JPH08276269A - 倣い溶接方法 - Google Patents

倣い溶接方法

Info

Publication number
JPH08276269A
JPH08276269A JP7099791A JP9979195A JPH08276269A JP H08276269 A JPH08276269 A JP H08276269A JP 7099791 A JP7099791 A JP 7099791A JP 9979195 A JP9979195 A JP 9979195A JP H08276269 A JPH08276269 A JP H08276269A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
welding
groove
image
light
laser
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP7099791A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Maeda
剛 前田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP7099791A priority Critical patent/JPH08276269A/ja
Publication of JPH08276269A publication Critical patent/JPH08276269A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Image Analysis (AREA)
  • Image Processing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 開先の熱変形による倣いずれを防止すること
ができ、且つ、画像処理に伴うアーク光及びスパッタの
影響を完全に回避することができ、極めて精密な溶接倣
いを行うことができる倣い溶接方法を提供する。 【構成】 溶接前の開先特徴点座標を抽出すると共に、
溶接後の開先特徴点座標を抽出し、溶接前と溶接後の開
先特徴点座標を差分処理して、その差を溶接トーチ3の
ワイヤ先端位置の補正値とし、溶接倣いを行うようにし
たものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、横向き姿勢や下向き姿
勢の継手開先を倣いながら溶接する倣い溶接方法に係
り、特にレーザ光及び光学系等を利用して溶接倣いを自
動で行う倣い溶接方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高炉の炉体強度は鉄皮強度に依存してい
るため、高炉改修工事において、鉄皮溶接を高品質に行
うことが要望される。しかし、近年、熟練溶接工の確保
は難しく、且つ高炉鉄皮は厚板であるので、溶接品質を
均一化し、溶接能率を向上させるため、鉄皮溶接の自動
化が図られている。
【0003】従来より、この種の自動化技術として、レ
ーザ光及び光学系等により開先位置・形状を検出し、溶
接倣いを自動で行う技術が種々提案されており、例え
ば、特開昭61−19905号公報(以下、「引用例
1」という。)に開示されている「開先位置検出装置」
に関する発明と、特開平3−47680号公報(以下、
「引用例2」という。)に開示されている「開先倣い制
御装置」に関する発明が挙げられる。
【0004】引用例1には、「被溶接材表面に開先を横
断するスリット光を照射し、スリット光像をラスタスキ
ャン型の撮像装置にて撮像し、そのスリット画像を含む
画像信号に基づいて開先位置を検出する装置において、
撮像装置が出力する画像信号の2値化回路と、該2値化
回路の出力のうち時間幅が所定値以下である明部を暗部
に変換する雑音除去回路と、該雑音除去回路出力に基づ
きスリット画像の開先以外の部分を近似する線を特定す
る線決定手段と、前記雑音除去回路出力に基づきスリッ
ト画像が前記線から偏位する線の延在方向位置を特定す
る開先端縁検知手段とを具備する。」旨が開示されてい
る。
【0005】即ち、引用例1は、開先の各走査線上にお
ける明部の広狭に基づいてスパッタノイズ等の雑音成分
を除去し、また開先部分以外の明部の位置を近似する仮
想基準線を算出し、その仮想基準線と明部の中心位置と
の距離を算出し、この距離変化に基づき肩の位置を求め
ることにより、開先位置を正確に検出し得るようにした
ものである。
【0006】また、引用例2には、「溶接トーチの前方
に配設され、開先内の形状を検出するレーザ変位センサ
と、開先左右端内の溶接情報及び溶接ワイヤ先端位置情
報を検出するITVカメラと、これらの情報を演算して
溶接トーチ位置を制御する溶接機制御装置とを具備す
る。」旨が開示されている。
【0007】即ち、引用例2は、開先内形状情報を検出
すると共に、開先左右端内の溶接情報及び溶接ワイヤ先
端位置情報を検出し、これらの情報により溶接トーチ位
置を演算することにより、ビード形状に対応した溶接条
件にフィードバックして品質の高い溶接を行うものであ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、引用例1に
あっては、溶接前における計測のみを行っているため、
溶接熱による形状変形が顕著に生じ得る開先において
は、倣いずれが起こる可能性が高いという問題があっ
た。
【0009】また、引用例2にあっては、アーク光の影
響を完全に取り除くことが困難であった。即ち、アーク
光の影響を回避するために、レーザ照射部と溶接部とを
ある程度離す必要があり、その反面、これらの間の距離
が増大すると開先の熱変形やワイヤ先端の曲がり等に対
応し難くなり、精密な倣い溶接を行うことができないと
いう問題があった。
【0010】本発明の目的は、上記課題に鑑み、開先の
熱変形による倣いずれを防止することができ、且つ、開
先の熱変形やワイヤ先端の曲がり等に対応させるべくレ
ーザ照射部と溶接部とを近接させても、アーク光及びス
パッタの影響を完全に回避することができ、極めて精密
な溶接倣いを行うことができる倣い溶接方法及びこれに
使用する倣い溶接装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明に係る倣い溶接方法は、溶接前の開先に対してレ
ーザ線状光を照射し、光切断像を撮像して溶接前の開先
特徴点座標を抽出し、これを上記溶接トーチの進行方向
に行って溶接軌跡データを作成し、この溶接軌跡データ
に基づいて1パス1レア溶接を開始し、その溶接中に、
上記進行方向前方の直近に位置する開先にレーザ線状光
を照射し、溶接電流を低下させて溶滴短絡移行状態にな
った時に、干渉フィルタを備えた第1の撮像装置で光切
断像を撮像し、近似処理により溶接後の開先特徴点座標
を抽出し、溶接前と溶接後の開先特徴点座標を差分処理
し、その差に基づいて溶接トーチのワイヤ先端位置を補
正するようにしたものである。
【0012】好ましくは、上記溶滴短絡移行状態の溶接
電流が、開先手前位置で200A以下に設定されるもの
である。
【0013】また、好ましくは、上記溶滴短絡移行状態
において、短絡移行の間に前記光切断像を2回以上撮像
し、これらの光切断像を2値化後、論理積演算処理によ
り開先特徴点座標を抽出するようにしたものである。
【0014】或いは、1パス1レア溶接中に、レーザ照
射装置をオンして溶接トーチの進行方向前方の直近に位
置する開先にレーザ線状光を照射し、干渉フィルタを備
えた第1の撮像装置でレーザ光オン画像を取り込むと共
に、レーザ照射装置をオフして同一部位のレーザ光オフ
画像を取り込み、これらレーザ光オン画像とレーザ光オ
フ画像とを差分処理し、この差分処理画像を2組取り込
んだ後、各々の差分処理画像を2値化後、論理積演算処
理により開先特徴点座標を抽出するようにしたものであ
る。
【0015】好ましくは、上記溶接中に照射されるレー
ザ線状光が、溶接トーチの進行方向前方30〜100m
mに位置する開先に照射されるものである。
【0016】また、好ましくは、上記干渉フィルタが、
当該レーザ光の波長±20nm以下に設定されるもので
ある。
【0017】さらに、好ましくは、減光フィルタを備え
た第2の撮像装置でアーク光を撮像し、アーク光の画像
の重心点に初期設定値を加えた点をワイヤ先端位置と
し、これに基づいて溶接トーチのワイヤ先端位置を補正
するようにしたものである。
【0018】そして、好ましくは、開先手前および開先
奥における溶接電流の平均値の比が所定値以上になった
場合にワイヤ先端位置が開先奥にあると判定し、これに
基づいて溶接トーチのワイヤ先端位置を補正するように
したものである。
【0019】
【作用】上記倣い溶接方法の構成によれば、溶接前に開
先の光切断像を撮像するので、外乱光の影響が無く、容
易に溶接前の開先特徴点座標を抽出することができ、溶
接軌跡データの作成を正確に行うことができる。
【0020】この溶接軌跡データに基づいて1パス1レ
ア溶接を開始するが、溶接熱により開先の形状変形が生
じるため、溶接トーチの狙い位置がずれる可能性があ
る。そこで、溶接中には、レーザ線状光を溶接トーチの
進行方向前方の直近に位置する開先に照射している。こ
れは、レーザ光照射部と溶接部とを近接させて、溶接熱
による開先の形状変形等に対応させるためである。この
ようにレーザ光照射部と溶接部とを近接させても、溶接
電流を低下させて溶滴短絡移行状態とし、アーク光が低
減した時に、レーザ光の相対強度を上げる干渉フィルタ
を備えた第1の撮像装置で光切断像を撮像するので、ア
ーク光の影響を完全に回避することができる。
【0021】このようにして撮像した溶接中の光切断像
から近似処理、即ち、直線近似及び/又は曲線近似によ
り溶接後開先特徴点座標を抽出し、これと上記溶接前開
先特徴点座標とを差分処理し、その差を溶接トーチのワ
イヤ先端位置の補正値とすることにより、精密な溶接倣
いを行うことができるものである。
【0022】特に、溶接中のレーザ線状光を、溶接トー
チの進行方向前方30〜100mmに位置する開先に照
射するようにすれば、開先の熱変形等に確実に対応する
ことができる。溶接進行方向前方30〜100mmに設
定したのは、30mm未満であるとアーク光の影響が強
過ぎるからであり、100mmを超えると溶接熱による
開先の形状変形等に対応し難くなるからである。
【0023】また、上記溶滴短絡移行状態の溶接電流を
200A以下に設定するのは、強烈なアーク光の影響を
避けるために、溶滴短絡移行時にアーク光が低減するこ
とに着目したからである。そして、溶接電流を200A
以下に設定するのを開先手前位置としたのは、溶接品質
に比較的影響のない位置だからである。
【0024】さらに、上記干渉フィルタを当該レーザ光
の波長±20nm以下に設定するのは、半導体レーザの
波長は±20程度の変動があるため、フィルタにも同様
の半値幅が必要だからである。
【0025】そして、上記溶滴短絡移行状態において、
短絡移行の間に前記光切断像を撮像するのは、短絡移行
の際にはアークが瞬間的に切れるからである。この短絡
移行の間に光切断像を2回以上撮像し、これらの光切断
像を2値化後、論理積演算処理により開先特徴点座標を
抽出するのは、溶接中における光切断像はスパッタ等の
ノイズ画像成分を多く含んでいるため、複数面の2値化
画像間において論理積演算処理を行うことにより不特定
箇所に現れるこれらのノイズを除去するためである。
【0026】或いは、1パス1レア溶接中に、溶接トー
チの進行方向前方の直近に位置する開先のレーザ光オン
画像を取り込むと共に、同一部位のレーザ光オフ画像を
取り込み、これらレーザ光オン画像とレーザ光オフ画像
とを差分処理している。これは、レーザ光オン画像とレ
ーザ光オフ画像との差分をとることにより、アーク光及
び溶融池の影響を低減するためである。
【0027】また、この差分処理画像を2組取り込んだ
後、各々の差分処理画像を2値化後、論理積演算処理を
行っている。これは、スパッタのように画像内にランダ
ムに出現するノイズを除去するためである。従って、ア
ーク光及び溶融池の影響が低減されると共に、ノイズが
除去されるので、正確な開先特徴点座標を抽出すること
ができるものである。
【0028】このようにして開先特徴点座標を抽出する
場合にも、レーザ線状光は溶接トーチの進行方向前方3
0〜100mmに位置する開先に照射され、干渉フィル
タは当該レーザ光の波長±20nm以下に設定される。
【0029】また、上記第2の撮像装置は減光フィルタ
を介してアーク光を撮像するので、強烈なアーク光を点
形状に撮像することができる。このアーク光画像の重心
点に初期設定値を加えて、アーク点であるワイヤ先端位
置を算出し、この算出値を上記光切断像より求めた開先
特徴点座標と比較して、そのずれ分を補正値としてトー
チ狙い位置に加えれば、精密な溶接倣いを行うことがで
きるものである。
【0030】さらに、開先手前および開先奥における溶
接電流の平均値の比が所定値以上になった場合に、ワイ
ヤ先端位置が開先奥にあると判定している。即ち、開先
手前から奥に移動する際の溶接電流の平均値を記録す
る。次に、開先奥での溶接電流の平均値と開先手前での
平均値とを比較し、その比率がある設定値以内であれば
ワイヤ先端位置が開先奥にあると判定する。この判定に
基づいて、精密な溶接倣いが行われることになる。
【0031】
【実施例】以下、本発明に係る倣い溶接方法の好適実施
例を添付図面に基づいて詳細に説明する。本実施例の倣
い溶接方法は、図1に示すような倣い溶接装置を使用し
て行われる。図示するように、倣い溶接装置1の溶接台
車2は、溶接トーチ3を支持しながら走行レール4に沿
って走行移動するように成っている。
【0032】上記走行レール4は、被溶接物(図示せ
ず)の横向き姿勢や下向き姿勢の継手開先と略平行に設
置される。従って、溶接台車2は、走行レール4の長手
方向に沿って略水平に走行移動することになる。この走
行レール4には直状走行レールと円弧状走行レールとを
使用することができ、曲面を有する被溶接物をも溶接対
象にすることができる。従って、円弧状走行レールを使
用すれば、この倣い溶接装置1を高炉鉄皮の周方向継手
の溶接に適用することができる。
【0033】また、溶接台車2の下方には、溶接アーム
5に支持されて、溶接トーチ3が配置されている。溶接
アーム5は、溶接台車2に配置されている前後移動手段
6、上下移動手段7及び水平回動手段8を介して溶接台
車2と接続されている。
【0034】前後移動手段6は溶接トーチ3を被溶接物
の板厚方向に移動させ、上下移動手段7は溶接トーチ3
を上下方向に移動させ、水平回動手段8は溶接トーチ3
を水平面内で回動させる手段であり、それぞれ溶接機制
御装置9に接続されている。
【0035】よって、前後移動手段6、上下移動手段7
及び水平回動手段8は、溶接機制御装置9で演算した回
転速度・位置に従ってモータ駆動される歯車機構(図示
せず)により作動されるように成っている。特に、水平
回動手段8は、被溶接物の曲率軸と溶接トーチ3の軸と
が常に平行になるようにモータの回転速度・位置の制御
が行われる。
【0036】即ち、前後移動手段6により溶接トーチ3
を前後に、上下移動手段7により溶接トーチ3を上下に
動作させることができ、さらに、これらを溶接機制御装
置9によって制御することにより、溶接トーチ3の狙い
を上下左右自由に決定することができる。
【0037】また、水平回動手段8により、溶接トーチ
3を水平面内で回動することができる。従って、走行レ
ール4と被溶接物との曲率が違う場合には、水平回動手
段8を動作させることで、溶接トーチ3の向きを被溶接
物に対して常に一定方向に保つことができる。これによ
って、被溶接物の曲率に合わせて数種類の走行レール4
を準備する必要がなく、1種類の走行レール4で異なっ
た曲率を有する被溶接物の溶接が可能である。
【0038】そして、溶接アーム5のトーチ取付部に
は、円弧状を呈する鉛直回動手段10が設けられてい
る。この鉛直回動手段10は溶接トーチ3を鉛直面内で
回動させる手段であり、溶接機制御装置9で演算した回
転速度・位置に従ってモータ駆動される歯車機構(図示
せず)により作動されるように成っている。この鉛直回
動手段10により、溶接トーチ3が、溶接ワイヤ先端
(溶接アーク点)を中心に円弧を描いて回動するので、
溶接アークが振れることなく、鉛直面内で溶接トーチ3
の傾き角度を変化させることができる。
【0039】また、溶接台車2には、図2に示すセンサ
ユニット11が連結装備され、上記継手の開先形状や上
記溶接トーチ3のワイヤ先端位置を検出するように成っ
ている。図示するように、センサユニット11内には、
継手開先に向けてレーザ線状光を照射するレーザ照射装
置12と、レーザ線状光の光切断像を撮像する第1の撮
像装置13と、溶接トーチ3のアーク光を撮像する第2
の撮像装置14とが収納されている。
【0040】レーザ照射装置12は、波長680±10
nm、出力35mWの半導体レーザによって構成されて
おり、レーザ光を線状にするためのコリメートレンズ、
シリンドリカルレンズが使用されている。
【0041】上記レーザ光の波長を680nmに設定し
たのは、次のような理由による。即ち、アーク光のスペ
クトルは、Feやシールドガス(Ar等)の特性スペク
トル強度分布に近く、600〜700nm近辺の波長に
おいて強度が減少する。また、溶融池放射光のスペクト
ルは、可視光から赤外光波長域にかけて波長が長くなる
にしたがって強度が増加する。そこで、本実施例では、
計測に用いるレーザ光の波長を、アーク光や溶融池放射
光の影響を受けにくい680nmに設定することとし
た。
【0042】第1の撮像装置13は、レーザ線状光の光
切断像を撮像するが、外部からのトリガ信号に対して約
1μSの遅れ後、電子ランダムシャッタを設定時間内に
おいて開くことが可能なCCDカメラが採用されてい
る。
【0043】この第1の撮像装置13の撮像レンズ13
aの手前には、レーザ光の波長(680nm)±10n
mの波長を有する干渉フィルタ15が備えられている。
干渉フィルタ15の波長をレーザ波長±10nmに設定
したのは、レーザ光の相対強度を上げるために干渉フィ
ルタを使用しているが、半導体レーザの波長には±10
nm程度の変動があるため、干渉フィルタ15にも同様
の半値幅が必要だからである。
【0044】また、第2の撮像装置14もCCDカメラ
によって構成されており、その撮像レンズ14aの手前
には減光フィルタ16が備えられている。第2の撮像手
段14は強烈なアーク光を点形状に撮像するため、透過
率0.1%以下の減光フィルタ16を使用している。
【0045】本実施例にあっては、第1の撮像装置13
及び第2の撮像装置14としてCCDカメラを採用して
いるが、CCDカメラは撮像管カメラに比べ、小型かつ
取扱いが容易であり、焼き付け等の不具合が無いという
利点がある。また、2次元CCD素子を使用した場合に
は、1次元のものに比して、機械式のレーザ光スキャン
が不要であるため故障が少なく、2次元情報を扱うた
め、形状認識等の画像処理を行うことが容易であるとい
う利点がある。
【0046】第1の撮像装置13及び第2の撮像装置1
4は、撮像したレーザ線状光の光切断像やアーク光の画
像を演算処理する画像処理装置17と接続されている。
この画像処理装置17は、光切断像から開先特徴点座標
を近似処理、即ち、直線近似及び/又は曲線近似により
抽出すると共に、アーク光の画像の重心点に初期設定値
を加えてワイヤ先端位置を算出する演算手段である。ま
た、画像処理装置17は、溶接電圧が設定しきい値より
低下するか否かを監視して画像取り込み位置を制御する
画像取り込み制御装置18と接続されている。
【0047】そして、画像処理装置17及び画像取り込
み制御装置18は、画像処理装置17の算出値に基づい
て溶接トーチ3を制御し、ワイヤ先端位置を補正する溶
接機制御手段9とそれぞれ接続されている。
【0048】また、上記レーザ照射装置12は、上記溶
接トーチ3の進行方向前方30〜100mmに位置する
開先に対して垂直にレーザ線状光を照射するように、セ
ンサユニット11内で位置設定されている。さらに、第
1の撮像装置13又は第2の撮像装置14は、光切断像
又はアーク光を溶接トーチ3の斜め前方からそれぞれ撮
像するように、センサユニット11内で位置設定されて
いる。
【0049】上記倣い溶接装置1を使用して、本実施例
の倣い溶接方法は以下のように行われる。本実施例の倣
い溶接方法は、例えば、高炉鉄皮の周継手開先を溶接す
る際に採用され、1パス・1レア・トーチ角度変化の横
向き溶接法により行う。即ち、本実施例の倣い溶接方法
は、まず溶接に先立って、センサユニット11内に収納
されたレーザ照射装置12から溶接前の開先にレーザ線
状光を照射し、第1の撮像装置13により光切断像を撮
像する。
【0050】次に、画像処理装置17が、この光切断像
から図3に示すような溶接前の開先特徴点座標を抽出す
る。この計測は、溶接台車2及びセンサユニット11を
走行レール4に沿って走行移動させながら行われ、さら
に溶接前の開先特徴点座標を3次元座標変換することに
より、溶接ウィービング軌跡データを作成する。このよ
うに、溶接前に開先の光切断像を撮像するので、外乱光
の影響を受けることが無く、容易に溶接前の開先特徴点
座標を抽出することができ、溶接軌跡データの作成を正
確に行うことができる。
【0051】そして、この溶接軌跡データに基づいて、
溶接トーチ3の狙い位置、ウィービング幅及び積層厚等
を決定し、溶接を開始する。その際、溶接台車2を走行
レール4に沿って走行移動させ、溶接機制御装置9で前
後移動手段6、上下移動手段7、水平回動手段8及び鉛
直回動手段10を4軸制御して溶接トーチ3をウィービ
ング動作させることにより、自動倣い溶接を行う。
【0052】また、溶接中にも、上記レーザ照射装置1
2から溶接トーチ3の進行方向前方の直近に位置する開
先にレーザ線状光を照射する。具体的には、レーザ照射
装置12は、溶接トーチ3の溶接点から溶接進行方向前
方に30〜100mm程度離れた位置の開先に対して垂
直にレーザ線状光を照射する。レーザ線状光の照射位置
を溶接トーチ3の進行方向前方30〜100mmに設定
したのは、30mm未満であるとアーク光の影響が強過
ぎるからであり、100mmを超えると高炉鉄皮のよう
な極厚板長尺の開先では溶接熱による形状変形等に対応
し難くなるからである。
【0053】次に、溶接電流を低下させて溶接トーチ3
から繰り出される溶接ワイヤを溶滴短絡移行状態にす
る。具体的には、開先手前位置で溶接電流を200A以
下に下げて、溶接ワイヤを溶滴短絡移行状態にする。溶
接電流を200A以下に設定するのは、強烈なアーク光
の影響を避けるために、溶滴短絡移行時にアーク光が低
減することに着目したからである。
【0054】即ち、本実施例で採用するマグ溶接の場
合、溶接電流が200Aを超えると溶接ワイヤの溶滴が
スプレー移行状態となり、アーク光が低減しない。その
ため、図4に示すように、ウィービング軌跡Wが開先手
前部A〜Bの位置(Aは溶接電流低下開始点、Bは溶接
電流低下終了点)で溶接電流を200A以下に落とすこ
とにより、計測を可能としている。開先手前部A〜Bの
位置で溶接電流を低下させるのは、溶接品質に比較的影
響の無い部位だからである。
【0055】溶滴短絡移行状態になることによって、
A’の位置近辺でアーク光が低減する瞬間、すなわち画
像取り込み制御装置18で溶接電圧を監視し、設定しき
い値より低下した瞬間に、干渉フィルタ15を備えた第
1の撮像装置13の電子ランダムシャッターを開いてレ
ーザ線状光の光切断像を撮像する。干渉フィルタ15の
波長は、強烈なアーク光の影響を避けるべく、レーザ光
の波長(680nm)±10nm以下に設定されてお
り、第1の撮像装置13で撮像した光切断像は画像処理
装置17に入力される。
【0056】即ち、図5に示すように、開先手前電圧設
定値をVa、しきい値を0.6Vaとすると、溶接電圧
V≦0.6Vaとなる信号の立ち下がりに同期してトリ
ガパルスTP(1ms以上負論理)を出力する。このト
リガパルスTPに対して約1μSの遅れ後、第1の撮像
装置13の電子ランダムシャッタが設定時間内において
開くことになる。
【0057】さらに詳述すると、図6に示すように、短
絡期間は溶接電流を低下させる開先手前部においてであ
るが、第1の撮像装置13が溶接方向に対して停止して
いる期間を撮像取り込み可(イネーブル)とする。
【0058】そして、図7に示すように、画像取り込み
制御装置(外部トリガコントローラ)18で溶接電源1
9の溶接電圧Vを監視し、溶接電圧Vがしきい値0.6
Vaまで低下したら、その立ち下がりに同期してトリガ
パルスTPを発生する。
【0059】トリガパルスTPはカメラコントローラ2
0のR.R.入力(リセット・リスタート)に入り、電
子ランダムシャッタを切ると同時にホストコンピュータ
21において割り込みを発生し、それがイネーブル期間
ならば画像処理装置17に画像取り込みを指令するもの
である。尚、溶接電源19は、溶接機制御装置(ロボッ
トコントローラ)9を介して、ホストコンピュータ21
と接続されている。
【0060】干渉フィルタ15や電子ランダムシャッタ
による撮像のみでは画像計測には不十分であるため、画
像処理による画質改善を行う。即ち、溶滴短絡移行状態
において、短絡移行の間に第1の撮像装置13により光
切断像を2回撮像する。光切断像を2回撮像するのは、
溶接中におけるレーザ線状光の光切断像は、画像内にス
パッタ等のノイズ画像成分を多く含んでいるため、複数
面の2値化処理(白黒・濃淡処理)した画像間において
論理積演算処理を行うことにより不特定箇所に現れるこ
れらのノイズを除去するためである。
【0061】具体的には、図4において、A’の位置で
撮像した光切断像(図8(a)に示す。)を画像メモリ
に記録しておき、A’の次に短絡した瞬間A''の光切断
像(図8(b)に示す。)を取り込み、記録した画像と
共に2値化処理及び平滑化処理を行った後、2つの画像
間で画素毎の論理積(AND)処理を行い、ノイズ画像
を除去する(図8(c)に示す。)。必要であれば、そ
の次の画像とも同様の論理積演算を行う。
【0062】次に、AND処理画像に対して、孤立点・
端点除去を行う。即ち、2値化画像に対して3×3平滑
化フィルタ処理(平滑化オペレータ)を施した後、2回
目の2値化処理を行う。平滑化後の2値化画像に対して
X方向微分処理(差分オペレータ)を行い線画像変換を
行う。そして、直線近似法を用いて図8(d)に示す開
先内特徴点(初層)を抽出し、これを3次元座標変換す
ることにより、所望の座標値を得る。
【0063】第2層目以降については、図8(e)に示
すように直線部の延長線上にある点を特徴点として抽出
する。
【0064】具体的には、開先特徴点を検出するため
に、分割・合成法(始点・終点近似)および追跡法(コ
ーン交差法)と呼ばれる直線近似法及び/又は曲線近似
法を用いて算出する。尚、この近似処理の詳しい内容
は、大沢裕ほか著作の「図面の認識と理解」(株)昭晃
堂に記述されている。
【0065】即ち、図9に示す特徴点抽出フローに基づ
いて、開先特徴点の抽出を行う。図示するように、ま
ず、ステップ(ST)1でサーチウインドウを設定し、
ウインドウ内始点・終点を検出する(ST2)。
【0066】具体的には、図10に示すように、追跡法
によってP1,P2,P2’を検出する場合、Ps(始
点)、Pe(終点)を決定し、図11に示すサーチウイ
ンドウによって画素を追跡する。即ち、Psからは図1
1(a)に示す下向きサーチウインドウを使用し、Pe
からは図11(b)に示す上向きサーチウインドウを使
用する。
【0067】そして、画素Cから見た近傍における画素
連結状態を調べ、最も優先度の高いものを次の追跡画素
とする。下向き優先順位はPD>PRD>PLD>PR
>PLであり、上向き優先順位はPU>PRU>PLU
>PR>PLである。
【0068】また、連結が途切れた場合は、図12に示
すように、サーチウインドウをシフトする。即ち、ウイ
ンドウ中心画素CをC1,C2,C3の位置にシフト
し、そこを新たに中心Cとしたウインドウを生成する。
この場合の優先順位は、C1>C2>C3である。シフ
トしても連結が見つからない場合は、元の中心画素を特
異点とする。
【0069】サーチウインドウで画素を検出した後、そ
れが直線に当てはまるか否かを調べるが、最初にPsよ
り下向きに画素を追跡し、次のようにP1を求める(S
T3)。まず、ステップ3は、図13に示すように、
始点画素Psと次に追跡する画素Q1を選択する。この
場合、Q1は次に連結している画素とは限らない。ま
た、中心がQ1で半径rの円に対してPsより2本の接
線を引き、その囲まれた領域をS1とする。尚、Q1は
半径rの値によって決定し、線分PsQ1>rである。
そして、Q1をQi、S1をSiとし、次のステップ3
へ進む。
【0070】ステップ3は、Qiの次に連結する画素
Qi+1をサーチウインドウで検索し、これが領域Si
の中にあればステップ3へ進む。一方、Qi+1が存
在しないか、或いは領域Siの中に無ければ、Qiを特
徴点P1とする。
【0071】ステップ3は、中心Qi+1で半径rの
円に対してPsより2本の接線を引く。そして、これら
に囲まれた領域をSi+1とし、SiとSi+1の共通
領域をSi、Qi+1をQiとしてステップ3に戻
る。
【0072】同様に、Peより上向きに画素を追跡し、
P2を求める(ST4)。この処理は、上記ステップ3
〜と同様のステップを繰り返す。但し、サーチウイ
ンドウは、上向きのものを使用する。
【0073】次に、図14に示すように、P0の検出を
行うが、開先奥部分は線画像が途切れる場合が多く追跡
法が使えないため、分割・合成法(始点・終点近似法)
を用いる。追跡法で求めたP1,P2を始点・終点とし
た線分に対するユークリッド距離が最大となる画素を求
め、これをP0とする(ST5,ST6)。即ち、P
1,P2の座標を各々(X1,Y1),(X2,Y2)
とすると、画素Pj(Xj,Yj)からの線分P1P2
への距離Ejは、次式で表される。
【数1】
【0074】また、図15に示すように、X方向はWX
1からWX2まで、Y方向はY1からY2までの距離計
算を行う。そして、ノイズ等の影響を避けるため、画素
検出を順方向と逆方向から行い、座標が一致したものだ
けを有効とする。この場合、X方向微分により、1画素
/1LINEとなっている。
【0075】次に、初回溶接であれば(ST7)、半径
rを大きめに設定し、Peを始点として追跡法によりP
2’を検出する(ST8)。点Ps(Xs,Ys)から
点Pi(Xi,Yi)を中心とする半径rの円への接線
の式は以下の通りである。
【数2】 また、点(a,b)が上記接線の式で囲まれた領域の中
にあるためには、以下の式が成立する。
【数3】
【0076】次に、図16に示すように、P0’の検出
を行う。即ち、変形追跡法により、線分P1P2とP
2’P0に対する近似直線(P1,P2’を通る)を求
め、その交点をP0’とする(ST9,ST10)。即
ち、P1を始点とし、P0まで画素を検出し(分割・合
成法と同様に順方向・逆方向で行い、サーチウインドウ
は使用しない。)、次のように直線上に当てはまるか否
かを調べる。
【0077】まず、ステップ9は、P0を中心とした
半径r0の円を描き、P1からこの円に対して2本の接
線を引く。そして、P1の次の画素Q1が接線で囲まれ
た領域S0の中に入っているか否かを調べる。これをQ
1が検出されるまで繰り返す。ただし、線分P0Q1>
rであり、ステップ9で使用する。
【0078】ステップ9は、中心がQ1で半径rの円
にP1より2本の接線を引き、その囲まれた領域をS1
とする。そして、Q1をQi、S1をSiとし、次のス
テップ9へ進む。
【0079】ステップ9は、Qiの次の画素Qi+1
を探し、これが領域Siの中にあればステップ9へ進
む。一方、領域Siの中に入っていなければ、このステ
ップ9を繰り返す。そして、Y方向がY0(P0のY
座標)となったら、後述するステップ9へ進む。
【0080】ステップ9は、Qi+1を中心として半
径rの円を描き、Psよりこの円へ2本の接線を引く。
これらに囲まれた領域をSi+1とし、SiとSi+1
の共通領域をSi、Qi+1をQiとして、ステップ9
に戻る。
【0081】ステップ9は、線分P1Qiの直線式を
求める。同様に、P2を始点とし、線分P2Qi’の直
線式を求め、線分P1Qiと線分P2Qi’の交点をP
0’とする(ST10)。
【0082】そして、座標データを送信した後(ST1
1)、ステップ2に戻る。また、上記ステップ7におい
て、初回溶接でない場合は、直ちに座標データが送信さ
れる(ST11)。
【0083】次に、以上のようにして抽出した溶接前と
溶接後の開先特徴点座標を差分処理し、その差を溶接ト
ーチのワイヤ先端位置の補正値とする。即ち、開先特徴
点座標を溶接前と溶接中で比較し、その差分値が設定範
囲内であるならば、溶接前計測値を基に開先手前・奥に
おけるトーチ狙・揺動幅をオンラインで変更し、次から
のウィービング制御データにこの差分値を補正値として
計測データに加える。
【0084】差分値が設定範囲を越えた場合は、溶接中
計測データを無効とし、溶接前計測を基に倣い制御を行
う。また、積層厚の変化分を次層溶接に反映させるた
め、ウィービングピッチを変更する。その際、溶接機制
御装置9で前後移動手段6、上下移動手段7、水平回動
手段8及び鉛直回動手段10を4軸制御することによ
り、溶接熱による開先の形状変化に応じた精密な溶接倣
いを行うことができるものである。
【0085】或いは、図17に示す光切断像入力フロー
によっても、開先内特徴点を抽出することができる。こ
のフローは、トリガパルスに同期させてレーザ照射手段
12から照射されるレーザ線状光をオン・オフさせ、レ
ーザ光オン画像とレーザ光オフ画像との差分をとること
により、アーク光や溶融池放射光の影響を回避する。ま
た、図18(a)(b)に示す濃度変換テーブルにおい
て高輝度(輝度が高く飽和している状態)の部分を0デ
ータとし、スパッタ等の影響を極力抑えるものである。
尚、テーブル入出力ともに8ビットであるため、とり得
る値は0〜255である。
【0086】図示するように、まず、ステップ(ST)
21で、2値化ウインドウメモリ・濃度変換テーブルを
設定する。
【0087】次に、図19(a)(b)、図20及び図
21に示すように、第1の撮像手段13によりレーザ光
オン画像〔A〕を取り込むと共に(ST22)、レーザ
光オフ画像〔B〕を取り込み(ST23)、これらの画
像〔A〕〔B〕の差分処理〔A−B〕を行った画像
〔E〕を得る(ST24)。この場合、レーザ光オン画
像〔A〕にはアーク光、スパッタ及び光切断像が撮像さ
れ、レーザ光オフ画像〔B〕にはアーク光及びスパッタ
が撮像されている。そして、差分処理画像〔E〕では、
アーク光は消失するが、最初のスパッタ等のノイズは残
存する。
【0088】同様にして、第1の撮像手段13によりレ
ーザ光オン画像〔C〕を取り込むと共に(ST25)、
レーザ光オフ画像〔D〕を取り込み(ST26)、取り
込んだ画像〔C〕〔D〕の差分処理〔C−D〕を行った
画像〔F〕を得る(ST27)。
【0089】そして、差分処理画像〔E〕〔F〕を2値
化処理した後(ST28)、2値化処理画像〔E’〕
〔F’〕をAND処理した画像〔G〕では、スパッタが
ランダムに出現するという前提の下に、スパッタ等のノ
イズが消失する(ST29)。
【0090】その後、AND処理画像に対して、図22
に示すように、3×3平滑化フィルタ処理を施して孤立
点・端点除去を行う(ST30)。さらに、図23
(a)又は(b)に示すように、平滑化後の2値化画像
に対してX方向微分処理(差分オペレータ)を行って線
画像変換を行った後(ST31)、特徴点抽出処理を行
う。この特徴点抽出処理は、図9に示した特徴点抽出フ
ローに基づいて行うものである。
【0091】一方、第2の撮像装置14では、減光フィ
ルタ16を使ってアーク光輝度を減少させ、点状画像と
なるようにアーク光を撮像する。この減光フィルタ16
には、前述のように透過率0.1%以下のものを使用し
ており、強烈なアーク光を点形状に撮像することができ
る。具体的には、図4に示したように、ウィービング軌
跡が開先手前部B’および開先奥部Cの位置にあるとき
に、第2の撮像装置14がアーク光を撮像し、これを画
像処理装置17に取り込む。
【0092】画像処理装置17は、第2の撮像装置14
で撮像した点形状のアーク光画像を2値化処理した後、
これの重心点を検出する。この重心点にある初期設定値
を加えることにより、アーク点であるワイヤ先端位置を
算出し、これを3次元座標変換することにより、所望の
座標値を得る。
【0093】ここで、アーク光画像に加える初期設定値
について説明する。図24(a)に示すように、溶接開
始点における開先手前・奥に接触するワイヤ先端のカメ
ラ画像上の座標を各々(Xa,Ya)、(Xb,Yb)
とし、また図24(b)に示すように、溶接開始直後の
開先手前・奥におけるアーク光画像の重心点を各々(X
a’,Ya’)、(Xb’,Yb’)とすると、初期設
定値は以下のようになる。
【0094】即ち、開先手前初期設定値は、DXa=X
a−Xa’、DYa=Ya−Ya’となる。一方、開先
奥初期設定値は、DXb=Xb−Xb’、DYb=Yb
−Yb’となる。
【0095】このとき、図25に示すように、アーク光
画像の最大径が50画素程度になるように画像調整を行
うため、これらの上下限は次の数式の通りとする。
【数4】 このように溶接中(1回目ウィービング)において初期
設定値を算出し、2回目ウィービング以降に加えてゆ
き、所望の座標値を得る。
【0096】そして、この算出座標値を光切断像より求
めた開先特徴点座標と比較して、そのずれ分を補正値と
してトーチ狙い位置に加え、その結果に基づいて、溶接
機制御装置9が溶接トーチ3のワイヤ先端位置を補正す
る。
【0097】具体的には、溶接機制御装置9は、算出し
た開先特徴点座標を基に開先手前・奥におけるトーチ狙
い位置や揺動幅をオンラインで変更する。このとき、図
8(d)に示したように、ワイヤ先端位置座標と開先手
前P2点又は開先奥P0点とをそれぞれ比較し、ずれが
ある場合はその差を補正値として溶接トーチ3の制御を
行う。さらに、積層厚の変化分を次層溶接に反映させる
ため、ウィービングピッチを変更する。
【0098】また、開先手前および開先奥における溶接
電流の平均値の比が所定値以上になった場合に、ワイヤ
先端位置が開先奥にあると判定する。具体的には、開先
手前から開先奥に移動する際の溶接電流の平均値を取り
記録する。
【0099】次に、開先奥での溶接電流の平均値を取
り、記録している開先手前での平均値と開先奥での平均
値を比較し、その比率がある設定値以内であればワイヤ
先端位置が開先奥にあると判定する。
【0100】具体的には、図26に示す開先手前A〜
A’位置の溶接電流の平均値Iaは、次のような数式で
表される。
【数5】 また、図26に示す開先奥B〜B’位置の溶接電流の平
均値Ibは、次のような数式で表される。
【数6】 これら実績値(平均値)の比であるK(K=Ib/I
a)が設定値k(k=ib/ia、ia:開先手前電流
設定値、ib:開先奥電流設定値)の0.9倍以上のと
きに、ワイヤ先端位置が開先奥にあると判定する。
【0101】ワイヤ先端位置を判定した場合、溶接トー
チのワイヤ先端位置を次のように補正する。即ち、ワイ
ヤ先端位置が開先奥でないと判定した場合、アーク画像
重心からワイヤ先端座標点を算出するための初期設定値
に予め設定しておいた補正値を加え、これを次からのワ
イヤ先端位置の算出に使用することにより、極めて精密
な倣い溶接を行うことができるものである。
【0102】以上のように本実施例の倣い溶接方法は、
溶接前と溶接後の開先特徴点座標を差分処理し、その差
を溶接トーチ3のワイヤ先端位置の補正値とすることに
より、開先の熱変形による倣いずれを防止することがで
きる。また、レーザ光オン画像とレーザ光オフ画像とを
差分処理することにより、アーク光の影響を回避するこ
とができる。さらに、論理積演算処理をすることによ
り、スパッタ等のノイズを除去することができる。
【0103】以上の点に加えて、ワイヤ先端位置の正確
な算出により、開先の熱変形やワイヤ先端の曲がり等に
対応し、極めて精密な溶接倣いを行うことができるもの
である。
【0104】
【発明の効果】以上述べたように、本発明に係る倣い溶
接方法によれば、開先の熱変形による倣いずれを防止す
ることができ、且つ、開先の熱変形やワイヤ先端の曲が
り等に対応させるべくレーザ照射部と溶接部とを近接さ
せても、アーク光及びスパッタの影響を完全に回避する
ことができ、極めて精密な溶接倣いを行うことができる
という優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の倣い溶接方法に使用する倣い溶接装
置の全体構造を示す概略図である。
【図2】倣い溶接装置におけるセンサユニットの内部構
造を示す平面図である。
【図3】本実施例の倣い溶接方法において、溶接前の開
先特徴点座標を示す説明図である。
【図4】本実施例の倣い溶接方法において、ウィービン
グ状況及び溶接電流低下位置を示す概略図である。
【図5】本実施例の倣い溶接方法において、溶接電圧と
設定しきい値との関係を示す説明図である。
【図6】本実施例の倣い溶接方法において、ウィービン
グでの電子シャッタ作動期間を示す説明図である。
【図7】本実施例の倣い溶接方法において、トリガパル
スによる電子シャッタ作動の装置ブロックを示す概略図
である。
【図8】本実施例の倣い溶接方法において、開先内特徴
点の抽出状況を示し、(a)はA’における光切断像の
説明図、(b)はA''における光切断像の説明図、
(c)は論理積演算後の画像の説明図、(d)は初層特
徴点の説明図、(e)は2層目以降の特徴点の説明図で
ある。
【図9】本実施例の倣い溶接方法において、開先特徴点
の抽出フローを示す説明図である。
【図10】本実施例の倣い溶接方法において、開先内特
徴点の抽出概念を示す説明図である。
【図11】本実施例の倣い溶接方法において、開先内特
徴点の抽出に使用するサーチウインドウを示し、(a)
は上向きサーチウインドウの説明図、(b)は下向きサ
ーチウインドウの説明図である。
【図12】本実施例の倣い溶接方法において、開先内特
徴点の抽出に使用するサーチウインドウのシフト状況を
示す説明図である。
【図13】本実施例に採用する開先内特徴点の抽出にお
いて、追跡法によるP1の検出状況を示す説明図であ
る。
【図14】本実施例に採用する開先内特徴点の抽出にお
いて、分割・合成法によるP0の検出状況を示す説明図
である。
【図15】本実施例に採用する開先内特徴点の抽出にお
いて、距離計算によるP0の検出状況を示す説明図であ
る。
【図16】本実施例に採用する開先内特徴点の抽出にお
いて、変形追跡法によるP0’の検出状況を示す説明図
である。
【図17】本実施例の倣い溶接方法において、光切断像
入力フローを示す説明図である。
【図18】本実施例の倣い溶接方法において、濃度変換
テーブルを示し、(a)はリニアの説明図、(b)はス
ライスの説明図である。
【図19】本実施例の倣い溶接方法において、第1の撮
像装置により画像を取り込む状況を示し、(a)はレー
ザ光オン画像の撮像状況の概略図、(b)はレーザ光オ
フ画像の撮像状況の概略図である。
【図20】本実施例の倣い溶接方法において、溶接前と
溶接後の開先特徴点座標の差分処理、2値化処理及びA
ND処理を示す説明図である。
【図21】本実施例の倣い溶接方法において、溶接前と
溶接後の開先特徴点座標の差分処理、2値化処理及びA
ND処理を示す説明図である。
【図22】本実施例の倣い溶接方法において、平滑化フ
ィルタを示す説明図である。
【図23】本実施例の倣い溶接方法において、差分オペ
レータを示す説明図である。
【図24】本実施例に採用するワイヤ先端位置の検出に
おいて、初期設定値の算出状況を示し、(a)は溶接前
ワイヤ先端位置の説明図、(b)は溶接中アーク光画像
重心の説明図である。
【図25】本実施例に採用するワイヤ先端位置の検出に
おいて、アーク光の最大径と画素との関係を示す説明図
である。
【図26】本実施例に採用するワイヤ先端位置の検出に
おいて、開先奥と判定する溶接電流・電圧の平均値及び
標準偏差の範囲を説明するための図である。
【符号の説明】
1 倣い溶接装置 2 溶接台車 3 溶接トーチ 4 走行レール 5 溶接アーム 6 前後移動手段 7 上下移動手段 8 水平回動手段 9 溶接機制御装置(ロボットコントローラ) 10 鉛直回動手段 11 センサユニット 12 レーザ照射装置 13 第1の撮像装置 13a 撮像レンズ 14 第2の撮像装置 14a 撮像レンズ 15 干渉フィルタ 16 減光フィルタ 17 画像処理装置 18 画像取り込み制御装置(外部トリガコン
トローラ) 19 溶接電源 20 カメラコントローラ 21 ホストコンピュータ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接前の開先に対してレーザ線状光を照
    射し、光切断像を撮像して溶接前の開先特徴点座標を抽
    出し、これを上記溶接トーチの進行方向に行って溶接軌
    跡データを作成し、 該溶接軌跡データに基づいて1パス1レア溶接を開始
    し、その溶接中に、上記進行方向前方の直近に位置する
    開先にレーザ線状光を照射し、溶接電流を低下させて溶
    滴短絡移行状態になった時に、干渉フィルタを備えた第
    1の撮像装置で光切断像を撮像し、近似処理により溶接
    後の開先特徴点座標を抽出し、 溶接前と溶接後の開先特徴点座標を差分処理し、その差
    に基づいて溶接トーチのワイヤ先端位置を補正するよう
    にしたことを特徴とする倣い溶接方法。
  2. 【請求項2】 前記溶滴短絡移行状態の溶接電流が、開
    先手前位置で200A以下に設定される請求項1に記載
    の倣い溶接方法。
  3. 【請求項3】 前記溶滴短絡移行状態において、短絡移
    行の間に前記光切断像を2回以上撮像し、これらの光切
    断像を2値化後、論理積演算処理により開先特徴点座標
    を抽出するようにした請求項1または請求項2のいずれ
    かに記載の倣い溶接方法。
  4. 【請求項4】 1パス1レア溶接中に、レーザ照射装置
    をオンして溶接トーチの進行方向前方の直近に位置する
    開先にレーザ線状光を照射し、干渉フィルタを備えた第
    1の撮像装置でレーザ光オン画像を取り込むと共に、レ
    ーザ照射装置をオフして同一部位のレーザ光オフ画像を
    取り込み、これらレーザ光オン画像とレーザ光オフ画像
    とを差分処理し、 該差分処理画像を2組取り込んだ後、各々の差分処理画
    像を2値化後、論理積演算処理により開先特徴点座標を
    抽出するようにしたことを特徴とする倣い溶接方法。
  5. 【請求項5】 前記溶接中に照射されるレーザ線状光
    が、溶接トーチの進行方向前方30〜100mmに位置
    する開先に照射される請求項1乃至請求項4のいずれか
    に記載の倣い溶接方法。
  6. 【請求項6】 前記干渉フィルタが、当該レーザ光の波
    長±20nm以下に設定される請求項1乃至請求項5の
    いずれかに記載の倣い溶接方法。
  7. 【請求項7】 減光フィルタを備えた第2の撮像装置で
    アーク光を撮像し、該アーク光の画像の重心点に初期設
    定値を加えた点をワイヤ先端位置とし、これに基づいて
    溶接トーチのワイヤ先端位置を補正するようにした請求
    項1乃至請求項6のいずれかに記載の倣い溶接方法。
  8. 【請求項8】 開先手前および開先奥における溶接電流
    の平均値の比が所定値以上になった場合にワイヤ先端位
    置が開先奥にあると判定し、これに基づいて溶接トーチ
    のワイヤ先端位置を補正するようにした請求項1乃至請
    求項7のいずれかに記載の倣い溶接方法。
JP7099791A 1995-03-31 1995-03-31 倣い溶接方法 Withdrawn JPH08276269A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7099791A JPH08276269A (ja) 1995-03-31 1995-03-31 倣い溶接方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7099791A JPH08276269A (ja) 1995-03-31 1995-03-31 倣い溶接方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08276269A true JPH08276269A (ja) 1996-10-22

Family

ID=14256752

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7099791A Withdrawn JPH08276269A (ja) 1995-03-31 1995-03-31 倣い溶接方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08276269A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105171197A (zh) * 2015-09-30 2015-12-23 厦门理工学院 焊接的组合视觉传感器装置
CN109967834A (zh) * 2019-05-09 2019-07-05 湘潭大学 一种基于点激光距离传感器的焊缝跟踪系统和方法
CN110653460A (zh) * 2019-11-12 2020-01-07 吉林大学 基于激光视觉的新型tig焊装置及焊接方法
CN111702304A (zh) * 2020-06-23 2020-09-25 中交第三航务工程局有限公司 埋弧焊用导电嘴自动定位的控制系统及其方法
CN116000484A (zh) * 2023-03-28 2023-04-25 湖南视比特机器人有限公司 工件二次定位方法、定位装置、工件坡口切割方法及装置

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105171197A (zh) * 2015-09-30 2015-12-23 厦门理工学院 焊接的组合视觉传感器装置
CN109967834A (zh) * 2019-05-09 2019-07-05 湘潭大学 一种基于点激光距离传感器的焊缝跟踪系统和方法
CN110653460A (zh) * 2019-11-12 2020-01-07 吉林大学 基于激光视觉的新型tig焊装置及焊接方法
CN110653460B (zh) * 2019-11-12 2023-04-25 吉林大学 基于激光视觉的新型tig焊装置及焊接方法
CN111702304A (zh) * 2020-06-23 2020-09-25 中交第三航务工程局有限公司 埋弧焊用导电嘴自动定位的控制系统及其方法
CN111702304B (zh) * 2020-06-23 2022-04-05 中交第三航务工程局有限公司 埋弧焊用导电嘴自动定位的控制系统及其方法
CN116000484A (zh) * 2023-03-28 2023-04-25 湖南视比特机器人有限公司 工件二次定位方法、定位装置、工件坡口切割方法及装置
CN116000484B (zh) * 2023-03-28 2023-07-25 湖南视比特机器人有限公司 工件二次定位方法、定位装置、工件坡口切割方法及装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10870162B2 (en) Adaptive control method and equipment of arc swing in narrow gap welding
US20130043225A1 (en) Laser processing head and method for processing a workpiece by means of a laser beam
EP0532257B1 (en) Weld bead quality determining apparatus
CN108637435A (zh) 一种基于视觉与弧压传感的三维焊缝跟踪系统及方法
WO2020010844A1 (zh) 一种基于激光跟踪的焊接系统
Guo et al. Weld deviation detection based on wide dynamic range vision sensor in MAG welding process
CN114260547B (zh) 一种基于深度学习算法的窄间隙旋转电弧gtaw钨极位置纠偏方法
CN108788467A (zh) 一种面向航天构件的智能激光焊接系统
CN112584957B (zh) 焊接控制装置、显示控制装置、焊接系统、焊接控制方法以及程序
Wu et al. Research on robust laser vision feature extraction method for fillet welds with different reflective materials under uncertain interference
JPH08276269A (ja) 倣い溶接方法
JP2013119098A (ja) レーザ肉盛装置とレーザ肉盛方法
JP3592846B2 (ja) レーザ加工機におけるティーチング方法及びその装置
JP2007054879A (ja) ハイブリッド溶接装置、並びに、ハイブリッド溶接装置の画像処理方法および画像処理プログラム
JPH08281435A (ja) 倣い溶接方法及び装置
KR101762203B1 (ko) Fov의 자동조절이 가능한 비전센서장치 및 그 제어방법
Lertrusdachakul et al. Vision-based control of wire extension in GMA welding
JPH08267247A (ja) 倣い溶接方法及び装置
JPH08276271A (ja) 倣い溶接方法及び装置
JPH08276268A (ja) 倣い溶接方法
JPH08267240A (ja) 自動溶接装置
JPH08276270A (ja) 倣い溶接方法
JP2895289B2 (ja) 溶接自動倣い装置
WO2020159831A1 (en) Welding tool
CN117300301B (zh) 一种基于单目线激光的焊接机器人焊缝跟踪系统与方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20020604