JPH08267247A - 倣い溶接方法及び装置 - Google Patents

倣い溶接方法及び装置

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JPH08267247A
JPH08267247A JP7099789A JP9978995A JPH08267247A JP H08267247 A JPH08267247 A JP H08267247A JP 7099789 A JP7099789 A JP 7099789A JP 9978995 A JP9978995 A JP 9978995A JP H08267247 A JPH08267247 A JP H08267247A
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welding
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light
groove
laser
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JP7099789A
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Takeshi Maeda
剛 前田
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 レーザ照射部と溶接部とを近接させても、ア
ーク光及びスパッタの影響を完全に回避することがで
き、極めて精密な溶接倣いを行うことができる倣い溶接
方法及び装置を提供する。 【構成】 溶接トーチ3の進行方向前方の直近に位置す
る開先にレーザ線状光を照射し、溶接電流を低下させて
溶滴短絡移行状態になった時に、干渉フィルタ15を備
えた第1の撮像装置13で光切断像を撮像し、近似処理
により開先特徴点を算出して、溶接倣いを行うようにし
たものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、横向き姿勢や下向き姿
勢の継手開先を倣いながら溶接する倣い溶接方法及び装
置に係り、特にレーザ光及び光学系等を利用して溶接倣
いを自動で行う倣い溶接方法及び装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】高炉の炉体強度は鉄皮強度に依存してい
るため、高炉改修工事において、鉄皮溶接を高品質に行
うことが要望される。しかし、近年、熟練溶接工の確保
は難しく、且つ高炉鉄皮は厚板であるので、溶接品質を
均一化し、溶接能率を向上させるため、鉄皮溶接の自動
化が図られている。
【0003】従来より、この種の自動化技術として、レ
ーザ光及び光学系等を利用して溶接倣いを自動で行う技
術が種々提案されており、例えば、特開昭57−628
66号公報(以下、「引用例1」という。)に開示され
ている「アーク溶接の倣い装置」に関する発明と、特公
平3−16226号公報(以下、「引用例2」とい
う。)に開示されている「溶接位置検出装置」に関する
発明が挙げられる。
【0004】引用例1には、「レーザ光発生装置から発
射したレーザ光を光学レンズで拡げて溶接アーク及び開
先に照射し、溶接部で反射したレーザ光及び白色のアー
ク光をバンドパスフィルタに通過させて大部分のアーク
光を遮断した後にTVカメラに入射し、TVカメラで受
像した溶接部の影絵を画像処理装置に入力し、白黒濃淡
2値画像化して演算装置に入力し、開先中心とトーチ中
心との偏りを算出すると共に偏りが零となるよう制御信
号を発し、これを受けてモータが駆動して溶接トーチの
位置を修正し、自動的に倣い動作をする。」旨が開示さ
れている。
【0005】即ち、引用例1は、TVカメラにより撮像
した溶接部の影絵を画像処理装置を介して演算装置に入
力し、ここで溶接ワイヤと開先とのずれを演算してこれ
を制御回路に入力してずれを零とするよう制御すること
により、溶接の倣いを正確かつ簡便に行わせるものであ
る。
【0006】また、引用例2には、「アークを観測用光
学系で観測する一方で、アーク点近傍の開先面に線状集
光光線を照射させ、その反射光を上記観測用光学系でア
ーク観測と同時に観測するように光学系を配置すること
で、アーク画像と開先光切断画像を1つの観測用光学系
の2次元光位置検出器の視野内に直接入るようにし、上
記両画像が同時に検出される。」旨が開示されている。
【0007】即ち、引用例2は、線状集光光線照射用及
び観測用のそれぞれの光学系を配置し、アーク画像と開
先光切断像を観測用光学系の視野に直接検出させること
により、溶接の倣い精度の向上と装置の小型化を図るも
のである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、引用例1及
び引用例2にあっては、アーク光をフィルタにより遮断
しているが、依然としてその影響を完全に取り除くこと
は困難であった。また、画像処理を行う際にも、溶接ス
パッタが画像内に散乱し、その影響を取り除くことが困
難であった。従って、アーク光及びスパッタの影響を回
避するために、レーザ照射部と溶接部とをある程度離す
必要があり、その反面、これらの間の距離が増大すると
開先の熱変形やワイヤ先端の曲がり等に対応し難くな
り、精密な倣い溶接を行うことができないという問題が
あった。
【0009】本発明の目的は、上記課題に鑑み、開先の
熱変形やワイヤ先端の曲がり等に対応させるべくレーザ
照射部と溶接部とを近接させても、アーク光及びスパッ
タの影響を完全に回避することができ、極めて精密な溶
接倣いを行うことができる倣い溶接方法及びこれに使用
する倣い溶接方法及び装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明に係る倣い溶接方法は、1パス1レア溶接中に、
開先にレーザ線状光を照射して撮像装置で光切断像を撮
像し、この画像に基づいて溶接トーチのワイヤ先端位置
を補正する倣い溶接方法において、上記溶接トーチの進
行方向前方の直近に位置する開先にレーザ線状光を照射
し、溶接電流を低下させて溶滴短絡移行状態になった時
に、干渉フィルタを備えた第1の撮像装置で光切断像を
撮像し、近似処理により開先特徴点座標を抽出するよう
にしたものである。
【0011】上記倣い溶接方法の構成において、好まし
くは、上記レーザ線状光が、溶接トーチの進行方向前方
30〜100mmに位置する開先に照射されるものであ
る。
【0012】また、好ましくは、上記溶滴短絡移行状態
の溶接電流が、開先手前位置で200A以下に設定され
るものである。
【0013】さらに、好ましくは、上記干渉フィルタ
が、当該レーザ光の波長±10nm以下に設定されるも
のである。
【0014】また、溶滴短絡移行状態において、短絡移
行の間に前記光切断像を2回撮像し、これらの光切断像
を2値化後、論理積演算処理により開先特徴点座標を抽
出するようにしたものである。
【0015】さらに、減光フィルタを備えた第2の撮像
装置でアーク光を撮像し、このアーク光の画像の重心点
に初期設定値を加えた点をワイヤ先端位置とし、これに
基づいて溶接トーチのワイヤ先端位置を補正するように
したものである。
【0016】そして、開先手前および開先奥における溶
接電流の平均値の比が所定値以上になった場合にワイヤ
先端位置が開先奥にあると判定し、これに基づいて溶接
トーチのワイヤ先端位置を補正するようにしたものであ
る。
【0017】一方、本発明に係る倣い溶接装置は、継手
開先に沿って走行移動する溶接台車上に搭載された溶接
トーチと、この溶接トーチの進行方向前方30〜100
mmに位置する開先に対して垂直にレーザ線状光を照射
するレーザ照射装置と、このレーザ線状光の光切断像及
びアーク光を上記溶接トーチの斜め前方から撮像する撮
像装置と、この光切断像から開先特徴点座標を近似処理
により抽出すると共に、上記アーク光の画像の重心点に
初期設定値を加えてワイヤ先端位置を算出する画像処理
装置と、この画像処理装置の算出値に基づいて溶接トー
チを制御し、ワイヤ先端位置を補正する溶接機制御装置
とを備えているものである。
【0018】上記倣い溶接装置の構成において、好まし
くは、上記撮像装置が、レーザ線状光の光切断像を撮像
する第1の撮像装置と、アーク光を撮像する第2の撮像
装置とからなり、第1の撮像装置には当該レーザ光の波
長±10nm以下の干渉フィルタが備えられており、第
2の撮像装置には減光フィルタが備えられているもので
ある。
【0019】また、好ましくは、上記撮像装置が、CC
Dカメラによって形成されているものである。
【0020】さらに、好ましくは、上記画像処理装置
に、溶接電圧が設定しきい値より低下した時に、トリガ
パルスを送信して画像取り込みを指示する画像取り込み
制御装置が備えられているものである。
【0021】
【作用】上記倣い溶接方法の構成によれば、レーザ線状
光を溶接トーチの進行方向前方の直近に位置する開先に
照射している。これは、溶接熱による開先の形状変形等
に対応させるべく、レーザ光照射部と溶接部とを近接さ
せるためである。このようにレーザ光照射部と溶接部と
を近接させても、溶接電流を低下させて溶滴短絡移行状
態とし、アーク光が低減した時に、レーザ光の相対強度
を上げる干渉フィルタを備えた第1の撮像装置で光切断
像を撮像するので、アーク光の影響を完全に回避するこ
とができる。従って、このようにして撮像した光切断像
から近似処理、即ち、直線近似及び/又は曲線近似によ
り開先特徴点座標を抽出することにより、精密な溶接倣
いを行うことができるものである。
【0022】特に、上記レーザ線状光を、溶接トーチの
進行方向前方30〜100mmに位置する開先に照射す
るようにすれば、開先の熱変形等に確実に対応すること
ができる。溶接進行方向前方30〜100mmに設定し
たのは、30mm未満であるとアーク光の影響が強過ぎ
るからであり、100mmを超えると溶接熱による開先
の形状変形等に対応し難くなるからである。
【0023】また、上記溶滴短絡移行状態の溶接電流を
200A以下に設定するのは、強烈なアーク光の影響を
避けるために、溶滴短絡移行時にアーク光が低減するこ
とに着目したからである。そして、溶接電流を200A
以下に設定するのを開先手前位置としたのは、溶接品質
に比較的影響のない位置だからである。
【0024】さらに、上記干渉フィルタを当該レーザ光
の波長±20nm以下に設定するのは、半導体レーザの
波長は±20程度の変動があるため、フィルタにも同様
の半値幅が必要だからである。
【0025】また、上記溶滴短絡移行状態において、短
絡移行の間に前記光切断像を撮像するのは、短絡移行の
際にはアークが瞬間的に切れるからである。また、短絡
移行の間に光切断像を2以上回撮像し、これらの光切断
像を2値化後、論理積演算処理により開先特徴点座標を
抽出するのは、溶接中における光切断像はスパッタ等の
ノイズ画像成分を多く含んでいるため、複数面の2値化
画像間において論理積演算処理を行うことにより不特定
箇所に現れるこれらのノイズを除去するためである。
【0026】さらに、上記第2の撮像装置は減光フィル
タを介してアーク光を撮像するので、強烈なアーク光を
点形状に撮像することができる。このアーク光画像の重
心点に初期設定値を加えて、アーク点であるワイヤ先端
位置を算出し、この算出値を上記光切断像より求めた開
先特徴点座標と比較して、そのずれ分を補正値としてト
ーチ狙い位置に加えれば、精密な溶接倣いを行うことが
できるものである。
【0027】そして、開先手前および開先奥における溶
接電流の平均値の比が所定値以上になった場合に、ワイ
ヤ先端位置が開先奥にあると判定している。即ち、開先
手前から奥に移動する際の溶接電流の平均値を取り、記
録する。次に、開先奥での溶接電流の平均値を取り、記
録してある開先手前での平均値と開先奥での平均値とを
比較し、その比率がある設定値以内であればワイヤ先端
位置が開先奥にあると判定する。この判定に基づいて、
精密な溶接倣いが行われることになる。
【0028】一方、上記倣い溶接装置の構成によれば、
溶接台車が走行移動すると、これに搭載された溶接トー
チが継手開先に沿って移動する。レーザ照射装置は、溶
接トーチの進行方向前方30〜100mmに位置する開
先に対して垂直にレーザ線状光を照射する。次に、撮像
装置は、上記溶接トーチの斜め前方から、レーザ線状光
の光切断像及びアーク光を撮像する。さらに、画像処理
装置は、撮像した光切断像から近似処理、即ち、直線近
似及び/又は曲線近似により開先特徴点座標を抽出する
と共に、上記アーク光の画像の重心点に初期設定値を加
えてワイヤ先端位置を算出し、この算出値を上記光切断
像より抽出した開先特徴点座標と比較して、そのずれ分
を補正値としてトーチ狙い位置に加える。そして、溶接
機制御装置は、画像処理装置の算出値に基づいて溶接ト
ーチを制御し、ワイヤ先端位置を補正するものである。
【0029】特に、上記撮像装置は、当該レーザ光の波
長±20nm以下の干渉フィルタを備えた第1の撮像装
置と、減光フィルタを備えた第2の撮像装置とによって
構成されている。従って、第1の撮像装置は、干渉フィ
ルタを介してレーザ線状光の光切断像を撮像するので、
レーザ光の相対強度が上がり、光切断像を鮮明に撮像す
ることができる。また、第2の撮像装置は、減光フィル
タを介してアーク光を撮像するので、強烈なアーク光を
点形状に撮像することができるものである。
【0030】また、上記撮像装置をCCDカメラによっ
て形成すれば、撮像管カメラに比して、小型かつ取扱い
が容易であり、焼き付け等の不具合を解消することがで
きるものである。
【0031】さらに、画像取り込み制御装置は、溶接電
圧が設定しきい値より低下した時にトリガパルスを送信
して画像取り込みを指示するので、短絡移行時とトリガ
パルスとが同期するようにしきい値を設定すれば、アー
クが切れた瞬間に光切断像を撮像することができるもの
である。
【0032】
【実施例】以下、本発明に係る倣い溶接方法及び装置の
好適実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。本実
施例の倣い溶接方法は、図1に示すような倣い溶接装置
を使用して行われる。図示するように、本実施例の倣い
溶接装置1の溶接台車2は、溶接トーチ3を支持しなが
ら走行レール4に沿って走行移動するように成ってい
る。
【0033】上記走行レール4は、被溶接物(図示せ
ず)の横向き姿勢や下向き姿勢の継手開先と略平行に設
置される。従って、溶接台車2は、走行レール4の長手
方向に沿って略水平に走行移動することになる。この走
行レール4には直状走行レールと円弧状走行レールとを
使用することができ、曲面を有する被溶接物をも溶接対
象にすることができる。従って、円弧状走行レールを使
用すれば、本実施例の倣い溶接装置1を高炉鉄皮の周方
向継手の溶接に適用することができる。
【0034】また、溶接台車2の下方には、溶接アーム
5に支持されて、溶接トーチ3が配置されている。溶接
アーム5は、溶接台車2に配置されている前後移動手段
6、上下移動手段7及び水平回動手段8を介して溶接台
車2と接続されている。
【0035】前後移動手段6は溶接トーチ3を被溶接物
の板厚方向に移動させ、上下移動手段7は溶接トーチ3
を上下方向に移動させ、水平回動手段8は溶接トーチ3
を水平面内で回動させる手段であり、それぞれ溶接機制
御装置9に接続されている。
【0036】よって、前後移動手段6、上下移動手段7
及び水平回動手段8は、溶接機制御装置9で演算した回
転速度・位置に従ってモータ駆動される歯車機構(図示
せず)により作動されるように成っている。特に、水平
回動手段8は、被溶接物の曲率軸と溶接トーチ3の軸と
が常に平行になるようにモータの回転速度・位置の制御
が行われる。
【0037】即ち、前後移動手段6により溶接トーチ3
を前後に、上下移動手段7により溶接トーチ3を上下に
動作させることができ、さらに、これらを溶接機制御装
置9によって制御することにより、溶接トーチ3の狙い
を上下左右自由に決定することができる。
【0038】また、水平回動手段8により、溶接トーチ
3を水平面内で回動することができる。従って、走行レ
ール4と被溶接物との曲率が違う場合には、水平回動手
段8を動作させることで、溶接トーチ3の向きを被溶接
物に対して常に一定方向に保つことができる。これによ
って、被溶接物の曲率に合わせて数種類の走行レール4
を準備する必要がなく、1種類の走行レール4で異なっ
た曲率を有する被溶接物の溶接が可能である。
【0039】そして、溶接アーム5のトーチ取付部に
は、円弧状を呈する鉛直回動手段10が設けられてい
る。この鉛直回動手段10は溶接トーチ3を鉛直面内で
回動させる手段であり、溶接機制御装置9で演算した回
転速度・位置に従ってモータ駆動される歯車機構(図示
せず)により作動されるように成っている。この鉛直回
動手段10により、溶接トーチ3が、溶接ワイヤ先端
(溶接アーク点)を中心に円弧を描いて回動するので、
溶接アークが振れることなく、鉛直面内で溶接トーチ3
の傾き角度を変化させることができる。
【0040】また、溶接台車2には、図2に示すセンサ
ユニット11が連結装備され、上記継手の開先形状や上
記溶接トーチ3のワイヤ先端位置を検出するように成っ
ている。図示するように、センサユニット11内には、
継手開先に向けてレーザ線状光を照射するレーザ照射装
置12と、レーザ線状光の光切断像を撮像する第1の撮
像装置13と、溶接トーチ3のアーク光を撮像する第2
の撮像装置14とが収納されている。
【0041】レーザ照射装置12は、波長680±10
nm、出力35mWの半導体レーザによって構成されて
おり、レーザ光を線状にするためのコリメートレンズ、
シリンドリカルレンズが使用されている。
【0042】本実施例において、レーザ光の波長を68
0nmに設定したのは、次のような理由による。即ち、
アーク光のスペクトルは、Feやシールドガス(Ar
等)の特性スペクトル強度分布に近く、600〜700
nm近辺の波長において強度が減少する。また、溶融池
放射光のスペクトルは、可視光から赤外光波長域にかけ
て波長が長くなるにしたがって強度が増加する。そこ
で、本実施例では、計測に用いるレーザ光の波長を、ア
ーク光や溶融池放射光の影響を受けにくい680nmに
設定することとした。
【0043】第1の撮像装置13は、レーザ線状光の光
切断像を撮像するが、外部からのトリガ信号に対して約
1μSの遅れ後、電子ランダムシャッタを設定時間内に
おいて開くことが可能なCCDカメラが採用されてい
る。
【0044】この第1の撮像装置13の撮像レンズ13
aの手前には、レーザ光の波長(680nm)±10n
mの波長を有する干渉フィルタ15が備えられている。
干渉フィルタ15の波長をレーザ波長±10nmに設定
したのは、レーザ光の相対強度を上げるために干渉フィ
ルタを使用しているが、半導体レーザの波長には±10
nm程度の変動があるため、干渉フィルタ15にも同様
の半値幅が必要だからである。
【0045】また、第2の撮像装置14もCCDカメラ
によって構成されており、その撮像レンズ14aの手前
には減光フィルタ16が備えられている。第2の撮像手
段14は強烈なアーク光を点形状に撮像するため、透過
率0.1%以下の減光フィルタ16を使用している。
【0046】本実施例にあっては、第1の撮像装置13
及び第2の撮像装置14としてCCDカメラを採用して
いるが、CCDカメラは撮像管カメラに比べ、小型かつ
取扱いが容易であり、焼き付け等の不具合が無いという
利点がある。また、2次元CCD素子を使用した場合に
は、1次元のものに比して、機械式のレーザ光スキャン
が不要であるため故障が少なく、2次元情報を扱うた
め、形状認識等の画像処理を行うことが容易であるとい
う利点がある。
【0047】第1の撮像装置13及び第2の撮像装置1
4は、撮像したレーザ線状光の光切断像やアーク光の画
像を演算処理する画像処理装置17と接続されている。
この画像処理装置17は、光切断像から開先特徴点座標
を近似処理、即ち、直線近似及び/又は曲線近似により
抽出すると共に、アーク光の画像の重心点に初期設定値
を加えてワイヤ先端位置を算出する演算手段である。ま
た、画像処理装置17は、溶接電圧が設定しきい値より
低下するか否かを監視して画像取り込み位置を制御する
画像取り込み制御装置18と接続されている。
【0048】そして、画像処理装置17及び画像取り込
み制御装置18は、画像処理装置17の算出値に基づい
て溶接トーチ3を制御し、ワイヤ先端位置を補正する溶
接機制御手段9とそれぞれ接続されている。
【0049】また、上記レーザ照射装置12は、上記溶
接トーチ3の進行方向前方30〜100mmに位置する
開先に対して垂直にレーザ線状光を照射するように、セ
ンサユニット11内で位置設定されている。さらに、第
1の撮像装置13又は第2の撮像装置14は、光切断像
又はアーク光を溶接トーチ3の斜め前方からそれぞれ撮
像するように、センサユニット11内で位置設定されて
いる。
【0050】次に、上記倣い溶接装置1の作用を、これ
を使用して行う本実施例の倣い溶接方法とともに説明す
る。高炉鉄皮の開先を溶接する際に、1パス・1レア・
トーチ角度変化の横向き溶接法を用いて溶接を行う。こ
の際、倣い溶接装置1は、溶接台車2を走行レール4に
沿って走行移動させ、溶接機制御装置9で前後移動手段
6、上下移動手段7、水平回動手段8及び鉛直回動手段
10を4軸制御して溶接トーチ3をウィービング動作さ
せることにより、自動倣い溶接を行うものである。
【0051】本実施例の倣い溶接方法は、まず、上記セ
ンサユニット11内に収納されたレーザ照射装置12か
ら溶接トーチ3の進行方向前方の直近に位置する開先に
レーザ線状光を照射する。
【0052】具体的には、レーザ照射装置12は、溶接
トーチ3の溶接点から溶接進行方向前方に30〜100
mm程度離れた位置の開先に対して垂直にレーザ線状光
を照射する。レーザ線状光の照射位置を溶接トーチ3の
進行方向前方30〜100mmに設定したのは、30m
m未満であるとアーク光の影響が強過ぎるからであり、
100mmを超えると高炉鉄皮のような極厚板長尺の開
先では溶接熱による形状変形等に対応し難くなるからで
ある。
【0053】次に、溶接電流を低下させて溶接トーチ3
から繰り出される溶接ワイヤを溶滴短絡移行状態にす
る。具体的には、開先手前位置で溶接電流を200A以
下に下げて、溶接ワイヤを溶滴短絡移行状態にする。溶
接電流を200A以下に設定するのは、強烈なアーク光
の影響を避けるために、溶滴短絡移行時にアーク光が低
減することに着目したからである。
【0054】即ち、本実施例で採用するマグ溶接の場
合、溶接電流が200Aを超えると溶接ワイヤの溶滴が
スプレー移行状態となり、アーク光が低減しない。その
ため、図3に示すように、ウィービング軌跡Wが開先手
前部A〜Bの位置(Aは溶接電流低下開始点、Bは溶接
電流低下終了点)で溶接電流を200A以下に落とすこ
とにより、計測を可能としている。開先手前部A〜Bの
位置で溶接電流を低下させるのは、溶接品質に比較的影
響の無い部位だからである。
【0055】溶滴短絡移行状態になることによって、
A’の位置近辺でアーク光が低減する瞬間、すなわち画
像取り込み制御装置18で溶接電圧を監視し、設定しき
い値より低下した瞬間に、干渉フィルタ15を備えた第
1の撮像装置13の電子ランダムシャッターを開いてレ
ーザ線状光の光切断像を撮像する。干渉フィルタ15の
波長は、強烈なアーク光の影響を避けるべく、レーザ光
の波長(680nm)±10nm以下に設定されてお
り、第1の撮像装置13で撮像した光切断像は画像処理
装置17に入力される。
【0056】即ち、図4に示すように、開先手前電圧設
定値をVa、しきい値を0.6Vaとすると、溶接電圧
V≦0.6Vaとなる信号の立ち下がりに同期してトリ
ガパルスTP(1ms以上負論理)を出力する。このト
リガパルスTPに対して約1μSの遅れ後、第1の撮像
装置13の電子ランダムシャッタが設定時間内において
開くことになる。
【0057】さらに詳述すると、図5に示すように、短
絡期間は溶接電流を低下させる開先手前部においてであ
るが、第1の撮像装置13が溶接方向に対して停止して
いる期間を撮像取り込み可(イネーブル)とする。
【0058】そして、図6に示すように、画像取り込み
制御装置(外部トリガコントローラ)18で溶接電源1
9の溶接電圧Vを監視し、溶接電圧Vがしきい値0.6
Vaまで低下したら、その立ち下がりに同期してトリガ
パルスTPを発生する。
【0059】トリガパルスTPはカメラコントローラ2
0のR.R.入力(リセット・リスタート)に入り、電
子ランダムシャッタを切ると同時にホストコンピュータ
21において割り込みを発生し、それがイネーブル期間
ならば画像処理装置17に画像取り込みを指令するもの
である。尚、溶接電源19は、溶接機制御装置(ロボッ
トコントローラ)9を介して、ホストコンピュータ21
と接続されている。
【0060】干渉フィルタ15や電子ランダムシャッタ
による撮像のみでは画像計測には不十分であるため、画
像処理による画質改善を行う。即ち、溶滴短絡移行状態
において、短絡移行の間に第1の撮像装置13により光
切断像を2回以上撮像する。光切断像を2回以上撮像す
るのは、溶接中におけるレーザ線状光の光切断像は、画
像内にスパッタ等のノイズ画像成分を多く含んでいるた
め、複数面の2値化処理(白黒・濃淡処理)した画像間
において論理積演算処理を行うことにより不特定箇所に
現れるこれらのノイズを除去するためである。
【0061】具体的には、図3において、A’の位置で
撮像した光切断像(図7(a)に示す。)を画像メモリ
に記録しておき、A’の次に短絡した瞬間A''の光切断
像(図7(b)に示す。)を取り込み、記録した画像と
共に2値化処理及び平滑化処理を行った後、2つの画像
間で画素毎の論理積(AND)処理を行い、ノイズ画像
を除去する(図7(c)に示す。)。必要であれば、そ
の次の画像とも同様の論理積演算を行う。
【0062】次に、AND処理画像に対して、孤立点・
端点除去を行う。即ち、2値化画像に対して3×3平滑
化フィルタ処理(平滑化オペレータ)を施した後、2回
目の2値化処理を行う。平滑化後の2値化画像に対して
X方向微分処理(差分オペレータ)を行い線画像変換を
行う。そして、直線近似法を用いて図7(d)に示す開
先内特徴点(初層)を抽出し、これを3次元座標変換す
ることにより、所望の座標値を得る。第2層目以降につ
いては、図7(e)に示すように直線部の延長線上にあ
る点を特徴点として抽出する。
【0063】具体的には、開先特徴点を検出するため
に、分割・合成法(始点・終点近似)および追跡法(コ
ーン交差法)と呼ばれる直線近似法及び/又は曲線近似
法を用いて算出する。尚、この近似処理の詳しい内容
は、大沢裕ほか著作の「図面の認識と理解」(株)昭晃
堂に記述されている。
【0064】即ち、図8に示す特徴点抽出フローに基づ
いて、開先特徴点の抽出を行う。図示するように、ま
ず、ステップ(ST)1でサーチウインドウを設定し、
ウインドウ内始点・終点を検出する(ST2)。
【0065】具体的には、図9に示すように、追跡法に
よってP1,P2,P2’を検出する場合、Ps(始
点)、Pe(終点)を決定し、図10に示すサーチウイ
ンドウによって画素を追跡する。即ち、Psからは図1
0(a)に示す下向きサーチウインドウを使用し、Pe
からは図10(b)に示す上向きサーチウインドウを使
用する。
【0066】そして、画素Cから見た近傍における画素
連結状態を調べ、最も優先度の高いものを次の追跡画素
とする。下向き優先順位はPD>PRD>PLD>PR
>PLであり、上向き優先順位はPU>PRU>PLU
>PR>PLである。
【0067】また、連結が途切れた場合は、図11に示
すように、サーチウインドウをシフトする。即ち、ウイ
ンドウ中心画素CをC1,C2,C3の位置にシフト
し、そこを新たに中心Cとしたウインドウを生成する。
この場合の優先順位は、C1>C2>C3である。シフ
トしても連結が見つからない場合は、元の中心画素を特
異点とする。
【0068】サーチウインドウで画素を検出した後、そ
れが直線に当てはまるか否かを調べるが、最初にPsよ
り下向きに画素を追跡し、次のようにP1を求める(S
T3)。まず、ステップ3は、図12に示すように、
始点画素Psと次に追跡する画素Q1を選択する。この
場合、Q1は次に連結している画素とは限らない。ま
た、中心がQ1で半径rの円に対してPsより2本の接
線を引き、その囲まれた領域をS1とする。尚、Q1は
半径rの値によって決定し、線分PsQ1>rである。
そして、Q1をQi、S1をSiとし、次のステップ3
へ進む。
【0069】ステップ3は、Qiの次に連結する画素
Qi+1をサーチウインドウで検索し、これが領域Si
の中にあればステップ3へ進む。一方、Qi+1が存
在しないか、或いは領域Siの中に無ければ、Qiを特
徴点P1とする。
【0070】ステップ3は、中心Qi+1で半径rの
円に対してPsより2本の接線を引く。そして、これら
に囲まれた領域をSi+1とし、SiとSi+1の共通
領域をSi、Qi+1をQiとしてステップ3に戻
る。
【0071】同様に、Peより上向きに画素を追跡し、
P2を求める(ST4)。この処理は、上記ステップ3
〜と同様のステップを繰り返す。但し、サーチウイ
ンドウは、上向きのものを使用する。
【0072】次に、図13に示すように、P0の検出を
行うが、開先奥部分は線画像が途切れる場合が多く追跡
法が使えないため、分割・合成法(始点・終点近似法)
を用いる。追跡法で求めたP1,P2を始点・終点とし
た線分に対するユークリッド距離が最大となる画素を求
め、これをP0とする(ST5,ST6)。即ち、P
1,P2の座標を各々(X1,Y1),(X2,Y2)
とすると、画素Pj(Xj,Yj)からの線分P1P2
への距離Ejは、次式で表される。
【数1】
【0073】また、図14に示すように、X方向はWX
1からWX2まで、Y方向はY1からY2までの距離計
算を行う。そして、ノイズ等の影響を避けるため、画素
検出を順方向と逆方向から行い、座標が一致したものだ
けを有効とする。この場合、X方向微分により、1画素
/1LINEとなっている。
【0074】次に、初回溶接であれば(ST7)、半径
rを大きめに設定し、Peを始点として追跡法によりP
2’を検出する(ST8)。点Ps(Xs,Ys)から
点Pi(Xi,Yi)を中心とする半径rの円への接線
の式は以下の通りである。
【数2】 また、点(a,b)が上記接線の式で囲まれた領域の中
にあるためには、以下の式が成立する。
【数3】
【0075】次に、図15に示すように、P0’の検出
を行う。即ち、変形追跡法により、線分P1P2とP
2’P0に対する近似直線(P1,P2’を通る)を求
め、その交点をP0’とする(ST9,ST10)。即
ち、P1を始点とし、P0まで画素を検出し(分割・合
成法と同様に順方向・逆方向で行い、サーチウインドウ
は使用しない。)、次のように直線上に当てはまるか否
かを調べる。
【0076】まず、ステップ9は、P0を中心とした
半径r0の円を描き、P1からこの円に対して2本の接
線を引く。そして、P1の次の画素Q1が接線で囲まれ
た領域S0の中に入っているか否かを調べる。これをQ
1が検出されるまで繰り返す。ただし、線分P0Q1>
rであり、ステップ9で使用する。
【0077】ステップ9は、中心がQ1で半径rの円
にP1より2本の接線を引き、その囲まれた領域をS1
とする。そして、Q1をQi、S1をSiとし、次のス
テップ9へ進む。
【0078】ステップ9は、Qiの次の画素Qi+1
を探し、これが領域Siの中にあればステップ9へ進
む。一方、領域Siの中に入っていなければ、このステ
ップ9を繰り返す。そして、Y方向がY0(P0のY
座標)となったら、後述するステップ9へ進む。
【0079】ステップ9は、Qi+1を中心として半
径rの円を描き、Psよりこの円へ2本の接線を引く。
これらに囲まれた領域をSi+1とし、SiとSi+1
の共通領域をSi、Qi+1をQiとして、ステップ9
に戻る。
【0080】ステップ9は、線分P1Qiの直線式を
求める。同様に、P2を始点とし、線分P2Qi’の直
線式を求め、線分P1Qiと線分P2Qi’の交点をP
0’とする(ST10)。
【0081】そして、座標データを送信した後(ST1
1)、ステップ2に戻る。また、上記ステップ7におい
て、初回溶接でない場合は、直ちに座標データが送信さ
れる(ST11)。
【0082】一方、第2の撮像装置14では、減光フィ
ルタ16を使ってアーク光輝度を減少させ、点状画像と
なるようにアーク光を撮像する。この減光フィルタ16
には、前述のように透過率0.1%以下のものを使用し
ており、強烈なアーク光を点形状に撮像することができ
る。具体的には、図3に示したように、ウィービング軌
跡が開先手前部B’および開先奥部Cの位置にあるとき
に、第2の撮像装置14がアーク光を撮像し、これを画
像処理装置17に取り込む。
【0083】画像処理装置17は、第2の撮像装置14
で撮像した点形状のアーク光画像を2値化処理した後、
これの重心点を検出する。この重心点にある初期設定値
を加えることにより、アーク点であるワイヤ先端位置を
算出し、これを3次元座標変換することにより、所望の
座標値を得る。
【0084】ここで、アーク光画像に加える初期設定値
について説明する。図16(a)に示すように、溶接開
始点における開先手前・奥に接触するワイヤ先端のカメ
ラ画像上の座標を各々(Xa,Ya)、(Xb,Yb)
とし、また図16(b)に示すように、溶接開始直後の
開先手前・奥におけるアーク光画像の重心点を各々(X
a’,Ya’)、(Xb’,Yb’)とすると、初期設
定値は以下のようになる。
【0085】即ち、開先手前初期設定値は、DXa=X
a−Xa’、DYa=Ya−Ya’となる。一方、開先
奥初期設定値は、DXb=Xb−Xb’、DYb=Yb
−Yb’となる。
【0086】このとき、図17に示すように、アーク光
画像の最大径が50画素程度になるように画像調整を行
うため、これらの上下限は次の数式の通りとする。
【数4】 このように溶接中(1回目ウィービング)において初期
設定値を算出し、2回目ウィービング以降に加えてゆ
き、所望の座標値を得る。
【0087】そして、この算出座標値を光切断像より求
めた開先特徴点座標と比較して、そのずれ分を補正値と
してトーチ狙い位置に加え、その結果に基づいて、溶接
機制御装置9が溶接トーチ3のワイヤ先端位置を補正す
る。
【0088】具体的には、溶接機制御装置9は、算出し
た開先特徴点座標を基に開先手前・奥におけるトーチ狙
い位置や揺動幅をオンラインで変更する。このとき、図
7(d)に示したように、ワイヤ先端位置座標と開先手
前P2点又は開先奥P0点とをそれぞれ比較し、ずれが
ある場合はその差を補正値として溶接トーチ3の制御を
行う。さらに、積層厚の変化分を次層溶接に反映させる
ため、ウィービングピッチを変更する。
【0089】また、開先手前および開先奥における溶接
電流の平均値の比が所定値以上になった場合に、ワイヤ
先端位置が開先奥にあると判定する。具体的には、開先
手前から開先奥に移動する際の溶接電流・電圧の平均値
を取り、記録する。
【0090】次に、開先奥での溶接電流・電圧の平均値
を取り、記録している開先手前での平均値と開先奥での
平均値を比較し、その比率がある設定値以内であればワ
イヤ先端位置が開先奥にあると判定する。
【0091】具体的には、図18に示す開先手前A〜
A’位置の溶接電流の平均値Iaは、次のような数式で
表される。
【数5】 また、図18に示す開先奥B〜B’位置の溶接電流の平
均値Ibは、次のような数式で表される。
【数6】 これら実績値(平均値)の比であるK(K=Ib/I
a)が設定値k(k=ib/ia、ia:開先手前電流
設定値、ib:開先奥電流設定値)の0.9倍以上のと
きに、ワイヤ先端位置が開先奥にあると判定する。
【0092】ワイヤ先端位置を判定した場合、溶接トー
チのワイヤ先端位置を次のように補正する。即ち、ワイ
ヤ先端位置が開先奥でないと判定した場合、アーク画像
重心からワイヤ先端座標点を算出するための初期設定値
に予め設定しておいた補正値を加え、これを次からのワ
イヤ先端位置の算出に使用することにより、極めて精密
な倣い溶接を行うことができるものである。
【0093】以上のように本実施例は、開先特徴点座標
の抽出及びワイヤ先端位置の算出により、溶接熱による
開先の形状変形やワイヤ先端の曲がり等に対応し、極め
て精密な溶接倣いを行うことができるが、その比較例と
して、特開平5−138354号公報に開示されている
「溶接自動倣い装置」が挙げられる。
【0094】この発明は、「溶接トーチの進行方向前方
の開先内の光切断像を得るレーザスリット光発光部と、
このレーザスリット光発光部より進行方向前方にあって
上記溶接トーチや光切断画像を含む溶融池を含む溶接情
報を検出するITVカメラと、このITVカメラの溶接
情報により開先形状を計算し溶接ワイヤ位置又は電極位
置を演算する手段とを有する」ことを要旨としている。
【0095】しかし、この発明では、前述した引用例1
及び引用例2と同様に、強烈なアーク光の影響を回避す
るために、レーザスリット光を溶接点からかなり離さな
ければならない。また、ワイヤ先端位置の正確な検出が
困難であるため、開先の熱変形またはワイヤ曲がり等に
は対処し得ないものである。
【0096】
【発明の効果】以上述べたように、本発明に係る倣い溶
接方法及び装置によれば、溶接熱による開先の形状変形
やワイヤ先端の曲がり等に対応させるべくレーザ照射部
と溶接部とを近接させても、アーク光及びスパッタの影
響を完全に回避することができ、極めて精密な溶接倣い
を行うことができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の倣い溶接装置の全体構造を示す概略
図である。
【図2】本実施例の倣い溶接装置におけるセンサユニッ
トの内部構造を示す平面図である。
【図3】本実施例の倣い溶接方法において、ウィービン
グ状況及び溶接電流低下位置を示す概略図である。
【図4】本実施例の倣い溶接方法において、溶接電圧と
設定しきい値との関係を示す説明図である。
【図5】本実施例の倣い溶接方法において、ウィービン
グでの電子シャッタ作動期間を示す説明図である。
【図6】本実施例の倣い溶接方法において、トリガパル
スによる電子シャッタ作動の装置ブロックを示す概略図
である。
【図7】本実施例の倣い溶接方法において、開先内特徴
点の抽出状況を示し、(a)はA’における光切断像の
説明図、(b)はA''における光切断像の説明図、
(c)は論理積演算後の画像の説明図、(d)は初層特
徴点の説明図、(e)は2層目以降の特徴点の説明図で
ある。
【図8】本実施例の倣い溶接方法において、開先特徴点
の抽出フローを示す説明図である。
【図9】本実施例の倣い溶接方法において、開先内特徴
点の抽出概念を示す説明図である。
【図10】本実施例の倣い溶接方法において、開先内特
徴点の抽出に使用するサーチウインドウを示し、(a)
は上向きサーチウインドウの説明図、(b)は下向きサ
ーチウインドウの説明図である。
【図11】本実施例の倣い溶接方法において、開先内特
徴点の抽出に使用するサーチウインドウのシフト状況を
示す説明図である。
【図12】本実施例に採用する開先内特徴点の抽出にお
いて、追跡法によるP1の検出状況を示す説明図であ
る。
【図13】本実施例に採用する開先内特徴点の抽出にお
いて、分割・合成法によるP0の検出状況を示す説明図
である。
【図14】本実施例に採用する開先内特徴点の抽出にお
いて、距離計算によるP0の検出状況を示す説明図であ
る。
【図15】本実施例に採用する開先内特徴点の抽出にお
いて、変形追跡法によるP0’の検出状況を示す説明図
である。
【図16】本実施例に採用するワイヤ先端位置の検出に
おいて、初期設定値の算出状況を示し、(a)は溶接前
ワイヤ先端位置の説明図、(b)は溶接中アーク光画像
重心の説明図である。
【図17】本実施例に採用するワイヤ先端位置の検出に
おいて、アーク光の最大径と画素との関係を示す説明図
である。
【図18】本実施例に採用するワイヤ先端位置の検出に
おいて、開先奥と判定する溶接電流・電圧の平均値及び
標準偏差の範囲を説明するための図である。
【符号の説明】
1 倣い溶接装置 2 溶接台車 3 溶接トーチ 4 走行レール 5 溶接アーム 6 前後移動手段 7 上下移動手段 8 水平回動手段 9 溶接機制御装置(ロボットコントローラ) 10 鉛直回動手段 11 センサユニット 12 レーザ照射装置 13 第1の撮像装置 13a, 撮像レンズ 14 第2の撮像装置 14a, 撮像レンズ 15 干渉フィルタ 16 減光フィルタ 17 画像処理装置 18 画像取り込み制御装置(外部トリガコン
トローラ) 19 溶接電源 20 カメラコントローラ 21 ホストコンピュータ

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1パス1レア溶接中に、開先にレーザ線
    状光を照射して撮像装置で光切断像を撮像し、この画像
    に基づいて溶接トーチのワイヤ先端位置を補正する倣い
    溶接方法において、 上記溶接トーチの進行方向前方の直近に位置する開先に
    レーザ線状光を照射し、溶接電流を低下させて溶滴短絡
    移行状態になった時に、干渉フィルタを備えた第1の撮
    像装置で光切断像を撮像し、近似処理により開先特徴点
    座標を抽出するようにしたことを特徴とする倣い溶接方
    法。
  2. 【請求項2】 前記レーザ線状光が、溶接トーチの進行
    方向前方30〜100mmに位置する開先に照射される
    請求項1に記載の倣い溶接方法。
  3. 【請求項3】 前記溶滴短絡移行状態の溶接電流が、開
    先手前位置で200A以下に設定される請求項1または
    請求項2に記載の倣い溶接方法。
  4. 【請求項4】 前記干渉フィルタが、当該レーザ光の波
    長±20nm以下に設定される請求項1乃至請求項3の
    いずれかに記載の倣い溶接方法。
  5. 【請求項5】 前記溶滴短絡移行状態において、短絡移
    行の間に前記光切断像を2回以上撮像し、これらの光切
    断像を2値化後、論理積演算処理により開先特徴点座標
    を抽出するようにした請求項1乃至請求項5のいずれか
    に記載の倣い溶接方法。
  6. 【請求項6】 減光フィルタを備えた第2の撮像装置で
    アーク光を撮像し、該アーク光の画像の重心点に初期設
    定値を加えた点をワイヤ先端位置とし、これに基づいて
    溶接トーチのワイヤ先端位置を補正するようにした請求
    項1乃至請求項5のいずれかに記載の倣い溶接方法。
  7. 【請求項7】 開先手前および開先奥における溶接電流
    の平均値の比が所定値以上になった場合にワイヤ先端位
    置が開先奥にあると判定し、これに基づいて溶接トーチ
    のワイヤ先端位置を補正するようにした請求項1乃至請
    求項6のいずれかに記載の倣い溶接方法。
  8. 【請求項8】 継手開先に沿って走行移動する溶接台車
    上に搭載された溶接トーチと、 該溶接トーチの進行方向前方30〜100mmに位置す
    る開先に対して垂直にレーザ線状光を照射するレーザ照
    射装置と、 該レーザ線状光の光切断像及びアーク光を上記溶接トー
    チの斜め前方から撮像する撮像装置と、 該光切断像から開先特徴点座標を近似処理により抽出す
    ると共に、上記アーク光の画像の重心点に初期設定値を
    加えてワイヤ先端位置を算出する画像処理装置と、 該画像処理装置の算出値に基づいて溶接トーチを制御
    し、ワイヤ先端位置を補正する溶接機制御装置とを備え
    ていることを特徴とする倣い溶接装置。
  9. 【請求項9】 前記撮像装置が、レーザ線状光の光切断
    像を撮像する第1の撮像装置と、アーク光を撮像する第
    2の撮像装置とからなり、第1の撮像装置には当該レー
    ザ光の波長±20nm以下の干渉フィルタが備えられて
    おり、第2の撮像装置には減光フィルタが備えられてい
    る請求項8に記載の倣い溶接装置。
  10. 【請求項10】 前記撮像装置が、CCDカメラによっ
    て形成されている請求項8または請求項9に記載の倣い
    溶接装置。
  11. 【請求項11】 前記画像処理装置に、溶接電圧が設定
    しきい値より低下した時に、トリガパルスを送信して画
    像取り込みを指示する画像取り込み制御装置が備えられ
    ている請求項8乃至請求項10のいずれかに記載の倣い
    溶接装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011002241A (ja) * 2009-06-16 2011-01-06 Nippon Steel Corp 高炉内装入物のプロフィル測定装置および測定方法
CN103008891A (zh) * 2011-09-23 2013-04-03 深圳市大族激光科技股份有限公司 利用激光进行坡口切割的方法及激光切割机

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