数の算定時には、上記単層細胞をホル
マリン固定した後、0.03%メチレンブルー溶液で染
色して測定した。
【0024】上記の試験方法により、皮膚および脳にお
けるウイルス増殖に対する生薬抽出物、ACVまたはそ
の混合物の効果について調べた結果を表1に示した。表
中の「相対値A/相対値B」の値は各投与試料の皮膚と
中枢神経系における効果の比率を表している。この値が
1より大きいものほど皮膚におけるウイルス増殖抑制効
果より中枢神経系におけるウイルス増殖抑制効果が強
く、従ってウイルス感染症再発予防により適している。
【0025】ACVでは、相対値A/相対値Bの値は
0.33であり、皮膚におけるウイルスの増殖抑制効果
は強いが、中枢神経系におけるウイルスの増殖抑制効果
は皮膚における効果ほど強くなかった。
【0026】一方、この結果から明らかなように、ダイ
コンソウ、カシ、ゴバイシの各抽出物では、相対値A/
相対値Bの値は全て1を超えており、抽出物単独での投
与では皮膚よりも中枢神経系におけるウイルス増殖を抑
制している。
【0027】また、各生薬抽出物とACVを混合して用
いた場合も相対値A/相対値Bの値は全て1を超えてお
り、生薬抽出物およびACVを単独で使用した場合より
もさらに強く中枢神経系におけるウイルス増殖を抑制す
ると共に、生薬単独では充分な効果が得られなかった皮
膚においても充分にウイルス増殖を抑制することが確認
された。
【0028】
【表1】 皮膚および脳におけるウイルス増殖抑制効果 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ウイルス量(平均±標準偏差) (PFU/組織)×10-4 投与試料 投与量 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 相対値A/ (mg/kg体重) 皮膚(相対値A)1) 脳(相対値B)1) 相対値B ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━コントロール (水) 303±124(100) 6.07±4.78(100) 1アシクロヒ ゛ル 2.5 56.6±24.5(18.7) 3.43±2.05(56.5) 0.33 タ ゛イコンソウ 250 235±71.0(77.6) 2.10±1.69(34.6) 2.2コ ゛ハ゛イシ 250 315±206(104.0) 4.40±6.58(72.5) 1.4カシ 250 300±134(99.0) 0.906±0.713(14.9) 6.6アシクロヒ ゛ル 2.5+250 25.2±8.30(8.32) 0.063±0.05(1.04) 8.0 +タ゛イコンソウアシクロヒ ゛ル 2.5+250 27.8±29.6(9.17) 0.372±0.307(6.13) 1.5 +コ゛ハ゛イシアシクロヒ ゛ル 2.5+250 51.4±18.1(17.0) 0.363±0.260(5.98) 2.8 +カシ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 注1) 皮膚および脳のコントロールの値を各々100としたときの相対値
【0029】次に、生薬抽出物の再発予防効果について
は以下の方法により調べた。実験的には、マウスなどに
紫外線の照射やセロハンテープによる刺激を与えること
により、ウイルスの再活性化を誘発できる。セロハンテ
ープによる刺激を行なう段階ではウイルスは既に実験動
物の体内に存在させてある。ただこのときの状態では盛
んに増殖を行なっていない。紫外線の照射やセロハンテ
ープによる刺激などのストレスなどにより再活性化が誘
発され、増殖をはじめるので、この現象を利用して実験
を行なう。マウス(BALB/c、メス、4週令)の右
耳に単純ヘルペス1型(7401H株)を内皮接種し
た。生薬抽出物を脱イオン水に溶解し、再活性化の3日
前から7日後まで、1日3回(5mg/マウス/日)経
口投与した。ウイルスの接種後4週間以上期間をあけた
後、耳に対してセロハンテープの接着、除去を10回繰
り返し行い、ウイルスを再活性化した。再活性化後、1
日3回皮膚病変(紅斑、水泡)の有無の観察を行った。
【0030】上記の試験方法により、神経系でのウイル
ス増殖抑制効果を示した生薬の内、一例としてダイコン
ソウについて再発予防効果を調べた結果を図1に示し
た。
【0031】コントロールの試験群では再活性化により
おおよそ8割の個体において皮膚病変が生じており、7
日後でもまだ5割の個体で皮膚病変が観察された。一
方、ダイコンソウ抽出物投与群では再活性化によって皮
膚病変が生じた個体はおおよそ4割であり、7日後には
皮膚病変は全く観察されなくなっており、明らかにダイ
コンソウ抽出物の前投与によりヘルペスの再発が抑制さ
れていることが分かる。
【0032】この結果から明らかなように、神経系での
ウイルス増殖抑制効果を示す生薬は、ヘルペスウイルス
の再発予防に有効であり、ダイコンソウ、カシ、ゴバイ
シの各抽出物はウイルス感染症再発予防に有効であるこ
とが確認された。
【0033】試験例2 ゴバイシを用いて抽出物を得た例を示すと、ゴバイシの
乾燥した虫こぶ500gに脱イオン水5.2リットルを
加えて還流抽出し、抽出液4.2リットルを得た。この
抽出液の1/10量を凍結乾燥し、40.2gの抽出物
を得た。モルモット感染モデルにおける単純ヘルペス2
型の紫外線誘起回帰発症に対する生薬抽出物の予防効果
は以下の方法により調べた。
【0034】実験開始3ヵ月前に、モルモット(Har
tly、メス、200g)に単純ヘルペスウイルス2型
(Ito 1262株)を経膣感染させ、自然回帰発症
による皮膚病変が認められないものを選び、1群当り5
匹のモルモットを実験に供した。紫外線(UVB、80
00W/cm2)をモルモット外陰部に10分間照射し
回帰発症を誘起した。紫外線照射5日前から各生薬の水
溶液(2.5mg/ml)を500ml/群/日の量で
自発摂取により経口投与した。コントロールとしては水
を投与した。
【0035】照射により生じた皮膚病変の度合を スコア0 : 無診 スコア3 : 弱い紅斑および腫脹 スコア5 : 強い紅斑および腫脹 スコア6 : 痂皮化または水疱を伴う紅斑および腫脹 スコア7 : 痂皮化を伴うびらんまたは潰瘍 スコア8 : 痂皮化を伴わないびらんまたは潰瘍 と分類し、紫外線照射後14日間にわたり連日皮膚病変
の進展度合を観察した。
【0036】本試験により単純ヘルペス2型の紫外線誘
起回帰発症に対する生薬抽出物の予防効果について調べ
た結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】各群のモルモット全てにおいて強い紅斑お
よび腫脹が認められた。また、スコア6以上の進展度合
を示した期間を各群毎に比較すると、水投与群に比べ各
生薬水溶液投与群で期間が短縮されており、皮膚病変の
軽減効果があることが確認された。
【0039】次に、紫外線誘起回帰発症に対する予防効
果の強かったカシおよびゴバイシについて単純ヘルペス
ウイルス2型の自然回帰発症に対する生薬抽出物の予防
効果を以下の方法により調べた。
【0040】モルモット(Hartly、メス、200
g)に単純ヘルペスウイルス2型(Ito 1262
株)を経膣感染させた後、3〜5ヵ月を経過したものを
実験に供した。実験開始時点で外陰部皮膚病変の進展度
合はスコア0〜9まで様々な段階のモルモットがいたた
め、水、カシ、ゴバイシ投与群の各群に分ける際には、
群間でのスコアに偏りが無いように1群当り10匹づつ
配分した。各生薬水溶液は、紫外線誘起回帰発症の時と
同濃度のものを1000ml/群/日の量で与え、自発
摂取により経口投与した。各生薬水溶液投与後2ヵ月間
にわたり連日外陰部皮膚病変を観察し、病変の悪化を示
した固体数とスコア6以上の進展度合を示した期間を各
群毎に比較した。
【0041】その結果を表3に示す。
【表3】
【0042】病変の悪化を示した固体数は水投与群では
10匹中6匹だつたのに対し、ゴバイシ投与群では10
匹中1匹、カシ投与群では10匹中4匹と減少した。ま
た、スコア6以上の進展度合を示した期間においても水
投与群に比べ各生薬投与群では期間が短縮された。特に
ゴバイシ投与群で強い効果が観察された。以上の結果か
ら、各生薬水溶液に病変増悪抑制効果および皮膚病変の
軽減効果があることが確認された。
【0043】試験例3 前記ゴバイシ水溶液の効果を確認するために、更に次の
実験を行った。前記実験の水投与群においてはゴバイシ
に(以下、水−ゴバイシ投与群)、またカシ投与群にお
いては水に(以下、カシ−水投与群)投与する薬剤を替
えて投与を続けた。各生薬水溶液は紫外線誘起回帰発症
の時と同濃度のものを1000ml/群/日の量で与
え、自発摂取により経口投与した。投与薬剤を替えた後
78日間にわたり連日外陰部皮膚病変を観察し、病変の
悪化を示した固体数とスコア6以上の進展度合を示した
期間を各群毎に比較した。
【0044】その結果を表4に示す。
【表4】
【0045】病変の悪化を示した固体数には差は見られ
なかったが、スコア6以上の進展度合を示した期間にお
いては、カシ−水投与群で投与薬剤変更後、期間が延長
されているのに対し、水−ゴバイシ投与群では逆に期間
の短縮が見られた。この結果から、生薬水溶液の効果
は、各投与群のモルモットの固体差により生じているも
のではなく、生薬水溶液に皮膚病変の軽減効果があるこ
とが確認された。
【0046】これらの結果から、ダイコンソウ(Geu
m japonicum Thunb.)抽出物、カシ
(Terminalia chebula Retzu
s)抽出物、ゴバイシ(Rhus javanica
L.)抽出物には、単純ヘルペスウイルス2型感染症の
再発(回帰発症)を予防する効果があることが確認され
た。
【0047】
【発明の効果】本発明の各生薬は神経系でのヘルペスウ
イルス増殖を抑制する。従って、これらの生薬を単独お
よび9−(2−ヒドロキシエトキシメチル)グアニンと
混合して用いることによりヘルペスウイルス1型および
2型に起因するウイルス感染症の再発予防に副作用なく
効果を上げることができる。9−(2−ヒドロキシエト
キシメチル)グアニンと併用する場合も、9−(2−ヒ
ドロキシエトキシメチル)グアニンの投与量がこれ単独
使用の場合よりその使用量が少なくてすむので、9−
(2−ヒドロキシエトキシメチル)グアニンの副作用を
抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ダイコンソウ熱水抽出エキスの再発予防効果を
示すグラフである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31:52) (72)発明者 黒川 昌彦 富山県射水郡小杉町南太閤山8丁目8番地 の1 (72)発明者 中野 道夫 富山県富山市布瀬町282番地の8 ボンヌ ール・オカダ 302 (72)発明者 諸橋 正昭 富山県富山市呉羽町64番地の59 (72)発明者 難波 恒雄 富山県富山市五福末広町2556番地の4 1 −104

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイコンソウ(Geum japoni
    cum Thunb.)抽出物、カシ(Termina
    lia chebula Retzus)抽出物、ゴバ
    イシ(Rhus javanica L.)抽出物のう
    ち少なくとも一種類を有効成分として含有することを特
    徴とするヘルペスウイルスに起因するウイルス感染症再
    発予防剤。
  2. 【請求項2】 ダイコンソウ(Geum japoni
    cum Thunb.)抽出物、カシ(Termina
    lia chebula Retzus)抽出物、ゴバ
    イシ(Rhus javanica L.)抽出物のう
    ち少なくとも一種類と下記化学式(I) 【化1】 で示される9−(2−ヒドロキシエトキシメチル)グア
    ニンとを有効成分として含有することを特徴とするヘル
    ペスウイルスに起因するウイルス感染症再発予防剤。
JP8029926A 1995-01-30 1996-01-24 ヘルペスウイルスに起因するウイルス感染症再発予防剤 Pending JPH08268901A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997027849A1 (fr) * 1996-02-02 1997-08-07 Showa Shell Sekiyu K.K. Medicaments pour traiter les infections provoquees par le virus de l'herpes et compositions preventives pour empecher un retour de l'infection, contenant tous les deux des derives triterpeniques comme principe actif
AU681748B2 (en) * 1994-01-20 1997-09-04 Hoashi, Masahito Antiviral powder, antiviral extract, and pharmaceutical preparation containing said powder and/or said extract

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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